無口な女の子とやっちゃうエロSS 2回目 at EROPARO
[bbspink|▼Menu]
[1からを表示]
50:エロ無
07/05/21 08:51:50 AdMP3SPY
 俺は、そうか。と短く応えて再び窓の外へ目をやった。
 実はと言うと、俺はそれほど寒くは無い。何故なら俺を椅子代わりにするこいつの身体から熱を感じるからだ。
 確かに、腕とかは少し寒い気がするが我慢できないレベルではない。
 ぼー、と窓の外を眺める俺。その表情はさぞかし阿呆らしいだろう。それも仕方がない。今の俺は椅子なのだ。椅子は黙っているしかないしこの状況じゃ、ぼーとする以外に手段がない。
 その時、ずっと本を読んでいたそいつが動いた。読んでいた本に栞を挟み、ベッドの小脇に置いたのだ。トイレにでも行くのかと思い、俺はこいつの頭をぼけーと見つめていた。
 すると、音も立てずそいつが首だけ振り向いた。
 ちょっとツリ目がちで、はっきりとした黒い瞳。整った鼻に、桜色の唇が真一文字に占められてる。ちょっと子供っぽい印象を受けるそいつが、俺を見ていた。
 俺もそいつを見る。真っ黒い瞳は一見、何の感情も映し出さない。しかし、俺には解る。そいつの考えている事。そいつが思う事。そいつが望む事。
 だから俺は、あえて小首を傾げて見せた。これがゲームかなんかだったら頭の上に?マークが浮く事だろう。それくらいに見事なとぼけかただと言えた。
 数秒、俺の目を見ていたそいつは無表情で顔を元に戻した。この後は読書を再開するのが凡人の考えだが、俺には解るのだ。
 そいつは前を向いたあと、少し躊躇う様な気配を見せた。
 そして、脚に置いていた両腕をやや後ろに伸ばした。おずおず、という効果音が似合う動作だ。
 程無く、そいつの腕は俺の手首を掴んだ。そいつの手は冷たく、身体が冷えている事を暗に物語っている。
 俺は腕の力を抜く。すると、そいつは俺の腕を自身の腹辺りに持って行く。俺の腕はこいつの細いウエストに添えられた形になる。
 そこで、そいつの手は離された。まるでそこまでが限界、と言わんばかりだ。
 その証拠というか、こいつの耳は茹でダコも真っ青な感じで真っ赤になっている。
 俺のこいつの気合に敬意と愛おしさを感じ、こいつが望んだ事をやってやろうと思った。
 腕に少しだけ力を入れ、こいつの細い胴に手を回す。片手で抱えられそうな細いウエストだ。


51:エロ無
07/05/21 08:52:54 AdMP3SPY
そこを両腕で抱きしめる。力一杯、いや。心一杯抱きしめる。
柔らかいお腹の感触が心地良い。それと同時に俺にかかる重量が増した気がする。たぶん、それは気のせいでは無いだろう。
俺が抱きかかえるこいつはあからさまに脱力しているのが見て取れる。その顔が見てみたい。
俺の頭がぼー、としてきた。良く分からない思考回路に命じられるまま、俺はそいつの髪の中に顔を埋めた。
その瞬間にこいつはびくり、と小さく身体を震わせたがそれも一瞬だ。
 こいつの髪はきれいだ、肌触りも大変よろしい。絹とかはきっとこんな感触がするんだろうな。
 そんでもって匂いも良い。シャンプーの香りと女の子の甘い香り、そして僅かに香る汗の匂い。心がひどく落ち着く匂いだ。
 こいつを手放したくない。ずっと傍に居て欲しい。
 俺の気持ちに応えるように、こいつは俺の腕にそっと触れた。
 さっきよりは温かい、小さい掌。
 小さい身体が震えた。というより振動した。蚊の声よりも更に小さい声でこいつは喋ったのだ。
 普通の人間ならこいつの声は到底聞き取れないだろう声を、俺は呼吸のように聞く事が出来る。
 身体と身体を密着させれば、こいつの声は振動となって俺に響く。どんなに小さな声だって、俺は聞き逃さない。
 またこいつの身体が震えた。こいつが言わんとしている言葉は「こたえて」。
 それは先ほどの問いに関する返事の催促だという事は明白だ。
 だから俺は答えてやる。俺の本心、俺の魂の雄叫びを。
「大好きだよ」
 普段なら小っ恥ずかしくて言えないようなセリフだ。でも、この状況なら何の抵抗も無く言えてしまうから不思議だ。
 まあ、それはこいつも同じなんだろうと思う。学校では一言も話さず、誰とも関わろうとしないこいつが俺と二人っきりの時だけは甘えてくる。
 要は俺達、似た者同士なのだろう。
 そんな事を考えていたせいか、凄まじい睡魔が襲ってきた。
 どうしものかと思っていたらこいつも眠そうに目を擦っているようだ。あくまで推測だが。


52:エロ無
07/05/21 08:53:47 AdMP3SPY
 もたれかかっていた壁からベッドに重心を移動させる。
 すると、俺の身体はずりずりと、まるで斜面をずり落ちるスライムの様にベッドにずり滑って行く。
 それに巻き込まれたシーツがしわくちゃになるが、気にしない。どうせ朝にはもっとぐちゃぐちゃになって洗濯する羽目になるのだからな。
 身体全てがベッドの上に滑り降りたのを確認し、俺は身体を横に向きなおす。
 俺の腹の上にいたこいつもベッドの上に到着だ。
 とりあえずこいつから手を放す。名残惜しそうな気配がしたから頭を撫でてやった。足もとの毛布を手繰り寄せて俺とこいつで被った。
 枕と適当なクッションを取って床につく。枕はこいつに、クッションは俺の枕代わりだ。
 レトロな電灯を消すと、部屋は真っ暗とまでは言わないがそれなりの闇に包まれた。
 それでもこいつの顔ははっきりと分かった。
 ほんとに目と鼻の先にこいつの顔がある。子供っぽくてとても愛くるしい顔。
 俺はそいつの頭を撫でてやった。落ち着く。
 こいつはこいつで軽く目を細めてくすぐったそうにしている。一見すると全くの無表情だが。
 そうこうしている間に眠気がどんどん増してくる。そろそろ限界かと思い、そいつの頭から手を放した。
 さっきみたいに名残惜しそうな気配が一瞬。そいつが俺に密着するのも一瞬。そんでもってキスも一瞬。
 唇に残る温かい感触を噛み締めているうちに、こいつは毛布の中に潜って俺の胸に顔をぐりぐり押し当てている。恥ずかしいのだろう。
 愛い奴よのう、と思いつつ。こいつの頭を両腕で軽く抱きしめる。するとぐりぐりが止まった。
 その代わり、そいつも腕を俺の身体に回した。抱き合っている体制だと言えた、温かい。
 そろそろ意識が風前の灯火だ。瞼が鉛で出来ているかのように重い。
「おやすみ」
 薄れゆく意識の中で、俺は何とか一言呟いた。はっきりと発音できているかどうかは怪しいが、こいつはちゃんと聞きとってくれたようだ。
「……おやすみ」
 躊躇いがちな、それでもはっきりとした声でこいつは言った。
 気付けば雨は止んでいた。

エロ無いのは2スレ目記念という事で勘弁してorz

53:名無しさん@ピンキー
07/05/21 12:14:06 6rCjPDiV
じうご氏GJ!!

54:名無しさん@ピンキー
07/05/21 22:19:40 Tb41cAXj
>>52
gj

55:名無しさん@ピンキー
07/05/21 23:13:56 ddwq39aE
>>52
Gj!!
です
エロ無しがなんだ!
うまければいいんだ!!そのままでも十分おもしろいですよ!!!
…正直うらやましいです…
最後にもう一度
Gj!!

56:じうご
07/05/22 04:46:40 qBRowxr/
眠いです、徹夜で書くもんじゃないなぁ
>>52
Gj! です
次はぜひそこにエロをつけて書いてみてください…


んで書けたものを投下
なんか途中で無口じゃなくなってるよorz

57:じうご
07/05/22 04:47:31 qBRowxr/
とりあえず、僕の一日は彼女の声を聞いたところから始まる
「…」
いや、実際は声を聞くんじゃなくて叩き起こされるんだけどね
「…わかった〜、起きるから〜、少し待って〜」
そんな僕の声を無視して、ぼすぼすはたいてくる
しかたがないので、未だに眠りを求める体に鞭打って起きる
「…」
「はい、おはよう」
柔和な感じのする優しい目、すっと通った鼻、腰近くまで伸びた長い髪
朝起きて彼女を見るたびに、僕は彼女がとても可愛いと思う
欠点は無口なところだが
彼女が無言で伝えてくる言葉にも、今では考えるまでもなく理解できるようになっている
まぁさすがに二年も付き合えば…誰でもわかるか…な?
「…?」
「あぁ、少し考え事」
「…くすっ」
なにがおかしいのかそのまま笑い始める
頭が覚醒しきってないのも合わせてすこしイラッとしてくる
「なにがおかしいんだ?」
「…」
彼女は口元に指をあててこちらに微笑んでくる
普通だったら静かに、っていう意味だけど彼女の場合は秘密、の意味だ
…しかし朝っぱらからいいものが見れました、このまま二度寝しよう…
ふらっと、布団に倒れこもうとする僕に彼女から
「…」
無言の威圧と共に神速のデコピンが…
ビシッ
…耳に直撃
「うひゃぁお!」
僕は意味のわからない悲鳴をあげ布団の上を転げ回る
「…」
彼女はまた微笑みながら目が覚めたかどうか問いかけてくる
「完璧に覚めたよ」
僕は苦笑いをしながら答える
そういえば今日は悠たちと遊びに行くんだっけか
「じゃぁ準備しようか」
「…」
「準備できてないのは僕だけか…」
この様子だと朝飯も作ってくれてるんだろうな
…なんか本当にありがたいな
そんなことを思いながら
僕、白木 誠(しらき まこと)は
彼女、木村 千恵(きむら ちえ)
を部屋の外に追い出し、出かける準備を始める



58:じうご
07/05/22 04:49:07 qBRowxr/
「遅かったな、お前ら〜」
待ち合わせ場所で、早速、悠さんに文句を言われる
「…どうしたの?」
美夏さんに聞かれて千恵が
「…」
いつもの無言で答える。なのに、やっぱり、なぜか、悠さんたちには意味が伝わる
「そうか、やっぱり誠が寝坊したか」
「…守ろう?」
…はいすみません。次があれば必ず約束の時間に来れるように寝ます
とりあえず口でもあやまる
「ごめん…」
「全く、俺は昨日、珍しく早く寝て、美夏に叩かれたって言うのに…」
「…っ」
顔が真っ赤だよ、美夏さん?
「ちょっとまっ、痛い、痛い、やめろ〜」
その割には顔が笑ってるよ?悠さん?
「…」
その様子に千恵も笑みをこぼしながら、僕に言葉を伝えてくる
「そうだね、お二人共、早く行こう?喧嘩で時間つぶしたらもったいないよ!」
「はいはーい、今行くからちょっと待ってくれー」
まだ頭を美夏さんに小突かれながら悠さんがこっちに来る
「さっ、行こうか」
「今日はどうする?」
「…」
「…楽しくする」
「意見まとめると、特にやりたいことは無い、か…映画でも見ないか?」
「…私も」
「僕もそれでいいけど、千恵はどう?」
「…」
「賛成みたいだな、じゃぁ行こうか」
一同は映画館へ


59:じうご
07/05/22 04:50:22 qBRowxr/
チョイスした映画は今話題になっているホラー物だったが
「あ〜やだ、もうやだ、あれはもう絶対に見ないぞ」
映画を見終わった悠さんの感想はそれだけだった
「…怖がり」
美夏さんのその言葉に悠さんは目にいじわるな光を宿らせて言う
「ほう、そんなこと言っていいのかな?じゃぁ今夜は俺の布団にもぐりこむなよ?」
「…っ」
そして美夏さんはその言葉を聞いて顔を少し青くする
「美夏さんも怖がりなんだね〜」
「…」
ちなみに僕らは平気である
僕は、映画は映画、現実は現実、と割り切れるので大してそういう風には感じない
幽霊やその類を信じていないわけではないが
千恵はそういうものを怖がらず、楽しく見れるタイプ
―僕としては抱きついてもらうなどのイベントが起きなくて残念だが―
なので全然平気である
「全く、平気なお前らがうらやましいよ」
「…私も」
「そうかな?」
「…?」
まぁ怖がったことがないのだから、いまいちうらやましいことなのかわからない
「まぁいいけどさ、お前らこの後どうする?俺は美夏と一緒に本屋行くけど」
「…」
「…わかった」
「僕もそれでいいよ、千恵」
…しかし行きたいところってどこだろう?
そんなことを思いながら悠さんたちと別れる
「じゃぁまたな!」
「…また」
その言葉に千恵は手を振って返し僕もそれにならう
「…」
「ん、わかった、行くか」
そして悠さんたちとは反対の方向に歩いていく





60:じうご
07/05/22 04:51:34 qBRowxr/



「どこにいくつもりなんだ?千恵」
もう何度目かわからない質問を放つ
しかしその度に千恵はこちらに振り向いて
「…」
口に指を当てる、答えてもらえないのはもうわかっているけど、聞く
まぁ僕も実際、真面目に聞いたのは最初の一、二回だけで、
あとは全部この仕草が見たくて聞いているのだが
そんなことを考えていると、唐突に千恵は、ぽんっ、と手を打ち
「…?」
これまた唐突に僕に質問してくる
「なんで、さんづけで二人のこと呼んでるの?って言われてもなぁ」
初っ端からそう呼んでた、としか言いようが無い
まぁ強いて言えば
「僕の性格かな」
なんか自分では、それも違うような気もするけど
まぁでも千恵はそれで納得したらしい
ふーん、という感じで僕を見る
…ああ、こんな顔もやっぱり可愛いな
このごろようやく、
自分が心のなかで惚気まくりなのに気付いたが、直し方がわからないので放置
「…」
「なに考えてるの?ってそれは言えないな」
むぅっと、ふくれる千恵。やっぱり可愛い
…ああ今日は、なんか、すごく、いい日だ
またまた、そんな風に思っていると
「…」
「着いた?ってことはここが目的地?」
千恵はこくこくと頷く
その場所はなんの変哲も無い場所で
単純にごく普通の街中だった
しかし千恵は、周りを一度ぐるりと見回し、そして今来た道を戻っていく
僕は少し混乱してきた
なんで来たばかりなのにすぐ戻るんだ?
「なぁ、もういいのか?」
「…」
こちらに振り向いて、また千恵はこくこくと頷く
当たり前に疑問がわく
「ここに何しに来たんだ?」
この言葉に千恵は
「…」
口に指を当てた



61:じうご
07/05/22 04:52:43 qBRowxr/
「で、帰って来ちゃった訳だけど」
今いる場所は自宅の僕の部屋
あの後、千恵はどこにも寄らずに、そのまま直接家まで帰って来たのだ
「結局なんだったんだ?」
ぼそっとつぶやく
帰り道の間に聞きだそうとしたが、教えてもらえなかったので、つぶやくだけ
きっと気が向いたら教えてくれるだろう
今の時刻は途中で、事故見学渋滞に乗っていたバスが巻き込まれたことと
途中で外食したことも合わせて
とっくに時刻は八時半をまわっていた
今千恵は、やけに幸せそうな顔(お腹いっぱいで満足しているのかも)で
猫柄のパジャマを着てベッドに寝転がっている
風呂も入ったしこの後なにしてようかな…
そのとき千恵がこちらのことをつついた
「ん?」
千恵の方に振り向く
千恵は座って顔を薄く朱に染めてそっぽを向いている
…この沈黙は…
まぁ早い話、しない?と聞いてきているのである
なんかもの凄く急な展開だなぁ
まぁこういう日もあるだろう
僕も男だし誘われているのに拒否するようなことはしない
ぽふっとベッドに押し倒す
そしていつものように形式だけの意思確認
「いいの?」
「…」
千恵はいつもの通りやけに嬉しそうな顔で、無言で頷く
「わかった」
まずは簡単にお互いの唇を重ねるだけ
それでお互い、自分にスイッチが入ったら
深く重ねる
舌を絡めあい、口内に分け入りそして受け入れる
やがてどちらともなしに、空気を求めて離れる
このときの、千恵の蕩けた表情が、僕はたまらなく好きだ
「服、脱がすよ?」
コクッと頷く
許可も得たので、ちゃっちゃとやる


62:じうご
07/05/22 04:53:54 qBRowxr/
パジャマのボタンを外して脱がして、下着を外し、千恵を生まれたときの姿にする
その姿を見るたびに、僕は毎回、綺麗だと思う
大きすぎず、小さすぎず、ちょうどいい胸
細くくびれた腰
すらっとのびる足
「…」
顔を真っ赤にして千恵がひとこと言った
「えっちって言われてもなぁ」
僕は苦笑しながら思う
この姿をじっくり眺めるな、っていう方が無茶だ、と
ということ、でじっくりとその姿を堪能する
「〜〜〜っ」
千恵は未だに見られることに慣れていないらしく体を隠してしまう
こうなったら眺めるのをやめて、彼女の手をどかし、行為に走る
一旦軽く唇を重ね
そこからのど、鎖骨、と降りていく
両手で胸を刺激し、降りてきた口で胸の頂点をついばむ
「…っ」
たったそれだけの行為で千恵の体が跳ねる
「やっぱり敏感だね、胸」
その言葉にいつもの通り千恵は
「〜〜〜っ」
顔を真っ赤にする
その様子に心を満たされながら、先ほどより強めに胸を刺激する
「…ひぁ」
「やっと声だしたね」
その言葉に千恵は、指をくわえる。意地でも声を出さないつもりらしい
…まぁこの勝負はいつも僕の勝ちだけど
そう思いつつ、胸を刺激することを続けながら、頂点を片方の手の指で挟んでつぶし
残ったほうを口に含んで甘噛みする
「…んぁっ」
千恵はもう指を離しかけている
「声もれてるよ?」
その言葉に慌てて指をくわえなおす
はっきり言って、一回崩れかけたものを崩すのは、とても容易だ
だから先ほどよりもっと強い、しかし痛みを与えないぎりぎりの強さの刺激を与える
「…んんっ…んんっ!」
いつもはこのまま、千恵が根負けして声を上げるまで続けるのだが…
…たまには、ね
余っていた右手を下にずらし、千恵の中心に触れ、十分指を蜜で濡らしてから
そこにある突起をはさんでつぶし、こする
「んひぁぁぁぁぁぁぁあ!!」


63:じうご
07/05/22 04:55:07 qBRowxr/
千恵の体が跳ねる
与えられた快感を受容しきれなくなったらしい
…今日はいつもより早く、僕の勝ち〜
一度崩すと、千恵の喘ぎ声が聞ける他にもう一つ特典がある
ものすごく饒舌になるのだ
…どっちかっていうとそっちの方が目当てだしね
そう思いつつ言葉をかける
「今日はいつもより早かったね〜」
もちろん言葉にはいじわるな感情をつける
「はぁ、だって、あんな、の、はんそ、く、だよぉ」
今日もきちんと特典はついてきた
これで僕のやる気は当社比五倍ほど
もちろん嗜虐の心にも火がつく
「あんなのって、これ?」
といい先ほどと同じように突起をはさんで、つぶして、こする
「ひゃぁぁぁあう!だめぇ、それ、しちゃ、だめぇ」
「ふーん、じゃぁ、これは?」
と言葉を放っている間に、顔を足の付け根までずらし入り口に舌を這わせる
もちろん突起にふれてる指は、動きっぱなし
ただし先ほどよりやさしく、ていねいに
「だめぇ、そっ、ひぅ!はぁ、ひゃぁ!」
そんな千恵の喘ぐ様子が可愛くてもっと苛めたくなる
「何を言ってるかわからないなぁ」
「らって、まころあっ、あぁっ!」
だらしなく口元から涎をたらしながらひたすら喘ぐ
千恵の言葉が、だんだんろれつが回らなくなってきている
…そろそろ加減しないと後が怖いなぁ
そう思っても、まぁいいかとも思い、続ける
そして舌を千恵の中にねじ込み、中をなめる
「ひぃぁあ!らめっ!それらめ!」
…ああ、駄目だもう、僕が限界だ
行為を中断して自分のものを取り出し、千恵にあてがい
「いくよ?」
返答を待たずに貫いた
「あぁぁぁぁぁぁぁあっ!」
中の自分がきゅっと締め付けられる
どうやら、入れたときの衝撃で達してしまったらしい
「大丈夫?」
さすがにすこし心配になりたずねる
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」
千恵は放心したまま、荒い息を整えていた
ここでやっと理性がもどってくる
…またやりすぎたー!!
毎回毎回、僕が後悔するのはここまで来てからである
…なんで途中で止められないんだろうか


64:じうご
07/05/22 04:56:09 qBRowxr/
心の中で彼女に謝りながら、そのまま千恵が回復するまで待つ
少し経ってから
千恵はこちらに振り向き自分の願いを伝える
「…動いても…いいよ…」
その言葉を合図にゆっくりと動き出す
先ほどまでとは打って変わって千恵を労わるように
千恵がゆっくり楽しめるように
「ふぁっ、はぁ、んっ!」
千恵は足を絡めてくる、そして言う
「…さっき、みたいに、強くしても、いいよ?」
「いや、でも…」
薄く蕩けた目でこちらを見つめて
「…お願い」
これには戻ってきていた理性が吹っ飛んだ
千恵の体を起こし自分と向き合うように座らせて、彼女の腰をつかみ、突いた
さっきまでと同じような激しさで、だけど気遣いながら
奥深くまで挿し込んで子宮口にあて、一気に引き抜き、また挿し込む
「ひぁっ!ひゃぁっ!ふぁっ!」
何度も何度も、同じことを繰り返す
そして
「千恵、僕、もう」
「ひぅっ!はぁ、いいよ、あぁっ!きて!」
あとはお互いに強く抱きしめあい、そして互いに限界を迎える
「くっ…」
「ふぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
あとは、心地よい倦怠感に包まれながら、
落ちていく、落ちていく



目覚めた後に
少年が少女にひたすらけなされ、謝るのは…また、次のお話


65:じうご
07/05/22 04:59:30 qBRowxr/
さて、朝っぱらから何をしてるのだろうか?
今日も仕事があるのに…
おまけに妙に…ねぇ←意味不明
細かいところへの突っ込みは――やめてください
あ、やっぱり突っ込んでください
あと二人なんかいますが気にしないでください

66:名無しさん@ピンキー
07/05/22 12:11:42 WghAiY8o
GJ!
やっぱり貴方はネ申です!!

67:名無しさん@ピンキー
07/05/22 18:01:59 VqkKlvDF
じうご様GJ!!
そりゃそうと前スレラストの効果音無口についてだが俺的には超アリだと思う。

68:名無しさん@ピンキー
07/05/23 02:19:08 s4mkYxbN
急所にクリーンヒット!神GJ!

こうもクオリティ高いと中毒になってくるな。

69:名無しさん@ピンキー
07/05/23 03:53:44 8c2CjSY6
すいません。
突然ですが、保管庫を以下のサイトに移動しました。

URLリンク(mukuchi.yukigesho.com)


70:名無しさん@ピンキー
07/05/23 21:17:29 qCxxRyeV
>69

保管庫初めて覗いたけどデザイン格好よすぎて吹いたwww
保管も早いし見やすいし、何故今まで利用してなかったのか理解に苦しむ程の良サイトだ

71:名無しさん@ピンキー
07/05/23 21:25:18 kGpH5KOF
お疲れ様です
ヤンデレ保管庫からは独立したのかな

72:じうご
07/05/23 21:51:26 gbxL0WXx
管理人様、お疲れ様です
前よりデザインがよくいいですね


73:名無しさん@ピンキー
07/05/23 23:50:25 d1Ve1lIy
>>69
乙〜
デザインが格好良いぜ!

>>72
逢えて光栄です

74:名無しさん@ピンキー
07/05/24 05:54:19 gpRUtdqE
長門

75:名無しさん@ピンキー
07/05/24 18:39:21 ASkCCPFM
俺も同じこと思ったw
が、それとイラストの素晴らしさとは関係ない。GJ!

76:名無しさん@ピンキー
07/05/24 21:54:12 Rf8veDgF
初めてこのスレ利用するのだが
お勧めの作品などを教えてくれないか?

77:名無しさん@ピンキー
07/05/24 23:57:33 wDyaapQH
>>76
投下作品の中で? だったら





つ【全部】

78:名無しさん@ピンキー
07/05/25 23:26:02 VoA7UwHF
>>69
移転乙です。
一つ気になった事。

・・・・なぜインラインフレーム?

79:名無しさん@ピンキー
07/05/25 23:31:24 MplDChwS
>>78
かっこいいから無問題だと思うぞ
細かいことは気にしなーい

80:名無しさん@ピンキー
07/05/25 23:37:07 VoA7UwHF
まぁ、みんながそれで良いのなら良いけど




チラシの裏
俺としては少し広告が気になる
TableやDivタグがオススメ。
まあ、ここはWEBページ評価スレだから関係ないけどね!

81:名無しさん@ピンキー
07/05/26 11:48:51 0H5C4lJu
そろそろ誰か職人さん
投下してくれないかなぁ
少し贅沢か…
いやしかし…
誰か〜

82:名無しさん@ピンキー
07/05/26 12:18:26 0fLH2EOa
>>81
まぁ今エロは同じ職人さんのものしかないからな
保管されてる作品でも読んで
と待つんだ 

83:名無しさん@ピンキー
07/05/27 09:24:10 PGmlVtzD
>>81
気持ちは分かるが催促は良くないよ。
書き手にも生活があるんだし。

84:じうご
07/05/27 13:21:37 P9Orllyw
また私でよければ書きますが
どうでしょうか?

85:名無しさん@ピンキー
07/05/27 16:00:00 WAtG5P5B
>>84
お願いします。

86:じうご
07/05/27 21:45:16 G3YN9ttB
ID変わっているけどじうごです
以外にSS難航orz
今日中に投下は無理そうです
早くても明後日あたりに…

87:名無しさん@ピンキー
07/05/28 01:21:59 vCtDlt3H
待ってますよー。
真剣に一年くらいならwktkして待ってられそうなクオリティーですし。

88:名無しさん@ピンキー
07/05/29 03:13:38 sMWKPDRW
たたき上げ

89:名無しさん@ピンキー
07/05/29 05:22:47 YeQNguTl
スレリンク(eroparo板)
>>281あたり

90:名無しさん@ピンキー
07/05/30 01:46:41 k6nMIJMI
>>89
別にこのサイトは無口二次元キャラスキーな
わけではないと思うぞ

91:名無しさん@ピンキー
07/05/30 22:42:11 owz02fgr
>>90
だが長門はいい。

92:90
07/05/30 23:20:42 KRDBfDwp
>>91
それには同意するが気に入ったキャラが陵辱されるのが
受け付けないのだよ
やはり愛がなきゃ
ここでする話じゃないな
スマソ


93:名無しさん@ピンキー
07/05/31 05:35:22 ArSt87e1
無口な女の子をダッチワイフのように犯したい

94:名無しさん@ピンキー
07/05/31 11:53:37 sYFCqrkv
それって普通にダッチワイフ買えばいいんじゃね?
てかダッチワイフのように犯すなら無口じゃなくてもいいわけでな
出直してこい

95:名無しさん@ピンキー
07/05/31 19:48:23 Bqhi/hCz
てかそんな無反応なのを襲ってもつまらないと
思うのだが…
やっぱ反応のある方が萌えると


96:名無しさん@ピンキー
07/05/31 21:50:52 v1wxe73s
で?

97:名無しさん@ピンキー
07/05/31 23:09:35 Jhy2C5av
まぁそんな話は放っておいて
俺はじうご氏が投下するのを正座で待つぜ


98:名無しさん@ピンキー
07/06/01 18:23:24 ZuyC7gIv
なら俺は土下座で待つ

99:名無しさん@ピンキー
07/06/01 18:56:39 z3Y9b7HH
じゃあ俺は倒立で。

100:名無しさん@ピンキー
07/06/01 19:09:40 j7Q0s6Fd
100げと
俺は全裸で待とう

101:名無しさん@ピンキー
07/06/01 19:38:33 3FowOcwg
じゃあ、俺は蔵の刀に研磨剤まぶしながら待つぜ。

102:名無しさん@ピンキー
07/06/02 09:18:53 Dmd4Tvma
じゃあわしは糞、溜めてまつぜ

103:名無しさん@ピンキー
07/06/02 10:29:25 UymirNfZ
>>102
ちょww投下される前にお前死ぬぞwww

104:名無しさん@ピンキー
07/06/02 13:11:30 Wvh9UzZb
>>102
変態糞親父オッスオッス!自分、wktkいいすか?

105:名無しさん@ピンキー
07/06/02 23:12:55 IsPVyC9i
今日は投下されないのかなぁ
寝るか…

106:名無しさん@ピンキー
07/06/03 06:23:46 VjT0eC0q
騒がしい女の舌を引っこ抜いて無口な女にしてしまう

107:名無しさん@ピンキー
07/06/03 11:58:45 th2xHZVF
改造スレ池

108:名無しさん@ピンキー
07/06/03 16:15:50 rOuwsfeX
投下町。

109:名無しさん@ピンキー
07/06/03 16:51:45 VnqUR+Ri
>>102
俺は二週間溜めたことがある
お前も頑張れよ

110:名無しさん@ピンキー
07/06/04 06:03:40 /jPdkXUq
2週間がんばった無口な女の子に浣腸して
どんな顔するか見てみたい

111:名無しさん@ピンキー
07/06/04 13:24:24 1lnKRGOt
二週間性的な意味で我慢した無口な女の子の顔を見てみたい

112:名無しさん@ピンキー
07/06/06 00:39:27 CaCg7Ov7
二週間性的な意味で我慢した無口な女の子に(ry

 という訳でただ今合宿から帰って来た次第。
 我が愛しの恋人にして幼馴染み、桜井 命(ミコト)にでも会いに行こうと思い立ち、玄関先に荷物を放り出して着替えようかと自室のドアノブに手をかけた時。
 それは起こった。というよりも真っ最中というべきか。
「…ふっ………んぅ、ぁ……」
 非常に艶の入った、聞き覚えのある声が耳に届いたのだ。
 勿論ここは自分の部屋であり、俺が着替えるために帰って来た場所も自分の部屋であることは間違いない。向かいにあるミコトの家と勘違いしたなんてことも断じてない。
つまりここは正真正銘俺の部屋なのである。
 まさか、と思って生唾を飲み込みつつドアを静かに開k―
 ―いた。
 いやがりました。俺のベッドの上で、掛け布団の向こう側の隅からはみ出た黒髪ロングが動いておりました。
 ついでに言うと合わせて布団ももぞもぞと…声の元栓もそこからのようで、その布団の下を想像するともう考えただけでもう俺鼻血出そう。
 落ち着くんだ、素数を数えて落ち着くんだと言い聞かせるけど最初に「1」が思い浮かんでしまってどうしようもない。
 いやそれよりまず何でここに?そして俺のベッドで自家発電とか何故?などと疑問が次々とうかんでは消え…
 あれ。いや。
 ちょ、ちょい待てミコト、お前そんなに激しく動いたりしたら布団が落ちt




 ( ω ) ゜ ゜




 布団吹っ飛んじゃった。

 いや、なんかもう。

 中身は思った通りだった訳で。や、イレギュラーあったんだけど。
 ミコトは上半身にの真っ白なワイシャツを着こんで、足の間、下着越しに俺の枕を挟んで、その…励んでいた。
 イレギュラーとはつまりここにあったのだ。つまり…
 …そのシャツ俺のじゃね?
「ひゅ…ぅん……ぁっ」
 冷房が効いた部屋で喘ぐその姿は可愛らしいものであったが、それと同時に成熟しつつある女性の艶やかさをも孕んでいた
 ドアが微風を受けてひとりでに開くのも、他人事のような気がして反応できなかった。きいぃ、と蝶つがいの軋む音がして、
それが耳に届いたのだろうミコトの動きが一瞬ストップする。
 すると一瞬の間をおいて、目に涙を溜めて振り返って、
「…お、そい…………馬鹿……ひぅっ………!」
 完熟トマトのように真っ赤っ赤な顔を見せながらそうおっしゃった。
 当然俺の理性が堪えられる訳もなく。
 ベッドに上りもうすっかり硬くなったモノを取り出すと、宣言もせずに一気に貫いた。
「んぁっ………ぁ…!」
 短く控え目に、でも高く響く澄んだ鳴き声。そこでミコトの方も抑制を失ったのか、なんと前後に腰を使いはじめた。
 くぐもった声を必死に殺しながら、それでも恥ずかしい願望をなんとかして満たそうと精一杯動く。ちゅ、ちゅっ、と水音が漏れて、それがきっかけになって俺も、乱暴に動き始めた。
「………ひぁ…ぁ、……あ……」
 腰を押し付けようとするのに合わせて突き出すと、可愛らしい小さな声をミコトはあげた。もうその声で何かが切れた俺は、ミコトがもう達しているのにもかかわらずそのまま思う存分n


 保守。

113:名無しさん@ピンキー
07/06/06 00:54:04 As4ai+rg
>>112
いいね………GJ……

114:名無しさん@ピンキー
07/06/06 01:08:15 hON4AHJs
ワッフルワッフル

115:名無しさん@ピンキー
07/06/06 01:21:45 w69q4N+d
>>112永久に無口にされたくなくば続きを投下しろ!
いえ、してくださいませ

116:名無しさん@ピンキー
07/06/06 07:18:47 5V2JByte
まさかネタをSSに昇華してくれる猛者がいるとはな・・・…GJ!

117:名無しさん@ピンキー
07/06/06 09:21:47 j1zJOTaI
>>112

Gj…
続きを書いて下さい



118:名無しさん@ピンキー
07/06/07 01:28:45 g8geRNWd
>>112
某スレで以前あった豪華な保守ktkr
  、  ∩
( ゚∀゚)彡 保守! 保守!
  ⊂彡

119:名無しさん@ピンキー
07/06/07 08:30:49 Ov0Y+Hek
GJ!素晴らしい保守だ!

保守

120:名無しさん@ピンキー
07/06/07 18:02:32 JVcBV0XY
GJ!
これ保守ってレベルじゃねぇぞ!www

121:名無しさん@ピンキー
07/06/08 00:09:42 VfrXLTCe
>>112
保守ではなく書いてくださいGj!!


しかしそろそろ足がしびれてきたぜ
正座で待つのも限界だ
胡座にして職人様の投下を待つぜ

122:名無しさん@ピンキー
07/06/08 22:44:56 kSfrjI/D
>>121
というか、土下座しててどんな内容か分らない
でもとりあえずGJ!!!
俺もそろそろ土下座やめようかな・・・

123:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/06/09 07:59:38 eS4+UV2D
こんにちは、一ヶ月ぶりです。
ようやく縁シリーズの続編を投下できます。
…が、今回縁はあまり関係ありません。でも続編です。
楽しんでいただければ幸いです。

124:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/06/09 08:00:59 eS4+UV2D
『言霊の力 神守の当主』



秋も深まる十月十日。
遠藤守はアパートの自室で眠っていた。
もう正午過ぎである。しかし青年はベッドの上で、うつ伏せのまま身じろぎ一つしない。
ほとんど死人のような様だが、これには彼なりの理由があった。
学校の課題を幾つか溜め込んでいたため、守は一昨日から昨日にかけて徹夜で片付けていたのだ。
提出したのが昨日の夕方。そのあと友人に無理やり合コンに付き合わされ、帰ってきたのが今朝の六時。守は疲労に満ちた体を柔らかい寝台に預けると、一分で眠りの園へと旅立った。
で、今に至る。
自業自得は世の常。こうして守は、決して望んではいなかったが、貴重な国民の祝日を休息に費やすこととなったのだった。
カーテンの隙間から、南中前の日の光が射し込んでいる。
細い射線を後頭部に浴びながら、守はひたすら熟睡する。
このまま夜まで眠り続け、その日は何事もなく終わるはずだった。


午後になってからしばらくして。
ピンポーン、と呼び鈴が鳴った。
「……」
守は反応しない。
再びピンポーン、とのんびりした音が響く。
「……」
守は全く反応しない。
無視しているわけではない。睡眠が深すぎて気付かないのである。
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。
ゆったりしたリズムで鳴り続ける音に、守の頭が微かに動いた。
それをまるで感じ取ったかのように、音のリズムが速さを増す。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピポピポピポピポピポピポピポピポ
「─っ」
しつこく鳴り響く短連打音に、守は遂に目を覚ました。
「……なに?」
億劫に体を起こし、玄関へと顔を向ける。温厚な性格の彼だが、さすがに機嫌はよくない。小さくドアを睨むと、掠れの混じった声を上げた。
「はーいっ、今開けまーす!」
音が止まり、しん、と室内が静まる。
守は眠たい目をこすりながら、ドアへと歩み寄る。従姉妹の依子かもしれない。年下の少女の顔を思い浮かべながら、青年はロックを外し、ドアを押し開けた。
外にいた影の姿に、頭の中に思い描いた少女の姿がぴったり重なりかけた。
「…………え?」
守は呆けたような声を漏らした。重なったイメージが微妙にズレた。
ドアの向こうにいた人物は、依子にとてもよく似た女性だった。
鉱物の結晶のように整った美貌。透明感さえ漂わせる真っ白な肌。長い黒髪はどんな織物よりも柔らかく、針金が通っているかのように真っ直ぐな背筋が凛とした雰囲気を全身に添える。
ただ、依子とは違い、目の前の麗人はまったくの無表情だった。そのせいでどこか硬質な空気を作っている。
守はその空気にやや気圧されて、息を呑んだ。
が、すぐに口を開く。思わず相手の名を呟く。
「依澄さん……」
神守依澄(かみもりいすみ)は少しも表情を変えることなく、美しい会釈を返した。

125:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/06/09 08:03:31 eS4+UV2D
神守家は古くから霊能の力を有する家系である。
世の中が科学という光に照らされていなかった時代、光の一つとなっていたのが彼らだ。霊能の力によって彼らは世の不安を鎮めていた。
皇族や将軍家も神守を重宝したという。
しかし、時代の流れが科学を選び、世界が理路整然と論理立てられていく中で、霊能は廃れ、立場を弱くしていった。
今の神守家は世の流れに逆行する存在だ。
だが、彼らは時代錯誤となっても必要な存在だった。なぜなら、科学が照らすことの出来ない領域は現代においても依然としてあったからである。
世が科学万能時代であることは確かな事実だったが、未だ辿り着けない域がある以上、神守家が滅ぶことはない。少なくとも今はまだ。
神守依澄はその神守家の現当主である。
歳は二十で、守と同い年だ。いわゆる幼馴染みで、幼年以来の縁がある。顔を会わせるのは二年ぶりだったが、その美しい容姿はまるで変わっていなかった。
依澄は六畳間の真ん中で、座布団の上に座っている。柔らかいクリーム色のブラウスに膝下のプリーツスカート。あまり主張をしない服装だ。
「紅茶でいい?」
「……」
依澄は無言で頷く。
守はダージリンのパックをキッチン下の棚から取り出し、来客用のカップに入れてお湯を注いだ。温かい香りが鼻孔をくすぐる。
座台の上に紅茶とクッキーを並べ、守は依澄の対面に座る。
「あ、冷めないうちに」
「……」
小さく頷くと、依澄はカップを口元に近付け、ゆっくりと飲んだ。
ひたすらに口を開かないが、守は慣れていた。昔から、正確には依澄が後継に選ばれた十二歳のときから、彼女は極端に口を開かないでいる。
喋れないわけではない。失語も羞恥もないし、内向的なわけでもない。ただ、『喋らない』。
依澄が以前説明したところでは、自身の霊力をいたずらに周りに発したくないのだそうだ。強い力を持つ彼女の言霊は周囲に霊的な影響をもたらしやすいので、意識して無口を通しているという。
もちろん制御は出来る。しかし依澄は自身の力を過信してはいないようで、言霊の制御よりも言葉の制御によって霊力を抑えている。たまに喋ることはあっても一言二言で済ませてしまう。
また、書いた文字にも力が宿るらしく、筆談という手段もとれない。
必然的に依澄のコミュニケーション手段はかなり制限されてしまうが、近しい者なら彼女の所作や顔色、雰囲気である程度察することが出来る。
守はこういうとき、自分から話を振ることによって会話をリードする。
「それにしてもひさしぶりだね。二年ぶりくらいかな? ぼくしばらく、そっちに帰ってないから」
「……」
依澄の目が少し細まる。怒っているように見えて、守は慌てた。
「……い、いや、色々忙しくて、あ、でも冬には帰るから、」
「……」
目が元に戻る。
守は意味もなく狼狽した。二日酔いのために頭の回りも鈍い。
依澄は鞄から小さな紙を二枚取り出す。
座卓の上に置かれたのは、映画の割引券。
「……これは?」
「……」
「いっしょに行こうってこと?」
依澄は頷く。
「それはいいけど……ここに来た理由ってまさかそれだけ?」
てっきり大事な用があると思っていたのだが。
「……」
依澄は無表情なまま立ち上がる。
そのまま守の目の前に寄ると、隣に静かに腰を下ろした。
「? なにを……」
細く綺麗な手が伸びた。
そのまま守の頬に触れる。温かい感触に守は固まる。
「依澄……さん」
「……疲れてますか?」
初めて依澄の口が開かれた。二年ぶりの清澄な声。
嬉しくなる気持ちを抑えて守は答える。
「あー、うん。昨日ちょっと友達に付き合ってずっと呑んでたからあんまり寝てなくて」
「……」

126:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/06/09 08:07:44 eS4+UV2D
しばらくの沈黙の後、依澄は小さく猫手を作って、守の額をこつんと叩いた。
守はきょとんとなった。まったく痛くなかったが、不意の行為に戸惑う。
「な、なに?」
「……」
依澄はちらりとベッドを見やる。
多分、休めと言っているのだろう。気遣われていることに気付いて、守は首を振った。
「大丈夫だよ。さっきまで寝てたし、もう昼だから」
強がりを見せると逆に首を振られた。
「でもせっかく依澄さんが来てくれたのに、悪いよ」
「……」
依澄の無表情が微かに解けた。どこか嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。
しかしすぐに元の顔に戻る。
虚空を見上げる依澄。何事かを考えているようだが、その思考はいまいち量れない。
そのとき守の腹が小さく鳴った。
依澄に驚いたような顔を向けられて、青年は顔を赤くする。
「……えーと…………」
「……」
依澄は一つ頷くと、小さな声で言った。
「食事……行きましょう」


依澄の提案で二人は駅前のラーメン屋に行った。
休日の昼下がりということもあってか、店内は結構な数の客がいた。十分ほど待って、カウンターの端に並んで座る。
クーラーが効いているので熱気はこもっていない。しかし厨房で忙しく動く従業員はとても暑そうだ。
「依澄さんは何にする?」
「……」
目の前の小さなメニューをしばらく見つめ、その中の一つを示す。チャーシューメンだ。
「すいません。塩ラーメンとチャーシューメンお願いします。あと餃子一人前」
依澄が首を傾げる。それに気付いて守は答えた。
「餃子好きでしょ?」
「……」
「いや、ぼくはいらない。今はあっさりしたものを食べたいから」
頭はだいぶ回ってきたが胃の方は違った。こってりした油ものは少しきつい。依澄は納得したように頷いた。
ラーメン屋に入ったのは依澄のリクエストがあったからである。昔から依澄の好物は麺類なのだ。あまり家で食べることはないので、こうして外食の機会があるとラーメン屋に入ることが多い。
「ラーメン久しぶり?」
依澄は肯定の頷き。
「ぼくも外で食べるのは久しぶりかな。家ではよくインスタント食べてるけど」
「……」
目が細まる。
「い、いや、ちゃんと栄養は考えてるよ?」
咄嗟に抗弁すると、依澄は顔を伏せた。
機嫌を損ねたかと思ったが、そうではないらしい。守はとりあえず話題を変える。
「えっと、こっちに来た理由って、ひょっとして仕事?」
霊能関係の仕事のついでに会いに来たのかもしれない。そんな予想を立てながら改めて尋ねると、依澄は小さく首を傾げた。
「え、違うの?」
今度は肩をすくめる。
その動作の意味を量りかねて、守は困惑した。
「あのー、依澄さん?」
呼び掛けても幼馴染みは答えない。
極端に喋らないことには慣れていたし、もう特性なのだと割り切っていたが、だからといって疎通に苦労するのは変わらない。守は思わずため息をついてしまう。
そのとき依澄が小さな声で囁いた。
「会いたかったから……」
小鳥のさえずりのように綺麗な声音を受けて、守は相手を見つめた。
「……そんな理由では、駄目ですか?」
真っ直ぐな視線を至近距離で受けて、つい息を呑む。

127:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/06/09 08:11:52 eS4+UV2D
昔から知っている彼女の目。夜空のように深い色のそれに見つめられると、何も言えなくなってしまう。
彼女が口を開くとき、その言葉に宿る想いはいつも真剣だから。
今のもきっと本気の言葉だろう。若年ながら当主として忙しい日々を過ごす中、依澄はわざわざ会いに来てくれたのだ。
「ありがとう」
だから守は、短い言葉に想いを込めて返した。
依澄は再び顔を伏せる。頬が微かに赤い。
いい雰囲気だと思った。ラーメン屋では色気に欠けるが。
もっと声が聞きたいと思い、守は更に言葉を重ねようとする。
「依澄さ、」
「塩ラーメン、味噌ラーメン、餃子お待ちどおさまっ!」
カウンター越しの大声に呼び掛けがかき消された。湯気の上る丼が目の前に現れ、守はややのけぞる。
依澄がそそくさと箸を持つ。それを見て守は会話を諦めた。
麺をふー、ふー、と吹く依澄。
その様子が妙に幼く見えて可愛らしい。守はつい口許を緩める。
前に向き直るとおいしそうなラーメンが目に飛び込んできた。改めて空腹を自覚する。多少の二日酔いはあったが、食欲の方が勝った。
いただきます、と小さく呟き、守は細麺を勢いよくすする。あっさりした塩味が口の中に優しく広がった。


食事を終え、二人は街中を歩く。
行き先は映画館だ。駅からは少し離れた場所にある。
並んで歩く依澄の姿勢は変わらず綺麗だった。光沢を持つ長い黒髪が、足を進めるごとに優雅に揺れる。
神守は代々美人の家系だという。男女問わず容姿の美しい者が生まれている。
正確にはその時代の価値に合わせた容姿になるらしい。魂を安定させることで、体の方を魂の形に合わせるという話だが、その辺りの理屈は守にはわからない。
確かに依澄は、まるで作られたように美しかった。やはり神守家というのは普通の家とは違うのだろう。守も神守家とは繋がりのある人間だが、根っこの部分は少しもわかっていない。
わかるのは、その浮世離れした雰囲気は神守にしかないということだ。
だが、
「……?」
依澄が怪訝な目を向けてくる。ずっと黙っているのを見て心配したのかもしれない。
守はなんでもないよ、と首を振った。依澄は小さく首を傾げたが、やがて安心したように頷いた。
「……」
守は思う。だが、関係ないと。神守家が他の者達と一線を画しているのは明らかだったが、それは神守依澄という人間の個性を決定するものではない。
依澄は昔から守にとって大切な存在で、それだけは昔も今も変わらない。縁視(えにし)の力を持つあの幼馴染みと同様に。
そこで守は思い出す。依澄は果たして彼女に会いに行ったのだろうか。
だから訊いた。
「依澄さん、依子ちゃんには会いに行ったの?」
依澄は何の反応も見せなかった。
歩くスピードは変わらず、駅前のメインストリートを南に向かって二人は歩く。
守は立ち止まることも出来ずに、ただ依澄の反応を待つ。
「……会いません」
小さな声が哀しげに発された。
守は歩を止めない。
「……会いたくないの?」
「……」
依澄は首を振る。
「会いたいなら会えばいいよ。神守家と二人の仲は関係ないんだから」
「会えません……」
依澄の足が止まった。
守も合わせて立ち止まる。
「なんで」
「……」
うつ向く依澄。

128:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/06/09 08:14:13 eS4+UV2D
理由がわからない。彼女達は守が二人に出会う前から一緒だったのに。
「あの子は……」
「え?」
「あの子は今……幸せですか?」
その言葉は真摯な響きを伴っていた。まるで体の鼓動に溶け合うような、胸に染み入る言葉だった。
守は答えた。
「うん。幸せだと思うよ。友達もいるし、よく笑うから」
「……」
それを聞いて、依澄は柔らかく微笑んだ。
どきりとする。その美しく優しい微笑は、頭を揺さぶるほどに綺麗だった。
初恋の情が思い起こされた。
呆然と立ち尽くす青年を置き去りにするように、依澄は再び歩き出す。
「え、依澄さん?」
慌てて追いかけ並ぶ守。
「あの、依子ちゃんには……」
依澄が顔を上げ、見つめてきた。
何も言わない。
ただ、母親のような慈愛ある目で、守を見つめる。
その目だけで言わんとしていることがわかってしまった。
依澄と依子の関係。それは比較が常になされる関係だった。神守家の次期当主候補として、競わなくてはならなかったからだ。
結果、依澄は当主の座に着き、依子は神守を出ることになった。決して望んでいたわけではないだろうが、依澄は依子を神守から追い出した形になった。
そのことで心を痛めたのは、ひょっとしたら依子よりも依澄の方だったかもしれない。仕方ないことと割り切るには、彼女は優しすぎた。
しかし今、依子はささやかながら幸せでいる。ならばわざわざ波風を起こす必要はない─そう依澄は考えているのだ。
本音を言えば会いたいに決まっている。しかし依澄が神守の当主である以上、それは出来ない。会うわけにはいかない。
「…………」
守個人としてはそんなしがらみにこだわらず、二人に仲良くしてほしかったが、それを言うのははばかられた。守には二人の間にある想いや溝を正確に測ることは出来ないから。
だから、守に出来ることはほとんどない。
「……!?」
守は無言で依澄の左手を掴んだ。掴んだ手から驚きが伝わってきた。
手を引いて歩く。白く小さな手はやっぱり女の子の手だった。
「デートだから、ね。イヤ……かな?」
「……っ」
依澄は戸惑いの表情を見せる。
守に出来ることなど、今日一日依澄に楽しんでもらえるよう頑張ることくらいだった。
「ほら、あそこだよ」
見えてきた映画館を示す。まばらな数の人々がちらほら入っていく。時期的に人の出入りは少ないようだが、見る側からすればむしろ好ましい。
依澄は握られた手をほどくこともせずに、じっと守を見つめた。やがて前に向き直ると、きゅ、と手を握り返した。
手の平の肌触りは温かく心地よかった。


映画の内容はホラーだった。
幽霊が題材だったが、巧みなカメラワークで作られた雰囲気は確かに怖かった。特殊メイクを施された幽霊達は見た目にもグロテスクで、客の心理を正確に突いてくる。
なかなかの出来映えだと守は思った。ただ、ホラーというよりはスプラッターの要素が強いように感じた。
それでも怖いことに変わりはない。実際館内には悲鳴が響き、製作者の狙い通りの反応が見てとれた。
しかし、
「……」
右に座っている依澄は、まったくの平常だった。無表情は微塵も崩れず、静かにスクリーンを見ている。
左手は守の右手を握ったままだ。外からずっと繋いだままで、守が力を緩めても依澄は離そうとはしなかった。
その手には余計な力が一切入っていない。
体が震えたりすることもなく、依澄は淡々と映画を観ている。
怖くないのだろうか、と考えて、すぐに愚問だと気付く。怖いはずがない。彼女は霊能の力を持った神守の当主なのだ。どんなに傑作品でも、彼女にとってはたいしたものにはならない。
スクリーンの中に映るそれが現実を超えることはありえないのだから。
依澄は人形のような目でストーリーを追う。彼女の目に、それはどう映っているのだろうか。
守も倣うように前方の作品を見つめた。
特に最初ほど恐怖は感じなかった。

129:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/06/09 08:16:44 eS4+UV2D
夕方、二人はショッピングモールをあてもなく歩いていた。
適当に冷やかした店々で守は服やアクセサリーを勧めたが、依澄は首を振った。特に買いたいものはないらしく、試着さえしなかった。
スタイルのいい彼女なら大抵のものなら着こなしてしまうだろうに。守は少しだけ残念に思ったが、時折楽しそうに微笑む姿を見ていると、まあいいかという気がしてくる。
手はまだ繋いでいる。
移動の際にやむをえず離すことはあったが、依澄が繋ぎ直してくるのでそのままにしている。感触が心地よいので守から離す気もない。
こうしていると恋人同士みたいで、守は気恥ずかしくなった。幼馴染みでもなければ話しかけることさえ出来ないだろう美人と、手を繋いで歩いているのだ。意識して当然だった。今更だが。
二人はあらかたモール内を歩き終えると外に出た。西からオレンジの照明が世界を照らしていた。
依澄が前を指差したので顔を向けると、公園の入り口が見えた。入りたいのか尋ねると、大きく頷いた。
中に入ると中央の時計台が五時を示していた。台の前の噴水が夕焼けを寂しく反射している。奥の芝生では子ども達がサッカーボールを蹴っていた。他にも人はいたが、まばらで全体的に静かだ。
守は依澄の手を引き、近くのベンチに座った。
依澄が小さく息をつく。それを見て守は問いかける。
「疲れた?」
依澄はふるふると首を振った。
「ぼくはちょっと疲れたかな。久しぶりだったからね、依澄さんと過ごすのも」
どういう意味? と、依澄の目が険しくなる。
「依澄さんと一緒にいると楽しくて充実するからさ。楽しい疲れ、っていうか」「……」
依澄は何も言わない。
そのとき、秋風が公園を強く吹き抜けた。
肌寒い風の感触に、依澄が体を小さく震わせる。
守も微かに身震いする。上着の前を抑えようとして、
「え?」
急に幼馴染みの体が寄りかかってきた。
手どころか腕全体を絡めてきた。長い黒髪が守の肩から胸にかけてふわりと広がり、甘い匂いが鼻を刺激した。
「い、依澄さん?」
「……」
無言のまま身を寄せる依澄。
彼女が左側でよかったと守は思った。右側だったら心臓の早鐘を気取られていたに違いない。
「……寒くなってきたね」
「……」
「そろそろ帰ろうか」
「……」
口を閉ざしたままの依澄に守は困り果てた。
と、そこで大事なことに思い至る。
「依澄さん、今日は日帰りだよね?」
すっかり失念していたが、思い込んでいたのも確かだ。ただ守に会いに来るためだけに宿泊場所を用意しているとは思えない。
依澄はしばらくなんの反応も見せなかった。
やがて、
「もう少しだけ……付き合って下さい」
消え入りそうなくらいに小さな声が、胸元から聞こえた。
「……え?」
「やっぱり……これだけじゃ足りないみたい……だから」
ぼそぼそと呟く言葉の意味を守は測りかねる。
「えっと……」
何とはなしに漏らした声に答えるように、依澄は言った。
「戻りましょう……部屋に」


部屋のベッドに座る依澄の姿を見て、守は強烈な既視感を覚えた。
ついこの間の夏の夜、別の女の子が同じように座っていたのを思い出す。あの少女も言葉なき者だった。喋らないのと喋れないのとでは決定的な差異があったが、似た状況ではある。
あのときは相手にそれなりの理由があった。しかし今、依澄の意図はまるで謎である。
時刻は午後七時を回っている。
ここに泊まる気だろうか。たまに依子が泊まっていくが、最近はそれもない。あそこまで無防備なのもどうかと思うが、依澄は依子とは違う。そうでなくても依澄は女の子なのに。いや依子もそうだが。
軽く混乱していることに気付き、小さく頭を振る。
「依澄さん、そろそろ準備しないと帰れなくなるよ」
「……」
依澄はなぜか眉根を寄せる。
「……泊まっても、……いいですか?」
「……」
守は右手で頭を抑えた。予想通りすぎて困る。
その頼みだけは聞きたくなかった。いくら幼馴染みといえ、依澄は守にとって、決して意識しないではいられない相手なのに。

130:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
07/06/09 08:21:16 eS4+UV2D
「……いくらなんでも不用意だよ」
ため息は沈み込むように深く、濃い。
「ぼくだって男なんだ。少しは気を付けるべきだよ。相手のことを」
「……?」
「……初恋の相手なんだから」
目の前の幼馴染みがずっと好きだった。幼い頃から、ただ好きだった。
だが今の守には別に想い人が存在する。その気持ちに相反するような些細な過去のくすぶりを、今更再燃させてどうなるというのか。
ひょっとしたら、今でも好きかもしれないのに。
「だからさ、誤解を招く発言はやめた方がいいってこと。若い男女が簡単に同じ部屋に泊まるなんて……」
親父臭い説教を始める守。依澄は肩をすくめ、軽くため息をつく。
それからおもむろに立ち上がった。
そのまま守の目前に歩み寄る。
「……?」
僅かにのけぞる。何か嫌な予感が。
「いす─」
名を呼ぼうとして、その言葉は外に出ていかなかった。
依澄が、守の口を自らのそれで塞いだからだ。
「─!?」
「─」
何を、なんで、
脳細胞が混乱し、沸騰する。同時に密着する体の柔らかさがさらにそれを助長する。
たっぷり十秒は費やし、依澄はようやく口を離す。
守は呆然と立ち尽くす。
耳元で依澄の囁きが響く。
『抱いて下さい……守くんにしか頼めないことなんです』
何がだ。理由もわからないままそんなこと出来るわけがない。
そう思ったはずなのに。
守は不思議とその声に逆らえなかった。
「あ……」
依澄の手が守の両腕をがっしと捕えた。
体になんだか力が入らない。夢の中みたいに思い通りにならない。
彼女の細腕に引かれた体は、簡単にベッドに引き倒された。
「……」
依澄の端正な顔が極端に近い。
麻痺したように重い頭が小さな抵抗の意識を生む。しかしすぐに掻き消え、脳が何かに塗り潰される。
(依子ちゃん……)
想い人の名を呟いたのは本当に無意識のことだった。脳に侵食してくる何かを振り払いたくて、必死に抵抗を試みた末にたまたま出てきただけにすぎない。
瞬間、頭の中が急速に晴れた。
体を離した依澄が顔面蒼白になっていた。
守は何がなんだかわからず、体を起こしてぼんやりと依澄を見やる。
「わた、し……なんてことを……」
依澄は悲壮な声を漏らすと、その目に大粒の涙が浮いた。
今日一番の驚きだった。
依澄が泣く姿を見るのは初めてだった。昔から感情を露骨に見せたりしない彼女は、人前で涙など絶対に流さなかった。
それが、今、顔を歪めて泣いている。
またも理由はわからないが、ほっとくことも出来ないので守はおそるおそる尋ねる。
「どうしたの、依澄さん?」
「……、……」
声を抑えて泣き続ける依澄。
守は何も出来ずにしばらくおろおろしていた。こういうとき、男は女にどんな言葉をかけてやるべきなのだろう。
結局、じっと見守ることしか出来ない。
涙が治まってきたようで、依澄がゆっくりと口を開いた。
「……言霊なんて使うつもりはなかったのに、使ってしまいました……ごめんなさい」
「……え?」
言霊を、使った?
思い返す。ではさっきの感覚は、彼女の、
「抱いてもらいたいのは本当です。でもそれはきちんと頼み込むつもりでした。なのにあんな─」
彼女の声には自らを責める思いが混じっていた。


次ページ
最新レス表示
スレッドの検索
類似スレ一覧
話題のニュース
おまかせリスト
▼オプションを表示
暇つぶし2ch

4092日前に更新/501 KB
担当:undef