無口な女の子とやっち ..
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219:名無しさん@ピンキー
09/01/26 00:48:58 N436EUqP
ところで俺がまだネクタイとハンカチ以外全裸な理由誰か知らない?
俺なにか大切なものを待ってた気がするんだ…

220:名無しさん@ピンキー
09/01/26 20:25:49 BX1VEdQ7
>>219
ハンカチを結びつけると思い出すかもしれないよ
どこにかは言わないけど

221:名無しさん@ピンキー
09/01/27 00:29:26 bjDWzL6N
手…無口娘に傷を手当てしてもらった事実
首…浮気がばれて無口娘に締められた失敗談
髪…昼寝しているときに無口娘にいたずらで髪を結ばれた思い出
足…隣の席の無口娘と二人三脚で仲が深まった過去
ちn(ry)…Sな無口娘に発射を我慢させられた体験


うん身に覚えはないが、心当たりはこんなもん。

222:名無しさん@ピンキー
09/01/29 00:21:58 jH7lyLMd
無口な子の耳たぶをはむはむして、悩ましげな声で悶えさせたい。

223:名無しさん@ピンキー
09/01/29 22:40:15 wmrAre6q
何で、無口な女の子とメールすると、普通…を使わないところで…使うんだろうな…

これが普通の無口な女の子なのか?

224:名無しさん@ピンキー
09/01/30 09:18:26 X3G91tOs
何…だと…

225:名無しさん@ピンキー
09/01/30 19:10:18 ZQncmZ0d
どう…して… とかも?

226:名無しさん@ピンキー
09/01/30 19:26:08 xNdoEVOE
>>225
それは最初の方にあったけど、今じゃないな

227:名無しさん@ピンキー
09/01/31 00:01:21 GRMJsGGX
無口さんとメールしてるとはなんて裏山…

228:名無しさん@ピンキー
09/01/31 02:04:11 cGXOjPQJ
てへっ☆あなたの雪ちゃんだよー☆
「あなたの」だなんてキャー恥ずかしー(*//////////////ー//////////////*)ボッ
今日はダーリンに手繋いでもらえて雪超ハッピー☆
ちょっと濡れちゃった!あのまま手を引っ張られて怪しいとこにつれてかれても
きっとたぶん全然抵抗できなかったよー^^v
でもダーリンはそんなことする人じゃないもんね☆ちょっとだけ残念カモー(*^^*)ポッ






というメールが来たのだが
普段無口で無表情でおとなしいアイツのメールで間違いないだろうか
アドレスはたしかに雪のなのだが、正直ギャップがありすぎて腰が抜けそうだ

229:名無しさん@ピンキー
09/01/31 16:33:39 pyu0NFBy
>>228
詳しく話を聴こうじゃないか

230:名無しさん@ピンキー
09/01/31 22:24:35 0CD5ip7D
昔、百鬼夜行というテーブルトークRPGがあって、そのメディア展開のなかに小説があってな。

そこに登場する文庫妖妃っつー妖怪が、まさにそんな感じの「普段は内気系無口、ネットだと
超ハイテンション」だった。


231:名無しさん@ピンキー
09/01/31 22:58:10 +JoIavVs
ココの住人に「森田さんは無口」(佐野妙・作)という4コマを勧めたい


232:名無しさん@ピンキー
09/01/31 23:03:42 h0TJ88+z
連載開始から時々話題にのぼってたような…森田さん

233:名無しさん@ピンキー
09/02/01 01:44:28 r2j8Z+D4
つか>>148の続きはまだッスか。

234:これでデレたら素直クールなのだが
09/02/01 17:25:32 WaQYH6lx
>>148ではありませんが……
時節ネタのラッシュに備え、一番乗りさせていただきます。非エロ


黒褐色の生地にナイフが入り、丁度良い大きさに切り分けられて行く。
漂うアーモンドの甘い香り。
湯気が立ち上る焼きたてのスポンジが、添えられたホイップクリームと共に、先輩の口元に運ばれる。
ちなみに生クリームでなくホイップクリームなのは予算の都合もあるが、何より濃厚なケーキ本体のしつこさを中和するためだ。
ゆっくりと噛み締め、味わう彼女。
その単純な作業を延々と繰り返す。
俺はその様子を眺めながら、ぬるくなりかけているコーヒーを喉に流した。
手持ちぶさた故の倦怠感と、評価を待つ間の緊張感。
先輩はいつもと変わりない。
俺の無遠慮な視線をものともせず、黙々と口を動かす。
長い黒髪を一つにまとめた鋭い美貌の美少女。
背筋をピンと伸ばし、寸分の隙もなく、上品ながら凄まじい健啖振りを見せる。
たっぷり15分かけ、6カット=17cm型の半ホール分のケーキを平らげた先輩は、ナプキンで口元を拭いながら、こう言い放った。
「70点」
2月某日。
休日を一日潰して作った苦心の作品に下された判決は、無情なものだった。
「自信、あったんですがね」
苦笑しながら俺も一切れ食べてみる。
自慢ではないが、専門店のそれには及ばないものの、そこらの量産品よりはよほど出来が良いと思う。
正直、何が彼女のお気に召さないのかが判らない。
伺うような視線を投げかけても、先輩はすまし顔で冷めたコーヒーをすするばかり。
いつもそうだ。
時々ふらりと家を訪ねては、俺にお菓子の注文をして、その殆どを胃袋に収め、点数だけ付けて帰っていく。
彼女の評価は信用している。
先輩の焼いた菓子を何度かご馳走になったこともあるが、俺に厳しい評価を下すだけのことはあり、かなりの出来ばえだった。
どうせ殆ど食べるのだから、彼女が作ったほうが早いとも思う。
個人的に先輩には日ごろお世話になっているので、見返り云々を言うつもりはない。材料費は向こう持ちだし。
しかし、今後の精進の為にも、数字以外の具体的なアドバイスがあってもいいんじゃないか。
空になったカップに、サイフォンからあがった新しいコーヒーを注いでやりながら、俺はそんな事を考えていた。
俺の胸中を悟ったのか、彼女は突然傍らに置いてあった野暮ったい男物の鞄の中を探ると、アルミホイルの包みを取り出す。
先輩が包みを解くと、中から黒褐色の塊が出てきた。

235:これでデレたら素直クールなのだが
09/02/01 17:26:53 WaQYH6lx
「これは?」
差し出されたそれを受け取って、戸惑う。
「80点の作例だ」
食ってみろ、ということか。
俺が先程焼いたのと同じもの、南仏風ガトーショコラを皿に据える。
外観は俺のものと殆ど差は無い。
当然のことながら冷め切っているケーキを一口大に切り分ける。
香りは悪くない。
「フム」
問題は味だ。
俺は一塊を口に入れる。
瞬間、口の中が爆発した。
「これは……ッ!」
生地が口の中でとろける。
それでいて噛み応え、食い応えがあり、軽さは感じられない。
濃厚ながら甘過ぎずしつこ過ぎず、これだけで満足できる様になっている。
咥内に広がる香ばしいアーモンドの風味。
真空パックの既成アーモンドパウダーでなく、丸ごとのアーモンドを挽いて作らない限り出せない味わいだ。
そして、気泡のきめが細かい割にしっかりしているので、底部でも自重に潰されておらず、上部と均一になっている。
「なんと言う美味……! 柔らかくしっとりとしていながら、フォークを入れても崩れず、表層はサクサク……!
アーモンド粉の新鮮さと香ばしさを両立させる絶妙の焼き加減……! パーフェクトだ……ッ!
これはまさに頬が落ちる美味しさ……ッ!!」
思わず、俺は席を立ち頬を押さえて絶叫を上げていた。
我に返ると先輩の冷ややかな視線を意識し、顔を赤らめつつ席に戻って残りを頂く。
うん、やはり美味しい。
これ一切れで、今日がんばった分に十分見合う。
「マジで旨いですよ、これ。俺的には100点満点です。
これと比べると俺のなんて豚の餌……は、言い過ぎにしても、明らかに見劣りがするのは判ります。
配合、泡立て、焼成の全部、文句の付けようがありません。
材料同じなんでしょう? 先輩ん家オーヴン普通のだし、何が違うんでしょうね。
やっぱり腕か。腕の違いか。
俺ももっと精進しないとなー」
「そうか」
俺の長い感想を一言で切って捨てると、先輩はコーヒーカップを傾ける。
いつもの仏頂面が、ほんの少しだけ崩れているような気がした。

結局。
それが先輩からのバレンタインチョコであったのに気が付いたのは、彼女が帰ってから2時間後のことだった。

236:これでデレたら素直クールなのだが
09/02/01 17:37:51 WaQYH6lx
以上です。短いです。
長いの書こうとしたら無口娘が殺っちゃう話を書いていました。特撮系板にブチ込みました。
男さんにデレる素直な無口娘の話を書くにはどうしたらよいのでしょう。

237:名無しさん@ピンキー
09/02/01 19:06:48 FtTn+37H
>>236
gj

これ見たらチョコケーキ食いたくなって買ってきてしまったよ…

238:名無しさん@ピンキー
09/02/01 22:35:15 ePaqLEIa
うん

239:名無しさん@ピンキー
09/02/02 01:21:48 FQPeXVXH
>>236
gj
男になにかを要求したりさせればデレてるように見えるんじゃないかなー
抱擁、なでなで、キス、明日も会うこと、ずっと傍にいること、etc

240:名無しさん@ピンキー
09/02/02 01:35:42 Ts4WZPrH
>>236
とりあえず、無言で男の裾をぎゅっとつまむ無口娘をイメージしろ。
イメージできたか?
あとは、二人はどういう関係なのかとか裾をつかんで娘は何を男求めてるのか
とか、そのイメージを膨らませろ。

241:名無しさん@ピンキー
09/02/02 01:37:00 MYaleYDr
>>236
GJ!!!
なんだが>>234の一行目はもしや14日以前に続きがこないということだろうか
ずっと全裸にネクタイとハンカチとなんだけど・・・

242:名無しさん@ピンキー
09/02/02 01:40:37 ia293nU3
いや、本人じゃないっていう断りだろw

243:名無しさん@ピンキー
09/02/02 02:24:01 6q8xP1lD
>>236
この無口さんの場合は無理にデレさせるより彼にしか分からない範囲という限定付で普段の無口さんとは違う部分の描写を増やす方が自分には最強。

244:名無しさん@ピンキー
09/02/02 12:56:43 FHgDPXuo
>>236
GJ
締めの文がとても良い

245:名無しさん@ピンキー
09/02/02 23:56:50 ppw4vX2W
無口さんからチョコをもらうなら?
1ちゃんと向かい合って渡される
2手紙付きでポストに入っている
3気付いたら自分のポケットに入っている
4無口さんの家でチョコレートフォンデュ
5無口さんの体がチョコレートコーティング


246:名無しさん@ピンキー
09/02/03 01:58:09 xbPPtfKA
>>245の無口さんが野口さんに見えたせいで
ちびまる子のあのキャラしか浮かんでこないw

247:名無しさん@ピンキー
09/02/03 06:15:27 1WimwvMF
おっぱい型チョコを公衆の面前で天然系無口に渡されたい

248:名無しさん@ピンキー
09/02/04 07:04:30 0V3QZj7i
残念! ぺったんこだった!

249:名無しさん@ピンキー
09/02/04 09:35:08 6PgLJmsA
「……これ」
「ん? あぁ、チョコ? ありがと。 大事に食べるよ」
「(顔を真っ赤にしながら)…………私だと……思って食べて」
「??」

家に帰って

「あれ? なんだろ、妙に薄い上に、へんな突起があるんだけど……。
 ん? これは、メッセージカード?」
『私のおっぱいで型どりしてみました。
 私だと思って存分にむしゃぶりついて下さい』
「なんじゃそりゃぁぁぁ!」

結局、突起部分をなめなめしながらおいしく頂きました。
後日、あのチョコをくれた幼なじみもおいしく(ry

ていう電波ゆんゆん
まだ早い! まだ早い!
すまん、まだ早い!

250:名無しさん@ピンキー
09/02/04 10:54:19 mjongScz
>>247
俺が想像したのは、むき出しで渡して

男「……あの……これ……(大汗)」
周囲「( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` ) 」
女「おっぱいが好きって……言ってたから……」
周囲「( `д)ヒソ(`д´)ヒソ(д´ )!」
男「ちょwwwwwwwおまwwwwwwwww」

少ない口数が悪意なくピンポイントで男を追い込む、みたいなー。。


251:名無しさん@ピンキー
09/02/06 19:51:03 Qt+mHFp5
超亀レスだけど懐かしさのあまり

文車妖妃のふみちゃんか
本気で怒らせるとヤバい、メールがヒドい
しかし対面すると喋るどころか目も合わせられない
あれはいいキャラだった・・・

252:名無しさん@ピンキー
09/02/06 19:52:04 AAl00g+P
二回目のヒソヒソから殺意を感じるんだがwwww

253:名無しさん@ピンキー
09/02/06 19:52:20 l72A0Qzw
妖という字とその後の文章でマリオに出てくるテレサを連想したのはきっと俺だけ

254:名無しさん@ピンキー
09/02/08 18:09:40 +IfPU/zP
……ほしゅ

255:名無しさん@ピンキー
09/02/09 02:08:41 SjJOOTUr
…ほしゅ

256:名無しさん@ピンキー
09/02/09 17:02:04 Gi02Se1F
たまには上げるか

257:名無しさん@ピンキー
09/02/10 06:28:59 /FwXzkMZ
・熱血系無口
・お嬢様系無口
・高飛車系無口

258:名無しさん@ピンキー
09/02/10 10:50:40 g5Dx65wv
>>257
全部想像できん。
具体例を挙げてくれ(´・ω・`)

259:名無しさん@ピンキー
09/02/10 16:01:37 xeBOO8SH
ツイ
「はい、鞄ですね。お持ちします」
「……」
「ああすみません、椅子、おひきします」
スッ
「……」
「手?エスコートしろと?……はい、かしこまりました…」

「何やってんだ?あいつら」
「今朝寝坊したから罰として一日執事だとよ」




お嬢様系無口と聞いてこんな電波を受信

260:名無しさん@ピンキー
09/02/10 19:15:01 aMbgsDvW
このスレって病気とかで先天的な無口、
喋りたくても喋れない娘ってあんまり出てこないよな?
ONEの上月澪みたいな
やっぱり無口な娘がたまに喋ることの方が萌えるのか

261:名無しさん@ピンキー
09/02/10 20:16:01 YE4VtJt5
>>260みたいなのもいいけど
本当になにもしゃべってくれないより
時間かかってもいいから応えてくれるとうれしいよな

主観的な意見で悪かったかも

262:名無しさん@ピンキー
09/02/10 20:45:29 sLuXxglr
なんとなく書きにくいな〜って感じだな。病気とかだとやっぱり無責任なことも書けないし。
気にする必要ないって思われるかもしれないけど私的に気にしてしまう。


263:名無しさん@ピンキー
09/02/11 01:42:05 n1q0AIb5
>>258
熱血系無口:黙って俺について来い! な寡黙な姉御肌
お嬢様系無口:いつも口元を扇子で隠して、他者との会話は付き人に耳打ちして行なう
高飛車系無口:傲岸不遜、顎を振るだけで他人を命令したり、無言でグラス差し出して酌させたり

264:名無しさん@ピンキー
09/02/11 09:24:08 CjllfswZ
>>263
真ん中だけツボかな。なんかエロイ。扇子で隠すのって。

265:名無しさん@ピンキー
09/02/11 10:27:16 CeZA7KOf
>>263
真ん中はアイゼナッハを思い出したw

男だけど…

266:名無しさん@ピンキー
09/02/11 10:42:26 00ftbNr1
>>265
耳打ちする時点でアイゼナッハではない希ガス

267:名無しさん@ピンキー
09/02/11 18:10:15 qykjLbsT
>>263
マイナーだがれでぃばとに真ん中みたいなキャラがいたような

268:名無しさん@ピンキー
09/02/11 20:13:35 d/AIRGQq
>>265
1杯のコーヒーと2杯のコーヒーを飲まないか?

269:名無しさん@ピンキー
09/02/11 21:29:00 vJJdCuQc
話をぶち切ってすいません。
>>236ではありませんが>>240のシチュで書いてみました。
短いですけど。

投下します。

270:名無しさん@ピンキー
09/02/11 21:29:50 vJJdCuQc
突然裾を引っ張られ、僕は一緒に歩いている少女を振り返る。
「どうしたの? 麻耶ちゃん」
僕の問い掛けに彼女は裾を掴んだまま僕の顔をじっと見る事で答える。
潤んだ瞳が何かを求めているとは分かるけど何を求めているのかまでは分からない。
「喉が渇いたのかな?」
麻耶ちゃんはぷるぷると顔を振り、否定する。
「なら……どこか寄り道したいところでも出来た?」
これもまたぷるぷる。
麻耶ちゃんと付き合いだしてまだ日が浅い僕は表情だけでは彼女が何を求めているのかが分からない。
直也なら簡単に分かるんだろうな、とそんな事を思う。
僕の親友にして彼女の幼馴染み。
赤ん坊の頃から麻耶ちゃんと一緒にいる彼は何時だって彼女の心の内を知り尽くしている。
ちょっとした表情で、何気ない仕草で、彼女が求めるものに簡単に気付いてしまう。
僕と麻耶ちゃんが付き合うと知った時「これからはお前の役目だな」と彼は笑っていたけれど、僕はその役割を果たせていない。
それが歯痒く、悔しい。
裾を引っ張る力が僅かに強くなる。
察する事の出来ない鈍感な僕に焦れたのか麻耶ちゃんの口が開き―言葉を発する事なく再び閉じる。
僕が察する事が出来ないように麻耶ちゃんもどう伝えれば良いのか分からないのかもしれない。
今までなら―直也なら言葉にせずとも伝わるから。
それは僕よりも直也の方が彼女の事を知っているという事で……正直、嫉妬してしまう。
2人が仲が良いのは良い事だし、麻耶ちゃんを理解している直也を尊敬すらしているのに、こんな感情を抱く自分が……情けない。
くだらない感情を胸の奥に押し隠しながら、直也のように気持ちを察そうと彼女の顔を見つめる。
潤んだ瞳。よく見れば頬も若干赤く染まっている。
…………恥ずかしがってる、のかな?
恥ずかしい……お願い事?
って、あれ? なんだかいきなり真っ赤になっちゃったんだけど……。
麻耶ちゃんは俯いて、僕の裾を引っ張りながら早足で歩き出した。
一体どうしたのかと困惑する僕だったけど、周りを見てようやく気付く。
ここは天下の往来で僕達はそこで突然立ち止まり、見つめ合っていた。
そりゃぁ通行人の皆様方は僕達を見るだろうし、恥ずかしがり屋の麻耶ちゃんがそれに耐えれるはずもない。
……僕だって今更ながら顔が熱くなるのを感じている。
それにしてもよっぽど恥ずかしかったんだな、麻耶ちゃん。
いつもと違ってきびきびと歩く姿からもそれが窺える。
そんな彼女の背中を眺めているとなんだか無性に可笑しくなって、僕は気付かれないように少しだけ笑いを漏らした。


271:名無しさん@ピンキー
09/02/11 21:30:36 vJJdCuQc
☆☆

麻耶ちゃんに引っ張られ辿り着いたのは小さな公園。
寒さのせいか、それとも少子化で元々子供がいないのか公園の中は無人だった。
歩みを止め、麻耶ちゃんが振り返る。
向かい合う格好になったけれど、麻耶ちゃんはまだ恥ずかしいのか俯いたままだ。
「…………さ、寒いから……」
続く言葉は口の中でごにょごにょ呟いているせいで聞き取れず、なんだろうと思っていると彼女は突然抱きついて来た。
「……寒いから…………ぎ、ぎゅって……して?」
甘いお願いに頭がくらり、とした。
そんなの断る理由がない。というかこっちからお願いしたいくらいだよ。
麻耶ちゃんの背中に腕を回し、軽く力を込める。
腕の中に収まる彼女の温もり。
身体だけじゃなく心まで温まってくる。
……麻耶ちゃんには敵わないなぁ…………。
彼女の温かさが、言葉が、色んな事に気付かせてくれる。
「……かず君」
彼女の呼びかけに少しだけ離れ、距離を取る。
上目遣いで僕を見る彼女の瞳はやっぱり潤んでいた。
僕はもうこの表情の意味を理解している。
彼女が教えてくれた。
麻耶ちゃんは潤んだ瞳をそっと閉じ、僕も同じように目を閉じて顔を近づけていく。
「…………んっ……」
麻耶ちゃんの事をなんでも知っている直也に僕は嫉妬している。
鈍い僕は麻耶ちゃんが考える事をすぐに察する事が出来ない。
けど大丈夫だ。それは麻耶ちゃんが補ってくれる。
恥ずかしがりながらも一生懸命、自分の気持ちを伝えてくれる。
そうやって知っていこう。憶えていこう。
重なり合う小さな温もりを離し、目を開く。
今日知ったばかりの、憶えたばかりのものがそこにある。
これは誰も知らない、直也さえも知らない。
彼女が僕に見せる、僕だけに見せてくれる。

潤んだ瞳。
赤く染まった頬。

麻耶ちゃんが僕に甘えたい時に見せる甘い甘い表情――。


272:名無しさん@ピンキー
09/02/11 21:33:05 vJJdCuQc
終わりです。

ちぃ、おぼえた! 一言で言えばこんな話かなって思ってみたり。

それでは、また。

273:名無しさん@ピンキー
09/02/11 22:18:43 8wcufXaG
萌えた
一瞬NTRかと思ったけどな

274:名無しさん@ピンキー
09/02/12 00:02:56 kf0L0g8v
「無口な女の子が言いたいことが分かる親友(この場合女でも男でもいい)」がいて
それに嫉妬、だけどそんな自分が情けない、ってシチュ好きだわー


275:名無しさん@ピンキー
09/02/12 03:18:40 Qwigti0a
>>263の熱血系無口を見て

寡黙な姉御肌でちょっと逞しい大工の棟梁の娘さん、
無口だが仕事の腕は一人前で周りのおっちゃん達の信頼も厚い。
仕事が一段落ついた夜の飲み会で、バイトの青年の隣で
呑んでいた姉御が珍しく泥酔。
おっちゃん達の命令で青年が姉御を家まで送り届けることに。
だが家に着いた途端、青年は姉御に押し倒される。
泥酔は嘘でおっちゃん達もグル。
そうして襲われた青年はあれよあれよという内に大工の跡継ぎに。

という妄想をしたが誰かSSにしてください

276:名無しさん@ピンキー
09/02/13 00:18:19 QiW28lZo
>>275
あらすじできてるなら自分で書きなはれ。


277:名無しさん@ピンキー
09/02/14 00:16:12 af30JYsC
>>275

姐御スレにそれに近い話が・・・

278: ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:07:52 viYep37N
時期は丁度終わりましたが、時節ネタをやらせていただきます。

11レスほど。非エロ。軽度の近親相姦あり。

279:じぇみに。に ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:09:53 KJSIgY1k
私は馬鹿だ。
夕方のキッチン、半日かけて作ったそれを前にして、滝口睦月は自分の愚かしさに愕然としていた。
大きなハート型。
純白の地の上に黒いイタリックで"I Love You"。
仕上げにピンク色のリボン、後は小奇麗な包装紙に包み、更にリボンを結べば完成。
凄まじい馬鹿馬鹿しさであった。
正しく阿呆の所業であった。
どこのラブコメだ、今時少女漫画でもこんな愚挙は見られない。
これを冗談でもなんでもなく、大真面目で想い人に渡そうとしている自分は、きっと病気なのだろう。
恋と言う精神疾患だ。
睦月は溜息をつくと、それに丁寧なラッピングを施し、リボンをかけた。
それを手に取り、睦月はしばし躊躇う。
後は簡単だ。一時の気の迷いと言うことにして、ゴミ箱に放り込むなり、自分の胃に収めるなりすればいい。
これを渡してしまえば、もう後戻りはできない。
いくら彼が鈍感とは言え、表面に書かれた文字の意を取り違えるのは無理だ。
断られれば良い。
暫くは気まずいかもしれないが、数日で忘れ、元の友人の関係に戻れる。
だが、ひょっとして、万が一、受け入れられる様なことがあれば。
ちくりと胸が痛む。
睦月は己の躊躇する理由が何であるか、自覚している。
そしてそれが"彼ら"にとって失礼極まりない勘繰りであることも、判っている。
睦月は深呼吸し、目を閉じると、意を決してチョコレートを鞄の中に収めた。


滝口睦月という少女は、渡辺綱という少年に恋愛感情を抱いている。
この事実は同学年の間では周知であった。
彼女本人は明確に好意を否定するが、「べ、別に私は綱のことどうとか……ゴニョゴニョ」などとテンプレの様な回答では説得力がない。
睦月は昼休みや放課後、暇を見付けてはクラスの違う綱の周りに居座り始める。
また、綱と他の女子が親しげにしているだけで、途端に挙動不振に陥り、ジトリとした視線で彼の様子を注視し始めるのだから、一目瞭然であった。
誕生日、修学旅行、長期休暇。
睦月はイベントの度に、遠回しでありながら周囲には見え透いたアプローチを綱にかける。
こんな関係を、この二人はもう3年近く続けているが、その間彼らの間には進展も破局も全く見られていない。
その理由は主に3つ。
一つは二人が通う学校、中高一貫の北原学園はミッション系であり、不純異性交遊が禁じられていること。
ただ、これはあくまで建前上。
北原学園はどちらかといえば地方の数少ない進学校としての側面が重要視され、この手の学校としては法外といっていいほど規律が緩い。
男女はクラス別とは言え、共学で男女の垣根は低く、行き来は自由である。
故に、これを理由としてあげるのは不適当かもしれない。
もう一つ、睦月が綱に対し好意を明確にできない主たる理由は、渡辺綱という少年が絵に描いたような朴念仁であること。
部活、スポーツ、旅行、ゲーム、試験一日前限定で勉強も。
何事にも全力でぶつかり青春を謳歌する綱だが、こと恋愛に関しては思考の隅にすら入っていない。
もともと人心の機微に疎い方ではあり、まして乙女心など理解の範疇外。
文武両道、成績優秀、眉目秀麗…と言う程でもないが、顔かたちは整っている部類に入り、女性に好かれる要素が少なくはない筈だが、浮名を流した女子は殆どいない。
彼の鈍感さや"ガキっぽい"性格を知りつつ近付く物好きは、睦月以外にいなかったのである。
そしてもう一つ、これが最大の問題なのだが、それが――。

280:じぇみに。に ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:11:13 KJSIgY1k
「結?」
昼休みの時間。
睦月の目の前には、穏やかな微笑を浮かべた、すらりとした長身でセミショートの同級生。
何時もの面子と共にサロンで弁当をつついている睦月に、その少女が何がしかを差し出す。
カラーフィルムに包まれラッピングされた、指二本分くらいの長さ太さの物体。
目線でその意図を問い返すが、少女、渡辺結は微笑み返してくるだけで返答は無い。
「バレンタインのプレゼントだ。友チョコってやつ。チョコじゃないが」
睦月の向かい側で弁当にがっついている少年が結の意図を代弁。
彼は結の兄である渡辺綱、睦月の想い人その人である。
「あ、ありがとう」
結から菓子を受け取りフィルムを開けると、飴がけのアーモンドクッキーが出てきた。
漂うほのかな柑橘の香り。
一口齧ると、キャラメルの香ばしさとナッツの旨みが口に広がる。
「おいしい……」
「そうだろう、そうだろう」
何故か満足そうに頷く綱。
「俺も手伝ったからな。結の愛情は勿論、俺の愛情も入っている」
睦月は思わず喉を詰まらせ、むせる。
「あ、ワリィ。キモかったか?
でも別に余計なモンは入れないぞ。ちゃんとレシピ通り作った。
愛情云々は冗談だから気にすんな」
「べ、別に愛情が入ってても……」
顔を赤らめモゴモゴと口ごもる睦月だが、例によって綱は少女の態度に気付かない。
(逆チョコって考えてもいいのかな。この場で食べずに取って置けばよかったかも……。
でも日持ちするものじゃないし……)
だが一口齧ったまま、顔を真っ赤にして、クッキーを手に固まっている睦月の様子がヘンであること位は、判る。
「滝口? おーい滝口。聞いてるかー?」
綱は睦月の目の前に手をかざして左右に振るが、反応は無い。
「滝口の奴はどうしてしまったのだろう」
「さあねえ」
「俺が知るか」
睦月の横でサンドイッチを頬張っているぼさぼさ髪を一くくりにした女子が肩をすくめ、少し離れた所で弁当を黙々と口に運んでいる眼鏡の男子がつっけんどんに返した。
兄の隣に座りなおした結は苦笑している。
綱は釈然としないまま、弁当箱に残っているミニトマトをヘタごと口に放り込んだ。

281:じぇみに。に ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:12:57 KJSIgY1k
むぐむぐと咀嚼しながら、綱は未だトリップしている睦月の傍らに置かれた小さな箱に目を止める。
綺麗にラッピングされ、リボンを掛けられた何か。
「おお、これは」
時期的に考えて、チョコレートしかありえない。
さらに、どう見ても本名。
綱はしげしげと睦月のチョコレートを眺める。
「意外だなー。滝口がバレンタインでチョコレートなんぞ持ち出すとは。
市販じゃないっぽいし、まさか手製か?
滝口も乙女であったと言うことだな、うんうん。
で、相手は誰よ」
「え!? え、う、あ……」
我に返った途端、興味津々の綱に詰め寄られ、睦月は動揺する。
折角向こうの関心が向いているのだから、チョコレート渡すなら今しかない。
そう思いつつも踏ん切りがつかない睦月。
「何でさっさと渡さんのだ、滝口は」
「昼食前に渡そうとしたは良いけど、公衆の面前で恥ずかしくなり、タイミングを伺いながらずるずると先延ばし。
そんなところじゃないのかねえ」
外野の三人は小声で話しながらその様子を眺めていた。
「いや、喋りたくないなら良いんだが。
だったらそれ、しまっといた方が良いぞ。
一応本校ではバレンタインにおける生徒間での物品贈答は禁じられている。
建前だけだが、うるさい先生もいるし」
綱は話題を打ち切り、元の席に戻ろうとする。
「綱っ!」
「な、何だ?」
睦月は思わず綱の腕を掴んでいた。
綱は突然の大声にたじろぐ。
一方の睦月も、何も考えず呼び止めてしまったので、未だ動揺の最中にあった。
それでもなんとかぐるぐると回る思考をまとめ、意を決して口を開く。
「放課後、屋上に、来て欲しい。大事な、話がある」
「お、おう」
頭にクエスチョンマークを浮かべながらも、頷く綱。
「でも一体何の用だ? まさか果し合いとか」
だが、相変わらずその思考は的を外れていた。

282:じぇみに。に ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:14:39 KJSIgY1k
「そのシチュエーションを提示されて、何も思い当たる所がないのかねえ」
「阿呆だな。救い難い」
結も苦笑いのまま頷いて同意。
「何だよ。だったらお前らは何か判るのか――って」
二人が結からヌガークッキーを受け取り、包みを開いている。
「伊綾、何故、お前までそれを貰っている?」
「義理だろう。何の問題がある」
綱はクッキーを口に放り込もうとした男子、伊綾泰巳の腕をがしと掴む。
「結が誰と付き合おうが、俺が口を挟むべき問題じゃねえ。
だが、俺を"お義兄さん"と呼ぶ男は、俺よりも強くなければならんのだ」
「はあ? どこをどう解釈すれば、そう話が飛躍するんだ。
脳まで爛れたか、このシスコン」
伊綾は掴まれた手を振り解き、綱の顔面に裏拳を飛ばす。
綱がその拳を受け止め、両者そのまま腕に圧力を込め、力比べに入る。
腕が離れたのは同時。
その勢いで距離を取ると、二人は互いに腰を落とし、構えを取った。
「別に俺は渡辺妹に懸想している訳では無いんだがな」
「俺の妹に魅力がないと言いたいのか!」
「どう答えろって言うんだ!」
伊綾は素早く距離を詰めながら姿勢を低くすると、地面すれすれのローキックを放つ。
綱は跳び上がってそれを回避、伊綾の頭部に跳び蹴りで迎え撃つ。
伊綾はキックの勢いを利用して体を捻りながら、綱のつま先を避ける。
位置を交代し、再び離れる両者。
「どうしても結と付き合おうと言うなら、俺の屍を超えて行け。
付き合わんと言うなら結を侮辱したものと見なす。一発殴らせろ」
「丁度良い。渡辺妹等どうでも良いが、お前とは一度決着を付け様と思っていた」
右腕を引き左腕を突き出し、手を開いて掌打の構えに入る綱。
伊綾は指をポキポキと鳴らすと、全身の力を抜き、両手をそっと握って顔の前まで上げる。
一触即発の空気が漂う。
ごくり、と唾を飲む音が響く。
「こ、これはやばいんでないの?」
「いつものこと」
睦月は比較的落ち着いていた。
怪我でもしたらと心配ではあるが、二人ともそれなりに喧嘩慣れしているので大事にはならないだろう。第一、自分では止めようがない。

283:じぇみに。に ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:16:21 KJSIgY1k
ポニーテール少女の心配を余所に、間合いを計りながら互いに隙をうかがう男二人。
やがて、両者の足が同時に地を蹴った。
そして、同時に足を払われ、もんどりうって倒れ伏せる。
彼らの中間に、箒を腰溜めに構えた結が佇んでいた。
結は口をへの字に曲げ、腰に拳をあてると、腰をしたたかに打ち痛がっている兄の前に仁王立ち。
「結? あ、いや、そうじゃなくて、俺は……。
え、義理チョコ一つでむきになるな? 身内として見苦しい?
でも、俺は―、俺は…………。
はい、俺が悪かったです。ごめんなさい」
妹の前で正座させられ、しゅんとうな垂れる綱。
睦月は二人の様子を呆気にとられながら眺めていた。
「……怒ってる結、初めて見た」
「そうか? 兄貴の前では結構表情豊かだぞ、あいつ」
腰を抑えながら説明する伊綾。
「伊綾ー! 結はお前も悪いって言っとるぞ。
お前もここになおって、お叱りを受けろ」
「何で俺まで」
『先に仕掛けたのは伊綾です。故に兄と同罪です』
携帯電話の液晶に文字を打ち込み、伊綾に突きつける結。
伊綾は手をひらひらと振る。
「悪いが俺はお前の言ってる事が判らん。後で兄の方から聞いて遣るから、今は遠慮させて貰う」
『判りました。兄を二人分叱っておきます』
「何故ッ」
二人とも綱の抗議に耳を貸さない。
再び説教が始まる。
相変わらず結の口は動いていない。声も聞こえない。
にも拘らず、綱はあたかも彼女に叱られてるように振舞う。
否、実際に叱られているのだろう。
彼にしか聞き取れない声で。
睦月は寂しげな視線で、二人のきょうだいを見詰める。
結の"お説教"は数分に及んだが、その間ずっと、睦月の胸の小さなモヤモヤは晴れなかった。


284:じぇみに。に ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:17:30 KJSIgY1k
一足先に箒をしまいに戻った結に遅れて、弁当を片付け校舎に戻る。
綱の後ろをついて来る睦月は、何だか元気がなかった。
「どした? 滝口?」
綱も、こう言う事だけは妙に気が回る。
睦月はそれが少しだけ嬉しかった。
「綱は」
口ごもる睦月。
「綱は、結のことは何でも判るんだね」
「んな事もねーよ」
憮然と反論する綱。
「なんとなく言いたいことが判るってだけだ。
心ン中全部お見通しってわけにゃ行かない」
「でも、綱は結が言いたいことは全部理解してる。
結が怪我とかしたら、飛んで来る」
彼らきょうだいは感覚、感情をも共有している節がある。
睦月と綱らとの付き合いは数年でしかないが、その間二人が言葉もなく通じ合っているのを、幾度となく目にしていた。
街中で金を持ち忘れ困っている綱に、家にいた結が財布を届けに着たり。
結の教室で力仕事が必要になるといつも、どこからともなく綱が手伝いに着たり。
綱が腹をすかせていると、食料を携えた結がひょっこり顔を出したり。
結が交通事故に会った際、転んだだけで平気そうにしているので大事無いかと楽観していたら、血相を変えてやって来た綱に病院に担ぎ込まれ、実は骨折していたことが判明したこともあった。
双子の神秘なのかは知らないが、彼らほどの絆で結ばれたきょうだいを、睦月は知らない。
だが当の綱は、これを特別なものと考えてはいないようだ。
「結に伝えようって意図があれば、ある程度は、な。
なんでか知らんが、痛い暑いの感覚が伝わったりもする。
それでも理解できることに限界はある。
例えば俺が股間をしこたまぶつけても、結は平気だ。
逆にあいつが生理痛で苦しんでても、俺はその痛みを判ってやれない。
肉体的な感覚だけじゃねえ。
好き嫌いの違い、ものの感じ方、考え方にしたってそうだ。
俺の経験したことを結が経験するわけじゃないし、あいつの記憶はあいつ自身のもんでしかない。
記憶が違うって事は、何か新しい事態に直面した際、判断基準となるものさし、記憶の中の比較対象も違ってくる。
周りが善人ばっかの環境で育ったら、簡単なサギにも引っかかるだろうし、一回騙されりゃ疑り深くなるわな。
そんな感じで、例え最初に互いの感覚や記憶を同一に揃えたとしても、その差異は時間が経てば指数関数的に広がっていく。
だから、結がどう行動するか完璧に予測しろって言われても、不可能に決まってる。
クオリアにない概念を共有することはできないんだ。
俺たちは結局、別の人間なんだよ」
時々、綱は妙に知的っぽい喋り方をする。
普段の体育会系な綱とはギャップがあり、睦月にはそれがなんだか可笑しかった。
「そうだとしても、結は綱のこと信頼してる。
それはきっと、綱が結のこと大切にしてるからだと思う」
綱はさらりと、なんでもないように答える。
「当たり前だろ。俺はあいつのことが好きだからな」
その言葉を聞いて、睦月はガツンと頭を殴られたような衝撃を受けた。
勿論、彼の言う"好き"に家族としての感情以外の意味が無いのは判る。
それでも、彼から"好き"と言う言葉は聞きたくなかった。

285:じぇみに。に ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:20:03 KJSIgY1k
綱と結は、もうとっくに一線を越えてしまっているのではないか。
たまにそんな馬鹿馬鹿しい考えが頭に浮かぶ。
そしてその度に、睦月は深い自己嫌悪にとらわれる。
有り得ない話だ。
結は常識人だし、二人とも倫理観はちゃんとしている。
何より、彼らがお互いの将来を破滅させるような選択を取るはずがない。
判ってはいるのだが、嫌な想像を止めることができない。
そんな下卑た妄想をしてしまう自分が酷く惨めに思えた。
何より、その可能性を怖れる本当の理由は、倫理などではなく、単なる嫉妬に過ぎないと自覚しているから。

不意に瞼からぽろぽろと滴を零す睦月を見て、綱は大いに慌てる。
「たっ滝口! なんで泣く!」
「泣いてない」
目をぐしぐしと袖で拭うと、睦月はそっぽを向く。
綱は睦月の頭を抑えると、ハンカチを取り出して無理矢理顔に押し付けた。
「泣いとるだろーが。さっさと拭け。
ああもう、こんなとこ誰かに見られたら身の破滅だ」
綱は周りを見回しながら、軽く睦月の肩を抱き寄せた。
背の低い睦月の体は、がっしりした綱の腕にすっぽり収まってしまう。
彼女の背をさすりながら、綱は睦月が落ち着くのを待った。
「俺、なんか拙いこと言ったのか」
睦月は首を振った。
「綱は悪くない」
「男は女の子を泣かせちゃいかんのだ。とにかく、話してみろよ」
「本当に、なんでもないから」
睦月は綱の腕を解くと、彼から身を離す。
少年のぬくもりが、名残惜しかった。
「綱」
「ん?」
「何があっても、結を大切にしてあげて」
何を今さら、と綱は鼻を鳴らした。
「当然だろ」
睦月は微笑む。
それでいい、それでいいのだ。
彼らはいつまでも共に歩めば良い。
その隣を歩むことは、自分にはできないかも知れない。
それでも、彼らが幸せなら構わない。
綱には結の事を一番に思っていて欲しい。
睦月が好きになったのは、そんな綱なのだから。

時計を見ると、もうすぐ昼の休憩時間も終わりだった。
睦月は綱に別れを告げる。
立ち去る睦月を見送りながら、綱は暫く立ち尽くしていた。
心のどこかに引っ掛かりを感じる。
さしもの人心の機微に疎い綱とは言え、睦月の態度の違和感に気付きつつあった。
「まさか、あいつ……」

286:じぇみに。に ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:21:00 KJSIgY1k
終業のベルが鳴る。
教科書をまとめ、足早に教室を出ようとする睦月の肩を誰かが叩いた。
「結」
相変わらない微笑を浮かべた結は、すっと上方を指差す。
屋上に行って来い、そう言うことだろう。
だが睦月は俯いたまま動かなかった。
「私は、行けない」
ぽつりと弱音を零れる。
それを聞くと、結の笑みが若干堅くなった。
睦月の腕を掴み、ずんずんと歩き始める。
「ちょ、ちょ……っ。む、結っ」
結は聞く耳を持たない。
どんな意図があれ、約束を破るのは許さない。普段より堅い表情がそう語っていた。
そのまま睦月を階段まで引っ張っていく。
「結は……。結は、それで良いの?」
二人の足が止まる。
結は首を傾げた。
「ひょっとしたら、綱は私の、告白を、受けるかもしれない。
そしたら、結でない他の女が、綱の一番近くに居座ることになる。
綱はいつか、結の所から離れて行っちゃうかも知れない」
結は睦月の腕を掴んだまま、じっと耳を傾けている。
「それとも、余裕なの?
綱が私を振るって知ってるから。
私でなくても、他の女性が綱と付き合うなんてこと、永遠にないと判っているから」
結はゆっくりと頭を振った。
その間に素早く携帯電話のボタンを打ち込む。
『兄が睦月を男としてどう見るかは、私にも判りません』
液晶に表示された文字を見て、睦月は綱の言葉を思い返した。
結局は別の人間。故にクオリアの無い概念を共有できない。
綱には女としての結を、結には男としての綱を理解することはできないのかもしれない。
結は更に続けて文字を打ち込む。
『私は、誰かをお義姉さんと呼ぶなら、睦月が良いです』
不覚にも涙がこみ上げる。
「でも、私は……っ!
綱とあなたの関係を、勘繰ったり。
勝手に勘違いして、結に嫉妬したり。
こんな私、知られたら、きっと、つ、綱はっ」
結はそっと睦月を抱き寄せた。
暖かい。
日ごろ鍛えている結の体は、少女のものにしてはしっかりしていた。
きょうだいだからだろう、なんとなく、綱の感触と似ている。睦月はそんな事を考えていた。
暫くして、睦月は結の腕から抜けると、瞼を拭って無理矢理笑顔を作った。
「ありがとう、いろいろ。
それじゃ、玉砕してくる」
そう言うと、睦月は身を翻し、上りの階段へと向かう。
結びは苦笑しつつ、その背中にサムズアップを送った。

287:じぇみに。に ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:22:49 KJSIgY1k
夕暮れ時の屋上。
特に立ち入り禁止指定はされていないものの、冬の風が強いせいか、この時期に人影は少ない。
睦月が扉を開けた時も、人影は見当たらなかった。
一人所在なげに誰かを待つ少年一人を除いて。
綱は睦月の姿に気付くと、軽く手を上げた。
「おう」
睦月はこくんと頷き、傍に歩み寄る。
静かだった。
運動部員の掛け声が遠くから聞こえる程度。
睦月は高鳴る胸を必死に押さえていた。
「綱」
「ん」
「用件、何か、気付いてる?」
「まあ、なんとなくは、な」
少年は顔を赤らめて頬をかいた。
「その、チョコレートだろ」
睦月の脈拍数が一気に増大する。
足ががくがくと震える。
顔はもう、これ以上無いくらい真っ赤になっていた。
震える指で鞄の中のチョコレートを取り出す。
体温で溶けてしまわないか心配だった。
「変、かな、やっぱり」
「かもしれん。だが、少なくとも俺はありだと思う」
「綱と結の仲に割り込むみたいで……」
「いつかは別れる日も来るだろ。きょうだいなんだし」
沈黙が降りる。
会話が続かない。
「その中身。チョコレート、だよな」
「ホワイトチョコ。は、ハート型の」
「普通のチョコレートより好きなんだ。よく知ってたな」
ふと、違和感を感じる。
何か、会話が微妙にかみ合っていないような。
睦月は頭を振ると、なけなしの勇気を振り絞ってチョコレートの包みを差し出した。

288:じぇみに。に ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:25:08 KJSIgY1k
「これ!」
「ああ」
綱が手を伸ばす。
「渡しとくぜ。結に」
綱、全くの真顔。
風がむなしく吹いた。
「は……」
「いやー、たまに結が女子から告られてるのは知ってたけど、まさか滝口までとはなー。
何か日ごろ仲よさげだったのは、そう言うことだったんだな」
確かに結は、一部で妙な人気があったりする。
その特異性から毛嫌いする教師や生徒もいないわけではない。
だが、気遣いのできる性格と中性的で整った容貌から、好かれることが多いのも事実。
「女同士ってのはお勧めできんが、真っ向から否定はせん。俺は認める。
うちはミッション系ではあるが、度が過ぎん限りは大丈夫だろ。
だが」
綱は掌底を作り、睦月に対して構えを取った。
「それが女であれ、結の伴侶が俺より強くあらねばならんことに変わりはない。
女を殴るのは気がひけるが、結のためならば仕方あるまい。
相手が滝口とは言え、容赦はせん。
さあ! 俺を"お義兄さん"と呼びたくば、俺を斃してからにするがいい!」
「……」
睦月、無言。
俯いたその表情を伺うことは出来ない。
「滝口?」
綱はいつまでも硬直している睦月の様子をいぶかしみ、構えを解く。
「ば……」
「罵?」
綱は睦月の顔を覗き込む。
睦月の拳がプルプルと震えていた。
「ばかああぁぁ――ッ!」
「ぶうぉおはああああああ!?」
地平線に沈む夕日をバックに、睦月のアッパーカットが綱の顎を直撃した。

289:じぇみに。に ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:28:25 KJSIgY1k
夜。
マンションのベランダで夜景を眺めながら、綱は未だに痛む顎をさすっていた。
「おーいて。
滝口のやつ、一体なんだったんだ? 決着付けずに先に帰っちまうし」
ぶつぶつと一人ごちる綱。
「ま、良いか。結の事は勘違いだったみたいだし。
滝口、この所変だったけど、結局いつも通りだった」
窓が開き、結が姿を現す。
風呂上りの彼女は、既に寝巻きに着替え、厚手のセーターを羽織っている。
その手には湯気立ち上るカップが二つ。
「なにやってんだ結。
はよ戻れ。体冷やすぞ」
結からカップを受け取り、カプチーノをすする。
「上にかかってんの、ココアか」
頷く結。
バレンタインだからね。
そう目で語って微笑み、自身も一口すすった。
しばし、二人で夜空を眺める。
星が綺麗だった。
ふと、綱の視線が結の方へ向く。
「結、ついてる、ひげ」
口の端に牛乳の泡が残っていた。
綱は自分の口の左端を指差す。
結は指で口の右側を拭った。
「違う違う。反対」
綱の指がすっと結の唇へ伸びる。
その左端を拭くと、綱は付着した泡を自分の口に含んだ。
綱はにっと笑うと、先に部屋の方に戻る。
「ごちそーさま、な。風呂入ってくる」
綱が立ち去った後、結は暫く立ち尽くしていた。
その指が唇を撫でる。
胸が僅かに鼓動した後、酷く痛んだ。
その痛みを、綱はまだ知らない。

290:じぇみに。に ◆MZ/3G8QnIE
09/02/15 00:37:13 KJSIgY1k
投下終了

具体的な近親相姦はありません。これ以上進んだら別スレ行きになる。
しかしこの話はエロが書きにくいです。
おむすびとくっつけばモロに話が重くなりますし、
睦月とくっついたところで、この主人公では手を出すところまで持って行きにくいです。

まあ、当分はその鈍感さで、ムッキーのアプローチを尽くスルーすることでしょう。

291:名無しさん@ピンキー
09/02/15 01:08:48 yMmptM6o
久しぶり!そしてGJ!
無口スレ的には結を応援すべきなのかもしれんが、睦月がかわいすぎる……
この微妙な関係がたまらないです。兄はホント鈍いなw

292:名無しさん@ピンキー
09/02/15 07:19:52 pL7y1cZb
GJ
ハーレムにすれば問題ない。自分はどっちも好きだ。

293:名無しさん@ピンキー
09/02/16 22:22:54 3zAURImr
>>290
GJ
結にしろ睦月にしろどっちも応援してあげたくなるな

294:名無しさん@ピンキー
09/02/18 00:59:49 tYnCW73W
新ジャンル「七歳くらい年下の無口幼馴染みっ娘」

295:名無しさん@ピンキー
09/02/18 01:58:18 bT+b9bee
今日、試し読み用が置いてあった「flat」(青桐 ナツ)って漫画を立ち読みしてきたが、
そんな感じだったぜ。もうちょっと年齢差は開いてるけど。

ゆるめのマイペースで自己中な高校生が、無口で引っ込み思案でついついなんでも
我慢しちゃう4〜5歳くらい?のいとこに懐かれて、高校生のほうは周りに気を配るように、
いとこの方はだんだん心を開いて我慢せずに正直になっていく、ってなお話。


嘘は言ってない。

296:名無しさん@ピンキー
09/02/18 22:57:38 aeYhgvTZ
いくらなんでもその年齢は…ってあと十年も経てば問題ないか。
ああ無口な子に好かれたいなぁ。
気づいたら後ろにちょこんといたら可愛い。
無言で頭をコクコク振る仕草が可愛い。
黙って袖をギュッと引っ張る仕草が(ry

297:名無しさん@ピンキー
09/02/19 21:12:18 mdA1j3UH
>>296とはいい友達になれそうだ

298:名無しさん@ピンキー
09/02/20 00:20:26 x0rW1dE4
>>296
うたた寝した時に目を覚ますと、何故か隣で丸くなって寝ていたり
他の場所で寝直そうと起きると、手を強く握られていて
動くに動けなかったりするんだろ?

299:名無しさん@ピンキー
09/02/20 01:32:05 TOmwBNbo
上目使い+涙目でギュっと裾を掴んでるのですね、分かります。


300:名無しさん@ピンキー
09/02/21 07:48:28 XZvQNv74
・無口生徒会長
・無口図書委員
・無口保健委員

301:名無しさん@ピンキー
09/02/21 10:42:31 zeTkliIf
あえて無口風紀委員
風紀を取り締まるときは制服の裾をクイクイって引っ張て上目遣い。

302:名無しさん@ピンキー
09/02/21 13:11:29 T/v+Re/I
>>301
敢えて無口グーパンチ風紀委員

303:名無しさん@ピンキー
09/02/21 15:25:53 OhEc9EUw
気がついたら生徒指導室に運ばれて2人きりなんだな

304:名無しさん@ピンキー
09/02/21 21:02:20 DIXhWE3k
あえて無口放送委員

305:名無しさん@ピンキー
09/02/21 21:25:19 dygJ1v53
プレネールさん

306:名無しさん@ピンキー
09/02/21 22:06:26 zeTkliIf
>>303
それは無口生活指導担当の先生だな! きっとそうだと脳みそで解釈!
主人公とは実は幼馴染なんだ。そして恋人なんだ。
男は普通に友人達と語らってただけなのに、特に悪いことしていないのに
裾をクイクイ引っ張られて生徒指導室に連れて行かれるんだ。
そして鍵をかけられたと思ったら突然ちゅーされるんだ。
「どうしたんだよ一体」
って聞いたら
「……私以外の女の子と……楽しそうに話してた」
とかちょっと目を潤ませながら上目遣いで嫉妬気味に言うんだ。
そんで唖然とする男を見ながら
「……私、高校生じゃないし……どうして私、こんなに早く生まれて来ちゃったんだろう……
 こんなに……年が離れてる……男が……ほかの子に取られちゃう……」
って言ってマジ泣きし始めるんだ!
そこでやさしく抱きしめて突入するわけなんだ!
って書いててハァハァしてきた。

307:名無しさん@ピンキー
09/02/21 23:20:02 mkus1Lsr
・茶道部の無口っ娘
・美術部の無口っ娘
・ソフト部の無口っ娘
・吹奏楽部の無口っ娘



308:名無しさん@ピンキー
09/02/22 07:42:45 sEcv01PQ
演劇部の無口っ娘

309:名無しさん@ピンキー
09/02/22 09:43:27 D8YOIE+9
セクシーコマンドー部の無口娘

310:名無しさん@ピンキー
09/02/22 09:45:02 inA7NJr8
無口だからどうしたのかと近づいた隙を狙って殴りかかってくるのか

311:名無しさん@ピンキー
09/02/22 14:33:47 mTOGCDUF
ズボンをいきなり下ろして、ひよこ走りで突っ込んでくるのか

312:名無しさん@ピンキー
09/02/22 14:47:20 37wNOabP
それはよいファーストセクシーですね
無口娘がズボンおろしてひよこ歩きで近づいてくる……
ごめ、喫茶店でハナヂ吹いた

313:名無しさん@ピンキー
09/02/22 17:18:25 VSA+3rpu
ひよこ歩きで付いてくる

314:名無しさん@ピンキー
09/02/22 20:46:58 Gp4g6MDS
>>308
主に役どころが植物とか建造物だな。

315:名無しさん@ピンキー
09/02/22 21:28:02 aDTZQKzr
>>314
「あの子、完璧に木になりきっている……恐ろしい子…!」

316:名無しさん@ピンキー
09/02/22 22:18:07 PvKQ9awX
いや待ちたまえ。

普段は無口なのに、舞台に上がるとよく通る美しい声でセリフはバッチリ、というのには萌えないのか?


オレは萌える!

317:名無しさん@ピンキー
09/02/22 22:22:03 9s/N/6zV
>>316
それいいね
文化祭の劇で人目を集めちゃって困惑してる無口っ子とかいい

318:名無しさん@ピンキー
09/02/22 22:47:00 kanIF2Qn
化粧して衣装を着ると堂々と演技できる無口っ子
普段はおどおどしてる無口っ子
「あの主演女優は誰だ?」と話題になってるが、とても名乗り出られない
でもそれをあっさり見抜いちゃう男が空気読まず「お前スゲーな!」とか
いっちゃって無口っ子は真っ赤になって、慌てて男の袖を引いて
物陰に引っ張っていって、「お願い……秘密にして……」と
上目遣いで頼み込んできて、それが縁で交際が始まるわけですね判ります

319:名無しさん@ピンキー
09/02/22 23:30:55 IJWmSnY6
>>318
それを書くんだ

320:名無しさん@ピンキー
09/02/23 00:58:05 RKoD4ap9
>>316
「ひとひら」の麦ですか?

321:名無しさん@ピンキー
09/02/23 06:37:49 ykC9I7EO
麦チョコはあがり症だが無口ではないぞ

322:名無しさん@ピンキー
09/02/23 18:21:02 m8cn1Nrv
無口吹奏楽部員か……。
こくこくふるふるで意思疎通する後輩(吹奏楽未経験)に、不器用ながらも手解きする先輩(楽器一年目)。

良いかも。

323:こたみかん ◆8rF3W6POd6
09/02/23 21:08:28 GKeFlF1R
ちょっくら投下します。
〜無口でツンツンな彼女〜

「あのさぁ〜何度も聞くけど僕のこと嫌いでしょ?」
「…いいえ」
参ったな…そんなつっけんどんな言い方されたら疑うって。
「だったらこの美味しくないコーヒーをいい加減別のメーカーのに代えてくれたっていいじゃない」
「贅沢は敵です…」
「戦時中じゃないんだから…冷たい言い方しないでよ可愛い顔が台無しだ」
「……」
他にも言ようとしたら思いっきり睨まれた、怖い怖い。
彼女ーー三谷黒美は僕の…なんて言えばいいかなアシスタントだ。
一応僕はプロのカメラマン。今は『月刊無口っ娘通信♪』っていう雑誌のグラビア撮影を受け持っている。
僕が言うのもなんだけど結構売れてる雑誌なんだ。この町は土地柄なのか無口な人が多いらしいからね。
グラビアとはいえヌードはおろか水着すらない清楚なものなんだけど。
黒美ちゃんはそこの編集長(僕の知り合い)から紹介されたんだ。
最初は断ろうと思ったけどとりあえず会うだけ会ってみたら気が変わった。
それくらい彼女は綺麗な人だったから。
ただねぇ…黒美ちゃんは口数の少ない人でね。口を開いたと思うと僕を叱責する。
「やっぱり嫌われてるのかねぇ」
「…無駄口叩いてないで仕事して下さい」
「はいはい…って言っても今することないし」
「………」
また睨まれた。多分今までのファイルの整理なりなんなりしろってことなんだろうな。
最近怒られてばっかりだ。僕の方が年上のはずなんだけど…
黒美ちゃんは器量よし、容姿よし、僕以外の人にはそれなりに親切で優しい。
僕みたいなしがないカメラマンの所にいるべき人じゃないと思う。
しかも実を言うとこの僕の家、黒美ちゃんも一緒に住んでるんだよ。
住み込みで僕が仕事をちゃんとしているか見張っているらしい。
最初はドキドキだったし理性が持つか不安だった。
この態度でそんな気起きなくなっちゃったけどさ。僕は犯罪者にならずに済んだわけだ。そこは感謝しないと。
「………」
「ん?どうしたの黒美ちゃん?僕の顔じっと見ちゃって。惚れちゃった?」
「違います」
そんな即答しなくても…いくら僕でも傷つくよ。
「まぁ僕は黒美ちゃんのこと好きだから待ってるよ、一人身だし。そういえば黒美ちゃん彼氏とかは?」
「……」
「いや…ゴメンよ。今の忘れていいから」
なんかこの先上手くやっていけるか不安になってきた。



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