【長編】−−−−−【 ..
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450:乙支路ノスタルジー[3]
10/05/18 21:32:19 bdgrZJAT
>>424
「ねぇもっとゆっくり食べれば?」夢中でがっつくユノが我に返ったように顔を上げた。
チャジャン麺のソースで口の周りを真っ黒にしながら、口いっぱいに頬張っていた。
「ぶっ!ハムスターみたい!」
ユノは私につられて吹きだしそうになり、口の中のものを飲み込もうとして喉を詰まらせた。
「ちょっと!ほら、水!もう子供みたいなんだから!」水をガブ飲みするとプハーっと安堵の息を漏らした。
「だってぇうまいけぇ」ユノはえへへと照れ笑いを浮かべた。
大盛りのチャジャン麺と酢豚はあっという間に無くなった。

「いつもネットカフェで寝てるの?」
「いんや、同じ練習生の友達の家に泊まったり、駅で寝たり、色々じゃ」
「駅!?野宿じゃない!なんでそこまで・・・」
「目標があるけぇのぉ平気じゃ。ジニさんは夢とかないんかぁ?」
「ジニでいいよ」
「ほいじゃジニ」
「OK。夢ねぇ・・・今就職活動中でね、私は文章を書くのが得意だから、
新聞社とか出版社とかを受けてるんだけど、なかなかうまくいかないの」
「そがな中途半端な意志じゃ他ん奴に負けるじゃろ。」
「う・・・そうなの。悔しいけどその通り。」
「未来の自分想像してみるんじゃ。こがなんどうじゃ、俺は歌手に絶対なるけぇ、
ジニは記者になって取材に来るんじゃ」
「いいね。今度から面接のとき、それ想像してみる!ありがと」
「いんや」ユノは唇にチャジャンソースをつけたままだったけど、意志のある目にドキドキした。年下のくせに。

私は二人分の会計を済ませ、店を出た。
「あ、ありがと。あの、これ俺の番号じゃ。もうすぐバイト代もらえるけぇ、お礼するけぇの」
ユノはぐちゃぐちゃのカバンをあさって、紙の切れ端に携帯番号を書いてくれた。
「気にしなくていいのに」
「いんや、俺も男じゃけぇ。ほいじゃーの」
「ねぇ、今日これからどうするの?」
「駅で寝るけぇ」そう言うと手を振って、走っていった。


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