【街とその】村上春樹 ..
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28:吾輩は名無しである
23/04/21 11:16:28.60 BoxpqjOK.net
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10代の頃に読み、衝撃とともにわたしの血肉になってしまった『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』。
その物語に別の角度から出会い直したようで、胸がいっぱいになって少しずつしか読み進められませんでした。
これから読むかたのために物語の中身は書けないけれど、物語の中核ではない部分に少しだけ触れさせていただけるなら、「壁」の中の主人公の一人称が「僕」から「私」に、
図書館の女の子への呼称が「彼女」から「君」になっていました。
一見小さな変化だけれど、わたしにはこれはとても大きな意味に感じられました。
物語全体の親密さやコミットメントのようなものが、一段深い別のフェーズへと移行したような。
『世界の終わりと…』にそこはかとなく漂っていた「傷つくことを恐れて近づくことを拒むようなクールさ」が、「傷つくことを恐れない(傷ついても大丈夫だと知っている)温かな強さ」のようなものに変わったような。
主人公と物語の、成熟を象徴しているような。
これはきっとわたしにとって、これから何度も読み返すことになる物語。
最後に、あとがきに書かれていた「この物語が書かれるようになった経緯」を、少しだけ。
この物語の核となったのは、1980年に「文學界」に発表された中編小説『街と、その不確かな壁』。
書籍化されず「幻の作品」のような位置づけになっていたこの作品発表から40年を経た2020年、春樹さんが「もう一度、根っこから書き直せるかもしれない」と感じ、3年近い時間をかけて「まるで<夢読み>が図書館で<古い夢>を読むみたいに」書き上げたものが、本書です。
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』が好きだったかたにはきっと、溜息のでるような素晴らしい読書体験になると思います。
村上作品がだいたいそうであるように、
本書もまた賛否両論あるのだろうと思いますが、わたしにとっては宝物のような作品。
春樹さん、ありがとう!


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