無口な女の子とやっちゃうエロSS 2回目 at EROPARO
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400:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:11:39 j4Yjr9JS
 路地を抜けた先の公園の中、二人はベンチに座っていた。
 駅周辺にはもう一つ大きな公園があるが、そちらは反対方向だった。こちらの公園は二回りは小さい。
 だからだろうか。公園内には他に誰の姿もなかった。
「私、依子。依頼の依に子どもの子。あなたは?」
「……」
 少女は答えない。
「……言いたくない、とか?」
 ふるふると首を振る。依子の頭に疑問符が浮かんだ。
「えと、」
『みはる』
 少女が初めて口を開いた。
「え?」
『美しいに、季節の春で……美春』
 春のように澄みきった、美しい声だった。
 聞いた瞬間鳥肌が立つような、異様とまで言えるかもしれない質を感じた。未成熟な歳のせいもあるのかもしれないが、依子は小さく息を呑む。
「……歳、訊いてもいいかな?」
 動揺を気取られないように、依子は取り繕いながら尋ねた。
 美春と名乗った少女は、右の指を二本立てた。続けて左手の指を三本付け加える。
 一瞬意味を図りかね、
「二十……三?」
 うわ言のように呟くと、依子は驚きのあまり固まってしまった。見る者が見れば、その反応をとても珍しく思っただろう。
(歳上……てか大人? まさか)
 美春は何の感情もこもらない顔で依子を見つめている。
 冗談を言っているようには見えない。
「ご、ごめんなさい」
 とりあえず謝ると、美春は再び首を振った。気にしてない、の意思表示。
 依子はとりあえず安心するが、無口につられてか、次の言葉が出てこない。
「……」
「……」
 沈黙。
 微妙な空気をどうにか横に押しやって、依子は本題に入った。
「……私、ちょっと変わった特技を持ってるの」
「……」
「その特技は、信じてもらえるかわからないものなんだけど、それのせいで美春さんが不思議に見えたの」
「……?」
 初めて美春が表情らしき表情を見せた。訝しげな目を向けられて依子は怯む。
 よくわからないことを言っているのは自覚しているが、普段は全然気にしないのだ。なのにこの少女(とみなす)に対してはなんというか、ひどく落ち着かない気分になる。
 どこかで似たような感じを受けたことはあるのだが、とにかく今は続ける。
 依子は自身の能力のことを説明した。縁の性質から自分に見える世界、それに対して自分に何ができるか、何をしてきたか。事細かに話した。
 どこか機械的な口調になったのは、少女に対する違和感を意識から追い出したかったからかもしれない。
 説明を終え、依子は単刀直入に言った。
「美春さんには縁糸がほとんど見えない……。どんな人にも縁糸は繋がるのに、あなたは薄い、切れかけた縁糸しか持っていない」
 どれほど人付き合いの少ない人間でも、生きている以上何かと結びつくはずなのだ。
 だがこの少女は、ほとんど縁糸を持っていない。
「……」
 美春はちらりと後ろを見やった。
 何を見たのか、依子にはわからなかった。美春の視線がこちらに戻る。相変わらず感情の乏しい顔だ。
 と、

(聞こえる?)

 頭に柔らかい声が響いた。
 いきなりの出来事に、依子の体はびくりとすくんだ。
 なにが、と混乱しそうな頭に続けて声が流れ込んでくる。
(落ち着いて。思念を飛ばしてるだけ)
 依子は目を丸くする。ほとんど反射で隣の少女を見据えた。

401:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:15:40 j4Yjr9JS
 美春は慌てた様子もなく、頷きを返した。
「え……?」
(そう)
 音なき声が内に囁く。
(気にしないで……こっちの方が話しやすいから)
「…………えー」
 気にするなと言われても。
(……あなたも似たような力、持ってるんでしょ)
「いや、全然違うよ……」
 何なのだろうこれは。多くの人に会ってきたが、こんなことも、こんな相手も初めてだった。
 思念ということはテレパシーのようなものだろうか。霊能に関しては多少の知識を持っていたが、超能に関しては当然ながら専門外である。一般的には違いなどないだろうが、依子には大きな違いだ。
(不思議?)
 美春は少しだけ得意気な様子だった。
「……」
(心を読み取るとかは……できないよ)
「え?」
(だから喋って)
 そんな言葉こそ心を読んだかのようで、依子はどきりとした。
 それでもうん、と答えたのは、やはり使命感のようなものがあったからだろう。
(私の縁……希薄なの?)
 頷きを向けると、美春は目を細めた。
(……その糸って、霊にもできるものなの?)
「え?」


 変な言葉を聞いたような気がした。
 霊?
(別に幽霊じゃないけど)
 先回りの思念が依子の疑問をうち払った。
「……本当に、心を読んでないの?」
(幽霊か何か……だと思った?)
 失礼ながら思った。
 容姿が子どもだったり、思念を飛ばしたり、縁糸がなかったり、特殊要素が多いために「実は幽霊なの」と言われても、そっちの方が納得できる気がしたのだ。
 美春は軽く溜め息をついた。
(……間違いでもない)
「……何が?」
(幽霊)
「え? だって今、」
(死んでないだけ。それ以外は幽霊なんかと変わらない……かも)
 またわからなくなってくる。何を言っているのだろう。
 美春は言った。
(私は、生きた霊なの)
 脳に響く声は、どこか寂しげだった。
「……生霊? ドッペルゲンガーとか、そういうやつ?」
(知ってるの?)
 頷きながら本家で学んだ知識の記憶を掘り起こす。
 ドッペルゲンガーとかもう一人の自分とか呼ばれるものは、大抵が生霊だと言われる。
 彼らは死霊とは違い、生きている。元の人間の魂からなんらかの原因で分裂し、自我を持った魂が生霊の正体だ。
 話には聞いたことがあるが─
「……」
 中学生くらいにしか見えない自称二十三歳の少女は、睫毛を右手で小さくいじっている。
 その挙動は少しも不自然ではなく、どう見ても人にしか見えない。縁糸の薄弱さだけが浮いている。
(説明……するね)
「うん」
 語り出す美春。

402:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:19:15 j4Yjr9JS
(……私の『本体』は病弱な人で、いつも寝たきりだった)
「……」
(あるとき容態が悪化して、その人は死にたくないと強く願った。そのとき私が生まれたの)
 その説明は多くのドッペルゲンガーの誕生と同じものだった。彼らは、死にたくないという想いから生み出されたもう一人の自分なのだ。
(元々霊力は強かったみたいだけど、制御する力を持ってなかった。たぶん、私が生まれたのは本当に偶然だったんだと思う)
「……」
(最初は自分のことがよくわからなかった。しばらくして、本体と出会って、初めて自分のことを理解した)
「……」
(やがて本体が死んだけど、私は生きていた。私は魂だけだから、病気とかにはならないみたい。私はその人の代わりに、その人の分まで生きていこうと思った。でも……)
「……でも?」
(声が……)
 声? 急に出てきた言葉に依子は戸惑った。が、すぐに今、彼女は声を出していないということを思い出す。それと関係があるのか。
「……声が、どうしたの?」
(……言霊って、知ってる?)
 心臓が跳ねた。
「……言葉に霊力を乗せるあれのこと……だよね?」
(そう)
 それのことはよく知っている。依子は姉のことを思い出す。あの人も、言霊の力に左右されていた。
(誰かと話して、すぐに言葉の異常に気付いた。私が何かを言うと、誰もが暗示にかかったかのように放心した)
 彼女もまた、言霊の力を持つのだろう。それも、相手が意識を保てなくなる程の言霊だ。彼女の霊力の強さが窺える。
(だから私は喋らないことにした。喋らなければ……問題ないから)
「それで思念を……?」
 そのとき、美春が微かに笑んだ。
 幼い顔に映るには不自然な、大人びた微笑み。
(思念を飛ばしても……それを気味悪がる人も多い。だから……私は他人と関わりをほとんど持たない)
 達観と諦念が入り混じった微笑。
 依子はその顔にようやく気が付いた。
 この人は姉に似ているのだ。言霊だけではない、まとう空気や、表情が。
 あの人も底知れない気配を見せ、こんな風に寂しく笑う。
 思念を飛ばす力はないが、二人はよく似ている。落ち着かないのはきっとそのためだろう。容姿も話し方もまるで違うが、依子には重なって見えた。
 ちょっとだけ苦手な雰囲気。
 だが決して嫌いではない。ペースを狂わせるところまで姉と似ていたが、懐かしさの方が勝った。
 これも名残の一つなのかもしれない。
「……友達とか、いないの?」
 美春は微笑を消し、
(……元々一ヶ所にとどまることがないから)
「……」
(それに私は歳を取らない……この体も、十年前から変わらない。そんな私が他の誰かと共に生きるなんて、無理)
「そんなこと、」
(無理……言葉を使わない、戸籍も持たない。歳さえ……重ねることがないのに)
 何の感情もこもらないようにしているのだろう。美春の言葉は無機質に満ちていた。
 きっとこの人は、自分なんかよりもはるかに複雑な時間を過ごしてきたのだろうと思う。
「……友達なんていらない、ってこと……?」
(そういうの、だいぶ前に考えなくなっちゃったから)
「……」
 執着が感じられない言葉に依子は落胆する。
「……私じゃ、駄目かな」
 うつむいて、出た言葉はそれだった。
(……?)
「私とは普通に話せているもの。私じゃ友達にはなれない?」
 美春は一瞬金縛りにあったように押し黙った。ひどく驚いたようで、目を眩しげにしばたたいている。
(なんで……?)
 問われてもすぐには返せなかった。
「え……それは」
(同情?)
「! そんな失礼なこと言わないよ!」
 あまりと言えばあんまりな物言いに、依子はつい声を荒げた。

403:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:21:32 j4Yjr9JS
「私が友達になりたいの。それ以外何もない」
 美春は息が詰まったように固まる。
 依子はじっと相手を見つめる。
(あなた、変わってる)
「美春さんほどじゃない」
 少女は唇を小さく緩ませた。
(でも……友達って具体的にどうすればいいの?)
「は?」
(何か、ある?)
 依子は答えに窮した。
 友達の定義とはなんだろう。基準が果たしてあるのだろうか。
 けっこう根元的な問いに悩み込む。
(冗談)
 美春の思念に依子ははっとなった。
(好きに思えばいい……それは人の自由……だから)
 じゃあ思わせぶりなことを言わないでほしい。依子は拍子抜けする。
 でも、
「友達になってもいいの?」
(あなたがそうしたいなら……私は構わない)
 その思念を受けて、依子はとても嬉しくなった。今日一番の笑顔が自然とこぼれた。
(いつまでこの町にいるかはわからないけど……しばらくよろしく)
「─うんっ」


 自分よりも大きな少女が公園から出ていくのを見送りながら、美春は自身の魂が弱まっているのを自覚した。
 彼女はここ最近、ろくに『食事』を摂っていないのだ。
 このままでは長くは持たない。どこか『食事』の摂れる場所を探さなくては。美春は背後に思念を飛ばした。
 あきら。
 名を呼ぶと、小さな返事が返ってきた。が、それは周囲の大気を微塵も震わせない。
 美春にだけ聞こえる、声なき声。
 美春に付随する唯一の存在。彼女を守護し、彼女が保護する浮遊霊、明良。美春はそれに話しかける。
(ここでいいの?)
 肯定の返事が返ってきた。美春は周囲に注意を向ける。
 集中して辺りの気配を探ると、確かに何体かの霊の存在を感じ取れた。
(……でも悪霊じゃないみたい。外れね)
 後ろから抗弁の意思。
(嫌。寝覚めが悪いことはしたくない)
 言葉なしに意思を伝え合う。
(とにかくここにはいないから別の所へ。大丈夫。まだしばらくは平気だから)
 美春は立ち上がり、出口へと向かう。
 生霊とは言ってみれば、魂が剥き出しになっている存在である。しかし死霊とは違い、彼らは生きている。
 体という、魂を入れておく『器』がないため、彼らの魂は安定を欠く。そのため、体を持つ生物よりも速いペースで命を削っているのだ。
 加えて元々一つだった魂が分かれてしまった存在であるため、その分寿命が短い。
 生霊がその存在を保つためには、誰かの命を吸い取らなければならないのだ。
 美春は生きた人間からは命を取らないようにしている。命を吸い取る相手は悪質な霊だけだ。死霊にも一応微細ながら魂が存在するので、その残りカスを奪うのだ。
 魂を奪われた相手は消滅する。それを成仏と言うのかどうかは知らないが、相手が消え行く様は見ていて後味が悪い。だから、美春は悪人しか食べない。
 高尚的意味合いはまったくない。これはただ、自分のエゴなのだ。精神的負担を軽くするためだけの誤魔化しにすぎない。
 それでも美春は食べる相手を選ぶ。

404:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:24:26 j4Yjr9JS
 公園を出て、美春は明良の示した方向へと進む。さっきの少女が進んだ方向と同じ道だ。
 ─私が友達になりたいの。
 先程の言葉が蘇る。頭の中で少女のポニーテールが揺れた。
 あんなに真剣な言葉を他人から吐かれたのは久しぶりだった。そのためだろうか。早まる動悸が苦しいくらいに胸一杯に広がっていくのを感じた。
 以前にも何人か声をかけてくれた人々はいた。だが、あんなに簡単に身の上を明かした相手は初めてだった。
 会話が楽しいと、少しだけ思った。
 不思議な少女だ。他人に対して随分と警戒の薄い、自分とは反対の立ち位置に彼女はいる。
 それを美春は羨ましいと思う。自身の力にさえ警戒し続けている自分とは全然違う。
 それは彼女が言っていた、縁の力に影響されてのものなのだろうか。
(……)
 詮なきことだ。美春は物思いを払い、歩みに集中した。
 周囲の霊的存在に意識を向け、食事のできそうな場所を、

 ざあ──

 瞬間、皮膚が粟立つような感覚に捕われ、美春は麻痺したかのように立ち尽くした。
 その感覚は、まるでラジオのノイズ音のように不快な種のもの。
 強力な霊の波動。感知のあまり得意でない美春にさえはっきりと感じられ、それと認識すると、美春は感覚の走った方角へと急いで駆け出した。
 視界の先に見えたのは小さなバス停の標識。
 その一角には先程会ったポニーテールの少女が、手持ち撫沙汰に佇んでいた。
 他に待っている客は一人しかおらず、周囲に人の姿はない。夕方の街中の間隙を突くような、一瞬の寂れた空間。
 美春はポニーテールの少女の背後に鋭い視線を送った。スーツ姿のもう一人の客が、薄く笑うのが見えた。
 少女は気付いていない。
 あいつだ。そう確信したのも束の間、男が両腕を振り上げるのと、美春がバス停まで十メートルの距離に近付いたのは同時だった。
 間に合わない─

『やめてっ!!』

 反射的に放った大声は、強烈な霊波を乗せて男の体を硬直させた。
 男は一瞬の硬直から解かれると、美春の姿に怯んだように身を翻した。飛び退るように逃げる相手に、美春は後を追う。
 猫のように少女の後ろをすり抜け、あっという間に男の逃げた路地裏に飛び込む。
 後方から呼び掛ける声が聞こえたような気がしたが、美春は無視してビルの隙間を縫って行った。


「よくも邪魔してくれたな……」
 男の低い声が廃ビルの一階層に鈍く響いた。
 裏路地の一隅、半年後に取り壊されるビルの内部で、美春は男と相対していた。
 薄暗い一階ホールは埃が積もって少し息苦しい、と普通の人間なら思っただろう。美春にとって呼吸動作は生命維持に関わりのないものなので、不便はなかった。
 改めて男を見据える。
 中肉中背。スーツ姿。七三分け。
 一見すると無個性の塊のようだが、美春は誤魔化されない。さっきあの少女に手を伸ばそうとした動きは、美春には明確な異常動作として映った。
 いや、生霊達にとっては正常な動作かもしれない。あれは相手の魂を食べるときの、最もありふれた動きなのだ。
 直接相手の魂を握り掴み、そのまま自身に取り込む。美春自身、何百回も繰り返してきた動きだ。
 今回は、標的が人間だっただけで。
(あなたも、生霊……ね)
 思念を飛ばすと男は驚いたように目を見開いた。
「思念伝達か。変わった力だな」
(生きてる人から命を取ったら大騒ぎになる。もっと考えた方がいい)
 男は嘲りの笑いを漏らした。

405:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:26:46 j4Yjr9JS
「あんたも生霊か? ならわかるはずだ。生きた人間から吸い取った方が効率がいい。死霊どもの残りカスなんぞを何十も集めるより、人一人食った方が長生きできるじゃねえか」
 そんなことは知っている。だが、この男が狙ったのは……
(なぜあの子だったの?)
「あんまり警戒してないようだったからな。魂の質も綺麗だったし、あの娘を食えば最低十年は生きられる。ひょっとしたら倍は行けたかもな」
 低音質の声には、恨めしげな感情が込められているようだった。
(……あの子は私の知り合いなの。他の人なら別に口出しはしないけど、あの子は駄目)
「……なんだ、あんたの餌だったんだな。そりゃ悪かった」
 その物言いに、美春の目に微かな険が生まれた。
 いつもの美春なら聞き流せただろう。他人と関わり合うことを避ける美春は、怒りや悲しみを表に出さないようにしている。感情の乱れは他人に付け入る隙を与えるからだ。
 しかし、
(餌じゃない)
 強い思念が叩き付けるように放たれた。
「は? 何が?」
(あの子は……そんなんじゃない)
 喧嘩を売る気も怒りをぶつける気も、どちらもなかった。そのはずだった。
 だが、思念には妙に熱がこもる。争う気はないはずなのに。
(あの子は……)
 きっと嬉しかったのだろう。何の制限も遠慮もなく、友達になりたいと言ったあの少女を、美春はとても嬉しく思ったのだ。
 それを貶める態度も発言も、美春は許せなかった。
(あの子は……私の友達。餌なんかじゃない)
 強い意思をぶつけると、男は呆れたように鼻を鳴らした。
「気に入らねえ。善人ぶっても、人間らしくあろうとしても、俺達は他の誰かを食わなきゃ生きていけないんだ。生霊は生霊であって、人間とは違うんだよ」
(……)
 それはそのとおりだった。実際こうしている今も、美春は魂を削って生きている。できるだけ早く誰かの魂を吸い取らなければ、消滅してしまうのだ。
 だが、それとわかっていても美春は、
(あの子に……手出しはさせない)
「じゃああんたの魂を貰おうかな。他の生霊に会うのは久し振りだが、相性悪いみたいだしな」
(……)
「食事の邪魔されて気が立ってんだ。悪く思うな─よっ」
 短い呼気を漏らし、男は一息に突進してきた。
 美春はすかさず横に跳び、距離を取る。こういうときはどのような対処が一番なのか、頭は迷ったが体が先に動いた。
 警戒を崩さず、相手を注視する。男は振り向き、獰猛に笑った。
「なかなか骨が折れるな。その分旨そうだ」
 恐らく触られただけで魂を持っていかれるだろう。この男は『食事』に慣れすぎているように見えた。美春よりも何年も長く生きている、いわば格上の生霊。
 美春は決める。この男を食べよう。そうすれば少なくとも人間の犠牲は増やさずに済む。
 正義感とは違う。あのポニーテールの少女に手を出させないため。こいつをここで呑み込む。
『動くな!』
 声を張り、喉の奥から言霊を放つ。言霊の利点は声の届く範囲全てが射程距離になる点だ。建物内では逃げ場はない。
 果たして男の体が止まった。美春は一気に魂を奪おうと距離を詰め、
 目の前から男の体が消えた。
(!?)
 目が追い付かない。言霊に縛られていたはずの男の体が、背後に回る気配を感じた。
 まずい。
『来るな!』
 夢中で叫び、前方に転がり込むように逃げる。男の動きが一瞬停止し、間一髪一撃から逃れた。
 すぐさま振り向いて正対する。同時に美春は焦りを覚えた。
 言霊が通じない─?
 効果はある。だが持続は一瞬で、男は三度放った言霊の拘束全てから抜け出していた。
 恨めしくも強力な武器の一つであった言霊が通じないとなれば、美春にとって不利なことこの上ない。
「さっきから妙な力使いやがるが、たいしたことないな。言葉に霊波を乗せて暗示をかけてるようだが、その程度の貧弱な霊波じゃ虫も落とせない」
 馬鹿なことを言うなと思う。言霊の制御は未熟だが、それでも普通の人間や霊相手には充分な効果を発揮していたのだ。だからこそ戒めていたのにこの男は。
「生霊としてもまだ若すぎる。とっとと食わせてもらう」
 そう言うと、男はゆっくり歩を進めてきた。
 闇雲に突っ込んで来てくれた方が美春としては隙を突きやすいが、それをさせてはくれないようだ。

406:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:28:38 j4Yjr9JS
 ならば、こちらから隙をつくる。
 美春は隅の方にじりじりと下がると、壁に立て掛けられていた短い箒を手に取った。
 見たところ実体以外に変化するような能力は持っていないようだ。幽体には物理攻撃は意味をなさないが、実体ならダメージを与えられる。
 箒の柄の部分を先にして、両手で前方に突き出すように構える。剣や棒の心得はないが、相手を近付けさせないという意味では多少なりとも有効なはずだった。
 男はニヤリと笑みを浮かべた。
「そんなものでどうにかなると思ってんのかよ」
 美春は角を背に、男を強く見据える。
 逃げ場はない。コーナーを背にしている美春に、男は慎重ににじり寄る。
 美春は歯を強く噛み締めた。慎重すぎる。駄目か。
 再び言霊を当てようと、息を吸い、
 先に男の手が伸びてきた。喉を抑えられればもう言霊は使えない。その前に体に触れられた瞬間から魂を食われる。
 それがチャンスだった。
(明良─)
 言霊よりも、男の動きよりも、思念の呼び掛けの方が早かった。
 呼び掛けた瞬間、美春と男の間に突然十五歳くらいの少年が現れた。
「!?」
 驚きで鈍ったのか、緩慢に伸びてきた男の腕を少年は上に捌く。
 そして美春の突き出していた箒を掴むや、男の胸を正面から貫いた。
「がっ!」
 呻く声を気にもかけず、少年は遠慮会釈なく突進する。
 そのまま前方に押し込んでいき、入り口の扉に磔にするようにぶつけた。
「あ……ぐ……」
 苦しみに喘ぐ男。刃物でもなんでもないただの箒を無理矢理力のみで突き刺した少年は、小さく息をついて後ろを振り返った。
 美春は微かに笑むと疲れたような息を吐き、男へと歩み寄った。
(……)
「なんなんだこいつは……どっから沸いた」
 男の苦しげな声に思念で返す。
(やっぱり……あなたは『感知』が苦手みたいね)
「な、に?」
 バス停で見たときからひょっとしたらとは思っていた。美春には気付いても、明良に気付いた様子はなかったから。
 美春が思念で答えるより早く、少年が口を開く。
「俺はずっと美春の隣にいたよ。気配をできるだけ消してたから、あんたは気付かなかったようだな。魂摂取や霊的防御みたいな正面からの対処は得意でも、広い範囲での感知や操作は不得手のようだ」
「……てめえは、守護霊か……」
「俺は魂摂取が苦手で、美春から魂を分けてもらっている。その代わり、いざというとき美春を守るのが俺の役割だ」
 普段は幽体でいるけどな、と明良という名の少年は無表情に答えた。
 男は苦々しい表情を浮かべた。
「こんなところで……終わってしまうとは、な」
 胸には銛のように箒が突き刺さっている。出血や内臓損傷というのは生霊であるためないが、魂そのものが実体化しているため、大きな怪我は直接魂の破壊に繋がる。
 新たに誰かの魂を食べなければ、このまま消滅するだろう。
 もちろん、そのまま放っておくような真似はしない。
(いただくわ……あなたの魂)
 近付き、おもむろに腕を伸ばす。
 そのとき、男が不意に笑った。
 怪訝な様子に美春は固まる。
(……何?)
「……」
 男は答えない。
 明良が訝しげに男を睨む。
 男の腕が箒を掴んだ。力を込め、どうにか引き抜こうと動かす。
 まだ動けるのか。美春はとどめを刺そうと、ショベルカーで刈るかのように男の頭に腕を振り下ろした。
「! 待て、美春!」
 明良の声が響くのと、男が持たれかかっているドアが後ろに開いたのは同時だった。
 開いたドアの先に、綺麗な顔が見えた。
 美春の手は止まらなかった。
 男の魂を体ごと削り取り、それに巻き込まれるように少女の体が袈裟に流れた。
 ポニーテールが秋の夕空の下、すすきのように揺れた。

407:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:32:40 j4Yjr9JS
 直接少女の魂を食べたわけではない。
 あくまで美春が狙ったのは男の魂であり、少女はそれに巻き込まれただけである。だが無傷ではなく、少女の魂にはひびのような傷が刻み込まれてしまった。
 否、刻み込んだ。
 故意ではなかったとはいえ、美春がその手で少女を傷付けてしまったのだ。
 呆然と膝をつく美春を尻目に、明良は気絶した少女を抱き起こす。
「……大丈夫。魂に傷はあるけど、まだ充分間に合う。美春ならこの程度問題なく治せるだろ?」
 美春は答えない。
 放心した表情は地面をぼんやりと眺めている。
「おい!」
 明良は相棒の肩を乱暴に掴んだ。
「まだ間に合うんだ。後悔は後でいくらでもできる。今はできることをしろ。美春にしかできないんだからな」
 顔を近付けて強く叱咤すると、美春はゆっくりと頷いた。
 少女を美春の膝に移す。美春は優しくいたわるように少女の頭を撫で、マッサージをするように体を撫で回していく。
 魂操作を得意としている美春は、他者の魂の傷を治したり、魂を送り込んだりできる。その分感知は得意ではなく、明良がその穴を埋める立場だ。
 にもかかわらず、少女の接近に気付くのが遅れた。そのことを明良は許せなく思った。
(もっと早く気付けるはずだったのに……何やってるんだ俺は!)
 男にダメージを与え、戦闘はほぼ終わったと油断していたのかもしれない。
 しかしそんなことは言い訳にもならなかった。
「どうだ。治りそうか?」
 努めて冷静に問い掛けると、美春は小さく頷いた。
(一応……ただ、安定していた魂を何の準備もなく傷付けたりくっつけたりしたから、何か異常が出たりする……かも)
「具体的には?」
(視力とか、感覚機能の低下とか……)
「そうか」
 明良は少女を見やり、次いで美春を見やった。
「起きたら事情を説明しよう。それで異常がなかったら問題ない」
(……ん)
 美春の顔は曇ったままだ。
 溜め息をつきかけて、明良は慌てて我慢する。自分まで落ち込んでしまったら、もっと空気が重くなる。
 しばらくして、
「ん……」
 か細い呼気を漏らして、少女がゆっくりと目を開けた。
 美春が勢いで覆い被さるように少女の顔を覗き込む。
「…………みは、るさん?」
(気が付いた? 大丈夫? おかしいところとかない?)
「え? あの……」
 少女は戸惑った様子で体を起こすと、周囲を見回した。
 明良は何も口を出さない。さっきまで話していた美春に対応を任せた方がいいだろう。
 現状をうまく把握できていないのだろうか、少女はしきりに目をこすったり、周りをじっと見つめたりしている。
(……どうしたの?)
「……ううん……何も」
(何があったか覚えてる?)
「えっと……」
 少女に思念で語りかける相棒を確認すると、明良はビルの外へと向かった。さっきバス停前に置き去りにしていった荷物を取りに行く。
 ビル内では美春が少女に事情を説明し続けている。


 旅行バッグを引いて戻ってくると、座り込んだまま二人が沈黙していた。
 なんだか妙な空気になっている。明良は軽く頭を掻いた。
「何だ? どうしたんだ?」
 心配になって美春に問い掛けると、首を振られた。
(なんでもない……この子を送っていきたいから、行こうか)
 弱々しい思念の波に、逆に心配が増す。
 ポニーテールの少女はどこか気が抜けたような顔で、ぼんやり床に視線を落としていた。

408:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:34:52 j4Yjr9JS
 何も言わなくなった美春の手を引きながら、明良はすぐ近くのビジネスホテルに入った。
 ポニーテールの少女を送った後(家まで送るつもりだったが、断られたのでバス停までだったが)、日も暮れてきたのでどこか寝床を探そうと歩いて、十分程で見つけた場所だ。
 裏通りに面した小さなホテルで、あっち目的で使われることの多そうな雰囲気だったが、休めればどこでもよかった。
 受付でチェックインをする。明良は二人、と人数を伝え、空室を確認した。
「美春。頼む」
 そこでバトンタッチ。ここからは美春の役割だ。
 美春は前に出ると、従業員に向かって囁いた。
『私達をただで泊めて』
 瞬間相手の体が強張り、虚ろな顔になった。
『私達の宿泊記録を残さないで』
「……」
『他の従業員達にもうまく言っておいて』
「……」
 それだけ言うと美春は鍵を受け取り、踵を返した。言霊の縛りはしばらく続くので、当分はゆっくり落ち着けるはずだ。
 二階の隅部屋に入るとベッドが二つあった。荷物を端に置き、二人はベッドに腰かける。
「……長い一日だったな」
(……うん)
 美春の表情は晴れない。
 明良には、何があったのか問い正す気はあまりなかった。なんとなく聞いてほしくないと思っているような気がしたからだ。
 代わりに言ったのは別のことだ。
「実体になるのも久し振りだな。半年振りくらいか?」
(……うん)
「声を出すのも久し振りだ。五感を働かせるのはやっぱりいいよ。生きてる実感が湧くから」
(……うん)
「……疲れただろ? 普段あまり使わない言霊を、今日は使いすぎなくらい使ったからな。もう休もう」
(……うん)
 言葉が途切れた。
 明良は言葉を探すが、何も出てこない。こういうときこそ支えてやらなければならないのに。
 もっとも、原因がわからないままでは対処のしようもないが。
(ねえ……)
 不意に思念が頭に響いた。
「ん?」
 それにできるだけ変わらぬ口調で短く返す。
(明良は……友達欲しいと思ったことは、ある?)
 少しだけ、意表を突かれた質問だった。だが心情はすぐにわかる。
「……昔は、な。今は、特には」
(……私もそう思ってた)
「……」
(でも……今日あの子と会って、思っちゃったの。友達になれればいい、って)
「……いいんじゃないか」
(駄目だよ……私、あの子を傷付けてしまったから)
「許してくれなかったのか?」
(わからない……心は読めないもの)
「……」
(友達になれればいいって……本当に思ったんだよ……)
「……ああ」
(なりたかった……でも、やっぱり駄目だよ。一緒にいたら、今日みたいに巻き込んでしまうから)
「……今日のは事故だろ」
 あのスーツ姿の男を恨めしく思った。最期妙な動きを見せたのは、これを狙ってのことだったのかもしれない。助からないと悟るや、せめて嫌がらせをしてやろうと、タイミングよく扉を開いたように見えた。
 邪推が過ぎるかもしれないが、明良はそう考えている。もっと動けないくらいに魂を壊しておくべきだった。
 それでも、あの男を食って、美春は今生きている。
 それだけは確かで、喜ぶべきことだった。

409:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:37:01 j4Yjr9JS
「とにかく、気にするな。下手したらあの子は死んでたかもしれない。傷付けたのはお前かもしれないけど、それを救ったのもお前なんだ。悔やむことはない」
(……ありがとう)
 感謝の台詞に明良は嬉しくなってはにかんだ。
「ほら、もう寝ろよ。疲れただろ?」
(うん……)
 美春はしかし横にならず、腰を上げて明良の隣に移動した。
(明良……)
「……何」
(久々に……抱いて)


 生霊の持つ欲求で欠かせないものは、せいぜい食欲くらいなものである。
 それも一般的な食事ではなく、魂を食らう食事なので、普通の人間が持つ欲求を、彼らは基本的に必要としない。
 ものは食べれるし、水も飲める。眠ると気持ちいいし、お風呂に入るのも心地よい。が、それらは決して不可欠ではないのだ。
 それでも楽しい感覚を、心地よい感覚を捨てることはない。
 だから、生霊も性行為をする。実体があれば人間と同じように交わることができる。
 裸の少女を下にして、明良は自身の逸物をズボンのチャックから抜き出す。既に屹立したそれを、少女の頭に近付けた。
「舐めて……」
 少女は顔を真っ赤に染めながらも、おずおずと舌を伸ばした。
 小さな紅い舌が先端に触れるや、強烈な快感が脳を揺さぶった。
「く……」
『……あ……んむ』
 さらにそのまま亀頭をくわえ込まれ、新たな電流が走る。
 明良は右手を相手の下腹部に伸ばした。
『ひ……あっ』
 霊波の乗った色っぽい声が、明良を陶酔させた。喘ぎ声まで言霊の力がこもっており、それが行為に夢中にさせる。
(気持ちいい……?)
 思念が具合を問いてくる。決まりきった答えを明良は律儀に返した。
「よすぎだ……もう繋がりたい」
(ん……いいよ)
 美春は棒から口を離すと、にこりと微笑んだ。
 いつもならもっと輝く笑みなのに、今日はやや翳が差している。明良は胸が締め付けられそうになった。
 体勢を正し、正常位に入る。腰を落とし、少女の股の間にあてがう。
「行くぞ」
(うん……)
 一気に奥まで挿れた瞬間、美春が大きく喘いだ。
『あああっ!』
 半年振りの叫声は、我を忘れそうな程に刺激的だった。
 少女の秘所は狭い。美春の体が十三歳で止まっているためだ。胸も膨らみはほとんどなく、幼さが目立つ。
 明良にとっては一番の体に思えた。己が愛し、守ると決めた女の子の体なのだ。魅力的に見えて当たり前だと思う。
 腰をぐっと奥に突き入れる。
『あんっ!』
 色っぽい喘ぎと共に、少女はのけ反って体を震わせた。
 二度、三度と連続して腰を打ち付けると、綺麗な声が取り乱すように響く。
『あっ、あっ、やっ、すご、いっ、あぁ』
 凄いのはお前の中だ、と明良は内心余裕を失っていく。肉棒全体が激しく肉圧でしごかれているみたいで、先走り液が中の愛液と激しく入り混じる。
 顔を胸に寄せ、小さな乳首をちろちろと舐めてやる。前後に強く体を動かしながら、明良は二つの突起物をひたすらに弄った。
『あきらぁ……きもち、いいよ……』
「俺もだよ……」
 体を揺すり、中をかき混ぜるように大きく動いた。美春の体は感電したかのようにびくっ、びくっ、と反応する。

410:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:39:54 j4Yjr9JS
(ねえ明良……)
「なん、だよ」
(ずっと、一緒にいてね……私が、他の誰とも交わらなくても、あなただけは……)
 つまらないことを言う。
「俺はお前の家族だ。ずっとお前を愛するし、ずっとお前のそばにいる。美春も、そばにいてくれるんだろ?」
(明良……)
「俺だって……一人は寂しいんだ。美春と一緒じゃなきゃ……いやだ」
(明良ぁ……)
 美春の目に涙が浮いた。
 どちらからともなく二人は同時にキスをする。
 舌を絡め、唾液を吸い合い、夢中で唇をむさぼる。愛しさが苦しくさせて、たまらない気持ちになった。
(あきら……わたし、もう)
 弱々しい思念に明良は頷く。
「ああ、一緒にな」
 頷き合い、明良は絶頂へ向けて鋭く腰を動かした。
『ああっ! んはっ!』
 言霊の力がさらに増し、明良の理性を塗り潰していく。催眠状態に陥るように、意識が飛びそうになる。
 性器同士の摩擦が激しく互いの感覚を上らせていく。液が飛び散り、ぐちゃ、ぐちゃ、といやらしい音が耳を溶かした。
 もう我慢はできそうになかった。
「美春! もう─」
 一分一秒を争うかのように高まる射精感が、明良の意識を真っ白に染めていく。
 しかし、先に絶頂を迎えたのは明良ではなかった。
『ひゃ、ひあっ、うん、あっ、あっ、あっ』
 無茶苦茶に声を上げながら、明良の肩を懸命に掴む。耐えるように、すがるように、美春は明良を見つめる。
 そして、
『あっ、ああっ、だめ、いっ、あ、あっ、ああぁぁ──っっ!!』
 甲高い絶頂の声が明良を最大限に陶酔させ、同時に強まった締め付けが、あっけなく射精を促した。
「うわっ、うっ」
 未成熟な少女の胎内に、少年の欲望の液が大量に注がれていく。
『あ……出てるよぉ……』
 しばらく続く射精感に身を任せ、明良はそれが止まるまで丁寧に中に擦り付けていた。

411:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:42:37 j4Yjr9JS
 合計三度愛し合った二人はベッドに倒れ伏し、互いに何も喋らなかった。
 気持ちいい倦怠感に包まれて、明良はこのまま眠ってしまおうと目を閉じ、
(ごめんね明良……)
 思念が来たので目を開けた。
 横に目を向けると、美春がこちらを見つめていた。
「なんだよ、どうした?」
(明良が一緒にいてくれるのに、私、友達が欲しいと思っちゃったから……)
「……いや、別に謝る必要はないだろ」
 美春は不思議そうな目になる。
「いてもいいだろ、友達。俺だって欲しいし、美春に友達ができたら俺も嬉しい。なんで謝る?」
(……)
「むしろ謝る相手は別だろ。ちゃんとあの子に謝ったか?」
(うん……でもあの子、ずっと放心してたから、きちんとはできてない)
「……何があったんだよ」
 今なら訊いても大丈夫だと思い、尋ねる。
 すると美春は顔を曇らせ、唇を噛んだ。
(私、あの子の大事なものを壊してしまったかもしれない……)


 遠藤守が自宅アパートに帰ってきたのは夜八時を回ったところだった。
 秋の夜風に小さく身震いしながら、守は階段を上り、部屋の前に辿り着く。
 ……部屋の前にいとこの少女が座り込んでいた。
「依子ちゃん」
 二ヶ月振りのいとこの姿に内心嬉しくなったが、少し様子がおかしかった。
 依子はうつ向いた顔を上げ、こちらを見つめてきた。
 そして立ち上がるや、いきなり胸に飛び込んできた。
「ど、どうしたの?」
 焦りながら守は依子を受け止める。小さく体が震えているように見えた。
 依子が微かな声で呟く。
「マモルくん、私……」
「なに?」

「縁……見えなくなっちゃった」

 空気が寒い。
 薄暗い空間の中、寿命が近い廊下の灯りが微かに明滅を繰り返していた。

412:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/08/06 13:48:28 j4Yjr9JS
以上で投下終了です。改行の都合でラスト2レスが他より短いですが御容赦下さい。
今回はラストに笑顔がありませんが、次は綺麗な笑顔を見せたいと思います。
次で多分終わりです。

413:名無しさん@ピンキー
07/08/06 17:17:57 02t7sWN/
久々のかおるさとー氏キタ━━━(゚∀゚)━━━ !!!!!
GJです!
相変わらずすばらしい

414:名無しさん@ピンキー
07/08/06 20:02:55 tmSry+7O
激しくwktkさせる展開にGJ!

415:名無しさん@ピンキー
07/08/06 20:59:25 DV7whKTA
いや、深い話ですね。感動しました。
次が楽しみです。頑張って下さい!

416:名無しさん@ピンキー
07/08/06 21:27:35 ZTaXJEdk
で、どう無口なの?

417:名無しさん@ピンキー
07/08/06 23:12:35 02t7sWN/
>>416
もう一回読み返せ。
口では余り喋ってない。口では。

418:名無しさん@ピンキー
07/08/07 04:43:29 L92u1xp7
>>412最終回予告ですか・・・悲しいし嫌だけど、それでも心から楽しみにしてます。GJ!!


さて、俺も悪霊スポットいって縁視を身につけてきますかね。

419:名無しさん@ピンキー
07/08/07 20:48:35 pkIq00/r
>>418
食われるなよw

420:名無しさん@ピンキー
07/08/08 04:02:33 DHxX1ty8
エロなくても十分面白いのにきちんとエロ入れてくれる心意気に泣いた

421:名無しさん@ピンキー
07/08/11 00:47:23 0FLX8P1P
「……暑い…」
夏休みを利用して、俺と冬美は親父が今滞在している南の島に来ていた。
親父の仕事は動物の研究で、ゲテモノ…いや、爬虫類の新種を探したりしてるらしい。
そして新種がいる場所ってのは大抵が未開の地らしい。
いかにもジャングルしたジャングルや、南国の海を体現した白い砂浜と青い海原。
探索の拠点となっているロッジがある島には電気やら何やらはあるが、いざ探索となると蚊やら蛇やら蜘蛛やら獣やらとの異種格闘技戦だ。
まぁ……俺たちがそこに行くことは無いだろうし、南国の島で誰にも邪魔されず一時のアバンチュールを楽しもう…と思ったんだが……
「まさか……エアコンが無いとは…」
そう…電気はある、冷蔵庫もある、ベッドもある、風呂もある、オマケに天井にデカい扇風機もある。
なのにエアコンが無い、いくら風通しが良くて海に突き出たロッジにいるとはいえ暑いもんは暑い。
「家のリビングが懐かしいぜ……」
ガンガン冷房を効かせて冷たい麦茶を飲み、ソファーて腹を出して寝て風邪をひきかけるあの素晴らしい生活をここでも送りたかった…
だが、だがまだ負けない、冬美と二人きりなのだ…何時もなら邪魔が入りそうなものだがここには邪魔者はいない。
「………とにかく、冬美の部屋に行くか」
海にでも行って、冬美の水着を合法的に視姦しよう。
あわよくばお外で……
ベッドから飛び起き、水着に着替えて隣の冬美の部屋に向かう。
下心を隠すためにインパクトがあり、なおかつ元気良く、有無を言わさず海へと誘わなくては。
「冬美〜海行こうぜ!!」
我ながら完璧、決まった、百点満点。


「………………?」
「…………………」


……相手を間違えなければ、の話だった
が。

「え……あれ……?」
おかしい、部屋を間違えたのか?
つーかこのセクシーな下着姿の人誰?
しかし、今この辺りのロッジは親父の研究所が貸し切ってるから関係者ではあるはずだが…見覚えがない。
しかしこの人胸でかいなぁ……夏希様クラスかそれ以上か…
だがこう…何て言うか年上の優しいお姉さんオーラ出しまくり。
ってイカンイカン、現実逃避をしている場合じゃない!
ひとまず華麗にこの場を乗り切らないと。
「…………あ、スイマセン……部屋、間違えました」
「…………そう」
「悪気があった訳じゃ無いんです…」
「…………そう」
「スイマセン……本当スイマセン……」
「………君、もしかしたらこーくん?」


422:名無しさん@ピンキー
07/08/11 01:19:34 0FLX8P1P
「へ?」
「…やっぱり…こーくんでしょ」
え?何で俺の子供時代のあだ名を知ってんだこの人。
ってことは俺の知り合いって訳か?
「あの………失礼ですけど、どちらさまで」
「あぁ……そっか、随分昔だもんね…」
何故か一人で納得したように唇に人差し指を当てて考え込むお姉さん。
この仕草……まさか…
「秋夜さん……?」
「大正解…ふふ、お久しぶりね」
幼少時代、俺の五つ上だった秋夜さん。
親父の親友の教授の娘で、昔はよく面倒をみてもらってたっけ……
あの時から優しいお姉さんオーラ全開で、近隣のガキ共のマドンナだった。
引っ越してから疎遠になってしまっていたが…どんな偶然なんだ…
「ってか何で秋夜さんがここに!?」
「あれ?おじさんに聞いてなかったの?」
下着姿からTシャツとホットパンツに着替えながら秋夜さんが俺の質問に答える。
「聞いてませんよ!」
「私ね、今は父の代役として研究チームに関わってるのよ」
「え…じゃあ大分前から親父と…?」
「いいえ、父が珍しく病気で倒れたから急に…おじさんも『ウチの馬鹿息子も来るからどうだ』って言うし…」
「は……はぁ……」
「でもホント久しぶり、背、抜かれちゃったね」
そう言って秋夜さんは俺の背と自分の背を比べる。
子供の頃とは違って今度は俺が若干見下ろす形だ
「あぁ…あの時はまだガキだったから…」
「声もすっかり大人っぽくなってる」
「成長期ですから」
「ふふ…かっこよくなったね」
「そうかな…?」
ヤバい、なんかめっちゃ照れる。
心臓バクバク言うし、何か恥ずかしい。
「うん……うん、かっこよくなったよ…」
体をピタリと密着させ、俺の顔を見上げてくる秋夜さん。
どことなく瞳が潤み、頬にほんのり桃色
がさしているようにも見える。
鮮やかな茶色のセミロングが風に揺れ、どことなく儚げな印象を与える。
「……………私は……どう?綺麗になった?」
「………えぇ…綺麗ですよ、とっても」
秋夜さんの細い指がいつの間にか俺の指に絡む。
耳を澄ませば吐息すら聞こえてきそうな距離にまで秋夜さんの整った顔が近づいてくる。
何故か体が動かず、秋夜さんの唇が俺の唇と触れようとしたその時、俺の小物入れの中の携帯の呼び出し音が鳴り響いた。
冬美と空港で選んだ揃いの海外用の品だ。
ふっと体が慌てて軽くなり、慌てて秋夜さんの体を離して携帯に出る。
「もしもし?」
「……………迷った」


423:名無しさん@ピンキー
07/08/11 01:50:01 0FLX8P1P
電話の向こうから冬美のいつも通りの声が聞こえる。
「迷ったって……今どこだよ……」
「………外……船着き場の近く…」
「わかった、迎えに行くからそこで待ってな」
「………早くね?」
「あいよ」
そう言って通話を切る、まったくあいつは意外なところでドジを発揮するから困る。
「スイマセン秋夜さん…迎えに行かないと…」
「ん、いいよ、行ってあげて」
さっきのあの雰囲気から一転、あの優しいお姉さんオーラたっぷりの秋夜さんに戻っていた。
「じゃ、これで失礼します…また後でお話しましょう」
あの雰囲気を切り払うようにかぶりを振り、俺は秋夜さんに背を向けて冬美のいる船着き場に向かって駆けていった。














「………彼女……かな」
久しぶりに会った彼は、私の想像よりも格段にかっこよくなって秋夜の前に現れた。
「………うらやましいなぁ……」
彼の手に触れただけであれほどの幸せがこみ上げてきたのだ、あれ以上進んでいたら恐らく戻れなかっただろう。
その点ではあの電話に感謝をしておくとして、取り分け今の問題はこの高ぶった体だ。
「んっ……はぅ……あぅ…」
シャツの上からも分かるほどに胸の先端は天を向き、ショーツは既にぐっしょりと濡れ、ホットパンツにまで愛液でシミが出来ている。
「んっ…あっ…あんっ…」
Tシャツとホットパンツを脱ぎ捨て、ベッドに四つん這いになると自然と自分の体を慰め始める。
彼の手に触れた指で自分の秘部をショーツの上からなぞる。
くちゅりと優しく触れた後、ぐちゅぐちゅとショーツごと秘部の奥へと指を突き入れる。
「んあぁ!ふぁぁ!こーくんっ!こーくんっ!」
何年間も恋い焦がれた待ち人の名を叫びながら指の速度を上げていく。
乳首は痛いほど天を向き、既にショーツは秘部が透けるほどに愛液を吸っている。
乱雑にショーツを脱ぎ捨て、大きく自己主張しているクリトリスこね回しながら指を2本膣口に出し入れし、快感を高めていく。
「こーくんっ!!こーくん!!イッちゃうよっ!!私っ!私っ!こーくんっ!」 愛しい人の名を叫びながら、トドメとばかりに膣口の再奥を爪でひっかく。
「ひぃうぁぁぁっ!!!!」
その瞬間潮を盛大に噴き出し、尿をチョロチョロとこぼしながら盛大に絶頂に達してしまう秋夜。
「はぁっー…はぁっー…こーくん……好き……」
虫の羽音程の小さな声でそう呟くと、秋夜は意識を手放した。


424:名無しさん@ピンキー
07/08/11 01:54:56 0FLX8P1P
保守ネタ盛り込むの忘れた……
秋はドコだよって誰かに言われたので
軽くキャラづけして出してみました

……スイマセン調子に乗りました

設定としては二人きりや一人の時にだんだん無口になってくる性格なんですけど……
分かりにくいですね、スイマセン
少しでも暇潰しになれば幸いです

そのうち冬美とのなりそめを含めてきちんとした形で書いてみたいですね

それでは失礼

425:名無しさん@ピンキー
07/08/11 02:06:21 G29kNcVV
>>424
それ言ったのぼくです。何はともあれGJ!下着姿見られても落ち着いている秋夜さん萌え。
もう保守ネタを越えてるんでぜひ続きを!お願いします!

426:名無しさん@ピンキー
07/08/11 05:23:54 w+wsUZfp
下のお口は雄弁よのお〜

427:名無しさん@ピンキー
07/08/12 20:41:03 PVNMc6N0
「…のエ…じが。…ろ…れ…い…か?」

428:名無しさん@ピンキー
07/08/13 00:11:12 A6AH8oQR
やっぱリアルで無口系のキャラはアカンよ。会話にならへんもん。迎えに行くのは別にええけれど、連れて帰ってくる道中のこと考えたら、ホンマそれだけでうんざりしてくるわ……。


夏になると、これ↑を思い出す(;_;)

429:名無しさん@ピンキー
07/08/13 00:30:57 qsvRUATW
炉と熟女どちらもOKって人間は居ても、無口と多弁どっちも……ってのは聞かないしね。

430:名無しさん@ピンキー
07/08/13 06:57:02 m0UdGrnk
age

431:名無しさん@ピンキー
07/08/13 13:58:44 CCZ7oSoM
保守

432:名無しさん@ピンキー
07/08/14 00:12:54 j0a5f64m
>>428
last kiss 乙

433:名無しさん@ピンキー
07/08/15 02:28:22 Af0UnZSq
ほっす

434:名無しさん@ピンキー
07/08/17 01:18:09 CzKSdZ+D
妄想が出来ても、それを文に出来ない自分が憎くて憎くて堪らない保守

435:名無しさん@ピンキー
07/08/17 01:58:38 CxF0hQIF
誰でもみんな、最初は初心者さ

436:じうご
07/08/19 05:49:40 fX55UZMN
さてと、お久しぶりです
覚えてくれてる人いるかなぁ…

ちょっとチラシの裏
パソコンがウイルスでぶっとぶというえらい目に会いました
おかげで小説原案が全部HDごとぶっとび、パソコンも買いなおしを余儀なくされ…
ノートン先生は、使えないと本気で学習できました
まぁ、ほかのがソフトがとくになにもわからないので、仕方なくまだ使ってますが…



さてと、久しぶりに書いた作品です
…意味わからないくらいへたくそになってました
…展開は強引だし…
…おまけに、久しぶりすぎて推敲のしようがない始末…
……さらに、人物の性格を微妙に覚えてない始末
……ヤヴァイ?
と、とりあえず、久しぶりということリハビリだと思って
生あたたたたかい目で見てくれると嬉しいかもしれないけどどうなんだろう…

437:じうご
07/08/19 06:01:40 fX55UZMN
「………」
「………」
ここは、とある高校の、とある教室で
「………」
「………」
現在3時間目の授業中、
「………」
「………」
授業内容は自習で
「………」
「………」
いつもならにぎやかな会話が交わされるのだが、
「……本当にだれもいないな」
「……だね」
その教室には、4人しか生徒がいなかった。
「やっぱり、自由参加の夏休み講習に律儀に来てるやつはまずいないか…」
「そうだね…」
「…当たり前」
「………」
ちなみに、現在教室に居るメンバーは、お察しの通り
佐藤悠、大城美夏、白木誠、木村千恵、の4人である。
「しかし…だるいな…」
「…暑いしね」
「…気温38度」
「………」
しかし、3人は暑さのためにろくに勉強できてなく、
「帰るか…」
「…あと12分あるよ」
「…我慢」
「………」
そんな会話を延々と繰り返してたりする。
「シャワー浴びたい…」
「…激しく同意」
「…うん」
「………」
ちなみに、クーラーはとりあえずついているのだが、古いタイプで故障も多いので使用は禁止されている。
「ああ、もう俺我慢できないから帰るぞ…」
「…僕もそうする」
「…私も」
「………」
そして、講習は、いつもこんな感じで切り上げられている。







438:じうご
07/08/19 06:02:12 fX55UZMN
暑い…」
「言わなくてもいいよ…」
「…言っても変わらない」
学校からの帰り道、いつも通りの会話
「なぁ、千恵」
「……?」
「なんでお前はこんなに暑いのにそんな平気な顔してるんだ?」
「あ、それ僕も気になる」
千恵は少し悩んだ素振りを見せ、
「………」
口に指を当てる
「結局秘密か…」
「寒いのは苦手なのにね…」
「…暑くて死にそう」
そして
「っと、じゃぁな」
「…またね」
「はい、また明日、悠さん美夏さん」
「………」
お互い、手を振って分かれる





「…ただいま」
鍵を開けて家に入る
今は両親ともに長期出張なので、家には私一人だ。
「……」
別に、一人だからといって、とくにやることはないけれど。
「…お風呂」
まず、シャワーを浴びてさっぱりしよう、そうすれば大分楽になる。
「………」
そうと決めたら早速行動する。
部屋に戻り、バスタオルと下着と私服を取り出し、すぐにお風呂場に移動する。
「………」
汗を吸ったシャツやなどの下着を外しただけでも、大分楽になった。
「………」
今日はこの後どうしようか、そんなことを考えつつ、お風呂に入る



439:じうご
07/08/19 06:09:15 fX55UZMN
「あー…さっぱりした」
今は自分の部屋、もちろん、クーラーはスイッチをとっくにいれてあるから部屋は大分涼しくなっている。
「全く、このごろ暑すぎなんだよな…」
ぶつぶつと文句を言いつつ、ベッドに寝転がり
「………」
べつになにもやることはない
「あー…やばい、このあとなんにも予定ねぇや」
新しく買った小説もみんな読んでしまったし、暇をつぶせるものがない
「…久しぶりにゲーム…微妙だな」
本当にやることねぇ、とか呟きつつ、ベッドの上をゴロゴロ転がっていると
「…ん?」
この部屋の窓を叩く音が聞こえた、
「どちらさまですかー」
まぁ、こんなとこの窓を叩くやつは一名しか居ないわけだが
「よっと」
窓を開ける、で、やっぱりそこに居るのは
「美夏か」
半そでにスカートといったかなり涼しそうな格好
ちなみに、俺は半そでにジーパンなんて穿いてる
「…本読みに来た」
「まぁ、そんなことだろうと思った」
とりあえず、部屋に招き入れて、
「とりあえず、どんな本読むんだ?」
「…とくに決めてない」
「……珍しいな」
「…そう?」
「ああ」
まぁ、特に決めてないのなら片っ端から本を入れてある段ボール箱を出すわけで
「…あの」
「ん、どうした?」
聞きながら、読みたい本が決まったのかな、とか思いつつ、段ボール箱を出そうとする手を止め
「…あのね」
「うん、なんだ?」
「…していい?」
…気のせいだろうか、なんか考え事をしてたせいでうまく聞き取れなかったかな
「悪い、なんだって?」
「…していい?」
うん、気のせいじゃなかったか、ついでに軽いデジャヴを感じるのは何故だろうか
「…なんでこんな昼間っから?ってか、いきなりどうした?」
とりあえず、美夏のほうへ向いて尋ねる。
美夏は顔を赤くしながら
「…夏休み入ってから…してない」
…そんなこと考える気力も体力も暑さで根こそぎ奪われてたな、うん
「…我慢…出来ない」
そう言い、美夏はするするとこっちに近寄り、ぽふっと、こっちに体を預け
「…だめ?」


440:じうご
07/08/19 06:20:13 fX55UZMN
そう、聞いてきた
「あー…」
いや、まぁ別にかまわなかったりするから、
「あ……」
とりあえず、美香の顔を上に向かせ、唇を重ねた
「ん……」
ただ単に、唇を重ねるだけだがお互いにスイッチが入るには充分
そのうち、どちらともなく唇を離し
「…えっと」
「ん、どうかしたか?」
「…もう、入れて、いいよ?」
いや、まだなんにもしてないんだが。まぁ、もうこっちものは準備が出来てるが
「えーっと、ほら、久しぶりだから楽しみたいし」
その言葉に美夏は
「…我慢、出来ないから」
そう言って、こちらを押し倒してくる。
そしてそのまま、こっちのズボンのチャックを開けて硬くなった俺のものを取り出して
「ん…ふぁぁあ」
服を脱ぐ時間も惜しいのか、そのまま下着を下ろしただけでこっちを中に迎え入れた
美夏の中はなにもしてないのに蜜で濡れていて、動くには支障はなかった
「はぁっ、んっ、あぁ!」
本当に我慢できなかったのか、美夏はこっちを迎え入れてからすぐに、貪欲に快感をむさぼる様に腰を動かし始める
「ふぁっ、あっ、はっ、いいよぉっ!」
美夏は、もう蕩けた目をして、口の端からよだれをだらしなくたらしている
「あっ、ひぁぁぁぁぁぁあ!」
そして、あっという間に絶頂に達してしまったらしい。
体をがくがくと震わせながら、倒れこんでくる
「あ、はぁ、ん、はぁ」
まぁ、あっという間過ぎて、俺のものは全然元気なわけで
もっと乱れた美夏を見たくなり、体を起こして、美夏の体を抱え、思いっきり上下に揺さぶってみる
「ああっ、やっ、まだっ、だめぇっ!」
そのたびに、美夏の体はビクッと、電気が流れたように跳ねる
「ふぁっ、あうっ、ああっ、あっ!」
奥を抉るたびにひときわ甲高い嬌声があがる
「あ、だめ、あ、ふぁ、やぁ!」
そろそろ、俺も我慢が利かなくなって、どんどんペースをあげていく
「ああっ、はぁっ、もう、あっ、だめぇっ!」
美夏もそろそろ限界らしく、こちらにぎゅっと腕を回してくる
「あ、あぁぁぁぁぁぁあ!」
そして、美夏は限界に達したらしく、がくがくと体をふるわせる
「…く」
それを、確認した俺も、自分自身を解き放った








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