モノノ怪でエロパロ 2札目 at EROPARO
[bbspink|▼Menu]
[前50を表示]
250:名無しさん@ピンキー
08/02/22 10:59:37 4MXTp8CV
モノノ怪の小説はここにしろ個人サイトにしろレベル高いから
みんな目が肥えてるよな

>>243
とりあえず本当に半年ロムって、その間に修行すれば

251:名無しさん@ピンキー
08/02/23 00:13:05 qixuukdy
イラストの修正問題にあれこれ思いを馳せていたはずが、いつの間にか
ハイパーのモノにあのくるくる模様はあるのか真剣に悩んでいたヴァカは
自分だけでいい。

でももしかしたら仲間がいるかもとちょっとだけ期待してみる。

252:名無しさん@ピンキー
08/02/23 17:10:18 yvlRDPxs
…あったら面白いとは思うけど、でもあんまりカッコよくは無いよねwww

253:名無しさん@ピンキー
08/02/23 20:03:09 ZyZwbLY3
体の隅々まで加世ちゃんに模様をなぞってもらうといい、と思ったw

254:名無しさん@ピンキー
08/02/23 21:45:23 6fVJhh9R
ハイパーうらやましすぐる…!<加世にナデナデ
天秤ズがヤキモチやきそうだw

255:名無しさん@ピンキー
08/02/23 22:22:51 sppLRNgF
あの模様センサーらしいからなぁ。それとも目玉っぽい部分だけがそうなんだろうか。
感覚器なら、ものすごい苦痛かものすごい気持ちいいかどっちかだろうけど、
エロパロ的に性感帯だったら大変だなと思ってみる。全身w

256:ドS
08/02/25 22:55:06 Ki5fAviW
修正してみました、花とお札と金魚で誤魔化せたかな。

兵衛×加世
URLリンク(imepita.jp)

薬売り×加世-目隠し
URLリンク(imepita.jp)

薬売り×加世-目隠し&拘束
URLリンク(imepita.jp)

加虐愛-異物&緊縛
URLリンク(imepita.jp)

加虐愛-異物&穴る
URLリンク(imepita.jp)

加世×ハイパー
URLリンク(imepita.jp)

加世×ハイパー-加世up
URLリンク(imepita.jp)

257:名無しさん@ピンキー
08/02/25 23:58:02 RSK03A8a
ドS様のイラストが何故か
画像が一部見れないようです


258:名無しさん@ピンキー
08/02/26 16:06:28 8nYWm3c2
>256
ちょwww
逆にいかがわしくなってる気がするんですがw
GJ!!

>257
256の画像なら全部見れたよ。
そういう意味じゃなかったらごめん。

259:名無しさん@ピンキー
08/02/26 18:04:20 MZ2GTKDw
確かにw隠すほうがエロイとはけしからん、もっとやれ!

>>257
自分は携帯から見たよ。
パソコンからは見れなかった(´・ω・`)

260:337
08/02/26 18:56:59 LIjkiTUZ
>ドS氏
乙です! 保存しますた(`・ω・´)ゞ
見られなかった住人さん待っててくだされ。この後収蔵する。

>>258
日本には、見えぬもの、統制されたもの、抑圧されたものをエロスと感じる文化があってだなw
ああ、日本に生まれてよかった。本当によかった。

261:名無しさん@ピンキー
08/02/26 20:02:00 CWbfSFH3
女とヤってお金が貰える♪
まさに男の夢の仕事!
出張ホストっておいしくない?
URLリンク(godblessall.net)

262:名無しさん@ピンキー
08/03/02 00:09:03 pNBtVWAb
薬売りの出張ホストネタなら構わんので
ボトルキープしてやらんでもない



263:名無しさん@ピンキー
08/03/02 00:50:06 Y/1aHs1m
薬売りは、どっちかってーと複数ねぐらを確保しているgdgdなヒモだと思う。
のはぬこっぽいからだろうか……。

264:名無しさん@ピンキー
08/03/02 20:54:07 sA31Nz7v
お蝶さんの所へは頼まれてもいないのに出張するホスト敦盛

265:名無しさん@ピンキー
08/03/02 22:19:36 QNNhGi1n
お蝶さんがドアを開けたら「お蝶さん!俺と夫婦になろう!」と違った意味合いで営業妨害な敦盛。苦情殺到ww

266:名無しさん@ピンキー
08/03/03 01:53:25 91g3Cq43
指名No.1をめぐる薬売りと敦盛の熾烈な戦いが見たいwww

267:名無しさん@ピンキー
08/03/03 02:36:02 VZszZfyM
自分はチヨたんに「女優になりたいのぉ〜」とねだられたい
あとムチプリふとももサワサワしたい

268:337
08/03/07 21:02:36 YysvDUCP
とりあえず保守っとく。投下の間が空きすぎてうずうずするんだぜ?
これってなんて中毒。2,3日の間に投下できるようにガンガル(`・ω・´)

269:名無しさん@ピンキー
08/03/07 21:13:29 ZspbTHlt
のっぺら夫婦が大好きだ

270:名無しさん@ピンキー
08/03/08 20:03:57 pY7BVRvb
わー337さんだ!
三点倒立しながら楽しみに待ってます!

271:337
08/03/10 18:50:37 wgxdoTlH
投下いきまーす。
薬加、今回投下分はエロなし御免。全6レス予定。

272:サノメ 1
08/03/10 18:52:38 wgxdoTlH
「あちゃあ……留守かぁ……」
 いいかげん馴染みもできた長屋の一室に加世が顔を出すと、まだ明るいというのに戸が立てられていた。水瓶も空で、すっかり乾いている。鍵などかかっていないから部屋には上がれるが、さてどうしたものか、と加世はがらんとした部屋を見回す。
 貧乏長屋はろくすっぽ調度がないものと決まっているが、この部屋の主はその身と背負った薬箱のみで各地を旅する人物だから、なおのこと何もない。とりあえず、加世はごとごとと雨戸を開けて部屋に風を通す。
 意外なことに、江戸に着いてからも加世と薬売りとの縁は切れなかった。どういう風の吹き回しか、薬売りがしばらく江戸に落ち着くことを決めたからである。
 二日三日程度の遠出はしているようだが、基本的にはなんの変哲もない某(なにがし)長屋の一角を住まいとし、近場の行商に出ている。たまにはいいでしょう、というのが本人の弁で、見知らぬ土地に思いがけず顔見知りがいることになったのが、加世にとっては嬉しい。
 とはいえ。
 薬売りが言うように、単なる気まぐれで――と信じるには、かの人物は裏がありすぎた。
 なんでだろう、と加世は思う。坂井の騒動のとき、多少は言葉も交わし、それなりの親しさもあったと思う小田島と加世の元に、薬売りは一晩だって寄らなかった。
あるいは面倒ごとに巻き込まれるのを嫌ったのかもしれないが、食事くらいは共にしてもよかったのではないかと、後になって思った。なんといっても、薬売りは二人の命の恩人なのだ。たとえ本人がたまたまのことだと言い張ったとしても、恩人は恩人である。
 あれほどすっぱりと去ってみせたからには、薬売りの常はそちらなのだろう。それを曲げて江戸に留まる理由を、加世はこれまであれこれと考えてきた。本人に訊くという選択肢は最初からない。どうせ素直に言うわけがないのだ。
 真っ先に疑ったのは例によってモノノ怪絡みで、だがそれにしてはいつまで経っても噂が聞こえてこず、薬売りも相変わらず江戸にいる。
 ようようそれらしい理由を思いついた頃には、加世は首尾よく青物屋の奥向きに奉公先を見つけていた。

 ――アヤカシの海を抜けてきたことで、薬売りの体に相当の負担がかかったのではないか。

 モノノ怪を『斬る』のがどれほどの労苦なのか、加世にはわからない。ただ、人の姿のままで為せないことが、楽なものだとも思えなかった。それを、薬売りは船上で立て続けにこなしてきたのである。休養が必要になっても不思議はない。
 それとなく観察してみたが、はたして弱っているのかどうか、加世にはわからなかった。まして、本人が何を言うはずもない。
 一人で生きている人なのだと、なんとなくわかる。他人に何かを期待することがないから、口に出す言葉はおのずと限られる。
 ならば、こちらはこちらで勝手にやろう、と加世は決めた。

273:サノメ 2
08/03/10 18:53:49 wgxdoTlH
 わずかに自由になる時間を見繕っては、薬売りのところへ顔を出す。江戸のご飯は塩みが強くて、不味いというのではないが故郷の味が恋しくなる、たまには口にあうものを食べたい、と我がままをこねて料理を作る。
無論、体を損ねているかもしれない薬売りに滋養のあるものを食べさせようというのが実のところだ。加世の勘違いならそれはそれでいいし、美味しいものを食べるのだからどう転んでも損はない。
嫌がられたらやめようと思っていたが、加世なりの恩返しを、今のところ薬売りは何を言うこともなく受けている。
 ――受けていた、と言うべきか。
 加世は掃除用具を手にすると、布で口元を覆ってぱたぱたとはたきをかけ始める。人がいなくても、いや、いないからこそか、埃は積もるものだ。
「いつ帰ってくるか、わかんないし……。作り置きして傷んでもやだしなぁ」
 もごもごと布の下で呟いて、箒で板間を掃きだしていると、近所のおかみさんが表を通りがかって顔をほころばせた。
「おやお加世ちゃん。お疲れさんだねェ」
「こんにちはぁ〜」
 手を止めて布をずりおろし、ぺこりと頭を下げる。おかみさんはちょっと首を傾げた。
「薬売りさんなら留守だよゥ? 昨日の昼前にお出かけだったけどねぇ」
「ん〜、行き違っちゃったかぁ……」
 参ったな、と思案する加世に、おかみさんはにやりと笑う。きょろきょろと辺りを見回して土間をやってくると、ひそと低めた声で囁いた。
「あんた、わざわざ通ってきて空振りするくらいなら、さっさと薬売りさんと夫婦(めおと)になっちゃあどうだい?」
「め――っ!?」
 ひっくり返った声に喉が引きつり、思いきりむせる。おやおや、とおかみさんは加世の背を撫でてくれた。
 が。
 この誤解はキツい。何が何でも正しておかねば、なにかとてもすごくマズい気がする。
「めっ、めめめ夫婦なんて! あたしと薬売りさんはそういうんじゃないんで! ほんとに!」
 加世が必死で言うと、おかみさんは目を丸くした。
「あれ。脈なしかい」
「脈も何も! 薬売りさんはあたしの恩人で! これは単なるご恩返しですから!」
「……そうなのかい?」
「そうなんです!」
 勢い込んで念を押す。おかみさんは何か不満そうだったが、加世は無理やりに話題を変えた。
「あっ、あの! じゃあ薬売りさんに言付けお願いしていいですか? あたし、大旦那さまの里帰りのお供をすることになったんで、しばらく来られませんって」
 ああ、とおかみさんは得心がいった風だった。
「サノ祭のつきそいかい」
「え、知ってるんですか?」
「ああ、友達の妹が、昔見越屋さんのお世話になっていたから。なるほどねぇ、まだ日も浅いのに見込まれたもんだ。おめでとさん、うまくいくといいねぇ」

274:サノメ 3
08/03/10 18:55:16 wgxdoTlH
 加世は笑う。見越屋とは加世が今住み込みで奉公にあがっている青物屋だ。前の主人は、そも豪農の三男坊だったが、農家の暮らしが肌に合わず、江戸に出てきたのだと聞いた。
といって実家と険悪だったというのでもなく、つながりを利用して安くでよい品を仕入れ、小売りから一代で大店を起こした傑物だそうだ。
 加世も、仕事の折に触れ少しだけ話をしたことがある。想像していたのとはいささか違い、腰が低く人あたりの柔らかい、温和な好々爺だった。
今は息子に店を譲って隠居の身だが、数年に一度の故郷の祭には必ず出ていく。代々行なってきた豊作祈願で、一族が宗家に集まる大がかりなものらしい。
 その随従に選ばれるのはどうやら大変な名誉らしい、と加世は肌で感じている。よほどに大事な祭なのだろう。
「わかった。薬売りさんが帰ったらよぅく言っておくよゥ」
 お願いします、と加世は頭を下げ、しっかりおやりよ、とおかみさんに肩を叩かれた。ひととおりの掃除をして、帰路につく。次に来るのは半月先か、ひと月になるか。その間に、薬売りは長屋を引き払うかもしれない。
 いつまで経っても物が増えないのは、あそこが仮の住まいだからだ。それくらいは言われずともわかっている。
 挨拶くらいはして、旅立ちを見送りたかったが、それも無理か。
 もう一生会わないかもしれないな、となんとなく思った。


   *


 ご隠居の体にあわせて、三日の旅程はのんびりしている。
 一行に若い娘は加世だけだった。どころか、女は他に久と呼ばれる古参の女中一人きりで、短い旅ながら男衆は加世に親切だ。
 あと半月もすれば田植えが始まる。木々が青々と枝を伸ばし、風が心地よい道行だった。
「加世は天女の話を知っているかね」
 駕籠の隣をてくてくと歩きながら、ご隠居の話し相手を務めるのも加世の仕事だ。老人の話は長い上に繰り返しが多く、説教じみてかなわないことが多いが、さすがに元・希代の商人は各地の変わった話を数多く知っていた。
その話ぶりに、加世はちらりと船で一緒になった口数の多い修験者を思う。
「天女ですか? あの、羽衣を着て降りてくるっていう」
 そうそう、と老爺は目を細める。
「宮野木には、昔、天女さまがいらしたそうな。サノメさまといわっしゃる。サノメさまは村の若者と恋に落ち、子をなした。それがうちのご先祖様じゃと、幼い頃によう聞かされた」
「えぇ!? すっごいじゃないですかぁ〜」
 目を丸くする加世に、なんの、とご隠居は笑う。
「本当か嘘かわからんよ。とはいえ、天女さまが降りたと言われる宮池は、どんな日照りの年でも枯れたことがない。おかげで米も野菜もよう取れる。今の見越屋があるのもサノメさまのご威光よな」

275:サノメ 4
08/03/10 18:56:14 wgxdoTlH
 ああそれで、と加世は納得する。
 見越屋の守り神は、大黒様でなく弁天様なのだ。水と富を司る女神は、そのサノメさまだったのだろう。
「サノ祭は、サノメさまをお祀りするのでな。ちょうど加世が来てくれて助かった」
「……へ?」
 唐突に飛び出た自分の名前に、加世はきょとんとご隠居を見返す。
「あたしが、なにか……?」
「なに、難しいことはない。村に入る前に祭衣装に着替えて、サノメさまとして歓待を受けてくれればそれでよい」
「――ちょ、え、えええええっ!?」
 仰天して問いただすと、天からの来訪者であったサノメにちなんで、祭のサノメ役を務める娘は村外から招く慣例であり、見越屋ができてからは隠居が(当時は主人だったが)奉公人の中から選んで連れて行っているのだそうである。
「そっ、そんな大事なお役目だなんて、あたし聞いてませんよぉー!」
「いやいや、そう構えんでもええ。大層なしきたりがあるでもなし、お久が側女としてつくで、言うとおりにしとってくれれば」
 うう、と加世は唸る。
「……なんで、そんな大切なお役目を、新参者のあたしに……?」
「なに、さすが以前お武家様に仕えていたというだけあって、加世は行儀がしっかりしておる。サノメのお役は難しくはないが、あまり野卑な者には任せられん」
「ふ、普通にしてるだけですけど……」
「親御の躾がよかったのかの」
 正面から褒められると、それ以上を言い立てにくい。
 その晩寄った宿はすでに村の事情をよく知っているようで、加世は温泉に入れられると温かな布団に寝かせられた。翌日は村入りだ。
 ……男衆が親切だったのは、自分がサノメだから、だったのか……。
 ことんと宵闇に意識が落ちる。
 寸前、りん、と遠くで鈴の音がしたような気がした。


   *


 かたん、と隣の戸が開いた音に、女は顔をあげる。ひょいと戸口から頭を出すと、大きな薬箱が部屋に引っ込むところだった。
「薬売りさん、お帰りかい?」
 手を拭き拭き覗き込むと、間口に座り込んだ薬売りがゆったりと頭を下げる。
「……どうも」
「留守の間に、お加世ちゃんが来たよゥ」
 言うと、彼は視線をあげた。
「加世さんが?」

276:サノメ 5
08/03/10 18:57:27 wgxdoTlH
 これのどこが脈なしなのかねぇ、と女は内心首を傾げたが、言付けられたとおり、しばらく来られない旨を伝える。
「サノ祭にサノメとして行ったんだ、おめでたいことだよゥ」
「祭……ですか?」
「そう。宮野木の大事なお祭だそうだよ」
 薬売りは眉を寄せる。
「村の祭に、部外者が?」
「ああ、あすこは天女の村だから」
「マレビト……ですか」
「まれびと?」
 いえこちらの話で、と薬売りは手を振る。
「それは、田開きの祭で?」
「この時期だから、そうなのかね。まァ、うまくいけば玉の輿だよ。宮野木は江戸からそう遠くもないし、見越屋のご宗家は立派なおうちだしね。アタシの友達の妹も、サノメになってあちらに嫁いだんだよ。
ご隠居さんに見込まれたんだ、イイ相手が見つかるといいね」
「……つまり、」
 心なし低くなった声で、薬売りが言う。
「祭は建前で、実質見合い、ということですか」
 はて、と女は首を傾げた。
「よそのお祭だから、アタシもそう詳しくはないけれど。普通、祭の夜ってのは若衆が娘衆にちょっかいかけるものじゃないかい? ほら、歌垣とかしてさ。さすがに江戸じゃあそうそう見なくなったけど」
「……加世さんは、それを承知で?」
 さてね、と女は腕を組み、ちらりと薬売りの顔を見やると、多少意地の悪い笑みを浮かべた。
「ずいぶん気にするね、薬売りさん?」
「ありゃあ、妹、みたいなもんなんで」
 妹ね、と女は笑う。
「まったく似た者同士だねェ」
「なんです」
「いやね、お加世ちゃんにサ。わざわざ通ってきて空振りするくらいなら、さっさと夫婦になっちゃあどうだい、て言ったのサ。おっと、怖い顔しないでおくれよ。
これっくらいになると、人間余計なお世話を焼きたくなるものでねェ。でも、薬売りさんは恩人で、これは単なる恩返しだって、すごい勢いで言われちまったよ。だからまァ……そうだね、安心おし?」
「……それで余所に出掛けられちゃあ、安心も何もないんですがね……」
 憮然として言う薬売りに、女は笑う。
「まぁまぁ、妹ならなおさら祝っておやりよ。お加世ちゃんからじかに聞いたわけじゃないけど、でも普通はそんな事情、聞いてから行くもんだろうし。わかってたんだと思うよゥ? 友達のときもそうさね、……あれ?」

277:サノメ 6
08/03/10 18:59:13 wgxdoTlH
 首をひねった女に、薬売りは目線だけでどうしたと問うた。
「そういやあのときは……どうだったっけね。記憶に……ああ、そうだ。せっかくの嫁入りなのに、披露目も祝いもしなくてね。ずいぶん急な話で、準備が間に合わなかったって、友達がこぼしてたよ。
そうそう、めったにない晴れの日だってのに、なんにもなくてがっかりしてねェ。でも、お加世ちゃんは、戻ってくるような口ぶりだったし……?」
 あれ、あれ、と首を傾げた女の前で、薬売りは高下駄を元のように履くと立ち上がる。
「……すみませんが、またしばらく留守にしますんで」
 よろしく、と言ったときにはもう歩き出している。
 鮮やかな着物がせかせかと角を曲がっていくのを、女は目を丸くして見送って、あれあれ、と含み笑いを洩らした。
 さて、一体どうなって帰ってくるのやら。


   *


 山あいから見下ろす村は美しかった。
 なんの変哲もない村である。一段低い平地に茅葺屋根が身を寄せ合うようにして集まり、峻厳と迫る山肌をどうにか押しとどめて畑と田んぼが段々に拓かれている。
遠くに望む尾根にはまだ雪が残っているが、村の中にはすでに若い青葉が広がって、天に向かってつんと尖った影を見せる檜(ひのき)の深緑とともに、春のまだら模様を作っていた。
 珍しくもない貧しい村、に見える。
 見越屋の隠居、八太郎左は、じっと眼下の村を睨む。
 村のことは嫌いではない――嫌いではなかった、と言うべきか。余所者の八太郎左を、実の子と隔てなく育ててくれたのはこの村だ。だがそうして一人前に育つ間、時にどうにも息苦しくなって、叫び出したくなることがあった。
村を出たのは八太郎左にとって必然で、しかし、完全に縁を切ることも考えられなかった。
 嫌いなのではない、と今でも思う。ただ、何の変哲もないように思っていた村が、八太郎左には恐ろしい。食うにはかつかつ、天の気の具合が悪ければたちまちに飢えかねないような村――そのはずが。
 どうして、こんなに豊かなのだろう。余所者は八太郎左だけではない。近隣の村では、育てられない子が生まれると、この村まで来て捨ててゆく。村では天女の伝説が生きているから、サノメさまからの下賜されものだと、捨て子を大事に育てた。
畢竟、村ではずんずん人が増える。増えた人が懸命に田を広げ畑を広げ、育ててもらったご恩返しによく働くから、村はますます豊かになる。
 しかし、どうして皆が皆『食える』のか――不作の年であっても、せいぜいが村の口ととんとんの出来となるのか、八太郎左にはどうしてもわからなかった。
 否、なんとなくはわかっている。サノ祭、サノメさま。それは神事であり禁忌でもある。
 ――わかっているのだ。
 恐ろしいものから目を背けるために、村を出たのだということは。


  つづく

278:名無しさん@ピンキー
08/03/10 22:47:36 qwq5nYtp
>337氏 新作乙です!
押しかけ女房になりきれない加世かわゆす
サノ祭はリンカーンイベントなのかな?と当たらない予想をしながら
何がどうして村を豊かにしているのかがとっても気になります。
後編wktk!!
薬売り超がんがれ

279:名無しさん@ピンキー
08/03/13 01:59:05 L0kqQKM4
337氏相変わらずの美文、乙です!
生活感が溢れててイイな〜
押しかけ女房ってイイw
ちょっと、ちょっと!ちょっと!!な加世ちゃんが気になりすぎてハゲそうだけど…
負けるな薬売り!(アッチも)頑張れ薬売り!てことで続きwktk

280:名無しさん@ピンキー
08/03/14 11:23:14 FdzPeviz
サノメって預言者ヨハネの首を所望したとかいう魔性の女!?とgkbrして
調べたら、それはサ“ロ”メだったウッカリウッカリ。
仮想とはいえ江戸だろがと数分前の自分に言いたい。

281:名無しさん@ピンキー
08/03/14 20:04:01 J5SmiTbk
>>280
薬売りの首を手に恍惚の表情を浮かべる襦袢姿の加世さんを妄想してしまった
ss続きマッテル


282:809
08/03/15 00:27:11 unTo9IcO
>281氏
こんな感じですか?わかりませ…
URLリンク(up.mugitya.com)(生首・流血注意)

337氏続き楽しみです!

283:282
08/03/15 00:28:15 unTo9IcO
Pass忘れてました。目欄です(´Д`)

284:名無しさん@ピンキー
08/03/15 09:30:03 SSaX/IVw
>>282
SUGEEEEEEE!!
自分281氏じゃないけど809氏GJGJ!
……で、できれば加世の頬染めて、あと首刎ねられたあとだから
薬売りは蓬髪の方が……とゴネてみる。

王は坂井のジジイで、妃は……みじゅえよりさとかな?

285:281
08/03/15 10:09:18 6iZjtaGS
天女の村…「田開き」の祭りという言葉に淫靡な匂いを感じつつ…wktk
>>282
なんと迅速な仕事!残酷だが美しい


286:337
08/03/17 23:06:35 s09pmAMZ
>>280
>>278の書き込みに、何故ここでア○リカ大統領がと真剣に悩んでしまった
自分もサロメの話題に混ぜてください。…………orz

でもモノノ怪deサロメ、イイ!
あれ一枚ずつ服脱ぎながら踊るんじゃなかったっけ。
まずは帯を解いて放り投げ、次に……ってこれじゃストリッパーか。


気ぃ抜くとやたらめったら長くなっちまいそうで手綱締め締め。
今回もエロ突入ならず。最後には必ずエロ入るのでもうちょい待ってくださいすみません。
全4レス分、投下いきます。

287:サノメ 7
08/03/17 23:08:53 s09pmAMZ
 ……なんか、とんでもないとこに来ちゃったかもしれない。
 と、加世は背すじをつたう汗を感じていた。
 祭の規模は、思っていたよりずっと大きかった。考えてみれば見越屋ほどの大店の、主要な仕入先なのだ。村といっても、五軒や十軒で済むわけがなかった。
更に、八太郎左のように今は村を出た親類姻戚までが、山を越えてやって来ている。土地が広いから江戸の祭のようにごみごみとしては見えないが、子供も含めて二百からいるのではなかろうか。
 それだけの視線に晒されて、加世は緊張でがちがちである。側女(そばめ)の久には、案山子がたくさん立っているとでも思えばよいと言われたが。
 ――ムチャ言わないでよぉぉ〜っ!
 そりゃあ確かに野卑な者には任せられないだろう。とはいえ、事情もよく知らぬ赤の他人にあっさり任せていいものだとも、全然思えない。
 一段高くしつらえられた舞台から見下ろせば、そこは既に水を引かれた田が広がっている。しゃんしゃんと神楽鈴が鳴り、鉦が鳴り、笛が鳴き、小鼓が鳴る。
喉自慢の村人がはりのある声で音頭をとると、白い褌ひとつになった若衆らが踊るようにしながら、田んぼの泥土をすくっては畔(あぜ)にぶちまけた。
 結構な重労働に見えるが、村人たちはどっと笑っては若衆らに「しっかりしろ」だの「腰いれろ」だのと冷やかしの声を投げる。やがては「ぬらせ」の「来いさ」の揃って呼びかけ、「おいさ」「行くさ」と勇ましく若衆が応える。
「…………うわぁ…………」
 これまでとは違った意味で、加世は顔を赤くして目線を泳がせた。
 ……これ、見立てだったらどうしよう。
 いやいやいやまさか。そんなまさか。
 胸中で激しく動揺していると、横手から声がかかった。
「お食べになりませんか」
 目線を移すと、そこには鬼の面。わかっていても、心臓がばくばくする。いまだに慣れない光景だ。加世は慌てて箸を取り、目の前に並んだご馳走に向き直る。
「いえ! いただきます!」
 きなこのぼたもちを小皿にとって、こっそりと伏せ目で周囲を窺う。
 村の女達は、みんな鬼の面をつけている。赤いの青いの白いのと、人数が人数だけに壮観だ。村に入る前の祭行列で、最初にお久さんの面姿を見たときにはぎょっとしたものである。
 神事の間、村に女はサノメのみ、という意味なのだそうだ。着物も木綿や麻の生成りものばかり、加世の着せられた五色の絹織物とはずいぶん様子が違う。
 そういえば弁天様は嫉妬深いんだったか、と加世の笑いはひきつりっぱなしである。
 下にも置かぬとはこのことで、宿からここまで、加世はずっと輿に揺られてきた。ご隠居の姿を探せばしっかり歩いていて、なんとも肩身の狭い思いを味わったものである。
払われている敬意は加世ではなくサノメに向いているのだとわかっていても、並いる目上の人々に頭を下げられると尻のすわりが悪くてむずむずする。
 豊かな村なのだとは思う。件の宮池の淵を通って村入りしたが、一旦山を登るその道は、普段利用しているものではなく、祭道と呼ばれる特別のものだそうだ。人の通わぬ道は、こまめに手入れをしないと緑に埋もれてしまう。
祭道を保つのは宗家の大事なお役目だそうで、生活に直結しない作業に人手をさくだけの余裕があるのだ。そうして、祭の前になると、村人総出で枝を払い、土をならして、神下りの道を整えるらしい。

288:サノメ 8
08/03/17 23:10:19 s09pmAMZ
 その払った枝で、サノメを饗するための煮炊きをすべて行うというのだから徹底している。なんという木なのか、燻ぶって煙があがったとしても、焦げ臭いばかりでなく少し甘めの、いい香りがした。
「お久さん」
「はい?」
「これ……何してるんですか?」
 もこもことぼたもちを咀嚼して目の前の光景を問うと、鬼面の女は大きく頷いた。
「タノカミさまをお慰めしてるんですよ」
 またよくわかんない単語がー! と、加世は頭を抱えたくなるのをこらえる。
「タノカミ?って? サノメとは違うんですか?」
「サノメさまは祭行列と一緒に山から下りてこられますが、そのときヤマガミさまもいらっしゃいます。ヤマガミさまは、そのまま田んぼにお降りになって、タノカミさまになられるんですよ」
 久の説明に、ぽん、と加世は両手を打った。
「……ああ! 田んぼの神さまかぁ!」
 郷里と発音が違うのでわからなかった。
「そうです。お早く田んぼに慣れていただけるよう、土を撒いてお迎えします」
「へぇぇ〜」
 所変われば……って本当だなぁと、加世は感心する。
「じゃあ、サノメさまは何の神様なんですか?」
 はて、と久は首を傾げる。
「やはり田んぼをお守りくださる方ですが……。強いて言うなら、タノカミさまがお体で、サノメさまが魂、でしょうか。
祭のあと、サノメさまは早苗にお宿りになって、田植えをして始めて、体と心が合わさり、田んぼの守りが完全になる……と思います」
「んじゃ、あたしは山から早苗までの、サノメさまの乗り物みたいなものなんですね」
「そういうことになりますか」
 なぁんだ、と加世は肩の力を抜き、自分の想像したものに赤面した。
 やだもう、はしたない。
 転げまわりたいのを誤魔化すように、朴の葉に並べられた、見慣れぬ食材を示す。
「これは?」
「牡丹です」
「ぼたん?」
「シシ肉です。お口に合いますかどうか」
 赤味噌に漬けた肉を、朴葉で包んで焼いたのだろう、焦げた味噌が香ばしく、とろりと甘い脂が舌の上で溶けた。思わず満面の笑みになってしまう。
「おいっしー!」
「お好きなだけどうぞ。白酒はいかがでございますか」
「いただきます! ……って、そういえばこれだけのお祭なのに、屋台は出ないんですか?」
 きょろきょろと見回すと、久は侍女役の鬼に白酒を言いつけてから笑う。
「今はまだ神事でございますから。神事が終わって後、屋台も見世物小屋も立ちますよ」

289:サノメ 9
08/03/17 23:12:54 s09pmAMZ
 へぇ、と加世は顔を輝かせる。
「いつ終わるんですか?」
「さぁ、それは……サノメさま次第でございますから」
「え、あたし?」
「はい」
 祭囃子は最高潮に達していた。


  *


 ――さて、次は何の話をするか。……あ? ああ、そういえば喉が渇いた気もするな。貴様もたまには気が利くものだ。おお、では水にちなんで、次はけっして涸れぬ泉の話でもするか。
 ん? いやいや違う、水神の加護なぞと、めでたい話ではないのだ。無論龍でもない。――女よ。……ふふ。そぉ〜かそぉか聞きたいか。よし、では話してやろう。
 おほん。
 昔、ある東(あづま)の国の話だ。土地はそう豊かではなかったが、その地を長くまとめてきた代官は上を敬し下に厚く、広く慕われた立派な男であったそうな。
 しかし、この世に生きる以上、なんぴとも悩みから逃れることはできん。代官には二人の息子がいたが、この二人のために代官は日々頭を痛めておった。
かたや兄、父譲りの穏やかで賢い人となりだったが、生まれつき体が弱く、一年の大半を臥せって過ごしておった。かたや弟、頑健で力自慢の若者だったが、その腕を乱暴狼藉にしか使わぬ粗野な男であった。
 さてこの二人、どちらが代官の跡目にふさわしいか。
 ……んん、実に難題よな。
 だが、この代官は百姓との和を重んじたようだ。そも自身も百姓で、纏め役を務めるうちにお上から代官を拝命した……ということらしい。よって代官は、乱暴者の弟より、兄に跡目を継がせたく思っていた。
 ところが、だ。
 この兄は出来の悪い弟を愛していた。頑として妻を娶ろうとはせなんだ。……あるいは、体のことを引け目に思っていたのかもしれん。その地の風習でな、嫁をとらねば一人前とは認められず、家を継ぐことはできん。
一方で日々好き勝手に暴れまわる弟は、方々で若い娘たちにちょっかいをかける。その娘たちのいずれかが、いつ何時弟の妻の座を占めるかわからず、そうなってはむしろ弟に家督を譲るのが自然な流れということにもなりかねんのだ。
 代官はほとほと困り果てた。そしてついに、埒があかぬと、押し問答に見切りをつけて兄に条件を出した。これがなんと、もしも天女を見つけてきたならば、その女を妻に迎え、家を継ぐようにというものでな。
いやまったく破天荒な条件よ。これは無理だろうと踏んだ兄は、条件を承諾した。代官は早速村々へ使いを出し、天女を見かけた者は子細を話し、連れてくるよう触れを出したのだ。
 しかし、しかし。意外なことに、しばらくして代官の屋敷を訪れた女があった。たいそう美しく、気品ある佇まいの女で、なるほどこれは天女に違いないと代官は兄に引きあわせた。すると二人はたちまちのうちに恋に落ち、めでたく祝言を挙げることと相なった。
 これで終わればめでたしめでたし。ところが、そう上手くいかないのが世の無常。ここに兄の祝言を面白く思わない者があった。……そう、弟だ。弟は義姉となるはずの天女をどこからか垣間見、己のものとしたいと企んだ。
そしてついに婚礼の夜、天女を盗み出してしまったのだ。やれこれで肩の荷が下りると喜んでいた代官は、思わぬことに心底怒り、二人を追放すると触れを出した。
 戻るに戻れなくなった天女は、残してきた兄の身を案じ、昼となく夜となくさめざめと泣いた。その涙が流れ流れて、溜まりに溜まって泉となった。
 ――今もまだ、天女は泉の底で泣き続けている。その哀しみが尽きるまで、泉はけっして涸れぬのだと言う。満々と湛えられた青い水は、愛しい男と引き裂かれた、天女の嘆きなのだ。


   *




290:サノメ 10
08/03/17 23:17:29 s09pmAMZ
 弥太は唇を尖らせて、ぽんと足元の石を蹴り飛ばした。見上げた先、オタモリの家があるはずの方向は、夜だというのに空裾がほのかに明るい。きっと今も明々と篝火が焚かれて、昼間のように明るいのだろう。
 ……つまらない。
 いつまで神事が続くのか、と弥太はふてくされる。子供らにとっては、それなりに賑やかであってもろくに駆け回れず遊べもしない神事より、屋台や見世物が並ぶ後祭こそが祭だ。
一日くらいなら神事があってもいいけれど、もう三日目が終わろうとしている。
 それに、と弥太は力なく納屋の戸に手をかけて、ごろりと筵に横になった。もう、十日も鈴姉に会っていない。オタモリ――宗家には祭の間限られたものしか入れないから、
サノメとなってしまった鈴姉に弥太が会うことはできないのだ。
 お名指しされて、宗家へと迎え入れられる日、鈴姉はずいぶん久しぶりに弥太の頭を撫でた。一人で大丈夫かと聞かれて、もう子供じゃないやと胸を張った。
しっかりねと、何度も何度も振り返りながらオタモリへの道を登っていった姿が最後。
 鈴姉も弥太も貰われ子だ。何かと忙しい養父母に代わり、弥太の子守をしてくれたのが鈴姉だった。この村へは三つか四つの頃、実の母に手を引かれて来たはずだが、弥太はもう覚えていない。
いや、うっすらと記憶にあるような気もするが、思い返そうとするとその顔は鈴姉のものにすりかわってしまう。弥太にとってはむしろ十ほど違う鈴姉が、母だった。
 その鈴姉がサノメに選ばれたのが子供心にも誇らしく、初めての祭に胸躍らせ、どれだけ綺麗な天女かと、晴れ舞台を楽しみにしていたのに。
 いや、期待通り昔語りの天女に扮した鈴姉は、見たこともないほど綺麗だった。綺麗だったけれど。
 ――寂しいんじゃないやい。
 弥太はぐいと目元を拭う。泣いてなんかない。もう八つにもなる男が、姉を恋しがって泣くなんて、そんな格好の悪い。
 寂しいのじゃない。ただ、鈴姉が心配なのだ。昨日も今日も、見かけた鈴姉は熱でもあるようにぼぉっとして、弥太に気づきもしなかった。最初の日は、陰でこっそり手を振ってくれたのに。
 早く神事が終わればいい。そうしたら、戻ってきた鈴姉と手をつないで、一緒に屋台を見て回ろう。水飴を舐めて、講談を聞いて。
 そして夜は、また夜語りを聞きながら眠るのだ。
 早く、早く。
 この退屈な神事が終わりますように。


  つづく


と、いうわけでモブ村人はカカシなイメージ。
ついでに、八太郎左は、鵺の半井はん(鼻キツツキの人)をもーちょい年取らせてしおしおにした感じ?です。

291:名無しさん@ピンキー
08/03/22 23:32:36 4Hc7Lae+
続きが気になる〜職人の降臨を心よりお待ちしております。

292:名無しさん@ピンキー
08/03/24 01:40:16 4xueoThH
ほんと加世の身が心配なような、楽しみなような…(ry
続きが禿しく気になります!

あとサロメな病んだ感じのクスカヨも読んでみたいです>>職人様

293:337
08/03/24 23:14:38 mjeo+yVb
トロくてすんまそん(´・ω・`)
地道におつきあいくださると幸い。杉の時期が終われば……たぶん……。

サロメ、そういえば昔「実はヨハネもサロメを好きなんだけど、立場や宗教、
身分なんかの都合でサロメを巻き込んじゃいけないとつっぱねたのに、
それを若いサロメはわかんなくって〜」とゆー悲恋モノに置き換えようと
してみたことがある。病んだエロスハァハァ。

投下いきます。また4レス分。お預け続行御免。

294:サノメ11
08/03/24 23:16:58 mjeo+yVb
 ――りん、と。
 遠くに、鈴の音が聞こえた。
 神楽鈴の、文字通り鈴なりの音とは違い、空気に染み入るように単独で響き、尾を引いて消える。
 不思議と、心にひっかかった。
「まだ、どこかでお囃子してるんですか?」
 寝支度を済ませた加世が訊くと、正座した鬼はいいえと首を振る。加世はさりげなく面から視線を外した。
 日が暮れた後、ほの暗い部屋で見る真っ赤な鬼の面は、正直けっこう怖い。
「楽を、ご所望でしょうか?」
「あっ、いえそうじゃなくて! さっき鈴の音がした気がしたので……気のせいかな?」
「誰ぞお道具の片づけでもしているのかもしれません」
「あ、そうかぁ〜」
 あはは、と軽く笑うが、沈黙が気まずい。寝るときもつきそいっぱなしなんだろうか、と加世はちらちら鬼の面を盗み見る。
「……他に御用はございませんか?」
「ないです!」
「かしこまりました。では、そのように」
 何が?と思いはするが、鬼は深々と一礼すると視線を上げぬまま下がっていった。加世は大きく息をつくと、ばふりと布団に倒れ込む。
「つっかれたぁ〜!」
 たいしたことはしていない。座ってにこにこしながら、ご馳走を飲み食いして、珍しいあれこれを見ていただけだ。それだけだが。
「なぁんにもっ! 説明してくんないんだもんなぁ……」
 ぶつぶつ言って、布団の上を転がる。先の見通しがまったくつかないというのは、なかなかに疲れる。サノメの一挙一動には村人の目が集まっているから緊張するし、慣れてきたら慣れてきたで欠伸もできないしで、朝から晩までまったく気が抜けなかった。
 いつまで続くのか、との加世の問いに、鬼はサノメが示すのだと言った。祭が終わる徴(しるし)があるのだと。そんなもの聞いていない、と加世は言ったが、その時になればわかりますと、側女はとりつくしまもない。
 見越屋で働いているときもそう近しく言葉を交わしたことはないが、それでももう少し違う人柄ではなかったか。言葉遣いや、何より顔が見えないこととあいまって、まるで別の人を相手にしているように感じる。
 加世はむくれながら部屋の蝋燭を眺める。ちろちろゆらゆら、炎がせわしなく揺れて、物の影が盛んに伸び縮みする。
「あたし単なる奉公人なのにぃ……」
 巫女の真似事などさせられても、正直困る。
 とはいえ、奉公人の分際で、タダで祭見物をさせてもらっている……どころかこの高待遇、文句を言うだけ罰があたるというもので、慣れない仕事だと割りきるしかない。こんなことなら、炊事洗濯でもしているほうがよっぽど楽だが、仕事なのだから仕方がない。

295:サノメ12
08/03/24 23:18:16 mjeo+yVb
 加世は深く溜息をついて、蝋燭を消そうと起き上がる。
 ここも、立派な部屋だ。宗家の離れだと言うが、築山や竹林の配された庭を細い道が何度も折れ曲がり、方向感覚のわからなくなったころ忽然と小さな建物が現れて、びっくりした。道が道だから母屋からはずいぶん離れているようだが、実際の距離はさほどでもないのだと言う。
朱塗りの柱に緑の窓、白い壁とくればお社にしか見えないが鳥居はない。青々とした畳は替えたばかりのようで、い草のいい匂いがした。どこかで香も焚かれているようだ。
 そこに、加世ひとりきり。
 なんとなく、ぞくりとする。
 無意識に両手で体を抱いて、そんな自分に気づくと気持ちを紛らわすように、へへ、と小さく笑った。
 だいじょうぶ、だいじょうぶ。
 怖いことなんか何もない。
 隙間風などなさそうな立派な造りでありながら蝋燭の炎が盛んに踊るのは、障子戸が薄く開いているからだ。これだけは、朝までけして閉めてはならないと言われた。表玄関に面した戸と、そのちょうど背後にあたる戸。
まっすぐな線上は外につながっているのかと思うとなんとなく落ち着かなくて、布団は隅に寄せた。
 ふっ、と息を吹きかけて踊る炎を消す。白く煙がなびいて、ひどく甘い匂いがした。蜜蝋、なのだろうか。
「ぜいたくぅ〜」
 ぽつり、呟いて布団に戻ろうとし、振り向いた加世の足がぎょっと止まる。
 障子戸に、平伏する人影が映っていた。
 りん、と鈴の音がする。
「――サノメさまに申し上げます」
 静かな声は若い女のもので、加世はばくばくする心臓をなだめながら、はい、となんとか口にした。
 ――おおおおどかさないでよぉぉ〜!
 ちょっと涙目になってしまった。
「御池にて御徴(みしるし)を拾いましてございます。ご確認いただけますでしょうか」
 まだ寝られないのか、とがっくりしながら、はいはーいと返事をすると、障子戸がすいと開いて、三方と白い手だけが差し入れられた。
 炎を見つめていた目が暗さに慣れると、加世はぽかんと口をあける。
 それ、は。
「天秤さんーーーーっ!?」
 すっとんきょうな声を上げ、あまりの大きさに慌てて口を押さえる。天秤は尖った足で立ったまま、くるくると回ると外に向かって、りん、と傾いた。
「ちょ、どどどーしてここに? え、薬売りさんが来てるの!?」
 混乱しながら近づくと、戸の隙間から女の顔が見えた。にこりと、笑う。
「お心当たりが、おありでございましょうか」
「こ、心当たり?」
「お知り合いの方の物ですか」
 加世が頷いて手を出すと、天秤がぴょいと加世の手に乗る。女は少し驚いたように目をみはった。
「此度のサノメさまは、不思議な力をお持ちでいらっしゃる」
「いえ! 天秤さんは薬売りさんので、不思議なのはその人の方ですから! あたしは、たまたま知り合っただけで」
 言いながら、加世はきゅうと胸元に天秤を抱きしめる。なんだかすごく、ほっとした。余裕ができて、まじまじと女の顔を見る。

296:サノメ13
08/03/24 23:19:17 mjeo+yVb
 綺麗な人だ。
 少し、真央様に似ている。
 目が合った。
 あれ、と加世は首を傾げる。
「面は? 夜はしなくていいんですか?」
「私は、村の者ではございませんので」
 言って、女は少し部屋の中を見、かすかに眉を寄せた。
「……少し、お邪魔してもようございましょうか」
「どっ、どうぞ」
 加世が体を引くと、女はついと音も立てずに部屋へと入り、そのまままっすぐ横切って、細く開いていた向かいの戸を閉める。
「あ」
 思わず呟いた加世を振り返り、女はそちらも閉めろと言う。
「え、でも……戸は開けたままにしとかなくちゃいけないって言われて」
「閉めた方がようございます」
 女はきっぱりと言った。
「そちらは北東。鬼門ですから」
 げっ、と加世は小さく洩らすと、きょろきょろと外を見てぱたりと戸を引く。暗い部屋で、女の顔がほの白く浮かぶようだった。
「明かりを……」
「いえ、どうかそのままで」
 女は手を上げて加世をおしとどめる。
 白装束だ、とふと思った。何故か今まで、気づかなかった。
 女はにこりと笑う。加世と幾らも変わらない年に見えた。気安くなって、加世も少し笑う。
「鈴、と申します。サノメさまのお名前を伺ってもよろしいでしょうか」
「あ、加世です。あの、天秤さんを届けてくださってありがとうございます」
「いえ。加世さんのものでほっとしました」
「や、あたしのじゃないんですけど、」
 言いかけたところでおとなしく抱かれていた天秤がもぞもぞと動き、慌てて力を緩めるとふわりと浮いて、加世の背後へ飛んでいく。先ほどまで開いていた入口の前に陣取ると、りんと両腕の鈴を垂らしてぴたりと静止した。
 それを見送って、同じ名を持つ女は感心したように頷いた。
「これは、心強い」
「……えっと……な、なんかあるんですか」
 天秤が動くということは、この世ならざるものが近いということだ。加世はやや身を縮めながら女の顔を見る。
「大丈夫です。害はありません。お気を強く持たれますよう」
 ――ってホントになんか起こるんかい!
 とほほ、と加世はがっくり頭を垂らす。まったく、自分の人生『こういうこと』にやたら縁ありすぎじゃなかろうか。
「……先に、加世さんがお訊きになりたいだろうことにお答えしておきます」
「へ、なんですか?」
「祭の終わらせ方です」
「えっ!?」
 加世が身を乗り出すと、鈴は、落ち着いて聞いてくださいね、と念を押した上で、
「サノメには数々の特権が与えられますが、それもそのひとつです。村の女たちの中で、誰よりも早く好きな若衆を名指しすることができます」
「……はい?」
 いまいち判らずにいる加世に、鈴は言葉を探すようにする。
「えぇと……つまり、祭の夜は言い交わした男女が一緒に過ごすもの、ですから……。平たく言うと、夜伽の相手を」

297:サノメ14
08/03/24 23:22:27 mjeo+yVb
 ぶふぅーっ、と加世が噴き出す。
「んなっ!? よよよよ、夜伽ぃぃいっ!?」
「神事が終わるまで、村の女たちは女でなく鬼ですから。サノメさまがご指名をなさらねば、誰もそういうことはできないのです」
「そっ、そそそぉんなこと言われてもっ!」
「若衆が泥撒きをしていたでしょう。あれは、まぁ、品定めの機会のようなもので」
「困りますそんな! あたし、ただご奉公先のご主人についてきただけで!」
「そう、でしょうね……。まったく、弥太にも困ったこと」
 ふぅ、と頬に手を添え、鈴は溜息をつく。
「ともあれ、お名指しというのは、このように」
 女は、自ら運んできた三方を示した。
「御池に、その相手の物が見つかるのです。……もちろん、サノメとなる娘が、事前に好きな男から何かを借り受けて、池に投げ込むことが本来の人としてあるべき祭事なのですが」
「ちょっ、えっ、えええええーーーー!?」
「お静かに。……ここ三十年ほど、でしょうか。地縁のない、当然そういった祭の事々も知らぬ娘がサノメとなるようになりました。中には、運よく相手を見初め、そのままこちらに嫁いだ娘もいますが……稀なことです。そして、神事は三日までと決まっています。
四日目まで持ち越すと」
 鈴は一旦言葉を区切る。
「も……持ち越すと?」
「悪いことが起きる」
 一言一句をはっきりと発音して、鈴はひたと加世を見つめた。
「――と、信じられています。以前、まだ村の中からサノメが出ていた頃、死んだ娘がおりましたので」
「な、なんで……?」
 女は黙って首を振る。
 ――わからない、ということか。
「それ故に、三日目の夜までにお名指しがなかった場合、宗家の者が夜這いをかけ、無理に神事を終わらせます」
「えええええーーーーーっ!? そっ、それも困ります!」
「ご安心を。大概、私が逃がしておりますので」
 さらりと言われた言葉に、加世はぽかんとする。
「逃がす……って、そんなことしていいんですか?」
「よいのですよ。所詮人の祭、若い娘を泣かせる意味などないのですから」
「え……えぇ?」
 そうも簡単に言いきられると、なにやら罰当たりな気がしなくもないのだが。
「そもそも、外から連れてくる必要などないのです。何を恐れての仕儀なのやら……」
 ――ちりん。
 女の思案を遮るように、鈴の音が響く。加世と女の視線の先で、障子戸にくるくると影が踊った。
「な――」
「しぃ。お静かに。……害はございません」
 影――そう、影のはず、なのに。
 深い青。水を映すような緑。どぎついツツジの色。紫、橙。
 とりどりの色が、色皿を引っくり返したように障子に映る。黒く残った四角い桟こそが純粋な影の色だろう。外の光を微かに透かして青白い障子紙。そこに――人の、影が。
 兄さん、と。
 呼んだ。


  つづく


もーエロ書きたいよウワァァン!

298:名無しさん@ピンキー
08/03/24 23:53:58 4xueoThH
>>337
乙です!あ〜読んでてドキドキしたー。
カチンが今にも入りそうな空気感、たまらないですね。
そんな中、天秤さんは最高の癒しキャラw
続きが気になります。楽しみにまってます!

あと病んだエロスも是非読みたい!天真爛漫故の恐さみたいなの…どうでしょ?

299:名無しさん@ピンキー
08/03/25 12:19:44 sXbymuWn
続き待ってました〜職人乙です!
いよいよ佳境でしょうか文章にも緊張感が増してきて
読んでても前の話が気になって、あっちこっち戻りつつじっくり読ませていただきました。
ちりばめられた仕掛けがどう畳まれていくのか楽しみでしょうがないです。

そして天秤さんに息抜きさせられました〜やっぱかわゆい♪
花粉症で辛い中まさにGJ!でございました。


300:名無しさん@ピンキー
08/03/26 22:38:10 yy8+j54C
相変わらずの美文乙です
続きwktk

301:空涙
08/03/31 23:38:21 ofUUZugQ

えも言われぬ、とはこういうことだろうか、と加世は思う。どうしたって言葉にできず、
イイとかイヤとか、あとはもう単語ですらない鳴き声にしかならない。心、満ちて。こ
ぷこぷと、ぴちゃぴちゃと、赤裸々な水音になって跳ね溢れる。
「薬売り、さぁん……っ」
高く上擦る、求める声。縋るように腕が伸びて、むちゃくちゃに白い体を引き寄せる。
は、とか、ふ、とか、熱い吐息が耳朶にかかって腰がくねった。ぐちぐちと中身が擦れ、
口腔を貪りあう。境界などわからぬほど深く交わって、けれどどうしたって真実溶けあ
い一つになることはできない。……個、であるが故に。
「か、よ……」
愛しんでもらえるのは、加世が加世として生まれ、薬売りが薬売りとして在るからだ。
だとすれば、薬売りはこの哀しみすら甘美だと言うだろう。……やはり、重ならない。

よもすがら、零れ続ける涙はただ、あなたのために。



337です。連載豚切って季節ネタすみません。しかもちょとフライングですが。
……やりたかったんだ!
サノメもがんがりますノシ

302:337
08/03/31 23:46:08 ofUUZugQ
タイトル部分にカップリング表記忘れたorz ごめんなさい。

303:名無しさん@ピンキー
08/04/01 00:13:03 hYEensY5
>>301
季節ネタ?て?

304:名無しさん@ピンキー
08/04/01 01:40:53 bgY1SpOq
GJ!

サノメの続きが読みたくて
夜も眠れないぜ‥‥

305:名無しさん@ピンキー
08/04/01 12:52:00 hYEensY5
ああー! やっとわかった逆くの字! 語尾が薬売り仕様w
ヌゲー!! GJ!

306:名無しさん@ピンキー
08/04/08 17:47:32 axw+jn9J
保守

307:名無しさん@ピンキー
08/04/12 02:05:15 1vZEhoQz
ちりーん

308:名無しさん@ピンキー
08/04/14 01:13:17 svnzc9CK


309:名無しさん@ピンキー
08/04/14 02:16:42 +70dc7f4


310:名無しさん@ピンキー
08/04/14 13:26:35 thtZOnu3


311:名無しさん@ピンキー
08/04/14 13:45:25 wUjTQzO+


312:名無しさん@ピンキー
08/04/14 16:07:37 7ZKH3RNX


313:名無しさん@ピンキー
08/04/14 20:14:42 R/dCk+NF


314:名無しさん@ピンキー
08/04/14 20:15:27 Q0IoPqsg


315:名無しさん@ピンキー
08/04/15 02:24:08 SnaiVCG2


316:名無しさん@ピンキー
08/04/15 03:29:08 IvOzzM1N


317:名無しさん@ピンキー
08/04/15 07:29:23 Kacyg8K8
こむらさん

318:名無しさん@ピンキー
08/04/15 19:47:31 7A8aKbsG
敦盛×薬売りは需要無いですかね?

319:名無しさん@ピンキー
08/04/15 20:51:49 PCWu5uLj
>>318
前スレでは数字板でやってくれって流れだったと思うけど
今の住民のみんなはどうだろう?
自分は受けがあんあん言ってなかったら平気。(個人的な意見でゴメン)

320:名無しさん@ピンキー
08/04/15 21:05:50 7A8aKbsG
そっか…。やっぱりモノノ怪を知っている人に見てもらいたいって気持ちがあるから
出来ればここで見て欲しいし…

あんあん…しまった似たような事言ってるやw
ちょい描き直してくる
女体化は駄目なんだよな?

321:名無しさん@ピンキー
08/04/15 21:12:27 IvOzzM1N
そっち系の話は、話題に出ただけでも激しく嫌がられてたぞ。
確か以前、薬売り中性設定でのそんな話が有ったけど、まとめサイトからも削除された。
うpしたいなら、数字板のビデオ棚に行ってみるのはどうだ?

322:名無しさん@ピンキー
08/04/15 21:21:32 7A8aKbsG
そうか…わかった自粛する。
薬売りがあまりに色気ムンムンで加世より白いから思わず小説書いたんだが…
ここはノーマル専門なのかなorz

323:名無しさん@ピンキー
08/04/15 22:54:37 9S84qUR3
神職人様達はどこへ行ってしまったのか…

324:名無しさん@ピンキー
08/04/15 22:59:56 IvOzzM1N
>>322
>>1読む限りではノーマル専門。でも女同士のは大丈夫ぽい。

せっかく書いたんだし、男同士のなら、数字板にもモノノ怪スレが有るから、そっちで詳しい事を聞いてみれば?
女体化するなら女体化専門スレで。

325:名無しさん@ピンキー
08/04/15 23:08:02 7A8aKbsG
>>324
ありがとう。そうして見るよ。
ここの住人は穏やかで作品アップしやすい雰囲気だったからつい我が儘を言ってしまった。

ノーマルも大好きなのでサノメの続きが気になって仕方ない。
職人の作品を拝みたく候。

326:名無しさん@ピンキー
08/04/16 16:31:16 bcslc94H
「エロパロ」が「サロンパス」に見えた俺末期

327:名無しさん@ピンキー
08/04/16 19:08:20 Yx7YuZIP
>>326
ロとパしか合ってない上、字数も違ぇwww

……仲間に混ぜてもらえますか。

328:名無しさん@ピンキー
08/04/16 20:13:13 mwdHiPq7
サロンパスで前貼りした加世たん想像した。
ちょっとウェンツされてくる

329:名無しさん@ピンキー
08/04/16 20:27:04 glKj+wT4
本物のサロンパス想像してイテテテテと思っちゃったよ…orz
ちょっと滅されてくる

330:ドS
08/04/16 20:50:42 cRyfzYKo
保守がてら投下。まだ中途半端だけど触手×お庸。

331:触手×お庸
08/04/16 20:52:36 cRyfzYKo
何刻たっただろう。

舟の蓋を閉じる際渡された蝋燭ももう消えかけている、

「………」

ドロドロに溶けた蝋の上の炎が小さな息に揺らめいた。

「…兄様…」

暗闇からは舟が軋む音と波音しか返ってこない。

お庸はころりと横になり膝を丸め目を閉じた、瞼に浮かぶ兄の姿を振り払うように思考を停止させようとした。


―…巫…女……―


閉じかけた意識が波音の合間に微かに何者かの声を捕えた、

―私の…巫女…―

波間に聞こえる声は水中に木霊するように辺りに響きお庸の元に少しずつ近づいてくる。

神か怪か、人外に喰われるのは覚悟のうえの事。ただ、せめて楽に逝けることを願わずにはいられなかった。

冷たい床に丸まったお庸は小さな体を小刻みに震わせその声の主を待ち受けた、
「…兄様…っ」

白肌に浮かんだ玉の汗が一つぽたりと床に落ちた。


ひゅうと船内に潮風が吹いたかと思うと床から水が沸きだし瞬く間に足首ほどまで満たされた、蝋燭の火が消え薄暗闇だった空間は完全な闇となる。

―巫女…―

声ははっきり音としてお庸の耳に届いた、

「静まり下さい…、どうか…」

お庸の祈りに呼応し水面が波打つ。

332:触手×お庸2
08/04/16 23:43:50 cRyfzYKo
闇の奥がぼんやりと青く光り波紋とともに声が響いた。

―巫女…、美しいな―

光の中から影が一筋お庸のもとに伸びる、間近に迫ったそれにお庸は息を飲んだ。

それは異様に長く滑らかな人間の舌と形容するに相応しくウネウネと蠢いている、ぬるつく粘液をたっぷり纏い所々から糸を引き滴り落ちた。

「ひぃ…!」

思わず後ずさるお庸に声が近づく、

―恐れることはない―

触手は宙を泳ぐようにお庸の目前にまで迫った。

―すぐに何も分からなくなるから―

すると水中から触手の束が飛沫をあげ現れた、

「ぁっ…きゃああぁぁ!!」

その一本一本がお庸の手足に素早く絡まり瞬く間に少女は大の字に拘束された。

触手は見た目こそ生き物の舌だが存外体温が低く絡めている部分だけが水に浸っている様な心地だった、触手が肌の上で蠢くたび滑った水音が鳴り粘液が伝い落ちる。


次ページ
最新レス表示
スレッドの検索
類似スレ一覧
話題のニュース
おまかせリスト
▼オプションを表示
暇つぶし2ch

3647日前に更新/486 KB
担当:undef