安価・お題で短編小説 ..
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17/10/27 19:45:38.86 HXQ7b8Nh.net
使用お題:『長靴下のピッピ』『きのこ』『ゲーム』『全否定』『60億(単位は自由)』
【今から私とゲームを始めましょう】

「育人さん、私とゲームをしませんか?」
 私の言葉に、育人さんは可愛らしい顔を苦々しく歪めました。
 反面、私は期待通りの反応に頬が緩みます。
「いや、しないよ。だってまひるちゃん、性格悪いからね」
「いけない人ですね。三年も付き合っている彼女に対する言葉とは思えません」
「言ってもいいと思うけどなあ。事実だもの」
 そう言って育人さんはぷいっと顔を横に逸らしました。
「いくら事実といっても、真正面からそんなことを言うから、育人さんは女の子に酷い人と言われるんですよ?」
「いったい誰が言っているのかな? 初耳なんだけど」
「言えません。女の子同士の友情は固いんです」
 私が牛のクッションで口元を隠すと、育人さんは諦めたようにため息を吐きました。
「一度も勝てた試しがないからなあ。まひるちゃんは勝つためなら、容赦せずになんでもするし」
「一番になるためならどんな手でも使えと、母からの教えですから。そうですね……育人さんが勝ったら、私から景品を受け取るというのはいかがでしょう?」
「いらないものなんでしょ。どうせ」
 育人さんは私の性格が悪いと思っています。
 不信感いっぱいの目ですね。
 こういうところが可愛いと思うあたり、やはり私は性格が悪いのでしょうか。
 まあ些細なことですけどね。
「いらないものかどうかは、私が決めることではありません。これです」
 私は本棚から一冊の本を取り出しました。
「いいものではないかな。『長くつ下のピッピ』って……僕はこれでも十九歳、大学生だよ? 絵本を読む歳じゃないよ」
「いい本に年齢は関係ありません。名作ですよ? 私の愛読書です」
「一周回って面白いかもだけど……」
「石のように固い頭ですね。そこまで渋るのなら別の手があります」
「いくらか嫌な予感がするけれど、何?」
 私は姿勢を女の子座りから、正座に移し、育人さんの瞳を見つめます。
 濃い黒色で、とても素敵な目です。私が独り占めしてもいいのでしょうかと、時々不安になります。
 おっと、今は大事な話の最中でした。こんな事を考えている場合じゃありません。
 育人さん、そろそろ決着を付けさせてもらいますね。
「一度目の勝利にはやはり相応の特別を。育人さんが勝ったら、その、育人さんの……き、きのこを噛み千切ってあげます!」
「い、痛いだけだよねそれ。というか、きのこってまた随分とベタな隠語を……」


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