安価・お題で短編小説 ..
160:この名無しがすごい!
17/10/25 07:59:37.87 LUEzKfQ+.net
【君と笑顔で居る為に】
あぁ、また、この朝が来た。今度こそ上手くやらなければ……
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「剛田さん! 剛田さん!!」
俺は鉄骨の倒壊事故に、自分を庇って巻き込まれた会社の先輩、剛田 猿人の耳元で彼の意識を取り戻そうと必死で呼び掛けていた。
剛田さんは何かと俺を気に掛けてくれていた先輩で、社内でも有名な、社交的で優しく有能な……ゴリラだった。
「うぅ…… あぁ、狩谷くん、良かった無事だったのかい?」
「剛田さん! どうして……」
「君には、色々世話になったからね」
俺に!? そんな! むしろお世話になったのは俺の方で……
「狩谷くん、君なら“死に戻り”を知ってるだろ?」
剛田さん、こんな時に何を……っ!! まさか!!
俺の表情に理解の色が広がったのが分かったのか、ニヤリと男臭い笑みをうかべた。
「ああ、私は何度も生を繰り返している」
だから、この事故の事を知っていた? 今日に限って営業に付いてきたのはその為? なら、何で?
「あぁ、今度こそ君を助けられた……恩人の……君を」
恩人? 俺が? いや、だけど……
「何度も、何度も、君を助けられなかった。だから、私は何度も自らの命を断ったんだ」
「なんで、そこ、まで」
「恩人……で、親友だったから……な」
彼は死に戻りだ、俺の知らない生を繰り返してきた……そこで有った事は、俺には分からないことだ。
でも、たがらって……
「実は……私はゴリラだ」
……うん、知ってた。
「何も知らない私に、あらゆる事を教えてくれたのは君だった……当然、死に戻りから、人の言葉。社会常識まで……全てを……」
俺……が?
「何度も死に戻り……不安に……潰されそうに成っていた私を……助けてくれた……のは、君だけだったんた……」
だから、助けられて良かった……そう言って彼は事切れたのだった。
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あぁ、また、この朝が来た。今度こそ上手くやらなければ……
今度こそ、私も彼も悲しみに染まらない未来の為に……
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