好きなようにしかやら ..
[2ch|▼Menu]
38: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/04 23:13:53 wQXYJnxF
[ 月へ梯子をかける方法 ]

夜の深い、深い黒を
パーカッションとピアノがスノードームの緩やかさで収集する
アルト・バリトン・ソプラノサックスが
秒針の細やかさで満月に照準を合わせると
トランペットとトロンボーンが煮え滾った金をぐにゃりくねらせ
積った闇を縁で灼きながら月光を逆流して神酒の海へ
ドラムが金を叩いて冷やしなだらかな坂へと加工すれば
ギターはそこに刻みを入れて精巧な梯子に仕上げる

お日さまが海で眠りにつく刻
金星色の楽器を持った
黒服の集団を連れておいで
森の中でも
ビルの谷でも
集まる場所はどこだっていい
彼らが’音楽’を始めさえすれば
北の空は勝手に回り出し
南の星はあまねく流星になる
みるみるうちに幾筋にもレゴリスに到達する金の梯子を
お気に入りの靴で
楽団と一緒に昇っていこう
両手のチョップスティックスをカンカンいわせて
ライオンみたいな合いの手を入れて

地球と一緒に眠りにつくのは
老けてからでも遅くない

39:名前はいらない
10/12/05 15:59:52 Y4132iRY
URLリンク(www.nicovideo.jp)

40: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/05 23:08:29 bAeLPSqr
>>39 見たかったけど見られなかった、、


[ いろんな人がいます。 〜詩板を家族に説明する〜 ]

はい、もしもし?
―ああ、何? また…用がないならかけてこないでって言ったじゃん
え? 環境? まぁそれなりに…うん、田舎で、全然人がいないけどね。
独り言は5回までって決まってて、昼も夜も静かで長閑だよ。

……友達………? いや、できたよ。いる。いやいるって…ホントに!!!
ええ?例えば?? う〜〜〜……アンダ…安田くんとか、ハヤトくんとか、やさしいあく―宅間君とか、
ダーザインさんとかボルカさんとか… あー…え? うん、そう、外人。外人のおじいちゃん。
ドミニク共和国だかどっかからきた…そうそう、うん、日雇いで…成田空港で働いてるみたい。
殿宙…いや、電柱を秒速5mmで磨いたりとかそういう。

…え、女の子? …いや、いるよ。…いるって! 犬大好き…な…………、女の子……あ、……ちーちゃん! ちーちゃんとか。
………どんなこォ? …うーーーん…えろいおっさん…じゃなくて、、みらいのおくさん…

………あれ、今何て言った?
うわ、違…あ、いや、そうじゃな…―言い間違えたの! ……違、、………え? 何してる人???

…んーーと。その、詩板で…しいたで……しいた…  け……


.                          …しいたけの、栽培?

41: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/05 23:10:32 bAeLPSqr
 [ 恋する鮭は攻撃的 ]


真っ赤な夕日があの娘に見える
石狩川はあの娘の匂いがする
あの娘のことを考えるのに夢中
あの娘の綺麗な紅色の腰
あの娘の意志の強そうな額
あの娘で世界を埋め尽くしたい
だから今は
後生だから
だから今は話しかけるな


あんたが俺を呼んでいる
偉そうに俺の名を呼び捨てにする
貧相な俺をうっとりするあの娘の世界から無理に引きずり出そうとしている
俺は許可しない
許可しない俺は
今俺の名を呼んでいいのは
あの娘ただひとりなんだぜ
 あんたはあの娘のお父さまか?
 あんたはあの娘のお兄さんか?
 あんたはあの娘の弟くんか?
 あんたはあの娘のお母さまか? 違うだろ、なあ違うよな?
だったら俺は許容しない
俺に話しかける事も
あの娘への想いの外郭に指紋を付けることも許さない
あんたの都合なんて知るか
その他のことなんて知ったことか

42: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/05 23:11:37 bAeLPSqr
どっか行け
よせ
俺に構うな
誰に迷惑をかけるでもなく慎ましくボーッとしているだけだろ
あっち行け
よせ
俺に触るな
春と夏と秋と冬がいっぺんに押し寄せているような
あの娘の世界に浸かっていたい

真っ赤な夕日があの娘に見える
今日何を食べたか覚えていない
石狩川があの娘で溢れる
周囲の障害物が見えない

邪魔する気なら容赦しないぜ
ヒグマだって容赦しないぜ
頭突きで択捉まで吹っ飛ばすぞ
石狩川の藻屑にしてやる

ダムも滝も関係ないぜ
誰も俺を止められないぜ
あの娘がきっとそこにいる
朝焼けの鱗を輝かせて
ニヤけて千鳥足する進路
想いだけがビュンビュンギュンギュン
光の速さで水きりしながら石狩岳の頂で跳ねた

43: ◆maltese.Zk
10/12/05 23:51:49 RHAn02UY

俺が彼女とデートしたから
豊平川は彼女の愛液まみれ
この水は流れてきたんだ
そう、ずっと上流から
暇があったら山にでも登って見ろよ

最近、川の始まりの場所を見たかい
ほんの一滴さ
一滴と言っちゃ少し大袈裟だけど
下流と比べりゃほんの僅か

そいつが海へと向かって
合流して 分岐して
溺れるほどの激流へと向かう

その中流に居る俺たちのせいで
川は愛液まみれ

最高だろ?
全部嘘だから

豊平川なんて     無い

44: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/07 00:13:39 Yrm3bGa2
>>43 ・・・・・・同一人物だったのね(笑
   酉見てなかったよ ゴメン

45: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/07 00:33:10 Yrm3bGa2
[ ジャンピン・ジャック・バーニー ]

ピョンピョン跳ぶぜJ.J.バーニー
大好きな歌を聴きながら
100デシベルじゃ足りないぜ
4億デシベルぐらいは要るぜ
部屋を丸々スピーカーにして町内全部に聴かせてやりたい
地球を丸々スピーカーにして隣の星にも聞かせてやりたい
俺の貧弱な心臓は
ドラムの助けなしじゃエンストするぜ
俺の不健全な血液は
ギターなしじゃフロウしないぜ
生命の危機
命がピンチ
でかい声で歌わせて

ピョンピョン跳ぶぜJ.J.バーニー
ゴキゲンな歌を聴きながら
下の部屋が怒鳴ってくるなら
Stompで床を突き落としてやる
隣が壁を叩いてきたら
倍のリズムでお返ししてやる
iPodが100回なくなるなら
101回買ってくるだけのことだ
集めたデータが吹っ飛ぶなら
好きなのからまた保存するさ
ジャンピン・ジャック・バーニー 灰色い斑の
音楽なしじゃもげちまう耳と
歌わずに居られない喉をした
ジャンピン・ジャック・バーニー 巻き毛のうさぎ

46: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/07 00:34:17 Yrm3bGa2
ビートのない分娩室に
音を寄こせとぐずって生まれた
そこらの茂みに幾らでもいる
落ち着きのないケツをしたうさぎ

俺の可愛いミニスピーカー
完全防水ハニーとお風呂
シャンプーが頭で弾けてる間
シャワーを構えて1曲行くぜ
1曲のはずが5曲になって
風呂で温まってもうあと5曲

ピアノがいいよなチャーンチャチャンー
ベースがいいよなドゥイーン イ〜〜ン
換気扇から俺の声が公害となって流れていく
張り合って外で雀が鳴いてる


ピョンピョン跳ぶぜJ.J.バーニー
お気に入りを歌いながら
近所の奴が遠巻きに見てる
すぐ近くのドアがバタン閉じる
でもね奥さん
音楽はイイよ
あなたの料理に、掃除に、買い物に、家庭に
いつか1曲進呈しますね
とびっきりいかがわしい感じの
ジャンピン・ジャック・バーニー 心の狭い
ジャンピン・ジャック・バーニー 前歯の尖る

ピョンピョン跳ぶぜ
J.J.バーニー
月まで飛ぶぜ
調子が良けりゃな

47:ハヤト ◆maltese.Zk
10/12/07 00:57:24 gdcHxODo
「ベルベッド」

ジリリリリン うるさい
このベッド うるさい
ベルベッド

あ、俺人の名前勝手に使うから

ジリリリリン 寝れない
このベルベッド

名前欄はあてにならないぞ?

返品できますか
ベルベッド

クーリングオフで
おふっ!で

48: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/07 13:59:31 0YIq54I2
>>47 
ヽ(`Д´)ノ

誰もが酉を覚えられると思うなよぬうう

49: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/07 14:00:41 0YIq54I2
 [ 同床異夢/別床同夢 ]


カーステレオから流れる気だるげな女の声を
手でひらひらと払いながら心の中で別の歌をうたう
運転席の表情は
来季の流行りを値踏みするようで
今日のおかずを思案するようでもある

隣にいて
空間を分け合う
同じ皿の料理をとり
同じニュースやドラマを消費する
一つの風呂に入り
一つのベッドで眠りにつく
そして違う夢をみる

これ以上は望みようのないぴったり閉じた個体間距離
触れ合っている背中は温かいけれど
二人の視線は右と左
違う風景を見ている


少なくとも過去の一点では
二人の心はひとところにあり
視線は互いのものと重なって
嬉々として大きさを増す瞳の奥に射していた
それは

50: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/07 14:02:16 0YIq54I2
一点ではなかったかもしれない
二点かも
十か所位あったのかもしれない
美化された過去は触媒となって現在を迅速に腐食させる
黄金のメッキがはがれて中の酸化銅を露呈させる

いっそぬくもりは要らない
返却される1/2の空間は部屋を寒くするだろう
皿の料理は余るだろうし
シーツは冷たくなるだろう
それでも
違う空の下でいい
違う時間に起きて 寝て
全く別の食事をとって
広いベッドで迷子になっても
同じ夢をみていたい
一人でみるには大き過ぎる夢
同じ未来を目指したい
二人でなければ届かない位置の

遠く、遠く離れていてでも
心はひとところにありたい
交わしたのは
約束したのは
欲しかったのは
縛り付けたのは
贈ったのは
体じゃなく 心だった


51: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/07 14:03:15 0YIq54I2

二つの心が出ていったカゴに
二つの体が取り残されて
日干しになるのを待っている
歳月を消費している


ここに戻ってこなくてもいい
地平の果てでも、どこでもいい
帰らない二つの心が
同じところにいればいいな
二つで揺れていればいいな

52: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/07 22:54:36 0YIq54I2
[ 届け、この想い ]

あなたへの気持ちを
俺なりに表現してみました

 ギッチリと、つまようじ

つまようじの館の惨劇


あなたへの心を込めて
俺なりのプレゼント

 犇く つまようじ

乗車率200パー


振るくらいじゃ出ない
叩いても出てこない
蓋を外しても微動だにしない
立てこもり隊つまようじ



なぁ
わざと、やってるんだぜ








今日も つまようじ

53: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/08 23:05:26 zvDAXWiX
[ 移ろうもの ]


好きなうたをききながら
それはとっても素敵なうたで、そのぶん余計に
どんどんと悲しくなる
ぐんぐんと哀しくなる

僕はあとどれくらい、このうたを好きでいられるだろうか


大好きだった本
何度も読んだ本
いつかのためにしまってある
でもいつかはこない
きっとこない
僕はあの本を二度と読まない

望んでいるわけではないのに
移ろってしまう
変わってしまうよ
なにものでもなく、僕自身が
変わらない歌声をきかせてくれるレコードは
一言一句たがわずにある文章は
移ろわない
移ろわないがゆえに
移ろってしまうよ
僕と一緒に歩いていけない


54: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/08 23:06:37 zvDAXWiX
手の中にある大切なものたちは
星のようだったものたちは
みるみると褪せてただの石ころになってしまう
つかまえてきた蛍みたい
てのひらにぽつり罪悪感


そんな痛みさえ、僕はもうあまり感じなくなって
こころはどんどん強くなる
こころはぐんぐん鈍くなる
むかしの僕が毛嫌いした『大人』に育ってしまって
やがては
今の僕の宝物を燃えないゴミの日に出すだろう


僕はとっても飽きやすいから
このうたは
今の僕のためだけのうただ
胸の高鳴りは
今現在の僕だけのものだ
明日の僕はもうきっと今の僕ではないだろう
だから今は
この素敵なうたと、それを大好きだと思っているこの心を
死なないでって、
消えないでって、
祈る形の手の中に
ぎゅっと固くとじこめる

55: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/08 23:09:14 zvDAXWiX
[ ←↑←→↓→ ]

僕は[3,287,90]
そこから↑→→↓←↓←↑→←

君は[19804,25,491]あたりを
←↓↓↓→←↑→ってとこかな?

…遠くて見えない
見える気がしないや


僕はいまどこかな
またわかんなくなった
ねえ、ちょっと見えない?
頭とか。
…無理かな。


僕はいまどこかな
ますますわかんなくなった
アレはあいつな気がする
あっちは全然知らない奴だ

→↑←↓超きまま
↑↑↑→超テキトー


56: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/08 23:12:49 zvDAXWiX
どうせみんな超テキトー
どうせみんな超きまま
→↓→←スキップスキップ
↓→→↑ステップステップ

またどっかで会うでしょ
立ってりゃそのうちぶつかるでしょ

こんちわ、バイバイ、あっち行く?…あっそう
こんちわ、いてえな、すいませんした、もうごめんて!
こんちわ、こんちわって、もういいよ、えっ何
こんちわ、またね、バイバイ、バイバイ
こんちわ、それもいいねー、バイバイ、またね

57: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/09 12:32:35 tt3mvufe
  [ 致死曲 ]

今まで一度も
疑問に思わなかったシートベルトが
窮屈でたまらなくなる
かなぐり捨てて
アクセルを
べったり踏み込みたくなる
80、100、140…
メーターは記録を更新する

地平近くの月はがらんどうの巨星
穏便の底に隠れていた
熱情が赤く咲く

この音をこのまま聴きながら死んでしまえたらどんなにか良いだろう

飛び出す猫でも
急なカーブでも
何でもいいから切欠が欲しい
この声を最後にブツッと死んでしまえるのならそれはなんと素敵だろう
他の幸せに渇く前に
今で終わってしまいたい

ドラマチックな旋律と
夢みたいな編曲の
とっておきのナンバー
内側剥き出しのボーカルと
稲妻しているエレキギターの
大好きな曲

58: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/09 12:33:33 tt3mvufe

僕を犯罪者にする
僕の細胞を活性化する
全部の鎖をぶっ壊す
道路を滑走路にしちゃう
僕を殺す

最高に大好きな曲

59: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/09 22:54:41 tt3mvufe
糞スレ。後になったら自分的に削除してやりたいスレNo.1に輝く気がする。
…No.1に輝くって、きれいだな、字面がキンキラして。

60: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/09 23:02:10 tt3mvufe
  [ ビョーキ ]

あなたに恋をしました
姿を見るだけでどきどきして
声を聞けばひゃーと嘆息する
あなたの言葉を始終諳んじて
知らないうちに鼻歌している
 皿は割るし
 挨拶は間違う
 オーダーの入らないワインを注ぎ続ける

あなたに恋をしました
おかげでうわ言しか出てこない
ビジネス単語を並べていたキーが
恋愛小説の文字列を叩きだす
勘弁してほしい
でも止まらないし止めたくないし
求婚する時必死で踊ってる
あのジャングルの鳥の気持ちが分かるよ
浮かれちゃってたまらないんだ

あなたに恋をしています
叶いっこない馬鹿みたいな恋
鏡の自分に吐き戻しする
ケージのセキセイインコみたいな
恋をしています 今はいないあなたに
25年前のあなたに
僕のオムツがまだ外れない頃
ヘッドバンキングしていたあなた

61: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/09 23:03:41 tt3mvufe

48歳子持ちのあなたは
変わらずぴょんぴょん跳ねているとか
もう孫も大きいでしょうか
どんな歌を書いていますか

2010年秋のことです
あなたに恋をするバカがここに発生
1985年に
大量発生したのと同じ類
3Dデジタルのテレビを以てしてもあの頃のあなたの前には行けないけれど

あなたに恋をしました
仕事はちっとも進まない
僕はあなたに恋してるんです
25年も昔の影に


浮かれちゃってたまんない

62: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/09 23:09:08 tt3mvufe
[ 素敵なコート ]

オリーブの表面にたくさんのポケット
裏地は起毛でぬくぬくフサフサ
フードはなめらかキューティクルのラビットファー
私のお気に入りのコート
幼稚園の時好きだった
近所のお兄さんが着ていたのに似ている

地表から昇る冷気を歯牙にもかけず
後ろからまるっと抱いてくれる
どこへ行くにも付き合ってくれて
黙って話を聞いてくれる
文句は言わない
食費もいらない
とっても素敵なコートがあるの
だから
あなたは要らない

コートは
あなたと違ってヤニ臭くないし
あなたと違って汗臭くない
あなたと違って酩酊しないし
あなたみたいにくちゃくちゃ音を立てて食べない
あなたみたいに愚痴を言わないし
あなたみたいに傲慢でもない
粗暴でも無神経でも嫉妬深かったりもしない


63: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/09 23:10:46 tt3mvufe

そりゃ気の利いた文句は言えないけれど
あなたのだって知れたものでしょ
そりゃお金を稼ぐことはできないけど
あなたもすずめの涙よね

冬がちっとも寒くないの
裏地は起毛でぬくぬくフサフサ
とっても素敵なコートがあるの
後ろからまるっと抱いてくれる

あなたは要らない、必要ないの
ちっとも要らない

必要ないの

64: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/10 22:08:21 w93ar88v
[ 畑育ち ]

秋冬は過ごしにくい季節だ
周囲の農家は収穫三昧
俺料理しないぜ
断るけど
おばちゃんはお構いなしだ
カボチャにサツマイモにサトイモ キノコ
冬瓜レンコンアスパラシシトウ
どれも生じゃ食えないぜ
見事に全部食えないぜ
拡張の一途を辿る下駄箱前の食えないラインナップ
銀河系でも目指してんのか
腐れベシタボーはコロニーになる
倍、倍、倍、倍、倍、々、  …バイバイ


リセッシュとかファブリーズとかそれ的なもの:::::::::::::::
リセッシュとかファブリーズとかそれ的なもの::::::::::::::::::::::


65: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/10 22:10:12 w93ar88v

花粉症だけど春は好きだ
春は葉物が多いもんな
俺料理しないぜ
断るけど
おばちゃんは聞く耳もたねえ
キャベツキャベツレタスキャベツそしてキャベツ&キャベツ
エブリデーがキャベツ記念日
キャベツに窒息する前に消費し続けて通路確保だ
虫のように食うぜ
虫と共に食うぜ
虫も共に食うぜ
キャベツ臭えぜタンパク源
あんまり出てくんなよタンパク源
もういいってタンパク源
虫、虫、蟲、蟲、無視、無視、   バタフライ、バタフライ、  …バイバイ


モンシロとかモンシロとかそれ的なもの88888888888888888
モンシロとかモンシロとか黄色い蛾とかそれ的なもの88888888888888888



とうもろこしが好きだ
ゴールドラッシュとかサニーショコラとか生でいけるとうもろこしが好きだ
夏はまだかな
早く来ねえかな
窓を開けると向こうの畑で
おばちゃんが二期目のキャベツを植えていた

66: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/10 22:54:54 w93ar88v
注意して、注意して、
この書き込み欄でもっかい挿入してみたりもするのに
消えてしまう文頭の空白は何でなんだろうなぁ。

でも残ることもある。

気 分 な の か 、ス レ ?




お前が一番、好きなようにしかやらねえな…
連投規制するし、35scしかたってないって 細かすぎるよママン

67: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/12 12:28:40 D9l3kY/N
[ ヒャッホウ ]

内緒だぜ、

俺、凄いラブレター拾っちゃった。

なにが凄いってお前、ちょっと見てみろよ
ココ、こことか。どえらいセクシー。脳髄にクルね。
鉄パイプで殴られたみたい
後ろから刺されたみたい
出血多量で死んじゃいそう
クラクラするね
下半身にくる
いやいろんな意味でよ?
ソレだけじゃなくてな?

はー こいつが俺宛てだったらね
はー こいつがホント俺へだったらね

でも知らねえよ
これはもう俺のだもん

ようこそラブレター 俺様のとこへ
ご主人様はどいつだい?
ようこそラブレター 俺様のとこへ
宛先にはもう行けねえよ


もっともっと読みたくなって
俺、深夜徘徊しちゃった。

68: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/12 12:33:44 D9l3kY/N
お前にも今度見せてやろうか
小山のようなラブレター。
トレーラーにして3台分。
読んでると自然歌になるぜ
文字を追うごとに立てなくなるぜ
俺を泣けるくらいちっぽけにするけど
世界をこの上なくカラフルにする
それはもう
グレートバリアリーフの海底よりひどい

なあお前これ
本にしたら儲かるだろうな
手に取ったバカがこぞって前かがみ
もじもじしながらレジに並ぶんだ
それを笑いながら印税暮らし
明日から死ぬまで印税暮らし

でもいらねえな
300億でもいらねえ
これはもう俺のだもん、お前にも見せたくなくなってきた
これはもう俺のだもん、俺より夢中になるのはだめだ

はー こいつが俺宛てだったらね
はー こいつがホント俺へだったらね

世界ってすんごい残酷
世界ってすんごいキレイ
ラブレターばんざい ばんざいヒャッホウ!
ラブレターばんざい ばんざいヒャッホウ!!!


俺、今ならお前にだってキスできそう

69: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/13 00:24:34 hnXF6Eft
   [ とりとロック ]

コンビニ弁当をつつきながら
三河湾に沈む夕陽を見ていた
テトラポットでできた堤防の
脇の道でアイドリングして

カーステレオが大音量で流すロックは
ジムニーを銀色にするだけに飽き足らず
とがったままで外へ飛び出し
太陽の断末魔とさざ波を徒に裂く

オレンジ色の液体金属
退屈な海の温度が緩慢に上昇していく


ポテトサラダがなくなった時
それは丁度ハスキーボイスが反社会的な発言を吐き捨てていたところだったが
浜との境の単子葉類の茂みから
 ぼろり
黒い丸がまろび落ちた

それは
笑ってしまう程、円形のフォルム●


イソヒヨドリか
黒丸に目を凝らすのだが、逆光で色が判別できない
そいつは爆音の銀塊に興味津津、と言った体で接近してきた


70: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/13 00:26:08 hnXF6Eft
 とり、未知との遭遇

言っとくけど、
と運転席の自分をアピールして俺
これ狙いなら眼鏡違いだぜ、
ミミズじゃなくてスパゲッティだ
そしてその上はお前の仲間、と
俺は照り焼きチキンをがぶりとして、とりを威嚇した

 とり、無頓着に前進

丸い体をころころ左右し
心持ち、ドラムのリズムに乗って

 何、お前うるさいの好きなの?

黒い丸は
もうジムニーと影が触れるところで
ばねの上にでもついてるのかという勢いで上体を振りはじめた

 とり、ヘッドバンキング

 お前
 ロックだねえ

ギターがメタリックブルーからゴールデンイエローに
バカ抜けに明るい、ハッピーなナンバー

 なあ
 とり、白米だけなら分けてやろうか

71: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/13 00:27:45 hnXF6Eft

神島の灯台の灯が青白く海に落ちた
漁船の遠影が霞に朧
頭だけちょっぴりの太陽
ぶんぶんぶんぶん
ころころ黒丸

 ああくそ、
 行きてえなあ、ライブ

自転車一台、通らない道
ジムニーと
足元に黒い丸


 とり、お友達にならないか?


  お断りか
  ああ、  そう
  ああ、  だよな

ぶんぶん、ぶんぶん、
ころころ、ころころ

72: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/13 00:33:06 hnXF6Eft

…?
2回とも間違えてるな

       ×バンキング→○バンギング    銀行かよ

73:(1/3) ◆gCx3qPfymyIC
10/12/13 02:44:04 hnXF6Eft
[ ギターマン ]


泣いてた

歌うお前を見て
泣いてた

買いかぶってたんだ

見誤ってた
お前はいつもなんでもできたから
大丈夫だと
スーパーマンだと思ってた

お前だったら
歌いながら弾けると思ってた
いつもみたいに
つむじ風のギターと
少し甘めの声で
一人になっても大丈夫だと
ピアノもベースも打ちこんどきゃいい
お前一人で問題ないと

俺間違ってた
何も分かってなかった
お前は多分
全部知ってたんだ


74:(2/3) ◆gCx3qPfymyIC
10/12/13 02:45:48 hnXF6Eft
マイクの前に突っ立つお前は
かつてないほど貧相だ
一昨年の夏に買ったギターは
あんまり好きじゃない音のやつ
それでも俺
お前の指が
弦を押さえるのをじっと見ていた

ギターはついに、鳴らなかった


録音のチープな演奏に
気乗りのしない破れかぶれの声

鳴かないお前のギターは
今までのどの演奏より衝撃的で
会場は声を詰まらせた
俺も、
隣も、
みんな泣いてた
葬式みたいな会場内に
空々しい演奏が続いていく

弾かないギターをぶら下げたお前は
翼をむしられたニワトリみたいで

鼻水が止まらなかった
女の子がすすり泣いてた
いつもの端整な詩はどこにもなくて
インスタントのアメリカンみたいだ

75:(3/3) ◆gCx3qPfymyIC
10/12/13 02:47:28 hnXF6Eft

誰がお前からギターを奪ったんだ、
俺か?あいつか?客か?お前か?
俺か?俺か?だって、こんな、


何も楽しくないよ、最悪
分かってたんなら早く言えよ
今すぐマイクなんてけり倒して
いつもの曲を弾いてくれよ
演奏の持ち時間は決まっている
後何分、お前はこの拷問を受け続けるのか
後何分、俺たちはこの罰を受け続けるのか

涙でも堪えるかのように
お前が斜め上を仰いだ

76: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/16 12:45:33 ZYS3vxGr
  [ 負け犬 /リライト]

街頭で流れたビートルズ
それは隕石のように落ちてきて
交通事故のようにガキを撥ねた

打たれて立ち尽くしていたガキは
9歳なりのお年玉を前借りして
4年分のお年玉を前借りして
ストラトキャスターを買った、それが次の日。

ガキはバカだから考えもしない
明日の自分のことなんて
ガキはバカだから1つしか知らない
今の自分が、何をしたいのか

コウカイって何それうまいの?
フアンって何それイカスの?
ゲンカイってそれって強えの?
ミノホドってそれって食えるの?

おれ今いそがしいの
何で沈んじゃうかな、太陽
おれもっともっともっと起きてたい
ちっちゃくて困るな、世界ー

――――――――――――

77: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/16 12:46:31 ZYS3vxGr

いつの間にか行方知らずの夢
趣味もやりたい事も忘れて
すっかり袋小路の24歳

階段の踊り場で青二才は
絞首台のロープを望んでいた
窓が開くんなら飛び降りたいな
車が来るなら飛び出したいな、やらないけどね、 そんな毎日。

今日も明日も昨日のトレース
しがない老後を安直に予測
聡いつもりの青二才に
蹴りを入れにくる、9歳のガキ

ギムって何それオモロいの?
カロウって何それ超クール?
シャカイってそれって飛ぶの?
シゴトってそれってすげーピカピカ?

おれすっごくいそがしいの
何で終わっちゃうかな、今日
おれもっともっともっとやるんだ
すげえなおれ、スーパー宇宙大グレートマッハ神くらいかっこいいなーおれー

くるくる走り回るガキは
青二才の自尊心を容赦なくぶち壊して踏みつける
深度を増していく悔恨と絶望
その都度青二才はガキの息の根を止め続けた

78: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/16 12:47:41 ZYS3vxGr
俺はお前なんて知らない
くたばれ亡霊
死んで二度と出てくるな、もう二度と、二度と
お前が馬鹿にしている俺は
お前の、お前自身のなれの果てだろうが

――――――――――――

21世紀のテレビに連れてこられた
古い透徹なロックは
俺の腐りかけの不発弾に着火

焼夷弾の勢いで爆発した衝動により
常識・恭順・制約といった積み上げたものは瞬間蒸発
焼け野原の更地となった胸に
赤々と炎だけが残った、 それが先日。

やってられるか、もう知らねえよ
明日の自分のことなんて
俺は俺のやりたいようにやる
今の自分がしたいことだけを

後悔だなんて糞の役にも立たねえ
不安がる暇があるなら動くぜ
限界を語れる程やってねえ何一つ
身の程なんて弁えてやらねえ


79: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/16 12:49:03 ZYS3vxGr
もし過去に戻れるとしても
俺は親に借金してストラトを買うし
残業しては踊り場で絞首台のロープを探す
そうしない人生だなんて
気持ち悪くて選びたくない
うるせえんだよガキ
見下してんな青二才
好きに浪費したにせよ
周囲の強制を受けたにせよ
お前らはお前らのターンを使い果たした
俺は俺のやりたいようにやるぜ
お前らの言うことだってきくか
今一番偉いのは俺
お前でも、お前でもないの
喚け、がなれ、でも聞いてやらない
ジジイの俺にだって口出しさせない
今この時の俺は楽しかったって
バラ色の記憶だけ土産にしてやるから
自分の番まで指くわえてな

俺今忙しいんだ
勝手に沈んでいくなよ、太陽
俺もっともっともっとやりたいんだよ
短すぎ、足りねえよ、一生

俺今凄ぇ楽しくてさ
何で終わろうとするかな、今日
俺もっともっともっとやってやる
かつてのどの俺よりもお気楽に、ご機嫌に、夢中に、ハッピーに。

80: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/17 21:58:35 GaK+PoTq
  [ 本当に ]

本当にいい声してるよね、
君の声を聞いてるとさ、オリエンタルランドを思い出すんだ

 あなたがしばしばそう褒めるから
 私はそのたび悲しくなります

今年はどっちに行こうかなって
去年はランドだったから今年はシーかな、でもランドもまた行きたいんだ

 オリエンタルランドに思いを馳せるあなたの目には入りませんが
 私は確かに、飽きもせず毎度、律儀に傷ついているのです

あなたの心が降り立つオリエンタルランドは
晴れた空にシンデレラ城が白く映えて
ビッグサンダーマウンテンのコースターが音を立てて走り
ポップコーンのキャラメルの匂いやミッキー型の風船が飛んでいく下を
お昼のパレードの列が賑やかにやってきて
沢山の花でできたティーポットの上から
アリスとウサギがステップを踏みながら
あなたやあなたの奥さん、あなたの2人のお子さんに
お菓子を放ってくれるのでしょう

こんな声欲しくなかったんです
あなたにオリエンタルランドを思い出させてしまうような
こんな声欲しくなかったんです
あなたの低音が歌えないような、そんな役に立たない声は


81: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/17 22:00:18 GaK+PoTq

いっそ交換してくれませんか、あなたのインディゴブルーの声と
あなたはオリエンタルランドを手に入れて
私はあなたの歌を手に入れる

本当に、本当に、本当に、本当に、
そうできたら、本当に良いのに。


本当にいい声してるよね、
君の声を聞いてるとさ、オリエンタルランドを思い出すんだ

私の本当と
あなたの本当

大丈夫ですか、そんなに軽々しく使ってしまって

欲しいですか、オリエンタルランド
私は欲しいですよ、インディゴブルー、
私は欲しいですよ、インディゴブルー、      それはもう、本当に。

82: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/17 22:03:57 GaK+PoTq
 [ ライオンハート ]

冬将軍はロン毛フェチ
ご自慢の白髭と銀髪を靡かせ
雑踏をぴゅうう吹き抜けては
お気に入りのロン毛を愛撫する

それが美女の黒髪でも
枝毛だらけの茶髪でも
野郎が無精で伸びてるものでも
何ならマルチーズやコートのファーでも
お構いなしの見境なしだ

また来やがったな
前方で吹きあがった木の葉に
俺は肩と首をすぼめる
俺のイカしたロングは
先端だけカールしてまるで獅子心王
 今年も
 冬将軍 meets 獅子心王
毎年毎年くでぇよ、ジジイ
凍った指が強引に掻き回した毛先に
ほっとりと
雪がのった



83: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/17 22:04:40 GaK+PoTq


散髪屋のどデカい椅子で
ぐっすり眠りこけていたら
気づいた頃には時すでに遅し
ライオンはジャガーになっていた

夕焼けも不発の帰り道
ライト過ぎる毛先を両手で握って
冬将軍が下校中の女子高生やまだメイク前のキャバ嬢の髪を
喜々として撫でるのを俺は眺めていた

あのロン毛フェチの変態は
もう俺には構わないだろうな
俺を俺とは気付かないだろう
気付いたところで興味がないか
クソ、くたばれ糞ジジイ
永久凍土の郷土に帰れ

もうあのジジイと格闘しながら出勤しなくていいんだな、俺
地下鉄で電車が来てもジジイに困らされることはないんだな、俺
おでんの屋台で脛を蹴られることも?
シャツやシーツを飛ばされることも?
薄情過ぎねぇ? 糞ジジイ

84: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/17 22:05:59 GaK+PoTq

フワッフワ軽い梳かれた髪は
飾り羽か紋白蝶
悪くねえよ? 糞ジジイ
ちょっとだったら触っていいぞ
今日だけだったらくしゃっとしていい
俺が思うに
小野小町よりクレオパトラのがエロい
長けりゃいいってもんじゃないだろ

聞いてんのか糞ジジイ
もう少し遊んでけよ冬将軍
かわいいジャガーがここにいるぜ

ちょっぴり髪を乱しぎみに
体温の息をはぁはぁ言わせて
噛みつきっこしようぜ、ジジイ

85: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/18 00:00:55 RwDz0+FI
   [ バカばっか ]

前から気になっていることがあった
俺には一つ、気になっていることがあった
大体察しはついたんだけど
嫌な予感はしてたんだけど
蓋をしておいた方がいいように思えて
今日まで聞かずにきてしまった

久しぶりに
発泡酒じゃなくビールなんて飲んじゃって
俺上機嫌で
お前上機嫌で
思いつくのを片っ端から
交互リクエストで一緒に弾いた

佐藤の声は8月の空
隣室を気にしないデカさで
ビールを感じない伸びやかさ
俺の声は千鳥足しながらコーラスを入れてたけれど
上機嫌は止まってしまった
演奏は止めてしまった
酔った頭でも気づいてしまう
どうしたって気づいてしまう
前からずっと気になっていたこと

佐藤お前さ、

86: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/18 00:02:52 KrAgpLF+

俺、お前の歌まぁ好きだわ
ひらがなばっかの歌詞だけど
ド直球は悪くねえよ

で、
佐藤、お前さ、

俺の歌、嫌いじゃね?


すっげえ!って顔して佐藤
悪びれなく笑顔で佐藤

だってお前のさ、むずかしくて分かんねぇんだもん
おひさまとか海とかの字は好きだし
あとコードなんかはカッコイイんだけどな
言ってる意味が分んねぇよな



もう、バカバカバカバカバカ佐藤
ああ、だろうよ、バカバカバカバカバカ佐藤

難しくねえよ!
今日び小学4年の教科書よりフレンドリーだぜ
漢字はちゃんと3割以下だ
お前にはルビも手書いてやったろ

87: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/18 01:00:54 KrAgpLF+

もう、バカバカバカバカバカ佐藤
ああ、だろうよ、バカバカバカバカバカ佐藤

お前の歌が俺を引き上げる
お前のバカが俺を引き下ろす
総天然色のお前世界
バカでできてる佐藤ワールド


いったいどこに連れてこうっての
俺は頭で
お前はハート
いったい俺らをどうしてくれるの
俺らは体で
お前は心
好きなとこに連れてけよ
お前のビートが望むところへ
お前のバカが行きたい方へ
付き合ってやるよ
それがどんなにバカな道でも
それがどんなにダメな道でも
俺がイカスと思う道ならな
お前の空が広がるとこならな

自己責任なのが、泣けてくるね

バカバカバカバカバカ佐藤
バカバカバカバカバカお人好しバカ俺

88: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/18 01:23:23 KrAgpLF+
[ おかえり、夢 おめでとう、僕 ]

夢を見た。
僕にとってそれは全く久しいことで
数えてないけど
恐らく1年近くはなかったことで
笑ってしまった。
もう、嬉しくて。

僕の夢で
マツコ・デラックスが食い逃げをしていった
夢の中で僕は弱腰ながらも追いかけてしまったけれど
またいつでもおいで
僕に夢を見せてくれるなら
満漢全席で精一杯おもてなしする

おかえり、僕の夢
大事にするから、そこにおいでよ
えらいぞ、すごいぞ、できたな、僕
だんだん、少しずつ、取り戻せるさ


夢を見た。
僕にとってはそれは全く驚きで
それも1日に2つも見られるなんて
べそかいちゃった。
もう、嬉しくて。

僕の夢で
小堺一機がひき逃げを謝罪してた
夢の中で僕は突っ立ってそれを聞いてるだけだったけれど
声をかけてあげれば良かった
一緒に謝ってやれば良かった
悪いことをしたな、もう一回会いたいな

帰ってきたんだね、僕の夢
酷いことしないから、そこにおいでよ
やったな、頑張ったな、おめでとう、僕
だんだん、少しずつ、取り戻せるさ

だんだん、少しずつ、進んでいけるさ

89: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/19 00:10:22 M26iA8Pt
[ ピアノ   −スペシャルマシーン− ]

俺がまだ幼稚園の頃
父は家を出て行って
教師だった母は日常の勤務の傍ら
俺と弟とを育てた
母は俺に
同じく教師になって欲しかったようで
教員試験の項目である水泳とピアノの教室に
月謝を持たせて通わせてくれた

だが
年端もいかないガキには
母子家庭の生活費における月謝の重みなんて計れる筈もなく
俺にとってのピアノはというと退屈生産マシーンだった

最初に課された楽譜は『バイエル上巻』
これが決定的に、良くなかった

分厚い冊子の中に延々と続くメロディとは呼べないようなオタマジャクシたちの整列
弾いても聞いても
どこまで行っても無味無臭
家には母が借りてきてくれたピアノがあったが
俺がその椅子に座るのはレッスンに向かう1時間前だけだった
当然、俺の腕は上達せず
ピアノ教室で弾かされてみてはその都度きつく叱責された

俺にとってのピアノは怒られる原因創出機
毎週木曜の夕方4時がずっとずっと嫌だった
9年間、ずっと絶え間なく嫌だった

90: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/19 00:14:29 M26iA8Pt
当時の俺には分からなかったんだよ
脳無しのアホなガキには知り得なかった
目の前の黒い機体がどんなに凄いスペシャルマシーンかってことが


今の俺は思うんだ
あの時、
鍵を押さえる指のカーブをぎりぎりと強制されていたあの最初の日、
「ド」を何度も押させる事じゃなくて
例えばPiano Manとか
例えばDaydream Believerとか
例えばShout To The Topとか
何か最高に格好良い曲を弾いてもらえていれば違ったんじゃないかって

俺が先生だったら何曲でも弾いて、そして言ってやったのにな
「一生懸命練習すれば、君だってこうクールに演れるぜ」

脳無しのアホなガキにだって音楽へのドキドキは備わってる
それは生まれるずっと前から
胸の中で最新鋭なんだ

『バイエル上巻』と『バイエル下巻』に実にきっかり6年かかって
『ブルグミュラー』でもう3年
俺の憂鬱なピアノキャリアは中学卒業というタイムリミットにより終わりを迎えた
もう赤い椅子は俺を縛れない
調律もしていない安い鍵盤は俺とお付き合いする口実を失った
俺は無性に嬉しかったよ
さようならだな、またはないぜ
内側の赤いベルベッドが褪せている埃だらけの黒いカバーをしっかり被せて
俺はピアノを葬った

91: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/19 00:15:50 M26iA8Pt


実家を出てもう十年と少し
ピアノはよその家にもらわれていって
俺の指はギリギリと強制させられたあのブリッジを忘れてしまっている
失いきってしまって今更
 そいつらが惜しいんだ
今度は譜面どおりに弾くことが目的じゃなくて
今度はいつかの試験に役に立てることが目的じゃなくて
最高に格好良い曲をがなり散らす為に
あいつらが必要なんだ

オタマジャクシ
オタマジャクシ
知ってるよ、基礎は大事だよな
柔軟なブリッジを作って
まずは右手だけで
まずは左手だけで
練習しなさいってうるさいお母さんはいない
そこは違うと怒る先生もいない
俺が、俺自身の意思で、俺の為だけに弾きたいんだ
調子外れの音を出す黄ばんだ鍵盤もないけど
俺のPC用ボードは
たん、たんと指のタッチで響く
冬のボーナス、エレクトーンくらいは買えるかな


92: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/19 00:17:17 M26iA8Pt
美しく燃える森
Bad Day
ハスキー(欲望という名の戦車)
Welcome Back
弾きたい曲はいくらでもある
ああ、
どれからにしようかな
簡単なのからなんかじゃ駄目だ
超やりたいのから始めないと
俺がのろのろ1曲にとりかかっているうちに「超やりたい」は褪せちまうだろう
先生、そのあたりは俺
あんたからきちんと教われた気がするよ
あんた達は危なっかしい俺に
遠くがよく見える眼鏡をかけてくれた
俺に必要だったのは
すぐ目の前の
手元や足元を見ることだったけどね
折角貰ったメガネを俺、こないだ叩き割っちまったけど
どうか許して欲しいんだ
あの度の合わないレンズで今まで俺
20数年もの間、頑張ってたんだからさ

世界ってこんなにもはっきりしているものなんだな、感動
あんがとね先生
あんたの為にも、を付け加えて
俺すっごい好きな曲を弾くよ
それが1ヶ月でも3カ月でも
1年かかったとしても
俺全然。
超楽しいんだ。

93: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/19 22:16:02 M26iA8Pt
 [ 通りを挟んで ]

通りの向こうの雑貨店で
君の姿を見かけた
レジに前かがみになって
とっても真剣に
小さな財布から小銭を探しているようだ

また大好きなフィギュアでも見つけたのか
小学生の顔をして
店員のお姉さんが包んでくれるのを
落ち着きなく待っている

いつもの君を知ってる身としては
それがあんまりに可愛らしくて
ちょっと紅茶を噴いちゃった

すぐに
そこの扉を開けて出てくるんだろう
この調子だとたぶん
少し走るくらいの勢いで
ひょっとしたら
スキップだって混ざりかねない

世界で一番しあわせって笑顔で
かけっこ一等賞って顔で


94: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/19 22:16:46 M26iA8Pt

君の幸せを損ねてしまわないように
僕は鞄からテキストを出して
読んでいるふりで顔を隠した
あわよくば
テキストの下から
跳ねるようにスライドしていくコンバースが見えたらいい


ドアチャイムが派手に鳴って


テキストのインクの匂い
テーブルに遊んでいる木漏れ日
皿を汚している生クリーム
紅茶の蒸気
あっという間に遠くなる足音


青空に引かれた飛行機雲が端からするする溶けていく

ああ、確かに今日は最高の日だよ
全く君の感じてるとおり




95: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/19 23:00:22 M26iA8Pt
  [ 浜田君 ]

2次会のカラオケルームで
俺達はボラになった

それほど
浜田君の熱唱は衝撃だった

いうなればベルマーク委員、
いうなればユスリカ
地べたを這いずる視線と表情を隠す長い前髪
初対面のうちは挨拶も言えない
シャイで内気なレコードコレクター、それが浜田君

好きなアーティストについて語るところも
好きな音楽について語るところも見たことがない
受信機能しかついていないかに思われていた浜田君が

マイクを握って離さない


3秒後には倒れて死ぬんじゃないか、
そんな恐ろしい勢いで
怒涛の、炎熱の、激流のシャウトを叩きつける
今にも部屋をブチ破りかねない悪霊にでも憑かれたような鬼気迫るダンスを放つ

4匹のボラは身が竦んで
コーラスどころか
合いの手どころか
手拍子もできない

96: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/19 23:01:48 M26iA8Pt

沈黙する、タンバリン
宗教じみた、浜田君のパフォーマンス
流暢なカラオケのサウンドと
土石流みたいにでたらめでパワフルで台無しで破壊的な
浜田君ボーカル

俺達は
掌の汗を感じながら
自分たちのリクエストがこの狂人に片っ端から消化されていくのを
気配を消して見守る他なかった


それは
二十数年溜め込まれて
腐敗か、発酵か、とにかく変質してしまった浜田君なのだろう
浜田君の咆哮
浜田君の暴
浜田君の澱
浜田君の激情
浜田君の慙愧
浜田君の意思表明


俺の鈍い耳が
浜田君の残したザラザラでぼやけている



97: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/19 23:11:52 M26iA8Pt


浜田君、
あれ、いい歌だよな
俺、あれすっごい好き
それとその後の、

もう少し仲良くなれたら
そんな話もしてくれるかな


なぁ、
浜田君、
今度は俺らもコーラス入れんぜ
なぁ、
浜田君、
今度は俺も歌うかんな

また一緒に行こうぜ
それこそ明日にでも

なぁ、生意気な浜田マン
俺のシャウトでボラになれ




98: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/20 22:27:19 0yT9FEtv
     [ 辞表の裏に長々と ]

ボス、今日はあんたに言ってやろうと思ってさ
最後の機会だから洗いざらいぶちまけちまうよ
あんた凄いカッコ悪いぜ
前からずいぶんと
カッコ悪い

俺たちが自分のささやかな英雄を称えていると
あんたは古き良き時代の神様たちを連れてきて
俺たちの興奮を台無しにしちまうよな
大人げないんじゃねえの、ボス
あんたと俺たち
生まれた時代が違っただけだろ
開祖は神聖。ルーツは偉大。んなこた俺らにも分かるけど
そんな博物館に入っちまった化石なんかより
俺は今鳴いてる鳥のがいいんだ
ノイズの奥でぼそぼそしてる始祖鳥なんかより
杉のてっぺんで太陽噛んでるホオジロのが俺は好きなんだ

あんたの頭をでっかくしている
その40数年を取っ払って聞いてくれボス
すべり台の前でどつきあうガキの気持で聞いてくれボス

あいつらの曲なら何がいいか、って話をしても
ボス、あんたはどマイナーなタイトルばかりを上げ連ねる
そんなビッグタイトル出してきやがってって
俺たちを見下しにかかる

なぁボス、

99: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/20 22:28:55 0yT9FEtv
"タイシュウニゲイゴウ"したがらないボス、
個性ってのはそうじゃねえだろ
大衆の支持を受けるものに流されていくのは違うけど
大衆の支持を受けたものを除外してかかるのも違わねえのか
あんた本当にソレが好きなのか
ソレが一等好きなのか
あんたしかいない、見栄や虚勢を張る相手がいない無人島で
生涯聞いて過ごしたい曲はボス、ホントにそれなのか

ボス、チンケでちっちゃいちんちくりんボス、
胸に手を当てて考えてみろよ
目を閉じて、ガキのあんたに聞いてみろよ

あんたの生き方をとやかく言う気はないけど
あんたはだいぶカッコ悪いぜ
周囲の目を気にして無理して
自分の好きなものを曲げちまうなんてさ
何だっていいじゃねえか
あんたが好きならそれでいいじゃねえか
結果それが俺と一緒だって
結果それが大衆と一緒だって
あんたはあんたじゃなくならないだろ
ていうかハナから
俺やあんたは大衆の一部なんだぜ

俺らはスペシャルじゃない
俺らはオンリーワンじゃない
替えのきく安いネジだよ
個性気取ってもたかがネジだ
諦めて

100: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/20 22:30:14 0yT9FEtv
素直になれよ

ボス?
また何か難しいこと考えてんのか
難解語を並べ立ててけむにまこうとしてんのか
画数を増やせば銃弾は食い込んでこねえのかボス
あんたは平易を避けることで俺たちとの間に壁を作る
自分は一段も二段も上の所から物言ってるぜってアピールする
内容のチープさに変わりがないのが居たたまれないぜ
あんたが空のあんまり高みから話すもんで
あいつらときたら聞いてねえよ
あんたが一生懸命考えて、口にしている高尚な説諭は
あいつら冷蔵庫のブーンって音と同じくらいにしか思ってねえんだ
だって分んねえからな
伝わらない言葉なんて言語じゃねえのよ
雑音だよボス
屁の音だ

ボス、
あんたがどんなに偉い奴の言葉を引用しても
どんなにイカス奴について語っても
人は他人で着飾れやしねえんだ
偉人や名言や諺や難しい物言いはカフスボタンやリングじゃない
おれたちの前にはいつだって
素っ裸であんたがいるんだ
素っ裸だって気づいてないあんただけがいる
最初っから胸毛イカスだろ、って見せてくれりゃいいものを
着込みまくったつもりで俺らをサル呼ばわりする
それってすっげえカッコ悪い。
恥ずかしいんだ、ボス。

101: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/20 23:30:29 0yT9FEtv

ボス、叶わなかったけど
俺1回くらいはあんたと本音で話がしたかったよ
おそらく無茶苦茶平凡なことばっかり言うガキなあんたとね
ウィットに富んだスプーキー?
天才肌のアイデアマン?
あんたが気取ってるのは何なんだろうな
とにかくそいつらは全然魅力的じゃなかった
そいつらと話したいことはない
そいつらの陰に隠れて
どうしたらカッコ良くみえるか一生懸命頭をひねってる子供っぽいあんたに
(ボス、そんなあんたはちょっと可愛かった、)
そんなあんたに、俺からのギフトが以上です。

短い老い先、お元気で。

102: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/22 08:49:07 lm4yPlDF
    [ 二度寝 ]

カーテンからタンポポが零れていた
目覚まし時計の前に起きた日
つけっぱなしだったコンポからは拙いけれど懸命な声が流れている
それがあんまりにロマンチックなことを言うので
タオルケットと、毛布と、布団
春より暖かいベッドの上はどんどん広大になってしまう
腕を、脚を、
伸ばしても何にもぶつからない
さみしいな
自分の体温が
ゆっくりと返ってくるだけ

背中にしがみついて
腰に手をまわして
おでこをごりごりくっつけたい
瞼にキスして
目尻にキスして
同じ空気を半分コしたい
チーターのお母さんが子どもにするように
ざらざらで、
あったかく、
やさしくしてあげたい

ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリ

部屋を引き裂くアラームのベルを
鉤爪で掴んで黙らせる

こいつときたら

なんて冷たい金属でできているんだろう


次の曲もスローテンポなバラードで
カーテンからはヒマワリが滴っている
刃物みたいな目覚まし時計を抱えて
瞼を閉じる
どこか、違うところに
戻ってこられたならいいのに



103: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/22 10:22:55 lm4yPlDF
[ カラオケに行こう ]

カラオケってのはさ、
防音室ってトコに価値があるんだ
部屋の隣や、下の奴との仲がチベットと中国ぐらいに険悪になったら
緊急避難的に使えばいいんだ
だから君のお気に入りがリストになかったからといって
しょげる必要は全然ない
歌えばいいんだ、好き放題
あのボンクラマシーンがお気に入りを弾いてくれないんなら
自分で勝手に演るまでのこと
コードがちっとも分からないなら
その時の気分でジャーンとするし
ギターが入店禁止なら
あいつらが勝手にコーラスする
誰も付き合ってくれない時は
一人でフルでアカペラだ
これは忙しい
スティックから始めてギター、ギター、ボーカル歌ってそんでギター、ベース、キーボードいってドラム、ギター
1曲終わるころにはぜえはあ言うな
でも楽しいぜ
あのボンクラマシーンが提示してくる
マグロの切り身みたいなのを歌わされるよりずっとだ
というわけで
俺の超好きな曲を歌うから
テーブルを叩いてリズム部隊として参加してくれ
君も気に入ってくれたら最高だけど
駄目だったら次行けばいいさ
マイクはいらない
俺の声が消えちまうからな
マイクはいらない
君だけ聞こえてりゃそれで上等
考えとけよ、君が歌うやつ
俺いい仕事するよ
あの糞マシーンより
ソウフルでハートフルで、ユーモラスでデンジャラス
きっと恋に落ちちゃうな



俺の方が落ちちゃうかもな




104: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/22 11:09:34 lm4yPlDF
[パフォーマンスルーティーン]


おきる。
ねむい。
ねむい、ねむい、ねむい、ねむ…

コーヒー。

さめる。


くくる
くくる、きゅくる、くるるる、おなか。
くくるる、きゅうる、くるくくく、おなか。

トイレ。



朝の儀式がないと
一日は明けない



105: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/22 13:52:15 lm4yPlDF
[ヤマアラシのジレンマ]

僕らは一体どこで友達の作り方を教わるのだろうか
小学校?
幼稚園?
だとしたらそこからやり直さなくちゃいけない
頭の弱い子供の僕が
気付いた時にはカリキュラムはもうずっと進んでいて
「騙されない方法」や
「巧い噓の付き方」、
「他人を利用する方法」なんてことばかりノートに写し取っていたように思う
信じられる人間の生息地について、社会科ではやっていたのかな
心の内を素直に差し出す言葉を、国語で教えてくれていたのだろうか
僕はちっとも聞いていなかった
テストに出るという下らない事ばかりでノートを真っ黒にして
隣に座っている子の名前も知らなかった

今更だけれど
図書館やインターネットでこっそり探してみたけれど
友達の作り方は載っていなかった
何か必要なものがあるのだろうか
才能は、要るんだろうか
お金は、要るんだろうか
容姿は、大事なんだろうか
年齢は、大事なんだろうか
電車でおんなのこが言ってた
「やっぱやさしい人がいいよね」
東急ハンズに優しさ計測器なんてものが売っていなくて本当に良かった
僕の目盛りは限りなく0に近いだろうから
乗客みんなが見ている気がして
コートを深くして全てのスペックを隠した

106: ◆gCx3qPfymyIC
10/12/22 13:53:36 lm4yPlDF

周囲から伸ばされる手を未だに怖がっている
無遠慮な手は翅を砕いてしまうかもしれない
無神経に指紋を付けては鱗粉を削ぐかもしれない
撫でてほしい、ほしいけど
差し出される手をことごとく噛んできた
噛まれてでもと欲されるほど僕は魅力的じゃないから
周りの人間は順調にいなくなった
友達作りに歯と鉄の味は必要ない
歯と鉄の味は、僕を独りにするのに役立った


近頃あんまり静かなので
縫いつけていた目を開けて伺ってみたら
周りは僕のようなヤマアラシだらけだった
アレに触れたら痛いだろうなということは容易に想像ができる
そしてそいつらもまた、痛んでもと欲するほど魅力的には
僕には見えないのだった

友達というものを持っていると主張する人たちは
それはとても良いものだと僕に向かって吹聴する
その人たちはその人の友達たちとお友達ではあるけれど
その人たちもそのお友達たちも僕とはお友達ではないし、そうなることもない
抜いてしまわなければいけないのか、歯を?
蹂躙されるままでないと
噛まれ刺されるままでなければ友達にはなれないのだろうか
でも僕はあの人たちが好きじゃない
あの人たちが僕を好きじゃないように
同じくらい相容れないと思っている

空に向かって唾を吐いたら
そのまま僕に落ちてきた
そうだね
道理だ
僕が変わらない限り
世界は変わっていかないだろう
でもそんな気分じゃないんだ
過去も、今も
もうずっと長いこと
全く気乗りがしないんだ



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