ロシア文学
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209:吾輩は名無しである
12/09/13 07:25:26.71 .net
「露西亜文学から人が受ける第一印象は、陰鬱で、陰惨で、全くどうにも救いようのない暗い感じである。
それは実に圧倒的な印象だ。それは文字通り初手から我々の心を圧し潰してしまう。〜略〜
併し此の文学全体に、深い夜霧のように濛々と立こめている一種の独特の暗さを、一度本当に味わった者は、
その暗さが有っている異様な不気味な蠱惑を最早絶対に忘れることができなくなってしまうのだ。〜略〜
露西亜文学を心から愛する人は、まさしく一箇の憑かれた人、露西亜文学への我々の愛は、まさしく一種の宿命である。
ドストエフスキーは人間的愛の現象の裡に、愛が直ちに憎悪であり、憎悪がそのまま愛であるような怖ろしい
魔性の情熱の深淵を垣間見たのであったが、露西亜文学そのものに対して人が感ずる─というよりは人に
取憑りつくと言った方がよい─愛もまたそれといささかも異なるところはない。自分は露西亜文学を
心の底から愛しているのか憎悪しているのか、愛と憎悪の区別がつかない程の情熱を感じ出すまでは、
人は露西亜文学というものが本当にはわかっていないのである。」
(井筒俊彦著「露西亜文学」慶応義塾大学出版会)
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