モノノ怪でエロパロ ..
119:名無しさん@ピンキー
08/01/20 23:56:15 FOqD0Co0
ちょっくらK極の本を読んでいたら、飛縁魔という女の妖怪?が出てきた。
>顔かたちうつくしけれども いとおそろしきものにて
>夜な夜な出て男の精血を吸い ついにはとり殺すとなん
だそーだ。日本版サキュバスってところ?
頭の中でうっかり幻ちゃんが襲われてげっそりしてしまった。
ごめん幻ちゃん。
120:名無しさん@ピンキー
08/01/21 07:38:59 rWtHoSt3
>>119
飛縁魔(ひのえんま)=丙午(ひのえうま)=丙午生まれの女性は
男を取り殺す、という俗説から生まれた妖怪ですな。
そういう妖怪といえば、モノノ怪のOPにはカマイタチが
くるくる回ってるけど、出てはこなかったね。
もし続編が有るとすればどんなモノノ怪が出るかな。
121:名無しさん@ピンキー
08/01/22 00:16:10 dIEQ5+Lh
緑魔子
122:名無しさん@ピンキー
08/01/22 00:21:50 M7eigjmh
百々目鬼とかでないかな。
123:名無しさん@ピンキー
08/01/22 08:15:51 Tfm7t0xr
モノノ怪と言えば歌川国芳つながりで、がしゃどくろとかいいな
124:名無しさん@ピンキー
08/01/22 18:55:06 T6YkRzuU
カマイタチか……。
少しずつ服を切り裂いていって、見えそで見えないチラリズム。
うっかり勢い余った空刃に、白い肌に走る赤い傷。
ぷくりと血の玉が盛りあがって、つぅとひとすじ流れて落ちる。
それを舌で舐め取って、凄絶な感じのエロスでひとつ。
125:ドS
08/01/22 22:48:40 jxu77nbc
じゃあ俺は雪女で氷柱ファックを提案。
少しだけ投下。
126:加世×ハイパー
08/01/22 23:03:33 jxu77nbc
「んくっ…ちゅ…んっ」
気が付くと加世は口内いっぱいに男の巨大なそれを頬張りしゃぶりついていた。
その大きさ故大部分は加世の口に収まらず柔らかな手によってゆるゆるとしごかれる、流れ落ちた唾液を塗り付け滑らす事で辺りに水音が響き二人をより淫靡なる深みへと導いた。
「はぁ…はぁ…、また大きくなりましたよ…」
張り詰めた亀頭を左右にそっと割り開くと透明な液体がとろとろと溢れた、加世の奉仕に過敏なまで反応を示すそれを誘われるように舐めとりながら自身の下腹部に手を伸ばした。
「あ…」
そこは思った以上に濡れそぼり熱く火照っていた、
こぽり
指先が触れ液体を留めていた力が破られ指を腿を伝い流れた。
「はぁ…あん…、ここ熱いの…薬売りさん…」
加世は一層息を荒げて男に股がったままくるりと向きを変え男の顔の方に尻を向けた、
「は…ぁん、薬売りさん…見える?よく見ててね…」
男の顔に向けた尻を高く掲げその濡れ光る秘裂を見せつける様に割り開いた。
127:加世×ハイパー
08/01/22 23:19:20 jxu77nbc
秘裂の中心を浅く掻き回し疼く淫核を擦る、形の良い尻が宙をさ迷い赤く充血した緋肉がひくひくと蠢き加世の指を貪った。
「んうぅ…ふぁ…」
口での奉仕も勢いを増しジュブジュブと音を立てて頭を上下させている、
「はぁ…うっ…」
眉を寄せて荒い息を吐く男の胸に加世の秘裂から溢れた蜜がぽたりと滴った。
「っ…薬売りさん…」
向き直った加世は男の下腹部に腰をかがめしとどに濡れた秘裂を硬く起立した男のものにあてがった、双方の熱が触れ合うと留められていた液体がくちゅりと音を立て混じりあい一筋の滝の様に男の腹に落ちていった。
「う…ん、入らないよぅ…」
加世は挿入を試みるが不安定な姿勢のためか男のものが大きすぎるためか、ぬるぬると滑り難儀していた。
男の腹に片手を付き腰を動かすとぬるりと滑った先端が淫核に触れ、もどかしい快感だけが断続的に与えられた。
「あっ…ん、…ひぁっ!」
くねらせていた腰が突然左右から強い力で掴まれた、肉に爪が食い込むほどにがっちりと掴まれ突然の事に加世は驚き悲鳴をあげた。
下ばかり見ていた視線を上向けると半裸の男がこちらを見ていた、漆黒に浮かんだ赤い瞳が鋭く加世を咎める様な眼差しを向けている。
128:ドS
08/01/22 23:25:35 jxu77nbc
次くらいで終わると思う。
337氏乙でした、337氏の薬売りは良い意味で人間臭くてGJでした。
129:名無しさん@ピンキー
08/01/22 23:59:04 T6YkRzuU
起きたーーーーー!!!
加世エロいよ加世!(*´Д`)ハァハァ
130:名無しさん@ピンキー
08/01/23 00:20:25 JtqJXc/Q
睡魔も夢魔も吹っ飛ぶ覚醒エロスGJ!!
目玉ギンギンにして待ってる!
131:名無しさん@ピンキー
08/01/23 02:22:21 jz5WDC32
fuoooooエロース!!GJ!!!
お仕置きの予感にwktkしてます
132:名無しさん@ピンキー
08/01/23 03:19:57 YegvgZT7
GJ!寸止めですかー流石ドS氏w
エロ加代もいい!すごくいい!続きwktk
133:ドS
08/01/24 23:53:55 NWuvqOd+
忘れ物、横にして見てくれ。
全体 URLリンク(imepita.jp)
加世up URLリンク(imepita.jp)
ハイパーup URLリンク(imepita.jp)
134:名無しさん@ピンキー
08/01/25 00:12:54 uhjpOl2Q
>>133
ドS様のイラスト北ーーーーー!
絵柄が可愛くてたまらんですGJ!
135:名無しさん@ピンキー
08/01/25 01:22:21 qrvSr5Oq
み、見れなかった…_| ̄|○
136:名無しさん@ピンキー
08/01/25 02:04:00 CyI739+C
ドS氏GJ!
ハイパーのナニの大きさにグッときたwww
…加代ガンガレw
137:名無しさん@ピンキー
08/01/25 08:24:36 GP/O/lk5
ドS氏の加世のイラストのかわいさは反則
138:名無しさん@ピンキー
08/01/26 21:08:44 dOg3awSD
次回作の時代を考えるなら幕末とかおもしろそう
新撰組小田島様とか
139:名無しさん@ピンキー
08/01/26 22:42:26 rPL11C4T
そういえば、舞台が日本だから日本の妖怪になるのか、
日本人の情念でモノノ怪化するから日本の妖怪になるのか、
その辺わかんないよね。
なんだっけ、座礁した外国船とかなかったっけ?
その乗組員とかの情念がモノノ怪化したら、和風になるのか
洋風になるのか。
140:名無しさん@ピンキー
08/01/26 23:00:55 RnJA23jK
>>139
洋モノノ怪・彷徨える阿蘭陀人とかでしょうか?
141:名無しさん@ピンキー
08/01/27 08:00:33 J6pvY0st
でも座敷童子みたいに見た目外人のキャラもいるから、
キャラのビジュアル的に新鮮味は無いだろうなー>洋モノノ怪
雰囲気はいい感じになるかも。
142:名無しさん@ピンキー
08/01/27 19:37:09 jIdGyuW7
ドラキュラ・ヴァンパイアとかも有り?<洋モノノ怪
143:名無しさん@ピンキー
08/01/27 22:08:57 NonwzuD4
>>142
和装D?
144:名無しさん@ピンキー
08/01/28 22:57:20 Pknmptx+
コミックス発売記念で、前スレの最初の方に出てた、
坂井の女たちの玩具にされる薬売りってのを書いてみたくなりますた。
……前フリが長くて、まだちょっとエロくないんだけど、
長くなったのでとりあえず前半部分を投下します。
よろしくお願いします。
145:傀儡回し 1
08/01/28 22:58:37 Pknmptx+
昼ひなかの暑さも大分和らいで、どこか硬質なヒグラシの鳴き声が響き始めていた。
大きく家紋を染め抜いた門幕脇で、迎えの提灯番を務める小者は、門前で足を止めた人影に、おぉい、と声をかける。
「薬売りィ」
派手な身なりの男だった。
かたかたと、その背に負った箱が音を立てているような気がしたが、横顔にきかん気の強そうな気配を感じとって、まずはお節介を焼いてみる。
「今日は姫様の婿取りだァ。薬は、売れねぇぜー」
ふいと、獣のように首から上が動いて、薬売りの目が小者をとらえる。ぎくりと小者は身を竦めた。なんの疚しいところもないが、不思議と見られた者を不安にさせる目だ。
かつりと高下駄が鳴って、薬売りは歩み寄ってきた。青い紅をひいた唇が、わずかに開く。
「何を――」
ひょいと上半身を倒し、薬売りは小者の顔を覗き込む。
「――そんなに、恐れて――いる」
一声で、看破された。
小者はぽりぽりと頭を掻いて周囲を見回すと、ぐっと声を低めた。
「坂井の家ァ、男に祟る」
塩野の若も気の毒になァ、と呟いた。借金のカタに化物屋敷へ取られてよゥ。
「……化物屋敷」
「そうとも」
小者はひっそりと頷いた。
「ここの主人は女共なのよ。街で何ィ聞いたか知らんが帰んなされ。あんたみたいに若くて綺麗な男じゃあ、最後の一滴まで精ィ搾り取られンぞ」
「坂井の女衆は、年を取らぬ、と――」
「ああ、本当だァ。奥方様ァ――実際はこン人が御当主みたいなもンだが――今日婿取りなさる姫様の母君だってェのに、二人並んだところはよく似た姉妹よ。あの二人が親子とは、とても、とても」
ほぉう、と薬売りの男は笑う。
「そいつぁ……興味深い……です、ねぇ……」
くるりときびすを返した薬売りに、小者は慌てて声をあげる。
「嘘でも冗談でもねぇぞ! 命あっての物種だァ。帰れ、帰れ」
「ご忠告、いたみいりますが……ね」
俺は、斬りに来たんで――と薬売りの声が風に流れた。
「モノノ怪を、ね……」
傀儡回し〜序の幕〜
146:名無しさん@ピンキー
08/01/28 22:59:44 rRlvkQya
>144
щ(゚д゚щ)カモーン!!!!
私もコミックスの通販注文したよ!まだ届かないよ!てか…初版売り切れの噂が…
147:傀儡回し 2
08/01/28 23:00:08 Pknmptx+
「ちょっと加世! いつまで油しまってれば気が済むんだい!」
「はぁーいー。すぐやりまぁーす」
「ったく」
べーっだ、と女の後姿に舌を出していた娘が、勝手口に姿を見せた薬売りに、あらやだ、と振り向く。
「お届けもの? 何かあったっけ」
さて、と薬売りは娘の顔をさりげなく観察する。
坂井の女は、男を取り殺す――と。
街で聞いた噂はそれだけだ。小者の言葉を信用するなら、それはどうやら本当らしい。
問題は、どこまでが『坂井の女』に入るのか――か。
薬売りが身分をあかすと、娘は、ああダメダメ、と薬売りを追い出しにかかった。
「今日はそんなヒマないのー」
「……ご婚礼があるから」
「そうそう」
娘は喋りたくて仕方ない、というふうに、目を輝かせた。
「真央様が塩野様からお婿を迎えられるの」
「婿、ですか」
「そーよぉ。坂井のお家は女系なのね。男の子が育たないんですって。真央様の他にもご兄弟はいらしたんだけど、真央様しかご成人なさらなかった、て」
それは俺には好都合、と薬売りは上がりかまちに腰を下ろす。
「ええ?」
「花嫁さんに、ぴったりの薬……」
こしょこしょこしょ、と耳打ちすると、娘は顔を赤くして身をよじらせた。
「やっだぁ、もぉ〜! でも見せてー!」
「はい、はい」
「お母様」
色内掛けに角隠しをつけた真央が、同様に美しく着飾った水江の前に手をついた。
「塩野の方は……まだ」
「そう慌てるものではありませんよ」
水江はおっとりと笑う。
「小田島が御先導をつとめに行っているのですから。直に参られましょう」
かつん、と伊顕が首を動かして頷いた。勝山と笹岡が同調する。
「お世継ぎご誕生が、楽しみな」
「勝山殿、それはいかにも気が早うございましょう」
かつり、かつり。
旅芸人らが前庭でちんしゃんと奏でる楽の音が、ヒグラシの声に混じって流れていた。
148:傀儡回し 3
08/01/28 23:01:33 Pknmptx+
「すっごぉ〜い、たくさんあるぅ〜! うん、真央様が買ってくださるかも!」
「塩野の若様というのは、どんなお方で?」
「えー? あたしたちみたいな下働きはよく知らないんだけどぉ……」
ふっくりした唇に人差し指を押しあて、娘は悪戯っぽく笑う。
「真央様がお見初めになったんだから、きっと目元の涼しい伊達男よ。あちらのお家の借金を肩代わりしてまでお迎えになるんだもの」
「……今の、御当主は」
「伊顕様? うん、伊顕様は御隠居様のお血筋よ。本当は、伊国様がご長男だったんだけどぉ……お酒に溺れて、ずぅーっと人事不省の有様なの。伊顕様も、お体が弱くていらっしゃるしぃー。奥様の水江様がいらっしゃらなかったら、坂井の存続も危なかった、て」
ほぉう、と薬売りは相槌をうつ。
「奥方様は、随分やり手のようだ」
「そーよぉ。いつまでもお美しくて、かぁっこいいんだから!」
憧れの眼差しで、娘は我がことのように胸をそらした。そこへ、加世!と甲高い声が割り込む。
「あんたは――なにこんなところで油売ってんだい!」
「鼠捕りの薬を」
薬売りはその場に手をつき深く頭を下げる。
「お勧めしていた、ところで」
「結構よ! 加世、あんたは水でも汲んでおいで! 瓶がすっかり空になってるじゃないか!」
「はぁ〜いぃ〜」
不満げに頬を膨らませた加世が、しかし薬売りが下げている頭の上でちらりとさとと視線を交わす。
「お騒がせして申し訳ない」
薬売りはゆっくりと頭を上げた。
「すぐ……出て、いきますん、で」
かつん、とどこかで、硬質の音がした。
――男。
――男だ。
――許さぬ。
――許さぬ。
許サ、ナイ。
149:傀儡回し 4
08/01/28 23:02:34 Pknmptx+
そんなにすごいのかい、と頬を染めるさとが、薬売りに盃を差し出す。
「……いえ。まだ、仕事が……」
「そう言わずに。祝い酒なんですよ。真央様の幸せを祈って、空けとくれ」
では、と礼儀に従って薬売りは口をつける。空けるを待たず、くらりとその上体が泳いだ。
色濃く塗り重なった女の怨み、骨の髄まで思い知れ。
「塩野の若よりイイんじゃないかい?」
「でっしょぉ〜?」
「調子に乗るんじゃないよ、まったくあんたときたら」
「あ、真央様」
「水江様も。まぁ、こんなところへお運びいただいて」
「……あの部屋へ運んでしまって。小田島が戻らぬうちに」
「ええ、ええ」
「お気に召しましたぁ?」
「そう、ね。塩野はどうしましょう、お母様」
「とりあえず木偶にでもお相手させておけばいいんじゃないかい」
「まぁ、酷いお母様」
ほほほ、と女達の笑い声が台所に満ちる。
ゆっくりと薬売りが目を開けると、がんがんと頭が痛んだ。
不覚、とこっそり心中で落ち込む。
薬売りが薬で意識を奪われたなどと、まったく不覚以外の何物でもない。
手慣れたやり方ではあった。水でなく酒で飲ませるのは匂いと味を誤魔化すためがひとつ、薬の効きを高めるためがひとつ。
――外道だ。
こんなに強い効き目のものを、酒精で飲ませるなどと、うっかりすれば死にかねない。
むしろ、死んでも構わぬ――と。冷ややかな悪意が、ある。
150:傀儡回し 5
08/01/28 23:03:29 Pknmptx+
「あ、起きたぁ?」
あっけらかんとした娘の声、目線だけを動かして、薬売りはぎょっと体を引きかけ、自分が縛られていることに気がついた。
「お水あげるから、暴れないで、ね?」
南方の出身か、大地の色をした肌に襦袢をひっかけただけの姿で、泣きぼくろの印象的な娘は細い首をかしげた。
「……俺は、なんか縛られるようなことを、しましたか、ね……」
非難を乗せてかすれた声を出すと、娘はぺろりと舌を出す。
「ううん? でもね、薬売りさん格好いいんだもの。食べちゃおうと思って」
悪気のまったくない、無邪気な声。その背後で、思い思いに薬箱を漁っていたらしい女たちが、ほほほ、と笑った。
「なぁに、これ」
「こんなものまで」
「まぁ、可愛い」
そんな女たちを、極彩色の壁絵が囲んでいる。六角形の変わった造り、柱は天井へのぼるにつれて竜頭の細工となっている。部屋の中央に同じく六角の台が据えられ、縁から溢れるように布団が敷き詰められ、薬売りはそこに転がされていたのだった。
天井にある――あれは。
落ち格子……だろう、か。
解毒のためにも水は必要だ。おとなしく水を求めると、娘は小さな手でいそいそと水差しの吸い口を薬売りの口元にあてた。唇を動かしかけ、ふと気づく。
「……これには、変な薬は入ってませんか」
「どうかしら。お薬売ってる人なんだから、わかるんじゃない?」
口にした言葉が意地悪く響いたのに気づいたらしい。娘は太めの眉を八の字に下げると、あたし下っ端だから、これ以外のお水はあげられないの、と申し訳なさそうに肩を竦めた。
仕方ない、と薬売りは腹を括る。慎重に一口含んで、舌の上で転がした。
どうやら、清水だ。
水差し一杯分の水を空け、薬売りは軽く頭を振る。笑いさざめく女たちへ目をやった。
「これは一体どういう仕儀か、お聞かせ願えませんかね」
おや、と水江が顔をあげる。
「ご不満かえ?」
真央が白い小首を傾げた。
「『坂井』へ来たからには、承知の上、だろうに」
さとがくすくすと笑った。
「男の面子にでも、障ったのでございましょう」
151:傀儡回し 6
08/01/28 23:05:30 Pknmptx+
「つまらぬこと」
「ほんに」
「あまり、興醒めさせないでほしいもの」
「でなくては、ねぇ?」
かつん、と音がして、天井からばたばたと羽織袴を纏ったモノが降ってくる。
床へと落ちる寸前に、引かれるようにがくんと空中に留まった。
薬売りは目をすがめる。
――かつん、と。
硬い音を立てるのは白い骨。
されこうべがかくかくと、見えない糸に従って踊った。
「――この」
「ように」
「なる」
笑み含みの宣言に、薬売りは荒らされた荷物に退魔の剣を探す。
モノノ怪の――形。
「――傀儡回し」
カチン!
つづく
女性陣のビジュアルは、みんな若い頃のものでお願いします。
152:名無しさん@ピンキー
08/01/28 23:26:34 W/L+IQss
>>144
まだ前半だと言うのに坂井の女衆が
じわじわ黒くwww
gjです!後半を楽しみにしております!
153:名無しさん@ピンキー
08/01/29 03:07:08 hMpXTIAw
>144
すげ、退魔ものの雰囲気残しつつ逆転パラレルか!
エロも話のオチもwktkして待ってる
154:名無しさん@ピンキー
08/01/29 16:15:17 5z7jyfHn
女性陣のビジュアルがみんな若い頃、という一文を読んで
真央が高校生、加世が中学生くらいなのを想像してしまった…
155:名無しさん@ピンキー
08/01/29 18:42:36 QSFgeGhf
>>154
最早脳内でそれにしか見えない!
幼女は!幼女はおらぬかぁー!www
156:名無しさん@ピンキー
08/01/29 21:38:19 gbbH4Fhw
落ち着いて!
あなたの嗜好がバレちゃうから落ち着いてー!
157:名無しさん@ピンキー
08/01/30 08:09:34 ZNl2rKUN
薬売り×幼女加世を想像したじゃないか・・・
158:名無しさん@ピンキー
08/01/30 10:56:10 fk9hAraY
>>157
奉公前の元気で可愛い加世ちゃんに振り回されて
困ってる薬売りのほのぼのですか?
ちょっといいかもw
159:名無しさん@ピンキー
08/01/30 15:49:37 +DujBijB
↑
なごむなぁ〜(*´Д`*)
160:337
08/01/30 23:11:17 LN86I6Na
バーカ、な自分に今更気づいてもいいですか。
……orz
まず、前回名前欄入れ忘れました。傀儡回しは自分です。これはまぁ許容範囲……か?
次。>>146で文章抜けました。没の方を投下してどうする自分。
× 色内掛けに角隠しをつけた真央が〜
○ 色内掛けに角隠し、懐に厄除けの花人形を忍ばせた真央が〜
ごめん、ほんとごめん。
続きはもうちょっとかかりそう、です。
161:名無しさん@ピンキー
08/01/31 00:11:35 3NJGdnaq
>>160
名乗らなくても薄々わかってたんだぜ?
つかわざと名乗ってないのかと深読みまでしちゃったんだぜ?
ドンマイ、続き待ってる。
幼女ネタにふと思いついた。
古い話で恐縮だが、モノノ怪たまごっちがあったら是非やりたい。
育て方次第で、薬売りになったり加世になったり、小田島様になったり
坂井のジジイになったりすんの。
162:名無しさん@ピンキー
08/01/31 01:56:46 DTHPArp9
ジジイになった瞬間
「滅!!」とかって叩きつけそうな予感がする
163:337
08/01/31 19:13:45 /Rhywcci
ジジイになっちゃったら、そんな育て方をした自らの不明を恥じて
切腹するw
続き投下いきます。文量読み間違いましたorz 前半どころじゃない。
三の幕で大詰めになるといいんだけど……。
エロ部分がなんかカオス。なんだろう、精神的SM?
何故か加世が犠牲者になって、百合陵辱めいたふいんき(ryです。
薬売りは緊縛?、目隠し猿轡状態で待機中。
ほんのり薬加風味のような気もしますが甘さはない。
164:傀儡回し 7
08/01/31 19:15:29 /Rhywcci
一瞬の攻防――だった。
縄を解いた薬売りが加世の額に札を叩きつける。
「ぎゃあああああああああっ!」
喉を絞りあげるような絶叫、札の表面が渦巻いて赤く目玉模様が浮かび、さらに赤く染まって爛れ落ちる。ぷっつりと糸が切れたように、娘の体が倒れた。
鏡に映したように坂井の女と薬売りが片手を振り切り、片や大量の札を、片やうねり絡まる黒い糸を、一斉に放つ。
糸――否、髪だ。
どっと湧きだしたそれは、薬売りの元へ飛びかけていた退魔の剣を呑み込み絡めとり、札を遮ってきりきりと鳴いた。
拮抗、する。
のしかかる怨念の重み、かつかつと騒ぎ立てる男共の成れの果て、ぢぢ……と髪が焦げ、不快な臭いが鼻をつく。
うねうねと攻めかかる黒髪を片手をかざして支え、さらに踏みだそうというところで薬売りはつんのめる。足元を見やると、加世だった体が知らぬ娘の顔をして、長く伸びた赤い爪で薬売りを捉えていた。
虚ろな眼窩がぽっかり開いて、赤い唇ががらがらに荒れた声を吐く。
許サ、ナイ。
珠生様、と誰かが呼んだ。どん、と激しい衝撃と共に二人が黒髪に呑まれる。
「やれ、活きのよいこと」
紅白に編まれた綱を女の白い手がぐいと引いて、がらがらと格子が落ちた。
傀儡回し〜二の幕〜
次に目を覚ましたときには、罪人のように頭上に両手を掲げ、肘より先をがっちりと格子に固定された状態で座っていた。
どれほどの時間気を失っていたのか、指先から血の気がひいて感覚がない。無理に動かそうとするとちりちりと痺れが走る。
縄――では、ない。
薬売りは顔をしかめる。
女の髪で縛られているというのは、なんとも言えず気色が悪い。単なる材質として見ても、丈夫過ぎてタチが悪い。
ごそごそと楽な姿勢を探して身じろぐと、ごめんなさい、と細い声がした。
「薬売りさん、大丈夫?」
165:傀儡回し 8
08/01/31 19:16:48 /Rhywcci
「……ああ。いたんですかい」
こちらは単に後ろ手で格子に括りつけられているらしい加世が、薬売りの言葉にぷぅと膨れた。
「いましたぁー。……って薬売りさんこっち見ちゃダメーーーーーっ!!」
「え」
反射でそちらに目をやって、意味に気づいて目を逸らす。窓もないのに何故この部屋はこうも明るいのか。きっと何か細工がしてあるのだろうが、迷惑な話である。
……もとい。ちょっとだけ役得かもしれない。
「……憑物は、落ちたようで」
「おっ……おかげさまで」
なんとか肌蹴た襦袢で前を隠そうとしているのか、悪戦苦闘している気配がする。ぎちぎちと縄が鳴って、柔肌に傷でもつかぬかと他人事ながら心配になった。
「見やしませんから、安心してくださいよ」
「だっ、だってぇ……。あああ、あたしってば今まで……今まで……あああああ」
なんてことしてたんだろ、もうお嫁にいけない、穴があったら入りたいぃ〜、と泣きそうな声に、ああ、普通の娘だったのだな、と薬売りは安堵した。
「あんたのせいじゃない。すべてはモノノ怪の仕業だ。悪い夢でも見たと思って、忘れてしまえばいい。……まぁ、生きてここから出られればの話、だが」
「……薬売りさん」
慰めるつもりで言うと、途端に娘の声が低くなった。
「助けてもらった人にこんなこと言いたかないけどっ。その、モノノ怪?の気持ちもわかりますっ。男ってほんっと最低ッ! この無神経! 恥知らず!」
「は」
なんで俺罵られてんの?
「だからこっち見ちゃダメぇーーーーーっ!!」
「はい。すみません」
疑問にうっかり視線を動かしかけて、真っ赤な顔と、八の字に歪んだ眉と、今にも泣きそうに潤んだ目を見てしまう。心のどこかにさざ波が立った。
ああいや。ほだされている場合ではない。
「俺は……モノノ怪を斬りに……来たんですが、ね」
視線だけで退魔の剣を探すが、どこへ隠されたのやら見当たらない。荒れ放題に荒らされた薬箱を思って、溜息が洩れた。
166:傀儡回し 9
08/01/31 19:18:43 /Rhywcci
「しかし、退魔の剣を抜くには、モノノ怪の形と真と理が必要……なんです、よ」
だから。
「お話を聞かせちゃもらえませんか……ね」
「真……と、理?」
慣れた反応に、薬売りはいつもどおり口を開く。
「真とは事の有様。理とは心の有様。何かがあり、何者かが、何故にか、怒り、怨んでいる。……それは何故か」
「……何故、か?」
「あんたはモノノ怪の気持ちがわかると言った。それはどういう意味だ」
知らず厳しい口調になった薬売りに、加世は口ごもる。
「意味……って言われても。そう感じる、としか……」
「感じる?」
「だって男って偉そうにする割に役に立たないし。いやらしい手でベタベタ触ってきて、嫌がるとケチだの出し惜しみだの文句つけて、そんなこと気にするな、いちいち騒ぎ立てるななんて、
あんたは気にしなくてもあたしは気にするってぇーの! そのくせ貞操を守らない女なんてクズだとか言うでしょ。どっちがクズよ。気持ち悪い、大っ嫌い!」
怒涛の勢いで飛び出した悪口に、薬売りは目を丸くする。
年若い娘特有の潔癖さ――だろうか。
「だから、懲らしめてやりましょ、て水江様と真央様が。女とおんなじ目に遭わないとわからないなら、わからせてやろうって。さとさんと三人でしてらしたのに、仲間に入れてもらったの。見た目がいいのは攫って閉じ込めて、そうじゃないのは力仕事でもさせといて。
表向き男が必要な部分には、操り人形を置いとけばいいし、その方が世の中よっぽどよくなりそう――って、そういうこと、なんだけど」
加世は自信なさげに声を低めた。
「うん……さっきまでは、そう、信じてたけど……。今考えると、これってヘン……だよね……」
薬売りはほぅと息を吐く。
「……珠生ってのぁ……誰、ですかね」
「たまき? うーん……知らない……と、思うんだけど……」
「――男共に嬲り殺された、可哀相な娘の名前でございます」
ねぇ、さとや、と両脇にさとと水江を従え、赤い回廊から姿を見せた真央が、膳を捧げたさとに向かって笑う。さとだけでなく、水江もまた、気まずげに視線を逸らした。
「先代当主の伊行という男は、畜生にも劣る酷い男で」
おっとりと、真央は水江によく似た顔で笑う。
「民が坂井に逆らえぬのをよいことに、見目よい娘を攫っては、この部屋で嬲っておったのです。息子の伊国もね。伊顕は手を出しませなんだが、それは気が弱ぉうてのこと。知りながら止めぬのでは、同じ穴の狢でございましょう」
「……よく、ご存知で」
水江の娘というからには、それは真央の生まれる前ではないのか。
問うた薬売りに、真央はさとに手を振って、格子の隙間から膳を差し入れさせた。
「可愛がっていただいたのです」
真央は愛しむように胸元に触れた。
「私など、珠生様から見れば憎んでも憎みきれない者でしたでしょうに。おまえに罪はないと、たいそう優しくしていただきました」
「仇を――討つ、と?」
亡き人の代わりに、世の男共へ復讐を。
それが、理――か。
167:傀儡回し 10
08/01/31 19:21:15 /Rhywcci
眼差しを厳しくした薬売りに、真央は笑う。
「さぁ? 私は女でございますから。物の道理などわかりませぬ。怨むというならこのさとも」
白い手が、さとの背に触れた。
「珠生様の前は、さとでした。そして――」
俯いた母を、真央は振り返る。
「――世間体から監禁こそされませなんだが、嫁という立場は弱いもの。あとはもう言わずとも……おわかりでしょう? そうして真央が生まれましたが、はてさて誰が父やら」
くつくつと、真央は赤い唇で笑う。
「誰にせよ、坂井の血には変わりございませんねぇ。穢らわしいこと」
不義の――そう、ただ祖父と母の間の子というのではなく、これ以上ないほど道を外れた挙句の子であると――その、己への疎ましさ。
それが、真か。
ひどい、と加世が呟く。その顔には女たちへの同情がありありと表れていた。
「――加世」
優しげに真央は呼ぶ。
「縄を解いてあげようねぇ。心配したのよ、そこの男に怪しげな術をかけられて。今はもう、大丈夫?」
「……あの、あたし」
「皆まで言わなくてもいいわ。怖かったでしょう。許してね」
加世の瞳が揺れる。はらりと解けた縄、痺れたのか小さな両手をこすりあわせて、薬売りと女達を交互に見やる。
「お食べ。それと、これも。私はあの男共ほど非道じゃないわ。食べさせておやり」
「あの……でも」
加世は俯く。
「これって……本当に、意味があるん、でしょうか……」
「――加世!」
ぴしりと飛んださとの声を、真央が押しとどめる。
「どういう、意味?」
「あっ、あのぉ……えっと、あの男達が、酷い、嫌な奴なのは本当です。真央様も水江様も、さとさんも、お気の毒だと思います。あの、でも、あたし……、あたしは、薬売りさんは悪い人じゃないと……思って。
そりゃ、あの、ちょっと考えなしなところはあるかもしれないけど、慰めてくれたし……。か、考えてみたら、あたしは、水江様や真央様みたいに、お家を取り仕切るなんてことできないし、誰かのお嫁さんになるんだって悪くないと思うし……。
女でも、そんな風に色々なんだから、男だからって皆がみんな、あいつらみたいな下種なんじゃ……ないかも、て」
つっかえつっかえ訴える加世に、真央は、そう、と優しく微笑んだ。加世がほっとしたように息を吐く。
「真央様――」
「あなたも所詮、踏みにじられた経験がないから――わからないのね」
笑顔のまま告げられた言葉に、一瞬加世が戸惑う。その前で、どぅっ、と殺気が膨れあがった。薬売りは声を張りあげる。
168:337
08/01/31 19:21:43 /Rhywcci
ごめんちょっと一旦中断。
169:名無しさん@ピンキー
08/01/31 19:40:19 Bx6S1mba
生殺しやっちゅうねんwww
170:337
08/01/31 20:03:38 /Rhywcci
>>169
ごめんw
すんませんでした、再開します。
171:傀儡回し 11
08/01/31 20:05:26 /Rhywcci
「――形と! 真と! 理によって!」
懐から、鈴の音を立てて退魔の剣が飛び出す。
女達が驚いたように目をみはった。どこから、と悲鳴のように叫ぶ。
「剣を――解き放つ!」
どん、と髪がくねって、加世の悲鳴があがる。
ぽたぽたと、傷つけられた頬から血が溢れた。
――薬売りの血だ。
剣が、抜けない。
「何故……っ!?」
狂ったような哄笑があがった。
「何が足りない!」
知りたいか、と真央が笑う。
さとが笑う。
水江が笑う。
「ならばその身をもって知るがいい!」
*
ちりちりと、手足と首に巻きついた髪が肌に食い込んで痛い。
髪の手入れをするときに、うっかり指に刺さることは稀にあるが、今加世の四肢を捕らえているそれは根本的に性質が違うようだ。一束にも満たぬほんの数本、それが意思を持つようにきりきりと絞まって、肌を切り裂く寸前でとどまっている。
加世に許された装束は、その恐ろしい髪だけだ。あとは身を隠す術ひとつなく、くすくすと女達の嘲弄に晒されて立っている。格子の中は、意外と広かったのだなと思った。薬売りと、加世と、三人の女達で一杯だが、入れないことはない。
若いねぇ、と水江の手が加世の肌を撫でる。その手のあまりの冷たさに、加世はふるりと身を震わせた。
「いい手触りだこと。張りがあって。……なめしたら楽器に使えそうねぇ」
ぎくりと顔がこわばる。真央が笑った。
「お母様、加世が怯えているじゃあありませんか」
するすると白い腕が背後から絡みついて、すくうように加世の胸を揉みあげる。
「っあ、」
背に触れる上等の絹の感触、真央は角隠しこそないものの花嫁衣裳のままだ。衣服を着ている者の前で裸にされることが、こんなに心もとなく、いたたまれないものだとは知らなかった。
172:傀儡回し 12
08/01/31 20:09:03 /Rhywcci
「加世は……どこが好かったんだったかしら……ねぇ?」
泣きそうな気持ちで首を振る。言わないで。薬売りに聞かれる。聞かれてしまう。
ねっとりといやらしい手つきで、水江が加世の尻から太腿を撫でまわす。その背後に薬売りがいる。
無残な姿だった。
加世は、髪の拘束こそあれ、どこに縛りつけられているわけでもない。逆らえばその髪が絞まって落ちると脅されてはいるものの、四肢は自由に動かせる。
だが、薬売りは両腕だけでなく、視界を奪うように顔の半ばまでをこの恐ろしい髪に覆われて、格子に縫いこめられている。無理に薬を飲ませたあとは猿轡も噛まされて、表情はほとんど窺えない。
鮮やかな着物は乱暴に肌蹴られ、方々から伸びた黒髪がざんばらに乱れて、うち棄てられた文楽のようだ。加世から見ると羨ましいほど白い肌は、抵抗の痕として幾筋も髪の刃に痛めつけられ、
あちこちに血が滲んでいた。その胸が上下しているのでなかったら、死んでいるのかと思うところだ。
あちらから見えないだろうことは加世を安堵させたが、意識のあるなしがわからないことが怖い。いやたぶんあるのだろう。薬売りを庇った加世を、その当人の前で辱めることが、女達が加世に科した罰なのだ。
おまえを庇ったのはこの程度の女なのだと――そして、この程度の女におまえは庇われたのだと、薬売り自身をも貶める。
「恥ずかしがることは、ないじゃあないの。今までもたくさん、してきたでしょう……?」
声音ばかりは優しい真央に、加世は唇を噛んで、耐え切れずに薬売りから目を逸らした。真央の舌が首筋を這い、水江の唇が腹部を這う。顔だけでなく背格好もよく似ている。
四本の手が休まず動いて、加世の体が次第に熱を帯びた。きゅ、と胸の先端をつままれる。
「や、あ……っ」
「ふふ。加世はいやらしいねぇ」
「可愛いこと」
快楽を知っている体は容易に煽られる。まして女達はその性別故に、加世の弱いところを的確に責めたてた。じんわりと秘所が濡れていくのを感じて、目の前が暗くなる。
――怖い。
どうなるのだろう。何をさせられるのだろう。そして薬売りはどう思うだろう。
モノノ怪に憑かれていた――と薬売りは言ったが、自分が何をしたのか、どう思っていたのか、記憶は明確に残っている。どうしておかしいと思わなかったのか。本意でなかったというのは言い訳にしかならない気がする。
モノノ怪に呼応して同調する部分が、確かに自分の中にあったのだ。ましてや今、諾々と女達に従うのは命惜しさの自分の意思で、恥ずかしくて情けなくて涙がこぼれる。
死ぬのは怖い。
でも、まがりなりにも慰めてくれて、言葉を交わした薬売りに、軽蔑されるのも嫌だ。
「兄さん、期待しておいでねぇ」
「聞こえるかしら。可愛い声でしょう」
「加世ったら恥ずかしがって。耳まで赤いよ」
「でもいつもより好いみたい。こういうのが好きだったのね」
「やっ……言わな、で……っ」
必死で真央の腕に縋りつくと、きりりと喉元が絞まった。加世はぎくりと体を強張らせる。真央はふんわりと優しく笑った。
「なぁに?」
「いっ……いえ……」
静かな恫喝に、もう何も言えない。ああ、と納得したように真央が頷いた。
「お口が寂しい? 気づかなくてごめんなさいね」
173:傀儡回し 13
08/01/31 20:12:05 /Rhywcci
え、と呟いた瞬間、ぐいと頭をねじられて、唇があわさった。
「ん……っ!?」
思えば口を吸われたことはなかった。混乱するうちに真央の舌が加世の口内を蹂躙していく。
「んっ、ふぅ……っ!」
水江が一旦手を離し、無理な体勢だった加世を真央に向き合わせる。姿勢は楽になったが、おかげでますます深く貪られた。逃げても逃げても舌を絡められ、そのうち片手が胸に下りて双方から快楽を送られる。
そうして、水江の腕が背後から加世の太腿に絡みつき、指が秘所を撫であげる。
声にならない悲鳴があがった。
つづく
さとさん空気w これから活躍……してくれるといいなぁ。
こんなカオスなのにエロ度が足りないのは何故だろうorz
中断すみませんでした。
174:名無しさん@ピンキー
08/01/31 23:11:22 hOTGcO74
>>168-169-170の流れ吹いたwww
それにしても苦戦する薬売りGJ!!!
続きが楽しみ過ぎる!
175:727
08/02/01 01:32:05 DXQ6vD1D
>>337氏
新作投下乙なのです。こうきましたか!
原作アニメが(怪は別として)あまりにも無敵なので、
苦戦する薬売り、いい感じです。
で、エロなしで申し訳ないんだけど
少し前に薬売りとちび加世でほのぼの?という話に
何か色々解き放たれたので久々に投下。
全5レス。
176:まどろみのあと 1/5
08/02/01 01:32:33 DXQ6vD1D
「あらやだ、届け物?―何かあったっけ」
朗らかな声に妙な既視感をおぼえて視線をおよがせると、見るからにはつらつと元気のよさそうな地黒の若い娘
が薬売りを見ていた。奉公人か、下働きか、立場のほどはよくわからない。くりくりとよく動く大きな瞳、左目の
下にぽつりと一つ、どこか絶妙な按配で色気を添えている黒子、婀娜っぽさと愛嬌が同居するふっくりとした唇。
「―いえいえ、」
決して少なくはない衝撃を完全に飲み込んで、薬売りは声をあげる。
「私は、薬売り」
そしてまったくおなじ言の葉を吐き出す。
娘はすっかり自分のことなど忘れているだろう。そのように暗示をかけた。
すべて忘れてしまうようによく言い含め、暗示をかけ、目が覚めたときには夢でも見ていたのだと思うようなと
ころへ運んで、誰かが見つけてくれるまで離れた場所で見守った。意図していたとおりに、通りがかったどこかの
お侍に無事保護され、おさない童女は家路についたのだ。
たしか、そう、名前は……。
―かよ。
子供は幼いうち、七をかぞえる歳までは神の眷属だと言う。
それは半分正しくて半分偽りだ。たしかに大人には見えないものをながめたり、知ることのできない気配をあざ
やかに読むことができるのは事実だが、それはあやかしや物の怪に狙われる遠因ともなる。あまり直接の害を加え
ることが多くないあやかしは別とするとして、ヒトの因果と縁がその存在をゆがめた物の怪ともなれば、たいがい
は自らの姿を見られることをひどく嫌うからだ。
177:まどろみのあと 2/5
08/02/01 01:33:48 DXQ6vD1D
そして、そういった邪魔なものはやはり排除する方向に動くのが定石というもの。
そういう意味では神の眷属というのもあまりありがたくはないものだな、と薬売りはぼんやり考える。
ふりかかる災難を避けるすべがあるならまだしも、眷属だからとて神が無条件の保護を与えるわけでもないのだから。
それにこうして、―
「……あなたは、だあれ?」
自分は物の怪を斬るためにやってきたはずなのに、なぜだかついでに迷子を保護する羽目にもなったりする。
形と真と理をそろえるのにしくじったせいでひどく脇腹を打ちつけてしまい、着物の上から軽く触れただけでも思わず体をかたくしてしまうほどの痛みが走る。呼吸をするだけでもしくしくと痛むので、もしかしたらあばらの一本か二本でもいかれてしまったのかもしれない。
あとで膏薬を貼らなければと忌々しい気分で考えていたら、どうやら物の怪が連れ込んだらしき地黒の童女が、岩室のなかから薬売りを小首をかしげて見つめていた。
……物の怪をその身に飼っていたのは、幼い子供をなくした女だった。
その心痛は推して知るべしだが一度物の怪と化してしまえば斬って開放するしか、してやれることはない。
「おばさんの、おともだち?」
「……」
童女には、何か暗示をかけられたり記憶をゆがめられているような気配はない。
むしろその周辺にはかいがいしい細かな世話の痕跡があり、あの物の怪と化したあわれな女は、最後の一線だけは譲り渡すことなく護りきったのだろうと理解する。母親であるならば、子供にだけは手をかけないものだと決まっている。
くりくりとした大きな瞳、健康的に日焼けした肌、ぷっくりとした唇。
きれいなつやを乗せた黒髪をまっすぐにおろし、顎の線できれいに切りそろえている。歳のころは五つかそのくらいだろうか。まだ物の怪やあやかしをその目にとらえることのできる年齢であろうことは、すぐにわかる。
「……いえいえ、」
不思議そうに見上げている童女の前へ片膝をつき、目線の高さを低くする。
178:まどろみのあと 3/5
08/02/01 01:34:43 DXQ6vD1D
「私は薬売り」
「おばさん、どこいっちゃったの?」
「大事な御用を思い出して、ずいぶん遠くへ出かけたようですよ。約束の薬をもってきたのですが、一足おそかったようだ」
すらすらと今見てきたような嘘が口をつく。
「おばさん、かよを、おいていったの?」
大きな目にみるみる涙が溜まりはじめる。
そうではない、と言おうとして童女の言葉に驚愕した。……どうやら、本当に、あの女は細やかな愛情をこの童女に注いでいたらしい。
物の怪にかどわかされた子供など薬売りはそれこそ文字通り数え切れないほど見てきたが、そもそも口をきけない状態にされているか狂っているか、骨か躯になっていたことがほとんどで、こんなにまともな状態の子供など見たためしがない。
「―かよ、と。言うのだね」
つややかな髪を、血の汚れがついていない左手のほうで撫でてやる。
薬売りの言に童女はこくりと首肯し、しゅんとした顔をする。
「くすりうりのおにいちゃん、おばさん、いつかえってくるの?」
「しばらく戻りませんよ。おかよちゃんも、もう家へ帰らなければ」
たんねんに髪をなでてやりながら、静かに告げる。
……おそらく怖い思いはしなかったのだろう。記憶をゆがめられたり、物の怪に都合のよいように心をいじられている子供はこんな目はしない。ならば、不思議な夢を見ていたと錯覚させるほうが得策だ。
恐ろしい経験はなかったとはいえ、あの女の外見はどうみてもまともなヒトのものではなかった。覚えていれば、いずれ自分が出会ったものはヒトならざるものだと気付くだろう。適度な畏怖は人を用心深くさせ益になることのほうが多いが、いきすぎた恐怖はかえって毒になる。
179:まどろみのあと 4/5
08/02/01 01:35:26 DXQ6vD1D
「おうち?」
「……ええ、そうですよ」
「かよの、おうち……」
言われて初めて気付いたように、かよと名乗った童女は軽く目を瞠る。
「―おうち、かえりたい」
「ええ、そうでしょうとも。おかよちゃんが見えないから、きっと皆心配している」
言葉の端々にほんの少しづつ暗示を篭めてゆく。
ここは自分のいるべき場所ではない。帰るべき家があり、そこでは懐かしい人が待っている。
そう、そこは両親がおり、戻らなければならない―自分の家、だ。
「すぐに出ましょう。大丈夫、すぐそこです」
「ん……」
「ほんのちょっとだけ、歩いた先……」
穏やかな優しげな声で囁き、暗示の網を強くしてゆく。
童女の瞼がゆるゆると半分ほど降りて、うつらうつらと小さな頭が揺れてくる。
「……ああ、いけませんね。眠くなってきましたか」
座っていた岩の上からずるりと滑り落ちかけたところを抱きとめ、痛めたほうの脇腹に触らないようにして抱きかかえる。うとうとと夢うつつの顔をしている童女が、近いところから薬売りを見上げてきた。
「かよの、おうち……」
「すぐ近くまで連れて行ってあげますよ。少し、お眠りなさい」
―目覚めた時にはもう、夢は晴れている。
「良い夢を―」
貝殻のような小さな耳元で囁き、ゆっくりと瞼の上を指でなでる。その動きに従って童女の瞼は静かに下りてゆき、ほどなくして寝息をたてはじめた。
くたりと力を失った体は軽く、抱いて歩くにも大きな不都合はない。
180:まどろみのあと 5/5
08/02/01 01:36:10 DXQ6vD1D
起こさないようにして慎重に抱きかかえなおし、薬売りは肩ごしに童女がいた岩室をふりかえる。
大きな岩盤を三角にたてかけた部分がまるで屋根のようで、その上に小さな花が咲いていた。
くうくうとあどけない顔で眠る童女を、街道わきに置かれた地蔵のそばへ降ろす。
雨ざらしではなく小さな小屋が付属しており、新鮮な花や供物が置かれているところを見るとこまめに世話がなされているとわかった。それはそのまま、あまり長い時間を待たずにここへ人が来るはずだという意味でもある。
取り立てて美しくも醜いわけでもない童女だが、日焼けしたすこやかな様子や目元に彩をそえる黒子、色々と特徴がある。近隣の村や町で暮らしていたのであれば、まともな大人に保護されれば必ず家へ帰されるだろう。
童女の様子がよく見える、しかし街道からは見咎められる心配のない深い藪の中に身をひそめ、薬売りは誰かが通りがかるのを待つ。
一刻過ぎ、二刻が過ぎ、そして三刻目のなかばにさしかかったところで、父親らしき堂々とした風体の男に手を引かれた少年が地蔵を指さして驚いたような声をあげた。
しばらくそのまま藪の陰から様子をうかがっていたが、どうやら信のおけそうな侍だ。
「……そう、すべては夢の中の出来事」
何もかも忘れておしまいなさい。
不思議なおばさんのことも、岩室を訪ねてきた薬売りのことも。
道に迷って、泣きつかれて、お地蔵さんのそばで眠ってしまっていたと……そう思い込めばいい。
(終)
181:名無しさん@ピンキー
08/02/01 01:38:24 DXQ6vD1D
……orz
ごめん1/5が改行変なことに。
読みにくくて申し訳ない。
182:名無しさん@ピンキー
08/02/01 02:47:28 wHWIV/v0
>>176
ありがとうGJ!幼女加世と薬売り可愛かったよ!
183:名無しさん@ピンキー
08/02/01 03:14:49 RCYE30eW
薬売りとチビ加世ちゃん話、癒されたぁ…(´∀`)
ちょっとしたレスのやりとりから、ここまで書けるって
やっぱりここの職人さんは凄いわ〜GJでした!また読みたいです!
184:名無しさん@ピンキー
08/02/01 03:35:43 5vb+LubV
ちび加世ちゃんGJです。かわいいかわいいかわいい!
情景が目に浮かぶようです。
何でみんなこんなに描写がうまいんだろう。
185:337
08/02/05 22:35:19 A46yNLqH
投下いきます。長いけど無理やり一気にラストまで。
陵辱・無理じい臭強いです。でもエロ行為としては中途半端。
186:傀儡回し 14
08/02/05 22:37:43 A46yNLqH
くちゅくちゅと、上からも下からも水音がする。真央は唇を離し、加世のぽってりした唇に人差し指から薬指までを突き入れて盛んに蠢かせた。口の端から唾液が糸をひいてこぼれ、胸元へ垂れて、てらてらと光る。
一方で脚の間では、水江の左手が蜜壺を探り、右手の指で肉芽を転がして、加世の体を思うままに跳ねさせた。とろみのある愛液が水江の指に、黒々とした陰毛に絡んで、こぽりと泡を立てては太腿を流れていく。
がくがくと膝が揺れる。だが二人はへたりこむのを許してくれない。くずおれそうになる度に、水江が女とも思えぬ力で引きずり起こし、真央が立っておいでなさいと笑うと手首の髪が締まる。
必死で体勢を立て直すと、いいこね、ご褒美をあげようね――となおさら深く蹂躙される。
「いやらしいねぇ」
「いやらしいわねぇ」
くすくすと、嘲笑混じりの声音にまで嬲られて、加世は必死に身をよじっては少しでも快楽から逃れようとする。頬に幾筋もの涙が伝って、当分乾きそうもない。
歪み揺れる不安定な視界の端を、ちらちらと薬売りの鮮やかな着物がかすれば、そちらも気にせずにはいられない。それをわかっているように、女達はいっそう高い声をあげさせる。
「やぁっ……あ、はぁん、も、ゆ、ゆるし……あああっ」
聞かないで。お願い。
もはや喉から飛び出すのが、泣き声なのか悲鳴なのか、哀願なのか嬌声なのかもわからない。ただ、この責め苦から解放されたかった。
――と。
黙々と一人、火鉢を調えていたさとが楽しげに声をあげる。
「水江様、真央様。よいようでございます」
「そう。ご苦労様」
真央はにこりと笑うと、加世の両頬を手のひらで包むようにして目線を合わせた。
「……助けてほしい?」
恥も外聞もない。こくこくとせわしなく頷くと、真央が形のよい眉を悲しげにひそめた。
「泣きすぎて目が真っ赤ね、可愛いうさぎさん」
そのままいたわるように加世のほつれた結い髪を撫でつける。
「可哀相に。……でもね、加世」
するりと水江の腕が離れた。かくりと加世の膝が折れて、真央の指に力がこもる。頭蓋を締めつけられ、首がのけぞって痛みに呻く。端から見れば、夜叉が今しも娘を喰らうかのようだろう。
「みんな、そうだったの。助けてほしくて、何もないところへ何度手を伸ばしたかわからない。泣いて祈っても狂ったように願っても、奇跡なんて起きなかった。
なのにあなただけ許されちゃあ……不公平、でしょ?」
ぱっと真央が手を離して、加世の体がどさりと床に落ちる。
「布団があるだけよいこと」
「ほんに。男共の気の利かぬことといったら」
「ねぇまったく。ただでさえ痛い体がなおのこと痛くって」
女達がさざめく中で、横あいから、さとが持ち手へ厳重に布を巻いた、細長いものを差し出す。
――火箸。
真っ赤に焼けた。
鉄の。
ひっ、と加世の喉の奥が鳴る。真央が、よく焼けてるわとさとをねぎらって受け取った。空いた片手が上がって、薬売りを指差す。
「ずいぶんお待たせしてしまって、申し訳なかったこと。加世、殿方のお客様に、おもてなしをしてさしあげて」
「心を込めて、ねぇ?」
「おまえは淫乱だから、さぞやお喜びくださるだろうよ」
187:傀儡回し 15
08/02/05 22:39:27 A46yNLqH
――逆らえない。
目の前が暗くなる気がした。嗚咽の中から切れ切れに、ごめんなさい、と呟く。火箸に追い立てられるように、薬売りの前に膝をついた。
「……ごめんなさい……」
繰り返しても、薬売りからの反応はない。否、身動きひとつままならないのだろう。無抵抗の体を自分が今から踏みにじるかと思うと、おためごかしに思えても、謝らずにはいられなかった。
加世、と女の声で咎められて、慌てて手を伸ばす。そこはもう硬く立ち上がっていて、女達がこうもしつこく加世を嬲ったのは、薬が効くのを待っていたのかと、いまさらに腑に落ちた。
悪意が――深い。底が知れない。
どうしてそこまで、と思うのは、女達の言うとおり自分が乱暴されたことがないからか。こんな風に、延々と心を折るような真似を続けられて、誰に助けを求めることもできなくて、ずっとずっとひとりで。
恨んで憎んで、でも表に出せずに心の中に溜め続けると、人は誰しもこうなるのだろうか。
――なんて、暗い。
ごめんなさい、と震える声でもう一度呟いて、女達の望むように、薬売りのそこに顔を寄せる。せめて苦痛を与えぬよう、柔らかく触れて口に含んだ。
熱い。
先端に舌を這わせ、手でしごくと、とくとくと鼓動を感じる。
恐々と上目遣いに様子を覗うと、声を堪えているのか、きりきりと猿轡が噛み締められていた。忙しくなる呼吸と脈動、薬箱の中のあれこれの、効能を説明したのはこの人自身だ。
まさかこんなことになるなんて、坂井の台所に顔を出した時は思いもよらなかっただろうに。
どうするのが一番いいのか、迷いながらゆるゆると顔と手を動かしていると、手を抜くなと叱責が飛ぶ。
「ほら、兄さんが物足らなさそうだよ」
「いやねぇ、いまさら取り繕ったところで、おまえの淫蕩ぶりはこちらの方もわかっておいでだろうに」
「まぁ……下働きがいたらぬのは、主人の責でもあるかしら。さと、手伝ってあげて」
命を受けたさとの粘つく舌が、薬売りの耳朶をねぶる。絡みつくように、指が胸元から脇を辿っていき――じゅ、と嫌な音がして薬売りの体が跳ねた。
「――ッ!」
さすがに堪えきれなかったか、猿轡でくぐもった叫びがあがる。ぎっ、と一瞬格子が鳴った。一度火鉢に戻されて真っ赤な色を取り戻した火箸が、白い肌に押しあてられている。
肉の焼ける嫌な臭いが立ちのぼり、衝撃で髪が食い込んだ肌から、じわじわと血が流れる。
「さっ、さとさんやめてください! ちゃんと言うこと聞いてるじゃないですかぁっ」
「お黙り! あんたも食らいたいの!?」
まなじりを吊り上げて、さとにその凶器を向けられると体がすくむ。もう、次の言葉を口にできない。
「――加世」
水江が優しい声で呼んで、びくりと顔をあげた。
「どうすればいいか――おわかりだねぇ?」
加世は睫毛を震わせて瞑目する。
「……はい」
傀儡回し〜大詰め〜
188:傀儡回し 16
08/02/05 22:40:47 A46yNLqH
じゅぷじゅぷと、忙しなく水音を響かせながら、加世の頭が上下する。時折しゃくりあげ、むせて咳込むと薬売りに傷が増えるので、その顔から徐々に表情が消えていった。
懸命に心を殺して薬売りを高め、女達の言葉のまま雌猫のように体を擦りつける。
誰の意向か、視界を覆っていた部分の髪が外される。頬のあちこちに細かい傷を作りながら、女達を睨む薬売りに加世が首を振った。だめ、と唇だけで訴える。
「そんな、顔、しないで……あ、あの」
ががっ、と爆発するように加世が耳まで赤くなる。それでも、細い、震える声が懸命に紡がれた。
「や、やらしい、あたしを……見て、ください。お願い」
弾けるような甲高い笑いがあがる。腹を抱えて、浮かんだ涙を指で拭いながら、健気だこと、と水江が言った。
「ずいぶんな入れ込みようだねぇ」
「確かに色男だけど」
「馬鹿だねおまえ、多少見てくれがよくても男は男だよ。この浅ましい目つきがわからないのかい?」
「ねぇ? 加世を見たら抑えがきかないから、私達を睨んで誤魔化そうとしたんだろうに」
「下郎が」
「畜生道のケダモノだって、これよりかはまともでしょうよ」
「おまえたちなど、使えたところでせいぜい種付けの道具さ、何を思い上がっているのやら」
加世が頭を振る。潤んだ目で、媚びるように女主人達を見あげた。
「でも、あの……もう、我慢できません。欲しい……」
どっと笑いがわいた。
「仕様のない子。まだわからないのね」
真央が笑う。さと、と声をかけ、加世を手招いた。
「……真央様」
「いいからいらっしゃい。いいものを見せてあげるから」
薬売りを気にしながら、重い体を引きずるように加世が真央の側によると、ばさりとさとの着物が落ちた。え、と目を丸くする加世の前で、なだらかな線を描く脚が薬売りにまたがる。
「はは、兄さん怖い顔だねぇ。……でも、欲しいンだろう? ほら」
腰を落としたさとに、薬売りが呻く。さとの白い体が上下に揺れる度に、ぎちりと拘束が鳴った。目隠しがなくなって多少余裕のできた頭部が、ぐ、と反らされて白い喉を晒す。ね?と真央がしゃがみこんで加世を覗き込んだ。
「誰でもいいのよ? 情なんて、かけてあげるだけ無駄なの」
「可哀相に、ねぇ。男に夢を見るのはもうおやめ」
「可愛い加世。わかったらこちらへおいで。一回の間違いは許してあげる。もう十分に罰も受けたものね?」
口ごもっていると、ああ、とさとの嬌声があがった。すごい、とうっとりした口調が言う。
さっきまで、加世の手と口の中で脈動していたそれが、今はさとの中にあるのか。
思わず視線がそちらへ流れると、もう逸らせない。食い入るように加世が見つめる先で、気づいたらしい薬売りがさっと顔を背けた。
ふつりと、何かの糸が切れる。
おいで、と差し出される手を、加世はふらふらと握った。
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