モノノ怪でエロパロ  ..
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745:回向  初七日 1
09/07/12 23:39:51 W1EY8zaa
怖いかどうかはともかく、こんなかー?

小田島×真央、エロなし。続きもの。





 ――だじま


 惨劇の夜から七日が過ぎた。
 事後処理に忙殺された小田島の眠りは深い。布団に倒れ込み枕に頭を乗せ、ぱちりと瞬いたと思うと既に辺りが明るくなっているのである。
賑やかな鳥の声に呆然とし、だがそうそう呆けてもいられずに無理やり体を動かした。動けば日々は流れていく。
 そうして、七日。
 狐につままれたような感覚は、あの夜と地続きだ。確かに一晩を過ごしたはずが、門の外はまだ婚礼の日の夕刻であった。時の感覚が曖昧で、
いまだ夢の中にいるような気がする。
 ……どこかでまだ、夢なのではないかと思っている。目が覚めればこれまでのこと、全部なかったことになるのではないかと。
あれほどのことがありながら、変わらず朝日が昇り、動けば腹が減り、世がそのまま続いていることが、己の中で噛みあわないでいる。
 この世の終わりの一つや二つ、来たとておかしくないはずなのに。
 ううんとうなされて寄った眉。
 そして唐突にぽかりと意識が浮いた。開けた目に夜の闇がしっとりと黒い。くんと動いた鼻は深夜の匂いを嗅いだ。何故こんな時間に目が覚めた、
疑問は枕辺に座した影と目があって解ける。白い白い、亡くなる直前の白無垢を映したような、だが各段に薄い白帷子(かたびら)。
 小田島、と影は笑った。無骨な男は急ぎ飛び起き、布団から降りてかしこまる。
 深く頭を下げた先、今更に痛ましさが胸をついた。なるほど、彼女が血を連ねた者は非道であった。重い罪には一族連座で刑が下ることもある。
さりとて、なんの罪科もない者が、若い身空で命を断たれれば痛ましい。いや、この際老若男女は関係ない。いかなる者であれ、あのような死は無惨であろう。
変わり果てた骸にとりすがる、幼な子と妻の泣き声が耳に残る。祝いに華を添えるべく呼ばれた者たちは、もう舞うことも楽を奏でることもない。
一家の柱を失って、彼らの明日は厳しいものになるだろう。……それがわかっていたとて、小田島に出来ることは何もない。
『小田島』
「はっ」
『顔をおあげ』
 柔らかな声が言った。不思議なほど、生前よりよほど穏やかに響く。顔をあげた小田島の前で、真央は口元にほっそりと苦労知らずの手を添えて笑った。
『お前は本当に正直ね。思っていることがなんでも顔に出る。わたくしが悲愴でないことが、そんなに意外?』
「とんでもございません。……ただ」
 小田島の眉が下がる。丸っこいどんぐり眼が、欠け始めた月のように縁をへこめた。
「そのように幸せそうなお顔を……生きておいでの間に拝見することができなんだことを、悔やんでおります」
『それは無理よ』


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