【野球】視聴率低下や ..
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6:ミットモナイト▲φ ★
09/08/24 17:14:29 0
>>3の続き

 その高いハードルを、われわれの文化は父子相伝の伝承によってなんとか超えてきた。
そういう伝統があったのだ。

 より具体的に言うと、父親が見ているナイター中継を、息子は一緒に観戦せざるを
得なかったということだ。昭和の茶の間におけるテレビの位置づけはそういうものだった。
すなわち、ゴールデンタイムの番組選択権は一家の長たる父親の手の内にあり、
女子供はそれに従わざるを得なかったのである。

 私は、善し悪しの話をしているのではない。当時はそういうならわしだったという、事実だけを
受け止めてほしい。その事実についてどういう感想を抱くのかは皆さんの勝手だ。封建的で
あると思うのか、あるいはケジメがあってよろしいと考えるのか、激しく男根主義的だと感じる
のか、各自判断してほしい。私は干渉しない。好きにしてください。

 父親が夢中になって見ている野球を眺めながら、子供たちは、意味のわからない場面に
遭遇する度に質問をした。

「あれれ? 今のはアウトじゃないの? 三振したのに」「あれは、振り逃げ。特別なルールだよ。
キャッチャーがボールをこぼしたら、その間に、三振したバッターは、一塁まで走ることができる。
で、キャッチャーがボールを拾って一塁に投げて、間に合わなかったらセーフなんだよ」

 「振り逃げ」や「ヒットエンドラン」や「犠牲フライ」や「ボーク」など、それぞれに難解で、
実戦の中でないと説明不能な様々の例外則を、一通りアタマに入れないと、野球はわからない。
で、その、野球のヤマほどある例外則のいちいちを、父は子に伝えたのである。野球中継の
こちら側にはそういう言葉のやり取りがあり、また、父と子のキャッチボールでは、言葉以上の
何かが交換されていたものだ。

 が、平成の父親であるわれわれは、もはや、子供にルールを説明しない。というよりも、
できない。そもそもリビングルームのテレビが、野球を映していないからだ。

 野球は、パパの書斎(っていうか、「巣」だが)の小型テレビの画面に追いやられている。
そういうふうに各自が思い思いの番組を見るのが現代の風潮で、この図こそが平成の家族の
肖像なのである。

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