無口な女の子とやっち ..
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257:彼女の事情と僕の慕情
07/07/08 17:53:51 GzuXLU2D
息苦しい。
それで僕の意識は覚醒に向かった。
どうやら、濡れたタオルが顔の全体を覆っているようだ。
「って、殺す気か………!!」
僕は慌てて、そのタオルを放り投げた。
「!……………」
そのタオルが向かった先。
そこには彼女が居た。
「って、ええ!? こ、ここは!?」
見慣れた布団、見慣れた本棚、見慣れた台所。
どう見てもそこは、僕が一人暮らしをしているアパートだった。
僕は混乱する。
「え、ええ……!? なんで、なぜ、ホワイ? ぼ、ぼくは……」
体を起こそうとする僕。
しかし、急激なめまいが僕を襲い、すぐさま僕は仰向けに倒れる。
たったそれだけの運動で、僕の息は上がり、喉は痰が絡まり痛い。
彼女が心配げにこちらを見ている。
僕は気持ちを落ち着けるため、深呼吸した。
寝たまましたので、効果があったかどうかはわからないけれど、とりあえず息は落ち着いた。
そして、この現状を一番知っているはずの人間に事情を尋ねることにした。
その人間とは、もちろん。
「………………」
彼女は心配そうに、こちらを見つめている。
僕は彼女を安心させるために無理やり笑顔を作った。
「大丈夫です。心配はいりません」
「………………」
彼女は俯き、謝罪の言葉を呟いた。
「? なんであなたが謝るんですか?」
「………………」

彼女の説明によると、僕はトイレの個室での一件の後、気を失ってしまったようだ。
驚いた彼女は、とりあえず僕を背負い、映画館を出たのだという。
「……それからどうしたんです?」
「………………」
途方にくれた彼女は、街中のベンチに僕を寝かせ、様子を見ることにした。
すると、僕は意識を取り戻し、『家に帰る』と盛んに繰り返しだしたのだという。
心配になった彼女は、僕に付き添い、この家までたどり着いたのだ。
「……そんなことがあったんですか」
「……………?」
―覚えてないんですね?
「……ええ、まったく記憶にないですね。最後の記憶はトイレの中です」
「………………」
彼女はすまなそうに頭を下げる。
「いえいえ! あなたが悪いんじゃない。なにか調子が悪かったのでしょう」
たぶん。
というか、それ以外考えられない。
それでも彼女は頭を下げる。
僕は無理やり上体を起こすと、彼女に向き直った。
「あなたの持病は、あなたの持病。僕の不調は、僕の不調。分けて考えましょう、ね」
彼女は、く、と顔を上げると、僕に抱きついてきた。
まだ力が入らない僕は、そのまま彼女に押し倒される。
いきなりのことに、僕の顔は一瞬で沸騰する。
「ちょ、ちょ、な、な、なんですか〜!?」
「………………」
彼女は僕の胸に顔をうずめたまま小刻みに震えていた。
「……もしかして―」
言いかけた僕は口をつぐみ
「(―泣いているんですか?)」
心の中だけで呟いた。
それに答えを示すように、僕の服の胸の部分が濡れた。

258:彼女の事情と僕の慕情
07/07/08 17:55:00 GzuXLU2D
その日、彼女は僕の看病のためといって一晩泊まった。
もちろん一人暮らしの僕の部屋に予備の布団なんていう贅沢なものはない。
だから、一緒の布団に寝ることになってしまったのだが……。
正直、そのことに僕は興奮したが、しかし、体は言うことを聞かず、日が完全に傾く前に僕の意識は落ちてしまった。
翌朝、起きると彼女は適当な朝食を作ってくれた。
本当に適当な朝食で、その手抜き加減は田舎の母親を思い出させてくれたけど、
単純なその料理は、一人暮らしが続いていた僕の胸には結構響いた。
「………………」
彼女が感想を聞いてくる。
当然僕は絶賛した。
安堵したように彼女は吐息を漏らす。
「………………」
ここで衝撃の告白。
どうやら彼女、料理は始めてだったらしい。
「ん? っていうか……」
一人暮らしをしているのに料理をしたことがない?
どういうことかと彼女に尋ねてみる。
彼女は少しだけバツが悪そうに顔をしかめ、俯き加減に言った。
「………………」
―私、小食ですから。パンだけでも足りるんです。
「(しまったぁ! 彼女は病弱なんだった!!)」
失念していた。
そりゃそうだ。小食だったら、買ってきたものとかでも足りるじゃないか。
僕はなんと言う無神経な質問をしてしまったのか。
「(―いや、待てよ……)」
病弱なんだったら、なおのこと栄養なんかに気を使わなければならないんじゃないのか?
それを、買ってきたものとか、パンとかだけで足らせていいのだろうか?
「(否。よくない!! 僕が彼女のことを何とかしなくては!)」
僕は一大決心をして、彼女のほうに向き直る。
「あの……!」
「……………?」
不思議そうな彼女の顔。構わず僕は言い放つ。
「もしよろしければ、これから僕の家に食事を食べにいらしてください。……ちょくちょく」
少し驚き、なお不思議そうな彼女の顔。
「あの、その、僕、料理とか結構できますから。一人暮らしとかも長いですし、……どうですか?」
「………………」
―あなたがお料理上手なのと、私が一緒にお食事をすること、何の関連が?
ぐうっ。
そう突っ込まれると……。
僕は「(ここまできたら、破れかぶれだ!)」とさらに踏み込む。
「ええっと、とにかく! あなたと食事がしたいんです。ダメ、ですか?」
彼女は少し困惑した表情になる。
「(っていうか。僕って相当、キモいぞ……)」
内心、凄く反省する。
だが、口に出してしまった言葉は、喉に戻ることはない。
彼女の裁定を震えながら待つのみだ。
そして、彼女は僕のほうを再び見つめてきた。
「………………」
それは、……肯定の返事だった。

それからちょくちょく彼女は僕の家を訪れるようになった。
バイト終わりに彼女から連絡があり、街中で待ち合わせ。
それから一緒に買い物をして、帰宅。
そのあと、僕は調理を、彼女はその手伝いをする。
そして、一緒に食事をして、そのあと―。
たびたび彼女の発作が起こった。
僕はその都度、彼女に弄られた。
でも、彼女が体を許してくれることはなかった。
いつも、口か手、あるいはスマタとか。
行為の後、僕は必ず気絶するようになった。

259:彼女の事情と僕の慕情
07/07/08 17:55:55 GzuXLU2D
軽いときには一時間。重いときには翌日の昼までかかるということもざらだった。
だんだん僕はバイトに遅れたり欠勤したりするようになった。
そして、とうとうある日、僕はバイトを首になった。
もともと夏休み前後の短期のバイトだったから、特に問題はない、と思ったけど、ショックなことはショックだった。
でも、彼女には正直に言えず、『バイトは自分から辞めた』といって誤魔化した。
また彼女が自分の発作のことを責めないように。
彼女はその埋め合わせをするように、僕と長い時間一緒に居るようになった。
僕はそのことがとても嬉しくて楽しかったのだけれど、彼女が何を思ってそうしてくれたのかは判らない。
彼女との時間が増えても、やっていることは変わらない。
買い物をして、食事をして、たまに行為に及ぶ。
そのことに本を読んでぼんやりすごすとか、どこかに行って遊ぶとか、そんな時間が追加されただけ。
それでも、僕は幸せだった。
ただ、心配なのは、彼女の食事の量。
彼女は僕の三分の一以下の量しか口にしなかったし、どうやら、夜中にソレさえも吐いているようなのだ。
『これはイカン』と食事に気を配り、手をかけてみたけれど、ソレと反比例するように、彼女の食事量は減少した。
だからといって、彼女が変わったか? というと、そうでもない気がする。
むしろ、僕との時間が多くなるたびに、彼女は元気になって言ったような気さえする。
まぁ、そんな日がいつまでも続くと考えていた。
―あの日までは。

260:230
07/07/08 17:57:31 GzuXLU2D
とりあえず、今回は以上です。
お目汚しですが、まだ続きます。
よろしくお願い申し上げます。

261:名無しさん@ピンキー
07/07/08 19:41:46 50n/AHCP
GJです!なんつーか、起承転結の承にあたる部分て感じ。次は転かな?

262:名無しさん@ピンキー
07/07/08 20:11:37 Ju5qksHQ
>>260
ナイスやでほんまGJ!
罰、悪魔、栄養摂取から核心に迫りつつありますね?
しかしどっかで擬し感があるってさっきからずぅーと調べてたのだが
数年前に同人ソフトで出た蜜牢だ…どうでもいいですね♪

きっとなにか見せてくれるだろうから、それを楽しみに待つぞぃ


263:名無しさん@ピンキー
07/07/08 22:13:17 BMEwB5eb
GJ!
幸せなのと反比例して命を削られていくという
退廃的な雰囲気はたまらんですわ

264:名無しさん@ピンキー
07/07/09 01:24:33 8d1RQYtY
GJ!
読んでてゾクゾクしまさぁねw
しかしヒロイン、なんてゆーかこう……サキュバス?

265:名無しさん@ピンキー
07/07/09 02:32:51 oPLd+SgQ
なんたこのwktk神作品は・・・・GJ!

266:名無しさん@ピンキー
07/07/09 02:34:02 oPLd+SgQ
またミスた。age

267:名無しさん@ピンキー
07/07/10 00:52:22 gZz6S4KR
シャンブロウ?

268:230
07/07/11 14:13:21 ICGccihB
これより、投下させていただきます。
前回並みに長い上に、エロも御座いません。
申し訳御座いません。
それでも構わないという方は、片手間にでもお読みください。
それでは、本文です。

269:彼女の事情と僕の慕情
07/07/11 14:14:42 ICGccihB
それは彼女と出会って、ちょうど一ヵ月後のある日のことだった。
僕は前日の彼女との行為で、いつものように意識を失って、気づいたら夕方だった。
だんだん、気絶している時間が長くなっている。
「(病院には行ったけど、健康体そのものだって言われたしな……。なんなんだろう)」
そんなことを考えながら、部屋の中を見渡す。
どうやら彼女は出かけていて、今、部屋には僕一人のようだった。
「(買い物にでも行っているのかな?)」
そんなことをぼんやりと考え、ふとテーブルの上を見る。
そこには、いつか僕が彼女にプレゼントした骸骨のイラストのノートが乗っていた。
「(あれ? 出しっぱなしだ)」
いつもは彼女の私物が入っているらしい段ボール箱の中に収められているソレが、どういうわけか真っ直ぐに置かれていた。
まるで、僕が中身を見るために差し出すように。
「(イヤ。それはマズイだろう)」
彼女がたまに真剣な顔で何かを書き込んでいたのは知っていた。
ふざけて覗こうとしたとき、彼女の機嫌を酷く害したのを覚えている。
「(イカンイカン。彼女に対して失礼だ)」
そう思いながら、ノートから目が離れない。
そのとき。
開けていた窓から突風が吹き込み、閉じていたノートがめくられる。
「(!!)」
瞬間目を逸らし、しかし、再び視線はノートへ。
「(イカンイカン。と、閉じなくては……)」
そう思いながら、しっかりと、目はノートの字を捉える。
……捉えてしまった。
「(? なんだ? この文字……)」
そこには今まで見たこともない記号、文字らしきものがつづられていた。
しかし、全く意味不明なその記号は、奇妙なことに、僕がその羅列を追うと、そこに書かれている内容が頭に浮かぶ。
まるで、語りかけてくるような不思議な感覚。
僕はノートが彼女のものだというのを半分忘れながら、最初からソレを読み始めた。

『彼と出会ってしまったのは、運命なのだろうか、それとも単なる偶然なんだろうか?
 私にはわからない。
 それでも、彼に出会わせたのが神様とかの気まぐれなんだったとしたら、私は感謝したほうがいいのだろうか?
 それとも、出会ったのが彼でなかったらと、肩を落としたほうが正解なんだろうか?
 本当は、彼なんかに出会うはずはなかったのだ。
 私はただただ一ヶ月を浪費し、その後、しかるべき処罰を与えられる。
 それだけでよかったのだ。それ以上は望んでいなかった。
 それが、何の因果か、彼に出会ってしまった』

彼というのは僕のことだろうか?
しかし、一ヶ月? 処罰? 
どういうことなんだろう。
僕は文字を追い続ける。

『最初はただの気まぐれだった。
 ただ、困っているお婆さんが目に付いたからという、ただそれだけの理由。
 私はおばあさんを躊躇無く助けた。たやすいことだった。
 やたら感謝してきたお婆さんは、私に無理やり何かを握らせた。
 それは何らかの紙切れで、五枚もまとめて手の中に入っていた。。
 これは何かと尋ねたら、お婆さんは商店街のほうを指差し、フクビキフクビキ、と繰り返す。
 意味がわからないうちにお婆さんはサッサと行ってしまった。
 しょうがないから、おばあさんが指差したほうに行ってみた。
 すると、同じような紙切れを持った人間たちが列を作って並んでいる。
 どうやら、この紙を持っている人は、ここに並ばなければならないらしい。
 面倒くさいな。
 正直に言えば、そんな感想しかもてなかったが、しかし、ここでコレを無視すれば、
 お婆さんの好意を踏みにじる結果になってしまう。
 悩んだ挙句、私は列に並んだ。
 そのまま、ぼんやりと列が進むに任せる。

270:彼女の事情と僕の慕情
07/07/11 14:16:11 ICGccihB
 そして、とうとう自分の番が来た。
 しかし、ぼんやりしていた私は、何をすればいいのかがわからない。
 私は困り果て、あたりを見渡す。
 すると、私の後ろに幸福そうに突っ立っている青年が見えた。
 混乱していた私は、とりあえず青年に助けを求めてみた』

どうやら彼女と初めて出会った福引の日のことらしい。
……こんな経緯があって、彼女は福引に並んでいたのか。
それにしても、『幸福そうに突っ立っている青年』って……。
間違いなく、僕の事なんだろう。
最初は僕の事をそんな風に思ったのか……。

『袖を引っ張ると、青年は私のほうを初めて見た。
 そして、そのまま、固まってしまった。
 ますます困ってしまった私を助けてくれたのは、テントの中のおじさんだった。
 おじさんが声をかけるとようやく青年は気がついた。
 私はここぞとばかりに、さらに袖を引っ張る。
 そして、どもりながらも事情を聞いてきた青年に私は指をさして窮状を伝える。
 しかし、伝達には失敗したようで、彼は怪訝な顔をするばかり。
 しょうがないので、私は強引に彼の頭を抱え込むと、耳元で喋った。
 ……本当はいまいち言葉に自信がないので喋りたくなかったのだけれど。
 青年はどうにか私の言いたいことを理解してくれたようだ。
 私はフクビキというものについての説明を受ける。
 意味がわからなかったが、とにかく回せばいいらしい。
 機械を回す。
 玉が出る。
 さらに回そうとした私をおじさんと青年が止める。
 どうやら、一回きりらしい。
 玉を見たおじさんがハンドベルを鳴らした。
 これから何らかのイベントが始まるんだろうか、と少しわくわくした私に、おじさんが何かを手渡した。
 青年の説明によるとハナビというものらしい。
 意味がわからなかったので、青年にあげようとした。
 どうせ、私にとっては必要のない代物だ。
 しかし、青年は受け取らず、逆に私を誘ってきた。
 ……正直に書こう。チャンスだ、と思った。
 これで助かる。何とかなる。青年は自ら飛び込んできてしまったのだ。
 異界への入り口に。
 魂の牢獄に』

? 『チャンス』?
『異界への入り口』『魂の牢獄』?
何を、何のことを書いているのだろう、彼女は?

『夜、再び出会ったとき、青年の魂は著しく脈動していた。
 花火をしているとき、ソレはさらに高まった。
 私に視線を送っていたときも、それは激しく波打っていた。
 私はハナビというものの美しさに心を打たれながらも、悲しくなった。
 これから青年を貶めなければならないということに。
 こんなに無邪気な青年から魂をいただかなければならないということに』

魂を、いただく?

『ハナビが終わり、全てはバケツの中に落ちた。
 どうやって青年を貶めるか考えていた私の目に、青年がバケツに向かって何かを呟いているのが見えた。
 不思議に思い、聞いてみると、青年はバケツの中のハナビに礼を言っているというではないか。
 こんな物言わぬ物たちに対する真摯な姿勢に私は心を打たれた。
 それでも、容赦することはできない。
 わたしは青年を林の奥深くに連れ込み、行為に及ぶことにした。
 青年が私に問う。
 なぜ、こんなことをするのかと。

271:彼女の事情と僕の慕情
07/07/11 14:17:15 ICGccihB
 本当は無視してもよかった。答える必要もなかった。
 それでも、私は答えてしまった。
 持病の発作と何故か誤魔化してしまった。
 そして、ハナビのお礼です、と口が動いた。
 言って初めて気がついた。
 本当に楽しかったのだ。本当に心躍ったのだ。
 初めてだったのだ、こんな楽しいこと。こんな嬉しいこと。こんな美しいこと。
 私は躊躇した。
 ……躊躇して、しまった。
 そして挙句失敗した。
 行為自体が初めてだったからなんて言い訳はしない。
 でも、こんなことが起きるなんて考えもしなかった。
 青年は、行為の後も生きていた。
 私は混乱しつつもその魂の欠片を啜った』

………………。
彼女は僕の精液を残らず飲み込んでいた。
どんなときも。
飲まないと意味がない、と。

『そしてお別れの時間が来た。
 私は謝った。
 青年の魂を汚してしまったことを、誤魔化しながら。
 青年は許してくれた。
 当然だ。私が本当は何をしたのかを知らないのだから。
 青年が後ろを向く。
 でも。
 私は青年の、彼の袖を引っ張り、そして、言った。
 私と友達になってください、と。
 ……打算があったのは否定しない。
 せっかくの獲物が逃げてしまうのを、指を咥えてみているだけというのは耐えられない。
 でも、それだけじゃなかった。
 そのときは訳の判らない感情だと思っていたけれど、今では判る。
 あれは本当に寂しかったのだと。
 本当に友達がほしかったのだと。
 だから、怖かった。
 断られるのが、物凄く恐ろしかった。
 でも、彼は許してくれた。
 こんな私と友達になってくれた
 友達になって、くれたんだ』

………………。
僕は無心に読む。
彼女の記録と、記憶を。

『あんまり早く連絡したら迷惑になると思って、三日後に電話した。
 彼は直ぐに答えてくれた。
 後から聞いたら、バイトというものがなかったらしい。
 直ぐに私たちは会うことになった。
 待ち合わせ場所に着いた彼を驚かそうと、私は飛んでいった。
 予想通り、彼は驚いてくれた。してやったり。
 エイガというものを見に行くことになった。
 彼が何か見たいものはないか、と聞いてくる。
 私は一つだけ心が躍ったものがあり、ソレを指し示した。
 彼はどうしてか、それには直ぐに賛成してくれなかった。
 「俺たちの大悪魔図鑑・虐殺屠殺なんでもござれREMIX」の何がいけないというのか。
 どうせなら、楽しいものを見たほうがいいに決まっている。
 だから、私は頑なにほかの意見を却下した。
 でも、結局、ソレを見ることに決定してから、私は後悔した。
 どうせ、私にはエイガなんて判らないから彼に決めてもらえばよかったのだ。

272:彼女の事情と僕の慕情
07/07/11 14:18:32 ICGccihB
 私の強引な決定を、彼はどう思っただろう。
 頑固者だと、ワガママな奴だと嫌われたかもしれない。
 凄く不安になった。
 それでも彼は笑顔だった。
 私は、自分の頑なさを反省しながら、それでも救われた。
 彼と友達になれてよかった、と』

『私たちは街中を歩いた。
 街の中は私の知らないものばかりで、私の胸は高鳴った。
 なかでも気に入ったのは、このノート。
 とてもイカしている。
 今でも、これ以上のノートなんて存在しないと、確信している。
 彼が買ってくれた。
 本当は私にだって少しくらいは手持ちがある。
 自分のお金で買って、自分のものにしたかった。
 でも「僕のお礼の気持ち、受け取ってもらえませんか?」なんて言われたら……。
 初めてその時、彼のことを卑怯だと思った。
 でも、嬉しかった。
 人からもらった初めてのプレゼント。
 内心、感動する私は彼と手をつなぎ、エイガカンに向かった』

『エイガの内容は書かない。
 というよりも、書けない。
 エイガの最中、私は胸が苦しくなり、途方もない飢餓感に襲われた。
 原因は直ぐにわかった。いつものことだからだ。
 人の魂が、補充分の、体を維持するための魂が切れ掛かっているから。
 でも、ソレはいつものこと。
 我慢しようと思った。我慢できると思った。
 でも、ダメだった。
 私の体は貪欲に獲物を求め、気がついたら、私は彼に襲い掛かっていた。
 私は夢中になって、彼を求めた。
 本当にその時は夢中で、私は何をしていたのか、あまり覚えていない。
 覚えているのは彼が果ててから。私が満ち足りてから。
 私は謝った。
 でも、彼は気を失ってしまっていた。
 私は動転した。
 なにしろ、二回目なのだ。
 こんなことが起きるなんて想像だにしていなかった。
 私は混乱しながら、彼を寝かせられる場所を探した。
 勝手に彼の記憶を弄り、探り、家の場所を確認した。
 部屋の中に入ると、彼の匂いが私を包む。
 そのことを新鮮に感じながら、私は彼を寝かし、懸命に祈った。
 魂は採っていないはず。だから、きっと目覚める。
 私は半端な知識で看病した。
 すると、彼はまもなく目を覚ました。
 彼は心配する私を見て、微笑んだ。
 私は適当に状況をでっち上げ、説明し、謝罪した。
 罪深い私を。
 彼は笑って許してくれた。
 私はたまらなくなって、彼に抱きつき、泣いてしまった。
 ものも言わず泣きついた私を彼は黙って受け入れてくれた』

『それから私たちは一緒に寝て、食事をした。
 私は生れ落ちて始めて食事を作った。
 彼は美味しいといってくれた。
 お世辞でも嬉しかった。
 それから何故か、彼は私のこと、特に食事のことを気にした。
 私は人間の食事は食べられない。食べても味がわからないし、消化できないのだ。
 そのことを適当に誤魔化した。
 すると彼は、私と一緒に食事をすることを提案してきた。

273:彼女の事情と僕の慕情
07/07/11 14:19:39 ICGccihB
 正直、困った。
 でも、一緒に居たいといわれて、嬉しかったのも事実。
 だから、私はうなずいた。
 その時の彼の喜びようといったらなかった。
 私も彼が喜んでくれたら嬉しかった』

『私たちはたびたび会うようになった。
 一緒に買い物をして、調理をして、食事をした。
 楽しかった。
 本当に楽しかった。
 でも、私は我慢できずに彼を求めてしまった。
 そのたびに彼は衰弱していった。
 そのためにバイトとかいうのを駄目にしてしまったらしい。
 口には出さなかったけれど、私のせいだろう。
 行為を重ねるごとに罪悪感が募った。
 申し訳ない。申し訳ない。申し訳ない。申し訳ない。申し訳ない。
 生きるためには糧を得なければならない。
 そのために彼を犠牲にしている。
 ……死んでしまいたかった。
 朝、目覚めることなく、眠りながら死ぬ。
 ソレが理想だった。
 でも、朝は毎日訪れたし、そのたびに私は絶望した。
 そして、絶望の淵で、それでも生きていられたのは彼のおかげ。
 彼の笑顔のおかげ。
 でも、そんな彼を犠牲にしなければ生きていけない。
 そんなジレンマに頭が狂いそうになった。
 逃げ出したかった。
 何もかもを捨てて、逃げ出し、何もかもなかったことにして消えたかった。
 でもできなかった。
 彼の隣にいたかった。
 彼を犠牲にしても、何を犠牲にしても。
 彼の隣にいたかったのだ。
 でも、隣にいても私には何もできない。
 馬鹿で愚図で無知な私には。
 だから、せめて、彼のことを慰めようと、より一緒の時間をすごすようになった。
 ……でも、コレは自分のためなのだろう。
 もっと彼のことを知りたくなった、彼と近づきたくなった、自分のため。
 それでも、体を許すことはできなかった。
 体をあわせない行為でも、彼はあんなにも衰弱してしまったのだ。
 もし、本格的な性行為に及んでしまったら、彼がどんな目にあうのか。
 想像するのも恐ろしかった。
 今、彼を失ってしまったら。
 私は……、どうすればいいというのだろう』

それから、彼女と僕の生活が延々と書かれている。
そして、彼女の書いた最新の、最後のページ。

『期限が来てしまった。もう時間がない。
 一ヶ月後の今日、私は魂を手に入れることができなかった。
 しかるべき罰を受けなければならない。
 でも、その前に、彼に知ってもらいたかった。
 私が何者なのか。
 何を考えていたのか。
 私が彼のことを知りたかったように、彼にも私のことを知ってもらいたかった。
 そして、軽蔑して欲しい。
 私のことなんてゴミ屑のように忘れて欲しい。
 それが彼の幸せなんだ。
 だから―』

274:彼女の事情と僕の慕情
07/07/11 14:20:59 ICGccihB
「わざわざノートを僕の目に付くところに置いたんですね。僕が勝手に読むと思って」
僕は隣に話しかける。
いつの間にか、音も無く彼女はそこに居た。
彼女はうなずく。
そこは否定して欲しいところだったんだが。
「僕が人のノートを勝手に見るような人間だと思ったんですか? 酷いですね」
苦笑しつつ、尋ねる。
彼女は比較的、困ったような顔になった。
「あの突風もあなたが起こしたんですか?」
とんでもない、というように彼女は首を振る。
「………………」
―そこまで、人間離れした魔物じゃありません。
魔物。
彼女はソレだというのか。
「……あなたは一体、何者なんですか?」
僕は吐き出すように、問う。
それは彼女自身のことを問う、初めての質問だった。
「………………」
―私は、異界から来た人外。
「人外? 人外って……」
「………………」
―いやらしいことをして、魂を盗る、低俗な化け物です。
「………………」
符合してしまう。
行為に及ぶたびに、何か重要なモノが削られ失われていく感覚。
あれは、超常的な何かを持ってこないと説明できない。
「……そんな馬鹿な」
言いながら、気づいてしまう。
時間に正確すぎ。
いつだって、時間丁度に来ていた。
いまだって、音も無く、僕の隣に来たじゃないか。
……異常だ。
「……そんな、馬鹿な」
彼女は何も食べなかったじゃないか。
ほんの少ししか、ソレすらも吐いていたじゃないか。
それでも、元気だなんて。
……異常すぎる。
「……そんな、馬鹿な……!!」
異常だ、異常だけれど……!!
認めたくない……!
僕は、ぼくは、ボクハ!!
彼女は僕の肩にそっと手を置いた。
その小さく暖かな感触に、僕は反射的に体をビクつかせる。
ビクつかせて、しまう。
彼女は、そんな僕を悲しげに見ながら

チュッ

唇を合わせた。
その瞬間、胸の奥から頭の先、手足の指先まで何かがみなぎる。
熱い。
とても熱い何かが僕の体を満たしていく。
それが体の中を蹂躙するのと比例するように、急速に眠気が襲ってくる。

275:彼女の事情と僕の慕情
07/07/11 14:21:47 ICGccihB
「………な、にを……?」
「………………」
―今までいただいた分、お返しします。魂を。
「…………そん、なこ、と……したら……あな、た………………は……」
彼女は悲しげに微笑んだ。
……微笑んだと、思う。
でも、霞みだした意識と視界の中でソレは定かではない。
「…………待って、くだ……さい。ぼくは…………あなた、の……ことが……」
「………………」
―わたしもです。
確かにそう聞こえた。
彼女は僕の背中に両腕を回し、抱きついた……と思う。
「(……あたたかい)」
僕はその暖かさの中で、ゆっくりと意識を落としていった。

276:230
07/07/11 14:23:23 ICGccihB
長らく垂れ流しを許容していただいたSSですが、
次回で完結です。
今しばらく、駄文にお付き合いください。

277:名無しさん@ピンキー
07/07/11 17:02:43 IATcqb/D
GーーーーーJーーーーーー!!

やはり人間じゃなかったのか、ノートの独白に萌えた

278:名無しさん@ピンキー
07/07/11 17:03:49 aZcUhlyb
GJ!これはラストに期待大な展開ですね。そして筆が速い!素晴らしすぎる

279:名無しさん@ピンキー
07/07/12 05:04:19 fsUUM5/Q
GJ!!
これはワッフルせざるを得ない

280:名無しさん@ピンキー
07/07/12 06:09:04 CchsV7Yx
GJ!
どうか幸せな結末を・・

281:名無しさん@ピンキー
07/07/12 06:17:24 SlwEosPw
>>276
ザッピングできましたか・・・GJ!
生きていく為に絶対不可欠なもの、存在が違えば弱肉強食ならば当然の摂理・・・
しかし、この魔物は優し過ぎた
最後は分からない

いや、最後の最後はまだ分からない・・・。

282:名無しさん@ピンキー
07/07/13 03:28:32 +ljP4vNJ
アゲ

283:230
07/07/15 16:27:29 kJaKvyeb
これより、投下させていただきます。
前回よりは短いですが、それでも長いですし、何よりエロが御座いません。
まことに申し訳御座いません。
それでも構わないという方は、片手間にでもお読みください。
それでは、本文です。

284:彼女の事情と僕の慕情
07/07/15 16:28:24 kJaKvyeb
それからの一週間。
正直あまり覚えていない。
ただいえる事は、部屋の中に彼女の姿は無く、そしてもう二度と帰ってこないだろう、ということだけだ。
僕は何を食べて生きたのだろうか。
でも、何かを食べるたびに彼女を思い出した。
だから、何かを食べてはいたのだろう。
僕は何処に居たのだろうか。
でも、何処かに行く度に彼女を思い出した。
だから、何処かには居たのだろう。
僕はただただ、家の中を、街中を、彼女の姿を求めてさまよったのかもしれない。
僕はただただ、家の中に引きこもり、彼女のノートをめくっていたのかもしれない。
かもしれない、かもしれない。
でも、そんなことはどうでもよかった。
重要なのは、彼女が居ないこと。
それだけだった。

「お客さん、いくらなんでも飲みすぎですよ」
いがらっぽいだみ声が聞こえる。
どうやらここは何かの店のようだ。
僕はうっすらと目を開ける。
明るい木目調の日本家屋的な店内。そのカウンター席に座っているらしい。
どうやら飲み屋のようだ。
その証拠に、僕の目の前には小料理と、片手にはしっかりとコップが握られていた。
店に入った記憶も、何かを注文し、飲み食いした記憶がないのだが……。
僕はそのことに戦慄しながらも、意識の全体は“どうでもいい”という結論を下していた。
彼女がいなくなってどれだけ経っただろうか。
彼女のいない世界は灰色で、現実感が希薄だった。
こんなにも薄汚れていたのか。
こんなにもつまらないものばかりだったのか。
こんなにも希望という言葉が見当たらない場所だったのか。
この世界は。
ぼくはコップの中身を舐めた。
口先から胸の中に熱い感覚が下りていくのを感じる。
それはまるで彼女との最初で最後のキスを連想させる感覚だった。
「君、起きたようだね」
隣から渋い低音が響く男の声がする。
ふと横を見てみると、僕の隣の席にくたびれたスーツを着た男性が座って、コップを傾けている。
だが、照明の具合か、僕が酔っているためなのか、その男の体型、体格あるいはどんな容貌をしているのかさえ、僕には見えなかった。
見えるのはただの灰色。
周りの風景同様の、灰色。
「……ええ、起きてますよ」
正直、人と話す気分ではなかったが、僕の中の小市民気質がソレを許さない。
僕の気分を知りもしないであろう男は、こちらに体をむけ喋りかけてくる。
「なにか大切なものでも失くしたのかな?」
「………………」
そのものズバリだ。僕はうなずくこともせず、コップの中身を舐める。
男はそれだけの動作で得心したようで、口を開き、続ける。
「何をなくしたのか当ててあげよう」
「………………」
「ズバリ、恋人。つまりは失恋、だね?」
僕は皮肉に見えるように苦笑した。
「ハズレです。僕がなくしたのは恋人ではないです」
「じゃ、友達かな」
即答で核心を付かれる。
喉が詰まり、何もいえない。
「というよりも、君はかの人のことを友達以上に感じていた。だが、名目上は友達ということになっていた。
君はソレに甘んじ、かの人と関係を続けたが、本当はそれ以上に進みたかった。
でも、できなかった。友達という名目さえ失ってしまうんじゃないかという怯えに足がすくんでしまったのだね」
ズバズバと僕の内心を言い当ててくる。
半分酩酊した意識で、この男は何様なんだろうという理不尽な怒りがこみ上げてくる。

285:彼女の事情と僕の慕情
07/07/15 16:29:12 kJaKvyeb
否、正直なところ、逆ギレだった。
図星を付かれ、核心に迫られ、僕の小心をいとも簡単に言い当てた男に対する怒り。
「まるで見てきたように言うんですね」
何も知らないくせに、知ったかぶって。
「まさしく、見ていたのかもしれないよ」
「馬鹿な……」
僕はコップの中身を思いっきりあおる。
さらに意識は朦朧とし、視界が狭くなり、頭が熱くなる。
「じゃー、なんでも知って、何でも見ているアンタ。教えてくださいよ。僕はこれからどうすればいいのかを」
呂律が、理性が回らない。
食って掛かる僕の言葉に、彼は若干、口調に笑いをこめて、返答した。
「忘れなさい」
「なぁんですって〜?」
「かの人のことを、一刻も早く思い出にしなさい。……時間というものはどんな傷にも効く特効薬だよ。とくに心の傷にはね。
かの人もそれを望んでいるのではないかな?」
「………………。ばぁかですか〜? そんなことができたのなら……」
そういいながら思い出す。
彼女のノートの最期に書かれた一部分を。
『そして、軽蔑して欲しい。
 私のことなんてゴミ屑のように忘れて欲しい』
………………。
……そんなこと、できるわけが、ないだろう。
彼女の問いたげな顔、怒った顔、困った顔、なによりはにかんだような笑顔。
本当は彼女は無表情といっていいほど、顔に表情が出ないタイプなのだろう。
それでも、僕にはわかった。
僕だけにはわかっていたんだ。
「彼女がいない世界なんて、そこに流れる時間なんて、無意味ですぅ〜。彼女は、彼女こそが―」
気分が悪くなってくる。
僕は彼女のことなんて何もわかっていなかったじゃないか。
彼女が何を見、何を聞き、何を思い、何に苦しんで、何に謝っていたのか。
僕はわかっていたつもりだった、だけじゃ、ないか……。
彼女のことなんか一つだって理解していなかったんじゃないか?
それでも、彼女は僕の事を生かしてくれた。
魂を返してくれた。
真剣に喋って、真剣に遊んで、友達だといって、いつも隣にいたじゃないか。
なにより、こんな僕を見て微笑んでくれていたじゃないか。
それだけは事実だ。
僕が彼女のことをどう誤解しようと、それだけは真実だと信じたい。
黙りこくってしまった僕を見て、男性はため息を漏らし、そして言う。
「たとえ話なんだが、君は、その失ってしまったかの人を取り戻すためにどれだけ払える?」
「はい〜?」
「つまり、失ってしまったモノを取り返すために、いくらまで、どこまで代償を負うことができる?」
愚問だ。
僕は即答した。
「はい〜? ハッ、僕の人生、命、魂の半分までならぁ、支払ってもいいですよぉ」
「? 何故、半分なんだ?」
僕はみみっちくコップの中身を舐める。
「簡単ですよぉ。本当は全身全霊を払ってでもいいんですがぁ、それだとぉ、彼女が戻ってきたときに、
彼女の隣には誰もいなくなってしまう。それじゃ、彼女はさびしいじゃないですかぁ。
だから、たとえ魂が半分にかけていようとも、彼女には僕が、友達が隣にいないとダメなんですよぉ〜。
それにぃ、僕が返ってきて欲しいのはぁ、『僕の隣にいる彼女』なんですよぉ?
僕がいなくなっちゃ意味がないじゃないですかぁ?」
「? ということは、もし彼女が帰ってきて、君の下を去ってしまったら? そしたら、そんな彼女には何の価値もないと?」
「違いますよぉ。何聞いてるんですかぁ? いくら僕の隣に彼女がいても、彼女が幸せじゃなきゃ意味がない。
僕の隣にいて、もし幸せじゃないんだとしたら、彼女に三行半つけられてもしょうがないんですよぉ。
僕はね、僕が欲しいのはね。僕が、僕の隣にいる彼女を幸せにしたい。ということなんですよぉ。わかります?
結局、友達なんて、持ちつ持たれつじゃないですかぁ。彼女が隣にいるだけで僕は幸せだし、
僕が隣にいることで、彼女に何かを与えられるのだとしたらサイコーですよ」
「でも、それでも、彼女が君から得るものは何もないと、君を切り捨てたら?」
おいおいこの男、人の話聞いているのか?

286:彼女の事情と僕の慕情
07/07/15 16:30:09 kJaKvyeb
「だから、さっきも言ったじゃないですかぁ。彼女が幸せでなければ意味がない。
……あ〜、もう、ここまで言わせるんですか? じゃ、言いますけどね……。
彼女を幸せにできるのは、この僕の隣しか存在しない。いや! 断言します! 
彼女を幸せにできるのは、この僕だけだと!! ……たぶん」
アルコールではない何かのせいで頭に血が上る。
男性は少しだけ、呆気にとられてしばらく何も言わなかったが、ポツリと言葉を漏らす。
「君は自分のことを、『醜く、愚かで、貧乏のどうしようもない人間』だと評価していたのではないのかな?」
どうしてそんなことを知っているのだろう。
だが、酔いが究極的に回り、冷静ではない僕は声を張り上げる。
「あんな美人がいつも隣にいたんですよ? いてくれたんですよ? 勘違いしない男はいないですよ」
「だから、彼女のことを幸せにできると勘違いした?」
「……勘違いでも、思い込みでもいい……。彼女が隣にいてくれるのなら僕は……」
いよいよアルコールは睡魔を呼び寄せ、僕の意識が怪しくなっていく。
その意識の中で思う。
僕の魂の半分なんかではとうてい彼女のことを取り戻すことはできないだろう。
それでも、彼女が隣にいてくれたら。
何でもできる。
何だってしてやる。
そして、彼女を幸せにしてみせる。
絶対に。
だから。
だから、だから、だから。
どうか、どうにか帰ってきてください。
薄れ行く意識の中で男の声が木霊する。
「ふん。君はたいそう気持ちが悪い男だな。言ってることは支離滅裂、まぁ、
酔いのせいなのかもしれないが。確かに、醜く、愚かで、貧乏だ。だが、
この私の前で、あの娘を幸せにできると宣言したのは君一人だ。大変遺憾なことに」
その声にこたえるように、店の親父の声もする。
「では、この者に?」
「何でもする、といっている。あの娘のためにこの者になにができるのか。少し興味がわかないか?」
「しかし……」
「なにより、この者といる時、たしかにあの娘は、わたしが見たこともないような顔をしていた。
無表情で無感動なあの娘が。無論、それが幸福だったからとは限らないが」
「そうですか。……私には、いつもどおりの無表情としか……」
「そして、娘の幸せを願わない親はいない。おい君よ。娘のためなら何でもでき、何でもしてやるといった君よ。
我が娘を幸せにして見せろ。力を失いただの人間に落ちぶれた娘を。
無知で無口で頑固で、だが無垢なあの娘をなにがなんでも幸せにしろ。ただし―」

気がつくと、僕はベッドの上に倒れていた。
外出着のままだったから、どこかに言って飲んだくれたのかもしれない。
だが、まったく記憶にない。
たしか、誰かと彼女の話をしていたような―。
酔いがまだ残っているのかぼんやりとした頭で思い出してみる。
すると。

トゥルルルルル、トゥルルルルル………………

唐突にソレは訪れた。
滅多にならない僕の携帯にかかった、たった一本の着信。
「…………もしもし」
酔いがさめた状態で久しぶりに出した声は、酷く擦れて、醜い。
僕はこんな声をしていたのか?
「………………」
無言電話かと思った。
だから僕は切ろうとした。
でも、思い出す。
確か前にこんなことがあったような。
………否。
いつもそうだったじゃないか。
あの人からの電話は、いつもこうだった。

287:彼女の事情と僕の慕情
07/07/15 16:31:18 kJaKvyeb
僕は知らず高鳴る胸の鼓動を抑えながら、通話に集中する。
そして、慎重に耳を澄ませれば、雑多な音に混じりかすかに人の声がする。
「………………」
それは。
「………………」
それは……!!
「………………」
―、―――。
僕は携帯を片手に矢のように飛び出した。

そしてついたのは、何を意味しているのかよくわからないモニュメントの前。
運動不足な僕は息を切らせながら、雑多な人々の中に視線をめぐらせ、かの人を探す。
いない。
いない、いない、いない。
どこだ、どこにいる?
僕は焦りながら、足を進め、一人ひとりの顔を確かめていく。
時々足を止め、鋭い視線で人々を探る。
その様子は明らかに不審で、警察官がいたら間違いなく職務質問されていただろう。
それでも見つからない。
もしかして、あの電話は僕の妄想が生み出した産物なのではないのか?
そんな予感、否、悪寒がよぎる。
「……いや、そんなはずはない。確かに……!」
声に出すことで、悪寒を遮り、意識を保つ。
もつれそうな足取りで、それでも諦めずにかの人を探す。
いない、いない、いない、本当に妄想だったのか。いない、いない、僕は何をしているんだ……? いな―。
そして、見た。
灰色の景色、灰色の人々、その中のたった一つの純白を。
背中まである長い黒髪は空の色を映しそうなほど煌き、全体的に細すぎる体は
白いワンピースに包まれており、その肌は、それと同じくらい白い。
僕を見つめる漆黒の瞳は赤ん坊のように澄んでおり、その目がすえられている顔は
どこか人形じみ、人間離れした美しさを保持していた。
その姿を見て、僕は涙がこみ上げてくる。
わけのわからない衝動に駆られ、叫びだしたくなる。
きっと、もう飛ぶことのできないその人は。
こんどこそ、ちゃんと待っていた。
僕を待っていたんだ。
僕はよたよたとかの人に近づき、倒れるように彼女を抱きしめた。
「あなたは……!! あなたって人は!! 本当に!!」
意味もわからず、喚き散らす。
その人も、……彼女も僕をあやすように抱きしめた。
「………………」
そして彼女は、意味も無く謝る。謝り続ける。
僕は興奮気味に尋ねた。
「どうして、どうしてあなたがここにいるんです!?」
本当はそんなことはどうでもいい。
彼女が僕の目の前に、僕の腕の中にいる、それだけで十分だ。
でも、何かを喋らなければ、嬉しすぎてどうにかなってしまいそうだった。
僕の問いに彼女は無表情に、だがどこか興奮したように答える。
「………………」
―わかりません。気がついたら人間でした。
あまりにもどうしようもない回答。
いつものような、どこかたどたどしい子供のような呟き。
僕はそんな彼女の一言に無性に可笑しくなって
「アハハハハ、ハハハハハハハハハ……」
笑い出してしまった。
可笑しい、可笑しい、可笑しい。
ダメだ、どうしても笑いが止まらない。
そんな僕の胸で彼女は泣き出した。
なぜなのだろう。
でも、傲慢かもしれないが、僕にはその理由がわかったような気がした。

288:彼女の事情と僕の慕情
07/07/15 16:32:47 kJaKvyeb
僕は笑いながら考える。
今の状況を。
一人は大笑いし、一人は大泣きしている。
傍から見たら、どんな二人に見えたのだろう。
僕はソレさえもおかしくて笑った。
その時、脳裏に、微かに聴いた覚えのある声が響いた。

『―君の魂の半分、確かにいただく。それで君はあの娘を幸せにして見せろ。
ただし、このチャンスただではない。君の魂の半分だけでは到底足りないこの賭けを
成立させるために、君は、もう片方の魂をかけなければならなくなる。
つまり、あの娘を幸せにできなければ、もう半分の魂も頂戴することになるということ。
これは実験でもあり、試験でもある。だが、それ以上に、あの娘を幸せにしたい私と君が望む結末を導き出すための唯一の道でもある。
私の勝手な行い、勝手な期待。だが、君はそれでも構わないだろう? なにしろ娘が、彼女が―』

―僕の隣にいるのだから。
僕はそういわれたときに確かに、頷いた。
彼の提案、賭けを了承したのだ。

「(僕らの評価、結論はとりあえず、しばらく保留ということか)」
そして、それらは全て、僕の手にゆだねられているらしい。
彼女のことを幸せにできるんだろうか?
賭けられているものの大きさに体が震える。
もう、自分が醜く、愚かで、貧乏だといういい訳はできない。
それでも、僕はやらなければならないのだから。
死にたくない僕のためにも。
幸せにしたい彼女のためにも。
たった一つの『彼女の事情』は、かけがえのない『僕らの事情』になったのだから。
そこまで考えた僕は、腕の中の暖かな存在をもっと確かにしたくて、目を瞑り、腕に力を入れた。

そして、ひとしきり笑い、泣いた後、彼女は言った。
「………………」
―帰りましょう。“家”に。

「当然です」
僕は瞳に溜まった涙をふき取りながら、大きく頷いた。

見ていろ、どんな手を使ってでも、彼女を幸せにしてみせる。
彼女がもう要らないというまで、幸せ漬けに、幸せまみれにしてみせる。
この賭けは、僕が勝ち取ってみせる。
だから見ていろ。いつまでも。
僕らの幸せな生活を。
そして、なにより、ありがとう。
お義父さん。

僕はためらい、彼女は躊躇なく、手をとった。
いつもの光景に、僕は胸が熱くなる。
涙を悟られないように、僕は笑った。
こちらを見つめる彼女も、同じように笑っていた。
僕にしかわからない微妙な微笑で。
僕は彼女の手を、もう離さないように強く握った。
彼女もまた、小さな手で強く握り返してくる。
そして、僕らは帰っていく。
僕らの家に。
いつものように。
笑いながら。

薔薇色の日々を、いつまでも。




289:230
07/07/15 16:37:08 kJaKvyeb
以上です。

稚拙なSSにここまで付き合ってくださった方々。
駄文の垂れ流しを許容してくださった方々。
あまつさえ感想まで書き込んでくださった方々。

皆様のおかげで何とか完結させることができました。

では、改めて。
ここまでお付き合い有難う御座いました。
また機会が御座いましたら、お会いいたしましょう。

そのときまで、ごきげんよう。

290:名無しさん@ピンキー
07/07/15 17:11:35 Zdsg8tJ8
>>230さん、GJ。
いい話だ。とにかくいい話だ。
特に最後の1行がお洒落だな。

では、また。

291:名無しさん@ピンキー
07/07/15 19:21:35 sAWsevrS
うおあっ、完結編キタ────!やばい感動度が高すぎてヤバい。もうひたすらにGJです!

292:名無しさん@ピンキー
07/07/15 22:26:11 wfIALHgb
GJ!
ちょっとだけ主人公の事を尊敬してしまった。

293:名無しさん@ピンキー
07/07/16 03:36:07 lVX+tnwo
まずいってこれは・・・・・名作すぎる。
涙と一緒にいろいろと汚れた物が流れていったような気がするよ・・・

さて言わせてもらうよ。
神GJ!!

294:名無しさん@ピンキー
07/07/16 04:44:59 GW7M23MQ
>>289
230の君グッジョb!
昔どこかで感じた感動を思い出したようだよ・・・

途中携帯のとこから俺自身が動作に移行して、走り、外聞を気にせず、彼女を見つけ、そして泣いた。
そもそも事の男自身狙った感じではあったが、それこそがこうまでシンクロさせ、
長文ダメダメキングのこの俺を毎回楽しみにさせてたのにはほんと驚いたよ……

最後は互いが前を見据え共に歩んで行ける事を・・・


「最後の最後にありがとうを君へ」


295:名無しさん@ピンキー
07/07/16 08:58:05 RNsXBJOc
感想が無駄に厨臭い長文だと萎えるな

296:名無しさん@ピンキー
07/07/16 13:34:22 3d3bxwFQ
これだろ?!
URLリンク(jggj.net)
URLリンク(jggj.net)
URLリンク(jggj.net)

297:名無しさん@ピンキー
07/07/16 19:06:53 qsstGIeJ
ここのスレマンセーしてる奴らって、リアルで女と話せずに女が全部従順で
自分のいう事に頷くだけの存在ならいいなーとか思ってるヒキオタなんだろうな

298:名無しさん@ピンキー
07/07/16 19:15:55 gND64C8J
以下、何事も無かったかのようにスルー。

299:名無しさん@ピンキー
07/07/16 19:44:06 qsstGIeJ
否定しない、つまり認めるってことか

300:名無しさん@ピンキー
07/07/16 22:58:50 0CvBsIlW
なんという一人芝居……

301:名無しさん@ピンキー
07/07/17 00:02:16 osEbpVBk
だいたいリアルなんかくだらないことが殆どだし。嫌になるよ。
せめて二次元だけでも癒しが欲しいのさ。

302:名無しさん@ピンキー
07/07/17 00:03:24 d16xRBps
嵐に反応するなってーの

303:名無しさん@ピンキー
07/07/17 00:10:49 xVSyYMa8
エロパロに来る人なんてみんなヒキオタですっ!!



……あれ、ちがうの?

304:名無しさん@ピンキー
07/07/17 01:25:52 yhT6BMkl
>303
お前は全俺を敵にまわした

305:名無しさん@ピンキー
07/07/17 01:56:17 SrYzALY8
>>303
お前に全俺を敵に回したかった

306:名無しさん@ピンキー
07/07/17 02:01:17 UBnR+iiR
他所でも煽りやらかしたやつだからスルー推奨。

307:名無しさん@ピンキー
07/07/18 03:02:59 sRXcIRdC
保守
↓以下無口女の作り方を書き込んでくれ。

308:名無しさん@ピンキー
07/07/18 11:59:42 Hji6gfPr
@口が臭い、声がうざいなどと言い続ける
➁さらに喋る度に殴りつける
Bそれでだめなら声帯をぶった切る

勿論DVで訴えた際には必ず殺すと言い含めておくのは基本

309:名無しさん@ピンキー
07/07/18 12:21:42 HvqwoGon
その手の無口にはイマイチ萌えないなぁ・・・

310:名無しさん@ピンキー
07/07/18 13:29:33 BTT3Xvv8
日本語のしゃべれない女のコ
共通言語が外国語しかないと、必然的に口数は少なくなる

311:名無しさん@ピンキー
07/07/18 15:13:30 W3UoyfUf
>>307
本読ませまくる
ひたすら

312:名無しさん@ピンキー
07/07/19 01:32:23 z5qZhjOc
>>310
人によっては母国語で猛烈にしゃべりかけてくるので要注意
 あ、でもお互い言葉を教えあうというシチュいいなぁ・・・

313:名無しさん@ピンキー
07/07/19 02:37:57 BsA7LmtI
お互い自国語で話してて通じてないのに、
続けてるとなんか楽しくなってくることあるよな。
うなずいたり、ちょっと首傾げたり笑ってみたりしてんの。
いやこれじゃ全然スレ的にダメだが。

314:名無しさん@ピンキー
07/07/19 14:10:10 /CGT44Md
>>310
だがそれを書こうとすると、作者は出す国の言葉をある程度しゃべれなくてはいけないような気がするのは俺だけだろうか?
おもしろそうだけど

315:名無しさん@ピンキー
07/07/19 17:33:52 EzfV12al
主人公の一人称にしてしまえば、判別不可能な言葉はある程度主できるんだぜ。

316:名無しさん@ピンキー
07/07/19 18:41:03 88/MFZFt
>>314
つyahoo翻訳

317:名無しさん@ピンキー
07/07/21 00:54:40 MWsYx+B/
人魚だから発音(発声)出来無いってのがあったな。


318:名無しさん@ピンキー
07/07/21 04:11:14 2DFcj/r1
投下してくれ

319:名無しさん@ピンキー
07/07/21 21:22:05 hUU08EIv
私の知らない武器が内蔵されているのか…?

320:名無しさん@ピンキー
07/07/21 21:22:53 hUU08EIv
すまん!誤爆した

321:名無しさん@ピンキー
07/07/22 15:14:03 WecqGOL2
>>313
もう読んでるかもしれないけど、

【不可抗力】女の子と二人きりスレの520〜のシチュがまさにそれかと。

完結してるし、無口スレの住人にも向いてそうな感じの話かも?

322:名無しさん@ピンキー
07/07/23 03:32:05 8VD74LaO
書いてくれる職人さん来ないかな・・・

323:名無しさん@ピンキー
07/07/23 12:56:40 E9GkA+Nn
主人公・・・俺
ヒロイン・・・雪華 (設定に沿って無口。)
こんなカンジで書いていきます。
初心者なので、見苦しいところはあるかもしれませんが、よろしくお願いします。

324:名無しさん@ピンキー
07/07/23 13:14:23 rDkLx+IC
>>323
改行を多用し過ぎないことと
書きながら張るのはしない
ということを忘れないで

325:名無しさん@ピンキー
07/07/23 13:30:39 E9GkA+Nn
四月の春。みんなが入学にうかれる季節に、俺は彼女と出会った。
彼女の名前は雪華。
俺とイッコ下で中学卒業したての高校一年生。
ちょうど入学式&始業式も終り、俺は一人で帰っていると、前に女の子がいるのに気付く。
彼女の特徴の長い黒髪に魅かれて、声をかけた。
「君、この春入学してきた、一年生だよね。俺、一応帰り道一緒みたいだから覚えておいてね。」
帰り道一緒だから、覚えておいてって、あまりにも変だけどこれ以外話し始めの機会が無かったので、右肩に掛けているバッグの中の参考書と教科書を見ながら言った。
「私は・・・雪華・・・。」
持っていた本のページをめくりながら、彼女は答えた。
不自然な喋りだしに無視されると思っていた俺は、すんなり来た返事に少々戸惑いながらも、話を続けた。
「じゃあ、雪華でいい?」
「うん・・・。」
いきなりの呼び捨てに今度こそ無視されると思ったが、またもや、彼女は答えてくれた。
「家どこ?」
「○○町三丁目」
「じゃあ、俺ん家の向かいじゃん! 」
意外だった。俺ん家の向かいといえば、近所でも有名な夫婦ゲンカの名所で、
毎晩、毎晩大声でケンカしているので、近所の評判は悪かった。俺は敢えてそのことは聞かず、話題を変えた。
「ウチの学校の受験、何点で入った?」
「492点・・・」
これには、びっくりした。入学式最中となりの男子が話していた、ウチの学校に492点で入った
バケモノがいるというのは本当だった。(男子の情報力の凄さにも驚いたが)
「じゃあ、今度勉強教えてもらっていい?」
「いいけど・・・、あなた私の先輩だから・・・多分たいしたこと教えれない・・・」
「大丈夫だって! 俺バカだから(笑」
まあ、確かに、高2の俺が入学したての高1に勉強を教えてもらうのもなんだが、俺の狙いはそこじゃなかった。
勘がいいやつはもうここで気付いたと思うが、俺は雪華のことが好きになってしまった。
ヒトメボレとかいうやつだ。


326:名無しさん@ピンキー
07/07/23 16:24:41 0Mkf4+nN
なんとまぁ…

327:名無しさん@ピンキー
07/07/23 16:28:35 +CMQ8Vao
これまたキツい…


328:名無しさん@ピンキー
07/07/23 16:51:17 E5EmfJC5
なんというか・・・・・
まあ、どんまい。

329:名無しさん@ピンキー
07/07/23 21:00:31 RaVXiWpW
マジレスすると、
ネット上のものでもいいから、小説をもっと読んで見るといい。
意気はなかなかいい。

330:名無しさん@ピンキー
07/07/23 21:36:46 rA5X1qDP
とっかかりとしては、ネット小説やラノベでいいと
思うのだが、できれば、夏目漱石とか志賀直哉とか、
古典といわれる、小説にも挑戦してみたら
もっといいと思うぞ。



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