【長編】−−−−−【 ..
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111:ホウセンカ[15] byJJソウル
10/04/23 01:26:25 V0Pxm8PN
―前回までのあらすじ
女遊びが祟って、事務所にスキャンダル封じの性処理のため、娼婦をあてがわれることになったジェジュン。
ジェジュンの元に現れたのは、釜山の安い置屋から東京で高級コールガールになるまでのし上がってきたミリョン。
だが、ジェジュンにはミリョンを抱く気など更々無かった。
事務所の干渉を避けるため、ジェジュンはミリョンを呼ぶだけ呼ぶが放置する。
拍子抜けを食わされたミリョンだったが、機転の利いたアプローチによって、すっかりジェジュンの心を奪ってしまう。
二人を繋いだものは歌と、複雑な生い立ちだった。
互いに激しく惹かれあう二人だったが、客であるジェジュンと私的に関係をもつことはミリョンにはご法度だった。
ジェジュンはそれでもミリョンを手に入れようとし、肉体関係の一切を持たず、ただミリョンと精神的な深い繋がりを重ねて行く。
しかしどこにも辿り付かない関係と、ジェジュンの直向さに心を痛めたミリョンは、一方的にジェジュンから去ることを選ぶ。
そしてジェジュンは・・・



ミリョンと最後に会ってから2週間が経った。
テレビ局での撮影を終え、ジェジュンはタクシーで帰路についていた。
今日でひとまず日本での仕事は区切りが着き、早々に明日韓国へ帰る予定だ。
映画の仕事が決まっており、半年は日本には戻らない。その前にどうしてもミリョンに会っておきたかった。
ミリョンの所属するエージェントに電話をかける。
「申し訳ございません。あいにくミリョンは本日はお休みをいただいておりまして・・・」
「あぁ、そう・・・」ジェジュンは電話を切り、力なく窓の外に目を向ける。
夜の繁華街を行く人々は、濃密さを増していく夏の空気に浮ついているようだった。
その中にふと、白い背中を見つけた。振り返ったその人はミリョンだった。
ピーコックブルーの背中の大きく開いた夏らしいドレスに身を包み、髪を上げていた。
ジェジュンの元へ訪ねる時のカモフラージュのパンツスーツ姿とは別人のようだった。
品の良さそうな初老の男にエスコートされ、華やかな笑顔を浮かべていた。
心拍数が上がる。二人はいつのまにかどこかへ消えていた。
ジェジュンは激しい嫉妬で血の気が引いていくのを感じていた。
ジェジュンは思った。これが娼婦という女を好きになるということなのだと。
深く呼吸をして、目を閉じ、感情の波が通り過ぎるのを待った。


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