安価・お題で短編小説を書こう! at BOOKALL
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300:この名無しがすごい!
17/10/29 23:24:21.75 vYCGizFq.net
やり方は同じでいいと思うけど、お題1個からだともっと作品が増えるのでは
逆にモチベーションが下がっちゃうのかな?

301:進行
17/10/29 23:30:08.98 p8OseGvl.net
なるほど、最低2個って制限を取っ払おうってぇかい
確かに1テーマに絞った質の高い作品も出てくるかも
特に縛る理由もないし撤廃しますか

302:この名無しがすごい!
17/10/29 23:34:35.76 vYCGizFq.net
提案してるから当たり前だけど、自分は賛成
ここの人はチャレンジャーんじゃ人も多いから1個ばっかりってこともないだろうし作品が増えるのはいいこと
心配になるのは進行さんの負担くらい

303:この名無しがすごい!
17/10/29 23:35:28.47 vYCGizFq.net
チャレンジャーんじゃ人→×
チャレンジャーな人→◯

304:この名無しがすごい!
17/10/29 23:36:14.74 ro9oPzbQ.net
【いいえ、違います】
使用お題→『ゲーム』、『全否定』
URLリンク(kasasagi.hinaproject.com)
時間ギリギリで投稿お願いしますー。
全否定成分ちょっと弱い感ありますけど……

305:進行
17/10/29 23:55:34.52 p8OseGvl.net
>>304
お、またまた甘酸っぱい青春ものだ
ウソ発見器ネタは定番だね
脳みその弱い進行は質問→いいえ→光る→あれ?これは嘘なのか?と脳内変換に時間がかかってしまった…
そして腕輪が2つあるのに終盤まで気付かなかった…交互につけてるものだとばかり

306:進行
17/10/30 00:00:35.53 /dfY6fjb.net
お題『長靴下のピッピ』『きのこ』『ゲーム』『全否定』『60億(単位は自由)』〆
作品一覧(1/2)
>>229【とある配管工と亀野郎のイケナイお話】
>>232【悪魔の神の証明】
>>234【変わるもの、変わらないもの】
>>247【今から私とゲームを始めましょう】
>>254【Twilight the daystar】

307:進行
17/10/30 00:00:57.21 /dfY6fjb.net
作品一覧(2/2)
>>267【見捨てられた者たち】
>>275【智恵ちゃんと僕】
>>278【魔王必読! 勇者が男の場合、絶対やってはいけないこと】
>>288【今から私とゲームを始めましょう】(改稿)
>>304【いいえ、違います】

308:進行
17/10/30 00:01:54.93 /dfY6fjb.net
次のお題『>>310‐314』

309:この名無しがすごい!
17/10/30 00:03:01.19 rsno1Chv.net
みんな面白かったです

310:この名無しがすごい!
17/10/30 00:04:27.26 KY6JSe/4.net
>>294
>>296
実は、智恵については最初と性格を変えています
ツンデレを意識したと言うより、自分が書きやすいキャラクターで書いた結果、ああなりました
>>304
もう、付き合っちゃいなよと、言った感じですね
全否定したいけどできないと言った感じがします

311:この名無しがすごい!
17/10/30 00:06:15.50 GZeOnpt/.net
お題書いていいのかな?
『ああああ』でドウゾ

312:この名無しがすごい!
17/10/30 00:06:44.31 rsno1Chv.net
『自動販売機』
安価は一個ずれる形でいいよね

313:この名無しがすごい!
17/10/30 00:07:00.63 Sh8XDOaq.net
殺人事件

314:この名無しがすごい!
17/10/30 00:14:17.65 RJZMlnOE.net
書き出し→「親父が失踪した」

315:この名無しがすごい!
17/10/30 00:25:24.58 GZeOnpt/.net
>>310はまたアンカで再募集する?
それともまさかの発想の逆転、310の感想の中からお題を引っこ抜いて無理やり仕立て上げちゃう?

316:この名無しがすごい!
17/10/30 00:26:42.10 KY6JSe/4.net
変なタイミングで踏んでしまいました
代わりにお題を
「ヒーロー」

317:進行
17/10/30 00:27:44.99 /dfY6fjb.net
安価下で進めますよ!

318:この名無しがすごい!
17/10/30 00:27:47.90 nOULZH21.net
>>310>>311は再安価でいいのでは ああああってちょっと意味わかんない

319:進行
17/10/30 00:27:57.53 /dfY6fjb.net
お題『ああああ』『自動販売機』『殺人事件』『書き出し→「親父が失踪した」』『ヒーロー』
・1行目に【】でタイトルを付けてください。決めてなければ【無題】でも可。
・作品は2000文字以内で。レスが2つに別れる場合は分かりやすいよう番号を振ってください。
・どのテーマを選んだのかも明記してください。
・なろうに投稿してリンクを貼るのも可。必ずタグに『お題スレ投稿作品』を入れ、【タイトル】とURLを書き込んでください。
締め切りは11月2日 0時です!

320:この名無しがすごい!
17/10/30 00:29:42.43 GZeOnpt/.net
>>318
長靴下のピッピは良くてああああはダメなのか!?
使えなくはないからいいじゃないかよー。ドラクエのテンプレ勇者の名前とか、叫び声とか、センター試験の選択肢が「ああああ」になってなんか間違ってる気がするとか、やりようはいくらでもあるんだし・・・

321:この名無しがすごい!
17/10/30 00:30:55.79 nOULZH21.net
>>320
なるほど いやすまんかった
そう言われてみるとピッピより使いやすそうw

322:この名無しがすごい!
17/10/30 00:33:57.03 GZeOnpt/.net
>>319
進行さんいつもお疲れ様です。ありがとね。そして今回も面倒そうなお題が並んだなぁ・・・
あと今回投票はしないでいいんだっけ? 個人的には275さんと304さんのどっちに入れようかめっちゃ悩んでたから無いなら無いでいいけど・・・
>>320
謝らんでええで。確かに遊びすぎと言われると遊びすぎなお題だったし、再否定されたらぐぅの音も出なかったし・・・
でもピッピよりは使いやすいよね、絶対w

323:進行
17/10/30 00:38:43.52 /dfY6fjb.net
ああああはまだ使いようがあるからそのまま進めるよ
投票はすまない、ちょっとしんどいしナンバーワンを決めてしまうのはあれかなと思うので切らせてもらうよ
票の代わりに一個でも多く感想を送ってあげてほしいな

324:この名無しがすごい!
17/10/30 00:44:19.76 RJZMlnOE.net
なるだけ進行氏の負担ないようにやるのが前提よw

325:この名無しがすごい!
17/10/30 00:55:08.64 RJZMlnOE.net
刻限ギリギリで駆け込んだ力作に感想!
>>304
使用お題2つ!
ほほう、全体通してお題を使用する事でキーワードがいきなり出て来るワロタ感を打ち消したんだねー何というテクニシャン、何という戦術か!
これはもうテクニシャン軍師と呼ぶしかないw
戦術の発想は>>288氏由来か!?
えっリップグロスまで贈ってるのにイチャつき照れる二人とは一体!?
距離感に一抹の謎w

326:この名無しがすごい!
17/10/30 00:59:59.14 CVxeCmQi.net
>>305
ありがとうございます。
2000文字縛りって、どこの描写削っていいか悩むのでわりと難しいですね
良い勉強になりました
>>310
周囲からはカップルだと思われてる男女の親友って素晴らしいと個人的に思います

327:この名無しがすごい!
17/10/30 01:08:20.95 CVxeCmQi.net
>>325
ありがとうございます
記念日の度にプレゼントしあってて、放課後はいつも二人で遊んでいる……
もうカップルなのに、本当に何してるんでしょうこの二人

328:この名無しがすごい!
17/10/30 07:55:56.76 /ynHrrnX.net
1/2
使用お題『ああああ』『自動販売機』『殺人事件』
※ホラー風味、グロ風味描写あり 注意

【異常者】
「ああああ」「ああああ」「ああああ」「ああああ」
 オレはその女たちを見た瞬間、ヤバイと確信した。
 いや、真夜中に自動販売機にへばり付く女たちを見れば、誰もが思うだろう。
 ヤバイ場面に遭遇したと。
「ああああ」「ああああ」「ああああ」「ああああ」
 足早に駆け抜けよう。大して広くもない一本道。オレの家までは走れば五分もかからない。それが一番の方法なはずだ。
 こんなことなら、ちょっと腹が減ったくらいでコンビニなんて行くんじゃなかった。
 だが後悔しても遅いのはわかってる。
 ゆっくり、まずはゆっくりと近付いて、ある程度近付いたら、全力で走ろう。
「ああああ」「ああああ」「ああああ」「ああああ」
 なんなんだ。さっきからこの声はなんなんだ。
 女たちが言っているのはわかるが、何を言ってるんだ。
 いや、考えるな。何も考えず無心で歩いて、もうちょっと歩いたら全力で走るんだ。
 あと八歩、いや五歩進んだら全力で走るんだ。
「ああああ」「ああああ」「ああああ」「ああああ」
 あと四歩。
 女たちの髪は長いが、乱れきっている。手入れしていないのが丸わかりだ。
「ああああ」「ああああ」「ああああ」「ああああ」
 あと三歩。
 服装はまちまち、だけど四人とも薄汚れている。靴もなく裸足だ。
「ああああ」「ああああ」「ああああ」「ああああ」
 あと二歩。
 ……顔は見えないが、泣いてるのか?
 もう喉が枯れているのか、随分と低く聞こえる。
 あれ……そういえばこの自販機って。
「事件があった場所」
「――」「――」「――」「――」
 声が止まった。オレはヤバイと確信した。あと何歩なんて言ってられない。本気で足に力を込めた。
 走り出す。後ろから、裸足で走るときの独特の音が聞こえてきた気がした。
 振り向いてなんていられない。全力で走る。
 ―あの自販機で、高校生の男が見つかったのは半年前の事だ。
 体はバラバラにされ、あるいは挽肉のようにグチャグチャに潰され、細かくなった肉片は受け取り口に全て詰め込まれていた。
 どれだけ悪趣味なのか、目玉はくり抜かれ、釣り銭口に入れられてたそうだ。 
 確か、あの子どもには母親と三人の姉がいたってニュースで―
「ぁぁぁああああああ!! ああああぁぁぁあああああ!!」

329:この名無しがすごい!
17/10/30 07:56:50.86 /ynHrrnX.net
2/2
 心臓が痛い。息が切れる。だが止まることはできない。
 大丈夫、女の足だ。オレの家まではもう少し。このまま逃げ切れる―
 油断したわけじゃない。誓って油断したわけじゃない。
 だけど、そう思った直後、オレは肩を掴まれて地面に引きずり倒された。
「ぁぁああああ! た、助けてくれ!!」
 喚くように叫んだ。周りに人はいないが、叫ぶしかない。
 そうだ。オレは死んだ男と同い年だ。必死に謝って助けを求めたら、この人たちも危害を加える気がなくなるんじゃないだろうか。
「ごめん、ごめんなさい! 悪気はなかったんです、助けてください!!」
「ああああああああああああ」
 聞こえてきた声は、思ったよりも野太かった。
 オレは目を見開く。血走った目、口を押さえてくる力、かすかに聞こえる喘鳴音。
 女じゃない、男だ。
 太ももに激痛が走る。
 何をされたのかわからない。わかりたくもない。
 朦朧としてきた意識のどこかで、オレはある事を思い出していた。
 ―そうだ。
 あの事件の犯人は、まだ捕まっていなかったんだ―――

330:進行
17/10/30 09:59:34.17 xHXrVTmh.net
>>328
初のホラー作品!
ああああ連呼による不気味さが良いですね、声が止まるところでこっちまで恐ろしくなります
女じゃなく男に見間違えたっていうのは一体…?四人のうち一人だけ男でそれが真犯人だったってことでしょうか
「主人公が何かに気付くエンド」はもう少し読者に結末がハッキリスッキリ伝わってほしいな、と思いました

331:この名無しがすごい!
17/10/30 12:57:53.67 WUedDG8P.net
>>328
じわじわと迫る精神的恐怖は、ジャパンホラーの醍醐味だと思います

332:この名無しがすごい!
17/10/30 14:02:59.28 CVxeCmQi.net
【俺は殺してない】
使用お題→ 「殺人事件」「書き出し→「親父が失踪した」」
 
 親父が失踪した。
 嫌なところばかりの親父だった。酒を飲んでは暴れて母さんに怪我をさせるし、お酌をしなければ俺や妹を怒鳴りつける。
 ギャンブルが好きでよくパチンコに行っては、煙草臭くなった上着と引き換えに金をすってくる。
 家が貧乏なのはあいつのせいだ。
 親父が消えて、一番喜んでいたのは母さんだろう。
 だが、皆が喜びそれで家の中も多少明るくなっていた。

 親父は失踪した。そのはずだ。
 だが、警察は殺人事件の線で捜査を進めているらしい。
 おかしな話だ。玄関先に残っていた血痕だけで、親父が殺されたなどと思い込むなんて。
 あの親父が、それだけで死ぬわけがない。ただ頭に煉瓦で一撃を食らっただけで、死ぬわけがない。

 なんでも血痕が発見されたあと、公園の茂みから親父の腕が見つかったのもその思い込みの原因らしい。
 懐かしい。あの公園で小さいときにキャッチボールをした記憶がある。まだ優しかった親父。俺の頭を撫でる大きな手が、とても温かかったのを覚えている。
 それはともかく、それが親父の死と関係があるはずがない。
 俺は知っている。腕を切ったくらいじゃ、人は死なない。切り口を焼いて止血すればそれなりに持つし、野犬でもそれは実証済みだ。
 焼くときの痛みだって、親父なら耐えられた。あの、無駄に根性のある親父なら。
 その後、河川敷から両足が見つかったのだってそうだ。
 昔、俺と親父が自転車の練習をしてた道の脇に、その足は落ちていたらしい。
 ノコギリで落とされたその切り口は消毒されていたんだし、感染症対策も大丈夫だろう。
 親父が死ぬわけがない。『小さい擦り傷など、唾をつけておけば治る』と豪語していたあの親父が、死ぬわけがない。

 警察は、今日も親父の事件で話を聞きに来ていた。
 だが、何度聞かれても答えは変わらないだろう。
 母さんはなにも知らないし、妹だって同じだ。親父は突然失踪した。それだけだ。
『人が一人死んでいる』
 情報が欲しい警察官は、どこか他人事のような俺たち家族に、そう真摯に訴える。
 だから、その前提がおかしいのだ。親父は死んでいない。これは殺人じゃない、失踪しているだけだ。

 母さんも妹も、親父が死んだと思っているらしい。
 まあ、彼女らがそう思いたいのなら好きにすればいい。
 だが、俺にはそうは思えない。
 昔、皆で行った海水浴場の近くのレンタルロッカー。
 そのドアを開ければ、まだ親父には俺を睨む元気が残っているのだから。

333:この名無しがすごい!
17/10/30 14:56:30.27 xycs9P/A.net
サイコホラーですね。
平淡な狂気が怖さを引き立てていると思います

334:進行
17/10/30 15:20:43.65 xHXrVTmh.net
>>332
今回のお題はホラーが作りやすいみたいだ
親父は失踪しただけだと信じる主人公がじつは犯人というサイコ感がよく出てる
読み進めるごとに主人公に対する疑惑が深まっていって、最後の一行で確定する作りはとても良い!
…のだけれど、タイトルで若干ネタバレしてるのが残念。主人公は失踪を信じてる体なんだから、俺は殺してないってタイトルは致命的なような

335:この名無しがすごい!
17/10/30 16:11:56.62 pnjwEWrV.net
ホラーが多いと聞いたなら、ホラーじゃないのを書くのが自分流!
>>319
使用したお題『ああああ』『殺人事件』『書き出し→「親父が失踪した」』『ヒーロー』
【正義のヒーロー殺人事件】
 親父が失踪した、最初はその一言だった。
 しかし状況は一変する。親父が居ない期間が長期化し、失踪したのではなく殺されたかもしれない、という可能性に皆が気付いた瞬間、私たちグループの間に亀裂が走った。
 私たち、愛と正義のヒーロー戦隊の中で疑惑の視線が横行する。
「親父の失踪が一か月を過ぎようとしている。これは一大事だ。私たちの変身スーツや巨大ロボの管理は全て親父任せだったし、敵の襲撃が増えれば増えるほどこちらの武装の劣化が進んでしまう。すでに巨大ロボの右腕が破損して動かなくなっている」
 リーダーである俺が深刻な顔でヒーロー組織内部の不備を論う。
 親父こと博士はヒーロー戦隊に必要な全ての物資の管理を行っていた。彼が居なくなることでここまで問題が多発するとは考えてなかった。
 腕を組み今後の組織運営について考える俺に対し、震える声で食ってかかる奴がいた。
「た、確かにそれも問題だけど、お、親父さんのことを心配しようよ! もう一カ月だよ!? て、敵に捕まっちゃったのかもしれないし、も、もしかしたらこ、殺され……」
 もともと気弱なブルーが、変身もしていないのに顔を真っ青にした。確かに親父さんは俺たちにとっては恩人に等しい、できれば無事でいてほしいと思う。
 でもだからこそ疑問が残る。ただその疑問をこの場で言っては不味いので、俺は何も言わない。その言わないでおいた疑問を賢しげな顔で口に出す軽率な者もいた。
「ここはヒーローの秘密基地だ。無論敵側にこの場所がバレてはいない。親父さんは身の安全を考えてか知らないが、基地から出ることは全くない。つまり、親父さんがいなくなったのは敵の誘拐ではない、な」
 俺は言わないでおいた疑問を言ってしまったブラックに、彼以上にドス黒い感情を持った。彼はきっと格好つけたいがために自分の気付いた事を率先して発言しただけなのだろうが、その後に何が起こるかを考えていない。
 そして当然のように悪いことが起こる。唯一女性である彼女の甲高い悲鳴が響いた。

336:この名無しがすごい!
17/10/30 16:13:21.55 pnjwEWrV.net
「そ、それって、この中に裏切り者がいるかもしれないって、こと……?」
 ピンクの顔は桃色に紅潮していた。こんなとき普通ならブルーのように顔を青くすると思うのだが、なぜか彼女はドヤ顔のブラックとそれを睨みつける俺を交互に目をやりながら、何か嬉しそうにしている。
 台詞は怯える被害者のそれだが、表情と全くあっていない。いつものことだが謎だ。
 彼女の台詞を皮きりに動揺する皆の中、一人最も気の小さい奴が勢いよく席を立った。
「こ、この中に親父さん殺しがいるかもしれないってことか!? だったらこんなとこにいつまでもいられるか! 家に帰らせてもらう!!」
 グリーンがそのままネズミが逃げるように部屋を飛び出していこうとした。彼の心情は察するが、その台詞と行動は完全に死亡フラグだ。安全(グリーン)じゃない。
 この五人の中に親父さんを亡き者に、少なくともどこかに監禁した者がこの中にいるかもしれない。互いに信頼し合った仲間であるはずなのに、その絆は簡単に割れてしまった。
 俺が悲しい気持ちを抑えて皆の動揺を静めているうち、いきなりサイレンが鳴り響いた。
「こんなときに敵の襲撃が!? しかし行くしかない! 皆、出撃だ!!」
「だ、だけどこの中に裏切り者がいるかもしれないじゃないか! ぼ、僕は行きたくない!」
「気持ちはわかる、だが堪えてくれ! 我々が行かないと街の皆が酷い目に遭うかもしれないんだ! 世界の平和のために、頼む!」
「……わかった、レッドを信じるよ」
 俺はその一言でとても嬉しい気持ちになった。割れたと思った絆だったが、意外としぶといようだ。みんなの覚悟を決めた表情を見て、俺は強く頷く。
 そしてみんなでポーズをとり、一斉に変身した!
「へんしん!! 皆殺しのレッド!」
「へんしん!! 毒薬博士ブルー!」
「へんしん!! 猟奇殺人ブラック!」
「へんしん!! 保険金殺人ピンク!」
「へんしん!! 一日一殺グリーン!」
「暗殺戦隊コロスンジャー! 出撃します!!」
 何度も練習した変身ポーズを皆でとり、さっそうと走りだした。街の平和を守るため命がけで戦う5人の雄姿がそこにあった。

 ちなみに親父こと博士は自分用の秘密の部屋でひっそりと首を吊って死んでいた。
 死因は過労によるストレスだった。やはりヒーロー戦隊の各種武装や設備を一人で切り盛りするのは無理があったらしい。

337:この名無しがすごい!
17/10/30 16:51:47.48 xycs9P/A.net
使用お題:【ああああ】【自動販売機】【殺人事件】【書き出し→「親父が失踪した」】【ヒーロー】
【探し屋右京】(1/2)

 親父が失踪したのは、つい一週間前の事だった。
 たった一枚の置き手紙を残し、忽然と消息を断ったのだ。
『彰へ
謝りたいと言ったら怒るだろうな
あまり良い父親ではなかった自覚はある
後の事は頼んだ。母さんによろしく』
「何が、頼んだだよ。勝手すぎんだろ……」
 元プロ野球選手だった親父は、肩の故障で引退を余儀なくこそされたが、連続無失点記録を打ち立てる等もした、球界のヒーローだった。
 けどその反面、私生活では、その俺様な気質のせいで、母を何度も泣かせる様な男でもあった。
 
 そんな男の失踪。
 特に周囲とのトラブルがあった訳じゃなく、本当に突然、行方をくらませた。
 書き置きが有った事もあり、警察は殺人事件などの事件性はないものとして、行方不明者として受理した。
「自ら姿を消した場合、見つかる事はほぼありませんよ」
 担当した警察官はそう言ったが、家で気落ちしている母を見ると、とてもじゃないが、そんな事を伝える気にはならなかった。

338:この名無しがすごい!
17/10/30 16:53:48.83 xycs9P/A.net
【探し屋右京】(2/2)

「それで自分の所へ来た……と」
 彰から渡された缶コーヒーに口を付けた事を後悔しながら、右京はそう言った。
「ああ、協力してくれ」
「こんな人気の無い自販機まで連れてきたのは、そう言う魂胆だったんてすか」
 マンションの間にある、型の古い自動販売機は、昼間でも薄暗く、人も滅多に来ない。
 その為、あまり他人に聞かせたくない話をするにはもってこいの場所だった。
「お前、失せ物探しとか得意だっただろ? 同じ感じで探してくれ」
「同じ感じでって……」
(確実に、この親にしてこの子ありだよねぇ)
 そう愚痴をこぼしながら、どうしたものかと右京は考えた。
 何にしろ情報が少なすぎるのだ。
「突然、姿をくらましたって事ですけど、持ち物とかってのは、分かりますかね?」
「持ち物なぁ。財布くらいじゃねぇかなぁ」
 顎に手を当てて彰がそう言う。
(家から持ち出した様な物はないか、気がつかないって事か……)
「……その、書き置きって、なんて書いてありました?」
「ん? おお、メモがしてある……えっと、これだこれだ!」
「その程度の気は回るんですね……」
「うん?」
「いや、何でも……」
 彰から渡されたメモ書きに右京が目を通した。
「……書き置きは、この通りに書いてあったんですね?」
「ああ、そのまんま書き写した」
「ふうん……」
 目を細め、じっとメモを眺める右京。
 その横顔に異様な迫力を感じた彰は、思わずごくりと唾を飲み込んだ。
「彰さん……」
「な、何だ? なにか分かったのか!?」
「これ! 縦書きで『ああああ』って読めますよ!!」
「だからどうした!!」
 何かが殴られた様な、大きな音が響き渡ったと言う。

339:この名無しがすごい!
17/10/30 17:10:38.85 xycs9P/A.net
>>335
ツッコミ所が多過ぎて渋滞を起こしてますがw
個人的には博士の自殺動機でクスリとしました

340:進行
17/10/30 17:19:40.87 xHXrVTmh.net
>>335
ヒーローのカラーリングに合わせた描写ネタが秀逸!
そして物騒な口上にクスリとさせられる
5人からブラックを抜いてイエローあたりを足して、とんでもねぇブラック企業でしたってオチでも良かったかも?
戦隊もののブラックって時に敵として登場する孤高のライバルポジションな印象があるなぁ

341:進行
17/10/30 17:25:08.11 xHXrVTmh.net
>>337
そういう手で来たか!
深刻な事件から考えさせられるオチを期待してたら、ああああを仕込むためだけの物語だったとは
優秀なふいんきを醸しておいてポンコツな右京、そういうのとても良いと思います

342:この名無しがすごい!
17/10/30 18:23:36.56 xycs9P/A.net
>>341
今回はもう、このオチありきで構成しました
なるべく『ああああ』が不自然に成らないようにと文章を考えたのですが、上手く行ったのなら幸いです

343:この名無しがすごい!
17/10/30 19:28:03.21 pnjwEWrV.net
>>319
使用したお題『ああああ』『殺人事件』『ヒーロー』
【契約不履行】
「今日のテストちょー最悪! それに絶対変だった!」
 私はカバンをベッドへ放り投げながら叫んだ。いろいろ意味がわからない。納得もできない。
 まずなぜ自分だけ追試を受けねばならないのかということだ。確かに私の成績はそれほどよくない。が、わざわざ平日の放課後に居残りさせられるほどではない。もっと頭の悪い奴もたくさんいる。
 それにおかしいことはそれ一つじゃない。私は諸悪の原因を放り出したカバンから摘まみだして愚痴った。
「しかも何よこれ、選択肢が変でしょどう考えても」
 集中してテストを解こうとしているときですらそのおかしさに戸惑わされた。今見直してみるとなおのことおかしいことに気付く。
 まず選択肢がおかしい。普通日本語で選択肢があるのなら「あ、い、う」とか「い、ろ、は」だろう。英語だったら「A、B、C」というのは鉄板だ。だというのにこのテストは、なぜかその選択肢がものすごくランダムだった。
 具体的に言うと、1問目の選択肢は「あ、い、う」なのだが、2問目は「あ、か、さ」となり、3問目には「あ、た、ま」となっている。
 最後の8問目にいたっては「い、る、か」だった。ふざけているとしか思えない。私はこれ以上ないほど顔を顰めながら呟いた。
「あのクソ赤田、ホント狂ってるんじゃないの?」
 前々からなんか妙に絡んできて嫌な奴だと思っていたけど、今日にいたっては確信した。担任の赤田は絶対おかしい。
 だいたい今日の追試もそうだ。人が嫌々テストを受けてるっていうのに妙に笑顔だし、テストの答え合わせをしたらものすごくがっかりした表情をしていた。
 教育熱心で私の成績に一喜一憂しているのだろうか? そういう教師には思えないんだけどなぁ……。
「まあいいや、一応答えを確認しようかな」
 私は気を取り直してテストの見直しを始めた。別に真面目というわけではなく、一年前の高校受験のとき嫌というほどテスト直しをさせられ、今では間違った答案を残しておくとなんか気持ち悪いのだ。赤田のことは忘れてテスト直しを始める。
 赤田に答えを教えてもらっていたので、それを参考にしながらテストの問題を解き直す。ぶつぶつ呟きながらペンを動かす。
「ええと、私の間違った選択肢が『ああああいすみる』で50点と、間違いは2,3,6,7問目……」
 テストの緊張がなくなったからか、答えがわかっているからか、はたまた選択肢が突飛だったことの動揺がないからか、とにかく解き直しは順調に進んだ。どれも基本問題とほんのちょっとした応用問題だった。
 ペットボトルのジュースを飲みながら教科書片手にすぐに終わらし、見直しをする。うん、今度は選択肢も全部正解と同じなった。
「2問目が『か』で、3が『た』、6が『し』の7が『て』ね。うん間違いない……あれ?」

344:この名無しがすごい!
17/10/30 19:29:45.99 pnjwEWrV.net
 私は追試テストの上の部分を見た。そこに文字が浮かび上がっている。なんで? と思ってよくよく見てみると、どうやらペットボトルから垂れた水滴がそこに垂れて文字になっているらしい。
 私はそれを怪訝な顔で眺めた。
「左が結、女で、右に約、書? なにこれ、あぶり出し?」
 火で文字が浮き上がってくるあれに似ていたので、思わず私はそう呟いた。水で文字が浮かび上がるなんてものあるんだろうか、仮にあったとしても、これは何の単語だ?
 ジュースの中身はまだ残っていたので、それを使って他の文字を浮かび上がらせる。左右の間に一文字と半分開いていた隙間に文字が埋まる。
 出来上がった単語を見た瞬間、全身に鳥肌が立った。
「あおいー? 今担任の赤田先生が来たんだけどー、なんか大事な用事があるっていらっしゃってるわよー? 降りてきなさいー」
 私はものすごい勢いで部屋のドアへと振り向く。私だけが気付いている異常事態に、お母さんは気付いていない。
 赤田はただおかしいだけじゃない。ヤバイ。そのことをこのテストの回答と隠し文字で確信したからだ。テストに間違いがあったとき、なぜ赤田がものすごくがっかりしたのか今更になって理由がわかった。気持ち悪い。そしてマズイ。
 私は急いで自室を出て、階段下にいるはずの母親に叫んで警告した。
「お母さん、ダメ! そいつ追い払って! 絶対ヤバイやつだから! お願い!!」
「急に大声出してどうしたのよ? もう上がってリビングで待ってもらってるわ。何をそんなに慌て……あれ、先生? どうかなさいましたか?」
「ダメ! お母さん逃げて!」
 背後から近づいてきた赤田が何を手に持っているかお母さんは気付いていない。私は叫んだが、どうやら手遅れだったようだ。
 次は私の番かもしれない。そう思うと怖くて腰が抜けてしまい逃げることもできなくなった。誰か助けて、お父さん早く帰ってきて、と心の中でこの場を解決してくれるヒーローの登場を切に願った。


<わかんなかった人用の解説を一応>
テストの答えは上から順に「あ、か、た、あ、い、し、て、る」になります。あとはまあ何とか察してください

345:この名無しがすごい!
17/10/30 20:46:14.35 xycs9P/A.net
ミザリーばりのサイコホラーですね
これで本人が純愛とか思っていたら、もう、救いようがないと思いました

346:この名無しがすごい!
17/10/30 21:14:16.33 +730HXeB.net
>>330
ホラーって、怖かったけど結局どういうことだったんだ。みたいになるのが多いイメージありました。
そのイメージで突っ走った結果、最低限の説明も足りてなかったですね。反省。
ホラーは初めて書いてみたのですが、中々楽しかったので怖さと説明のバランス取りが上手くできるように注意します。
感想ありがとうございました

347:この名無しがすごい!
17/10/30 21:21:35.51 +730HXeB.net
>>337
5つチャレンジすごい
ラストの力技で笑います。
オチまでの落差が相当でいい前振りでした。

348:この名無しがすごい!
17/10/30 22:06:12.52 RJZMlnOE.net
感想だあ!
>>328
挑戦お題3つ!
きたー救い様の無いホラーがきてしまったぞ〜「ああああ」と文字が並ぶだけでなんか怖いねwそんな理不尽系統の恐怖が迫るー!
母親と三人の姉を登場させ、あーコレ間違った母性本能とかそんな切ない系ね?
と思わせてからの実は男!
何この誰も得しないギミックwほんと救いがねえよ〜
でもさ、そもそもこんな奇人集団が居る道は引き返すのが普通なのでは、ってのは言っちゃダメ?w
>>332
不穏なお題2つに挑戦だ!
おおーはっきりさせない、はっきり明言はさせないが主人公はこりゃ病的にイッっているーそれを間接的に伝える筆力高し!
語り手は親父を憎んでいるが、解体やった事は覚えていても殺した事までは認めない〜絶対に認めない〜頑固かw
しかし読者たる俺は思った!主人公はどこか自覚しない部分でゴクつぶしの親父が生きている事を願っているんじゃないの〜
本当は親父を殺したくなんかなかったんじゃないの〜と
不穏なお題を不気味に、しかしどこか悲しく使い切った名品だー

349:この名無しがすごい!
17/10/30 22:07:36.89 W1Nq4SV5.net
>>334
ありがとうございます。題名については他にも何かあったんだろうなと思うんですが、
タイトルでネタバレするのが好きなので、ついつい……

350:この名無しがすごい!
17/10/30 22:13:08.12 RJZMlnOE.net
>>335
挑戦お題4!チャレンジャーがきたぞー応援したくなってきたー
しかし早くもお題「殺人事件」をタイトルでゆるゆる消化!
なんて卑怯なチャレンジャーなんだコレ、もう応援しないw
肝心の戦隊構成は気弱ブルー、ドヤ顔ブラック、キ〇ガイピンク、気弱グリーン、あーかぶっとるかぶっとるw
どう見ても犯人コイツじゃねーのと思わせる挙動不審キ〇ガイピンクが場を完全に支配する〜
でも、え。博士の死因はスススストレスゥ!?それじゃ殺人事件じゃねーだろwというツッコミがオチだったーw
>>337
挑戦お題5!きたあ〜今回初のお題全クリチャレンジだ〜さあさあどうか
やはりだ〜きてしまった〜これは何度となく見た光景だ〜活かされない設定!球界のヒーローw
もうね、ひと気の無い自販機まで連れてくるって何すか、そのお題消化のために作った的な言い回しw
うん、努力を認める!やはり5つもキーワードをねじこむと難しいよねー
でも「ああああ」はどこで使うんだ?からのズッコケオチ!笑ったw
最後はお見事w

351:この名無しがすごい!
17/10/30 22:21:32.53 RJZMlnOE.net
>>343
挑戦お題は3つ!
新機軸、謎解き短編きたーしかも回答欄と隠し文字の二段階構成というスフィンクス型
隠し文字はーこれはーこれはー「結婚契約書」だな!?
しかし赤田の最後に持ってきたモノはわからんぞーこっちがむしろ気になるw
謎解きを盛り込むのに全力を使ったか、オチとお題活用が弱め〜
解説の優しさにサンクス

352:この名無しがすごい!
17/10/30 22:21:48.07 W1Nq4SV5.net
>>348
ありがとうございます。
大嫌いな人ってサクッと死んでほしくないですよねぇ。その人との良い思い出があれば尚更……

353:この名無しがすごい!
17/10/30 22:39:41.68 +730HXeB.net
>>348
最後の一文を見て真っ先にホラー映画のお約束という言葉が思い浮かびました。
なぜそこでその行動を取るんだ!? みたいな突っ込みを入れながら楽しむホラー映画。それもC級以下くらいのマイナーなやつが面白い。
思ったけど自分、ホラーは映画が好きすぎて文章のみの小説と切り離せてないみたいです。
感想ありがとうございました。

354:進行
17/10/30 23:22:00.18 /dfY6fjb.net
>>343
いるか、あたりで何となく予想はついてたけど…教師キンモー!(顔文字略)
家まで直接訪問するあたりで鳥肌ぞわぞわ
謎解きを組み込むのはいいね、じっくり考えてもよし、駆け足で結末まで進めるもよし。ここは短編ならではかな

355:この名無しがすごい!
17/10/31 06:19:52.95 cMB5tA8R.net
>>347
>>350
このオチの為だけに全てを用意したので、笑っていただけたなら幸いです
球界のヒーローは派手な表と、裏である私生活のギャップを狙って見たのですが……
後、わざわざ人気の無い自販機などはハードボイルド風を気取った感じですね

356:この名無しがすごい!
17/10/31 12:20:16.27 Mv7QzdAV.net
使用お題:『自動販売機』『書き出し→「親父が失踪した」』
【そして僕はまた通う】(1/2)

『親父が失踪したんだってさ』
 姉貴のそんな言葉を思い出していた。
「早川くん?」
「……優一って呼んでよ。幼馴染みなんだし」
「あ、うん」
 永瀬 忍に出会ったのは、姉貴のワガママでコンビニに肉まんを買いに行った帰り。夜の自動販売機の前だった。
 小さい頃からのご近所さんで、いわゆる幼馴染の間柄。
 今はクラスも違うし、同性でつるむ様になったせいで、あまり話しもしなくなっていたけど。
 晩秋に差し掛かった夜は、やはり冷える様で、忍は白い息を吐きながら自販機前で踞っていた。
「……」
「え? なに?」
 僕は無言でホットの紅茶を2つ買うと、その一本を彼女に差し出す。
「いや、いいよ……」
「もう買っちゃったんだから、勿体無いだろ? 今飲まないと冷めちゃうしさ」
「え、でも……」
 僕は無理やり彼女に握らせると、じっと目を見る。
 しばらくすると諦めた様で、「ありがと」と言って受け取った。
 忍の母親は派手な化粧の人で、見る度に違う男の人を連れている様な人だった。
 彼女の父親は、それに耐えられなくなったらしい。
「最近、どう?」
「?」
「あ、いや、勉強とかさ……」
「あーうん。まあまあ」
 忍がこんな夜にこんなところにいる理由は何となく分かる。母親のボーイフレンドが家に来ているのだろう。
 小さい頃は僕の家に遊びに来ていたんだけど、彼女が来なくなったのはいつからだったか。
「じゃ、行くから」
「うん、ありがと」
 手を振って別れる。
「手、冷たかったな……」
 冷えきっていた忍の手の感触を思い出し、僕は呟いた。

357:この名無しがすごい!
17/10/31 12:57:34.63 Mv7QzdAV.net
【そして僕はまた通う】(2/2)

「やあ」
「はやか……優一くん」
「うん」
「えっと、なんで?」
「姉貴の使いっぱしり」
 昨夜に引き続き自販機の前で忍と会う。僕はまた姉貴のお使い。決して自分から御用聞きとかしていない。
 袋の中から、肉まんと紅茶を取り出して忍の隣に座る。
 差し出されたそれらを見て少しだけ悩んだ様だけど、結局、彼女は2つとも受け取った。
「ありがと」
「ん」
 その晩から毎日の様に忍は自販機の前に居たし、僕は毎日姉貴の使いっぱしりをていた。
「今日は、居ないんだな……」
 いつもの自販機の前、いつも忍がうずくまっている場所を見ながら僕は呟く。
 たまにはそう言う事もあるかと、帰ろうとしたとき、荒い息使いに後ろをふりむいた。
「忍?」
 自分の胸に飛び込んできた彼女に面食らう。寒いのか忍は震えていた。
 僕は何も言えずに、ただされるがままに成っていた。
「ごめん、ありがと」
 しばらくして、忍は顔もあげずに、来た時と同じ様に走って行ってしまった。
 僕は頭が真っ白に成ったままで、何も言えずにただ棒立ちに成って居た。
「……」
 どこかで救急車のサイレンの音がしていた。

358:この名無しがすごい!
17/10/31 13:22:01.50 j3ZDv5GY.net
読ませる構成で上手いね
使用お題に殺人事件が入ってないのが唯一の希望

359:この名無しがすごい!
17/10/31 15:17:03.57 6WCNxcJ2.net
感想だ!
>>356
消化お題2で昼ドラの巧者が登場〜(昼だけに
何も語らない、故に雄弁、忍さん可哀想感がビシビシと伝わってくるーw
お題もしっかり活かしているぞ!そっか自販機は逃避先の象徴なんだね、ん〜確かにやるせない若者が蛾の様に集まるもんね〜(失礼!
しまいには救急車のサイレンをオチに持ってくるってか!何この盛り上げ方!?演歌!?ニクいよ!
やられたのは永瀬(愛人)なの?永瀬(母)なの!?通報した人間が居て忍さんが無事って事は愛人が刺された線?
一気に転回するドラマ!強まるヨシ主人公いっちょ走ろうか感!!エッーここで終わりって!?忍さん幸せにしたげて〜w

360:この名無しがすごい!
17/10/31 16:56:25.25 WuUKzFnH.net
>>356
え、これで終わりじゃないよね?
続きが気になるんですがー。なるんですがー。

361:進行
17/10/31 19:37:20.19 Dbo2BMws.net
>>356
他の感想にもあるとおり、続きが気になるパターン!
忍は間違いなく何かしたのだろうけど刺されたのは誰なのか!というか刺された前提になってる!
主人公がんばれ、追いかけて!

362:この名無しがすごい!
17/10/31 20:23:32.91 +LyVpub+.net
初っ端に救いなしのホラーを出しといてあれだけど、人死に系の作品が多いので賑やかし程度に安全なのを2作追加します
ほのぼのはネタが出なくて1つは連続でキャラ使いまわしちゃった。ごめんなさい

363:この名無しがすごい!
17/10/31 20:23:56.28 /CRm/r3N.net
……エラーが出て書き込めませんね
何故でしょう
【そして僕はまた通う】(蛇足)

 姉貴の使いっぱしりでコンビニに行った帰り、僕は自動販売機の前に来ていた。
 小さな町で起きた小さな事故は、だけどそれほど噂にもならずに消えていった。
 僕は自販機前に腰を下ろす。コンビニ袋の中から紅茶を2つ取り出して1つを地面に置くと、独りでそれを飲んだ。
 いつかの日より、よほど寒くなって来た夜の事だった。

364:1/3
17/10/31 20:23:58.40 +LyVpub+.net
使用お題:『殺人事件』『書き出し→「親父が失踪した」』『ヒーロー』
【俺は親父が嫌いだ】

「親父が失踪した」
「これで五度目だな。お前んとこの親父が失踪するの」
「ああ、勘弁してほしい」
 失踪した理由はわかっている。
 俺の親父にはヒーロー願望がある。何かすごい事をして、みんなにチヤホヤされたいと公言している。
 今回の失踪は、昨日見ていた探偵モノのアニメと刑事ドラマの影響だろう。
『ちょっと厄介な殺人事件の気配がする。見事に解決してくるから。すまねえが留守を頼む』
 朝起きたらこんな書き置きが残されていた。
 お袋も慣れたもので、一切慌てず会社に行った。せっかくだから飲んで帰ってくるそうだ。
 高校の帰り道、親友の良雄にもこうやって話してみたんだが、この通り大した興味も示さない。
 俺としては親父がまた変な事件を起こすのが恐いから、今すぐ帰ってきてほしいんだが。
 どうせ今回もあんまり遠くには行ってないだろうし……
「おい、あれお前の親父じゃね?」
「なに?」
 良雄が指をさした先を見る。電信柱の陰から、前方に歩いてる女をストーカーしている親父がそこにいた。
 なんていいタイミングだ。俺は全力疾走で電信柱に向った。
「なにやってんだよ親父!」
「なんだ武か。静かにしろ。今大事なところだ」
「何が大事なところだよ! 親父が捕まっちまうぞ!!」
 こんなところで女に気付かれたらそれこそ通報される。
 俺はできる限り小さな声で怒鳴った。
「何を勘違いしてるんだ。あの女、これから誰かを殺そうとしている。それを阻止するのが俺の役目だ」
「は……?」

 俺は絶句した。
「なんでそんなことわかったんスか?」
 ちゃんと俺の後をついてきたのか。良雄も空気を読んで小さな声で言った。
 そうだ。前にいる女に不自然な様子は見られない。スーツ姿の普通の格好だ。
 仕事でどこかに向っているか、少し早めの帰宅中にしか見えない。

365:2/3
17/10/31 20:25:04.15 +LyVpub+.net
「あの女はさっき包丁を買った。間違いなくこれから誰かを刺す気だ。ホームセンターを張っておいて正解だったぜ」
 俺はもう一度絶句した。
「……いや、包丁くらい買うんじゃないスかね。ホームセンターだし」
 良雄の言うとおりだ。何もおかしなところはない。
 たとえば一人暮らしの女なら料理もするだろうし、何かの事情で仕事帰りに包丁を買う事もあるだろう。
「馬鹿ヤロウ!!」
 だが親父にそんな常識は通用しない。大声で怒鳴りだした。俺らが気を使って小さな声で喋ってたのに。
「あの女の姿を見ろ。スーツだろ? こんな時間のスーツ姿の女は普通、包丁なんかに用はない―違う用途で使うなら別だがな」
 ニヒルに笑う親父を見て、俺は若干イラッとした。
「オマケに表情が暗い。フ、完璧な推理だ」
「いやあ、それだけで尾行していたら親父さんが刑務所行きじゃないッスかねえ」
 そのとおりだ。もっと言ってやれ良雄。
「馬鹿言うな、人の命がかかってるんだぞ―あっ! 見失ったじゃないか! クソ、お前らに構ってるヒマはない!」
「親父待てって―!」
 俺が止めるのを無視して親父は走って女を追っていきやがった。
「くそっ! 行くぞ良雄!」
「やめとく、俺帰るわ。俺まで警察になんか言われるの嫌だし」
「なに!?」
 お前それでも親友か!? と叫ぶのはとっさに抑えた。
 そんな言い合いをしてて親父に置いてかれたら大変だ。
「仕方ねえ! また明日な!」
「おう、またどうなったか連絡してくれ」
 挨拶もほどほどに俺は親父を追った。すでに親父は曲がり角を曲がっている。このまま見失うことだけは許されない。
 俺も角を曲がる。親父の背中が見えたが、すぐにまた別の角に入る。
 くそ、あんなでもいつも筋トレしてるからか、全然追いつけねえ。

366:3/3
17/10/31 20:25:35.68 +LyVpub+.net
 だが諦めるわけにはいかないと、必死に走る。しばらくして女の悲鳴が聞こえてきた。
 最悪だ。親父! 早まるな!!
 もはや限界が近かったが、俺は最後の力を振り絞って走り抜けた。
「親父―!! ……は?」
 最後の角を曲がったとき、俺は不思議な光景を見た。
 泣きわめく子どもたち、どこかに電話をしている先生らしき女。
 それに、包丁を持った女を取り押さえている俺の親父―
「どういうことだよこれ……」
 息が苦しい。状況がいまいち掴めねえ。
 いやでも、親父が押さえてる女はさっき追いかけてた奴じゃねえか。
 ってことはまさか……
「おう武! ついに俺はやったぞ!! これが俺の実力だ!!」
 まさか、本当に包丁を持って暴れたのか。それも、小学生を襲おうとして?
 ……すげえ、すげえよ親父。
 俺は親父があまり好きじゃなかった。いつも失踪して、正直、見下していたところもある。
 だが今は違う。さっきは腹が立った親父の笑顔も、すっげえ渋く見えるぜ……

 未然に事件を防いだことで、親父は警察に表彰された。
 お袋はやっぱり興味がなさそうだったけど、俺はこの日から親父を尊敬しようと決めた。
 親父は助けた子どもたちのヒーローに、そして俺の目指すヒーローになったんだ。
 これで、親父が失踪することもなくなるだろう。

 ―二週間後。
「親父がひきこもりになった」
「表彰されて満足したんだな」
「ああ、勘弁してほしい」

367:1/2
17/10/31 20:26:06.13 +LyVpub+.net
使用お題:『ああああ』『自動販売機』
【扇風機の多様化に関する考察】

「ああああー。ああああー」
「……育人さん何をしてるんです?」
 部屋に入った時、私は見てはいけないものを見た気がしました。
 そのまま回れ右で帰りたくなりましたが、事実は事実として受け止めなければいけません。簡潔に言いましょう。
 一人きりで、扇風機に向って『あー』と大きく口を開けている育人さんを見ました。
「やあ、まひるちゃん。見てのとおりだよ」
 いくら私が動揺していても、それが無条件で他人に伝わることはありません。
 育人さんはいつも通りの可愛らしい笑顔を私に向けてきました。
 ……状況を整理しましょう。
 私と育人さんは家族ぐるみで付き合いがあります。
 だから今日もおばさんに家へ上げてもらえました。それがわかっているから、こうして部屋のドアを開けても、育人さんが驚くわけはありません。
 ですが、この奇行を見られてもなお普通にしている訳はなんなのでしょうか。
 大体、私はノックをしました。『どうぞ』という声が聞こえたからドアを開けたんです。
 つまり、『どうぞ』から私がドアを開けるまでの間に、『あー』を始めたということですよね。
 ……ええと、つまりはどういうことですか。
 ……本人に聞く他ありませんね。
「どういうことですか?」
「? 扇風機に向ってああああーってしてたんだよ? もう扇風機も片付けるから最後にと思って」
 なるほど。意味がわかりません。
 ただ、一つわかった事があります。
 私が奇行と思っているこの『あー』とする行為、育人さんは何ら不思議に思っていないということです。
 正直なところ、何かの間違いと思って今日は帰りたいです。
 ですが、私は自販機で余分に出た当たりのジュースを持て余してしまったために、今日はここに来ました。
 来たばかりで帰るのもなんですし、せめてその用事くらいは済ませたいのですが……どうしたものでしょうか。
「まひるちゃんもやってみる?」
「え。私もですか」
「うん」
 育人さんは屈託のない笑顔です。その展開は予想していませんでした。
 ひどく喉が渇いた気がします。ちょうどジュースが二本ありますし、一本だけ飲んでしまいましょう。
「ふう。私に、その、『あー』というのをやれと。育人さんはそう言いましたか?」
 喉が潤って頭も冷えたことですし、もう一度確認します。人間、何かの間違いというのは往々にしてあるものです。
「うん。たまにやると面白いものだよ」
 今回に限って間違いはありませんでした。
「……わかりました」

368:2/2
17/10/31 20:26:21.12 +LyVpub+.net
 育人さんが扇風機の前を空けました。……相当に恥ずかしいのですが、覚悟を決めましょう。
 まさか、扇風機に話しかける日が来るとは夢にも思いませんでした。
「はい、どうぞ」
 今日一番の爽やかな笑顔で促されます。
 もう後には引けません。しかしこの行為にどういう意味があるのでしょう。
 私は扇風機の前に座り、風を避けるために目をつぶってから、少しだけ口を開けました。
「……あー…………」
 何も変化はありません。
 もうやめてもいいんでしょうか。
「ダメだよ。もっと口を開けて、大きな声で言わないと」
 今日はいつになく育人さんが強引です。
 仕方ありません。早くしないと扇風機の風で喉が痛くなりそうです。私は言われた通りに口を開けました。
「あ……『ああああー』……え?」
 なんだか声がダブって聞こえますね。
 ……だからどうしたと言うんですか。
「これ、わりと誰でも知ってるんだけど、まひるちゃんの家は羽根付きの扇風機ないし知らなかったかな?」
「はあ。別に知る必要も感じられないですね」
「そう言うと思ったよ。ああ、別に異常な行動ってわけじゃないからね。子どもとか楽しんでやったりするよ」
 育人さんが扇風機を片付けながら言います。
 私は不思議な気持ちでいっぱいです。今日は先手を取られた気分です。部屋に入った時から振り回されっぱなしじゃないですか、私。
「……では、どうして私にやらせようと思ったのですか?」
「チャンスだと思ったんだよ。……照れたまひるちゃんなんて、そうそう見れないからね」
 なるほど。私はようやく納得できました。
「さすが育人さんです。変なところで人格が折れ曲がっていますね」
 というか、照れさせるだけならもっと普通の方法がいくらでもあるでしょうに。
 例えば……いえ、やめておきましょう。
 変に想像をして、無駄に照れてしまったら、それこそ赤面ものです。
「あっ、と……ごめんなさい。くだらないことをシマシタ。もちろん誰にも言わないよ」
「もういいです。扇風機のせいで喉が渇きました。育人さんにあげるつもりだったこのジュース、私が飲むことにします。では私はこれで」
「あ―」
 私は口早にそう言って部屋から出ました。
 別に怒ったわけではないのですが、あのまま楽しく談笑する気分でもないので。
 ですが……帰り際、少し寂しそうな顔をしていましたね、育人さん。
 これくらいで落ち込むなんて困った人です。
「……仕方ありませんね」
 ここから一番近い自販機で、新しいジュースでも買うとしましょうか。

369:この名無しがすごい!
17/10/31 20:27:12.36 +LyVpub+.net
>>363
被っちゃってすみません。

370:この名無しがすごい!
17/10/31 20:36:30.71 /CRm/r3N.net
>>369
いえ、こちらこそ
全てはエラーが悪いのです
そのせいで途中が、Up出来ませんでしたし
と、言うわけで、何があったのかは藪の中です

371:この名無しがすごい!
17/10/31 20:53:37.82 /CRm/r3N.net
>>364
燃え尽き症候群でしょうか?
どうしようもない父親に苦笑が零れます
>>367
再びの育人さんとまひろちゃんですね
こう言う距離感が羨ましく感じます

372:この名無しがすごい!
17/10/31 21:12:55.97 +LyVpub+.net
>>356
切ないお話で悲しくなります。
こう、多くは語らないけどしっかり想像を掻き立ててくる書き方がすごいです。見習いたいですね。
最後の一文なんて特に。

>>371
多分、何ヶ月後かにはまた失踪してると思います。
こんな連続で同じキャラを出すつもりはなかったのですが、書けるキャラにこのお話を担当できる子がいなくて…すみません
余計なギミック無しで空気感を楽しめるような形が作れていたら嬉しいです

373:この名無しがすごい!
17/10/31 22:06:24.60 6WCNxcJ2.net
>>363
あーあ無慈悲な363氏によって忍さんが藪の中になってしまった〜
いつかの日より寒くなってきたとか言っちゃうんだ〜ひどいことをするなあ、なんたる無慈悲
でもね、そう見せて次の作品で予想を裏切ってくれる的なアレ的な伏線に決まってる
ここまで盛り上げた責任があるw
スレ民が363氏を信じているぞお〜

374:この名無しがすごい!
17/10/31 22:35:14.25 2QdzDSKf/
お題→『自動販売機』『殺人事件』『ヒーロー』
【私の、一風変わった初恋の話】
URLリンク(kasasagi.hinaproject.com)

375:この名無しがすごい!
17/10/31 22:21:16.01 6WCNxcJ2.net
>>364
さあ、お題3つ挑戦のコメディが来たー!
ヒーロー気取りの親父に誰も興味を示してねえ〜、惨めさに少しワロタw
親父のノリに一応合わせて小声で話しているのに速攻無視される主人公に中ぐらいワロタ、しかも親父筋トレしてて追いつけねえとか言ってて声上げてワロタw
成り切りヒーローが本物のヒーローになる!親父よかったねえ!と言いたくなる微感動とそれを振り切るオチも爽やかに決まって満足感〜w
徐々に大きくなるテンポのいい笑いあり、オチに意外性&満足感ありの堂々たる完成度w
ま〜あえて言えば殺人事件じゃないけどねっ、と公平さを重んじてツッコミを入れておきまっすw
>>367
待ってました〜挑戦お題2で件のカップルシリーズが再来だw
しかし描かれたのは扇風機で遊ぶ小学生知能の育人さんに冷え冷えとした大人のまひるさんwえっこの二人、前は逆のポジションじゃなかった?
かなり冷えてるけど大丈夫?長い付き合いこんなんで別れたりしないっすよね?うーん、さては作者367氏がシリーズへ寄せられる期待で気負ったなw
あどけない悪戯役を持ち合わせていたかつてのまひるさんがOLみたいな冷酷さを持ち過ぎじゃないすかねえ!いらないよ、その成長!
男が女性に感じるやり場のない腹立ちをここで見せつけられたwと思っていたらまひるさんの熟年夫婦といった感のフォローがオチw
自販機で買って帰るのはホットであって欲しい〜


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