【初音ミク】VOCALOID総合エロパロ12【ボーカロイド】 at EROPARO
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600:名無しさん@ピンキー
09/08/28 06:55:19 fv1/lox8
>>588
言い出しっぺというものが(ry

601:では、空気読まずに
09/08/28 07:50:29 ZrShVO6m
がんばれ、がくぽ外伝、14歳の暴走編。


※注意
ひたすら長いだけ。
キスぐらいです。
カイトが完全に狂言回し。
14歳は暴走中。
テーマパークにいった夜から。

「お兄さんは苦労性」です。

602:お兄さんは苦労性1
09/08/28 07:52:40 ZrShVO6m
めーちゃんがドアを開けたのはもうすぐ日付が変わる頃だった。
必ずノックをするから聞こえなかったんだな。
閉園まであそこにいればそれなりに遅くなる。シャワーを浴びていたなら、このくらいの時間が妥当だ。
「どうしたの?こっちに泊まるの?」
パジャマに枕を抱えていたから。髪がまだ湿っぽい。
新しいリリックを読みながら、曲を聴いている最中だったけど、今じゃなくても何とでもなるからリバースを止める。
「明日仕事なのよ」
「うん」
午後からね。
俺とめーちゃんはほとんど必要に迫られて全員のスケジュールを把握している。
「だから、ちょっと付き合って」
「うん」
めーちゃんはの顔に表れていたのは一言で言えば動揺だった。
手で指示されるままにベッドに寄りかかる。
床に座り込むの癖だからさ。せっかく机もあるのにとよくミクに言われるけど。
「初めに言っておくわ。KAITOには何の問題もないから。完全な八つ当たりだから」
「うん」
枕で叩かれるとは思わなかった。羽根枕というあたりに相当気を使ってるんだろうな、ぜんぜん痛くないし。

攻撃が止む。
顔を庇っていた腕をのけると、めーちゃんは枕を抱き締めている。
俯いていて顔が解らないから枕ごと抱き締める。
「めーちゃん……MEIKO、何があったの?」
「何も」
まだ動揺が伝わってくるから、落ち着くように背中を一定のリズムで叩いてやる。
聞く権利はあると思うけど、MEIKOが話したくないなら無理には聞き出そうとは思わない。口堅いんだ、この人。頑固だし。
「シー、面白かった?」
「割りとね」
それ以上は突っ込まないことにする。

MEIKOとは姉弟ということになってるけど、それはミクが来てからで、それまではただの同僚だった。発売はMEIKOの方が早いけど開発は殆ど一緒だったし。
一緒に暮らしていたし、それに付随する家事は完全に分担だったけど、家族という概念はなかった。MEIKO、KAITOと呼び合っていたし。
ミクが来て、お兄ちゃんと呼ばれた時は驚いたよ。そんな風に思ったこと無かったから。でも、なんとなく、二人ともその遊びに乗ってみようかと思った。
疑似家族みたいなのもおもしろそうかなって。


603:お兄さんは苦労性2
09/08/28 07:54:24 ZrShVO6m
MEIKOは立ち位置が変わるわけじゃないから、そんなに苦労はしないらしかったけど、俺はMEIKOのことをなかなか姉さんとかいえなくて、結局、めーちゃんになった。
ミクは素直で可愛くてちょっと停滞気味だった俺達に新しい風と光をくれた。
兄弟設定ってものすごく楽だし、楽しいし、上手く機能してくれると思う。
でも反面、一番上のめーちゃんに実のところ負担が行くんだよね。
優しくて繊細な気遣いもできるめーちゃんは幼い設定の後輩達のためにお母さん的な立ち位置を引き受けてしまった。
ひとりぐらい、ガミガミいう人間が必要でしょ。生活って楽しいことばかりじゃないから。
俺がもうちょっとしっかりしていて、厳しい父親的な立ち位置を確保できればよかったんだけど。ヘタレでごめんね。
だから、時々、めーちゃんはMEIKOになる。今回みたいな方法は初めてだけど、お酒に付き合うくらいはぜんぜんOK。もっと甘えてもいいのにって思うけど、他の後輩がいるとやっぱりめーちゃんしてるからさ。
あんまり仲良くしてると、ミクがヤキモチ妬くけど、こればっかりはね、かわいいミクの言葉でも聞いてあげられない。
ほかのことは何でも叶えてあげたいけど、MEIKOにだってたまにはグチを聞く相手が必要だと思うから。
「一緒に寝る?」
「そうね」
枕持参だしねって言ったらちょっと笑ってくれた。
まだちょっと動揺してる感じだし。
ミクたちと違って俺達旧世代は情緒面の制御がちょっと弱いんだ。MEIKOの動揺がその辺に端を発してると時間かかるかもと、何となく思う。
ベッドは大きくないけど二人眠れないほどじゃない。
時々、ミクも泊まりにくる。あの子は甘えただから。甘えられると嬉しくなるけど。
「KAITO」
「何?……!」
一瞬だけ重なった唇。
何?何?何があったの?
考えるような表情をしたMEIKOはすぐに諦めるような表情をして、お休みと目を閉じる。
「休みが重なったらさ…」
んと吐息のような返事が返ってくる。
「LEONのところに遊びに行ったら?」
甘えてきなよと言うとまた、吐息で返事をする。
先輩ボーカロイドのところで年下してくるのも必要なんじゃないかって思った。たまにはさ。
そんな程度だったんだ、その時は。
何があったのか結局は解らなかったし。
お休みとスリープモードに移行した先輩ボーカロイドの額にキスして俺も目を閉じた。

604:お兄さんは苦労性3
09/08/28 07:56:55 ZrShVO6m
「めーちゃんは?仕事?」
ただいまの挨拶の後、キッチンに行くとKAITO兄さんが夕食を作っていた。
「LEONの所に遊びに行った。今日は二人だよ。ミクとリンは遅くなるから」
「ルカは?」
「一緒に遊びに行った。お皿持ってきて」
鰈の煮付けらしい。筑前煮と、後は常備菜と新じゃがの味噌汁。
何気に料理上手いんだよな。
「セッション?」
「美味い酒が手には入ったから来いよって」
海外製ボーカロイド達は違うところに住んでる。遠くもないけど近くもない。
LEONは大先輩のボーカロイドで見かけは兄さん達よりも年上な大人の男って感じだ。陽気で包容力があって頼りになる感じ。
兄さんが頼りにならないわけじゃないよ。何でもどんと来いな厚みがある。
若干スキンシップが激しいかな。すぐにハグするし、キスも挨拶代わりだし。
兄さんに連れられてリンと挨拶がてら遊びに行った時なんて、
リンをBabyBaby呼んで膝の上に置きっぱなしだった。人形じゃないんだぞ。
リンも赤ん坊じゃないもんとか言って憤慨してたけど、可愛いって意味だよと兄さんに言われたらすぐにご機嫌になりやがった。現金な奴め。
「味付け間違った?」
言われて初めて箸が止まってることに気づく。
あれ?変だな。
「調子でも悪い?」
「ぜんぜん、平気」
平気じゃないけどなんでだ?
LEONの大きな体がめーちゃんをハグして、頬にキスして、めーちゃんがそれに応えるのを考えただけでムカつく。
すんげーブルー。ブルーになったことにブルー。
背も高くて体も厚くて、何でも解ってる大人の男の前でなら、めーちゃんは可愛くなるんだろうか。あの時みたいに。
すっげームカつく。
自棄のように夕飯を掻き込んで、俺はさっさと部屋に避難した。


605:お兄さんは苦労性4
09/08/28 07:59:37 ZrShVO6m
部屋に戻ったってやることなんかない。
やんなきゃならないことはあるけどその気にならない。

イタズラのつもりだった。殴られて謝って奢らされてそれで終わりのはずだった。
なんなんだよ、俺。
ベッドの上で転がる。
なんなんだよ。
柔らかい感触とか、甘く香るものとか、何より、潤んだ目。
謝り損ねたから引きずってるだけだ。

今頃は御馳走とか食べながら、ワインとか飲みながら、大人の会話とかを楽しんでるんだ。
すっげーブルー。ブルーになったことがブルー。
ノックがあって適当に応えると、兄さんが顔を見せる。
「レン、アイス食べる?」
実の所かなり珍しいんだけど、今はそんな気分じゃない。
「バナナは?」
「いらない」
「プリンあるよ」
「いい」
「じゃ、これ。少しはすっきりするよ」
ベッドに座った兄さんが差し出したのはグラスに入ったソーダ?
「梅サワーソーダ。飲んでごらん、疲れがとれるから」
一口飲んでみる。
酸味と甘みが程良く利いてて美味い。ほんのり酒の気配?
「梅酒も風味付け程度にね」
兄さんは頭をぽんぽんと叩いて立ち上がる。
同じだなと思う。めーちゃんも同じことをする。

上手く歌えなくて帰ってきたときとか、ホットミルクに蜂蜜とちょっとだけブランデーを垂らして持ってきて、頭を軽く叩いて何も言わずに行ってしまうのだ。
言いたければ聞くだけ聞くわよと言うのが年長二人のスタンスだった。

「兄さん!」
呼び止めて何言うつもりだよ。俺の馬鹿やろう。
どうする?何しゃべる?ほんとのことを言って裁定を仰ぐ?
「ルカはがくぽとくっつくのかな?」
壁に頭を打ち付けたくなった。
どっちが壊れるだろう。
「話したくなければ無理に話す必要はないよ」
バレてるし。
「ルカのカテゴリーではがくぽは俺達と同じ所に分類されてるからね。それを越えないと難しいだろうけど」
感覚的には兄弟なのか…………やべ、ブルー入る。
「ルカがそういう意味で気になるなら、直接言うべきだよ。考えてくれるだろうから」
ルカはそんな感じする。
下手打たない限り、お付き合いもしてくれそう。恋愛感情がなくても
でも………
肩を抱き寄せられる。一定のリズムで叩かれて気持ちが落ち着く。
聞かれたくないことは聞かないし、でもちゃんと気遣ってくれるし、見ててくれる。
ミク姉が絡まなきゃ、ちゃんと格好いいのに。


606:お兄さんは苦労性5
09/08/28 08:03:06 ZrShVO6m
「ゆっくり考えればいいよ。時間はたくさんあるんだし」
たくさんあるのかな。
「焦らない。焦って何かしても必ず失敗するからね。一回深呼吸する癖を付けるといいよ。そのくらいの時間さえとれない事態、そんなにないからね」
解ってるよと呟いて目を閉じる。
兄さんの手が気持ちよかったから。
その時は解った気になっていた。

「「お兄ちゃん、ただいま」」
ミクとリンがユニゾンで言う。
「お帰り。一緒だったんだ」
「駅であったの」
「お腹すいたぁ」
ミクとリンが同時に口を開く。
「食べてくると思ったから、筑前煮とかしか残ってないよ」
すぐにできるメニューを考えながら言う。
めーちゃんがいたら作らせなさいと怒られるところだ。
「オムライス食べたい」
何でもいいよと口が動きかけたミクを遮って、リンが言う。
「ミクは?」
「私もオムライスがいい」
チキンライスは冷凍庫に入っているからそんなに時間はかからない。
「お魚にしてね」
「ハイハイ。卵割るの手伝ってくれる?」
一瞬、リンが詰まったのはリンが割ると時々殻まではいるからだ。
「ミクも」
「うん」
「めーちゃんとルカは?」
「LEONの所に遊びに行った」
「レン君は?」
「もう寝たよ。疲れてたみたいだね」
「最近、レン変なの」
「そうなんだ」
「怒りっぽくなったし、すぐボーッとしてるし」
「そうなんだ。どうしたんだろうね」
「情緒不安定?」
どうしてだろうね。
応えながら、ミクの頭をぽんぽんと叩く。
「お兄ちゃん、疲れてるの?」
「何で?」
理解できずにちょっと戸惑う。
「だって、ぽんぽんって叩いてくれるのは、私が疲れてるときだけど、
私、今は疲れてないから、お兄ちゃんが疲れてるんじゃないかなって思ったの」
ちょっと屈んでといわれて腰を落とす。
ミクに抱き締められて背中を叩かれる。いつも俺やめーちゃんが妹や弟にやってあげること。
やってもらったことはなかったから、ちょっと面はゆい。
「ありがとう、ミク。疲れがとれたよ」
「あたしも!」
リンがミクに代わる。
屈み方が足りなかったのか、リンは俺の頭を抱き締めるだけだ。
力の加減が解らないのか胸にぎゅっと押しつけられるからちょっと苦しい。
いい子だなと思う。
優しい優しい妹たち。
「リンもありがとう。優しい妹を持って、お兄ちゃん幸せ」
頭を撫でてやる。
さ、お腹の虫を何とかしなきゃね。



607:お兄さんは苦労性6
09/08/28 08:06:11 ZrShVO6m
あ、使用中だ。
練習用のスタジオにはランプがついていた。
レッスン室を使うかときびすを返しかけて、止まる。
ドアが完全に閉まってないのか、話し声が聞こえたのだ。
めーちゃんと兄さんらしかった。
細い隙間だから、姿は見えない。
「………ダメ?」
「KAITOがいいなら………何かなぁ、上手くごまかされてる気分」
「誤魔化されてよ」
「どうしようかな」
聞いたこともないくらい甘い声。
「MEIKO、キスする?」
「いいかも……」
「SEXとか」
「どうしようかな……」
聞いていられなくて、気配を殺して離れる。
ブルーを通り越してかなりショックだ。
部屋に駆け戻って、ベッドにダイブする。
何なんだよ。何なんだよ。慣れてんならあの時紅くなったり、目を潤ませたりするなよ。
スルーしとけよ。何でしばらく紅いままだったんだよ。
胸が締め付けられるように痛む。何でそんな機能まで付いているのかとメンテナンスの時に文句言ってやろう。
痛い、痛い、痛い、痛い………。
やっと解った。
このイラついたり、ブルーになったり、舞い上がったりした感情の名前。
ちくしょう、遅すぎんだよ。産まれたのがさ。
やっぱ、開発に文句言ってやろう。
涙が止まらないって。


「麦茶持ってきたよ」
両手にグラスを持ってスタジオに入る。
「ありがとう」
めーちゃんの練習にお付き合い。ちょっとブレイク。
練習用スタジオはちょっとしたデモテープが作れるようにミキシングルームも付いている。簡易タイプだけどね。だから、二人の時はすぐにフィードバックできる。
「俺的にはぜんぜん問題ないように思えるんだけど、やっぱり、ダメ?」
「KAITOがいいなら………何かなぁ、上手くごまかされてる気分」
めーちゃんは床に座ったまま伸びをする。
「誤魔化されてよ」
根を詰めないでよ。無理しないでよ。まだ動揺してるから怖いよ。
「どうしようかな」
ちょっと甘えるような声。二人きりだしね。
「MEIKO、キスする?」
慣れだと思うんだよね。原因がキスなら。
「いいかも……」
冗談にとったらしい。それでもいいけど。
「SEXとか」
「どうしようかな……」
そんな気まったくないくせに。
「参考資料として」
「あんたはいいの?」
「どうせ、後引かないし」
お互い。
one night love。MEIKOがそれで落ち着いてくれるなら、何だってするよ。
「ああ、でもよく眠れるかも」


608:お兄さんは苦労性7
09/08/28 08:09:42 ZrShVO6m
「よく言われる」
何でかなぁ。
今はあんまり夜遊びしなくなったけど、してた頃は、ホントに腕枕だけ求められることもあった。腕枕と子守歌。
大抵なんかほっとけない目をしていたから気楽に応じたけど。
あんまり仕事がなかったあの頃。俺の歌を一番聴いてくれていたのは彼女たちだったかもしれない。おかげで子守歌のレパートリーは結構ある。がんばって覚えたからさ。
「誰に?」
「夜の蝶」
ほんとはいろいろな職種の人たちだった。OLさんとか、マヌカンとか、看護士とか、夜の商売の人もいたけど。
「一夜の宿の代わりに?」
「そう、腕枕と子守歌」
「いいかもね。疲れやすいのよ、最近」
それはね、動揺もしくはそれを発生させている感情に容量を取られているからだと思うよ。
云わないけど。
その晩、MEIKOが泊まりに来た。
一番の半分で眠りに落ちた。
ミクだって、一番ぐらいは聞くよ。
もちろん何にもしないけどね。

「お兄ちゃん…今日もめーちゃん、泊まるの?」
「多分ね。ミクも泊まりにきたい?」
KAITOとミク姉が廊下で立ち話。
部屋から出るに出られない内容。
今日もって何だ!
ミク姉もってなんだ!
「ん〜…泊まりたいは泊まりたいんだけど…………」
泊まるが自動的に翻訳される。
KAITOのせいだ。
「リンちゃんはダメ?」
まて
「リン?」
「リンちゃんもよく眠れないみたいなの。だから、お兄ちゃん……」
「リンに手を出したら、ただじゃおかないからな!変態!!」
ふざけんな!
「お兄ちゃんは変態じゃないからね。レン君」
「絶対許さないからな!!ロリコン」
「だから、お兄ちゃんは変態でも、ロリコンでもないの!リンちゃんロリじゃないでしょ」
「レン……少し頭を冷やしなさい。おまえが言ってることは意味が通らないよ」
「ウルサい!偽善者」
優しい顔したって無駄なんだよ。
「ロリコンって、なんですか?」
「ルカ、その説明はちょっと待って。レン、おまえ、この前から変だよ。俺、何かした?悪いことしたんなら謝るけど、怒ってる原因を教えてくれないと、謝りようがないんだけど」
困ったようなKAITOの顔につもりつもったことを言いたいのに言葉が出てこない。
「ウルサい!!偽善者!」
部屋のドアを勢いよく閉める。
ドアに体を預けてずるずると座り込む。
頭の中、グチャグチャ。
MEIKOだけを大切にするならまだ諦めも付くのに。

609:お兄さんは苦労性8
09/08/28 08:13:13 ZrShVO6m
「とりあえず、居間へ。状況はだいたい解ったから」
トラブルは群れるのが好きだ。寂しがり屋だから、次々に仲間を呼ぶ。
「お兄ちゃんは変態でも、ロリコンでもないよね」
「ミク、強調しなくても、違うから」
キッチンでグラスに氷を入れて麦茶を注ぐ。
どうしたものかなと考える。
たとえばこれがMEIKO以外の人物ならこんなにも困惑はしなかっただろう。役割分担はできているし、MEIKOと一緒に事に当たればいいだけだ。
MEIKOだけでも何とかなっただろう。そこに集中すればいい。
「ロリコンとは何ですか?」
「十代前半までを性欲対象とする異常性欲者」
「そういう定義だったの?」
「ロリータ・コンプレックスの省略形だけど。かなり広義にも使われるから、おおざっぱなことしか言えないけど」
「そうすると、リンちゃんはギリギリ入っちゃうのか……大変、恋愛ができなくなる」
「えっと………」
どう説明すべきだ?
「十代ならロリコンとは言わないよ」
「二十代は?」
「恋愛対象とするのは問題ないんだ」
ちょっとあるけど。
「性欲対象とするのは単に欲求のはけ口にしているというか………そもそも……」
「つまり、成人男性が、日本における義務教育終了未満の女性に対し、性的興奮を覚えることを総括的にロリコンと呼ぶと言うことですか?」
「まあ、そういうことかな」
ルカの口からストレートに言われると、なんとなくごめんなさいしたくなる。
「問題はレンがどうして兄さんをそう呼んだかです」
だから、ストレートに切り込まなくても。というか、俺が知りたい。
「反抗期じゃないのかな。蔑称だから、単に」
ということにしておいてください。
一人では荷が重いけど、妹たちを巻き込みたくはない。
お兄ちゃんとしてはさ。
やっかいごとが増える可能性もあるしね。
「レン君、お兄ちゃん、嫌いになったの?」
「ん〜どうだろう。嫌われたと思うのは悲しいから、勘違いして怒ってるんじゃないかな。俺が何とかするから。レンだって、周りからいろいろ言われると意地になるかもしれないし」
うーんと何とか納得してくれたらしい。
ルカは物言いたそうに首を傾げたけど、結局、なにも言わなかった。

「ごめんね」
リンの髪を撫でながら子守歌を歌ってあげて、眠るまでずっと付き添って、戻ってきた俺にMEIKOが言う。
「疲れた顔してる」


610:お兄さんは苦労性9
09/08/28 08:15:20 ZrShVO6m
「MEIKOがキスしてくれれば元気になるよ」
冗談で言ったら、額にキスされた。
まあ、妥当なところだよね。
「俺はMEIKOの方が心配。容量が少ないのに、ストッパー付いてないんだよ、解ってる?」
MEIKOの髪を撫でる。
俺は情動は動いてないし、普段使ってない思考回路がフル稼働しているだけだから、寝れば解決するけど、MEIKOの状況は違う。
強制メンテを申請しようかさえ考え中だ。
回路が飛んでしまえば、インストールし直しという最悪な事態まで待っている。
歌のデータはバックアップとってるけど、日常生活のバックアップなんてない。インストールし直せば、俺達は別人のMEIKOに出会うことになる。
「解ってる」
でも、何があったのか、何を抱え込んでいるのかを言うつもりはないんだね。この頑固者。
軽く抱きしめて頬に額に目尻にキスを降らせる。親愛の情の。
「ごめん……」
MEIKOの目から涙があふれてこめかみを伝う。
「ん」
応えながらキスはやめない。
優しく優しくキスの雨を降らせる。
MEIKOの抑えられた嗚咽が寝息に変わるまで。

「ただいま」
「お帰り。ありがとう」
めーちゃんは乾燥機から出したらしい洗濯物を畳んでいた。
柔軟剤の優しい匂いが居間にあふれている。
「これ、どうするの?」
シーツの類はさすがに家の乾燥機では間に合わないから近所のコインランドリーに乾燥だけ行ってきた。
「皺を伸ばして畳んでおいてくれればいいわ。後でアイロンかけるから。雨ひどい?」
「2ミリぐらい?」
「KAITOに悪いことしたかしら、買い物頼んだんだけど」
ちょっと時間が止まる。
ヤバクね?
だって、この家に二人きりだよ。
つか、さっきまでKAITOが二人きりだったわけで。
妄想がいけない方向に走る。
「最近…」
言葉が喉に絡む。
「何?」
「KAITOと仲いいよね」
MEIKOは眉をかすかに寄せる。
「皺にならないうちに、丸めて持ってきたシーツを畳んで。皺になったらあんたにアイロンかけさせるわよ」
シーツを洗うのもその行為との符号なのかな。
「KAITOはリンにも興味があるみたいなんだぜ」
「レン、何訳の分からないこと言ってるの」
言葉の中に含まれる溜め息。
「最近、変よ」
MEIKOの言葉が俺の神経を逆なでする。
「そうだよ、変なんだよ。でも、MEIKOがいるのに、ミク姉にベタベタしたり、リンを狙ってるKAITOよりましだろ」


611:お兄さんは苦労性10
09/08/28 08:18:57 ZrShVO6m
「いいのかよ、それで」
頭がヒートアップしてくる。自分の台詞に煽られる。
「だから、何を言ってるのよ。何馬鹿なことを……」
困った子供ねと顔に書いてある。
衝動に逆らえない。
「誰でもいいなら、俺にヤラせてよ」
MEIKOの体が俺の下にあった。
驚いたように見開かれる目がすぐに潤んでいく。
すっげー色っぽい。
すっげーかわいい。
ただいまと玄関の方で声がして我に返る。
めーちゃんの目に浮かんだ涙がこぼれる。
「ごめん!」
頬に衝撃が走った。

「ただいま」
本降りの雨にへきへきしながらレンの靴もついでにそろえる。
居間の方から大きな音がする。
何?
俺が目にしたのは、めーちゃんの背中と頬を赤くして呆然としているレンの姿だった。
本気で張られたらかなり後引くよ。
居間には乾いたらしい洗濯物が散乱している。
「とりあえず、これ当ててな」
冷凍庫から保冷剤をとってきてレンに渡す。
「いらね」
怒った表情で突き返してくる。
反抗期なんだっけ。でも譲れない。
「リンに痣を見られたくなかったら、当てておくんだ」
強い調子で言うと、しぶしぶ保冷剤を頬に当てる。
「悪いことをしたと思うんなら、少し部屋で反省してなさい。そんな顔、誰にも見られたくないだろ」
殺意の籠もった目で睨まれても動じない。俺はレンも大切だから。
にらめっこは俺の勝ちのようで、レンは渋々というように居間を出ていく。
何が最優先かなんて考える必要はなかった。
買ってきたものを冷蔵庫に放り込んで、めーちゃんの部屋に急いだ。

「ただいま」
「おかえりー、ルカ、悪いけど、洗濯物畳んでくれるかな」
夕食の予定変更。
ジャガイモと人参とタマネギと肉を適当に切って固形ブイヨンと一緒に圧力鍋に放り込んで、火にかけ。その間に、ありったけの生姜の皮をむいてミキサーにかけてすりおろす。
りんごも同じ処理。
何でこんなに忙しいんだろう。
カレー粉は市販のルーだけど三種類くらい混ぜて、今日は中辛。生姜を山ほど使うから、最初の一口は辛いんだよね。カプサイシンと違って後には引かない。
圧を抜いた鍋に生姜とりんごを入れて、刻んだルーを混ぜる。
ルーを器に入れてスープでのばしながらというのが、急がば回れのコツ。
ルーを入れ終わって煮込むだけにしたら、キュウリとなすと小松菜をザクザクと刻む。


612:お兄さんは苦労性11
09/08/28 08:21:00 ZrShVO6m
「ルカ、もうすぐミクやリンが帰ってくるから、後頼める?」
それらをバターでさっと炒める。
「はい。シーツはどうしますか?」
「畳んでおいて、あとでアイロンかけるから」
「私がしましょうか?」
「あー…そうだね、お願いできるかな。今日はカレーにしたから。こっちをご飯の上に乗せてからカレーをかけて」
キュウリとなすと小松菜の夏カレー簡易版。
「わかりました」
「めーちゃんとレンは難しい課題出されて部屋に引きこもるらしいから邪魔しないようにって、ミク達に言ってくれる?」
「はい……」
ルカは小首を傾げる。
「兄さんは……KAITOは嘘つきですね」
「そうかな」
「white lie&falsehood とても優しい」
「ただのヘタレだよ」
「ヘタレ?」
英語でなんて言うんだ?
「chicken」
「chickenとkindly はまったく違います」
「でも、ぱっとみよく似ているんだよ」
ルカは考え込む。
誤魔化されてくれたかな。
ルカも優しいから誤魔化された振りをしてくれるだろう。
おにぎりを山盛りにした皿と水差しと新しい保冷剤を持って後よろしくねとルカに告げた。

ノックと一緒にKAITOが入ってくる。
俺は目をそらす。
許可だしてないし。
「新しい保冷剤」
無視すると強引に取り替えられる。
「公平におまえの話も聞いておきたいんだけど」
「いらね」
偽善者。
優しい顔の裏でMEIKOにもミク姉にもあんなこととかしといて、リンにまで。
「めーちゃんに謝る?」
「やだ」
「悪いことをしたとは思っていないわけか」
KAITOは出ていく気はないらしい。
「思ってるよ」
しばらくして答える。泣かせてしまった。そんなつもりはなかったのに。張り手一発じゃ絶対足りない。
「でも謝りたくない」
驚いたように目をみはり、紅くなって、目を潤ませて………泣かせてしまった。
壊してしまった。大切なもの。
「めーちゃんのこと、どう思ってる?」
「KAITOには関係ない」
膝を抱え込んで顔を埋める。
保冷剤が膝にも冷たい。
「めーちゃんはしばらくLEONに預かってもらおうかと思って」
「なんで!!」
「自分の心に聞いてから言うべきじゃない?」
「ダメだ!駄目だ!ダメダメ!!何でだよ!」
「自分の心に聞けって言ってる」
「俺が出てく。俺が悪いんだから、俺が出ていく。めーちゃんは何にも悪くない」


613:お兄さんは苦労性12
09/08/28 08:23:22 ZrShVO6m
俺が悪いんだ。一方的にキスして、好きになって、KAITOとの関係に嫉妬して、自棄になって……俺がすべて悪いんだ。
KAITOだって…兄さんだって何一つ悪いことなんてしてない。ヤキモチ妬いて一方的に悪くいって…………。
「駄目だ。俺が出ていく」
タオルを差し出されて初めて泣いてることに気づく。
ごめん、すっげーガキで。
「俺が悪いんだ…………俺が勝手に好きになったから……俺が悪いんだ…………なのに、めーちゃんがどっかに行くのって間違ってる」
「好きなんだ」
「好き」
口に出せばなんて簡単でありふれた言葉。
「異性として?つまり恋愛感情として?」
「そう」
「めーちゃんはそうは思ってないようだけど」
「知ってる」
弟だ。やんちゃで手が掛かる。俺の前では甘い声なんて出さないし、可愛くもなってくれない。
そんなの知ってる。
「それでも好きなの?」
「そうだよ」
あんたにだけは言われたくないぞ。めーちゃんにキスとかそれい…以上のことしてるあんたにだけは。
「たんに誰かとヤリたいだけなら、適当な女性紹介するけど」
顔を上げてマジマジと見てしまう。どの口でというか、なんだそのキャラにそぐわない台詞は。
「何?」
「なんなんだよ、その、遊んでます的な台詞は」
キャラじゃないだろう。シスコンでヘタレなくせに。
「いや、知り合いに童貞OK。むしろ私が教えてあ・げ・る☆な女性が何人かいるから、SEXに興味があるなら紹介するよ」
「キャラじゃねぇよ」
「そう?」
優しげに笑う兄さん。
「じゃ、プラトニックでいいんだ」
「からかってる?」
むしろ、ばかにしてる?
「めーちゃんとどうなりたいの?」
「兄さんがいるだろ」
俺のいたい場所には。彼女をMEIKOって呼んで、甘えさせることができる男。
「俺が言ってるのはめーちゃんがどう思うかじゃなくて、おまえがどうしたいか」
俺がどうしたいか?
「それが解らなかったら、めーちゃんもどう反応したらいいか解らないんじゃない?自分の感情の処理を他人に投げちゃダメだよ。ただでさえ、俺達は容量がお前たちより小さいんだから」
関係ないだろ。
唐突だったかもしれないなとは思う。
唐突にキスして、唐突に押し倒して。
何事もないように接してくれてるめーちゃんとか、兄さんって、もしかしてものすごい忍耐力?
ああ、やっぱりかなわない。
「振られるならきっちり振られないと、身動きできなくなるよ」



614:お兄さんは苦労性13
09/08/28 08:26:00 ZrShVO6m
姉弟に戻れなくなるよと言われて、考え込む。
今は戻りたくない。
男としてみられたい。
「俺、謝ってくる」
けじめは付けなきゃとは思った。
こんな風にグズグズしている方が子供だし、男なんかじゃない。
とりあえず土下座して謝って、話はそれからだ。
「今はダメだって」
「何でだよ」
「眠ってるから。明後日の朝までは起きないよ。強制スリープモードにしたから」
ちょっと待てよ、なんだよ、それ。
「だから、容量一杯一杯だったのに、お前がよけいな負荷かけたがら」
暴走しないための緊急措置だと何でもないことのように言う。
俺達にはストッパが付いていて、暴走する前に停止モードがあるけど、旧世代にはストッパがない代わりに強制スリープモードのコードが設定されているらしい。
なんか落ち込む。
そんなに負担かけてたんだ。
「半分ぐらいはめーちゃんの責任だと思うけど。ふつうに恋愛する分にはぜんぜん問題ないんだ。
今回みたいにお前が感情の処理まで押しつける事態にでもならない限り。
それだって、めーちゃんの責任は半分ぐらいはあるけど。自分で自分の負荷を増やす方向にもっていくんだもん」
だから、ま、特殊なケース?
「いろいろ誤解とかもあるんだろ

615:お兄さんは苦労性14
09/08/28 08:28:14 ZrShVO6m
包丁を目の前に突きつけられる。
ペティナイフだった。早まったかも。
「言っとくけど、私だってこう見えても、ちょっとは乙女なんだからね」
「は?」
いや、えっと………言いたいことがわかりません。
間抜け顔だったんだろう。包丁がおろされる。
「あんただけなんだからね。私を動揺させるの。なのに、何なのよ、今なんて。ちょっとはムードとか考えなさいよ。何でこんなところで告白されなきゃならないのよ」
また、背中を向けためーちゃんの耳が紅いんですけど。ちょっと待って、動揺させるの俺だけって、どういう意味でしょう。
「ムードぐらい考えろって言ってるの!」
心臓がバクバクいってきたぞ。落ち着け、俺。
「ごめん、ムードとか、考えて仕切り直すから」
めーちゃんは小さく頷いたらしかった。
振る相手に仕切りなおせなんて言う人じゃないってことは……。
部屋に引き上げて、ベッドの上でのたうち回る。
ムードってなんだよ。乙女って乙女って、乙女って……。そんなの満たすにはどうしたらいいんだ?
そもそも、俺、振られる前提で言ったから、それからのことなんて考えてないぞ。
いや、妄想は限りなくあるけどさ、どうなってんだよ。

いや、その前にムードだ、ムード。ムード……………ムードって何だ?どうすればいいんだ?
百面相でベッドを転げ回ってたら、いつの間にか、見てたらしいリンと目が合う。
マズっ。
「お兄ちゃん!レンが壊れた!」
ちげーよ。


めーちゃんの部屋を訪ねるのに三日かかった。
「お話があります」
「はい」
床に正座する。
もう、ムードとか考えすぎて頭が腐った。
めーちゃんも俺の前に座る。
「MEIKOさんのことが女性として好きです。恋人として、付き合ってください」
「はい」
力が一気に抜ける。
なんか、もういいや。
ひざを崩してあぐらに組み直す。
「ごめん、言う前にキスとかして」
「仕方ないわ。あれがなかったら気が付かなかっただろうし」
ずるずると近づいてみる。どこまでが恋人に許された距離なんだろう。最終的には服も挟まない距離希望なんだけど。
「兄さんはいいの?」
「?KAITOが何?」
「いや、だから、兄さんと…………」
言わせんなよ、14歳に。
「??KAITOとは何にもないわよ。ただの弟」
「しばらく泊まっていただろ」
「誰かさんのことで頭が一杯で、眠れなくなっちゃったのよ」
ほんのり染まる頬が激かわいい。


616:お兄さんは苦労性15
09/08/28 08:30:14 ZrShVO6m
「KAITOの腕枕だと落ち着けたから」
「ええっ!」
「何よ」
「落ち着くって、KAITOの方がいいってこと?」
ばかと軽く頭に拳固を当てられる。
「動揺させるのあんただけだって言ったでしょうが。KAITOは恋愛対象外だってお互いに認識しているから安心できるの。変なことしないってわかってるし」
急に赤くなる。そうか、つまり変なことをしてもいいっていうか、想定内っていうか…………でOK?
「スタジオでキスとかせ…せ…」
言葉が出てこないぞ。
「聞こえてたの?ただの冗談よ。恋愛関係にならないのが大前提にあるんだから」
言葉遊びに近いわよ。
大人ってわかんねぇ。
「でも、KAITOには何でも話したんだろ」
「何を?」
「キスしたこととか、押し倒したこととか」
「話してないわよ」
やられた。いろいろ推察した中の一つでカマかけたんだ。
「い…言えっこないじゃない。あんたにイタズラみたいなキスされただけで、どうにもならないくらい動揺しているって」
耳まで真っ赤になる。
やべー、激かわいい。
「あ…あのさ…」
「何よ」
潤んだ目で見つめないでください。それは反則技です。
「MEIKOって呼んでいい?その…もちろん二人の時だけ」
「……い…いいけど…」
目を伏せるのも反則にしていいですか?
「キスしていい?」
「聞くな、ばか!」
次からそうする。
軽く目を閉じてくれたMEIKOに俺はやっとキスをした。
何度もね。





617:お兄さんは苦労性 終
09/08/28 08:34:32 ZrShVO6m
無駄に長いし、
色気のかけらもない話で申し訳ないです。


レンメイって書き忘れてるし。
地雷の方は申し訳ない。
海行った時点では最後まで行ってないだろうなぁ。

では失礼しました。

618:名無しさん@ピンキー
09/08/28 13:07:41 WlRBgCEb
>>617
CPが書いてなかったから読むのどうしようかと思ったけどGJ
レンもMEIKOもかわいいよ、初々しくてたまらんなぁ

619:名無しさん@ピンキー
09/08/28 14:45:49 mPjH+eoH
>>617
GJっす!こっちがくっついた過程はこうだったのか…初々しいのうwめーちゃん可愛いよめーちゃん

長男の特殊スキルは夜のお友達から教わったもんだったんですねって、何この遊び人。恐ろしい子…!

620:名無しさん@ピンキー
09/08/29 02:29:11 nBreiSA+
13の後飛んでない?

621:お兄さんは苦労性13 補正 orz
09/08/29 07:32:48 MS6E2UOp
「いろいろ誤解とかあるんだろうなって、推察してるけど、いいよ、それで」
なんだそれ。誤解?
「ちゃんと、自分の気持ちを伝えなきゃだめだよ。本来はそっちが先なんだから。キスしたり、押し倒したりするより」
解ってるよ。
解ってなかったけど。
振り回して振り回して………。
「振られるなら、早い方がいいしね」
したらまた、前のように笑えるようになるんだろうか。
すっげー努力がいりそう。
何でもないように接してくれる二人はきっととんでもない努力があるんだと気づく。
「ごめん、兄さん。ありがとう」
兄さんは俺の頭を軽くパフパフやって、出て行った。


「話があるんだけど」
「今?」
振り返りもしないでめーちゃんは言う。
キッチンで夕食の作成中。
告白には不適切だけど、自制的に仕方がない。
自分が信用できないから。
冷製のラタティゥユと冷製パスタのためにめーちゃんは野菜をたくさん刻んでる。
「好きなんだ」
「あんたねぇ」

622:名無しさん@ピンキー
09/08/29 07:57:55 MS6E2UOp
>>620

教えてくれてありがとう。

623:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 09:04:05 dhDEQrAf
小ネタを一つ。

「……暑い……」
ボカロ家の居間でだれているルカ。基本コスチュームがロングスカートである彼女にとって、本州の夏は厳しい。
(札幌は涼しかったのに)
目をとじ、はるかな故郷を偲ぶ。と、彼女の頬に冷たい何かが触れた。
「ああqwせdrftgyふじk!!」
「元気になった?」
「メイコ……酷い」
ルカの抗議の視線をものともせず、メイコは『割れる某アイス(ソーダ味)』の袋を開けている。
「それは?」
「冷凍庫からガメてきた」
てへっ、と笑う。
「……カイトのものではありませんか?」
「後で身体で払えばいいわ」
あんたも共犯ね、という意味のこもった視線を返され、頬を染めるルカ。
メイコがぱきっ、とアイスを割る……が。
「……7対3ですね」
「……ま、よくあることよ」
メイコはけらけら笑いながら、小さい方をルカに渡す。渡されたルカは若干不満顔。
(……身体で払うのを引き受けてくれるということでしょうか?)
と、メイコは「7」のうちはみ出した「2」の部分を一口でかじり取ってしまう。
そのままルカを引き寄せ、唇を重ねる。
「!!」
唇を割られ、舌が潜り込んでくる。常ならぬひんやりとした舌に違和感を覚える。
そして、舌と一緒に送り込まれる冷たい塊。
「……んっ、ん……」
「ん……んん……」
その塊が溶けてなくなるまでの間、熱さと冷たさをないまぜにした交合は続いた。
「これで半々よね」
「……メイコも食べていました」
「足りないっての? それじゃ第二ラウンドね」
手持ちの「5」のうち「2」を再び口にする。そして、さっきとおなじように……。
(駄目、今度はメイコのぶんを食べ過ぎてしまう……)
半ば溶けかけた意識の片隅で、今度は自分がメイコに与えようと思っているルカであった。



624:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 09:49:55 HX6f92lm
ミクさん誕生日前夜おめでとうございやす!

625:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 09:53:28 wD3gmQRg
>>617
レンメイがこれほどニヤニヤだとは
GJである

626:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 12:46:53 27VbpAMI
ふと思ったがボカロに投票権ってあるのかな


627:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 12:54:22 v3n67g6b
例え外見は人間と同等でもマスターに所有されてるモノって扱いならペットと同じだから無いだろうなー

うぐいす嬢とかには向いてるかもしれんがw

628:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 15:00:16 1vxbh91z
戸籍登録されるような社会の世界観ならともかく、所有物じゃ無理だろうね。

629:名無しさん@そうだ選挙に行こう
09/08/30 18:00:05 fzOZokQA
ミクリンレンに至っては設定の年齢ですら投票権ない

630:名無しさん@ピンキー
09/08/30 20:57:15 YhmSbNTZ
そういえばそうだったw

631:名無しさん@ピンキー
09/08/31 08:24:01 CpfBdOQQ
長谷川スレのビメイダー論議かとおもった。

632:名無しさん@ピンキー
09/08/31 13:20:40 foqGDr0h
なんすかそれ

633:名無しさん@ピンキー
09/08/31 13:32:59 YYiDLva6
>>632
長谷川裕一という漫画家さんの作品で「マップス」というのがある。
その中では、銀河の文明圏では労働用のアンドロイドは「ビメイダー」と呼ばれていて、
自然発生人(ナチュラリアン)と区別されて差別されているという設定がある。
長谷川スレでは、ときどきビメイダーの人権問題ネタの議論がわいたりするので、
それを思い出したってわけ。

634:名無しさん@ピンキー
09/08/31 14:50:01 tnPNd75B
スレ間違えたかと思った
さて、ミクの誕生日SSは来るかな

635:名無しさん@ピンキー
09/08/31 18:03:35 C6uDfKeS
ビメイダーだろうがネクサス6型だろうがVOCALOIDだろうが、
可愛くてエッチィ女の人には人権をあたえるべき

野郎は人権なし
女のためのディルドくらいの扱いでいい

636:名無しさん@ピンキー
09/08/31 18:05:16 YYiDLva6
>>635
運命分かつ哀れな双子♪

637:名無しさん@ピンキー
09/08/31 19:18:25 qDyasqeQ
>>636
あれ?
ちょっと美味しいな

638:名無しさん@ピンキー
09/08/31 19:45:56 YYiDLva6
>>637
赤い手錠や青い足枷で繋がれたレンがリンに弄ばれるとか、
レンが下克上を果たすとか、
大丈夫私達は双子よ、きっと誰にも判らないわ♪と、リンから借りた服で
女装して外にでるレンとか、
今日のおやつは鰤オッシュだよとか、
夢は広がりんぐ。

639:名無しさん@ピンキー
09/08/31 20:20:06 KfuR/l3b
混ぜすぎだ。

640:名無しさん@ピンキー
09/08/31 20:24:24 i5QG/rdL
スレ間違えてるんじゃないかと不安だが、無駄に長いの投下。
誕生日らしさが行方不明ですまん。
以下注意書き。

・がくミク
・誕生日祝いになりそこなった
・無駄に長いよ

641:『大切な日には、花束とくちづけを』 がくミク 前1
09/08/31 20:25:44 i5QG/rdL
8月31日、夏休みも終わり。
世の怠慢な子供たち、学生たちが己の溜めた課題に喘ぎ苦しむ日。

そして、ミクの誕生日だ。
だが今年の今日は、それだけではない特別な日でもある。


「がくぽさーん!」
水で満たしたバケツを運びながら、ミクがやってきた。
暗闇の中、彼女の白いワンピースが、ぼんやりと浮かんで見える。

此処は、都会から随分離れた避暑地。
夏休みの終わりであるが故か、人の気配はあまりない。
貸し出し用のコテージに灯る明かりも、疎らだ。

「ミク殿。ご苦労であった、重かったであろうに」
「大丈夫です!お水、これで足りますよね?」
「そうだな、足りるな。しかし汲みすぎではないか?」
「う……頑張ったのにー」
バケツの中を覗き込みながら、ぷうっとミクは膨れてみせた。

「いや、有難い。これで火事の心配は不要だな」
がくぽはそう言いながら、持ってきた花火セットを取り出す。
二人で選んだものから、マスターが処分に困っていたものまで、種類も年代も
様々だ。
色とりどりの花火に、ミクの目が輝いた。

「わーい!花火ー!」
「お主は子供か。そのようにはしゃがれては、危なっかしくて花火など持たせ
られぬな」
「……ごめんなさい、大人しくしますから花火させてください」
「うむ、よかろう。許可する」
がくぽの独断と偏見で選んだ花火を、ミクに手渡した。
ミクはそれを、嬉しそうに蝋燭の火に翳す。

「わっ」
青緑色の閃光が、迸った。
その勢いに、ミクは驚きとも喜びとも取れる声を上げる。
色が変わった!とはしゃぐ様子は、本当に嬉しそうだ。

「あーあ……終わっちゃった」
「どれ。我もやるか」
「じゃあ、がくぽさんはこれで」
「む、選ばせてはくれぬのか」
「私の花火勝手に決めたの、がくぽさんじゃないですかー。あいこですよ、
あいこ」
そう言って手渡すのは、どこか地味な花火だった。
まるで、少し小さい蒲の穂のような。

「わざとか?」
「何がですか?」
この暗闇の中だ、恐らく無造作に選んだのだろう。
嫌がらせに地味な花火を手渡した、というわけでもなさそうだ。

「まあ、構わぬが。……ん?」
「あれー?」
点火を試みるが、点かなかった。不発である。
首を傾げながら幾度となく挑戦するものの、結果は同じ。


642:『大切な日には、花束とくちづけを』 がくミク 前2
09/08/31 20:26:14 i5QG/rdL
「湿気を吸ってしまったのかもしれぬな。古い花火であったようだし」
「古い花火って、マスターの」
「ああ、思い出の品だな」
自分たちのマスターの顔を、そして彼の言葉を、二人揃って思い出していた。
そう。思い出の品。悪い意味での。

―はっはっは!いいんだよ、燃やしちまえー!あんな思い出、あんな女のこと
なんかなー!……一緒に海行って、花火しようねって、お前が言ったんじゃ
ねぇかぁあああ―

「……あれだな。この湿気は、主殿の涙ということで」
「がくぽさん、笑えません……」
「うむ、確かに笑えぬ」
結局、マスターから貰った花火セットは、3分の2ほどが湿気にやられていた。

それから暫く、二人で花火を楽しんだ。
二刀流!と言って両手に装備したミクを、がくぽが裏面の注意書き片手に窘めた
のも、もう数十分前のことである。

そんな小さな花火大会を締めるのは、やはり。

「線香花火ですよね」

袋に入っていたそれを取り出し、ミクは嬉しそうに言った。
大きかったりカラフルだったりと色んな花火があるが、一番好きなのは線香花火
らしい。

「我も、線香花火が一番好きだな」
「繊細で儚い感じに、何だか惹かれちゃうんですよねー」
「……ミク殿の口から、そのような言葉が聞けるとは……。明日は雪だな」
「あっ、ひどいこと言うし!がくぽさんのばかー!」
ミクの手が、がくぽを容赦なく叩いた。
小さな手で繰り返される攻撃は、それなりに痛いようで、流石の彼も「痛い、や
めぬか」と漏らす。

「ふんっ。線香花火に、違うことお願いしちゃうんだから」
「何のことだ?」
「ジンクスですよ。お願い事をしながら線香花火をやって、その火が落ちなかっ
たら、叶うんですって」
真剣に考えながら、線香花火を揺らしている。

「好きだなあ。ミク殿も、やはり女子なのだな」
「えーと、世界中がネギで幸せになりますように!……がくぽさん、何かさらっ
と失礼なこと言いませんでした?」
「いや、別に」
意気込むミクを見ながら、がくぽは何気なく線香花火を始めた。
小さく弾ける音と光は、やはり風情があって、良い。

「あ。がくぽさんの火、大きい」
そう呟くミクの線香花火は、控えめな火の玉が、やはり控えめに弾けている。

「これ、しかと見ておかぬか。葱で幸せになりたいのだろう?」
「へ?うわ、やだ!落ちたぁ!もー、次!願い事変えよう!」
気合いを入れ直して、火を点ける。
ミクは強い念を送りながら、線香花火を見つめ続けていた。


643:『大切な日には、花束とくちづけを』 がくミク 前3
09/08/31 20:26:54 i5QG/rdL
***


ベッドの縁で体育座りをしながら、落ち込むミク。
あの後、彼女の線香花火は全て、燃え尽きることなく終わってしまったのだ。

「上がったぞ」
「ん……」
「まだ21時前か。よし、冷蔵庫の中にな、ミク殿の好……いつまで落ち込んで
おるのだ」
「だって、願い事」
しょんぼりしながらミクが呟くと、がくぽは溜息をついた。
風呂上がりで下ろしていた髪を少し荒っぽく掻き上げながら、ミクの隣に腰掛ける。

「……がくぽさんと、ずっと一緒にいられますように。って、お願いしたのに……」

その言葉を聞いて、がくぽは思わず固まった。
手の動きが止まると、ぱらりと落ちた髪が顔にかかる。

「え?」
「もう、やだ。線香花火のばか」
「や、あの、ミク殿。お主、葱で幸せ云々と申しておっただろう?」
「違うもん。本当は、がくぽさんとずーっと一緒にいたいんだもん」
そう言って俯くミクが、可愛らしくて堪らない。
沸き上がる愛しさに任せて、その華奢な体を抱き寄せた。

「がくぽさん……?」
「そのようなことは、きちんと我に言うてくれぬか。神の気まぐれに任せてはおけぬ。
我が叶えてやりたい」
真っすぐに腕の中のミクを見つめながら、がくぽが言った。
ミクも僅かに頬を染めながら、こくんと頷く。

「あ、」
優しくベッドに押し倒されると、がくぽの唇が、ミクのそれをすかさず塞いだ。
熱っぽい、くちづけ。
酸素を求めて息をすると、エアコンの冷えた空気が流れ込んできた。

「んん……っ」
舌を絡ませ、吸う。
ミクがキスに夢中になっていると、がくぽの手が、彼女のパジャマのボタンを探っ
ていた。
唇を重ねたまま、器用に外していく。

「ふぁ。……っふ、ふ。ふふふ」
「ん?わ、笑っておるのか?」
如何した?と尋ねてくるがくぽの表情は、複雑なものだった。
それがまた可笑しかったのか、ミクは本格的に笑いだす。

「1年前の今頃は、がくぽさんとまさかこんなことになるなんて、思ってなかっ
たのになーって。覚えてますか?」
ミクは、ぽつりぽつりと口にする。

仕事で山奥に行ったが、帰れなくなって、二人で安いホテルを探し回ったこと。
うっかり、ダブルベッドの部屋を取ってしまったこと。
ソファーで寝ようとしていたがくぽに、ミクがベッドに寝るように言ったこと。

そして、そこでがくぽがミクに告白したこと。
交際を決めたこと。
手を繋いで、眠ったこと。

644:『大切な日には、花束とくちづけを』 がくミク 前4
09/08/31 20:27:39 i5QG/rdL

「ああ……あれから1年だな。折角の誕生日なのに仕事とか有り得ない!と、
ミク殿が半泣きになっておったが」
懐かしむように言うと、ミクの髪を撫でてやる。

1年。
あっという間だった、と言うには長く、遠い道のりだった、と言うには短い。

「誕生日、おめでとう。そしてこれからも、よろしく頼むぞ」
「はい。こちらこそ」
どちらからともなく、軽いキスをした。
目が合うと自然に笑みが零れてきて、思わず前戯の途中であったことを忘れて
しまう。
片方の例外を除いて。

「……さて、ミク殿。続きをしても構わぬか?」
「へ?続きって?」
「ほう、我を焦らすとは良い度胸ではないか。悪いが、もう我慢など出来ぬ」
貪るようにくちづけて、パジャマのボタンを少し手荒に外してやる。
あ。とミクは思い出したように小さく声を漏らしたが、それすらもがくぽの唇に
奪われた。

「ちょっ、や……待って……っ」
パジャマのズボンだけではなく、ショーツにまでかけられた手に、思わず慌てて
しまう。
上を脱がせたばかりだというのに、そんなに急いでどうするつもりなのだろうか。
―がくぽがいかに限界なのかを知らないミクは、ぼんやりと考えていた。

「待たぬぞ。もう待てぬのだからな」
容赦なく奪われていく、ズボンとショーツ。
せっかく可愛いものを着けていたのに、これでは全く意味がない。

「あ、やだっ、がくぽさん、だめ……!」
開かれそうになった脚を、必死で閉じる。
明るい電灯の下で、そこをまじまじと見つめられるのには、まだ少し抵抗があった。
1年付き合い、何度も体を重ねてきたがくぽが相手だとしても、だ。

「そのっ、電気。明るいから、消してください」
「電気?……ああ、確かに」
不機嫌になりかけていたがくぽも、ミクが大慌てで言った言葉に頷いた。

「消せば良いのだな?」
近くにあったリモコンで、照明を落とす。
真っ暗にはせず、あくまでも絞る程度だが。

「あのー、がくぽさん?まだちょっと明るいような気がするんですが?」
「……良いか、ミク殿。男は、相手の顔や体が見えるほうが燃えるのだ。ボーカ
ロイドとて変わらぬ、少なくとも我はな」
ミクの脚の間へと自分の体を割り込ませながら、がくぽは真面目に言った。
相変わらず、ミクはじたばたと抵抗を続けている。



645:『大切な日には、花束とくちづけを』 がくミク 前5
09/08/31 20:28:48 i5QG/rdL
「がくぽさんの、ばか!えっち!すけべ!」
ベタな言葉で抵抗するが、がくぽは全く気に留めない。
振り上げる腕や手首も、簡単に捕らえられてしまった。

「あまり暴れると、縛るぞ?乱暴にされたいのか?」
「いっ、嫌です!」
「冗談だ、本気にするな」
呆れたような声色で言いながら、浴衣を脱ぐ。
そうして首筋、鎖骨、胸元へと舌を這わせると、「冗談に聞こえません……」と
呟いたミクの体が震えた。
熱い吐息が漏れたのを聞いて、がくぽは彼女の腕や手首を解放してやる。

「は……っ」
胸の淡く色づいた尖端を、唇と舌で弄ぶ。
甘く艶めいた声が、がくぽの劣情を煽った。

「ミク殿……」
「っ」
大きな手と長い指が、ミクの秘部を撫でた。
指先で、溢れ出してきた蜜をそこに馴染ませる。

「また溢れてきた。凄いな、ミク殿は」
「やっ。言っちゃ、やだぁっ」
低く甘い笑い声に混ざる、湿った音。
ミクは恥ずかしさのあまり、涙声になる。
がくぽの指がふと離れると、結び目を解くような、布擦れの音がした。

「……良いか?」
押し当てられる、硬度と熱。
ぼんやりと、優しい顔をしているがくぽが見える。
ミクは少し頼りなく、静かに頷いた。

「では行くぞ、っ……」
「ん……ふ、あ……!」
僅かに体重をかけながら、ゆっくりと挿入していく。
シーツの上を泳いでいたミクの手が、がくぽの背中に回された。

「あ、がくぽさ……っ」
全部収まると、緩やかな抜き差しが始まる。
上下に、時には左右にも揺さぶられながら、ミクは全身でがくぽを感じた。

荒い吐息が、ミクの耳元にかかる。
時折漏れる低い声は、やけに艶かしい。
思わず小さく震えると、唇が重ねられた。
甘く優しい、それでいて熱いキスに、ミクも舌を伸ばして応える。

「く……っ、ミク殿」
薄暗い中でミクを見つめる、がくぽの瞳。
普段はあまり見せない、ミクにとって最も愛おしい表情―がくぽにも、これくらい
見えているのだろうか。
何故か少し恥ずかしくなって、目を逸らした。

「……っ!ふ、ぁ……!がくぽ、さんっ、そこ、だめっ……」
限界まで引き抜く際に、ミクの弱いところを、引っ掛けるようにして擦る。
奥ではなく手前の、お腹側。



646:『大切な日には、花束とくちづけを』 がくミク 前6
09/08/31 20:29:31 i5QG/rdL
「ゃっ……あ、あ、あぅ、がくぽさん……っ」
「可愛いぞ、ミク殿……」
切なげな表情をほんの僅かな微笑みに変えて、がくぽは囁いた。
やっぱり見えてるんだ―そう思うと、ミクの体が熱くなる。
それが羞恥のためなのか、興奮のためなのかは、彼女にも分からない。

達きたいか?とがくぽが囁く。
ミクの丸い頭が上下に揺れて、頷いたように見えた。
何か言葉を発したような気がしたが、今はもう押し殺したような声だけで、肯定と
取れるものは聞こえない。

「ふぁっ……あ、あっ」
漏れる声が涙声になった、ような気がした。
それを確認してみたい衝動と、やはり顔を見て愛し合いたいという思いが、同時に
沸き上がる。

「ん……がく、ぽさん?……やっ、なに、何……?」
腰の動きを止めて、がくぽはミクを背後から抱きしめた。
そのまま横たわると、それぞれの体を回転させる。
繋がったまま、ゆっくりと。
そうして二人は再び、いつもの向かい合う形になった。
がくぽの髪がさらりと流れ、ミクの顔に影を落とす。

「この方が、良いな……ミク殿の可愛らしい顔が、よく見える」
「ばか、ぁ……んっ、や、あぁ……っ」
熱の篭ったような動きで腰を揺らせば、ミクもそれと同じように応える。
甘く啼きながら揺らす腰は、可愛らしく慎ましくもあり、そして何処か焦れったい。

「あ、あっ……」
ミクは涙を零しながら、がくぽから与えられる快楽に身を委ねる。
深く貪り合い、息もつかせぬキスを交わした。
唇を離すと、酸素を求め、荒い呼吸を繰り返す。

「がくぽさ、っ……がく……がくぽさん、もう……ぁ」
そう途切れ途切れに呟くミクに、がくぽは静かに頷いた。
彼も、限界が近い。
ぎゅっとミクを抱きしめ、少し強く、腰を打ち付ける。

「っふ、あ……あっ、ぁああ、」
「は……ミク殿……っ」
ミクの華奢な脚が、がくぽの腰に絡みつく。
誘われるがままに求め、溺れていく。

「「―……!」」
互いの唇が、同時に発せられた言葉や声を奪った。
愛しさと息苦しさの中で、深い快楽に飲み込まれる。
戦慄き、熱く収縮するミクの胎内に、がくぽは全てを注ぎ込んだ。

「……はぁ……あ、あ……」
荒く息を吐きながら、受け止める。
満たされた下腹部の温もりを、ミクは霞んだ意識の中で感じていた。


続く


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