純文学5誌総合スレ第 ..
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980:吾輩は名無しである
19/01/02 10:38:04.47 sIVK0XTT.net
反駁・騎士団長殺し
 <閲兵式>
 ねじまき鳥が九時の時計をまわし、庭園の時間が動き出す。
 ここは騎士団長の箱庭。
 騎士団長は、真ん中に立っていた。
 整列しているのは真ん中の騎士団長だけであり、他の騎士たちは無頼、孤高の男たちであり、整列などしない軍隊だった。
 しかし、騎士たちが信じているのは騎士団長だった。
 騎士団長は、騎士たちの憧れであり、基準であった。
 参列者たちは戸惑い、騎士団長だけを見ていた。
 楽隊が笛を鳴らし、路上で幕が開いた。
 <革命前夜>
 騎士団長は、庭園を護衛していた。
「今夜、革命が起こり、我が帝国は、世界全土を領土とするであろう。」
「この世界の第一の動者は誰だ。この世界の究極原因は何だ。ねじまき鳥か、騎士団長か。」
 全体は部分にあらず、部分は全体にあらず。この世界は全体であるため、部分である我々の現実はこの世界ではない。ゆえに、この世界に我々は存在しない。
 パルメニデスのイデア論だ。
 騎士団長は男にあらず、男は騎士団長にあらず。騎士団長は、ゆえに性別をもたない。
「騎士団長は征服された女性として、存在しようとしている。」
 騎士団長はこの世界にはいない。もともと、騎士団長はこの世界にはいなかったのだ。


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