モノノ怪でエロパロ 2札目
at EROPARO
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150:傀儡回し 5
08/01/28 23:03:29 Pknmptx+
「あ、起きたぁ?」
あっけらかんとした娘の声、目線だけを動かして、薬売りはぎょっと体を引きかけ、自分が縛られていることに気がついた。
「お水あげるから、暴れないで、ね?」
南方の出身か、大地の色をした肌に襦袢をひっかけただけの姿で、泣きぼくろの印象的な娘は細い首をかしげた。
「……俺は、なんか縛られるようなことを、しましたか、ね……」
非難を乗せてかすれた声を出すと、娘はぺろりと舌を出す。
「ううん? でもね、薬売りさん格好いいんだもの。食べちゃおうと思って」
悪気のまったくない、無邪気な声。その背後で、思い思いに薬箱を漁っていたらしい女たちが、ほほほ、と笑った。
「なぁに、これ」
「こんなものまで」
「まぁ、可愛い」
そんな女たちを、極彩色の壁絵が囲んでいる。六角形の変わった造り、柱は天井へのぼるにつれて竜頭の細工となっている。部屋の中央に同じく六角の台が据えられ、縁から溢れるように布団が敷き詰められ、薬売りはそこに転がされていたのだった。
天井にある――あれは。
落ち格子……だろう、か。
解毒のためにも水は必要だ。おとなしく水を求めると、娘は小さな手でいそいそと水差しの吸い口を薬売りの口元にあてた。唇を動かしかけ、ふと気づく。
「……これには、変な薬は入ってませんか」
「どうかしら。お薬売ってる人なんだから、わかるんじゃない?」
口にした言葉が意地悪く響いたのに気づいたらしい。娘は太めの眉を八の字に下げると、あたし下っ端だから、これ以外のお水はあげられないの、と申し訳なさそうに肩を竦めた。
仕方ない、と薬売りは腹を括る。慎重に一口含んで、舌の上で転がした。
どうやら、清水だ。
水差し一杯分の水を空け、薬売りは軽く頭を振る。笑いさざめく女たちへ目をやった。
「これは一体どういう仕儀か、お聞かせ願えませんかね」
おや、と水江が顔をあげる。
「ご不満かえ?」
真央が白い小首を傾げた。
「『坂井』へ来たからには、承知の上、だろうに」
さとがくすくすと笑った。
「男の面子にでも、障ったのでございましょう」
151:傀儡回し 6
08/01/28 23:05:30 Pknmptx+
「つまらぬこと」
「ほんに」
「あまり、興醒めさせないでほしいもの」
「でなくては、ねぇ?」
かつん、と音がして、天井からばたばたと羽織袴を纏ったモノが降ってくる。
床へと落ちる寸前に、引かれるようにがくんと空中に留まった。
薬売りは目をすがめる。
――かつん、と。
硬い音を立てるのは白い骨。
されこうべがかくかくと、見えない糸に従って踊った。
「――この」
「ように」
「なる」
笑み含みの宣言に、薬売りは荒らされた荷物に退魔の剣を探す。
モノノ怪の――形。
「――傀儡回し」
カチン!
つづく
女性陣のビジュアルは、みんな若い頃のものでお願いします。
152:名無しさん@ピンキー
08/01/28 23:26:34 W/L+IQss
>>144
まだ前半だと言うのに坂井の女衆が
じわじわ黒くwww
gjです!後半を楽しみにしております!
153:名無しさん@ピンキー
08/01/29 03:07:08 hMpXTIAw
>144
すげ、退魔ものの雰囲気残しつつ逆転パラレルか!
エロも話のオチもwktkして待ってる
154:名無しさん@ピンキー
08/01/29 16:15:17 5z7jyfHn
女性陣のビジュアルがみんな若い頃、という一文を読んで
真央が高校生、加世が中学生くらいなのを想像してしまった…
155:名無しさん@ピンキー
08/01/29 18:42:36 QSFgeGhf
>>154
最早脳内でそれにしか見えない!
幼女は!幼女はおらぬかぁー!www
156:名無しさん@ピンキー
08/01/29 21:38:19 gbbH4Fhw
落ち着いて!
あなたの嗜好がバレちゃうから落ち着いてー!
157:名無しさん@ピンキー
08/01/30 08:09:34 ZNl2rKUN
薬売り×幼女加世を想像したじゃないか・・・
158:名無しさん@ピンキー
08/01/30 10:56:10 fk9hAraY
>>157
奉公前の元気で可愛い加世ちゃんに振り回されて
困ってる薬売りのほのぼのですか?
ちょっといいかもw
159:名無しさん@ピンキー
08/01/30 15:49:37 +DujBijB
↑
なごむなぁ〜(*´Д`*)
160:337
08/01/30 23:11:17 LN86I6Na
バーカ、な自分に今更気づいてもいいですか。
……orz
まず、前回名前欄入れ忘れました。傀儡回しは自分です。これはまぁ許容範囲……か?
次。>>146で文章抜けました。没の方を投下してどうする自分。
× 色内掛けに角隠しをつけた真央が〜
○ 色内掛けに角隠し、懐に厄除けの花人形を忍ばせた真央が〜
ごめん、ほんとごめん。
続きはもうちょっとかかりそう、です。
161:名無しさん@ピンキー
08/01/31 00:11:35 3NJGdnaq
>>160
名乗らなくても薄々わかってたんだぜ?
つかわざと名乗ってないのかと深読みまでしちゃったんだぜ?
ドンマイ、続き待ってる。
幼女ネタにふと思いついた。
古い話で恐縮だが、モノノ怪たまごっちがあったら是非やりたい。
育て方次第で、薬売りになったり加世になったり、小田島様になったり
坂井のジジイになったりすんの。
162:名無しさん@ピンキー
08/01/31 01:56:46 DTHPArp9
ジジイになった瞬間
「滅!!」とかって叩きつけそうな予感がする
163:337
08/01/31 19:13:45 /Rhywcci
ジジイになっちゃったら、そんな育て方をした自らの不明を恥じて
切腹するw
続き投下いきます。文量読み間違いましたorz 前半どころじゃない。
三の幕で大詰めになるといいんだけど……。
エロ部分がなんかカオス。なんだろう、精神的SM?
何故か加世が犠牲者になって、百合陵辱めいたふいんき(ryです。
薬売りは緊縛?、目隠し猿轡状態で待機中。
ほんのり薬加風味のような気もしますが甘さはない。
164:傀儡回し 7
08/01/31 19:15:29 /Rhywcci
一瞬の攻防――だった。
縄を解いた薬売りが加世の額に札を叩きつける。
「ぎゃあああああああああっ!」
喉を絞りあげるような絶叫、札の表面が渦巻いて赤く目玉模様が浮かび、さらに赤く染まって爛れ落ちる。ぷっつりと糸が切れたように、娘の体が倒れた。
鏡に映したように坂井の女と薬売りが片手を振り切り、片や大量の札を、片やうねり絡まる黒い糸を、一斉に放つ。
糸――否、髪だ。
どっと湧きだしたそれは、薬売りの元へ飛びかけていた退魔の剣を呑み込み絡めとり、札を遮ってきりきりと鳴いた。
拮抗、する。
のしかかる怨念の重み、かつかつと騒ぎ立てる男共の成れの果て、ぢぢ……と髪が焦げ、不快な臭いが鼻をつく。
うねうねと攻めかかる黒髪を片手をかざして支え、さらに踏みだそうというところで薬売りはつんのめる。足元を見やると、加世だった体が知らぬ娘の顔をして、長く伸びた赤い爪で薬売りを捉えていた。
虚ろな眼窩がぽっかり開いて、赤い唇ががらがらに荒れた声を吐く。
許サ、ナイ。
珠生様、と誰かが呼んだ。どん、と激しい衝撃と共に二人が黒髪に呑まれる。
「やれ、活きのよいこと」
紅白に編まれた綱を女の白い手がぐいと引いて、がらがらと格子が落ちた。
傀儡回し〜二の幕〜
次に目を覚ましたときには、罪人のように頭上に両手を掲げ、肘より先をがっちりと格子に固定された状態で座っていた。
どれほどの時間気を失っていたのか、指先から血の気がひいて感覚がない。無理に動かそうとするとちりちりと痺れが走る。
縄――では、ない。
薬売りは顔をしかめる。
女の髪で縛られているというのは、なんとも言えず気色が悪い。単なる材質として見ても、丈夫過ぎてタチが悪い。
ごそごそと楽な姿勢を探して身じろぐと、ごめんなさい、と細い声がした。
「薬売りさん、大丈夫?」
165:傀儡回し 8
08/01/31 19:16:48 /Rhywcci
「……ああ。いたんですかい」
こちらは単に後ろ手で格子に括りつけられているらしい加世が、薬売りの言葉にぷぅと膨れた。
「いましたぁー。……って薬売りさんこっち見ちゃダメーーーーーっ!!」
「え」
反射でそちらに目をやって、意味に気づいて目を逸らす。窓もないのに何故この部屋はこうも明るいのか。きっと何か細工がしてあるのだろうが、迷惑な話である。
……もとい。ちょっとだけ役得かもしれない。
「……憑物は、落ちたようで」
「おっ……おかげさまで」
なんとか肌蹴た襦袢で前を隠そうとしているのか、悪戦苦闘している気配がする。ぎちぎちと縄が鳴って、柔肌に傷でもつかぬかと他人事ながら心配になった。
「見やしませんから、安心してくださいよ」
「だっ、だってぇ……。あああ、あたしってば今まで……今まで……あああああ」
なんてことしてたんだろ、もうお嫁にいけない、穴があったら入りたいぃ〜、と泣きそうな声に、ああ、普通の娘だったのだな、と薬売りは安堵した。
「あんたのせいじゃない。すべてはモノノ怪の仕業だ。悪い夢でも見たと思って、忘れてしまえばいい。……まぁ、生きてここから出られればの話、だが」
「……薬売りさん」
慰めるつもりで言うと、途端に娘の声が低くなった。
「助けてもらった人にこんなこと言いたかないけどっ。その、モノノ怪?の気持ちもわかりますっ。男ってほんっと最低ッ! この無神経! 恥知らず!」
「は」
なんで俺罵られてんの?
「だからこっち見ちゃダメぇーーーーーっ!!」
「はい。すみません」
疑問にうっかり視線を動かしかけて、真っ赤な顔と、八の字に歪んだ眉と、今にも泣きそうに潤んだ目を見てしまう。心のどこかにさざ波が立った。
ああいや。ほだされている場合ではない。
「俺は……モノノ怪を斬りに……来たんですが、ね」
視線だけで退魔の剣を探すが、どこへ隠されたのやら見当たらない。荒れ放題に荒らされた薬箱を思って、溜息が洩れた。
166:傀儡回し 9
08/01/31 19:18:43 /Rhywcci
「しかし、退魔の剣を抜くには、モノノ怪の形と真と理が必要……なんです、よ」
だから。
「お話を聞かせちゃもらえませんか……ね」
「真……と、理?」
慣れた反応に、薬売りはいつもどおり口を開く。
「真とは事の有様。理とは心の有様。何かがあり、何者かが、何故にか、怒り、怨んでいる。……それは何故か」
「……何故、か?」
「あんたはモノノ怪の気持ちがわかると言った。それはどういう意味だ」
知らず厳しい口調になった薬売りに、加世は口ごもる。
「意味……って言われても。そう感じる、としか……」
「感じる?」
「だって男って偉そうにする割に役に立たないし。いやらしい手でベタベタ触ってきて、嫌がるとケチだの出し惜しみだの文句つけて、そんなこと気にするな、いちいち騒ぎ立てるななんて、
あんたは気にしなくてもあたしは気にするってぇーの! そのくせ貞操を守らない女なんてクズだとか言うでしょ。どっちがクズよ。気持ち悪い、大っ嫌い!」
怒涛の勢いで飛び出した悪口に、薬売りは目を丸くする。
年若い娘特有の潔癖さ――だろうか。
「だから、懲らしめてやりましょ、て水江様と真央様が。女とおんなじ目に遭わないとわからないなら、わからせてやろうって。さとさんと三人でしてらしたのに、仲間に入れてもらったの。見た目がいいのは攫って閉じ込めて、そうじゃないのは力仕事でもさせといて。
表向き男が必要な部分には、操り人形を置いとけばいいし、その方が世の中よっぽどよくなりそう――って、そういうこと、なんだけど」
加世は自信なさげに声を低めた。
「うん……さっきまでは、そう、信じてたけど……。今考えると、これってヘン……だよね……」
薬売りはほぅと息を吐く。
「……珠生ってのぁ……誰、ですかね」
「たまき? うーん……知らない……と、思うんだけど……」
「――男共に嬲り殺された、可哀相な娘の名前でございます」
ねぇ、さとや、と両脇にさとと水江を従え、赤い回廊から姿を見せた真央が、膳を捧げたさとに向かって笑う。さとだけでなく、水江もまた、気まずげに視線を逸らした。
「先代当主の伊行という男は、畜生にも劣る酷い男で」
おっとりと、真央は水江によく似た顔で笑う。
「民が坂井に逆らえぬのをよいことに、見目よい娘を攫っては、この部屋で嬲っておったのです。息子の伊国もね。伊顕は手を出しませなんだが、それは気が弱ぉうてのこと。知りながら止めぬのでは、同じ穴の狢でございましょう」
「……よく、ご存知で」
水江の娘というからには、それは真央の生まれる前ではないのか。
問うた薬売りに、真央はさとに手を振って、格子の隙間から膳を差し入れさせた。
「可愛がっていただいたのです」
真央は愛しむように胸元に触れた。
「私など、珠生様から見れば憎んでも憎みきれない者でしたでしょうに。おまえに罪はないと、たいそう優しくしていただきました」
「仇を――討つ、と?」
亡き人の代わりに、世の男共へ復讐を。
それが、理――か。
167:傀儡回し 10
08/01/31 19:21:15 /Rhywcci
眼差しを厳しくした薬売りに、真央は笑う。
「さぁ? 私は女でございますから。物の道理などわかりませぬ。怨むというならこのさとも」
白い手が、さとの背に触れた。
「珠生様の前は、さとでした。そして――」
俯いた母を、真央は振り返る。
「――世間体から監禁こそされませなんだが、嫁という立場は弱いもの。あとはもう言わずとも……おわかりでしょう? そうして真央が生まれましたが、はてさて誰が父やら」
くつくつと、真央は赤い唇で笑う。
「誰にせよ、坂井の血には変わりございませんねぇ。穢らわしいこと」
不義の――そう、ただ祖父と母の間の子というのではなく、これ以上ないほど道を外れた挙句の子であると――その、己への疎ましさ。
それが、真か。
ひどい、と加世が呟く。その顔には女たちへの同情がありありと表れていた。
「――加世」
優しげに真央は呼ぶ。
「縄を解いてあげようねぇ。心配したのよ、そこの男に怪しげな術をかけられて。今はもう、大丈夫?」
「……あの、あたし」
「皆まで言わなくてもいいわ。怖かったでしょう。許してね」
加世の瞳が揺れる。はらりと解けた縄、痺れたのか小さな両手をこすりあわせて、薬売りと女達を交互に見やる。
「お食べ。それと、これも。私はあの男共ほど非道じゃないわ。食べさせておやり」
「あの……でも」
加世は俯く。
「これって……本当に、意味があるん、でしょうか……」
「――加世!」
ぴしりと飛んださとの声を、真央が押しとどめる。
「どういう、意味?」
「あっ、あのぉ……えっと、あの男達が、酷い、嫌な奴なのは本当です。真央様も水江様も、さとさんも、お気の毒だと思います。あの、でも、あたし……、あたしは、薬売りさんは悪い人じゃないと……思って。
そりゃ、あの、ちょっと考えなしなところはあるかもしれないけど、慰めてくれたし……。か、考えてみたら、あたしは、水江様や真央様みたいに、お家を取り仕切るなんてことできないし、誰かのお嫁さんになるんだって悪くないと思うし……。
女でも、そんな風に色々なんだから、男だからって皆がみんな、あいつらみたいな下種なんじゃ……ないかも、て」
つっかえつっかえ訴える加世に、真央は、そう、と優しく微笑んだ。加世がほっとしたように息を吐く。
「真央様――」
「あなたも所詮、踏みにじられた経験がないから――わからないのね」
笑顔のまま告げられた言葉に、一瞬加世が戸惑う。その前で、どぅっ、と殺気が膨れあがった。薬売りは声を張りあげる。
168:337
08/01/31 19:21:43 /Rhywcci
ごめんちょっと一旦中断。
169:名無しさん@ピンキー
08/01/31 19:40:19 Bx6S1mba
生殺しやっちゅうねんwww
170:337
08/01/31 20:03:38 /Rhywcci
>>169
ごめんw
すんませんでした、再開します。
171:傀儡回し 11
08/01/31 20:05:26 /Rhywcci
「――形と! 真と! 理によって!」
懐から、鈴の音を立てて退魔の剣が飛び出す。
女達が驚いたように目をみはった。どこから、と悲鳴のように叫ぶ。
「剣を――解き放つ!」
どん、と髪がくねって、加世の悲鳴があがる。
ぽたぽたと、傷つけられた頬から血が溢れた。
――薬売りの血だ。
剣が、抜けない。
「何故……っ!?」
狂ったような哄笑があがった。
「何が足りない!」
知りたいか、と真央が笑う。
さとが笑う。
水江が笑う。
「ならばその身をもって知るがいい!」
*
ちりちりと、手足と首に巻きついた髪が肌に食い込んで痛い。
髪の手入れをするときに、うっかり指に刺さることは稀にあるが、今加世の四肢を捕らえているそれは根本的に性質が違うようだ。一束にも満たぬほんの数本、それが意思を持つようにきりきりと絞まって、肌を切り裂く寸前でとどまっている。
加世に許された装束は、その恐ろしい髪だけだ。あとは身を隠す術ひとつなく、くすくすと女達の嘲弄に晒されて立っている。格子の中は、意外と広かったのだなと思った。薬売りと、加世と、三人の女達で一杯だが、入れないことはない。
若いねぇ、と水江の手が加世の肌を撫でる。その手のあまりの冷たさに、加世はふるりと身を震わせた。
「いい手触りだこと。張りがあって。……なめしたら楽器に使えそうねぇ」
ぎくりと顔がこわばる。真央が笑った。
「お母様、加世が怯えているじゃあありませんか」
するすると白い腕が背後から絡みついて、すくうように加世の胸を揉みあげる。
「っあ、」
背に触れる上等の絹の感触、真央は角隠しこそないものの花嫁衣裳のままだ。衣服を着ている者の前で裸にされることが、こんなに心もとなく、いたたまれないものだとは知らなかった。
172:傀儡回し 12
08/01/31 20:09:03 /Rhywcci
「加世は……どこが好かったんだったかしら……ねぇ?」
泣きそうな気持ちで首を振る。言わないで。薬売りに聞かれる。聞かれてしまう。
ねっとりといやらしい手つきで、水江が加世の尻から太腿を撫でまわす。その背後に薬売りがいる。
無残な姿だった。
加世は、髪の拘束こそあれ、どこに縛りつけられているわけでもない。逆らえばその髪が絞まって落ちると脅されてはいるものの、四肢は自由に動かせる。
だが、薬売りは両腕だけでなく、視界を奪うように顔の半ばまでをこの恐ろしい髪に覆われて、格子に縫いこめられている。無理に薬を飲ませたあとは猿轡も噛まされて、表情はほとんど窺えない。
鮮やかな着物は乱暴に肌蹴られ、方々から伸びた黒髪がざんばらに乱れて、うち棄てられた文楽のようだ。加世から見ると羨ましいほど白い肌は、抵抗の痕として幾筋も髪の刃に痛めつけられ、
あちこちに血が滲んでいた。その胸が上下しているのでなかったら、死んでいるのかと思うところだ。
あちらから見えないだろうことは加世を安堵させたが、意識のあるなしがわからないことが怖い。いやたぶんあるのだろう。薬売りを庇った加世を、その当人の前で辱めることが、女達が加世に科した罰なのだ。
おまえを庇ったのはこの程度の女なのだと――そして、この程度の女におまえは庇われたのだと、薬売り自身をも貶める。
「恥ずかしがることは、ないじゃあないの。今までもたくさん、してきたでしょう……?」
声音ばかりは優しい真央に、加世は唇を噛んで、耐え切れずに薬売りから目を逸らした。真央の舌が首筋を這い、水江の唇が腹部を這う。顔だけでなく背格好もよく似ている。
四本の手が休まず動いて、加世の体が次第に熱を帯びた。きゅ、と胸の先端をつままれる。
「や、あ……っ」
「ふふ。加世はいやらしいねぇ」
「可愛いこと」
快楽を知っている体は容易に煽られる。まして女達はその性別故に、加世の弱いところを的確に責めたてた。じんわりと秘所が濡れていくのを感じて、目の前が暗くなる。
――怖い。
どうなるのだろう。何をさせられるのだろう。そして薬売りはどう思うだろう。
モノノ怪に憑かれていた――と薬売りは言ったが、自分が何をしたのか、どう思っていたのか、記憶は明確に残っている。どうしておかしいと思わなかったのか。本意でなかったというのは言い訳にしかならない気がする。
モノノ怪に呼応して同調する部分が、確かに自分の中にあったのだ。ましてや今、諾々と女達に従うのは命惜しさの自分の意思で、恥ずかしくて情けなくて涙がこぼれる。
死ぬのは怖い。
でも、まがりなりにも慰めてくれて、言葉を交わした薬売りに、軽蔑されるのも嫌だ。
「兄さん、期待しておいでねぇ」
「聞こえるかしら。可愛い声でしょう」
「加世ったら恥ずかしがって。耳まで赤いよ」
「でもいつもより好いみたい。こういうのが好きだったのね」
「やっ……言わな、で……っ」
必死で真央の腕に縋りつくと、きりりと喉元が絞まった。加世はぎくりと体を強張らせる。真央はふんわりと優しく笑った。
「なぁに?」
「いっ……いえ……」
静かな恫喝に、もう何も言えない。ああ、と納得したように真央が頷いた。
「お口が寂しい? 気づかなくてごめんなさいね」
173:傀儡回し 13
08/01/31 20:12:05 /Rhywcci
え、と呟いた瞬間、ぐいと頭をねじられて、唇があわさった。
「ん……っ!?」
思えば口を吸われたことはなかった。混乱するうちに真央の舌が加世の口内を蹂躙していく。
「んっ、ふぅ……っ!」
水江が一旦手を離し、無理な体勢だった加世を真央に向き合わせる。姿勢は楽になったが、おかげでますます深く貪られた。逃げても逃げても舌を絡められ、そのうち片手が胸に下りて双方から快楽を送られる。
そうして、水江の腕が背後から加世の太腿に絡みつき、指が秘所を撫であげる。
声にならない悲鳴があがった。
つづく
さとさん空気w これから活躍……してくれるといいなぁ。
こんなカオスなのにエロ度が足りないのは何故だろうorz
中断すみませんでした。
174:名無しさん@ピンキー
08/01/31 23:11:22 hOTGcO74
>>168-169-170の流れ吹いたwww
それにしても苦戦する薬売りGJ!!!
続きが楽しみ過ぎる!
175:727
08/02/01 01:32:05 DXQ6vD1D
>>337氏
新作投下乙なのです。こうきましたか!
原作アニメが(怪は別として)あまりにも無敵なので、
苦戦する薬売り、いい感じです。
で、エロなしで申し訳ないんだけど
少し前に薬売りとちび加世でほのぼの?という話に
何か色々解き放たれたので久々に投下。
全5レス。
176:まどろみのあと 1/5
08/02/01 01:32:33 DXQ6vD1D
「あらやだ、届け物?―何かあったっけ」
朗らかな声に妙な既視感をおぼえて視線をおよがせると、見るからにはつらつと元気のよさそうな地黒の若い娘
が薬売りを見ていた。奉公人か、下働きか、立場のほどはよくわからない。くりくりとよく動く大きな瞳、左目の
下にぽつりと一つ、どこか絶妙な按配で色気を添えている黒子、婀娜っぽさと愛嬌が同居するふっくりとした唇。
「―いえいえ、」
決して少なくはない衝撃を完全に飲み込んで、薬売りは声をあげる。
「私は、薬売り」
そしてまったくおなじ言の葉を吐き出す。
娘はすっかり自分のことなど忘れているだろう。そのように暗示をかけた。
すべて忘れてしまうようによく言い含め、暗示をかけ、目が覚めたときには夢でも見ていたのだと思うようなと
ころへ運んで、誰かが見つけてくれるまで離れた場所で見守った。意図していたとおりに、通りがかったどこかの
お侍に無事保護され、おさない童女は家路についたのだ。
たしか、そう、名前は……。
―かよ。
子供は幼いうち、七をかぞえる歳までは神の眷属だと言う。
それは半分正しくて半分偽りだ。たしかに大人には見えないものをながめたり、知ることのできない気配をあざ
やかに読むことができるのは事実だが、それはあやかしや物の怪に狙われる遠因ともなる。あまり直接の害を加え
ることが多くないあやかしは別とするとして、ヒトの因果と縁がその存在をゆがめた物の怪ともなれば、たいがい
は自らの姿を見られることをひどく嫌うからだ。
177:まどろみのあと 2/5
08/02/01 01:33:48 DXQ6vD1D
そして、そういった邪魔なものはやはり排除する方向に動くのが定石というもの。
そういう意味では神の眷属というのもあまりありがたくはないものだな、と薬売りはぼんやり考える。
ふりかかる災難を避けるすべがあるならまだしも、眷属だからとて神が無条件の保護を与えるわけでもないのだから。
それにこうして、―
「……あなたは、だあれ?」
自分は物の怪を斬るためにやってきたはずなのに、なぜだかついでに迷子を保護する羽目にもなったりする。
形と真と理をそろえるのにしくじったせいでひどく脇腹を打ちつけてしまい、着物の上から軽く触れただけでも思わず体をかたくしてしまうほどの痛みが走る。呼吸をするだけでもしくしくと痛むので、もしかしたらあばらの一本か二本でもいかれてしまったのかもしれない。
あとで膏薬を貼らなければと忌々しい気分で考えていたら、どうやら物の怪が連れ込んだらしき地黒の童女が、岩室のなかから薬売りを小首をかしげて見つめていた。
……物の怪をその身に飼っていたのは、幼い子供をなくした女だった。
その心痛は推して知るべしだが一度物の怪と化してしまえば斬って開放するしか、してやれることはない。
「おばさんの、おともだち?」
「……」
童女には、何か暗示をかけられたり記憶をゆがめられているような気配はない。
むしろその周辺にはかいがいしい細かな世話の痕跡があり、あの物の怪と化したあわれな女は、最後の一線だけは譲り渡すことなく護りきったのだろうと理解する。母親であるならば、子供にだけは手をかけないものだと決まっている。
くりくりとした大きな瞳、健康的に日焼けした肌、ぷっくりとした唇。
きれいなつやを乗せた黒髪をまっすぐにおろし、顎の線できれいに切りそろえている。歳のころは五つかそのくらいだろうか。まだ物の怪やあやかしをその目にとらえることのできる年齢であろうことは、すぐにわかる。
「……いえいえ、」
不思議そうに見上げている童女の前へ片膝をつき、目線の高さを低くする。
178:まどろみのあと 3/5
08/02/01 01:34:43 DXQ6vD1D
「私は薬売り」
「おばさん、どこいっちゃったの?」
「大事な御用を思い出して、ずいぶん遠くへ出かけたようですよ。約束の薬をもってきたのですが、一足おそかったようだ」
すらすらと今見てきたような嘘が口をつく。
「おばさん、かよを、おいていったの?」
大きな目にみるみる涙が溜まりはじめる。
そうではない、と言おうとして童女の言葉に驚愕した。……どうやら、本当に、あの女は細やかな愛情をこの童女に注いでいたらしい。
物の怪にかどわかされた子供など薬売りはそれこそ文字通り数え切れないほど見てきたが、そもそも口をきけない状態にされているか狂っているか、骨か躯になっていたことがほとんどで、こんなにまともな状態の子供など見たためしがない。
「―かよ、と。言うのだね」
つややかな髪を、血の汚れがついていない左手のほうで撫でてやる。
薬売りの言に童女はこくりと首肯し、しゅんとした顔をする。
「くすりうりのおにいちゃん、おばさん、いつかえってくるの?」
「しばらく戻りませんよ。おかよちゃんも、もう家へ帰らなければ」
たんねんに髪をなでてやりながら、静かに告げる。
……おそらく怖い思いはしなかったのだろう。記憶をゆがめられたり、物の怪に都合のよいように心をいじられている子供はこんな目はしない。ならば、不思議な夢を見ていたと錯覚させるほうが得策だ。
恐ろしい経験はなかったとはいえ、あの女の外見はどうみてもまともなヒトのものではなかった。覚えていれば、いずれ自分が出会ったものはヒトならざるものだと気付くだろう。適度な畏怖は人を用心深くさせ益になることのほうが多いが、いきすぎた恐怖はかえって毒になる。
179:まどろみのあと 4/5
08/02/01 01:35:26 DXQ6vD1D
「おうち?」
「……ええ、そうですよ」
「かよの、おうち……」
言われて初めて気付いたように、かよと名乗った童女は軽く目を瞠る。
「―おうち、かえりたい」
「ええ、そうでしょうとも。おかよちゃんが見えないから、きっと皆心配している」
言葉の端々にほんの少しづつ暗示を篭めてゆく。
ここは自分のいるべき場所ではない。帰るべき家があり、そこでは懐かしい人が待っている。
そう、そこは両親がおり、戻らなければならない―自分の家、だ。
「すぐに出ましょう。大丈夫、すぐそこです」
「ん……」
「ほんのちょっとだけ、歩いた先……」
穏やかな優しげな声で囁き、暗示の網を強くしてゆく。
童女の瞼がゆるゆると半分ほど降りて、うつらうつらと小さな頭が揺れてくる。
「……ああ、いけませんね。眠くなってきましたか」
座っていた岩の上からずるりと滑り落ちかけたところを抱きとめ、痛めたほうの脇腹に触らないようにして抱きかかえる。うとうとと夢うつつの顔をしている童女が、近いところから薬売りを見上げてきた。
「かよの、おうち……」
「すぐ近くまで連れて行ってあげますよ。少し、お眠りなさい」
―目覚めた時にはもう、夢は晴れている。
「良い夢を―」
貝殻のような小さな耳元で囁き、ゆっくりと瞼の上を指でなでる。その動きに従って童女の瞼は静かに下りてゆき、ほどなくして寝息をたてはじめた。
くたりと力を失った体は軽く、抱いて歩くにも大きな不都合はない。
180:まどろみのあと 5/5
08/02/01 01:36:10 DXQ6vD1D
起こさないようにして慎重に抱きかかえなおし、薬売りは肩ごしに童女がいた岩室をふりかえる。
大きな岩盤を三角にたてかけた部分がまるで屋根のようで、その上に小さな花が咲いていた。
くうくうとあどけない顔で眠る童女を、街道わきに置かれた地蔵のそばへ降ろす。
雨ざらしではなく小さな小屋が付属しており、新鮮な花や供物が置かれているところを見るとこまめに世話がなされているとわかった。それはそのまま、あまり長い時間を待たずにここへ人が来るはずだという意味でもある。
取り立てて美しくも醜いわけでもない童女だが、日焼けしたすこやかな様子や目元に彩をそえる黒子、色々と特徴がある。近隣の村や町で暮らしていたのであれば、まともな大人に保護されれば必ず家へ帰されるだろう。
童女の様子がよく見える、しかし街道からは見咎められる心配のない深い藪の中に身をひそめ、薬売りは誰かが通りがかるのを待つ。
一刻過ぎ、二刻が過ぎ、そして三刻目のなかばにさしかかったところで、父親らしき堂々とした風体の男に手を引かれた少年が地蔵を指さして驚いたような声をあげた。
しばらくそのまま藪の陰から様子をうかがっていたが、どうやら信のおけそうな侍だ。
「……そう、すべては夢の中の出来事」
何もかも忘れておしまいなさい。
不思議なおばさんのことも、岩室を訪ねてきた薬売りのことも。
道に迷って、泣きつかれて、お地蔵さんのそばで眠ってしまっていたと……そう思い込めばいい。
(終)
181:名無しさん@ピンキー
08/02/01 01:38:24 DXQ6vD1D
……orz
ごめん1/5が改行変なことに。
読みにくくて申し訳ない。
182:名無しさん@ピンキー
08/02/01 02:47:28 wHWIV/v0
>>176
ありがとうGJ!幼女加世と薬売り可愛かったよ!
183:名無しさん@ピンキー
08/02/01 03:14:49 RCYE30eW
薬売りとチビ加世ちゃん話、癒されたぁ…(´∀`)
ちょっとしたレスのやりとりから、ここまで書けるって
やっぱりここの職人さんは凄いわ〜GJでした!また読みたいです!
184:名無しさん@ピンキー
08/02/01 03:35:43 5vb+LubV
ちび加世ちゃんGJです。かわいいかわいいかわいい!
情景が目に浮かぶようです。
何でみんなこんなに描写がうまいんだろう。
185:337
08/02/05 22:35:19 A46yNLqH
投下いきます。長いけど無理やり一気にラストまで。
陵辱・無理じい臭強いです。でもエロ行為としては中途半端。
186:傀儡回し 14
08/02/05 22:37:43 A46yNLqH
くちゅくちゅと、上からも下からも水音がする。真央は唇を離し、加世のぽってりした唇に人差し指から薬指までを突き入れて盛んに蠢かせた。口の端から唾液が糸をひいてこぼれ、胸元へ垂れて、てらてらと光る。
一方で脚の間では、水江の左手が蜜壺を探り、右手の指で肉芽を転がして、加世の体を思うままに跳ねさせた。とろみのある愛液が水江の指に、黒々とした陰毛に絡んで、こぽりと泡を立てては太腿を流れていく。
がくがくと膝が揺れる。だが二人はへたりこむのを許してくれない。くずおれそうになる度に、水江が女とも思えぬ力で引きずり起こし、真央が立っておいでなさいと笑うと手首の髪が締まる。
必死で体勢を立て直すと、いいこね、ご褒美をあげようね――となおさら深く蹂躙される。
「いやらしいねぇ」
「いやらしいわねぇ」
くすくすと、嘲笑混じりの声音にまで嬲られて、加世は必死に身をよじっては少しでも快楽から逃れようとする。頬に幾筋もの涙が伝って、当分乾きそうもない。
歪み揺れる不安定な視界の端を、ちらちらと薬売りの鮮やかな着物がかすれば、そちらも気にせずにはいられない。それをわかっているように、女達はいっそう高い声をあげさせる。
「やぁっ……あ、はぁん、も、ゆ、ゆるし……あああっ」
聞かないで。お願い。
もはや喉から飛び出すのが、泣き声なのか悲鳴なのか、哀願なのか嬌声なのかもわからない。ただ、この責め苦から解放されたかった。
――と。
黙々と一人、火鉢を調えていたさとが楽しげに声をあげる。
「水江様、真央様。よいようでございます」
「そう。ご苦労様」
真央はにこりと笑うと、加世の両頬を手のひらで包むようにして目線を合わせた。
「……助けてほしい?」
恥も外聞もない。こくこくとせわしなく頷くと、真央が形のよい眉を悲しげにひそめた。
「泣きすぎて目が真っ赤ね、可愛いうさぎさん」
そのままいたわるように加世のほつれた結い髪を撫でつける。
「可哀相に。……でもね、加世」
するりと水江の腕が離れた。かくりと加世の膝が折れて、真央の指に力がこもる。頭蓋を締めつけられ、首がのけぞって痛みに呻く。端から見れば、夜叉が今しも娘を喰らうかのようだろう。
「みんな、そうだったの。助けてほしくて、何もないところへ何度手を伸ばしたかわからない。泣いて祈っても狂ったように願っても、奇跡なんて起きなかった。
なのにあなただけ許されちゃあ……不公平、でしょ?」
ぱっと真央が手を離して、加世の体がどさりと床に落ちる。
「布団があるだけよいこと」
「ほんに。男共の気の利かぬことといったら」
「ねぇまったく。ただでさえ痛い体がなおのこと痛くって」
女達がさざめく中で、横あいから、さとが持ち手へ厳重に布を巻いた、細長いものを差し出す。
――火箸。
真っ赤に焼けた。
鉄の。
ひっ、と加世の喉の奥が鳴る。真央が、よく焼けてるわとさとをねぎらって受け取った。空いた片手が上がって、薬売りを指差す。
「ずいぶんお待たせしてしまって、申し訳なかったこと。加世、殿方のお客様に、おもてなしをしてさしあげて」
「心を込めて、ねぇ?」
「おまえは淫乱だから、さぞやお喜びくださるだろうよ」
187:傀儡回し 15
08/02/05 22:39:27 A46yNLqH
――逆らえない。
目の前が暗くなる気がした。嗚咽の中から切れ切れに、ごめんなさい、と呟く。火箸に追い立てられるように、薬売りの前に膝をついた。
「……ごめんなさい……」
繰り返しても、薬売りからの反応はない。否、身動きひとつままならないのだろう。無抵抗の体を自分が今から踏みにじるかと思うと、おためごかしに思えても、謝らずにはいられなかった。
加世、と女の声で咎められて、慌てて手を伸ばす。そこはもう硬く立ち上がっていて、女達がこうもしつこく加世を嬲ったのは、薬が効くのを待っていたのかと、いまさらに腑に落ちた。
悪意が――深い。底が知れない。
どうしてそこまで、と思うのは、女達の言うとおり自分が乱暴されたことがないからか。こんな風に、延々と心を折るような真似を続けられて、誰に助けを求めることもできなくて、ずっとずっとひとりで。
恨んで憎んで、でも表に出せずに心の中に溜め続けると、人は誰しもこうなるのだろうか。
――なんて、暗い。
ごめんなさい、と震える声でもう一度呟いて、女達の望むように、薬売りのそこに顔を寄せる。せめて苦痛を与えぬよう、柔らかく触れて口に含んだ。
熱い。
先端に舌を這わせ、手でしごくと、とくとくと鼓動を感じる。
恐々と上目遣いに様子を覗うと、声を堪えているのか、きりきりと猿轡が噛み締められていた。忙しくなる呼吸と脈動、薬箱の中のあれこれの、効能を説明したのはこの人自身だ。
まさかこんなことになるなんて、坂井の台所に顔を出した時は思いもよらなかっただろうに。
どうするのが一番いいのか、迷いながらゆるゆると顔と手を動かしていると、手を抜くなと叱責が飛ぶ。
「ほら、兄さんが物足らなさそうだよ」
「いやねぇ、いまさら取り繕ったところで、おまえの淫蕩ぶりはこちらの方もわかっておいでだろうに」
「まぁ……下働きがいたらぬのは、主人の責でもあるかしら。さと、手伝ってあげて」
命を受けたさとの粘つく舌が、薬売りの耳朶をねぶる。絡みつくように、指が胸元から脇を辿っていき――じゅ、と嫌な音がして薬売りの体が跳ねた。
「――ッ!」
さすがに堪えきれなかったか、猿轡でくぐもった叫びがあがる。ぎっ、と一瞬格子が鳴った。一度火鉢に戻されて真っ赤な色を取り戻した火箸が、白い肌に押しあてられている。
肉の焼ける嫌な臭いが立ちのぼり、衝撃で髪が食い込んだ肌から、じわじわと血が流れる。
「さっ、さとさんやめてください! ちゃんと言うこと聞いてるじゃないですかぁっ」
「お黙り! あんたも食らいたいの!?」
まなじりを吊り上げて、さとにその凶器を向けられると体がすくむ。もう、次の言葉を口にできない。
「――加世」
水江が優しい声で呼んで、びくりと顔をあげた。
「どうすればいいか――おわかりだねぇ?」
加世は睫毛を震わせて瞑目する。
「……はい」
傀儡回し〜大詰め〜
188:傀儡回し 16
08/02/05 22:40:47 A46yNLqH
じゅぷじゅぷと、忙しなく水音を響かせながら、加世の頭が上下する。時折しゃくりあげ、むせて咳込むと薬売りに傷が増えるので、その顔から徐々に表情が消えていった。
懸命に心を殺して薬売りを高め、女達の言葉のまま雌猫のように体を擦りつける。
誰の意向か、視界を覆っていた部分の髪が外される。頬のあちこちに細かい傷を作りながら、女達を睨む薬売りに加世が首を振った。だめ、と唇だけで訴える。
「そんな、顔、しないで……あ、あの」
ががっ、と爆発するように加世が耳まで赤くなる。それでも、細い、震える声が懸命に紡がれた。
「や、やらしい、あたしを……見て、ください。お願い」
弾けるような甲高い笑いがあがる。腹を抱えて、浮かんだ涙を指で拭いながら、健気だこと、と水江が言った。
「ずいぶんな入れ込みようだねぇ」
「確かに色男だけど」
「馬鹿だねおまえ、多少見てくれがよくても男は男だよ。この浅ましい目つきがわからないのかい?」
「ねぇ? 加世を見たら抑えがきかないから、私達を睨んで誤魔化そうとしたんだろうに」
「下郎が」
「畜生道のケダモノだって、これよりかはまともでしょうよ」
「おまえたちなど、使えたところでせいぜい種付けの道具さ、何を思い上がっているのやら」
加世が頭を振る。潤んだ目で、媚びるように女主人達を見あげた。
「でも、あの……もう、我慢できません。欲しい……」
どっと笑いがわいた。
「仕様のない子。まだわからないのね」
真央が笑う。さと、と声をかけ、加世を手招いた。
「……真央様」
「いいからいらっしゃい。いいものを見せてあげるから」
薬売りを気にしながら、重い体を引きずるように加世が真央の側によると、ばさりとさとの着物が落ちた。え、と目を丸くする加世の前で、なだらかな線を描く脚が薬売りにまたがる。
「はは、兄さん怖い顔だねぇ。……でも、欲しいンだろう? ほら」
腰を落としたさとに、薬売りが呻く。さとの白い体が上下に揺れる度に、ぎちりと拘束が鳴った。目隠しがなくなって多少余裕のできた頭部が、ぐ、と反らされて白い喉を晒す。ね?と真央がしゃがみこんで加世を覗き込んだ。
「誰でもいいのよ? 情なんて、かけてあげるだけ無駄なの」
「可哀相に、ねぇ。男に夢を見るのはもうおやめ」
「可愛い加世。わかったらこちらへおいで。一回の間違いは許してあげる。もう十分に罰も受けたものね?」
口ごもっていると、ああ、とさとの嬌声があがった。すごい、とうっとりした口調が言う。
さっきまで、加世の手と口の中で脈動していたそれが、今はさとの中にあるのか。
思わず視線がそちらへ流れると、もう逸らせない。食い入るように加世が見つめる先で、気づいたらしい薬売りがさっと顔を背けた。
ふつりと、何かの糸が切れる。
おいで、と差し出される手を、加世はふらふらと握った。
*
189:傀儡回し 17
08/02/05 22:42:45 A46yNLqH
濡れた手拭いの感触に目を開けると、体中が痛んだ。薬売りは思わず顔をしかめ、かたく目をつぶって痛みの波をやり過ごす。
「……気づいた」
囁くような声にそろそろと目線を動かすと、泣き腫らした目をして、それでも娘が気遣わしげに薬売りを覗き込んでいた。
……気まずい。
思わず視線が泳ぐ。情の深いタチなのだろう、薬売りへ心をかけた振る舞いはモノノ怪の気に食わなかったようだ。おかげで最後まで行き着くのは免れたものの、まったく平静でいるにはいささか肌が近くなりすぎた。
後ろめたさもある。
暗闇の中、薬売りに触れる舌先が震えて、娘は嗚咽をこらえていた。ひっくひっくとしゃくりあげる声、扱く手が頻繁に離れたのは涙を拭うためだったろう。哀れだと、思った。
慰めてやりたいと、同情は熱に炙られて嗜虐心へと倒錯した。平たく言うと興奮した。この口が、と知らず見つめている自分に気づいて、心中で舌打ちする。あんな状況下で哀れな娘に欲情するとは、確かに鬼畜の所業だ。
薬のせいというのは容易いが、責任と共に心も投げ捨てるような真似は、性に合わずに困惑する。
「あの……売り物を荒らして申し訳ないんだけど、傷薬はどれ?」
問われて、改めて娘へと視線をやる。いまさらだが縛られていないことに驚いた。襤褸布のような姿で、相変わらず格子の中とはいえ、一応布団に転がっているらしい。その横に、薬箱がでんと控えている。
「……誰が……これ、持ってきたんですか」
掠れた声を出すと、娘が小首を傾げる。
「あたし。いけなかった?」
「いえ。重かった……でしょう」
「大丈夫。それより、薬はどれ?」
「ああ……はい」
起き上がろうとして、思いきり失敗する。全身に走った痛みに、再度その場へ突っ伏した。
「まだ起きちゃダメ!」
そのようで、と切れ切れに呟く。無理な姿勢を長時間強いられて、その上あんな真似までさせられては筋が強張るのは当然だった。最中に足が攣らなかったのは僥倖というものだろう。挙句、あの凶悪な髪のおかげであちらこちらがぼろぼろだ。
特に腕が酷いな、と全身の感覚を探る。ぎちぎちに縛られていたおかげで、かえって骨まで達することはなかったようだが。やれやれと思って、ふと気づいた。
「……あんた、腕は」
「腕?」
「足と……首も」
「……ああ、あの髪? うん、取ってもらったから大丈夫。もう二度と逆らいませんって誓ったの」
ぎょっと目を見開くと、娘は困ったように太めの眉を八の字にした。
「今度は、操られてなんか、ないから。あたしの意思」
絶句してその顔を見つめる。娘は情けない顔のまま、ぽつんと訊いた。
「……軽蔑、する?」
「……できる立場にないのは、わかってますよ……。ああ、薬は、黒い、蛤の貝殻に塗り込めたのが」
「これ? ……足りないと、思うんだけど」
「俺じゃありませんよ。あんたに」
大きく息を吐いて、痛みをこらえゆっくりと起き上がる。
「無理しちゃダメだってば!」
「大丈夫です。慣れてるんで」
「痛みに慣れるなんてこと、あるわけないでしょ!」
唐突に、娘が叫んだ。泣きそうな響きを叩きつけられて、薬売りは目をみはる。
190:傀儡回し 18
08/02/05 22:44:29 A46yNLqH
「覚悟してても痛いものは痛いし、辛いものは辛いじゃない! だっ、だからみんなあんなふうになっちゃって! 酷い人に酷い目に遭わされて、それでどうして幸せになれないの!? どうして」
どうしてずっと辛いままなの、と娘は泣く。こんなの酷い、絶対間違ってる、と。
――それでも、娘は薬売りを一言も詰らない。
気がついて二度驚いた。助けてくれと、なんとかしてくれと縋られないのは――加世の中で、己が頼るに足りない者だからだ。
……無理もない。
そこまで娘を追い詰める、一因となってしまった自らの不甲斐なさに目眩がした。
「モノノ怪の形を成すのは、人の因果と縁」
薬売りは顔をしかめながら、ばさりと半襦袢を羽織る。腰紐に、指から流れた血が染みた。
「この地、この縁に縛られて、人の世に在るモノノ怪は、斬らねばならぬ」
加世さん、と初めて名前を口にした。
「人形に――心当たりは、ありませんかね」
「にんぎょう?」
「花嫁の」
「え――厄除けの?」
「それは、何ですか」
加世は戸惑ったようだったが、ふと我に返ると慌てたように薬売りの着替えに手を貸す。
「婚家に輿入れするまで、道中の花嫁御寮は人じゃあないの。生家を出るときに半分死ぬから……ほら、花嫁さんって白装束でしょう? だけど、それだと悪いものに憑かれやすいんですって。
人より半分彼岸に近いから。だから、身代わりの人形を懐に入れておくの。婚家の迎え火で焼いて、道中の魔を落とすんだけど――それが、どうかした?」
ちりん、と鈴を鳴らして、薬売りは退魔の剣を構えた。
どろりと部屋に黒い渦が巻く。薬売りの手から離れた札が、加世を守るように結界を作る。
「ひとつ、モノノ怪の形は傀儡回し――」
がらがらと、誰が触れるでもなく格子があがった。耳を覆いたくなるような女の嘲笑が、幾重にも響く。
「ふたつ、坂井の女衆は年を取らぬ――ならば」
水江が、さとが、ゆらりと凝って姿を見せる。一旦宙に散った札が、八方からそれを取り囲み、ひゅんと鋭く空を切って迫る。
「それは人ではない。モノノ怪でもない」
かつん、と乾いた音がする。
「――人形だ」
ぎゃああああああっ、と空間をつんざくような悲鳴があがった。札に赤く紋様が浮かぶと同時にがらがらと四肢が崩れ、糸に吊られてぷらぷらと揺れる。かくんと、絡操の口が開いた。
「ええええええっ!?」
「さらに!」
薬売りが札を構える。
「人を操る術を持ちながら、わざわざ女達を人形とした――それは何故だ」
191:傀儡回し 19
08/02/05 22:45:55 A46yNLqH
あはははは、と狂ったように哄笑する影が。
花嫁の――姿を。
とる。
許サナイ。
「人形の姿かたちは、元来作り手の思うまま――」
りん、と鈴の音が鳴る。
「人から作り変えられたはずの水江と、おまえが似た姿をもつのなら」
札が鮮やかに乱舞する。白から赤へ。そして金へ。
「水江をおまえに似せたということ――すなわちおまえは」
真央ではない。
どぉうっ、と闇が蠢く。
降り積もった悲しみが、色濃く塗られた怨嗟の景色が、一枚一枚と剥がされ解きほぐされて、輪郭を徐々に浮かび上がらせる。
――降りしきる牡丹雪。
――連れ去られる花嫁。
――剥ぎ取られる衣装。
――懐から落ちる花人形……。
主人の厄を引き受けるのがお役目なのに、と真央は――否、真央と名乗っていた女が泣く。
その姿は、身代わりというだけあって主人の珠生を映しているのか。それは薬売りにもわからない。だがきっと、薬売りの足を掴み許さないと囁いた、あの女が本当の真央なのだろうと――思う。
焼かれず在り続けた人形は、その役割のままこの地に凝った悲哀を、憎悪を吸って、ついにはモノノ怪と化した。
厄は――祓わねば、祟るのだ。
許さない、と響くのは女達の声なき声。その毒が花人形を侵し、女は胸をかきむしるように身悶える。涙を持たぬ身でむせび泣く。ざんばらに乱れた髪が蠢いて、周囲の何もかもを薙ぎ払おうとする。
192:傀儡回し 20
08/02/05 22:47:14 A46yNLqH
助けて。
苦しい。
誰か――お願い。
役立たずの、私の代わりに。
あの人を――みんなを。
助けて。
「囚われるな――」
花は束の間に枯れるもの。
「清め、祓おう」
昔日の悲しみを。
「形と、真と、理によって――剣を、解き放つ!」
*
ぺたん、と加世は天井を見上げて座り込んだ。
きらきらと、色とりどりの紙吹雪が降ってくる。
「……あたし……」
呆然としたまま周囲を見回し、やがてすっとんきょうな声をあげる。
「今まで何にご奉公してたのーーーーっ!?」
「モノノ怪と、人形……です、ね」
「ウソぉーーーーーっ!!」
頭を抱えて突っ伏した加世の隣に、薬売りは屈み込む。
「従うべきモノノ怪はいなくなりましたが――あんたの意思は、どうなります」
「え……」
加世はしばらく考え込む。
「……う、うん……実家に、帰ろうかな……」
「そうですか、よかった」
ぽかんと、加世は薬売りを見上げた。安堵したような声音、これはもしかして。
「……助けて、くれたの?」
「珍しいですよ」
モノノ怪に追い込まれて、俺に助けを求めてこない人は……と、薬売りは苦笑する。
「あんな姿見られちゃあ、頼りようがないかもしれませんが、ね」
ぱーっと加世の頬が染まって、あわあわと視線が泳ぐ。そしてはっと気づいたように薬売りの腕を掴んだ。
「きっ、傷は!? 傷はーーーーーっ!?」
「だから、大丈夫だと言ったでしょう」
くるくると変わる加世の表情に、薬売りは喉の奥で笑う。
「夢……みたいなもの、です」
人の生活にお戻りなさい、と囁いて、薬売りは坂井の屋敷を後にした。
その後、塩野の屋敷で婚姻など知らぬと言われ、首をひねりひねり帰ってきた小田島が、空っぽになった坂井家にぽつんと残った加世を見つけて目を白黒させることになる。
また、これきりと思っていた娘に数年後海の上で再会してしまい、薬売りは自らの失態を思い出してものすごく気まずい思いをするのだが、それもまた、別の話。
おわり
193:337
08/02/05 22:53:45 A46yNLqH
花人形を厄除けに云々は一部創作なので、あまり本気にとらないでくだしあ。
男性向けエロのつもりで愛のないセクースに挑戦したけど、
エロスキルが上がるまで、もうやらないよヽ(`Д´)ノウワァァァン
化猫は神作品なのだと、再認識しますた。
194:名無しさん@ピンキー
08/02/05 23:32:01 2Owgltnc
乙ー!
面白かったですGJ!
モノノ怪がエロ作品だったらこんな感じなのかもと思ったよ
お疲れ様でした!
195:名無しさん@ピンキー
08/02/06 13:15:20 hVRpYqXu
>>193
乙!!!
ただエロいだけじゃなく、しっかりモノノ怪の物語になっててかなり楽しめた。
ありがとう!!!!
196:名無しさん@ピンキー
08/02/07 18:31:37 NEWRFVy4
二次創作とは思えないよ、GJ!クォリティ高いなあ!
食い入るように読みふけってしまった。
197:名無しさん@ピンキー
08/02/08 01:04:14 XYXHAZmJ
URLリンク(mixds.hp.infoseek.co.jp)
ここで検索。どっかで読んだ作品ばっか
198:名無しさん@ピンキー
08/02/08 05:06:15 x1tmhcYl
?
199:名無しさん@ピンキー
08/02/08 05:09:28 WstcDcbN
??
おまい二次は初めてか?
200:ドS
08/02/08 23:45:54 HbSDU+WY
空気を読まずに完結編投下。全裸で。
201:加世×ハイパー
08/02/08 23:47:22 HbSDU+WY
男は加世を見つめたまま細腰を掴んだ手に力を込める、
「あ!待っ…ひっ!あああぁぁ!!」
そして制止を構わず力任せに加世を貫いた。
「あぐっ…!!あ…は…っ」
腰を掴まれた加世は逃げることはかなわず胎内に捩じ込まれたものの熱と圧倒的な質量に目を見開き背筋をしならせた、
「………」
一方男はぼんやりと黙ったまま苦しそうに呻く加世を眺めていたかと思うと、結合部に視線を落とし小さく腰を揺すった。
「あ…ひぐ!んあぁぁ!!」
胎内をえぐられゴリゴリと不快な音を感じ加世は矯声ではない悲痛な声をあげた、すっかり男を受け入れた秘裂は目一杯押し開かれ硬く反り返ったものによって下腹部が不自然に膨れている。
男は腹筋だけですっと起き上がり鼻先が付きそうなほど間近に加世の顔を見つめた、ぱらりと肩から落ちた銀糸の髪が加世の胸にすだれがかった。
「あふ…、薬売りさ…うっ…ん!」
ごめんなさい、許して、と続けようとした厚い唇に紫の紅をさした唇が食らいついた、ぬるりと大きな舌が加世の口内に侵入し唾液を絡めとり両唇にきゅうと吸い付く。
202:加世×ハイパー
08/02/08 23:50:33 HbSDU+WY
「ん…ふっ…、ぅん…」
次第に加世の体の緊張が溶け、男の首に腕を回し深く唇を繋げた。
男は加世の体を抱き腕に力を込めるとぐっと腰を突き出した、
「ぅああ!っむ…!んん―っ!!」
声をあげ空気を求めて口を離そうとした加世の後頭部を押さえ付けなおもその艶やかな唇に食らいついた。
男が腰を動かすたび巨大なそれが加世の最奥に突き込まれ、腹の奥深くにチリチリと焼け付くような快感を与えた。
「んっ!…ふぅ…、うぐ…」
加世の矯声、吐息、または悲鳴、その唇から出でるもの全てを飲み込もうとするかのように、男は加世の口内をまさぐり攻め立てる。
男の背に回した加世の手がかりりと筋肉質な背中を引っ掻き赤い痕を幾筋か刻んだ。
加世を膝に抱えていた男はそれだけでは足らなくなったのか、加世を地面に倒すと両足首を掴み上げより一層早く激しく叩き込んだ。
「ひいっ…ぃ!あぐっ!んあぁあ―!!」
やっと唇を解放された加世は荒く呼吸を繰り返し男の首にしがみついている、揺さぶられる度に弾む乳が男の胸に擦れつんと上向いた。
男は息一つ乱さず加世を攻め立てる、激しい律動により飛び散った加世の蜜が男の下腹部から加世自身の尻まで濡らしていた。
203:加世×ハイパー
08/02/08 23:55:50 HbSDU+WY
「くっ…ひぃ!だめ…もう!だめなのぉ!あぁああ―!!」
異形ともとれる巨大なものに臓器を押し上げられる不快感と、体丸ごと突き上げられるようなかつてない快感が合わさり高みへと登り詰めた。
「はっ…!ひぃ…、あぅ…ぅ…!」
加世の全身が跳ね上がりびくびくと痙攣し膨れた下腹部が不規則に波打つ、きょろりと上向いた大きな瞳から溢れた涙が睫毛に溜まり一呼吸後に乱れた日本髪に落ちた。
乱れた着物を重ねた上に力をなくした加世を寝かせ男はその姿にしばし見いっていた、
「…か……ょ…」
―りん―
男の背後に鈴の音が鳴った。
金の化粧をした男がゆっくり振り向くと紅い化粧をした男がいた。
涼やかな視線が二つ重なる。
先に目を反らしたのは金色の男だった、金色の男は糸が切れた人形の様に崩れ落ちその背中からぴょんと一機の天秤が飛び出した。
―りん、りん―
天秤は忙しなく鈴を鳴らしている。
「…お前か」
終わり
204:名無しさん@ピンキー
08/02/08 23:57:26 GI78G4J0
ちょwwまさかのオチwwww
205:ドS
08/02/09 00:00:10 HbSDU+WY
以上です、お粗末でした。
上の検索サイトのレスってどういう意味なんだ?エラーで見れなかった。
206:名無しさん@ピンキー
08/02/09 00:11:51 wyRHFgK5
ドS様!!真に御美事に御座いまする!!!!!!!!
あれだけヤっといて呼び捨てとはwwwwwwwwwwwwww
しばしの間虫歯の痛みすら忘れてしまい申した。
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3648日前に更新/486 KB
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