無口な女の子とやっち ..
[bbspink|▼Menu]
98:名無しさん@ピンキー
08/12/27 07:52:02 cqmG6Rlf
彼女はトラファンの鑑だな!
GJ!



…ところで、フィクションなんだよね?トラが優勝できないなんて嘘だよね!?

99:名無しさん@ピンキー
08/12/27 15:42:38 rhdJQCNb
>>97
GJ!

100:名無しさん@ピンキー
08/12/27 20:41:38 wuxjde6Z
>>98
魔法の呪文「この作品はフィクションです」
真面目な話、来年は鯉が来るんじゃねーかと(ry

101:名無しさん@ピンキー
08/12/28 10:56:05 SGN/vjA0
>>97
GJ!!

前スレ見たらかおるさとー氏がきてた、こっちでいいのかわからんがGJ!

102:名無しさん@ピンキー
08/12/29 14:49:22 0uuGnlPQ
投下します。

エロなし。
タイトルは『雨と傘と』です。

103:名無しさん@ピンキー
08/12/29 14:51:29 0uuGnlPQ
雨の日の出来事だ。
秋から冬への移り変わりで段々冷え込んできたところでの雨でその日は一気に真冬並みの寒さになった。
放課後の部活が終わり、廊下へ出ると外の暗さに驚く。
まだそんなに遅い時間ではないのに冬という時期と分厚い雨雲のせいでもうすっかり暗い。
玄関まで辿り着くと少女が1人、ぽつんと立っていた。
空を見上げ憂鬱そうに溜息をついている。
少女を眺めながら上履きから靴へと履き替えているとその音に反応して少女が振り返る。
見覚えのある顔だった。
クラスメートの滝本沙希さんだ。尤も会話どころか挨拶も交わさぬ間柄だけれども。
別に嫌い合ってる訳ではないのでこうやって顔を合わせれば会話も挨拶もするけど。
「滝本さん。まだ残ってたんだ?」
「…………あ、安藤くん」
僕の名前を呼ぶのに間があったのは彼女が無口だからだ。
決して僕の名前を思い出すのに時間がかかったなどという寂しい理由ではない……よね?
……信じてるよ、滝本さん。
「……保健室で寝てたら、こんな時間になってて」
彼女の言葉でそういえば午後の授業はいなかったな。と今更ながら思い出す。
ていうか起こしてあげなよ、高橋先生。保険医の顔を思いながら心の中で突っ込みを入れる。
「そっか。それじゃまた明日」
「…………うん」
……ん? ちょっと待て、僕。
傘を手に取り、自然と帰ろうするがおかしな事に気付く。
なんで彼女は玄関で立っているんだろうか。
「ねぇ滝本さん」
僕が振り返ると滝本さんは小首を傾げる。
「えーと……今、迎えが来るの待ってるの?」
「…………」
ぷるぷると首を横に振る。
「……もしかして、傘ない?」
「…………」
こくりと頷く。
今日は朝から雨が降っていたので忘れたという事はないはずだ。だとすると……。
「……盗られた?」
「…………」
少し躊躇いながら、こくり。
やっぱり……。
盗られたというより間違えて持っていかれたというほうが正しいのかもしれない。さっきも思ったように雨は朝から降っていたんだし。
まぁどっちにしろ滝本さんの傘がないという事実は変わらない。

104:名無しさん@ピンキー
08/12/29 14:53:26 0uuGnlPQ
傘立てを見るとまだ数本、傘が残っている。まだ残っている生徒がいるのかそれとも置き傘なのか。
うん、後者だという事にしよう。
「置き傘あるみたいだから借りていったらどうかな?」
僕に向けられていた視線に少しだけ非難の色が混じった。
「…………」
「…………」
「………………」
「………………」
「…………ごめんなさい」
「…………」
「……人の物を勝手に使ったら駄目だよね」
滝本さんはこくこくと頷く。
いや、満足そうに頷いてるけどさ。問題は解決してないんだよ?
とはいえそれが駄目なら残る方法はもう1つしかない。
僕は溜息が出そうになるのを我慢して、右手に掴んでいるものを彼女に差し出す。
「これ使って」
「…………」
「これなら他人のじゃないし、勝手にでもないからいいよね?」
「…………」
そこで首を横に振らないでくれると凄く嬉しかったな、僕。
「僕、折りたたみ傘も持ってるから大丈夫」
このままだと押し問答になりそうだったので無理矢理、滝本さんに傘を押し付ける。
彼女が傘を返してくる前に、僕は忘れ物をしたからと言ってその場から逃げ出した。
勿論忘れ物なんて嘘なので階段まで来たら脚を止め、座りこむ。
携帯電話を弄り、時間を潰す。5分ほど経った所で携帯電話をポケットに直して、再度玄関に向かう。
外に視線を向けると変わらず雨が降っており、やむ気配は無い。
どれだけ急いで帰っても家につく頃にはびしょ濡れになっているだろう。
帰ったらすぐにお風呂に入って身体を温めなければ、と予定を立てる。
もし風邪なんか引いて、明日学校を休む事になりでもしたら滝本さんが自分のせいだと責任を感じてしまうかもしれない。
だから、明日だけは意地でも休めない。

105:名無しさん@ピンキー
08/12/29 14:54:21 0uuGnlPQ
玄関に到着し、靴箱の陰から恐る恐る覗き込む。
そこには少女が1人、ぽつんと立っていた。
……見覚えのある顔と言うかさっきも見た顔と言うか…………なにやってるの、滝本さん?
彼女は空を見ていた先程とは違い靴箱の方を―僕が来る方向を見ていた。あ、目が合った。
僕はしぶしぶ彼女に近付く。
「……帰らないの? 滝本さん」
「…………折り畳み傘は?」
僕の質問スルーですか。しかも折り畳み傘持ってないって当然ばれてるよね、これは。
「体調崩してるんなら早く帰った方が良いよ?」
「…………傘は?」
…………意外と我が強いよ、この娘。
話を逸らそうとしても無理みたいなので正直に答える。
「…………ありません」
「……そう、なんだ」
「……そうなんです」
なんだろう。とても悪い事をした気分なんだけど。僕、嘘はついたけど悪い事はしてないよね?
「…………」
滝本さんが無言で僕の傘を差し出す。
返す。という事なんだろうけど受け取れない。体調を崩している女の子を雨に濡らして帰すわけにはいかない。
どうしようかなぁ……。結局押し問答しなくちゃいけないのかな……?
けど、この様子じゃ聞き耳もたなそうだし……ていうか大体、僕は口下手な方で説得とかは苦手なんだ。
だから、さっき傘を押し付けて逃げたのに……居るんだもんなぁ、滝本さん。
「…………」
「…………」
「………………」
「………………」
「………………………………」
「…………………………うー」
どう説得するか考えて、それでも浮かばないので無言で向き合っていると痺れを切らしたのか滝本さんが唸った。
自分でも無意識な唸りだったのだろう。滝本さんは傘を持つ手とは逆の手で口元を押さえ、頬は薄っすらと染まっている。
……凄い可愛らしい反応だなぁ。と思いながら僕は笑みが浮かぶのを抑えられなかった。
そんな僕を見て滝本さんは眼つきを鋭くし、差し出す傘を押し付けてくる。
それすらも僕は微笑ましく感じてしまう。
彼女を早く帰す方法を考えていたはずなのにもう少しだけ一緒に居たいと思ってしまった。
だからだと思う。こんな案を口にしたのは。
普段なら思い付いても提案なんかしない。
だって恥ずかしくて仕方ないから。
「滝本さんの家ってどこ? 送っていくよ」

106:名無しさん@ピンキー
08/12/29 14:56:13 0uuGnlPQ
☆☆

『相合傘』
僕の提案にすぐその言葉を連想したのだろう、滝本さんは無言で拒絶した。
顔を真っ赤にして首を振る姿が可愛いやら、完璧に拒絶されて落ち込むやらの葛藤はさておき、
『滝本さんが1人で傘を使う』と『僕達2人で傘を使う』の二択を迫り、最終的に彼女は僕の提案を呑んだ
(僕が1人で傘を使うという選択肢を突っ込まれなくて助かった)。
そんな紆余曲折を果たし、僕達はようやく帰路につく。
とはいえ僕達は恋人どころか友人とも言えないクラスメートなので微妙な距離が開いている。
滝本さんは恥ずかしいのか俯いて歩いている。
まぁ僕としては彼女が俯いているのは……僕の方を見ないのは助かる。
会話は無く、沈黙が重く圧し掛かる。
滝本さんは無口だし、僕もさっき言った通り口下手だ。
さっきまで話せていたのは『滝本さんに傘を使ってもらう』というテーマがあったからだ。
しかし、自分から誘っておいてこれは少々情けない。
話題を探していると先に沈黙を破ったのは滝本さんだった。
「安藤くんは……優しいね」
「そうかな? そんな事ないと思うけど」
滝本さんは首を振り、僕の否定を更に否定する。
ムキになって否定する気はないけれど、ここで頷いてしまうと会話が終わってしまいそうな気がした。
せっかく滝本さんの方から話を振ってくれたのにそれはなんだか勿体無い。
だからやっぱり僕もまた否定する。
否定材料は学校の玄関に置いてあった傘。
この時の僕の心情を語るのは自分で自分を貶める話になってしまうが、まぁ一度非難されてる事だし会話を続ける事を優先する。
「あれさ、学校に残ってる生徒の傘かもしれないって思ってたんだ。思ってたのに勝手に置き傘って事にして……。
 滝本さんが止めてくれなかったら……使ってたかもしれない」
滝本さんがまた首を横に振る。これはどんな意味の否定なんだろう。
少しだけ間を開けながらも彼女はその答えをくれる。
「……安藤くんは使わない……と思う」
「……そんな事ないよ」
「安藤くんがああ言ってくれたのは……私の為だもん」
滝本さんは小さく、しかしはっきりと話す。
「……私が濡れないように安藤くんは言ってくれたんだよね?」
「…………まぁ……うん」
「安藤くんは……自分の傘がなかったら……濡れて帰るんじゃないのかな?」
「……買い被りだよ」
否定はしてみたけれど反論は出てこない。
滝本さんに傘を貸すと決めた時、濡れて帰る覚悟もまた決めていた。
そういえば自分が置いてある傘を使うという発想はなかったな。と思い返す。

107:名無しさん@ピンキー
08/12/29 14:57:04 0uuGnlPQ
「……実は、ね」
滝本さんを言葉を続ける。
無口な彼女がまだ続けてくれる。
「玄関にいた時……帰ってる人は他にもいたの」
それはそうだろう。
他の部活動だって当然あるし、この時間帯でも下校する生徒はぼちぼちいるはずだ。
「けど……声をかけてくれたのは安藤くんだけだった」
「……そうなんだ」
「うん。……すごく嬉しかった」
滝本さんは俯いていた顔を上げ、僕の顔を見つめて微笑んだ。
「…………ありがとう」
優しくて綺麗な微笑み。
僕は心臓が跳ね上がるのを感じ、思わず顔を背けてしまう。
ちらりと彼女の方を見てみるとまだ彼女は顔を上げ、僕の顔を見ていた。
……いや、視線の先は僕の顔じゃなく肩に移動して……まずい。
やがて彼女は僕から視線を外し、反対側を向く。
自分の肩を見て、そして手でも触れている。多分、濡れてないのを確認しているんだろうなぁ……。
僕の肩は濡れている。
当然だ。傘は1つしかなくて、その傘は小さくはないけれどそんなに大きいものでもない。そして僕達の間には微妙な距離がある。
僕としてはびしょ濡れになる覚悟すら決めていたので、このくらいですむならむしろ僥倖で滝本さんも気にしないでくれて良い。
けど、同時に気にするのが彼女らしいとも思う。だからこそ気付かないでほしかったわけだけど。
そんな事を考えていたら、いつの間にか制服の肘の辺りをくいっと軽く引っ張られていた。
視線を向けると滝本さんが僕の制服を指先だけで摘まんでいた。そして僕達の微妙な距離を詰めてくる。
腕を組んでいるかのように密着してきて、この距離は……まるで恋人だ。
滝本さんは俯いて、更に顔を背けているが耳が赤く染まっているのが見える。これだと顔はきっと真っ赤になっているだろう。
僕だってきっと……絶対、赤くなっている。
「…………」
「…………」
僕も滝本さんも無言だ。
何を話せば良いのか分からないし、話そうと思っても多分上手く話せないと思う。
結局、滝本さんの家に着くまで僕達はお互い無言のままだった。
別れ際にもう一度お礼を言われたが彼女は顔を背けていたのでどんな顔をしているかは分からなかった。
もし、彼女が背けなかったら僕が背けていただろうから、どっちにしろ分からなかったと思う。

108:名無しさん@ピンキー
08/12/29 14:57:44 0uuGnlPQ
☆☆

1人での帰路は傘を広々使える代わりにどこか寒々しかった。
どうしてかなんて理由は分かりきっている。
僕は理由の彼女を思い浮かべる。
すぐに浮かんだのは笑顔で、1人でまた赤面する。
動揺する心を落ち着かせると次に思い浮かんだのは腕に残る小さな感触。
顔を真っ赤にしてそれでも身体を寄せてきた。
僕が濡れないように恥ずかしいだろうにそれでも勇気を出してくれて。
それを思うと心が温かくなってくる。
滝本さんは僕を優しいと言ってくれたけれど、彼女こそ本当に優しい娘だと思う。
優しくて意外と頑固な女の子。
無口だけど実は表情豊か。
もっと……もっと色々な彼女を見てみたい。見せて……くれるだろうか。
それは分からないけれど、見る事が出来たら僕はとても嬉しく思うんだろう。
だから少しだけ、頑張ってみよう。
まずは明日、僕から挨拶をしてみよう。
見知らぬクラスメートをやめ、友達になろう。


109:名無しさん@ピンキー
08/12/29 15:03:43 0uuGnlPQ
終わりです。

続きものにして前スレの折り紙少女三上さんを友情出演させようと画策してましたが挫折しました。

それでは今年はお世話になりました。
来年もよろしくですよー。
よいお年をっ。

110:名無しさん@ピンキー
08/12/29 15:03:52 OBKxTHPE
>>108GJ!
雰囲気が良すぎ!
自分の寂しい学生時代を思い出して死にたくなったよ……

111:名無しさん@ピンキー
08/12/29 21:19:07 YFK2NBb8
>>109
GJ!
学生時代に友達以上恋人未満のクラスメイトと
相合傘をした思い出が蘇ってきてちょっと鬱になったぜ

112:名無しさん@ピンキー
08/12/30 04:31:00 xQ1Bawv9
某雪見は言った
「あいつの身体は血液じゃなくて砂糖が流れてるんだな」

113:名無しさん@ピンキー
08/12/30 21:09:17 Rw3GEWRI
・無口な占い師に新年を見てもらおう
・無口な巫女バイトさんに御神籤を引かせてもらおう
・無口な女神様に恋愛成就を祈ろう
・無口な妹と雑煮を食べよう

114:名無しさん@ピンキー
08/12/31 14:04:17 up5TgXVe
・無口な従姉妹達と新年会
・無口な姪にお年玉
・無口なクラスメイトと初詣でバッタリ

115: 【中吉】   【630円】
09/01/01 00:49:26 Q+GdTffU
……あ、あけまして……おめでと

……………………今年もよろしくね

116: 【大吉】 【1458円】
09/01/01 01:04:26 ORz/VFdR
……あけ、おめ。

117:omikuji
09/01/01 02:30:18 g/UKlAiB
あけおめことよろ

118:!kuji 【1000円】
09/01/01 03:04:36 fgAME5Gb
… … … … … … … … … … … … … … … … … …
… … … … … … … … …
… … … … … … … … … … … … … … …
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
……………… ………
… … … … … … … … … … … … … … … … … …
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
……………… ………… ……………… ………
… … … … … … … … … … … … … … … ………
……… ………… ……………… ……… …… …… …… …… …… …… ……
……………… ………… ……………… ……… ……… …… …… …… …… …… …… ……
…… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… ……
……………… ………… ………… …… ……………… ……… ……… ……… … … … … … … … … …
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
……………… ………… ………… ………… … ……………… ………
… … … … … … … … … ……………… ………… ……………… ……… … … … … … …
… … … … … … … … … … … … … … … ……………… ………… ……………… ………
… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …
……………… ………… ……………… ……… … … … … … ……………… …………
…… ……………… ……… ……… ……… … ………………

俺にはセンスがないようだ。

119:omikuji
09/01/01 13:10:58 0cPpa05U
……あけおめ、ことよろ。

120:名無しさん@ピンキー
09/01/02 00:43:25 A/VVIXMb
……………………お年玉は?

121:名無しさん@ピンキー
09/01/02 01:19:46 McbKg2u3
チュ…

お年玉…あげる…

122:名無しさん@ピンキー
09/01/02 16:24:18 ubAG0dQz
ここのスレ住民的に「森田さんは無口」はどうなんだろう。

123:名無しさん@ピンキー
09/01/02 17:24:26 LFNLUN9L
単行本なら買ったぞ。
個人的には満足してる。

124:名無しさん@ピンキー
09/01/02 20:46:52 7GhQnf06
普段は無口だけど、メールだと明るかったり饒舌だったりする女の子モノはたまにあるけど、
普段はお喋りだけど、メールだと無口(短い、淡々と業務連絡風)の場合はなんか怖いよね。

125:名無しさん@ピンキー
09/01/02 21:18:20 McbKg2u3
>>124
前者の方とメールしてるんだが…w

126:名無しさん@ピンキー
09/01/02 21:35:50 EM3IEd1o
>>124
後者の方とメールしてたことあるんだが…

ただ単に「実は嫌われていた」というオチしか思いつかない

127:名無しさん@ピンキー
09/01/03 16:50:26 da/ifn+u
>>125
貴様、kwsk

場合によってはいつぞやのリレーのごt(ry

128:名無しさん@ピンキー
09/01/04 04:42:45 3wZTGx3D
「え?」
 洋一くんの言葉に、私は目を丸くした。
「だから、メール嫌いなのかなって」
 少し考えてから聞き返す。
「どうしてそう思うの?」
「いつも内容が短いから」
「……普通、だと思うけど」
「そうですか?」
 洋一くんは携帯を取り出して受信フォルダを開く。
 瞬間、私は顔が紅潮するのを感じた。
「『うん』『ううん』『違う』『いいよ』『待ってて』……さすがにそっけなさすぎると
思いますよ」
「……」
 顔が曇るのが自分でもわかった。
「いや、責めてるわけじゃないです。ただ、舞子さんいつも明るいのに、メールだと
極端にそっけなくなるから何かわけがあるのかな、って」
「……別にない、よ」
「ならいいですけど」
 洋一くんは多少怪訝そうにしつつも、あっさり引き下がった。
「……」
 ちょっと不意打ちな質問だった。
 理由と言うか、まあ少し思うところがあるのは確かなので、やっぱり話すべきなの
だろうか。
 本当になんでもないことなのだけど。
「……あの」
「ん?」
「えっとね、その」
 なかなか言い出せない。踏ん切りがつかないのはちょっと恥ずかしいから。
 彼は特に急き立てることもなく、黙って見つめてくる。
 見つめられると結構言い出しにくいけど、まあ、とにかく。
「……相手にメールが届くじゃない」
「…………ん?」
 言ってから当たり前だと思った。
 洋一くんの顔に「よく解らない」といった色が混じる。
「だ、だから、相手の履歴に残っちゃうじゃない!」
「……嫌なんですか?」
「いやっていうか……」
 私はその場に立ち止まり、思わずうつ向いた。
「……………………恥ずかしい……」
 一瞬の静寂が訪れる。
 洋一くんは小さく吹き出した。
「わ、笑うな!」
「ご、ごめんなさい。で、でも」
「だって、恥ずかしくない!? 相手にずっと履歴が残ってて、たまに開いて読まれたり
するんだよ? 迂濶なこと書けないじゃない!」
 答えてしまった反動か、言い訳にも熱が入る。
 言ってることは何も間違っていないつもりなのだけど、やっぱり変なのだろうか。

129:名無しさん@ピンキー
09/01/04 04:44:54 3wZTGx3D
 洋一くんはどう思って、
「ごめんなさい。ちょっと意外だったものだから」
「意外?」
「いつも明るくていろんなことを話すのに、そこにこだわるのが意外」
「会話とメールは違うもん……」
 会話は残らない。でもメールは残る。
 私には二つは全く違うものに思える。
 ああいうことを話した、こういうことを話した、そんな記憶はあってもみんなはっきり
とは思い出せないものだ。
 もちろん深く心に残る言葉はあるけど、誰も機械のように記憶するわけじゃない。
 もし人間があらゆる会話を脳に刻めるなら、きっと私は何も言い出せなくなる。
 なんでもないことさえいつまでも残るというのは、あまりに怖いことじゃないのか。
 内心で密かに震えると、洋一くんが言った。
「でもぼく、舞子さんのことならほとんど全部覚えてますよ」
「え?」
 言っている意味がわからない。
「全部って」
「だから、全部。ぼく、記憶力はいいんです」
「例えば?」
「去年の六月、図書館での会話の内容とか。『身長いくつ?』『本棚高くない?』って」
 固まった。
「そんなこと言ったの? 私が?」
 この一年で一気に背が伸びた(本人曰く15センチ程)洋一くんは、それでも私と同じ
160センチくらいしかない。
「言いました。ちゃんと覚えてますよ」
 慌てて謝る。
「ご、ごめん」
「なんで謝るんですか?」
「だって、失礼じゃない」
「気にしてません。それにそのあと舞子さんはこう言ったんです。『いつか私に本を取って
ほしい』って」
「─」
 私はいよいよ恥ずかしくなって、一歩も歩き出せなくなってしまった。
 なんだ、そのわけわからん台詞は。
 それは確かに好きな相手が自分より小さいというのは、ちょっと気になる問題でもある
けど、だからといってありえない台詞だろう、それは。
 でもきっとそれは、その頃の私たちがまだ付き合ってなくて、私の方は洋一くんに完璧に
惚れてしまっていて、それで不用意に発してしまった一言なのだと思う。覚えてないけど。
 恥ずかしい……。
「頑張って身長伸ばそうと思いましたよ。カルシウムたくさん摂ったおかげかようやく
舞子さんに並べました」
 すぐに追い越しますからね、と洋一くんはにっこり笑った。
 それはなかなか頼もしくも子供っぽくて、ちょっとかわいい笑顔だった。

130:名無しさん@ピンキー
09/01/04 04:47:52 3wZTGx3D
「……他にも覚えてるの?」
「もちろん。一学期の終業式の日は『一緒に帰らない?』『雨が降る前に駅に着かないと』
『校長の話長すぎ! 緑化事業の話とかどうでもいいじゃん』『洋一くんは真面目だね……
何しゃべってたか私よく覚えてないよ』『曇ってきた』『降りそうだから走ろっか』『夏は
これだから……」
「ま、待って待って。もういいからっ」
 私は慌てて制止する。
 洋一くんの言葉には偽りもでたらめもないようで、私は恥ずかしがるより先に呆れて
しまった。
「どんな頭してるの?」
「それだけ舞子さんのことが好きってことで」
「……」
「だから」彼は言う。「会話もメールもあんまり関係ないですよ」
「今すぐ忘れて」
「無理です」
「……」
「そんなに嫌ですか?」
 まっすぐ尋ねられて、私は口をつぐんだ。
「舞子さんのことは全部覚えておきたい、ってぼくは思ってます。それは会話もメールも
いっしょで、何も変なことなんてなくて、えっと、『大切にしたい』って思っているん
ですけど……ダメですか?」
 真摯な目はひどく澄んでいて、私は少し怯んだ。
 個人的にはやっぱり恥ずかしいのだけれど、
「……絶対に忘れないの?」
「はい」
「私は忘れるよ?」
「メールは残りますよ」
「……」
 なるほど。記録に残るのも悪いことばかりではないらしい。
 恥ずかしいけど……。
「頑張ってみる」
「ええ、待ってます」
 帰ったら早速打ってみよう。自分からメールすることなんてない私だけど、洋一くんに
ならさらけだせるはず。
 彼にはずっと覚えていてもらいたいから。



「舞子さんからのメールには全部保護かけときますね」
「なっ……」
「そうすれば嫌でも忘れませんよ」

「やっぱり恥ずかしいよー!」

131:名無しさん@ピンキー
09/01/04 04:54:13 3wZTGx3D
小ネタですが投下終了です
>>124さんのレスから考えて書いてみましたが、無口っぽさ皆無……
>>126さん、きっと相手にはこんな事情があるのだと思いますよ

132:名無しさん@ピンキー
09/01/04 20:19:43 gtNSoSZz
乙。ネタとしては好きだけどスレ的になんか違う気がする
というか普段喋るのにメールだと無口って最初から無口な女の子じゃな(yr


133:保管庫の人
09/01/05 00:56:02 XkfjQJs4
えと、長らく放置して済みません、保管庫の人です。
誰でも編集可能に設定し直しましたので、余裕のある方は保管を手伝っていただけないでしょうか。
六スレ目から全然保管出来てなくて、申し訳ありません。
どうか、よろしくお願いします。

134:名無しさん@ピンキー
09/01/05 13:37:27 YO/eDEIH
>>133
……途中まで、した。……勘違い、しないでね。


135:名無しさん@ピンキー
09/01/05 13:38:57 YO/eDEIH
モバイル用ってのはやらなくてもいいんですよね?

136:名無しさん@ピンキー
09/01/05 14:05:56 ObFHghXu
>>128
遅れてすまない…

会社で同じ部署に配属されて、最初は先輩の方から電話番号とか聞かれて、流れで聞いてそのままメールしてる。
で彼女は黙々と仕事してる子で、会社じゃあんまりしゃべってる所は見たことなくて、
「そんなに仕事してたら病気になるよ」って送ったら「じゃあ今度食事に連れって」って来て戸惑いながら行ったけど…
食事のときはすごく無口で、帰ってからメールするとバンバン来るような感じだ。
今でもこんな感じだけど少しはしゃべってくれる

137:名無しさん@ピンキー
09/01/05 14:06:41 ObFHghXu
ごめん…↑>>128じゃなくて>>127だった…

138:名無しさん@ピンキー
09/01/05 17:20:36 ijJOFdpU
wikiの保管、途中までで力尽きた。あと、任せる。

139:名無しさん@ピンキー
09/01/05 21:34:37 jHgzYIXJ
今からwiki編集してみますので、
編集しようと思っていた皆さんはおまちを・・・・・・

140:名無しさん@ピンキー
09/01/06 00:42:13 U617YdLB
携帯からすいませんが>>139です

ちょっとパソコン離れるので途中ですが中断します。
朝方には残りを片付けます。

141:名無しさん@ピンキー
09/01/06 02:07:29 vgUyUzc+
>>140
乙です!
自分は>>134>>138なんだけど、wikiの編集はやりだしたら他が手につかなくなって、困りますよね。
小ネタも保管はしたつもりですけど、勝手に題名をつけた分も結構あります。気に入らなかったら変えてくださいね。

っていうか、書きかけのssをほったらかして、何やってンだ、俺ort

142:名無しさん@ピンキー
09/01/06 08:15:31 eUY1zhNM
>>140>>141
保管庫編集乙!
くそ…力になれない自分が情けない…。やっぱりPC早く直さないと

143: ◆8pqpKZn956
09/01/06 09:33:52 U617YdLB
なんどもすいません>>139です
現時点までの全作品保管完了しました
業務連絡的な連投すいませんでした……



次から投下
前・後編の内の前編を投下します
NGはトリか『カウンター』で

五つ貰います

144:カウンター ◆8pqpKZn956
09/01/06 09:36:54 U617YdLB
「……宮川さん」
突然会長に話し掛けられ、私はビクリと身体を震わせた。
もちろん、それを悟られるようなことはしない。
ファイルを整える振りをして、代わりに心を落ち着ける。
「……なに、会長?」
「いえ……明日は大晦日だというのに仕事を手伝って貰ってすいませんでした、と」
「……そうね。もっと謝って」
「すいませんでした」
「……」
全く冗談が通じない男だ……。
いや、わかっていてズレたボールを返してくるのだ、コイツは。
私だって負けていられない。
「……すぐに謝る男ってみっともない。私は、あなたに仕事を頼まれてもいないのに、勝手に手伝ったのよ?」
長い台詞は苦手だけど、頑張って言ってやる。
「そうですか。では、宮川さんが偶然通りかかった生徒会室の中で雑務処理なんかしていてすいませんでした」
これだ。
ギロリと目の前の男を睨んでやると相変わらずニコニコと目を細めている。
窓から入り込んだ夕日が、この食えない生徒会長の顔をキラキラと輝かせているのに気がつき苛立つ。
「どうかしましたか?」
「いえ…………夕日のおかげで会長の端正なお顔がさらに格好よくなっていらっしゃるので見とれていました」
皮肉だけはスラスラ喋れる私に自己嫌悪する。
「ははは、皮肉ですか」
「ええ」
「…………へぇ?」
彼はニヤリとしながら言って、処理していた書類を棚にしまいだした。
皮肉というのは嘘だ。彼は誠に遺憾だが、私の美的センスによると、
文句なしに格好いい部類に悔しながら、分類される。
顔がかあっと、熱くなる。それが悔しい。
「悔しい……」
「思ったことすぐ口にするの、やめたらどうです?普段は無口のくせに」
「わかってる!」
思わず大声を出す。ハッとして口を塞ぐも、彼はもう、困ったような諦めたような顔をしていた。
「……そうですね、すいません」
「…………私帰るから」
「もう遅いし、家まで送ってほしいですか?」
あくまで、選択権はこちらに委ねた聞き方だ。それがわかるからまた頭に血が上る。
「…………」
「そうですか」
黙って首を横に振ると、彼はまったく少しも食い下がらず、そしてこの話は終わった。
イライラを募らせながら立ち上がり、私は出口へと向かった。
「お疲れ様でした、宮川さん」
「…………」
ドアを開ける、廊下に出る。
「いよいよ今年も明日で終わりですね」
「……なんで、あなたはそれを口に出来る、の……!」
「確認です……もう最後だっていう」
「……」
「宮川さん…………ごめんなさい」
「ばか健二!!」
ピシャン、と扉を閉めた。
ああ腹がたつイライラする、怒りで視界が滲む。今日もとっとと帰るべきだった。
「くっ……」
唇を噛む、血の味がする。思ったことをすぐ喋ってしまう私の口から言葉が零れる。
「……なんなの……私……!」
それは一年前に遡る。
…………
……



145:カウンター ◆8pqpKZn956
09/01/06 09:38:06 U617YdLB
一年と、もう数カ月前の秋の日。
私は約束の時間を過ぎても現れない相手に苛立っていた。
「…………」
「宮川さ〜ん!」
「……大声出さないで」
冷たく諌め、やっと来た彼を黙らせる。
彼の名前は大嶋健二。私と同じ(当時)二年生であり、家が隣り合わせの幼なじみである。
「遅い」
腰まで伸びるちょっと自慢の栗色の髪をばさりとかきあげながら睨みつけてやる。
シャンプーの匂いでも届いたのだろうか、いやにどぎまぎしながら彼は弁解した。
「あの……急に呼び出されてしまって……」
「誰に?」
「その…………」
「……やっぱり、あなたモテるのね」
彼はこの学園でちょっとした有名人である。
誰にでも優しく、礼儀正しい態度に可愛さとかっこよさを両立させた甘いマスク。
運動は人並みだが成績はかなり優秀と、つまり彼はとにかくモテる。
「……ずいぶん古風な子じゃない?相手」
今、体育館裏から出て来たものね。
言葉にしない部分を視線に乗せて言ってやると彼は首をすくめた。
「……断りましたよ?」
怖ず怖ずと私を見上げてくる。
私と彼は同じ学年だが誕生日の関係で私が11ヶ月年上であった。
小さい頃にお姉さん風を吹かせまくった結果、
彼は今だに私に対して敬語を使う。
少し気分がいいと思うのは私の性格が悪いからなのだろうか。
「私、あなたが断らなくても困らない」
「そ、そんな……宮川さん、僕は」
「…………」
僕は宮川さんが好きなんですよ、だろうきっと。
彼からは中学生時代に告白された。
私はその時『荷物持ちぐらいにはしてあげる』と、なんとも曖昧な返事をしておいた。
それ以来、彼は私の荷物持ちである。今も放課後はこうして待ち合わせして一緒に帰る。
「はい」
ずい、と鞄を押し付ける。
「今日もあなたの家で宿題を片付けるから……」
「あ、はい」
返事を待たずに歩き始める、彼が慌ててついてくるのが気配でわかった。
つねに私の一歩斜め後ろ。
さながら女王さま気分の下校は、私の自尊心を満たしてくれた。





146:カウンター ◆8pqpKZn956
09/01/06 09:38:34 U617YdLB
「ここは定理利用ですよ……基本なんだけどな〜」
「生意気……」
いちひくタンタン分のタンプラタンだったかしら。
頭に浮かんだ定理の覚え方のマヌケな調子に合わせてペンを走らせる。
「正解です」
健二がニッコリと言った。
私は彼の家のリビングで宿題を進めている。
成績優秀者の解説は非常に解りやすい。
取り組みはじめてまだ30分程度。
彼はとっとと自分の分を片付け、今は私のサポートに徹していた。
「……終わった」
「早いですね。僕のおかげですか?」
「さあ?……お茶」
「はいはい、紅茶でいいですか?」
無言で頷くと彼はキッチンにかけて行った。尻尾を振っているのが見えるようだ。
あいつ、執事なんか向いてるんじゃないかしら。
人に尽くす時にあそこまで嬉しそうなやつはそうそう見つからない。
なぜだか悔しいけど。
何となく居心地が悪くなってスカートの裾を気にしてみる。
「……どうしました?」
お盆を持った彼が帰ってくる。
「関係ないわ」
冷たく突き放した。私が『関係ない』と言えば彼は詮索してこない。
無言のまま彼はティーカップをテーブルに置いた。
「……いただきます」
一口啜る……まあ、及第点の紅茶がそこにはあった。
「……やっぱり、おば様の紅茶には遠く及ばないわ、ね」
「まあ、ねえ……淹れ方を教わる暇さえありませんし」
苦笑しながら彼も一口飲む。
彼の両親は一年中世界を飛び回っていて、滅多に家にいない。
だからこそリビングで好き勝手出来るというものだ。
「そうね。……じゃあ、隆さんは今どこに?」
隆さんは健二の兄で、バリバリの企業家である。
小さなころから健二と私と一緒に遊んでくれた、優しくて明るい人。
これまた仕事で全国を飛び回る隆さんだが、この家の彼の部屋はそのままになっている。
「兄さんは大阪あたりかなあ」
「自分の兄のくせに、アバウト……」
「親なんか北半球にいるのか南半球にいるのかすらわかりませんから」
はは、と健二は笑った。
「ですから……」
すっ、と距離を詰められる。
「二人っきりですね、今日も」
「…………そう」
「くっついていいですか?」
「良くはない……」
「ダメでもないんですね?」
私の返事も待たずに健二は肩に頭を乗せてきた。
「嫌なら突き飛ばしてくれてもいいんですよ?」
「趣味じゃないから」
暴力は、である。
「はは……」
いけない。
頬が熱くなる。
彼の顔を見て『かわいい』などと考えてしまう。
だめだ、だめ。健二を突き放さないと……。


147:カウンター ◆8pqpKZn956
09/01/06 09:38:59 U617YdLB
「……宮川さん…………」
健二の唇が迫ってくる。
右手にいつの間にかそっと添えられた彼の手から伝わる温もりが私の自制心を覆い隠す。
なんだか今日はやけに暑い気がする。
……私は目を閉じ、考える事を放棄した。
「ん……ふ……」
唇が重なる。健二の腕が背中に回り、優しく抱きしめられる。
自分の鼻息が彼に顔にぶつかるのがわかり頭が熱くなる。
「はふ…………」
ぼんやりとした頭では欲望を押さえられるはずもなく、私も彼の柔らかさを求めた。
キスは麻薬、とはなんの言葉だったろうか?
差し込まれて来た舌を“意識して”無意識に受け入れる。
最後の抵抗として、腕だけは彼の背中に回さないよう努める。
抱きしめてしまえば健二を求めた事になる。彼の思いに答えることになる。
私のつまらない脳みそが、それを許さなかった。
「んん……ぷは」
彼のほうから唇が離される。
自分は今どんな顔なんだろう。
「……宮川さん、いいですか?」
健二が、私の胸に手を置いて尋ねてくる。
キスだけで興奮した淫らな身体が乳首を固く立たせ、思考とは関係なくピリッと快楽が駆ける。
「…………」
私は絶対に言わない。
自分から『してほしい』などとは絶対に言わない。
今までにも何度かこういう雰囲気になった事があったが、その度に私はだんまりを決め込んだ。
しかし、キスは拒まない、拒めない。
キスだけじゃない。
彼が私の返事を待たずにブレザーを引きちぎりブラジャーを押し下げ胸をめちゃくちゃに揉めば。
彼がパンティを脱がし執拗にそこを愛撫して、そしてペニスで私の淫裂をすぼすぼと凌辱すれば。
私は、私は、絶対に抵抗できない……いや、しない。
私は、私が、私の意思と関係なしに犯されることをどこかでは望んでいるのだろう。
「……宮川さん」
しかし、彼はそんな獣とは違う。
「僕は宮川さんが好きです……だから、宮川さんを抱きたいです。いいですか?」
相手が、告白に対する返事をしないうちに処女を奪おうなどということはしない。
「…………」
普通、もう良いはずなのだ。
きちんとした告白をされ――返事をはぐらかしたとはいえ――その後一緒に下校する事を許し、
ほぼ毎日自宅にやってきて、キスをされても抵抗しない女。
こんな女を手篭めにしたところで誰が彼を責めるだろう。私でさえ責めない。
だけど、やはり健二は……ゆっくりと身体を離し……言った。
「先走り過ぎました、すいません」
彼は、私なんかの百倍、理性に生きる人なのだ。
「僕、ちょっと買い物に行ってきますね。
今日は解散で……家の鍵は閉めなくていいですから、じゃあ」
健二は早口で言い切ると財布を掴んで玄関を出ていった。
……つまり、これがいつものパターンだった。



148:カウンター ◆8pqpKZn956
09/01/06 09:40:06 U617YdLB
「私……なにしてるんだろ……」
部屋に一人残され、また自己嫌悪する。
彼を拒絶もせず、ただ心は許さず。
自分は心を許さず、ただ肉欲のために、彼に襲わせて責任転嫁することを望んで。
もう頭では自分が何を望んでいるのかわからなかった。
ただ、身体だけは先程の余韻を放熱出来ずに燻っている。
私は解散と言われたにもかかわらず、玄関ではなく階段に向かい、勝手にそれを上った。
いつものように。

がちゃり、とドアノブを回し部屋に侵入する。
私は、男の部屋とは思えないほどに片付いたその部屋の奥にあるクローゼットへ向かった。
折れ曲がって開くクローゼットの中には当然男物の服が並んでいる。
防虫剤の嫌な臭いが鼻をついたが、私は怯まずにジャケットを一つつかみ取ると、抱きしめて頬ずりした。
ああ、私は最悪だ。いえ、変態かな。
今日もこれから、このジャケットをオカズにオナニーするんだもの。
股間がじゅん、と熱くなりたまらずベッドへと倒れ込む。
ジャケットを鼻にあて一杯に空気を吸い込む。
最近、全く使われていないのであろうそれからは防虫剤の臭いしかしなかったが、
それでも私の興奮を盛り上げるには十分だった。
「すぅ……ふぅ……ふぅ……」
右手がパンティの内側へ伸びる。
すでにしっとりと潤むそこを私は激しく摩擦した。
「あっ……ふ……あん……あ……」
中指を割れ目に埋め、めちゃくちゃに動かす。あまりの気持ちよさに火花が散った。
「あっ……あっ……えっちだぁ……あふ……ふうぅぅぅぅ……」
しないはずの“彼”の匂いを吸い込み、くらくらと視界がぼやけた。
肉芽を摘むように擦りあげ、脚がびくんと跳んだ。
ぐちゅぐちゅ!ぐちょ、ちゅぶ!と卑猥なリズムが耳を打つ。
よ、よし……このまま……最後までイケる。いきたい……。は、はあ。
ああ、いきたい、イきたいイキタイ、イク、イク!
「あ、あ、あ、い、い」
ガチャン!
「っ!!」
迂闊だった。絶頂の間際で全く気付かなかった。
突然、閉めたはずの扉が開いたのだ。
見なくても判る……つまり、そこには健二がいた。
さっと、頭から血が引く。
「……あ……え……宮川、さん?」
彼は柄にもなく狼狽し、目を見開いた。
い、言い訳、なにか……。この期に及んでも私はとことん卑怯な事を考えた。
だめ、ちゃんと思考できない。
まずなにを言えばいい?
混乱しなにも出来ずにいると、健二が諦めきった顔色で小さく笑った。
「は、はは……なるほど……宮川さんは、そうなのか」
健二が廊下から私を見下すように言う。初めて聞く冷たい声だった。
「僕、宮川さんが告白をOKしてくれないのは、照れてるだけだって、
だってほら、だからキスもしてくれるし、一緒に帰ったり……。
だから、待っていれば絶対いつか通じ合えるって……」
いつもからは考えられないぐらいまとまらない文でまくし立てられ、胸が痛む。
「でも……違ったんですね。宮川さんは僕を好きじゃあなかった……じゃあ、じゃあなんでっ!」
なんで僕を拒絶してくれなかったんだ!
健二は叫びながらドアをたたき付けるように閉めた。
ああ、やってしまった。
自分の汚らしい性欲の為に健二を酷く傷つけてしまったのだ。
「…………う、ああ……」
身勝手な涙が零れる。
それはぽとりと下に落ちて……

そして隆さんのジャケットを濡らした。

149: ◆8pqpKZn956
09/01/06 09:41:41 U617YdLB
後編は早めに投下します
ちなみにネトラレではないです

150:名無しさん@ピンキー
09/01/06 13:50:10 F2mMUsty
やべえ続きが気になりすぎるww

151:名無しさん@ピンキー
09/01/06 23:39:34 sv0j0Ivn
しかしこんなビッチが言い訳しても白けるだけだし、もう破局でいいんじゃね?

152:名無しさん@ピンキー
09/01/07 00:16:08 ON8TBI0O
いやいや後ろめたさも程度によっては最高のシチュ萌えに

153:名無しさん@ピンキー
09/01/08 12:36:40 90S0nG74
問題は彼女が無口なのかどうかだ。ギリギリ無口だったり・・・するの・・・か・・・?

154:名無しさん@ピンキー
09/01/08 13:00:58 djgR5SQ4
俺はこのくらいだったら無口と認める

155:名無しさん@ピンキー
09/01/08 13:02:34 IUkOqEWm
無口だろうが萌えたらそれでいい

156:名無しさん@ピンキー
09/01/08 17:18:04 kNGhRZHs
てか普通に兄貴と弟のジャケット間違えただけじゃね?

157:名無しさん@ピンキー
09/01/08 22:11:23 X3k5AcS/
それなんて凡ミスww

158:名無しさん@ピンキー
09/01/08 23:37:09 HK6KjReV
まぁ続きを楽しみに待とうじゃないか

159:名無しさん@ピンキー
09/01/08 23:40:34 R/tB5DEz
「早めに投下する」
それが彼の最後の台詞でした

ああああ生殺しすぎる

160:名無しさん@ピンキー
09/01/09 02:52:43 X3VW+znB
薬、違法板とかアウトローは固定がいなくなると本気で心配になるだろうな

161: ◆8pqpKZn956
09/01/09 04:27:27 7ApjLXPU
>>159
業務連絡だけでは味気無いなと焦って、前編を早く投下しすぎてしまいました。すいません
必ず早めに投下します

162:名無しさん@ピンキー
09/01/09 19:41:20 YQktk8Um
まぁ早くしてくれ。さすがに全裸待機は寒くてかなわんからな

163:名無しさん@ピンキー
09/01/12 12:39:30 aJ4dptAj
老人は喫茶店の主人だった。
豆にこだわった珈琲、それだけが自慢の街角の小さな店。
一人息子と何年も前に喧嘩別れし妻に先立たれた今、男一人、それでもやっていけるほど小さな店。
昔馴染みの常連しか訪れないような小さな店。
しかしその女だけは違っていた。
数年前から店に出入りするようなった、久しぶりの若い新しい客だった。
いつも同じ珈琲を注文し一番端の席で本を読み、時間をかけて一杯の珈琲を飲む。
その間に口を開き老主人と会話することはない。
注文時の「いつもの」と老主人が発する「お待たせしました」だけが二人の会話だった。
素性の知れない美しい女。
そして女が訪れるのは決まって他の客がいない、そんな時だった。
小さな店内に老人と女。
老主人は自分から話しかけることはない。
店内にかかるクラシックだけが聞こえてくる静かな時が流れる。
そんな一時を老主人は楽しみにしていた。
女といる時だけに感じることのできる独特の空気が気に入っていたからだった。
親しみを覚え懐かしささえも感じた。
そんなある日のことだった。
女は同じ時間にやって来て同じように「いつもの」と短く言う。
老主人も同じように自慢の珈琲を煎れて差し出す。
砂糖は少なく牛乳は多め。
二人だけの静かな時間がゆっくりと過ぎていく。
しかしこの日は違った。
「受け取って下さい」
数年ぶりに聞く女のまとまりのある言葉と共に、丁寧に包装された小箱が老主人へと渡された。
目を丸くする老主人をよそに女はいつもと同じように店を出て行った。
小箱の中にはカップが入っていた。
老主人が長年使い続け古びたものと同じカップ。亡き妻が出会った頃に買ってくれたものだった。
カップの内側の一枚のメモを見て老主人は驚く。

「お誕生日おめでとう」

女が書いたのだろうか、美しい文字で綴られていた。
自分でも忘れていた誕生日を何故女が知っているのか。そんな話を女とした覚えはなかった。
親も兄弟も妻もいない老主人の誕生日を知る者は誰もいないはずだった。
喧嘩別れした息子を除いて。
老主人のカップを知る者。
誕生日を知る者。
老主人ははっとした。
懐かしさを覚える若い女、誕生日、カップ、息子。
全てが一本に繋がった。
しかし老主人はそれを言及しようとはしなかった。
そして女はまたいつものように店を訪れる。
小さな店内に老人と女。
以前と変わらぬそこには新しく家族の温もりが溢れていた。


保守

164:名無しさん@ピンキー
09/01/12 15:33:10 lGJZfTkf
良保守

165:名無しさん@ピンキー
09/01/12 21:47:11 4TQyFm8J
???
女の正体って亡き妻の幽霊?
それとも息子がニューハーフになったのか・・・?

166:名無しさん@ピンキー
09/01/12 21:56:10 3NlwEI2j
こういうのを言うのは野暮かも試練が、喧嘩別れした息子の娘(つまり孫)だろ。
血が繋がってるから爺さんの亡くなった嫁さんに似てる。

167:名無しさん@ピンキー
09/01/13 23:44:02 F+KgninH
風邪をひきました
全裸は辛いです

168:名無しさん@ピンキー
09/01/13 23:54:00 Sg4TZTvF
>>167
紳士ならネクタイくらいしとけ
あとハンカチも忘れずにな

169:名無しさん@ピンキー
09/01/14 00:26:08 vfH4jBHs
乳首に絆創膏貼るといいよ。

170:名無しさん@ピンキー
09/01/14 01:06:30 wXvoIbgC
もちろん股間にもな。
で、羞恥で潤んだ目で「これでいい?」みたいな感じに見つめてくるのがジャスティス!!



……無口っ娘の話ですよ?

171:名無しさん@ピンキー
09/01/14 11:15:15 sk819ig+
なるほど、乳首と股間に絆創膏を貼った無口な女の子か


胸は薄く、割れ目は絆創膏で隠れる程の未成熟な女の子だな?

172:名無しさん@ピンキー
09/01/14 17:29:14 a2fBmjyI
あえて薬用湿布では駄目なの?

173:名無しさん@ピンキー
09/01/14 22:02:04 90+UXEDb
乳首はともかく股間に貼るのはまずいと思う

174:名無しさん@ピンキー
09/01/14 22:23:05 Z5Y/9d5G
なんだこの流れww
じゃあ俺はこれを無口っ娘に授けよう
つ冷えピタ

175:名無しさん@ピンキー
09/01/15 09:04:59 8Ws4x6cK
つ貼るホッカイロ

176:名無しさん@ピンキー
09/01/15 17:01:33 m78uNCSC
「・・・・新感覚」

177:名無しさん@ピンキー
09/01/15 20:03:17 2lzXM1Ws
「………お股が……熱いの…」
「ホッカイロは肌に直接貼っちゃいけません」

178:試し書き 無口少女と絆創膏 1/2 にっぷし
09/01/15 20:30:52 EMj3FZr7
俺の恋人、有紀はもう高校生だというのに小学生のような体型をしている。
人形のように整った顔立ちと、長いストレートの黒髪が印象的な華奢な恋人。
黙っていれば非の打ち所がない(胸などの発達具合以外)美少女だが、
さらに内面まで完璧という男に都合の良い女がそうそういるはずもなく。
有紀は授業で指されても喋らないほどの無口であり、そして天然が入った女の子だった。

くいくい、くいくいくい。

授業が終わると、制服の袖を少し多めに引かれる。
振り返ると有紀がじっとこっちを見上げていた。
多めに袖を引かれること。それは今日は家に来て欲しいという合図だった。
了解を示す首肯を返すと、有紀も真面目な顔つきでコクリと肯く。

帰宅の準備を済ませると、手を繋いで有紀の家に向かうことにする。
ちなみに相手から繋いでくれないので、毎回自分から強引に有紀の手を握ってる。
そして有紀は毎回ビックリしたような顔をわざわざ俺に見せてから、されるがままになる。
な、なんだよそのリアクション。いーじゃん恋人なんだしと、毎回少し慌てているのは秘密だ。

無口な彼女を持つと、二人っきりの時は結構無口になってしまうのだなあ。
それが最近発見した自分への発見だった。
というか喋りすぎると手を思いっきり握られて遺憾の意を表明される。
今では特に必要な会話以外はあまりしない。なんだかちょっと悲しいのは秘密だ。

でも、じゃあ険悪なのかというと、これが案外そうじゃなかった。
ゆっくり歩く彼女のリズムに合わせていると、普段気付かない発見があったりする。
黙って歩いていると周囲の音や景色がクリアになって、新鮮なものに映ったり。
そして、そんな中で彼女の横顔を見ると、なんだかひどくドキドキしてしまったり。
惚れた弱みといえばそれまでなのかも知れないが、なんだか現状に馴染んでしまってもいた。

そんなこんなで有紀の家に到着。
庭で吠えてるペットのゴンザを一瞥してシュンとさせると、有紀は俺をリビングに招いた。
電気ポットとティーバッグと砂糖を指差してから、自分の部屋に着替えに行ってしまう。
お茶菓子が欲しいなァ、と思いながら自分で淹れた紅茶をすする。いつものことだ。ほろり。
空腹に熱い紅茶がしみる。二杯目の紅茶が残り僅かになったとき、スリッパを鳴らして有紀が現れた。

「斬新なスタイルを考えてみた」

ずっと一緒にいたというのに、久しぶりに聞く声。透きとおるような声。くそう心の奥が震えるぜ。
というか彼女の格好は確かに驚きで、ブラを着けない子供が着るような、スリップ一枚だった。
斬新かどうかはさておいて、高校生男子にはエロすぎる格好です。本当にありがとうございました。
キャミソールくらい薄いワンピースみたいな、細い肩紐から太ももの半ばまでの白い袖無し服。
細い手足の肌の白さと、光の輪を浮かばせる黒髪とのコントラストが美しいったらない。

思わず見惚れていると、有紀はサラッとした素材のレース付きのスリップをスルッと脱いだ。
肩紐が左右に外されると、シュルシュルと肌を撫でるようにしてスリッパ履きの素足の上に落ちる。
そこから現れたのは、両方の乳首と、ぴっちりした縦スジに絆創膏を貼っただけの裸体だった。
お腹に両手を当てている有紀は、身体を少し捻るだけのポーズを取り、小首を傾げて見上げてくる。

「……斬新?」

全裸より恥ずかしい姿を晒す恋人に、俺は思わず熊が襲い掛かるときのようなポーズを取ってしまう。
ヤバイ。ナニコレカワイスギル。エロイ。ペタンコ胸ノ絆創膏エロイ。突ツキタイ。連打シタイ。剥ガシタイ。
そんな気持ちをググッと抑えて直立不動になると、天井を見上げながら深く息を吐いてリラックスする。

179:試し書き 無口少女と絆創膏 2/2 にっぷし
09/01/15 20:32:37 EMj3FZr7
「うん斬新。すげー可愛い。マジで。でも外で絶対しないでくれ。それと、風邪引くんじゃない?」

辛うじて寸評をすると、挙動不審な行動をツッコまない出来た彼女は、お腹に当てた手を開いた。
大好きなほっそりとしたくびれの中央に、白い小さな四角が張ってある。貼るホッカイロ。

「対策は万全」

エッヘンと、貼るホッカイロと絆創膏しか着て(?)いないお腹をクイッと突き出すように張る。
フフ、と笑う有紀のお腹に貼られた小さめタイプの貼るホッカイロを

「そぉい!!」

俺は慌ててベリッと引き剥がした。短いながらもぺりぺりとした震動が指先に伝わってくる。
ホッカイロを剥がされた締まったお腹の柔肌がぷるるっと震えて、なんともエロかった。
その下にちょこんと鎮座している絆創膏に目が行ってしかたない。もう本当に犯したいんですが。
お腹のあたりが寒くなり、不満げに眉根を寄せて俺を睨む有紀。

「肌に直接貼っちゃダメだ。低温火傷するかもって説明書きがあっただろ?」

小さな四角をヒラヒラさせながら言うと、有紀は少し首を傾げてからポンと手を打った。
どうやら思い出したらしい。まったく、低温火傷は詳しくないけど、痕でも残ったらどーすんだ。
ちょっとシュンとする有紀。励まそうと頭を撫でたら、ペチッと手で振り払われた。軽く傷付く。
頭撫でられるの嫌いなんだよな。今なら行けると思ったんだけど。撫でやすい位置にあるのに勿体無い。

「反省してる?」
「次から注意する」

ちょっとお互いにムッとした口調で言い合う。ちなみに俺は制服姿。有紀は全裸に絆創膏三枚だ。
あーちくしょう可愛い。黒髪をさらっと揺らして表情を隠して横顔を俯かせる姿とか最高すぎる。
俺は有紀の頬に手を当てて自分を見上げさせると、赤くて薄いその唇に吸い付いた。
肩と腰に手を回し、チュパチュパと、なんかこう赤身の刺身みたいな唇の感触を楽しむ。

唇を離すと相変わらずムッとした有紀の表情。そんな顔も可愛いから始末に終えない。
俺は有紀の脇の下からウエストラインまでを両手でゆっくり撫でながら降参した。

「ゴメン、我慢できない。超好きマジで。エッチさせてください」
「……イ」

「ヤ」の言葉をキスで塞いだ。有紀の身体から力が抜けるまでずっとずっと舌を絡める。
有紀が諦めたように舌を絡めはじめ、お互いに求め合うようになるまで三分くらいはかかった。

しかし、その後すんなりセックス出来たかというとそうはならなかった。
むしろ落ち着いた後で怒られて、ぺちぺちしたローキックと膝蹴りと頬っぺたむにむにの刑を食らう。
ごめんなさい。調子こいてました。ジゴロっぽいなし崩しセックスとか無理でした。許してください。
頭を下げると少ししてから撫でられた。頭撫でるの好きなんだよなコイツ。許して貰えたようでなによりです。

全裸絆創膏が気に入った有紀は、暫くその姿で過ごしたいと無言で示し、二人で家の中を散歩した。
なんというか、露出プレイというか、雌犬散歩プレイというか、そんなビジュアルで時を過ごす。
ときどき、絆創膏の上から有紀の小さな乳首を突付いたが、少し感じるだけでそれ以上させてはくれない。

たっぷり一時間くらいだろうか。背徳的な興奮に少しイキイキとした有紀との時間を勃起状態で満喫する。
ベッドの上で剥がす許可が出るまでモヤモヤさせられた俺は、自分が散歩されられた気分になった。
天然って凄いなあ、っていうお話でした。おしまい。


あ、階段上るときはお尻の穴が見えるのが恥ずかしくて俺を先行させてたのが可愛かったです。
お尻を両手で隠す仕草をした時、身体の前が無防備になって、なだらか雪原を見放題でした。おしまい。



次ページ
最新レス表示
スレッドの検索
類似スレ一覧
話題のニュース
おまかせリスト
▼オプションを表示
暇つぶし2ch

3840日前に更新/501 KB
担当:undef