わが文学修業
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著者名:織田作之助 

 小説の勉強をはじめてからまだ四年くらいしか経たない。わが文学修業はこれからである。健康が許せば、西鶴が小説を書いた歳まで生きられるだろう。まだ十年ある。文学修業はそれからだと思う。私は最悪の健康状態でよく今日まで生きて来られたと思っている。文学が恐らく私の生命を救って来たのだろう。常に酷評されながら、何糞と思って書いている。それで表面はぴんぴんしている。そのうち、戯曲も書こうと思う。最近、友人が「君は本職をもう捨てたのか」といった。小説は私の副職だというのである。「いや、今に戯曲も書くよ」と答えたが、その実、素人劇の脚本を昨年頼まれて書き演出もした。満更でもないと思った。いろいろ楽みで、なかなか死ねないと思う。




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