モノノ怪でエロパロ 2札目 at EROPARO
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450:名無しさん@ピンキー
08/06/12 13:51:21 Aw0ELL1X
うぽ!これはいい薬×加

読んで→観て 読んで→観て 読んで→観てループ
お二方ともGJ!
エロ萌えました。


451:名無しさん@ピンキー
08/06/12 19:11:19 ROaM5Elv
すみません…お邪魔します。こんな良スレがあったとは…ww
薬×加世、薬×天秤なので、鼻血いっぱいで倉庫見させていただき
ました。ご ち そ う さ ま で す G J !>>職人の皆様

452:名無しさん@ピンキー
08/06/12 21:52:25 A170FoS4
>>447

おつまみ画見れないんで再うp希望します

453:447
08/06/12 22:06:58 Aw0ELL1X
>>452
まだ下げてないですよ〜混んでるのかな?

>>449
すごい素敵なSSをつけていただいて鼻血ブーです
すすすすげぇ このまま死んでもいいかもしれん!


454:名無しさん@ピンキー
08/06/13 03:59:40 sxGa0uSG
敦盛登場前の薬売りとお蝶さんのやりとりはエロすぎる
あえて2人を描かなかったスタッフGJ
あのとき卑猥な何かが行われ、あちゅもり涙目であったと信じている

455:名無しさん@ピンキー
08/06/13 11:42:27 qvx3hxb8
佐々木某(夫)と敦盛と薬売りか。
本人にそのつもりはなくとも、魔性の女だなお蝶さんw

456:名無しさん@ピンキー
08/06/15 01:31:24 fFZr1muK
江戸時代の布団は、シーツをつけずに直寝だったらしいことを知った。
男のも女のも、よっぽど量が多いとか多汗じゃなきゃセーフだろうが、
潮吹きはどうしてたんだろう。あ、だから服着てしてたのか?

薬売りが攻め過ぎて怒られてたらいいと、ちょっと思った。

「もぉぉっ、お布団濡れちゃったじゃないですかぁ! 薬売りさんのせいですよ! バカぁ!」
「なら……ほら、裏返せば、いいじゃあないですか」
「なに『良案! 解決!』みたいな顔してんですか!? そこで『え、ダメなの?』って
顔しない! 反省の色ナシ!? ってゆーかなんで嬉しそう!?」
「いやぁ……あんたは心底俺を理解してくれてるんだなと……。愛してますよ、奥さん」
「――ご……っ、誤魔化そうったって、そうはいかないんだからー!」

単なるバカップルです本当に(ry

457:名無しさん@ピンキー
08/06/15 03:18:15 6Qe6+xDJ
>>456

片一方の布団が汚れても、もう一方の布団で一緒に寝ればいいYO!
んで朝になったら薬売りが布団洗わされる。
ニヤニヤしながら干しとけ〜

んで、井戸端で他のおかみさんらに”あそこは昨夜も燃え放題だったな”とか
思われてればいい。

458:名無しさん@ピンキー
08/06/15 23:16:30 HRC9wUvh
>>456
今週色んな事件があったが癒された・・・GJ

459:名無しさん@ピンキー
08/06/16 13:15:38 A0OB0v/3
>>456
バカップル上等というか是非お願いし(ry)
燃え放題ワロスw

460:名無しさん@ピンキー
08/06/17 23:33:02 FvTYUdlp
>>456
バカップルな薬×加はココロのビタミンです、
読むだけで顔がテカテカになるよ+(0゚・∀・) + テカテカ +

461:名無しさん@ピンキー
08/06/20 01:27:56 aLVSa43b
ごく最近アヌメ見てこのスレ発見したときの俺の喜びようったらねーよ!
加世ちゃんかわいいよ加世ちゃん。ニヤニヤしながら保管庫読ませていただいた。
つうかこのスレのおかげで薬加に開眼。ありがとう職人さんたち…!GJ

462:名無しさん@ピンキー
08/06/22 01:05:56 5UU1TePr
薬売り≠ハイパーで、薬売りとハイパーと加世の3P。
脈絡もストーリーもなくエロのみです。



 よく似た男二人の間に、細い娘の体が挟まれていた。黒と金の男は娘の背後から膝裏に手を入れ、むっちりとした太腿を大きく広げるように抱えあげて、向かいあう白と赤の男が不安定な上体を抱き止めている。
 大きく揺すりあげられる度、息も絶え絶えに娘は鳴き、口元からはよだれが、黒目がちな瞳からは涙が零れた。空に浮いた体は、逃れようもなく前と後ろに深く怒張を呑み込む。押し入った衝撃でこぷりと泡立った体液が、娘の尻の丸みに沿って伝うと、ぽたぽたと地に落ちた。
「やぁっ、……も、だめぇっ、死んじゃうぅ……っ」
 まだだ、と凄みのある低い声が左の耳に宣告すると、加世さん、と幾分柔らかい声が右に囁いて耳の穴を舌で犯し、ふぅと息を吹きかける。それでまた娘の腰骨は震え、きゅうと男たちを締め上げた。どっと愛液が溢れる。
 死んじゃうよぅ、と涙ながらに繰り返す娘の中で、薄膜を隔てて硬いものが擦れ合い、ぬるりと滑って、予期せぬ場所を抉る。ひゃあと娘がまた高く鳴いて、ぴんと伸びた爪先が空を蹴った。

463:名無しさん@ピンキー
08/06/22 01:09:43 5UU1TePr
「やぁっ、……も、だめぇっ、死んじゃうぅ……っ」
 まだだ、と凄みのある低い声が左の耳に宣告すると、加世さん、と幾分柔らかい声が右に囁いて耳の穴を舌で犯し、ふぅと息を吹きかける。それでまた娘の腰骨は震え、きゅうと男たちを締め上げた。どっと愛液が溢れる。
 死んじゃうよぅ、と涙ながらに繰り返す娘の中で、薄膜を隔てて硬いものが擦れ合い、ぬるりと滑って、予期せぬ場所を抉る。ひゃあと娘がまた高く鳴いて、ぴんと伸びた爪先が空を蹴った。
「やだ、やだぁ……っ! 助けて、お願い、イク、死んじゃう……っ!」
 目の前の白い男に縋りつき胸のふくらみを押しつけ、反動で突き出された腰は揺るがぬ黒い男を根元までくわえてくねる。まだ余裕だなと黒い男が呟き、ほどほどにしろと白い男は苦笑する。
 ――人は脆い。
 ――お前のように、か。
 淡い笑みは返答としては曖昧だ。まぁいいと黒い男は最果てに向けて娘を追い詰めにかかった。

464:名無しさん@ピンキー
08/06/22 01:20:38 5UU1TePr
 我らが妻は淫乱だ、と耳元で揶揄してやると、そこがまたいいんですけどねと片割れも合わせる。ついでに軽く娘の体を持ち上げて、腰の動きに合わせ落とした。囁きできつくなった内部を、男らのものが容赦なく割り広げる。
 叫んだ娘の声は、もはや言葉になっていなかった。片や腹の上で、片や腹の奥で脳髄が弾けるような快楽を味わい尽くすと、ようやく娘の肢体を下ろしてやる。
 何故抜く、といささか憮然として黒い男は娘の汗で張りついた乱れ髪を払う。非難めいた調子に、白い男は、この肌に白濁が散るところを見たかったからだと肩を竦めた。既に満足したのか、濡れ手拭いが、その欲望の痕跡を拭っていく。
 孕めばよい、と呟かれた言葉に、強欲な、と言葉ばかりは笑って目を伏せた。二対の視線の先で、娘は先程までの狂乱が嘘のように、穏やかに眠っている。



終わり。

465:名無しさん@ピンキー
08/06/22 04:05:29 mrYL+Pc5
G J ! ! ! !

466:名無しさん@ピンキー
08/06/22 10:36:03 5UU1TePr
コピペミスorz すみません。

467:名無しさん@ピンキー
08/06/22 13:38:56 wRvV1hNj
うっひょおおエロい!いい!!

468:名無しさん@ピンキー
08/06/22 14:21:11 1ovA5mI+
もえ……ました。GJGJ!!

469:名無しさん@ピンキー
08/06/22 22:43:53 5UU1TePr
dクス。
立て続けですまんが、薬加でピロートーク。



 イヤだのダメだのヤメテだの、閨言を額面どおりに受け取ることなどない。だから、それは本当に何の気なしの言葉だった。
「俺は、気持ちいいんですがねぇ……」
 挿入に、やぁっ、と感極まったように上がった喘ぎへ、ふと答えてみる。すっぽりと埋まったまま額に口づけて顔を離すと、娘が目をみはっていた。
 何か虫でもいたかと背後を振り返ろうとした時、あの、とおずおず娘が口を開く。
「……き、きもちいい、の? 薬売りさんも?」
 直に問うのは憚られるのか、うろうろとさ迷う目元に赤く羞恥が浮かんでいた。荒々しく掻き抱きたくなるのを堪えて、そりゃあと笑う。
 己を収めたなめらかな腹を、そっと手のひらで撫でた。返す手の背でまた撫でる。流石に、上からではわからないが、
「……あんたの中は、気持ちいいですよ。熱くて、みっちりしてて。あんたが感じれば感じるほど……」
 俺も気持ちいいんです、と故意に低めた囁きを小さな耳に流し込むと、娘は慌てたように反対側へ顔を背けた。お決まりのようにヤダと口にして、あ、と口元を塞ぐ。迷うように睫が揺らいで、何を考えたんだかきゅっと秘所も締まる。

470:名無しさん@ピンキー
08/06/22 22:49:19 5UU1TePr
「……じゃ、ないです……」
 さて鳴いてもらうかと身を起こした男に、娘は両手で顔を覆って言った。
「はい?」
「ヤじゃ、ないです」
 言葉とは裏腹に、娘はイヤイヤをするように首を振る。消え入りそうな声だったが、男の尖った耳はぎりぎり娘の心を拾った。
「薬売りさんが気持ちよくなるんなら、悦く、して。……あたしで、気持ちよくなって」
 今日はもうヤダって言わない、と何やら決意した風の娘に、動かしてもいない怒張がぐんと質量を増したのは、たぶん、仕方ないことだと思う。


終わり。
この後3Pばりに足腰立たなくなるまで責められまくればいいと思う。

471:名無しさん@ピンキー
08/06/22 22:59:05 wRvV1hNj
加世かわいいよ、加世!
いかん萌え殺されそうだ・・・鼻血ティッシュが欲しくなってきた。
職人GJ!

472:469
08/06/22 23:54:37 5UU1TePr
>>471
ありがとう。
ところでレスする時はsageてくれまいか。
メール欄に半角英数でsageと入れればできるから。
投下直後にageられてると、なんかやらかしたかとビビるんだぜw

473:名無しさん@ピンキー
08/06/24 23:42:19 IyzAsxOn
>>462
超GJ!!
何というか職人ズの薬売りズといいこれといい
加世ちゃんが愛されまくってると凄く萌えてたまらないんだブラザー。

474:名無しさん@ピンキー
08/06/25 06:00:33 4ZXZwkYc
ヒッヒッフーヒッヒッフー

475:名無しさん@ピンキー
08/06/25 06:10:07 yLQ213x8
何故にラマーズ方?

476:名無しさん@ピンキー
08/06/25 09:20:46 tGfLdOe+
新作SSを生み出す作業中なんだよたぶん。

トキハナテー!!

477:ドS
08/06/26 01:23:38 Su6eAKGr
忘れられてるかもしれんが一応少しだけ投下。

478:触手×お庸
08/06/26 01:26:00 Su6eAKGr
巫女装束の袖口から数本の触手が入り込み温かい暗がりを奥へ奥へと侵入していく。

「ひぃ!嫌っ…うっ…!」

お庸が声をあげるのをはかったようにやや太めの触手がその小さな口に飛び込んだ。

触手はお庸の口内を動き回り粘液を撒き散らす、それは僅かに潮の香りがするほぼ無味の液体でねっとりと舌に纏わりつく不快感以上の苦しみは与えられなかった。

「ふぅ…う…ん…!」

気が付くと袖口から侵入した触手が身頃まで入り込み胸上を通り着物の会わせ目から顔をだしている、その中の一本が緋袴に伸び器用に腰紐を捕らえるとしゅるりと解いた。

「う…ぐっ…」

お庸の固く閉じた瞼から涙が一筋溢れた。

纏わる触手に力がこもり絡めた着物を一気に引き裂いた、耳障りな音とともに千切れた布切れや装飾が水面に散らばりお庸が纏うものは巫女装束の残骸と滑った生き物のみとなる。

―ほぅ、まだ幼いと思ったが十分女の体をしているな―

お庸の体はその顔立ちに等しく同じ年頃の娘に比べるとやや幼いが、胸と尻には適度に肉がのり緩やかな曲線を描いている。

479:触手×お庸
08/06/26 01:29:45 Su6eAKGr
手足に絡んだ触手が蔦のように伸び腿と二の腕に巻き付く、直に触れるそれは捕えた獲物を逃さんとするように肌に吸い付ききつくお庸の四肢を締め上げた。

「ふ…ぅ…っ」

―苦しいのか―

中空に漂っていた触手が束になりお庸の腰を抱き支え上げた、すっかり触手に抱きすくめられお庸は重力から解放されて薄暗闇に浮かんでいる。

肋骨の凹凸が浮かぶ皮膚をつたい両乳房をそれぞれ触手が丸く縁取る、

「う…ふぅ…」

冷たい触手が胸に触れたことでさっと肌が粟立ちその先端も反応を示した。

縁取られ存在を強調された乳房を触手が人間の指のように渦巻きを描きなぞり始めた、中心に向かいゆっくりと両乳房を弄び時折縁取る触手をすぼめて膨らみを締め上げた。

「あぅ…うぐぅ…」

触手をくわえたお庸は閉じられぬ唇から涎と粘液の混じったものをだらだらと垂れ流し、白い首を反らして弄ばれる違和感に耐えた。

渦巻きを描いていた触手の一方がふいに乳房の先端をぬるりと撫でた、

「んぅっ…!」

お庸の体が小さく跳ね腰が反り滑らかに曲線を描いた。

はかったように両の先端に触手が食らいつく。

まだ柔らかさのある先端に巻き付き乳房と同じように締め付けしごき上げた、

「んんーっ…!」

お庸は唯一自由を許された首を左右に振り未経験の感覚に打ち震える、両胸の先に火がともったようにチリチリと快感が芯を焼き冷たい触手に対しお庸の肌は熱を帯びはじめた。

480:ドS
08/06/26 01:33:25 Su6eAKGr
やっとここまでかorz 早く書けるようになりたい。

481:名無しさん@ピンキー
08/06/26 10:34:02 lvwYRR+7
触手エロいよ触手。お庸がよがり狂うところを早く見たいキヒヒ。
わっふるわっふる!

482:名無しさん@ピンキー
08/06/27 12:56:46 odEW/3ti
ドS氏待ってた!
このねばっこいエロさたまらん…!

483:名無しさん@ピンキー
08/06/30 22:41:09 bp/1vArI
えらく過疎ってるな。
プチオンリではどうだったんだろ。

484:名無しさん@ピンキー
08/07/03 18:47:29 +qmZ03RQ
今みんな本の用意で忙しいんだよ。サイト巡っても潜ってる人多いし。

485:名無しさん@ピンキー
08/07/08 23:37:23 FAHxIT/f
職人降臨祈願

486:名無しさん@ピンキー
08/07/10 23:55:22 Yxa35xFQ
新化猫で、節子が電話で呼び出されるんじゃなくて旅館に留め置きされて、
金か節子に対する反感とかから中居もグルで睡眠薬入りの茶を出して森谷と共に離れへ。
節子が気がつくと裸で亀甲縛りされていて、目の前で原稿を燃やされ、
アニメ通り口論になったところで福田市長が華麗に登場、調教開始。
節子のカメラを使って森谷がその様子を写真に収め、弱みを握る。
哀れ節子は男たちの人形に……って電波を受信した。

節子には赤い縄が似合う。

487:名無しさん@ピンキー
08/07/12 01:46:56 GY1Q1wGW
うわ、薬加サイトもかなり過疎化してるけど、ここもひどいなー

488:名無しさん@ピンキー
08/07/14 02:53:51 oKA/HYlX
保守age

489:名無しさん@ピンキー
08/07/17 00:54:10 ZY9qGt2C
保守代わりに馬鹿ネタ薬加。


「あっつぅ〜いぃ〜! 暑い暑いあついぃ〜っ!」
「……加世さん、そう連呼したところで、」
「涼しくならないのはわかってるけど、言わずにはいられのぉ〜!」
暑さにうんざりする加世に、ふむ、と薬売りは唸った。
「加世さん」
「なぁに〜?」
「昔、京へ行ったときに聞いた、多少涼しくなる方法がありますが」
がばりと加世が身を起こす。
「なになに!?」
「かの御仁は涼を求めてやっていた訳ではないので、気休め、程度かもしれませんが」
「もぉ、もったいぶらないで教えてよぅ!」
詰め寄る加世に、薬売りがふふと笑う。いつの間にか、その手に剃刀が握られていた。
「剃るんですよ……下の毛を、ね」

薬売りが塩壷に殴り倒されたのは、言うまでもない。


実尊寺流クールビズ!

490:名無しさん@ピンキー
08/07/17 13:22:09 hC9XoMJd
>>489
GJGJ♪

491:名無しさん@ピンキー
08/07/18 00:44:36 mS9r7P6X
薬売りアホスw

492:名無しさん@ピンキー
08/07/20 04:00:05 KngUdG2j
暑中お見舞い薬加エロ、投下いきます。らぶいけど薬売りが結構S。
携帯からなんで改行等ミスったらごめんなさい。
過疎ってるから大丈夫だと思うけど、変に時間があいてたら察してくださいorz

493:夕立 1
08/07/20 04:02:54 KngUdG2j
 驟雨、来たる。
 夏の夕には激しい雨がつきものだ。お湿りがあるとないではその後の過ごしやすさが段違いだから、降ってくれるのはありがたい。現に今、いまだ激しく屋根壁を叩く雨音を聞きながら、足元を通り過ぎていった風はひんやりとしていた。
 ……もとい。それは加世の臑(すね)が濡れているせいか。臑、だけではなくて。
 ちゅ、と音を立てて離れた唇は荒い息をこぼした。濡れてぺったりした猫っ毛は、先端からぽたぽたと雫を落としてなお加世を濡らす。薬売りは鬱陶しげにそれをかきあげて、薄目を開けたまま加世の首筋を伝う雨水を舐めあげた。
「喉が、乾きましてねぇ……」
 ならば水を飲めばいいのに、男はちまちまと加世の肌から水滴を啜る。たっぷりと水を含んだ襦袢が肌にはりついて、意外と逞しい体つきと、そこにくまなく走る赤い紋様が透けて見えていた。
 女の方もまた同じことで、色の濃い肌はたやすく透ける。雨に体温を奪われ、つんと上向く胸の先端を、薄い唇が襦袢ごと吸い立て、鋭い歯でやわやわと挟む。
「……やっ、あ……!」


494:夕立 2
08/07/20 04:06:45 KngUdG2j
 のけぞる首を、雨粒が滑り下りていく。それは激しい情交のときに、汗が流れる様とよく似ていた。取り違えた肌がかぁっと熱を帯びる。
「や、だめ……、部屋、濡れちゃ……」
 ずぶ濡れのまま上がれない。抵抗すると、男はくつと喉で笑う。
「だから、ここにいるんじゃあないですか」
「……まさか、このままぁ!?」
「板間を濡らしたくなけりゃあ、ね」
 女を戸板に押しつけて、土間にひたひたと水たまりを広げながら、男の手が女の襦袢の裾を割り、ぐいと片足を持ち上げた。すかさず体をねじ込んで、力の抜けていた膝が体重を支えきれぬのを見越した目がかすかに細まる。
「ひぁぁっ!?」
 熱い塊で女の体を受け止めると、きつく回った腕のせいとでも言いたげに男は首を落とし、再度女の唇を奪う。むぅ、と鳴く舌を絡めとって、下から突き上げた。風雨を遮り防ぐ戸板が、内からの圧力にきしきしと鳴る。
「んっ、んんっ、んぅぅ――っふは、あぁんっ!」
 雨に打たれて涼むも一興なんて嘯いて、襦袢一枚で外へ出ていったときからこのつもりだったのか。耳元で低い声が笑って、ぞくりと加世の背すじをざわつかせる。


495:夕立 3
08/07/20 04:17:33 KngUdG2j
「……濡れる俺は、そんなによかったですかい……? ろくに触れてもいないのに、」
 ぐぅっと腰を突き込まれ、加世は高く鳴く。
「……ここの、熱いこと」
「違、うも、……あン、ひゃっ、ば……かぁ……っ!」
 揶揄を否定してみても、体はきゅうきゅうと男を締めあげる。ともすればかくりと折れそうな膝を支えるのが精一杯、酷使された内腿の筋肉が震えて、しかし苦痛は快楽が覆い尽くして感じることもできない。
終わった後痛むだろうなと思うのにやめられないとは、話に聞く麻薬のようだ。嬌声の向こうに遠雷を聞く。いつの間にか耳を聾する雨音はなりを潜めて、残るのは聞き慣れた水音、呼吸音、よがり声。
 背中が戸板にこすれて軋む。薬売りの腕は加世を支えるのに一本、脚を抱えるのに一本でもう一杯、刺激の与えられぬ胸を加世がもどかしげに薬売りにすりつける。
「ここ、が」
 襦袢の襟あわせに白い歯が立ち、男が獣のように首を振ると、ふるりと胸の丸みがこぼれた。
「お寂しい、ようで……」
「そっ、んなぁ…あっ、こと……ぁあんっ」
「ない、と? では、触れずにおきますかね……」
「やっ、もぉ、あん! いじ、いじわる!」


496:夕立 4
08/07/20 04:21:26 KngUdG2j
 涙目で詰ると男は楽しげに笑う。正直、何度見ても極悪人のような笑いだと思う。……実際、悪人かもしれないが。
「そう……どうして欲しいか、この、加世さんの口から、直に聞きたいですねぇ……」
 低く唆す声は艶めいて、己の魅力を十分にわかっている。その自信が癪に障るのに、折れずにはいられない。――やっぱり、悪人だ。
 もしょもしょと呟くと、お決まりのように聞こえないとの返事、血液の集まった耳は感度を増して、ふっと浴びせられた吐息にぞくんとすると同時に突き上げられる。
「あ、あぁぁ、さ、……触っ、て……お、ねが……ぃっ」
「では、」
 男は首から加世の腕を外させると、高く上げていた脚へ導く。
「俺の腕は、二本しかないのでねぇ……。自分で、ちゃんと広げておくんですよ」
「あ、ひぁ……!」
 片腕で男に縋り、片腕で自らの脚を掲げさせられて、つるりと滑った男の手に加世が身悶える。つと口に流れ込んだ水滴は塩の味がして、もはや雨粒ではない。薬売りの舌はとっくにわかっていただろう。
 外では虫たちが鳴き始める。雨は過ぎた。なのに、ここだけ、まだ。
 濡れる、濡れる。薄い襦袢は一向に乾く気配を見せない。


497:夕立 5
08/07/20 04:27:27 KngUdG2j
「んぁっ、あ、あぁ、くすりうりさ、あた、あたし、も……っ」
「おや、もう降参で?」
「やん、だ、だって、も、イキた……っ!」
「……仕方、ないですね……」
 イイ声で啼いてくださいよ、と囁いて、薬売りが一瞬体を離し加世の上から下まで目線で撫でる。次の瞬間、深く穿った。
 甘い嬌声をあげて、細い体がびくびくと痙攣する。ああ、と男も吐息を漏らした。
 黒く色を変えた土間の片隅に、濁った液体が点々と散った。


「夏の楽しみが、増えましたねぇ」
 くつくつと笑う薬売りに、加世が心の中でてるてる坊主に助けを求めたとか、求めなかったとか。



 おわり



こんなツールで投下するドS氏と世の携帯職人を尊敬する。ふぃー。
まだこれからが夏本番、毎日暑いですが皆さまお体に気をつけてお過ごしください。

498:名無しさん@ピンキー
08/07/20 09:40:17 8K1fY+/o
GJです♪
いいお湿りいただきました♪♪

499:名無しさん@ピンキー
08/07/20 13:36:31 iYJs69wQ
うだるような夏にぴったりのいいエロですね!
濡れた襦袢のえろさは異常だ

500:名無しさん@ピンキー
08/07/20 23:24:10 tddYT+dz
うひょーGJ!
良い夏エロ小説だー!
携帯からとは、とても思えないよ。
次回作もヨロ。

501:名無しさん@ピンキー
08/07/24 02:26:08 Lk9yJ/yQ
日本の夏!薬加の夏!
職人ってほんとすごいなあと思いますた・・・GJwwwww


502:337
08/07/29 12:18:06 ZERtWE3y
業務連絡です。

MyWikiの調子がここんとこ悪くて、まとめサイトが見られないことが多い様子。
ついでに荒らしと編集イタチゴッコ中。夏ですな。
落ち着くまで少々お待ちください&閲覧時はクリック前にURLチェック推奨です。

あんまり続くようだったら引っ越しますかね……。

503:名無しさん@ピンキー
08/08/02 23:47:51 8+Kn3RKq
ほしゅる。

ところで甲子園が始まったわけだが。加世にはチアガールが、珠生にはアナウンス嬢が似合いそうだ。
一方で男キャラ達は誰一人として高校球児が似合わない件w

504:名無しさん@ピンキー
08/08/03 23:30:19 tvmJmLEP
>>503

つぎゃい!

505:名無しさん@ピンキー
08/08/04 00:43:18 m9VNOpH2
ぎゃいはどっちかってーと監督じゃね? ベンチで貧乏ゆすりしてそう。
それなりに熱血な指導で初の甲子園出場を果たすも、対するは名門聞香高校、監督は宿敵実尊寺。
「東の田舎高校がまぐれで出てきたとて、うちの敵ではあらしまへん。おお、臭い、臭い」
球児たちの熱い闘いが今始まる!

……なんてな。

506:名無しさん@ピンキー
08/08/05 04:54:51 vwN4MZBk
お蝶マネージャーは俺の嫁。

507:名無しさん@ピンキー
08/08/08 02:07:41 1V87rNP5
>>506
敦盛がバットを持って行ったので御注意ください。

関係ないけど、敦盛は打順の4番を薬売りにいつも持っていかれて、5番のイメージだw 小田島様は堅実な2番か3番

508:名無しさん@ピンキー
08/08/12 00:43:30 19ST5zAg
>>507
敦盛が活躍するタイミングで、これみよがしに話かけたり触ったりしてわざとお蝶さんの気を逸らし、
敦盛の何かしらの活躍をお蝶さんが全て見逃すように仕向ける薬売りを想像したw

509:名無しさん@ピンキー
08/08/12 13:45:45 UuxC5t16
>>508
それを加世ちゃんが見てあらぬ誤解をしてしまい
般若の形相で薬売りに千本ノック(退魔の剣使用)してる姿をさらに想像した。

加世「ぬをぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!(怒」
薬「加世さん、何、怒ってるんですかね?(困惑」
退魔「解き放つ〜!!!!!!!!!!!!!!!!!ヒャッホゥ〜wwwww」


それを物陰から見守るあきこ姉さんではなく天秤's

天秤's「加世ちゃん、頑張れ〜!!!」
   「何か、退魔さん喜んでない?」 

510:名無しさん@ピンキー
08/08/13 19:34:31 JRxw8p1I
>>508
やっぱり敦盛も小田島様とは違った感じで、弄られ役ですねw

>>509
ちょwww 退 魔 さ んww
薬売りは自業自得だw

後で部室で仲直りの蒸した密室で汗だくエチすれば良いよ

511:名無しさん@ピンキー
08/08/13 21:34:15 PBI3/wg3
先生!菖源マネージャーと源慧校長が、部室に入ったっきり出てきません!

512:名無しさん@ピンキー
08/08/15 03:08:57 55PUvEmH
age

513:名無しさん@ピンキー
08/08/17 20:12:48 XQJmL6FA
>>511
加「く…薬さぁん、何か、扉の向こうから変な音がするんですけどぉ−」
薬「なぁに、こちらも派手に音を立てりゃあ気にならなく……」
加「いやそのりくつはおかしい!
 ってか、なぁにさりげに私のジャージ捲り上げてるんですかぁ−!」
薬「……おっと、そんなに…大声を上げちゃぁ、人が来ちまいます、よ」
加「うぅ−、このひきょうものぅ−!!」

……つづき だれかたのむ

514:名無しさん@ピンキー
08/08/18 22:54:25 /BwdqqGa
待てw 高校野球は政治以上にクリーンさが求められるんだぞw
猥褻行為で出場停止になっちまうwww

そんな流れをぶったぎって、本日、祝・ハイパーの日!
薬売り≠ハイパーで、ハイ加世投下いきます。
今回分はエロなし、全5レス。

515:神婚 1
08/08/18 22:55:43 /BwdqqGa
 その姿を見た瞬間、ざわりと一斉に鳥肌が立った。
 恐怖、ではない。『彼』が姿を現した以上、モノノ怪は祓われる。狂気のない猛々しさは、哀しみから遠いものだ。たぶん、太陽を拝むに似ている。あるいは、炎に。過ぎればきっと脆弱な人の身には毒だろう。それでも目にすると安心するのだ。
 ほっとしていいはず、なのにこの胸を締めつける感情はなんだろう。全身を握り込まれたかのような、あるいは雷に打たれたかのような衝撃。食い入るように両の目がその姿を追い求めて引き剥がせない。
 息が詰まって、全身を駆け巡る――これは、歓喜だ。
 邂逅ではない、言葉も交わさず視線すら合わない。でも、

 会いたかった会いたかった会いたかった会いたかった。

 あなたに、もう一度。

   *

「――薬売りさん!」
 すべてがひと段落した後で、きびすを返した後姿を息せき切って追いかける。坂井の頃よりどこかとっつきにくくなった男は、無言のまま長い前髪を揺らして加世を見返った。
 追いついてよかった、と胸を撫で下ろす。たとえ周囲が大海原であっても、この人がその気になったらあっさりと姿を消してしまいそうだ。浮世離れした空気を纏って、突然このそらりす丸に現れたように。目的は、果たされてしまったのだから。
 こくりと、加世は喉を鳴らす。細い細い糸を、どうやったら切らずに済むだろう。
「あの……あの。訊いてもいいですか」
「……何か」
 低く平坦な声が応えて、加世はぎゅっと胸元で手を握った。生まれて初めてといってもいいくらい心臓がばくばくしている。いや、単に心拍数の問題なら今までにもこれくらいあったはずだ。死ぬような目に遭ってきた自覚はある。
 けれど、恐怖ではなくて。
 ……ああ、これもか。
 あの人はあたしに知らない感情ばかり植えつける。
「あの、あのぅ……退魔の剣を抜いたときに出てくる、あの人は……」
 やだ、震えるな声!
「そのぉ……誰、ですか?」
 蚊の鳴くような声になって、加世はついに顔を上げていられずに俯く。恥ずかしくて顔が火を噴きそうで、きっと今自分は首まで真っ赤になっている。
 足元しか見えない視界の中で、それでも薬売りが身じろいで体ごと加世に向き合ったのはわかった。恐る恐る視線を戻すと、内面の窺えぬ顔のまま、薬売りが加世を見下ろしている。
「……俺だとは、思わないんで?」

516:神婚 2
08/08/18 22:56:14 /BwdqqGa
「えっ」
 加世は目を丸くする。
「薬売りさんなんですか!? 嘘ォ!?」
「さぁて……どうだか」
 そらっとぼけて視線を流され、一気に頭に血がのぼった。
「ちょっと薬売りさん! 人が真剣に訊いてるのに――!」
「――知って、どうする」
 怒涛の文句をたたみかけようとしたところを遮られ、ぐっと加世は言葉を呑んだ。透明な湖面のような青い目が、加世のすべてを暴くように見据えてくる。
 真と、理。
 それを見透かすための、水鏡だ。見られるだけで不安になる。居心地が悪い。
 その目が、わずかに蔑みの色を浮かべた、と思った。
「悪いことは言わん。関わるな」
 長い爪が加世の顔を辿って、近づいた端正な顔の中で鋭い牙が覗く。
「――喰われるぞ」
 低い、恫喝。
 しかし、怯むよりも先に気に障った。加世は白い手を思いきりはたき落とす。
「あの人を鬼みたいに言わないで! そりゃ、勝手に近づいたら危ないだろうなって思うけど、悪い人じゃないのはわかってるんですからね! 脅そうったってムダなんだからぁっ!」
 薬売りははたかれた手にぽかんとし、ふるふると振って、やがて小さく笑った。
「いやぁ……。あれが人でないのは、確か、ですがね……」
 くっくっ、と喉の奥を震わせつつ、薬売りは、ああ、とわざとらしく両手を打ち合わせた。
「そういえば加世さんには……助けてもらったことが、ありましたっけ。いや、見事な塩壷の投げっぷりで」
「今はそんなこと話してるんじゃないでしょ!? 何よもぉ、バカにしてるの!?」
「いえ、いえ」
 袖の中から不意に現れた退魔の剣を、薬売りは握り込む。
「ですから、一度だけ――助けてもいいかと、思いましてね」
 言うなり薬売りが剣を持ち替える。左手に鬼の顔の柄、右手で鞘、大振りの袖がひるがえったかと思うと、刀身が。
「えっ!?」
 加世は信じられぬ思いで自分の腹を見つめた。
 どすんと、衝撃。
 普通の、銀色に輝く剣の刃。そこに雷光が走っていることまではわからなかった。鞘の大きさに見合った長さのそれが、帯を突き破って加世の体に吸い込まれるように、否、体は異物を拒もうとした。けれど力づくで突き立てられた。
 ――刺された。
 目の前の現象を脳が認識した瞬間、激痛とともに視界が真っ赤に染まった。

517:神婚 3
08/08/18 22:57:22 /BwdqqGa
 悲鳴。
「――いってらっしゃい」
 薬売りの言葉は、加世の耳には届かなかった。

   *

 赤は巡る血潮の色で、沈みゆく日の色、闇を拓く火の色、明らかなるもの、顕わなもの。そしてあの人の目と爪に宿る色。
 加世が目を開けると、世界は完全に漂白されていた。輪郭、こそあれ、己以外の何もかもが白い。前のめりにくずおれるようにして座り込んだ体、恐る恐る覗き込むと剣は確かに加世の体に突き立っていて、
けれど先程の激痛が嘘のように何も感じられず、現実感が薄い。それでもさすがに触る勇気は持てなかった。痛くないからとりあえずいいか、と放っておくことにする。
 さらに見ると、床についた手は影を失くしていた。手だけではない。そらりす丸はおろか凪いだ海すらも均一に白いばかりで、加世のもつ肉体の形を映さない。だからこそ、か、此処に在っては己の纏う色どもが濃密さを増したようで目に沁みる。
ゆらり、視界の端を金魚のように横切った墨色を目で追い直すと、それは古の時代の文字のようだった。
 ああ、と加世は目を瞑る。
 かつて哀しい化猫の真と理を示す空間へ導かれたときに、一瞬通り過ぎた場所……だ。
「……女」
 低い声が体に響いて、慌ててもう一度瞼を開くと『彼』が立っていた。忘れていた動悸が瞬く間に戻ってくる。そういえば薬売りは『助ける』とか言っていたような。
 会わせてくれたのか。
 正直少しくらい説明してほしかったというか、なにせ死ぬかと思ったし言葉を惜しみ過ぎだと言いたい気持ちがないではないが、とりあえず感謝しますありがとう薬売りさん!
 立ち上がろうとする加世を『彼』は大きな手で押しとどめる。見上げた先の額の模様が、きょろりと動いた。
「……あれが、贄を寄越すとは珍しい」
 ニエ?と加世は首を傾げる。
「贄だとも。生娘だろう」
「そ……っ!」
 そんなこと! あるけど! あるけどさぁ!
 さらりと口にされた単語に、絶句すると同時に頬に血がのぼった。いきなりなんてことを!と加世が叫ぶ前に、『彼』は何かを思い出そうとするように口元に手を当てる。
「まだ素敵な恋もしたことがない……だったか」
「イヤーっ! なんで知ってるのやめてそれ以上言わないでぇーっ!!」
 思わず顔を覆って絶叫すると、白い空間に残響がさざなみのように伝った。床に接した足先が微かな振動を感知してくすぐったい。……って何これ。
 右手を下ろして床を撫でる。見た目から感じるほどには冷たくない。ただ、元のように木材ではありえず、畳とも違う。柔らかくはないが石のように硬質な手応えでもない。加世の知らないもの――そも、加世の知らない世界。

518:神婚 4
08/08/18 22:58:22 /BwdqqGa
 床に向かって、あー、と声を出してみる。押してもびくともしないのに、声に合わせて微細な振動が生じ、手のひらに伝わる。打ち鳴らされた太鼓の薄膜のようだ。
「うわー。おもしろーい」
 感心していると、頭上から、くっ、と小さく笑う声が降ってきた。――しまった。
「……これは、また、胆の太い」
「いっ、いやあの、普段こういうことってないからつい!」
 子供っぽいって思われたー!?
 ぶんぶんと両手を振って言い訳するがもう遅かったようで、幼子にするようにぽんと頭に手を置かれる。
「ほどほどにしておけ。影の次は、色を盗られる」
 ぎょっと手を引くと、その仕草がまたおかしかったようで異形の男が笑う。むぅっと加世は膨れた。
「もぉー! そんなに笑わなくたっていいじゃない!」
「そうか。気をつけよう」
 あっさりと男は頷き、さらりと、名はなんだ、と訊く。答えようとして、ふと気づいた。
「……あんなことまで知ってるんだったら、あたしの名前も知ってるんじゃないんですかぁ?」
 拗ねたような響きになったのは、状況からして仕方ないと思う。初めて好きになった人の前で、早速恥をかきまくるとは思わなかった。
「知ってはいる。あれが呼んでいたからな」
「ほらやっぱり!」
 案の定の返事に唇を尖らせると、男は不思議そうに首を傾げた。
「だが、お前の口から聞かねば婚姻が成立しない」
 ぶふゥーっ!!
 加世は思いきり噴いた。
「なっ、なななな」
 ――なんですと!?
 婚姻、て結婚!? や、待ってあたしはただ、ちょっとでもお近づきになりたかっただけってゆーか、そりゃもう会えなくなるかもって思ってたからできれば次の約束とか考えてたけど! 婚姻って! 一足飛び! 一足飛びだから!!
 胸のうちでは怒涛のように繰り広げられる反駁も、口にできたのは「な」の文字だけだった。
 一旦落ち着こうと深呼吸。すーはー。
「な――なんで、そんな、いきなり!」
「いきなり?」
「こっ、婚姻とか!」
 男は加世を見下ろす。
「人、ならざる者に捧げられた贄は、巫子(ふこ)で嫁と決まっていよう」
「そうなのーーーーーっ!?」

519:神婚 5
08/08/18 22:59:14 /BwdqqGa
 頭を抱えると、ちょうど壁に触れていたらしい文字が振動を受けてふるふると細かく波打った。この世ならざる光景を見ながら、そんな大事なこと説明皆無ってどうなのよ!と、ここにはいない薬売りを恨めしく思っていると、すいと視線が外れ、男が離れた。
「……偶然、迷い込んだだけならば、見逃してやる。色を失くし記憶を盗られる前に、去ね」
 迷い込んだことにしてやる、と、それは『彼』なりの優しさだろう。けれど、離れた手が寂しくてすぅすぅする気持ちには、ちっとも優しくない。
「どちらか……しか、ないんですか?」
「当然だ」
 独特の色合いの瞳が、加世を厳然と見下ろした。
「此処は人の世ではない。我らには我らの従う法がある。なればこそ、あれも毎度苦労しているのだと、お前は知っているはずだが」
「……はい」
 突き放すような言葉に、加世の胸は痛む。形、真、理が揃わないばっかりに、坂井の屋敷では人が死に、薬売りも怪我を負っていた。
 そういう、ことなのだろう。
 人の世で水が低きに流れるを押しとどめること叶わぬように、人の意思が届かぬ、世界の定めた法則だ。
 しかし、と加世は思う。
 なんて難儀な初恋だ。きっと一目惚れだったのに自分で気づかず、自覚したと思ったらいきなり刺され、人外の世に来たかと思えば、恋を味わう前に嫁げときた。
 ……嫁ぐ、と胸のうちで繰り返す。とくんと鼓動が跳ねた。
 嫁に行け、とは、坂井から実家に戻ったときにイヤになるほど言われた言葉だ。見合いという名の下に遠目から覗いて、結婚が決まってしまうことも珍しくはない。人には添うてみよだと諭されても聞けず、駄々をこね続けてきた。
 ……過ごした時間は、そういった見合いとほとんど変わらない。男はそれでも加世のことを、薬売りが知る程度には知っているようだが、加世は遠目に二度見たきりだ。言葉を交わしたのは今日が初めて。
 でも、知っている。負の感情に呑まれてしまった魂に、真っ向から向き合い救済をもたらす存在であること。珠生の味わった苦難を目の当たりにして、ぼとぼとと大粒の涙を零す化猫の心情を思い、せめてもその苦痛が終わったとき、『彼』は文字通り神様に見えた。
 感動と、感謝と、尊敬と。苦しいほどの憧れ。
 ――ならば、いいではないか。
 このまま別れたら一生後悔する。きっと引きずり続けて、それこそ結婚なんかできないだろう。特別と言って手を貸してくれた薬売りだって、加世がすごすごと引き返してきたらなんて思うか。
 絆は、夫婦となってから築いても遅くない。築きたい、と思える相手だから。
 加世は座を正して両手をついた。
「……好きです」
 男の目が加世を見下ろす。
「ふ、ふつつかものですが、どうぞ、末永くよろしくお願いいたします」


つづく

520:名無しさん@ピンキー
08/08/18 23:07:51 I66ECuUZ
続きが楽しみだ〜!!!!!!!!!!!!!!


521:名無しさん@ピンキー
08/08/19 04:21:17 8EIVGBhG
ひょえ〜!!!?逆プロポーズですか加世ちゃん!!www
今までにない新しいハイパー×加世にwktkを隠しきれないです。
続き待ってます、三点倒立で。

522:名無しさん@ピンキー
08/08/25 18:53:57 7OxpAnaH
サノメの続きはどうなったのかなあ……。


523:名無しさん@ピンキー
08/09/02 02:13:05 D3ZS+cls
ほしゅあげ

524:名無しさん@ピンキー
08/09/03 03:45:56 fUS1zHrL
続きまだー?

525:sage
08/09/04 00:48:12 PMcCvSyD
まぁ、そう急くな
飴ちゃんやるから つ>〇<

526:名無しさん@ピンキー
08/09/04 00:48:50 PMcCvSyD
間違えたorz

527:名無しさん@ピンキー
08/09/04 12:20:20 5Y3e7TCE
>>526
気にするな(T_T)\(-_-)ヨシヨシ

528:名無しさん@ピンキー
08/09/05 16:49:10 uKPICGo6
保守がてらこんなのしてみた。

取扱説明書 メーカー
URLリンク(u.p0k.net)

薬売りさんの取扱説明書

薬売りさんをご使用する際には以下のことに気を付けて下さい。
・女性を近づけてはいけません。
・煙が出ている、異臭がするなどの異常状態のまま使用しないで下さい。
・長い間お手入れを怠りますと、通風孔の毛が伸び、見た目を損なうことがあります。

薬売りさんが故障かな?と思われる場合は以下のことを試してみて下さい。
・まれに、一本背負いで直ることがあります。

それでも薬売りさんが正常に動作しない場合は。
・背中に記載の製造番号をお控えの上、当社までご連絡下さい。


ハイパーさんの取扱説明書

ハイパーさんをご使用する際には以下のことに気を付けて下さい。
・ごくまれに、電波の影響を受け誤動作することがありますが、仕様です。
・模倣品にご注意下さい。
・オリジナルはこちらではありません。
・煙が出ている、異臭がするなどの異常状態のまま使用しないで下さい。

また、ハイパーさんを以下の場所でご使用にならないよう気を付けて下さい。
・結婚式
・宇宙
・無人島

ハイパーさんが故障かな?と思われる場合は以下のことを試してみて下さい。
・ハンマーで、側頭部を優しく撫でましょう。

それでもハイパーさんが正常に動作しない場合は。
・クマのぬいぐるみと交換を致しますので、当社までご連絡下さい。


薬売りさんには(加世ちゃん以外の)女を近づけちゃダメなんだ!
ハイパーさんを交換された後、解き放ったらクマー!!!!!!!!!!!!!!


529:528
08/09/05 16:54:54 uKPICGo6
続いて

退魔の剣さんの取扱説明書

退魔の剣さんをご使用する際には以下のことに気を付けて下さい。
・女性を近づけてはいけません。
・ごくまれに、電波の影響を受け誤動作することがありますが、仕様です。
・煙が出ている、異臭がするなどの異常状態のまま使用しないで下さい。

また、退魔の剣さんを以下の場所でご使用にならないよう気を付けて下さい。
・無人島
・きれいなところ
・なにかの上
・墓地

退魔の剣さんが故障かな?と思われる場合は以下のことを試してみて下さい。
・ネコを与えてみて下さい。

それでも退魔の剣さんが正常に動作しない場合は。
・電池が入っていない可能性が高いです。



天秤さんの取扱説明書

天秤さんをご使用する際には以下のことに気を付けて下さい。
・男性を近づけてはいけません。
・シンナーなどの有機溶剤は動作がおかしくなる原因になりますので、使用しないで下さい。
・雑巾でこすったりしますと変質する原因になりますので、ご注意下さい。
・風呂場では使用しないで下さい。

また、天秤さんを以下の場所でご使用にならないよう気を付けて下さい。
・葬儀場
・乗り物の中

天秤さんが故障かな?と思われる場合は以下のことを試してみて下さい。
・アルコール分を含んだ雑巾で、全体的に優しく拭いて下さい。

それでも天秤さんが正常に動作しない場合は。
・どうすることもできません。





530:528
08/09/05 16:57:15 uKPICGo6
上記の取説からエロパロに持って行こうとしてみたけど
オイラのおつむじゃギャグ路線に行ってしまうorz


531:名無しさん@ピンキー
08/09/05 21:39:43 QF3rOHEH
> 退魔の剣さんを以下の場所でご使用にならないよう〜
> ・なにかの上

机の上で構えるのアウト!?

> 天秤さんを以下の場所でご使用にならないよう
> ・乗り物の中

海坊主と鉄猫アウト!!

しかし>>528、これでどうエロパロにwww

532:名無しさん@ピンキー
08/09/05 22:48:02 9ueEgPz8
ギャグでも良いから物凄く読んでみたい!

533:蛸(+薬売り)×加世※鬼畜注意
08/09/08 16:03:51 QT0Dhv77
神職人が降臨するまでの場繋ぎにヤンデレと鬼畜の違いが判らない俺が言葉責めをコンセプトに携帯から投下しますよ。

初心者故、展開が唐突過ぎるのと不自然な所は見逃してくれ。







何時ここに来たのか、何故、こんな事になったのか加世はとんと思い出せなかった。

浅黒い肌を這い回る、ぬめぬめしたモノ。

ずるりと擦り付けられる度、ぞろりと孔を撫でられる度、加世は泣き叫ぶ。

どれ程の時が経っただろう。

加世がもう声も上げられなくなった頃、もう消えかけている思考の端に『彼』の姿を思い描いた頃、それは起こった。

「こいつは、酷い」

低く、良く通る声。

「こりゃあ…大蛸」

カチン

場を切り替えるような、澄んだ音が辺りに響く。

加世はその最も求めていた声に、残った力を振り絞り顔を上げる。

「くす、り、うり、さん?」

少し霞んだ視界に極彩色の男の姿を認める。

男は小高い所に座してこちらを見下ろしている。

「たす、け、て」

弱々しく手を伸ばす。男の口許が、紅の形に歪む。

「駄目、です」

「え…」

何故。

「モノノ怪を」

モノノ怪を斬るのがあなたの

534:蛸(+薬売り)×加世 続き
08/09/08 16:09:19 QT0Dhv77
「うぐ…ううっ」

「人の縁と因果が巡ってモノノ怪を成す」

加世さん。

「そいつァ、あんたのやや子も同然だ」

『やや子』の一言に加世はびくりと震える。

海座頭の一件を思い出したのだろうか。加世の動揺に気付いているだろうに、薬売りは更に加世を追立てる言葉を吐く。

「そいつがあんたの元に現れたということはそれはあんたに因果のあるもの」

真と理はあんたの中にある。

「あんたの胎の中の欲に、あやかしが宿ったんだ」

いつの間にか加世の前に現れた薬売りは加世の涎の垂れるぽってりとした唇を撫でる。

「あ…」

ねえ、加世さん。

理を解く手掛かりをやろうか。

ゆるゆると加世の唇を撫で薬売りは言う。

「このように」

口の中に指を突っ込んでねっとりと掻き混ぜる。

「ふ…ぐ…ちゅ…」

俺に犯して欲しかったんでしょう。

あんたの俺を見る目はいつも物欲しそうで。

「ち、違…」


「ほぉう、違う。違うってんならこいつは相当の好き者だ」



535:蛸(+薬売り)×加世
08/09/08 16:15:44 QT0Dhv77
悦がらせてくれるのなら誰でもいいんですか。

「違…」

薬売りの蔑みの言葉を、加世は必死に否定する。

しかし現状は大蛸の足が太腿の間を擦る度蜜を垂らして、これじゃあ薬売りの言う通りの女であるようなもの。

撤回、するには。

「あたし…」

あたしは…

「薬売りさんに…」

抱いて欲しかった。

『理』を消え入りそうな声で口にした。

カチン、と場違いに澄んだ音が響く。

それじゃあ次は真だ。

薬売りは低く囁く。

「言え」

モノノ怪の、お前の真を。

「ああう…っ」

前を後ろを、激しく突き上げられる。

吸盤が敏感な箇所を強く吸い上げた。

言いたくない。

言ったらきっと戻ってこれない。

嗚呼、でも、もう。

胎の中を這いずり回るモノに耐えきれず、遂に加世は口を割った。

「あたしが…淫乱だからっ!あたしが淫乱だからですぅっ!」

カチン

その言葉に反応したかのように大蛸の足の動きが一層激しくなった。

「ひぃああぁあっ!」



536:名無しさん@ピンキー
08/09/08 16:20:09 QT0Dhv77
目の前でこれ以上は無理な程脚を広げられ、子を成す孔も排泄する孔も犯されている娘の姿を見ても薬売りは全く表情を変えない。

真も理も明したと言うのに何も行動を起こさない男に、加世は靄掛かった頭で必死に助けを乞う。

「くすりうりさぁんっ!あぁっ…た、たすけてぇっ!」

必死に頼み込んでも薬売りはいっこうに動かない。

やがてたっぷり時間をかけて出た答えは死罪を告げられるに等しい一言。

「嫌、です」

加世の思考は停止する。

「モノノ怪は斬らねばならん。だからいずれは斬ってやる」

それまであんたの正気が持つかは知らないが。

「な…」

どうしてそんな事を言うの?

加世の目に浮かんだ疑問に、男は薄らと微笑む。

「加世さん、俺はあんたが大好きだ」

加世の痴態をうっとりと眺めながら薬売りは言う。

「弱くて、脆くて、欲望に素直で、本当にあんたは人間らしくて」

犬歯を覗かせて薬売りは笑った。

「本当に」

大 好 き だ

「あ…う…」

胎の中のものが最奥を叩いてこじあけようとしている。

感覚に、加世はもう何度になるか分からない絶頂が近いことを悟る。

絶叫と哄笑が、辺りにこだました。



おしまい


この後ウエンツな展開も考えたけど疲れたから放置プレイ。

537:蛸(+薬売り)×加世
08/09/08 16:30:08 QT0Dhv77
…ごめん、最初と二番目の繋ぎの一文入れ忘れた。


つ モノノ怪を斬るのがあなたの役目でしょうに。

加世は抗議の声をあげようとするが、ぬめるモノが口に突込まれ、叶わなかった。


と入れる筈だったんだ…。

sage忘れてるし、ちょっとウエンツされてくる。

538:名無しさん@ピンキー
08/09/08 21:27:25 /Fk7Qhiy
ウヒョーーー!えろす!えろーーーーーす!!

539:名無しさん@ピンキー
08/09/11 01:06:31 HVwyX5iT
加世のぽってり唇と薬売りの白い指先をセットにされた日にゃオイラ・・・
ハフーンGJwwwww(*´Д`)b

540:名無しさん@ピンキー
08/09/15 03:30:18 idwCdfKa
過疎だなぁ……。もう住人はいないのか。

541:名無しさん@ピンキー
08/09/15 09:00:58 P+SvahsX
実はこっそり隠れてたりする

542:名無しさん@ピンキー
08/09/16 02:24:12 69LHiMVJ
同じく隠れている。

543:名無しさん@ピンキー
08/09/17 00:43:52 uR3lu8M/
いるよノシ

544:名無しさん@ピンキー
08/09/17 03:07:41 1Wiw/p/X
神婚の続きを密かに待ってる

545:名無しさん@ピンキー
08/09/19 00:59:08 Y0mNnb/v
いるよ。ときどき覗いてるよ|д゚)ノ

546:神婚 6
08/09/21 00:06:49 iSsOl9AL
ここにもいる。

>>544
ありがとん。

間が空いて申し訳ない、投下いきます。まだ完結しない。
金加世続き、人外属性強め(触手プレイっぽい)。
NGワードは神婚で。


547:名無しさん@ピンキー
08/09/21 00:08:12 8mY1o925
ごめん名前間違えた…orz

↓から本編投下

548:神婚 6
08/09/21 00:10:46 8mY1o925
男の全身を彩る『目』が一斉に蠢くと、全部がきろりと加世の方を向いた。人よりはるかに多い視線に晒されて、頬が火照るのをじっと耐える。
 ……試されている。
 価値を、真実を、覚悟の程をはかられている。
 きゅっと唇を噛んで、加世は真っ直ぐにひとつひとつの目を見返した。ここは、退けない。
「……いいだろう」
 ふと、男が笑ったような気がした。押し寄せる圧力が緩んでほっとする。男が加世の目線にかがんで、端然と相対する。そうやって正座すると、どことなく薬売りと似ている、と思った。
「懐のさかずきを出せ」
「へ?」
 そんなものを入れた記憶はないのだが、探ると本当に入っていた。つややかな朱塗りのさかずき。なんでこんなものが、と思いながら取り出すと、落とすなよと釘をさされる。
「それはお前の心の臓だ」
「きゃーーーっ!?」
 つるっと手が滑りかけて、慌てて持ち直す。
「あ、あぶっあぶなぁーーーーっ」
 震える指先でなんとか持ち直すと、男は加世の前に手を出した。寄越せ、ということだ。加世は両手で奉げるようにしながらその手を見る。
 ……おおきい。
 指が長いから騙されるが、節の立った手は意外にごつごつしている。赤く長い爪、形と真と理によって猛り吼える退魔の剣を、握り統御する男の手が、加世のさかずきに――触れた。
 ぞくり、と背筋に何かが走った。嫌な感じではないが、腰骨の辺りが痺れて力が抜ける。正座していたからいいようなものの、そうでなかったら膝から崩れ落ちていたかもしれない。
 さかずきを手にした男は微かに笑った、ようだった。
「ぬくい、な」
「えっ、えっ!?」
 自分の手にあるときは、特に温度など感じなかったのだが。勝手に全身が熱くなる。捕縛でもされたように、男の手元から目が離せない。自分の心臓だというそれが、男の大きな手に包まれ悦びにうち震えているように見えた。
 自分、も。
 ああなっているのか。
 褐色の指にさかずきがゆっくりとなぞられてぞくぞくする。胸の奥と腹の底が熱い。とろんと眼差しが潤むのがわかった。陶然とした目の先で、赤いさかずきの底からゆらゆらと金の液体が湧く。湧いて、満たして、惜しげもなく溢れ、男の手指を濡らしてぽとぽとと零れていく。
「……綺麗……」
 金と朱の色、大地の引く力で地肌に描かれる曲線に恣意はない。うっとりと呟く加世に、そうだな、と男も頷く。そして片手を加世へ伸ばした。


549:神婚 7
08/09/21 00:16:04 8mY1o925
動くな」
「……はい」
 言いながら彼は加世に刺さりっぱなしだった退魔の剣に触れる。不安はなかった。どこか夢見心地のまま、加世は素直に返事をして、男の挙動を陶酔の色で見守る。
 動くなよともう一度念をおして、男は鬼の柄を握るとずずっと加世の中から引き抜いていった。かすかにくすぐったいような感触、やはり痛みはなかった。体内から現れた刃がぬれぬれと赤いのがいっそ不思議なほどだ。
ぴたん、と一滴血が飛沫いて、すぅっと色を失くし周囲に溶けていく。
 抜ききった刃の先を、彼は加世のさかずきへ傾けた。
つぅと加世の血が集まって滴になり、とろりと酒杯に落ちていく。
金の液体と混ざって螺旋を描いた。そのまま口元に運ぶと、青い紅を引いた唇が加世の心臓に触れて、こくりと、一口。二口、三口。
 喉仏が、動く。
 男は加世の手を取り、そこへさかずきを戻した。
「飲み干せ」
「……はい」
 男に倣って三口目でくっと空けると、さかずきごと溶けて流れ込んでくる。口に含んだ液体は甘く、かすかに舌先に苦みが残った。
喉を滑り落ちると度の強い酒のようにカッと灼かれる。胃に、落ちていくのがわかって、途端爆発しそうな鼓動を知覚した。
同時に酩酊感が沸き上がって頭がくらりとする。
かつてない幸福感に意識がふわふわした。何も考えられないまま、重なる唇を受け入れる。
「……なんて……お呼びすれば、いいですか」
「好きに呼べ」
「そんな、難しいです」
 男の指先がゆっくりと加世のうなじをくだる。さわさわと後れ毛が揺れて、加世はいっそう深く男の舌を受け入れた。
男の手は肩口を通って帯揚げを解き帯を緩める。加世の胴を締め律していた束縛が消え、代わりに胸がきゅぅっと縮み上がった。
襟をくつろげた男が胸元に口づけて、思わず、や、と声がこぼれた。
「あ、ああああのっ」
 男は黙って顔を上げた。話を聞いてくれるのかと思いきや、尖った黒い歯が加世の下唇を食む。
「ふぁ、ひょ、ひゃの!」
 メゲずに訴えようとするとうるさいとばかりに口を塞がれた。
「んっ――!」
 加世の口の中を乱暴に蹂躙しながら、男の手が黒髪の間を探って簪を抜き、櫛を抜き、笄を抜く。ぷつりと結い紐の切れる気配がして、ざぁっと髪が流れ落ちた。男が指をくぐらせ、微かに目を細める。
「――っくは、」
「……美しい」
 口づけの間、息継ぎが許されなかった加世は涙目で酸素を求めるが、ほとんど触れたままの唇の上で男は淡々と呟いた。苦しさばかりでなく、加世は真っ赤になる。
「……あっ、あなたに言われても――っ」


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