【長編】−−−−−【 ..
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734:花言葉のままに
10/08/10 22:20:20 X5A9Goxn
僕はその香りがしたと感じたら、すぐに振り返ってしまう。
たいていが気のせいだ。
勿忘草の香水をつけている人はほとんどいない。
彼女からもらったアトマイザーの中身はもう底をつきかけている。

そして彼女と別れてから気づいた。
あの匂いは彼女だけのものなんだ。
彼女の身体につけて初めて僕の愛する香りになる。
それでも僕は道行く人からあの香りを探しだそうとする。

彼女と別れてから、ずっと・・・。


ユノに香りを渡してからも私は勿忘草の香水を使い続けていた。
彼のためだけにつけていたものなのに。
だからこそ、今でも。

ユノと別れてからずっとつきあっていた彼とも別れた。
別れてからユノへの気持ちこそが本物だったとわかったから。
ユノへ連絡はしなかった。
会いたくてたまらなかったけど・・・。
二番目でいいなんて、ユノにも、ユノが本気で愛している人に対しても失礼だから。

それでも私は探してしまう。
ユノと同じくらいの背丈、輪郭、笑い声・・・。
きっとこのまま彼を探しながら過ごす日々が続くのだろう。
彼の面影を追って生きていくのも悪くないと思う。



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