カーリング・本橋麻里・マリリン part6

カーリング・本橋麻里 ..

24:雪と氷の名無しさん
06/12/06 00:34:43 G24zyU8w
「ねえ……。あたしってかわいいかな？」
ひたいにかかる髪を左手の指先で耳にかけながら、マリリンは少しかすれた声で言った。
ねえ、マリリン、どうしてそんなことを訊くの？　とボクは首を傾げた。
マリリンはとてもかわいいし、とても心優しい女性だと思うよ。ねえ、マリリン、どうしてそんなことを訊くの？
「ううん、なんでもないの。ちょっとだけ悲しいことがあっただけだから、ポチに元気づけてもらおうと思っただけ」
そう言って、マリリンは少しだけほほえんだ。
ボクは思う。マリリンは、みんなからかわいいと言われるたびに、ちょっとだけ心が傷ついているのだ。
マリリンは努力のひとだから、その姿だけをほめられるのが、ちょっぴり苦手なのだ。
やがて、リビングの外に広がる夜景を眺めていたマリリンが、
「あたしはお人形さんじゃないのにね。ちゃんと心のある人間なのにね」と呟いた。
マリリンはお人形さんなんかじゃないよ、とボクは言った。マリリンはマリリンだよ、世界でたったひとりのマリリンだよ。
するとマリリンは、ボクを見て少しだけ微笑んだ。ありがとうね、ポチ、と。

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