【現在】ブラックラグーンVOL.13【ドライブ中】 at EROPARO
[bbspink|▼Menu]
667:ロック×レヴィ 比翼・第二部  ◆JU6DOSMJRE
10/11/30 22:17:16 Lp6oH9Uz

ロックは未だにレヴィの体を押さえつけていたことに気づき、ゆっくりと手を離した。
渾身の力で押さえつけていたため、両腕がぶるぶると震えていた。
ゆっくりと腕を曲げると、ぎし、と肘の関節がきしんだ。
手は痺れ、指先の感覚がなかった。
「……よく耐えた。大の男だって悲鳴を上げて暴れまわる」
張は最初に消毒用に使ったハンカチを取り、もう一度、コニャックを充分に染み込ませた。
そのハンカチで、レヴィの傷をぬぐう。
最後に血まみれの自分の左手もざっと拭うと、張は火薬の包みに手を伸ばした。
紙を開いて、弾丸を摘出した傷口に火薬を振りかける。
次にライターを取り、火薬に火を近づけた。
音を上げて火薬が小さく爆発する。
「……針と糸がないからな。縫合代わりだ」
ちらりと見られて、ロックはぎこちなく頷いた。

目の前で起こったことに、まだ頭がついていっていなかった。
ロックは何も分からず、何もできなかった。

「体を拭いてやれ。水を持ってくる」
張は立ち上がって、ピックアップ・トラックへ向かった。
ペットボトルの水を持って戻ってくると、張はまず血の残った自分の左手に振りかけてから、
ボトルをロックに差し出した。
「そこにまだ汚れてない布があるだろ。適当に使え」
濡らした左手をコートの切れ端で拭きながら、張は続けた。
「俺はシートをなんとかしてくる」
ロックが頷くと、張はきびすを返した。

ロックは張の後ろ姿を見送って、まずレヴィの脚を縛る布をほどいた。
膝の上で二本の脚ををぎゅっとまとめて結んでいた布をゆるめ、
コンバットブーツの上から足首を束ねていた布をとく。
それからレヴィの頭を持ち上げて自分の膝の上に置き、後頭部の結び目を探って、これもほどいた。
口の中に詰められていたハンカチを引っ張り出す。
力を失っている頭を両手で支えてビニールシートの上に戻すと、ロックは新しい布きれを取った。
乾いた布に、ペットボトルの水をたっぷりと染み込ませる。
そして、レヴィのタンクトップの胸もとを少し開いた。

ロックは張の置いて行ったペンライトをつけて、傷口に触らないように濡れた布をすべらせた。
血はすでに乾きかけた箇所もあり、なかなかきれいには拭き取れなかった。
コートに使われる綿素材の布では吸水も悪く、血は肌の表面でかすれるように伸びるばかりだ。
レヴィの血は、はだけた胸もとの更に下にまで広がっているようだった。
しかし、そこまで踏み込んでしまうことはできなかった。
露わになっているのは、ぎりぎり肩と言えなくもなかったが、
それでもやわらかなふくらみを見せる胸もとは、そこがすでに乳房のふもとだということを如実に表していた。
これ以上は駄目だ。
彼女はもう、ただの同僚だ。
もし意識があったら、こうして血を拭うために肌に触れることすら嫌がっただろう。
手を振り払って、押しのけて。
ロックの腕に、先ほどのレヴィの拒絶が蘇った。


668:ロック×レヴィ 比翼・第二部  ◆JU6DOSMJRE
10/11/30 22:18:28 Lp6oH9Uz

今、レヴィはぐったりと横たわっている。
もう、この先彼女の肌に触れることはないのだろう。

ロックの指はレヴィの肌に伸びていった。
指先で、血の痕に触れる。
拭いきれずにかすれている血の痕に。
血の痕をなぞって、ゆっくりと、下にすべらせる。
ふわりとやわらかい肌の感触。
指の腹でわずかにへこむ。
ロックの指を温かく受け止める。
ペンライトの丸い光の中で、レヴィの白い胸もとには赤い筋が何本も伸びていた。
ロックはその赤い筋をそっとたどった。
指で触れたところが小さくくぼんで、影を作る。
やわらかくへこんだかと思うと、指がそこを通り過ぎた時にはもう、なめらかな一続きの曲線の一部になっている。
指は心地良く、やわらかな肌に沈み込む。
更にすべらせて─

─と、そこでロックは我に返った。

今、何を考えていた。
意識のない彼女に、何をしようとしていた。

ロックは振り払うように指を離し、めくられていたタンクトップを戻した。
血を吸ったタンクトップはまた肌を汚してしまうが、仕方がない。
ここで着替えさせるわけにもいかない。
ただ、このままだと左のストラップが切れていて、肩が剥き出しになってしまう。
胸もとだってめくれてしまう。
ロックはネクタイを引き抜いた。
ワイシャツのボタンを外して、脱ぐ。
そして、気を失って重たくなったレヴィの上半身をなんとか起こして、ワイシャツを肩からはおらせた。
体を冷やさない方が良いし、何より、胸もとをはだけさせたまま連れ歩くのが、
─もっと言えば、胸もとをはだけさせたまま張の隣に寝かせるのが嫌だった。

ロックは、抱き起こしたレヴィの額を向かい合った自分の肩に乗せて、背中からワイシャツで包み込んだ。
意識のない人間に服を着させるのは難しいし、傷に響くといけないので腕は通さない方が良いだろう。
レヴィの腕は袖に通さず、上半身をもとに戻して寝かせた。
襟元を整え、第三ボタンを留めてやる。
そうしたところで、張が戻ってきた。


669:ロック×レヴィ 比翼・第二部  ◆JU6DOSMJRE
10/11/30 22:19:06 Lp6oH9Uz

「できたか」
「……なんとか」
張はレヴィの様子を見ると、いいだろう、と言うように頷いた。
「じゃ、行くぞ。車に運んでやれ」
言われて、ロックはレヴィの首のうしろと膝うらに手を差し込んだ。
そして、持ち上げようとした。
─が、持ち上がらなかった。

「どうした」
「……いえ」
もう一度持ち上げようとするが、今度も無理だった。
腕にも脚にもうまく力が入らなかった。
運転していた時には出ていたアドレナリンが切れたのか、
それとも弾丸摘出を目の前にして神経が限界まで磨り減ってしまったのか、
体にまったく力が入らなかった。
ロックは震える息を吐きながら、持ち上げようとしたレヴィの体を元に戻した。
「俺が運ぶか」
張が隣にしゃがみ込んだ。
ロックは力なく頷いた。
それは頷くというよりも、うなだれるに近かった。

張はレヴィの体の下に腕を入れると、ひょいと抱き上げた。
ロックが見上げると、レヴィは張の胸もとにすっぽりと収まっていた。
「行くぞ」
ロックはビニールシートを畳みながら、レヴィを抱く張の後ろ姿を見上げた。
意識を失った人間は重たいだろうに、張はその重さをまったく感じさせず、悠々と歩いた。
ロックはその後ろ姿をぼんやりと追いかけた。


670:ロック×レヴィ 比翼・第二部  ◆JU6DOSMJRE
10/11/30 22:20:49 Lp6oH9Uz

張とレヴィ。
同じ二挺拳銃使いのこの二人。
彼女に銃を仕込んだのは張か。
聞いたことはなかったが、しかしどちらにせよ、張はレヴィをかわいがっており、レヴィは張になついていた。
ロックは、いつか見た二人のタッグを思い出す。
乱れ飛ぶ銃弾の中で、二人は舞を踊っているようだった。
言葉などなくても、すべて呼吸で分かり合える。
張の無駄のない動きの隙間にすべり込むようにレヴィはしなやかに動き、
大胆に躍るレヴィの死角を張は揺るぎなく固めた。
二人は安心して背中を預け合っていた。
いくつもの細い糸でつながり合ったかのように、二人はつかず離れず、
相手の動きに導かれるように体を動かし、フォローし、それでいて自由奔放に躍動していた。
もうずっと長いこと寄り添ってきた相棒のように。

それに、今日だって。
張がいなければ、どうなっていただろう。
銃弾を受けたレヴィを目の前に、ロックは何ができただろう。
あたふたと慌て、彼女の苦しむ様をただ見るだけで、何もできず?

─張なら。

レヴィを抱きかかえる張を見ながら、思う。
張なら、きっとレヴィと同じ場所で、手を取り合って生きることができるのだろう。
最後の最後まで。
同じ場所で、血にまみれながらも、ずっと。
張なら、レヴィの盾となり、その広い懐に包み込むことができるだろう。
レヴィを護り、支え、たすけることができるだろう。
彼女が傷つけば、銃弾を取り出してやり、傷を癒し。
そう、彼女の胸の奥に未だ埋まっている沢山の銃弾だって、取り出してやることができるかもしれない。
ひとつずつ、丁寧に取り出して、痛みを取り除いて、そして─。

─俺は、何もできなかった……。

ロックは、レヴィを抱える張の後ろ姿をただ見ていた。
その背中はひどく大きく、そして、ひどく遠いように思われた。
                                       




第二部・了(第三部へ続く)


671:名無しさん@ピンキー
10/11/30 22:21:49 jbtSva5N
GJ!!

面白すぎる。原作より!!



672:名無しさん@ピンキー
10/11/30 22:25:36 bnv2WO9r
キタキタ、来ましたよ!
切ない、切なすぎる
超サイコーな張兄貴にこのままレヴィは奪われてしまうのか!?
あと、タマを抜くシーンと、ガンパウダーで縫合の代わりってのが、"The Killer"を思わせるね

さすが神様だ
いつもありがとう

673:名無しさん@ピンキー
10/12/01 03:19:43 s7YqZLtc
ロック切なーい!!切なすぎるわ!
張がかっこいいほどロックは自己嫌悪のスパイラルに陥るか・・
まあ良いコンビだもんな。気持ちわかるぜロック
しかし入院患者でトライアスロンは雰囲気無視して吹いてしまったw

674:名無しさん@ピンキー
10/12/03 02:22:45 AQa0Xmtg
張の旦那に甘えるレヴィかわいすぎるぜ神GJw足プラプラとか
でも意識しまくってんのはロックなんだよな
あんな怪我してまで抵抗するすげえ根性

675:名無しさん@ピンキー
10/12/03 21:17:17 8BDBjMaZ
スレタイ考えませんか

676:名無しさん@ピンキー
10/12/03 22:37:17 mRsR+Gm5
エロシーンマダー?

677:名無しさん@ピンキー
10/12/03 22:41:22 XVSF5kxZ
原作が止まってるから新たなスレタイ難しいな…未だドライブ中だし
OVAで良いオリジナルのセリフあったっけ

678:名無しさん@ピンキー
10/12/03 22:45:16 3wxHO+V2
【未だに】 【ドライブ中】


679:名無しさん@ピンキー
10/12/04 05:48:05 NwE1jNjr
【だが】【幸せ】w
【両方】【経験済み】とか

680:名無しさん@ピンキー
10/12/04 10:37:47 lIyno7Bh
【永遠に】【ドライブ中】
【いつまで】【ドライブ】
【本スレは】【啖壷】

681:名無しさん@ピンキー
10/12/04 13:54:16 d2TUfxrJ
>>679
【だが】【幸せ】って何?

682:名無しさん@ピンキー
10/12/04 14:27:16 VOqPyCYH
未だにドライブ中だが(それはそれでレヴィは)幸せ

683:名無しさん@ピンキー
10/12/04 18:11:16 bGZfuokW
【生れる前から】【好きだった】

684:名無しさん@ピンキー
10/12/04 18:48:55 rIZPmYG/
本スレで「レヴィたんの口内に白いモノなら吐いてるよ」とか言う奴がいたから
唾吐きAA見るたびに萌えるようになってきてしまったお
いいよね、口内射精

685:名無しさん@ピンキー
10/12/04 21:58:05 VOUIZbSj
ドライブネタが多かったので。

【未だに】ブラックラグーンVOL.14【ドライブ中】
スレリンク(eroparo板)

686:名無しさん@ピンキー
10/12/04 22:26:07 wGgSLNkc
>>685

687:名無しさん@ピンキー
11/01/13 22:26:27 qVlrAcxF
2NN ニュースナビゲーター
URLリンク(www.kusanone-net.com)

掲示板の書き込みを読みながら難解なニュースも一発理解!


最新レス表示
スレッドの検索
類似スレ一覧
話題のニュース
おまかせリスト
▼オプションを表示
暇つぶし2ch

4627日前に更新/466 KB
担当:undef