コテ小説@不倫板 Part.2 at FURIN
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409:名無しさんといつまでも一緒
22/10/03 09:08:09.51 0.net
>>407
ほい、これでいいだろう
なんだかみなさん深読みして小説とはなにかみたいな話をしていたから乗っただけのつもりだが気に入らなかったのなら謝るのもやぶさかではない
許してつかあさい

誰彼時。
高速道路はいつもの混み具合で、たまにスピードを落とさなくてはいけない。にょきにょき伸びるビルが、どんどん前から後ろへ流れていくあの好きな感覚が味わえないでいる。ラジオは退屈だ。蜂子はただまっすぐ前の車のテールランプを見ながら運転していて、きまった間隔でため息をつく。
速い車が好きな蜂子は黒い356を乗り回している。ジャニス・ショプリンが乗ってた車。でも蜂子はこの車自体にこだわりがあるわけじゃない。死んだ父の形見分けでもらっただけの話だ。加速感とたまに生き物みたいに粘る特有の足回りは好きだが、維持に金がかかりすぎる。たまに手放したいと思いもする。数年前のオーディションでは2億だったよ、と友だちから言われた。でも信じてない。友だちは自衛隊の戦闘機乗りと付き合ってると吹聴している。彼は西新宿のタワマンに住んでいるらしい。
蜂子は男の所に向かっている。男は横浜に住んでいる。戦闘機乗りではないがデベロッパー勤めの堅実な男だ。都内住みの蜂子にとって中途半端な距離感の恋愛だ。男は事故で両足を骨折している。そのお見舞い。花は横浜に着いて買えばいい。なぜ両足を折ったかは聞いていない。いや、電話の向こうで男はなにやら武勇伝を話していたが、男が長話しているあいだ蜂子はアトウッドの本を読んでいた。オデュッセウスの妻ペネロペの話だ。男が静岡か名古屋あたりに住んでいたらいいのにと蜂子は考える。週末の深夜に黒い356で東名高速を飛ばす自分を考える。
急に混雑がひどくなり車列がほとんど動かなくなる。いっそのこと高速を降りようかと思うが大師を過ぎたばかりで次の浜川崎まで数キロある。いま空が燃え尽きようとしている。黒い鉄の肌に炎上する世界。


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