安価・お題で短編小説 ..
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17/11/03 13:16:26.13 G7PPtpuF.net
お題『飴』『罠』『わさび』
【美味しい飴ができました】

「飴を作りました」
 食べてください、と私は幼馴染みの育人さんに飴を差し出しました。
 育人さんは可愛らしい顔で怪訝そうにお皿を眺めます。
「これ普通の飴なの? まひるちゃんの事だから、変なもの入ってるよね?」
「育人さんが普段私をどういう目で見ているかは、あえて触れないでいてあげます。さあ食べてください」
「だってまひるちゃんなら、餃子味とかわさび味とか、あとコーヒーの豆味とか。とにかく変な味にするだろうし」
「ふれないでいてあげます」
 私はピシャリと言いました。
「味を訊かないことには食べられないよ」
「安心してください。ごく普通の砂糖味です」
「……わかったもらうよ。ありがとう」
 育人さんが飴玉を一つ取ります。
 疑い深く飴玉を見る姿がたまらなく可愛らしいです。
「―うん、甘いね」
「それは良かったです。差し上げますので、大事に食べてください。では、こちらもどうです?」
 私は隠していた新しい飴を取り出しました。
 薄緑の飴玉が九つ、深緑の飴玉が一つあります。
「この十個には、わさびが入っているものがあります」
「やっぱりあるんじゃないか。わさび味」
「月並みなアイディアで恐縮なのですが」
「謝るとこ間違ってると思うなあ」
 育人さんがため息を吐きました。
「せっかく作ったんですから、普通に作ったら面白くないでしょう? 軽く火傷などしつつ、ここまで作れるようになるまで一ヶ月ですよ、一ヶ月。何か面白味がないとやってられません」
「それは……そうかもしれないけどさ」
「では楽しみながら、交互に一個ずつ食べましょう。大丈夫です。味は保証します」
 試食はちゃんと済んでいますから。
「それでは私から。この深緑のものを……」
「ちょっと待って。なんでまひるちゃんからなんだい?」
「当然です。だって私が作ったんですよ? 先攻権くらい、与えられてしかるべきでしょう」
「でも絶対にどれがハズレかわかってるよね? 僕が先攻じゃないと勝ち目ないよ」
「……いいでしょう。そこまで言うのなら先行を譲ります」
 私はさあどうぞ、とお皿を育人さんに渡しました。
「……この深緑の飴がわさび入りに見えるけど、まひるちゃんだからなあ」
「育人さんは私をなんだと思ってるんです?」
「薄い方に仕込むとか普通にやりそうだけど、違った?」
「―さあ、始めましょう。どうぞ早く食べてください。美味しいですよ」
 ……さて。ここまではほとんど私の思惑通りに事が進んでます。
 先攻権を取られたのは少し心配ですが、まあ大丈夫でしょう。


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