【貴方なしでは】依存スレッド5【生きられない】 at EROPARO
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350:名無しさん@ピンキー
09/09/02 21:45:09 EZ3POTXt
でも、前にも「他の人が投下後に時間を置かずに投下するのは非常識」とかレスがついたことがあったよね。
(その時も2時間くらいは経っていたと思う)
その流れから行くと、やっぱり「深夜に投下」って夕刻に予告されたら他の人は投下しにくいよ。

今回は余計な一言も書くから余計に「どうせ俺しかいないでしょ」って風に読まれても仕方がないと思う。

351:名無しさん@ピンキー
09/09/02 21:54:53 vlGAseBw
余計な言葉って、まぁ普通に人いないなぁ〜って思って書いたからそんなつもりで書いた訳じゃないんだけどね。
次から予告はやめとくわ。

352:名無しさん@ピンキー
09/09/02 23:19:45 PdhL79WZ
そもそも予告にどんな意図があったか判らない。
他の人の牽制以外、何か意味があるの?
そのうえで、わざわざ鳥を消して
>>347が投下したかったら投下すればいいよ」なんて
云うのも相当に性格悪くないか?
もし投下があったらその数時間後に自分も投下するのか?


353:名無しさん@ピンキー
09/09/02 23:46:06 vlGAseBw
>>352
別に牽制とかのつもりはないですよ?別に深く考えないで書いたので気にさわったのなら申し訳ないです…。
次からは気を付けます。
すいませんでした。

354:名無しさん@ピンキー
09/09/02 23:48:24 m2DpuhvK
まあまあ落ち着いて。

355:名無しさん@ピンキー
09/09/02 23:54:24 Psjc8t4i
なんにせよ投下そのものは歓迎&GJだし、
夢の国も春春夏秋冬どっちも好きなんでガンバ。

356:名無しさん@ピンキー
09/09/02 23:57:33 DGxUwrGo
作者いなくなる理由分かるわ…。


357:名無しさん@ピンキー
09/09/03 00:38:43 8KrzXIi8
ていうか作者の方が立場上だろうに
読ませてもらってる事を忘れているんじゃないか?

358: ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 02:22:32 D3R2sUx8
投下します。

359:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 02:25:16 D3R2sUx8


「それじゃ、お願いね?私はリビングにいるから。」

「はぁ…わかりました…。」
秋音さんが俺に申し訳なさそうにお願いすると、階段を降りてリビングに向かった。

―春香の墓参りから一週間…何故か今、見慣れた夏美の部屋の前に立っている。

「どうしろって言うんだよ…」
秋音さんから受け取ったストラップを見ながら考える。

美幸ちゃんを送って行った日、自宅に帰ってくると秋音さんがフローリングに散らばった何かを掃除している最中だった。

何してるの?と聞くと
「夏美のストラップ切れちゃってね…拗ねて夏美家に帰っちゃった。」
そう言うとクマのストラップであろう物体を俺に見せてきた。

あぁ、だからあいつ変だったのか…と思い、仕方なく俺の携帯からストラップを外すと、秋音さんにこのストラップを夏美に渡すようにお願いした。

それだけあのストラップが気に入ってたのなら俺の物をあげればすむ話だ。

しかし秋音さんはそのストラップを受け取らず、ビックリしたように俺のストラップと切れた夏美のストラップを交互に見比べた。

「な、なんで夏美と春が同じストラップ着けてる…の…?」

360:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 02:26:25 D3R2sUx8
そう聞き返してくる秋音さんは普段と違い、どこか挙動不審にも見えた。

隠す理由が無いので理由を話すと「そう…」とだけ呟き自宅に帰っていった。
それから一週間…学校を休んで平和な日々をおくっていたのだが、今朝、秋音さんから夏美の事で話があると相談を持ちかけられたのだ。

相談の内容は食事をあまり取らず学校もたまにサボると言うもの。
俺ならまだしも夏美が学校をサボるのは本当に稀で、ここ一週間、午後の授業をしょっちゅうサボってどこかにいくらしい。
秋音さんや恵さんが何度も注意したのだが一向に話を聞かず、お金遣いも荒くなっているそうだ。

俺的には年頃の女子高生なら欲しい物に多少はお金も使うだろうし、反抗期な年頃なのだろうから気にするような事ではないと思うのだが、教師の秋音さんはそうはいかないのだろう…。

悩んでいる秋音さんに軽く「俺が言ってあげようか?」と言うと五秒もしない内に「お願い」と言われてしまったのだ。

自分から言い出した事なのでやっぱり無し、とは言えず仕方なく夏美に話を聞きに行く事になってしまったのだ。
クマのストラップは秋音さんが直したらしく、元通りとは行かないが苦労して直したのは一見して分かった。

361:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 02:27:08 D3R2sUx8

まさか、このストラップが切れた事で非行に走ったとは考えにくいが、秋音さんから念のために夏美に渡してほしい、と言われたので一応渡すつもりだ。

「ふぅ〜。」
いつまでも廊下に立ってるわけにもいかない…。大きく息を吐き出し、夏美の部屋の扉をコンッコンッとノックする…。

―……

返事無し…

もう一度ノックをするが、やはり返事は返ってこない。

「…夏美、入るからな〜?」

「えっ……春…兄?ちょっ!?なっ、ま、待って!!」

「うおっ!?あぶねーな!」
仕方なく扉を開けて中を覗き込もうとすると、向こう側から勢いよく扉が閉められた。

「なんで春兄が家にいるんだよっ!?」

「いや、ちょっと話があるんだ。」

「は、はなしって…」

「いや、だから開けろって。」

「い、いきなり入ってこようとするなよ!!」

「いや、ノックしたけど?」

「わ、私は返事してなかったろ!」
夏美の声が少し声が震えていた気がするが気のせいか?
夏美の部屋に無言で入るなんて昔なら当たり前のようにしてたことだけど、夏美も高校生だと言うことを忘れていた…。

「あぁ、少しデリカシーが無かったよ…馴れ馴れしく考えてた……悪かったな。」

362:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 02:27:47 D3R2sUx8
「い、いや…そんなつもりで言ったんじゃ…」
最近あまり赤部家の人間と接していなかったから昔のような行動を取ってしまった…反省しなければ。

「でっ?どうするよ?部屋に入られるのが嫌ならリビングで待ってるけど。」

「あの、嫌じゃなくてっ!じゅっ…十分だけ待って…すぐに開けるから。」
そう言うと扉前から離れる足音と、部屋の中からガチャガチャと何かを漁るような忙しない音が聴こえてきた。

「ふぅ〜…」
廊下の吹き抜けから一階を見下ろす。
子供の頃はこの場所から見下ろす玄関はとてつもなく高くて怖かった思い出がある。
、今となっては淵に掴まれば普通に飛び降りれそうな程の高さに感じる。
まぁ、実際飛び降りたら怪我するだろうけど…。

「……んっ?…メールか…」
風が通る吹き抜けで涼しんでいると、右ポケットに入っている携帯の着メロが鳴った。

誰かを確認すると、画面には「美幸ちゃん」とでている。

別に驚く事ではない。
最近美幸ちゃんとはメル友感覚でメールをしている間柄なのだ。

話題が尽きない日は時間を忘れるぐらいメールをしていたこともあった…。
いつものように受信メールを見て。美幸ちゃんに返信メールを送る。

363:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 02:28:29 D3R2sUx8

「……よし」

美幸ちゃんとのメールの内容は、ほとんどが雑談のようなメールばかり。
怪我でなにもする事が無く、暇潰し程度で美幸ちゃんにメールを送ったところ、何故かメールが終わらず、三時間ほどメールのやり取りをしていたのを思い出した。



―「は、入ってもいいよ…」
夏美が言ったように十分ほど経過すると、部屋の中から小さな声が聴こえてきた。それと同時にガチャガチャとした忙しない音も無くなった。

「おう、分かった…それじゃ、おじゃましま〜す。」
入ってきても良いと言うと夏美の許可が出たので、ゆっくりと扉を開けて部屋に入る。

「…」

「ひ、久しぶりだな〜、お前の部屋に来るのも…」
自分でも解らないが、何故か緊張してきた…。

気を紛らわす為に、周りを見渡してみる…部屋自体は別に何も変わった雰囲気は感じない
高価な物だって別に目につかない…。
部屋の隅には小さなクローゼットが置かれている。やはり、お金を使うとすれば服とかアクセサリーの類いか…。

その夏美はと言うと、何故かフローリングに正座をしている。

これは俺も正座をしろと言う意味なのだろうか…?
よく分からないが、夏美の前に正座することにした。

364:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 02:29:22 D3R2sUx8
「あのさ…俺から言うのもなんだけど、秋音さんから話を聞いたんだよ…」
なるべく夏美を刺激しないように話し掛ける。
気性が荒い部分があるので頭ごなしに注意してもまず聞かないだろう。

「ち、ちがうよっ!?も、元はと言えば秋姉さんが悪くて!」

「はっ?な、なに?秋音さん?」

「わたっ、か、勝手に私の!春兄が…!」

「えっ?俺も?」
優しく話しかけたつもりだっだのだが、俺の話を聞いた途端、情緒不安定の如く夏美が意味の解らない事を話し出した。

「それで、私もう一度同じ物をって…でも、行ったら、無くなってたんだよ!!そ、それでいろいろな場所探してっ…探しても、探しても……どこ探しても無くてっ!」
探した?よく解らないが何かを無くしたそうだ。

「落ち着けって、な?」
なんとか落ち着かせようとするが、興奮してるのか、俺の話を一切聴こうとしない…いや、聴かないようにしている。

「で、昨日やっと見つけたんだ!隣町の繁華街まで歩いて探した!」
徐にベッドの下に手を突っ込むと何やら白い袋を引きずり出してきた。

「何それ?」

「で、でも何回やってみても違う物しか出なくて…。」
夏美から白い袋を受け取り中身を確認する。

365:名無しさん@ピンキー
09/09/03 02:29:39 m87iTMGF
支援

366:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 02:31:03 D3R2sUx8

「な、なに、これ?」

袋の中身…それは袋一杯のクマのストラップだった。

「友達に聞いたら私と春兄のストラップってレアな物らしくて、だからっ…!で、でも大丈夫っ!明日また行ってくるから!ねっ?」
ねっ?の意味が解らないが、あのクマのストラップが欲しいと言うことだけ唯一解った。

「ほら、これ。」
ポケットから秋音さんに渡されたクマのストラップを夏美に渡す。

「……これ…私の?」
俺の手からストラップを受けとると、恐る恐る目先に持っていき、本物かどうか確かめている。

「秋音さんが直してくれたんだぞ?」

「秋姉さん…が?」

「あぁ、切れたから悪いことしたって…」

「…」

「後でお礼言っとけよ?それと姉妹であんまり喧嘩すんな。」

「……」
俺の声に反応せず、なにも言わずに自分の携帯にストラップを着けた。
余程お気に入りだったのだろう…変なことにお金を使ってなくて秋音さん達もホッとするはずだ。

「てゆうか、早く用意しろよ。」

「えっ…?あれ?春兄制服着てる…学校に行くのか?」

「あぁ、あんまり休めないからな。」
本当は休みたいのだが秋音さんをあまり怒らせたくない…。

367:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 02:49:01 D3R2sUx8

「待っててやるから早く降りてこいよ。」
着替えの邪魔になるので部屋から退散する。
そう言えば服は着替えてなかった癖に化粧はしてたな…と変な所に気がついた。

「うん、ちゃんと待っててね…」
扉が閉まる直前、夏美の声で女の子らしい発言が聴こえた…。

身震いするので深く考えず一階に降りていく。
リビングに入ると秋音さんはもういなかった。

「大変だな…秋音さんも…」
家族の事…学校の事…苦労が一番絶えないのは秋音さんだと断言できる。
生徒に妹を持つと他の教師からの目も気になってくるはずだ。

「一応秋音さんにメールしとくか…」
心配してるといけないので解決したことだけでも報告することにした。

「よしっ…と…」
携帯をマナーモードにしてポケットに放り込む。
椅子から立ち上がりリビングから出て、玄関に向かうと、二階から階段を掛け降りてくる足音が聞こえてきた。



―「春兄、お待たせ。」
少し息切れしているので慌てて制服に着替えたようだ。
実際はまだ5分ほどしか経っていない。

「おっ?早かったな。んじゃ、行くか」

「うん。」
夏美と一緒に赤部家を出てると、走るのを嫌がる夏美を無理矢理引っ張り駅へと急いだ。

368:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 03:00:20 D3R2sUx8
――
――



「あっ、春樹先輩!」
駅に着くと、先に着いていた美幸ちゃんが此方に駆け寄ってきた。

「おぉ、おはよう。」

「…」

「おはようございます。今日から学校に行けるんですね?」

「あぁ、この手が治るまで休みたかったんだけど秋音さんに無理って言われてさぁ…」

「ふふっ、しょうがないですよ。骨折はすぐに治る怪我じゃないんですから。」

「いや、そうは言ってもさぁ〜」

「それに休んでばっかりだと単位落としますよ?」

「う〜ん…てゆうか後輩が言うなよ…。」

「だって留年とかしたら、どうするんですか?そもそy「な、なぁ、春兄…」

「んっ?なに…?」
俺と美幸ちゃんが会話をしている最中ずっと無言だった夏美が小さな声で話しかけてきた。

「ふ、二人は…そんなに、その……親しかったっけ?」
不安そうに話しかけてくる夏美を少し不思議に思ったが、夏美は俺と美幸ちゃんがメールしている事を知らなかったんだ…。

「いや、ここ一週間美幸ちゃんとメールしてたからな。」

「はぁっ?メール!?なんだよそれっ!?」
不安そうな顔が一変。ベンチから立ち上がると、怒ったように俺を見下ろしながら声を荒げた。

369:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 03:01:46 D3R2sUx8

「な、なんでって…だから暇だったからで…」

「隣に住んでるんだから私にメールすればいいだろっ!?」
隣に住んでいるからメールする意味が解らない。
どちらかというと隣に住んでいるのなら、メールしなくても口で話した方が早いぐらいだ…。
ただ、怪我をしている時は動くのも辛いからメールに頼っただけ。

「いや、メールするも何も、俺、お前のアドレス知らないし。」
そう、まず俺は夏美のアドレスすら知らないのだ。携帯を買った初日に教えてもらったのだが、夏美のアドレスがよく変更されるので面倒くさくて登録はしていなかった。

「なっ!?わっ、私は春兄の番号もアドレスも知ってるんだぞっ!?なんで春兄が知らないんだよ!」
そう言うと徐にポケットから携帯を取り出し、慣れた手つきでボタンを押していく。

俺のアドレスを知っていて当たり前。俺は購入した時からアドレスが変わっていないのだから。

数十秒後、俺の携帯が震えた。
中を見なくても解る、多分夏美が俺の携帯にメールをしたのだろう。
夏美からだと分かっていたが、一応携帯を開いてメールを確認する。




『件名:なし

本文:登録しとけや!』



「…」
なにも言わず消去する。

370:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 03:03:20 D3R2sUx8

「おいっ!今、消しただろっ!?ふざけんなッ!なんで消すんだよ!」
俺の携帯を覗き込んでいた夏美が激昂しながらそう叫ぶと、もう一度メールを送ってきた。




『件名:春兄が愛する夏美

本文:ちゃんと登録してね(ハート)。』
言葉とメールのギャップが激しくなっているが、一応登録することにした。

てゆうか、登録してほしいならアドレスを何回も変えないでほしい…。

「あっ、電車来ました。」
美幸ちゃんの声につられて線路側に目を向けると、丁度駅に電車が到着する所だった。

携帯を雑にポケットに突っ込み、膨れる夏美を無視して急いで電車に乗り込んだ。

―――
――
――



始業式以来、久しぶりの学校に到着すると、当たり前の事だが物々しい飾りはすべて無くなっていた。

いつもの風景…生徒指導の顧問が正門前に立っており早く学校内に入るように急かしている。

「おら〜、早く中に入れぇ〜!……おぉっ!?久しぶりだな夕凪!
腕の骨を折ったんだって?カルシウム不足だよお前は!」
その顧問が気安く話しかけてきた。
秋音さんの知り合いと言うことで入学した時からこんな感じで話しかけて来たので別に気にはしていない。

371:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 03:04:48 D3R2sUx8

馴れ馴れしく接してくるのも別に嫌悪感を抱くような馴れ馴れしさではない。
どこか教師と言うより友達感覚で話しかけてくるので他の生徒にも人気はあるようだ。
ただ、体がごつく、クマの様に毛深いので一部の女子からは生理的に嫌われている部分もある。
本人もそれは解っているらしく、極力そういった生徒とは距離を取っているようだ。

「カルシウム不足じゃないですよ…ただ、階段から落ちただけです。」

「階段ねぇ〜?……ふ〜ん……まぁ、程々にしとけよ?」
顔についている傷跡をまじまじと見ると、飽きれ気味に諭された。
多分人に殴られた傷だと気づかれたのだろう…。

それでも何も聞かずスルーしてくれるのは少し有り難かった。

「ほらっ、お前は遅刻が多いんだから早く中に入れ!おっ?一年生も遅刻はするなよ!」

「は、はいっ!おはようございます!」
俺の後ろに隠れていたので安心しきっていたのか、いきなり話しかけられた事にビックリした美幸ちゃんが、勢いよくクマに頭を深々と下げた。
多分美幸ちゃんも苦手なタイプだろう。

「お、おぁ。元気だな…まぁ、頑張れ。…おっ?赤部も一緒か!髪の毛早く黒くしろよ!あと秋音先生によろしくな。」

372:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 03:06:18 D3R2sUx8

下心見え見えな発言に何故か少しイラッと来たが、いつもの事だ。

「髪は地毛だから無理(嘘)。
秋姉さんは毛深い奴は全部毛虫に見えるから無理だな(本当)。」

「け…けむし…」
夏美の発言に放心状態になるクマ…少し同情する。
まぁ、秋音さんが毛深い物が嫌なのは事実だからしょうがないか…。


夏美や美幸ちゃん達と別れ、三階にある三年生の教室を目指す。


「すぅ〜、はぁ〜……すぅ〜はぁ〜…」
教室の前に立ち、深呼吸をする。中からは楽しそうな話し声が聴こえてくる…もう始業式から一週間経っているので小さなグループぐらいは出来ているはず。

「はぁ〜…よしっ…」
平常心を装い静かに扉を開ける…。
扉の音につられたのか、先程まで話していた生徒が会話を止めて此方に振り返った。

「…」
教室に入り、自分の席まで歩いていく。
この数秒の行動が何時間もの重労働に感じた。

カバンを机横のフックに引っ掛け席に座る。
すると先程までの沈黙は無くなり、また各々友達と話し出した。

別に友達を作ろうとかは考えていないが、教室内で普通に話せる奴ぐらい作らないと一年もたないかもしれない…。

373:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 03:07:52 D3R2sUx8


―「疲れた…」
何時もより長く感じた一日の授業が終わり、生徒が皆それぞれ教室か出ていく。




―「あ、あの…夕凪くん…」

「…?」
席から立ち上がり、他の生徒と同じように教室から出ようとすると、後ろから小さな声で話しかけられた。

後ろを振り返り声のした方に目を向ける…そこにはショートヘアーの小さな女の子……いや…男子がおどおどしながら立っていた。

「あの…どうしたの?その右手…」

「え…?あぁ、これ?階段から落ちて怪我したんだよ。」
何度も顔を見て記憶の中を探すが全く覚えていない…と言うか見たことも話したことも無いはずだ…。

「そ、そうなんだ…。あ、あのさ…迷惑ならあれだけど…その…怪我が治るまで僕がノート写してあげようか…?」

「えっ…?イヤでも…迷惑だし…」

「う、ううん、全然大丈夫だよ?困ってるなら…僕が書いてもいいかな〜って。」
何を考えているのだろうか…?会ったことも話したことも無い相手のノートを写すだなんて…。

少し警戒心を持っていたのだが、ふとある考えが頭に浮かんだ。

もしかして俺と同じで話す奴がいなくて話しかけてきたのかもしれない…。

374:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 03:09:17 D3R2sUx8

見た感じ小柄で内気な雰囲気が全面に出ているので孤立していたのかも知れない。
そう考えると自然と警戒心も薄れていった。

「書いてくれるなら助かるけど…マジで大丈夫なのか?」

「うん、大丈夫だよっ!同じ事を二回するだけだからさ。」
そう言うと無邪気な笑顔でニコッと笑った。

「それじゃ、悪いけどお願いするわ…。」

「うん、任せてよ!それじゃ、また明日!」
そう言うと小走りで教室から出ていった。
その姿がどこか美幸ちゃんに似ていたのは気のせいだろうか…。

「まぁ、いっか…早く帰ろっと。」
なんにせよ仲良く出来そうな人物を見つけただけでも、今日学校に来た甲斐があったと言うものだ。

「あ…そう言えば名前聞き忘れたな………あれ…?そう言えばアイツなんで俺の名前知ってたんだろ……」

やはりどこかで会話でもしたのだろうか…?しかし、何度考えても覚えていない物は覚えていないのだ。

「明日聞けばいっか…。」
考えるのもめんどくさくなり頭の中から消去すると、そそくさと誰もいない冷たい教室を後にする。


―教室から出る間際、些細なことたが「僕って言う奴初めて見たな〜っ」と少し可笑しくなって一人で笑ってしまった。

375:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/03 03:15:36 D3R2sUx8
ありがとうございました。投下終了です。
次もなるべく早く投下するのでよろしくお願いします。

376:名無しさん@ピンキー
09/09/03 03:22:05 8c09wnWF
GJ!!

377:名無しさん@ピンキー
09/09/03 04:06:56 ncEc8plO
はぁ…

378:名無しさん@ピンキー
09/09/03 09:31:08 AYXLBKIt
GJ! 続きも待ってます

投下予告については、深夜とかじゃなくある程度時間を指定するといいと思う

379:名無しさん@ピンキー
09/09/03 09:42:59 HmWxqy5R
GJ!

380:名無しさん@ピンキー
09/09/03 15:51:52 A2i3Zi0N
GJです!

381:名無しさん@ピンキー
09/09/03 23:51:41 hbYEeVzk
>>375
GJ!

382:名無しさん@ピンキー
09/09/04 00:15:48 IhLbSfgV
GJ
たしかにリアルで僕とか言う学生いないよなw

383:名無しさん@ピンキー
09/09/04 00:38:22 Hom8on1F
GJ!

え、普通に学生の頃は基本僕+敬語口調だったけど珍しかったのか

384:名無しさん@ピンキー
09/09/04 01:30:24 M3APP5/w
学生の頃は俺だったな
大学いってから僕になった

385:名無しさん@ピンキー
09/09/04 02:19:37 7B6XguMX
オレの友達に小学校の時からずっと僕の奴がいるぜ
ちょっと珍しいってぐらいじゃない?

386:名無しさん@ピンキー
09/09/04 07:06:32 Y4Pqq2Ix
最後に「だぜ」とかつける奴も見たことない。

387:名無しさん@ピンキー
09/09/04 07:26:08 hH+Fg24j
目上の人と話すときは僕使うことある

388:名無しさん@ピンキー
09/09/04 10:03:54 1VGOy1Vm
そうだぜよ

389:名無しさん@ピンキー
09/09/04 10:25:59 JdzwxXNA
俺はたまに「〜〜だべ」って言っちゃうことあるど

390:名無しさん@ピンキー
09/09/04 13:52:37 YeAuH+Sw
「だにー」と「だがね」は語尾によく使う。

391:名無しさん@ピンキー
09/09/04 15:13:55 WGHHKhoq
方言依存娘スレと聞いて

392:名無しさん@ピンキー
09/09/04 15:29:04 9JVpON62
二次で名古屋弁の女の子は見た事無いなそういえば・・・

393:名無しさん@ピンキー
09/09/04 15:30:34 xgV5gzFY
>>392
しゅごキャラのルルとナナ

394:名無しさん@ピンキー
09/09/04 17:44:23 dIU0fgzj
新キャラ!? どうなるんだ。 gj。


395:名無しさん@ピンキー
09/09/05 00:34:15 nf4RXBgv
和む流れ

396:名無しさん@ピンキー
09/09/06 13:46:11 UIlMUk5k
ヒャッハー!GJだァーっ!
でも男が男に依存してアッーな展開にはならん事を祈る

397:名無しさん@ピンキー
09/09/08 12:33:15 lvbggTAs
保守

398:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/09 23:55:40 6FyfH1kv
投下します。

399:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/09 23:56:10 6FyfH1kv

「分かってると思うけど、あまり激しい運動や動きは控えてください。
ゆっくりと物を掴むところから始めれば感覚は戻るので。」

「はい、分かりました。」
前に座っている初老の男性が俺の右手を揉みながら話しかけてくる。
この言葉だけ聞くと男同士で何してんだよ…と気持ち悪く感じるが、向こうも楽しくて男の腕を揉んでいる訳ではない。
仕事だから仕方ないのだ…。

どういう事かと言うと。俺は今、ギブスを外す為に学校帰りにとある病院へと足を運んでいた。

もうギブスは外しているのだが1ヶ月半も腕を動かしていなかったので、担当医に揉んでほぐしてもらっている最中なのだ。

「四日間でいいので朝と夜の二回、家族の方にお願いして二十分ほど揉んでもらってくださいね。」

「はい。」
実際ギブスは外れたのに、まだ自分の腕じゃないような不思議な感覚がする。

「よし…これで、大丈夫。今は動かしづらいと思うけど、すぐに普段の握力が戻るから。
…それとあんまり無茶な事しちゃダメだよ?」
揉んでいた腕を離すと、笑いながら俺の事を少し咎めた。

「はい、分かりました…。それじゃ、今までありがとうございました。」

400:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/09 23:57:03 6FyfH1kv

―医者に軽く頭を下げて、診察室から出ると、急いで中央ホールへと向かった。




「遅かったね、夕凪くん。」

「春樹先輩、大丈夫でしたか?」
中央ホールに着くと、ベンチに座っていた小さな男女が双子のように立ち上がり、此方に走り寄ってきた。

女の子は美幸ちゃん。

もう一人の男は1ヶ月半前にノートを写して貰ったのがきっかけで仲良くなった、鈴村 光(ひかる)。

仲良くなったと言っても、鈴村とは学校の外で会うのは今日が初めてなのだ。

声をかけられた次の日、何故俺の名前を知っているのかと聞くと、「一年前にガラス割って二階から生徒捨てようとしたでしょ?多分知ってるの僕だけじゃないと思うけど…」
その話しを聞いた瞬間頭がクラッときた。
俺の闇歴史を知るものがそんなにいるなんて…。
多分その一部分だけが広まって周りに悪い印象を植え付けてしまったのだろう。
今更ぐちぐち言っても仕方ないのでもう諦めているが、一年経ったのだからもう忘れてほしい。

しかし、何故鈴村はその話を知っていながら俺に話しかけたのだろう…?そんな疑問が頭に浮かび、思い切って鈴村に聞いてみた。

401:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/09 23:57:34 6FyfH1kv

すると「夕凪くんが悪い訳じゃないんでしょ?それに、その怪我も……喧嘩じゃなくて違う理由かな?」
と意味深な発言をされてごまかされた…。
少し疑問が残ったのだがその発言に対してあまり深く詮索せず、1ヶ月半経っても変らず人畜無害な奴なので今まで仲良くやってこれたのだ。



「病院を走るなよ…まぁ、ギブスはとれたよ。ほらっ。」
ギブスがとれた腕を自慢げに二人に見せる。
二人からおぉ〜!と言う歓声が病院内に小さく響いた。

「まぁ、今まで周りの皆には散々迷惑かけたからさ…今日家に来ないか?何かご馳走するよ。」
自分の家に人を呼ぶなんていつ以来だろうか…?
情けないことに(断られないか…?)と少し内心焦ってしまった。

「えっ、いいの!?あの…僕は大丈夫だけど…本当にいいの?」
そんなに嬉しい事なのだろうか…?目がキラキラしている。

「別にいいけど…あんまり期待すんなよ?なにも無いからな…。

美幸ちゃんはどうする?。」

「行きます!」
即答…1ヶ月前とは違い環境に慣れてきたのだろう。
良いことだ。

「それじゃ、行こっか?」

「うん。」

「はい。」


402:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/09 23:58:51 6FyfH1kv

受付でお金を払い、病院から出た俺達三人は、まず食料調達の為にスーパーへと向かった。

―「……ご馳走って…」

「鈴村…それ以上言ったら殴る。」

「で、でも…その…鍋も美味しいですからっ!」
考えて考えて考え抜いた結果。平凡な鍋にすることになった…。

何かをご馳走すると言い切ったのは俺なのだが、恥ずかしいことに料理なんて普段食べる物しか作ったことがなかったのだ。

材料を買い終えてスーパーを後にすると、時刻は夕方の五時をまわっていた。
今から家に帰って料理をして食事をするとなると少し遅くなってしまうかもしれない。

一応二人に門限があるかと聞くと、鈴村は「僕は男の子なんだけど!」と呆れ気味に怒られた。
発言の意味が解らなかったので、こちらも「男の子ってなんだよ…」と軽く流した。

美幸ちゃんは見た目通りやはり親の許可がいるのか、一回家に帰って制服を着替えるので、その時お母さんに許可を貰うらしい。


美幸ちゃんと一時的に別れた後、俺と鈴村で歩いている最中、鈴村が小さな声で不思議な事を口走った。

「懐かしい……この公園…まだ変わってないんだ…」

「なにお前…ここに来たことがあるの…?」

403:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:00:05 6FyfH1kv


「え…?いや…まぁ、ちょっと昔ね…」
少し前に本人から聞いたが、鈴村の家はここからかなり離れているはず…。
親戚がこの辺に住んでいるのかと聞くと、住んでいないらしい。

懐かしいと言うぐらいだから小学生の時だろうけど、それ以上はごまかすだけで話そうとはしなかった。


―家に着くと、まずリビングに入り、重い材料をテーブルの上に雑に置いた。
鈴村にその事を注意されたが、相手するのがめんどくさいので軽く無視をする。

「夕凪くん…用意しないの…?」
鈴村がソファーに横になった俺の顔を呆れたように覗き込んでくる…。
鈴村の髪が俺の髪を撫で、目と目が合う。
近くで見ると本当に女の子みたいだなぁ…。

「うん……んっ?……ばッ!?お前顔をスレスレに近づけてくんな気持ち悪りーな!!」
恐ろしいことに、鈴村の顔に見とれていて顔を近づけられても違和感をまったく感じなかった。

「き、気持ち悪いって言わないでよ!傷つくだろっ!」

「き、傷つくって…。
まぁ、その…なんだ……も、もう用意しようぜ…」
頭から邪念を振り払い、急いで鍋の用意をする事にした。

404:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:00:59 6FyfH1kv

―鍋の準備が終了して10分後、美幸ちゃんが到着した。
その30分後に夏美と冬子が家を訪れた。
残念ながら恵さんと秋音さんは仕事で来れないらしい…。

「しょうがないか…まぁ、四人で食べようぜ。」

「そうだな。それじゃ、春兄の隣…?…に……」

「…こ、こんばんわ…」
嬉しそうに此方に駆け寄ってくる夏美が、隣に座っている鈴村を見て眉間にシワを寄せた。

「中坊…春兄の隣は昔から私って決まってんだ…どけ…。」

「ちゅっ、ちゅうぼうっ!?僕は夕凪くんの同級生なんだけど!!」

「嘘つくな……おい、山下……早く弟をこのイスからどかせろ。」

「えっ?あの…私の弟では…」
美幸ちゃんに向かって命令口調で話しかける。
夏美は鈴村の事を美幸ちゃんの弟だと思っているようだ。

見た目は似ているので間違えても仕方がないのだが、もう少し言葉を選べないものだろうか?後で少し説教しなければ…。

「ほらっ、ネクタイ見てみろよ!青いだろっ!?キミより年上だって証拠だ!」
自分のネクタイを夏美に見せるためにイスから立ち上がり、夏美の前で胸を張る。

鈴村の方が頭ひとつ身長が低いので背伸びしているところが残念ながら少し可愛らしい。

405:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:01:40 6FyfH1kv

「あっそ…それじゃ、先輩その場所をどいてくれますか?」

「ヤダッ!」
ヤダッて…会話だけ聞いていたらどっちが女か分からなくなる。

「なッ!?こっ、このっ、子ザルの癖に人間様のy「夏美っ!やめろって…飯食うんだろ…?早くイスに座れ。」

「…わかったよ。」
夏美の事だから一言二言返ってくると思っていたのだが、俺の言葉に対して素直に従った。いつもこれぐらい素直なら余計な問題もないのだが…。

「よし…冬子も…ってお前はもう座ってたのか…。」

「うん。早い者勝ちだから…。」
いつの間にか俺の隣にある左側のイスに腰を下ろしていた。
早い者勝ちの意味が解らないが、冬子は夏美と違い普段から落ち着いているので(落ち着きすぎ)争い事が無くて楽だ。

「…あ、あの…」

「……隣に座るからな…」
俺の両隣には冬子と鈴村…。自然と美幸ちゃんの隣は夏美が座ることになる。
不機嫌そうに美幸ちゃんに一声かけると、イスを片手で後ろに下げ、男らしくイスにドンッと腰を降ろした。

406:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:02:13 6FyfH1kv

最近はあまり美幸ちゃんと夏美の仲が悪いように見えなくなってきた。
本人達は気づいていないかも知れないが、どこか無理にいがみ合っている気がする。

基本夏美から絡んでいるのだが、たまに美幸ちゃんから夏美に意見する時がある。
夏美は言われることに慣れていないのだろ……美幸ちゃんになにかキツいことを言われると涙目で俺に助けを求めてくる時がある。
その姿を見る度に俺は安心する…。本当に嫌っていたら話をすることすらしないだろう…。

やはり始めのわだかまりを残しているだけのようだ。
このまま行けばわだかまりも多分無くなるはず。




「おい、山下……その肉は私のだ…放せ。」

「わ、私がいれたんです……だっ、だから、私のですっ。」
この先、案外この二人が親友になりそうな気がする―。

407:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:15:48 AdykL35E

―学生だけの鍋パーティーが終わり、俺と冬子が食器を片付ける事になった。

夏美と美幸ちゃんが手伝うと言ってくれたのだが、美幸ちゃんはお客さんなのでさせるわけには行かない。

夏美は単純に危なっかしい…。

ソファーに座ってテレビでも見てろと言ったら、二人共渋々ソファーへと歩いていった。

「先輩なに見てるの…?なにこれ…旅番組?ぷっ…くくっ……おじいちゃんかよ先輩…くくっ…!。」

「べ、別にいいだろっ!自然が好きなんだから!じゃ、じゃあ夏美ちゃんはなに見るんだよ普段!」
先にソファーに座ってテレビを見ていた鈴村と夏美が口論しだした。
旅番組…楽しいじゃないか。

「わっ、私?わたしは……その…」

「なに?」

「……ぽけ…もん…?」

「ポ、ポケモっ!?…くく……ぶぁはっあっはははははぁっ!ポケモンだってさっ!夕凪くん聞いたっ!?…夏美ちゃん子供だね〜あっははははっ!おなかいたいィっヒははははっぁ!」

「わっ笑うな!子供の時から見てるんだから日課になってんだよ!」

「いや…ポケットモンスター面白いですよ?私も見てました。」
夏美の横にいる美幸ちゃんが珍しく夏美を助けた。

408:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:16:23 AdykL35E

「ほら見ろ!ぽけもんぐらい普通だ!」

「美幸ちゃん見てましたって言ったけど?今は見ていないって事でしょ?」
勝ち誇ったように鈴村を見下ろす夏美を鈴村がどん底に突き落とす。
その事実に気がつき夏美が美幸ちゃんをキッと睨むが美幸ちゃんはすでにソファーに座っており、旅番組を見ている。
夏美はと言うと、怒りの矛先を失ったのか、めんどくさそうに美幸ちゃんの横に腰を降ろすと、二人と同じように旅番組に目を向けた。

「…」
仲が良いのか悪いのか…呆れるがソファーに座る三人を見ていて悪い気はしなかった。

「春くん、早く洗って。」
リビングを眺めていると、食器洗いの手が止まっていたのか冬子に早く洗うように急かされた。

「あ、あぁ、悪い。」
慌てて手に持っていたコップを洗って冬子に渡す。
渡した食器を布巾で綺麗に拭くと、後ろにある食器棚へと運んでいく。
冬子の性格が出ているのかお皿を何枚も溜めずに、わざわざ一枚一枚食器棚へと運んでいく。
無駄な行動を省きたいのだろう…しかし、食器を洗っている俺からすれば急かされている気がしてならない。



―「…ねぇ、春くん…。」

409:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:16:53 AdykL35E

同じ動作を機械的に行っていると、突然冬子から小さな声で話しかけられた。

「なんだ?」
冬子が隣にいるのは分かっていたので、冬子を見ないで皿を洗う事に集中する。

「美幸ちゃん最近よく家にくるよね?」

「あぁ、そうだな。」

「……春くん、美幸ちゃんのこと好きなの?」
冬子の唐突な発言に洗っている皿を落としかけた。

「意味わからん。なんでそうなるんだよ」
俺は一度たりとも冬子に美幸ちゃんを好きだと言ったことは無い。
無論冬子に限らず他の人間にも無い。

「じゃあ、なんでよく家にくるの?彼女でもないのに…」
食器を洗っているので冬子の顔を見ていないが、雰囲気でなんとなく怒っていると言うことは解った。

「まぁ、いもっ……友達みたいなもんだからな。」
危ない…また禁句を言うところだった…。

「……妹みたいな存在でも、他人の女の子が家に出入りすると周りの人は勘違いするよ?」
地獄耳の冬子には聞こえていたみたいだ…冬子の表情を確認したいが少し恐い。
声は相変わらず低めだが、会話を重ねていく度に冬子の声がハッキリと聴こえてくるようになった。

「それ言い出したらお前や夏美もそうだろ………ほらっ、これで最後だ。」

410:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:17:34 AdykL35E

最後の皿を洗い終わり、流し台を綺麗に拭くと、横に立っている冬子に皿を手渡そうとした。



「……」


「冬子?」
が、なぜか冬子は皿を受け取る気配がまったくない。
不自然に思い、なぜ受け取らないのか冬子の方へ目を向けると、俺の手に持たれている皿は冬子の胸の前でピタッと止まっていた。

「…」
皿を眺めているのか、視点が合っていないのか…冬子は両腕をだらしなく下げたまま、まったく皿を掴もうとしない。




「――じゃない。」

「えっ?」
下を向いたまま何かを呟くと突然ぷるぷると震えだした。

「ふ、冬子?」
冬子の姿を見てただ事では無いと感じ取った俺は、皿を流し台に置き冬子へと近寄った。





「私達は他人じゃない!!」
冬子の肩を掴もうとした瞬間、力一杯拳で冷蔵庫を叩き、先ほどまで小さな声で話していた冬子は俺に向かって大声を張り上げた。

「ちょっ、冬子どうしたんだよ?落ち着けって。」

「さわらないでっ!あの子はたかが1ヶ月でしょ!?一緒にしないでよ!」
冬子を宥めるために肩に手を乗せようとすると、勢いよく振り払らい、冬子が言う「あの子」であろう美幸ちゃんのいるソファーに向かって指をさした。

411:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:18:07 AdykL35E

「やめろって!」
慌てて冬子の腕を掴み指をさす事を止めさせる。
幸いソファーから台所が見えないので三人には此方の姿は見えていないはず。

「どうしたの!?」
夏美がビックリした表情で此方に駆け寄ってきた。

鈴村と美幸ちゃんも困惑したように立ち上がり、此方の様子を伺っている。

「い、いや、なんでもないよ!」

「何でもなくないわよ……春くん…約束破らないでよ?」
数秒俺の顔を睨むと、俺の胸にエプロンを軽く投げつけた。

「それじゃ、私明日テストだから家に帰って勉強するね。」
そう言うと、鈴村と美幸ちゃんに礼儀正しく頭を下げてリビングを出ていった。
追いかけようか迷ったが、今追いかけて冬子と話をしても余計に話が拗れると思い、追いかける事ができなかった…。

「なんだあいつ…?」
夏美が不思議そうに冬子が出ていった扉を眺めている。

「さぁな…」
冬子から投げつけられたエプロンをイスに駆け、ソファーに腰を降ろす。
それを見た鈴村と美幸ちゃんも同じように腰を降ろした。

「約束…か…。」
約束―多分俺が冬子の兄になる事を言っているのだろう。

でも、なぜ冬子はあんなに俺を家族にいれようとするのだろうか?

412:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:18:38 AdykL35E

冬子と約束をしたと言っても俺が中ニの時…第一、姉の命を奪った相手を家族に引き入れようなんて普通は考えないはず…。

それが、冬子なりの復讐なのか―春香と父親がいなくなり、ぽっかりと開いた穴を違う何かで塞ぎたいのか――
残念ながら冬子が願う、昔にはもう戻れないだろう…。

「あっ、そろそろお母さん帰ってくる頃だ。」
夏美が壁に掛かっている時計を見ながら呟く。
その視線を追うように時間を確認すると、すでに夜の8時を回っていた。

「もう、こんな時間か…それじゃ、美幸ちゃん、そろそろ送っていくよ。」

「あっ、はい。わかりました。」
親に了解を得ているとはいえ、あまり家に引き留めておくのも本人に悪い。

「鈴村、ちょっと行ってくるから二階にある俺の部屋で待っててくれ。」

「わかった。美幸ちゃん、またね。」
鈴村に手を振り三人で家を後にする。

鈴村は家に帰るのが面倒くさいとの事で一日家に泊めることにした。
鈴村は美幸ちゃんと違って男なので電話一本で許可がおりるらしい。

「それじゃ私も家に帰るわ。暗いから気を付けてな春兄。家に帰って来たら電話しろよ。」

「母親かよお前は…まぁ、家に着いたらメールするわ。」

413:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:19:25 AdykL35E

―夏美が家に入るのを確認すると、美幸ちゃんを家まで送るために美幸ちゃんの自宅へと向かう。
家が近いので送ると言うほどでもないだが、この道は夜になると人通りが少なく、街灯も無いので女の子の一人歩きは少し危険なのだ。

現によく痴漢がでるらしく、所々の電信柱に痴漢注意の看板が立て掛けてある。

「美幸ちゃん、この辺夜中になると痴漢とか多いみたいだから気を付けてね?」
隣を歩いている美幸ちゃんに軽く注意を促す。美幸ちゃん程の小さい女の子ならあっという間に連れ去られそうだ。

「ちっ、痴漢ですか?」

「あっ、でも夕方なら別に問題ないよ?人通りも多いから。」
美幸ちゃんを怖がらせたかと思い慌てて言い替える。

「私は夜に一人で歩く事は無いので大丈夫ですよ。春樹先輩こそあまり夜一人で歩かないでくださいね?危ないですから。」

「あ、あぁ…ありがとう。」
心配してくれるのは有り難いが、夏美といい美幸ちゃんといい俺を男だと思っていないのだろうか…。




―「美幸っ!!」
美幸ちゃんと雑談しながら歩いていると、道の暗闇から一人の男性が此方に走ってくるのが声と足音で解った。

414:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:20:18 AdykL35E

―「お、お父さん?」
一瞬変質者かと思ったのだが、美幸ちゃんは声だけで走ってくる男性が美幸ちゃんのお父さんだと判別できたようだ。

「はぁ、はぁ、はぁ…美幸…。」
俺達の前まで走り寄ってくるとやっと顔がハッキリと見えた。美幸ちゃんの言う通り、走ってきた男性は美幸ちゃんのお父さんだった。
一度しか会った事がない俺は、俺達の前に姿を現すまで、美幸ちゃんのお父さんだと確認できなかった。

「お父さんどうしたの?汗なんかかいて…」
美幸ちゃんが息切れしているお父さんの横まで行き、背中を優しく擦ってあげている。

スーツ姿なので仕事帰りなのだろう…しかし何故美幸ちゃんのお父さんがこの道を使っているのだろう?
それに、美幸ちゃんを偶然見つけたと言うより、探し回っていたようだ。



「こんな時間までなにやってるんだ!!」

「ッ!」
息を整え終えた瞬間、美幸ちゃんに向かって怒鳴り声をあげた。
美幸ちゃんもその声にビックリしたのか、目を瞑って肩を強張らせた。

やはり美幸ちゃんが心配で探していたようだ。
「春樹くん…だったかな…?」

「あっ、はい。」
美幸ちゃんから目を離し今度は俺の方へと向き直る。

415:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:20:56 AdykL35E
表情を見ただけで怒られると確信した。

「まだ美幸は16才なんだ…あまり連れ回さないでくれないか…?」

「お父さん、なんで春樹先輩に言うの!?私が仲良くしてもらってるの知ってるでしょ!!」
慌てたように美幸ちゃんが俺とお父さんの間に割り込むと、俺からお父さんを遠ざけるようにお父さんの胸を押し返した。

「美幸も美幸だっ!なぜ一本電話ができないんだ!?心配するだろう?」

「お母さんに、ちゃんと言ったもん!!」
確かに美幸ちゃんはお母さんに許可を貰ったと言っていた…。
お母さんからお父さんに伝わっていなかったのだろうか…。

「ッ……とにかく…今後は気を付けなさい。」
一瞬、美幸ちゃんの発言に対して眉間にシワを寄せたが、すぐに元の表情に戻り、軽く俺に注意を促した。

「はい、次からは気を付けます。すいませんでした……。」

「春樹先輩やめてください!」
二人に向かって深々と頭を下げる。
美幸ちゃんにすぐさま肩を掴まれ頭を上げさせられたが、少し長居させてしまったのは事実なのだから素直に謝っといた方が懸命だろう…。
言い返して説教が長引くのも正直めんどくさい。

「いや、分かってくれれば問題ないんだ…。」

416:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:21:18 AdykL35E

案の定、俺の対応に納得したのか、ばつが悪そうに頭を掻くと、俺の肩に軽くポンッと手を乗せた。
もう、怒ってないという意味だろう…少しだけヒヤヒヤしたが、なにもなくてよかった。

「それじゃ、俺はこれで失礼します。」

「えっ、春樹先輩?」
美幸ちゃんのお父さんがいるのだから美幸ちゃんを家まで送る必要はないだろう…。

一刻も早くこの重い空気を逃れたくて、早々と別れの挨拶をする。




―「…待ちなさい。」
歩き出す俺の背後からハッキリと聞こえた美幸ちゃんのお父さんの声…。
嫌な予感を感じながらも無視することはできないので、仕方なく振り向いた。

「美幸がいつもお世話になってるんだろ?なにかお礼をしたいんだが。」
家に来い…と言う意味だろう…確か一番始めに会った時も同じようなことを言われた。
前は怪我を理由に断ったのだが、完治した今、流石に怪我を理由には出来ない。

「それに、美幸と仲良くなった友達なら話したいこともあるから。」

「えっ?」
どう断ろうか考えていると、お礼と言う言葉の後に意味深げに呟いた。
まるでお礼よりその話しがメインのように。

417:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:22:50 AdykL35E


「春樹先輩よかったら少しだけ家に寄って行きませんか?ケーキあるんで食べていってください。」

「いや、でも悪いし…」

「そんな事は無いよ。美幸もこう言ってるんだ…長居はさせないから少しだけ家に来ないか?」

「はい……それじゃ、ちょっとだけ…」

二対一…流石に断れなかった。
別に美幸ちゃんの家になにか嫌な物があるとかそう言う事では無い。
美幸ちゃんの家に限らず、単純に気を使うのであまり他人の家にお邪魔するのは気が乗らないのだ。

それに話し…とはなんだろう?
家に呼んで両親二人で説教とかなら最悪だが、そんな雰囲気では無かった。

「はぁ…」
今更考えたって仕方ない。
携帯を取り出しメールを送る。

『美幸ちゃんのお父さんに家に招かれたから少し遅くなるかも……眠たかったら勝手にベッド使っていいぞ。』
鈴村にメールを送り、携帯をポケットに入れる。
前を向くと美幸ちゃんとお父さんが立ち止まり俺の方を眺めていた。律儀に二人共俺がメールするのを待っていてくれたようだ。

「それじゃ、行こうか?」

「…はい。」

418:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:23:30 AdykL35E

「春樹先輩が家に来るのなんて初めてですね!パルも喜びますよ!」
横をちまちまと歩いてくる美幸ちゃんの歩幅に合わせて歩く。

テンションが低い俺とは違い、余程嬉しいのか、美幸ちゃんから珍しく俺に会話を持ち掛けてきた。

「パルかぁ…俺のこと覚えてるかな?」

「覚えてますよ!毎日パルに春樹先輩の話をしてますから。」

「ま、毎日?」
毎日話すほど俺の話題なんてあるのだろうか…。

「あッ……い、いや…変な意味ではなくて…あの…」
しまったと言わんばかりに両手で口を押さえると、何故か顔を真っ赤にして美幸ちゃんのお父さんの影に隠れてしまった。

「美幸が家で話す話題は春樹くんの事ばかりだよ。親としては複雑だけどね……ははっ」

「は、ははっ…は…。」
美幸ちゃんのお父さんに苦笑いで返す。
冗談混じりで話しているが後半は本音だろう。年頃の一人娘が男を友達にすると嫉妬するらしい…春香の父親がそうだった。

「お父さんもいい加減子離れしてよ〜。」

「そう言うな。かわいい一人娘を持つと男親は心配なんだよ……なぁ、春樹くん?」

「そ、そうですね、はははっ…はは……はぁ…」
美幸ちゃんに彼氏が出来る日はまだまだ遠そうだ。

419:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:24:10 AdykL35E

   ◇   ◇   ◆   ◆   ◆   ◇   ◇   ◇

「…ふぅ」
携帯を閉じ、ベッドに横になる。
ベッドと言っても自分のベッドでは無い。
この家の持ち主…春樹くんのベッドだ。

「…なにもないな…」
部屋を軽く見渡す…思ったより普通の部屋なので少しだけガッカリした。
まさか夕凪くんと友達になれるとは思っていなかった。
夕凪くんは多分僕の事を一切しらないだろう。
だって一度も話したことが無いのだから。

でも僕は知っている。
小学生の時からずっと…。

「よいしょっと……んっ?」
ベッドから立ち上がり背筋を伸ばす。
ふと夕凪くんの勉強机に目が止まった。

「勉強してないな、これは…」
机に近づき周辺を見渡すが、教科書も筆記道具もノートすら机の周りに無い。多分学校に置きっぱなしなのだろう…。
机の上にあるのは脱ぎっぱなしの制服だけ。


「んっ?……なんだこれ…」
制服を綺麗に畳み、端に寄せると、制服の下に一枚の写真が落ちていた。

手に取り写真を眺める。
写っているのは幼さの残る、満面の笑みをした夕凪くんと…綺麗に笑う女性が一人。






「……春香ちゃん…」

420:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:25:00 AdykL35E

懐かしさが込み上げてくる。

―光、今度ハルに会わせてあげるよ。絶対に友達になれるから―

春香ちゃんの言う通り優しい人だった…。二年も様子をみた僕が馬鹿らしく感じる。

「夕凪くん…こんなに笑えるんだ…」
写真の夕凪くんは本当に楽しそうに笑っている…。
ここ1ヶ月で友達の様に接する事はできた。
だけど会話が途切れたとき、物凄く悲しそうな表情をする時がある。
その表情を見る度に胸が締め付けられ、まだ春香ちゃんの事を強く愛してるんだと確認できた。

春香ちゃんの様に夕凪くんを心から笑顔にさせることが僕には出来るだろうか?
春香ちゃんが普段から見ていた夕凪くんの笑顔を僕も見てみたい…。


それに春香ちゃんとの約束もある。





「本当に……春香ちゃんが夕凪くんのことを好きになる気持ちがわかったよ―」
写真に写る春香ちゃんに話しかける―無論返事など返ってくる訳も無く、向日葵の様な笑顔も絶やす事はなかった…。

421:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:30:24 AdykL35E
>>403>>404の間の二つが抜けました…。



422:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:30:49 AdykL35E

―鍋の用意が終わる頃にはもう夕方の6時を過ぎており、窓から差し込む夕日の色でリビングの中が少し赤くなっていた。

もうそろそろ美幸ちゃんも来るはず…。

「あっ、そうだっ!…夏美達呼ぶの忘れてた。」
急いでポケットから携帯を取り出すと、夏美にメールを送った。

多分すぐに来るだろう。

「夏美って……赤部 夏美さん?」

「あぁ、なんだ知ってんのか?」

「まぁ、夕凪くんもそうだけど、良い意味でも悪い意味でも学校では有名人だからね…赤部先生の妹さんでしょ?」
確かに秋音さんと夏美が姉妹だと言うことはほとんどの生徒が知っていることだ。

「良い意味でも悪い意味でもって…悪い意味はなんとなく思い付くけど、良い意味なんてまったく思い当たらないぞ?」

「夕凪くんって女子から普通に人気あるよ?よく夕凪くんがいない教室で話してるとこ見るもん。」

「いや、俺は見たことも聞いたこともないんだけど……それに女子からお前を虐めるなって注意されたしな。」
一度、鈴村が俺に脅されてノートを写してるんじゃないの?っと数人の女子から問い詰められたことがある。
一応弁解したが、終始不満げに話を聞いていたので多分信用してないだろう…。

423:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:32:12 AdykL35E



「な、なにそれっ!?そんなこと言われてたの!?」
驚いたように椅子から立ち上がると、テーブルの上を上半身いっぱいいっぱい乗り上げて顔を近づけてきた。

「だから顔を近づけんなって……まぁ、多分相手もお前が心配で声をかけてきたんだろ?しょうがねーよ。」
鈴村の見た目を考えれば、周りから見ればそう見えてもしかないのかも知れない…。
俺だって同じこと考えるかも…


「はぁ……は―夕凪く―す―気持―なく分かったよ…」

「えっ、なに?」
鈴村が俺の顔を見ながら何かを呟いたが、小さすぎて何を言っているのか途切れ途切れにしか聴こえなかった。

「その女子達がムカつくって言ったの!!」
そう言うと怒ったようにそっぽを向き、体育座りのように椅子の上で両膝を抱え込んだ。
本当に子供みたいな奴だなっと思ったがこれ以上機嫌が悪くなると、夏美と同じように手に終えなくなりそうなので俺も鈴村から目を離した。


424:春春夏秋冬 ◆ou.3Y1vhqc
09/09/10 00:36:49 AdykL35E
ありがとうございました、投下終了です。
>>403〜404の間に>>422〜423が入ります。

めんどくさいかもしれないですが、間に挟んで見てください。
それでは。

425:名無しさん@ピンキー
09/09/10 00:38:38 EQOR1y2P
gj

426:名無しさん@ピンキー
09/09/10 00:51:34 R0V3LZoT
誤字がちょっと気になるけど、乙&GJ

427:名無しさん@ピンキー
09/09/10 15:08:24 ga6wJgjj
GJ!!

428:名無しさん@ピンキー
09/09/11 14:14:29 KXFm0lZS
GJ!

429:名無しさん@ピンキー
09/09/12 04:16:17 0ekTx/XP
GJ!

冬子の気持ち悪さがイライラするレベルでワロタ

430:名無しさん@ピンキー
09/09/12 22:13:24 RyyGHIki
上手いね

431:名無しさん@ピンキー
09/09/13 15:26:11 yYW+VS8G
まさかの鈴村君萌え

432:名無しさん@ピンキー
09/09/14 09:59:05 OWAjb0A4
ここは平和だなぁ〜


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