困惑の弁
著者名:太宰治
愚かな私の精一ぱいの忠告は、以上のような、甚だ高尚でないことばかりだったので、かの学生は、腹をかかえて大笑いしたのであるが、この雑誌の読者もまた、明日の鴎外、漱石、ゲエテをさえ志しているにちがいないのだから、このちっとも有名でないし、偉くもない作家の、おそろしく下等な叫び声には、さだめし失笑なされたことであろう。それでいいのだ。望みは高いほどよいのである。
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