コテ小説@不倫板 Part ..
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534:名無しさんといつまでも一緒
22/10/09 15:05:48.03 0.net
「ハンカチ」4
「ヨシコ!」
俺は大声で叫び駆け出していた。ヨシコの話を信じていたわけではないのだが、黄色いハンカチをあの男から受け取らせてはいけないという思いが瞬時に沸き起こり俺を動かした。
ヨシコの表情は凍りついていたがお構いなしに俺は2人を交互に見ながら語りかける。
「ヨシコ、出かけていたのか、ん?この人は?知り合い?」
「あ、いや、その方がこれを落とされたので拾ってお渡ししようかと声を掛けたところです。」
スーツの男はハンカチを差し出しながら答えた。
「あぁそうだったんですか、いや僕らは夫婦でして普段妻はこの時間は家にいるはずなので驚いて声をかけた次第です。どうもご丁寧にありがとうございます。」
俺はそう言って男からハンカチを受け取った。この時俺の脳裏によからぬ考えが次から次へと浮かんだ。
(まさかこれで俺とこの男がウホの関係になったりしないだろうな、いやいやないないないそれはない、俺がハンカチを落としたのではないし、だいたいこの男のことなど知らないし俺はそもそもウホではない、ていうかハンカチにそんな能力などある訳がないだろ、ではなぜ俺は今こんなことをしてるんだ?)
ヨシコは、一瞬動きが止まった俺の手からハンカチをもぎ取り
「どうもありがとうございました」
と一礼して踵を返して歩き始めた、俺も再度男にお礼を言ってヨシコの後を追った。
「おいちょっと待てよ、こんな時間に何してたんだ?それとこれは一体どういうことなんだ?あのハンカチはあの時俺が拾っておまえに渡したハンカチじゃないのか?」
「はあ?なにそれ、そんな訳ないじゃないのもう何年前のことだと思ってるの?とっくの昔に汚れて捨てちゃったわよ。何考えてるのよ、変な疑いかけないで。わたしは今日は国葬反対のデモに参加してその帰り、子供たちにはご飯作ってあります。」
怪しい、俺に一瞥もくれない、デモにそんなオシャレな服で行くのか?あの日以来黄色いハンカチを使っているところなど見たことがない、それに偶然に2度も男の前で都合よく似たようなハンカチを落とすなんてことがあるのか?そしてあの振り返った時の表情は?
嘘をついていると思いつつ俺は何も言い返すことができなかった。


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