唯「私は…平沢唯」 at NEWS4VIP
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100:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 02:55:31.33 p8PNrCn2P
ククク…契怨部か…
怨霊と契約せしその力…見せてもらおう…

101:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 02:56:23.39 1jF45i/CO
憂「お姉ちゃん…、昨日言ったよね? 私は人間じゃないから…、私のことなんて忘れるんだって」

唯「言ったね…」

憂「私ね、あれから考えたんだぁ。お姉ちゃんがもしほんとに人間じゃなかったら…お姉ちゃんじゃなくなるのかなって……」

唯「憂……」

憂「でもね、違ったの。お姉ちゃんは人間じゃなくたって私のお姉ちゃんなんだって…! だからねお姉ちゃん、私…絶対お姉ちゃんのこと忘れないから」

唯「……」

憂「今日…お姉ちゃんは行っちゃうんだよね、また」

唯「うん」

憂「二度と戻って来ないかもなんだよね…?」ヒッ…ク…

唯「…うん」

質問が進むにつれ泣き顔になって行く妹に、私はただただ「うん」と答えるしか出来ずにいた。

102:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:02:35.36 1jF45i/CO
憂「私……お姉ちゃんの妹で良かった……」

寄り添ってくる憂。

唯「私もだよ、憂。いっぱい、いっぱい幸せをありがとう」

強く抱きしめる。
まだ私の存在がある内に。

憂「忘れたくないっ! 忘れたくないよ…お姉ちゃん…!」

唯「……憂。他人の幸せを喜べる優しい子。でも幸せをあげすぎて自分を蔑ろにしたら駄目だよ…」

憂「うんっ……うん…」

唯「憂、今までありがとう」

憂「やだぁ!お姉ちゃんと一緒がいいの!お姉ちゃ…ん…」

唯「少し眠ってて、憂。目覚めた時、それは全部夢だって思えるから」

私はスリープの魔法をかけたハンカチを投げ捨てると立ち上がる。

唯「行こう、全てを終わらせるんだ」

103:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:04:25.18 sVLE2FeHP
支援

104:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:05:37.61 6Lc8oCjv0
厨二な唯か・・・

ありだな

105:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:07:46.08 1jF45i/CO
夜中、時刻は丑の刻。

あれだけ煽って来たんだ、今日出てこないなんてことはありえないだろう。

私は家からもって来た包丁を柄の方からなぞる。

するとスゥーッと、包丁が紫色に輝き始めた。

唯「これでやつにも通じる…」

周りを見回しながら走る。

どこ…?

逸る気持ちを抑え、辺りを伺う。

フワッ……

唯「ッ!」

私の瞳が空間の歪みを捉える。普通の人間にはまず見えないであろう゛それ ゛を見つけて微笑んだ。

唯「見つけた……!」

奴は驚いたのか逃げる──

唯「逃がすかっ!」

真夜中の鬼ごっこが始まった。

106:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:12:43.48 1jF45i/CO
早く──
速く──
もっと疾く──

私は脳のリミットを一つ、また一つと解除していく。

今の速度は人間の゛それ ゛とはだいぶ異なる。オリンピック選手など今の私に比べれば赤子同然のスピードだろう。

追いすがる、が、奴も人間ではない。
人間の常識なんて私達には無意味だ。
いや、肉体が半分人間の私の方が分が悪い。
それでもただ走った。
奴は自分の得意な場所に私を追い込むつもりだろう。

唯「いいよ、行ってやる」

私はニヤリとしながら草木を避け、ベンチを乗り越え、自動販売機すら迂回し、奴を追った。

107:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:17:58.95 1jF45i/CO
一般道に入り、奴は初めて攻撃をしかけてきた。

「……!」

昼間みせたエアー弾だろう。
空気の歪みがいくつも飛んで来るのがわかる。

唯「はぁっ!」

私はそれを包丁で切り裂きながら撃退。

「!?」

奴は驚いたのか攻撃する速度をあげる

唯「無駄だよっ!」

一つ、二つと切り裂いて、壁を蹴って空中で回転しながら三つ四つと切り裂く。

「!?」

唯「生憎ただの人間じゃないんだよっ!」

私は尚も追いすがる、逃げる奴。

奴は港の方へと逃げる気だ。
唯「海はまずいな…」

泳げないのを見抜かれたか…?
何としても先に仕留めないと…!

108:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:22:47.40 1jF45i/CO
律「あ〜難しい〜! 徹夜してやるもんじゃないな〜勉強って」

──やぁっ

──とぉっ

律「ん〜?」

なんだか外がうるさいな…もう夜中の3時にもなるのに。

律「酔っ払いが暴れてんのか?」

部屋の窓を開けて覗き込む。

唯「──はあっ!」

唯「──無駄だよ! 生憎ただの人間じゃないんだ!」

律「……」

ピシャッ

律「勉強し過ぎたんだなきっと。いや〜幻想見るぐらい勉強しちゃダメだぞ私ってば」

唯……何やってたんだろ

一人で

109:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:27:22.29 8SWSGnhW0
これやってる唯ちゃん想像すると可愛い

110:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:27:41.30 1jF45i/CO
港──

やっと止まった。

唯「そろそろ降参したらどう? 私もマラソンはあんまり趣味じゃないんだよね!」

包丁の切っ先を奴に向け言い放つ。

「……」

奴は無言でこちらを見ている。

唯「……決着つけようか」

クルッと包丁を回して逆手に持つ。

奴も意図を読み取ったのか一気に襲いかかって来た。

エアー弾を二発、私はそれを左右に泳ぐ様に走り避け、奴に近づく

更に奴はエアー弾を打ち込みつつ私を牽制してくる。

唯「効かないよっ!」

直撃コースのエアー弾を切り裂き、距離をどんどん詰めて行く。

111:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:28:33.43 NT03AvlS0
きっと律は普通の人間だから見えないんだよ
うん・・・きっとそうなんだよ・・・

112:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:31:26.95 oacQXp+70
寝れないじゃないか


113:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:33:30.09 1jF45i/CO
「……!」

奴はエアー弾が効かないことを察したのか、急に何やら唱え始めた。

ビュウウウウウウー……

風の鳴き声の様な音がした後、ブルンブルンッ!と排気ガスを捻り出すような鈍い音が聞こえてきた。

暴走族「なんだテメェ! どこのもんじゃワレぇ!」

暴走族「いてまうぞこらー!」

暴走族「シャアッコラァ!」

唯「人間を操るなんて……ッ!」

操られた暴走族達は唯に襲いかかる。

暴走族「いてまうぞワレ!」
暴走族「シャアッコラァ!」
暴走族「ラッシャア!」

バイクに股がったまま鉄パイプで殴りつけに来る。

唯「ごめんね…恨みはないけど…」
憂『お姉ちゃん…』
唯「大丈夫、憂……殺しはしないから」

思いに過った憂に答えながら暴走族を迎え討つ唯。

114:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:40:26.15 1jF45i/CO
一台目が突っ込んで来たのを唯はかわしながら、逆に鉄パイプを奪いとる。

暴走族「なんすんやワレェ!」

その鉄パイプを後から来た一台のバイクの車輪に投げ込むと勢い良く暴走族はバイクから投げ飛ばされた。

暴走族「あ、アホかこいつ」ガタガタ

暴走族「兄ちゃんこいつヤバいって! あんなことやるやつヤバいって」ガタガタ


飛ばされた暴走族の鉄パイプを拾いあげ、容赦なく襲いかかる。

唯「このっ! 早く戻れっ! 意識を取り戻してっ!」

暴走族「助けて!」
暴走族「こいつヤバいよ兄ちゃん! 頭おかしいよ!」
暴走族「に、逃げるぞ! ちょっとたかってお金もらおうとしただけなのに! クソッ!」

115:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:46:06.92 1jF45i/CO
洗脳が解けたのか彼らは去っていく。

唯「全く世話がかかる…あんまり人間に干渉するのやめようよ?」

包丁をお手玉みたいに手遊びしながら私は奴を視る。

唯「終わりだよ、これで…」

「……!」

奴が背中を見せ、逃げようとする時だった。

唯「逃がすかっ!」

思い切り包丁を奴に投げつける。すると包丁は蒼白い刃となって奴を貫き、コンテナに刺さりこんだ。

消えていく、奴が、消えていく。

唯「あんたも悪気があってこっちに来たわけじゃないんだよね…私とおんなじ。ただ私には…憂がいた。それだけだよ」

消えていく蒼白い残り火を見ながら、私はコンテナに体を預けドサッと倒れこんだ。

唯「何本もってイカれたろう…」

避けたと思っていたが何発かはもらっていたようだ。

116:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:52:06.52 1jF45i/CO
唯「たはは…無理しすぎちゃったかな…でもまぁいいや…全部終わったし」

にゃあ…

声がする、仔猫の鳴き声。

にゃあ…

唯「お前…どうして」

仔猫「良くやったな、ユイ」

唯「!? 喋っ…」

仔猫「覚醒者となりて、良く奴を討ってくれた。すまなかったな、こうするしかなかった」

唯「そっか…あの夜感じた力の源はやっぱりお前だったんだね」

仔猫「ああ。私はかつて奴らを討っていた、覚醒者として。だが君も知っての通り覚醒者の体は長くはもたない…故にこのような猫に擬態して新たな覚醒者を探していたのだ」

唯「それが私…か。酷いことするよね…無理やりなんてさ…」

仔猫「覚醒者は誰にでもなれるわけじゃない…故に選べないのだ。だから…すまない」

唯「いいよ…過ぎたことだし…もう、いいんだ」

117:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:56:56.02 1jF45i/CO
朝日が登る、

唯「私はどうなるのかな? このまま光に溶けてなくなったり…?」

仔猫「そんなことはさせない、私が、この命に変えても…」

そういうと仔猫は私の膝に乗ってきた。

仔猫「むぅん」ペロペロ

手を舐めながら何かを私に送り込んで来ている!

唯「そんなことしたら…あなたが!」

仔猫「構わんさっ! 私はただの猫、これからもそう生きていく! ただ君は違う! 人間だ! 私とは違う!」

唯「人間なんかじゃ…」

仔猫「もう覚醒者である必要はない! 君はあの妹さんと一緒に還るんだ! 元在る世界にっ!」

唯「猫、さん…」

仔猫「くぉっ…」ゴロリン

唯「猫さんっ!」

仔猫「さらばだ、平沢唯」

118:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 03:58:12.23 8SWSGnhW0
イイハナシダナー

119:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 04:02:58.12 1jF45i/CO
唯「猫さっ」

目映い光が辺りを飲み込み、私は意識を失った。

─────

憂「はあ…はあ…お姉ちゃん…どこ?」

急に走り出した仔猫を追ってこんな遠くの港まで来ちゃったけど…間違っていない気がする。

憂「お姉ちゃん!!」

コンテナに横たわる唯を見つけて急いで駆け寄る憂。

憂「お姉ちゃんっ!? しっかり!」

唯「ん……んん…あれ? 憂? ここどこ?」

憂「お姉ちゃん…まさか覚えてないの?」

唯「?? 何が?」
憂「そっか…消えるって…こういうことだったんだ」

唯「憂〜それよりお腹減ったよぉ〜早く帰ろ〜?」
憂「うん、お姉ちゃん。」

憂は海の方を見ながらうっすら涙を溜める。
憂「さようなら…もう一人のお姉ちゃん…」

120:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 04:09:06.00 1jF45i/CO
仔猫「にゃあ〜」
憂「こんなとこにいたんだ。案内ご苦労様」

憂は仔猫を抱き抱えるとよしよし、と撫でる。

憂「帰ろっか、お姉ちゃん」

唯「うんっ!」

憂「この猫さんの名前何がいいかなお姉ちゃん?」

唯「う〜ん、武者丸とかは!?」

憂「え〜もうちょっと可愛いのがいいよ〜」

唯「武者丸可愛いくない〜?」

ふう、どうやら気づかれなかったか。
憂も、そして周りのみんなも二度と気づくことはないだろう。
私は…平沢唯、彼女の影を担う部分だと。

唯「(今度は二重人格に目覚めちゃったのか……私ってカッコいい…!)」

おしまい

121:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 04:10:43.78 8SWSGnhW0
壮絶な唯憂だったな、面白かった

おつ!!

122:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 04:15:14.87 1jF45i/CO
余談

澪「朝日が登る港って感じの歌詞書きたくて早起きして来たけど…何か思い浮かばないな〜…」

澪「帰って勉強しなおそうかな…」

そんな時だった。
声が聞こえる。

澪「ん? 港の人かな…」

コンテナから覗き込むように声のした方を見てみると、

唯「私はどうなるのかな? このまま光に溶けてなくなったり…?」

唯「そんなことはさせない、私が、この命に変えても…」

仔猫「」ペロペロ

唯「そんなことしたら…あなたが!」

唯「構わんさっ! 私はただの猫、これからもそう生きていく! ただ君は違う! 人間だ! 私とは違う!」

唯「人間なんかじゃ…」
唯「もう覚醒者である必要はない! 君はあの妹さんと一緒に還るんだ! 元在る世界にっ!」
唯「猫、さん…」
唯「くぉっ…」
唯「猫さんっ!」
唯「さらばだ、平沢唯」

123:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 04:19:43.02 1jF45i/CO
澪「唯……?」

何やってるんだ朝っぱら……。

澪「まさか演技の練習とか…?!」

澪「演劇に興味持っちゃったのかな!?」

私がいい歌詞書かないから…

澪「こうしちゃいられない! 唯の為にもいい歌詞書いて軽音部に目を向けさせなきゃ!」

次の日学校────

朝日に歌う猫

仔猫は歌うよ〜 高らかに〜

仔猫と少女は語るよ〜 朝日と共に〜

律「却下」

澪「なんでーッ!?」

唯「(まさか視られてた…、澪ちゃんも覚醒者なの…?)」

おわり

124:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 04:21:42.52 1jF45i/CO
お察しの通り唯が厨二病でその唯視点での物語でした。

思ってたより憂が可愛くなって良かった

今度は普通に唯憂のほのぼのでも書こうかな
おやすみなさい

125:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 04:50:47.18 6Lc8oCjv0
お疲れ様
厨二唯かわいかったです

126:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 07:51:22.33 ndhKZLju0

厨二な唯ちゃんもかわゆい

127:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 08:34:42.64 p8PNrCn2P
だが待って欲しい

一介のjkが暴走族の群れを撃退するのはもはやほんとうに目覚めてると言えるのではないだろうか

つまり

128:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
10/07/29 08:40:42.66 ubKHtpZb0
乙 ほのぼの唯憂も期待してます


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