ヤンデレの小説を書こ ..
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2:名無しさん@ピンキー
07/02/12 23:28:10 yPOnFcDW
>>1 乙!

関連スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 修羅場の28
スレリンク(eroparo板)

3:名無しさん@ピンキー
07/02/12 23:28:58 wqvf+upe
>>1にして作者どの、乙。

4:名無しさん@ピンキー
07/02/12 23:35:14 pr+Lavid
>>1乙〜


ところで、最近このジャンルに入ったばかりの新参で悪いのだが…
「好きだった相手が、不慮の事故や殺人によって殺されて、闇落ちしてしまう」

ってのはヤンデレに入るんだろうか?

5:名無しさん@ピンキー
07/02/12 23:39:02 zj6Fc85K
>>4
入ると思う。まぁ展開にも依ると思うけど。

6:名無しさん@ピンキー
07/02/13 00:00:12 eRVaRylj
>>1乙です。
小説の方も楽しみにしています。

>>4
闇落ちして何らかの行動を起こせばヤンデレだと思います。

7:名無しさん@ピンキー
07/02/13 00:03:00 tmOEM4/d
>>4
大河内さんが一番近いかも…

8:名無しさん@ピンキー
07/02/13 00:05:11 dJAJczQi
>>4
それなんて園崎詩音

9:名無しさん@ピンキー
07/02/13 00:57:14 Cp55S9g9
なんだ・・・
ヤンキー娘がデレるって意味だと思ってた・・・

10:名無しさん@ピンキー
07/02/13 01:01:17 ITwVDmp/
古いネタをww

11:名無しさん@ピンキー
07/02/13 01:11:45 EIaTgmpr
>>9
ふん、なによ、勝手に誤解して勝手に失望しちゃって!
貴方なんかこっちからお断りよ!


その点○○君は私に優しいし、明日もふたりでデートするんだから♪ねぇ?○○君。
………え?○○君、なによその顔、わ、私とのデートが、い、嫌なの!?
なによそれ!私はもう明日デートするつもりで予定立てたのよ!
え?『そもそも彼氏じゃない』ですって?そんなこの前ケーキ食べながら告白してくれたじゃない!
『ケーキが好きって言ったけど君が好きだとは言ってない』ですって?
…………………あ、あはは、あははははは!な、なにを、なにを言ってるのよ○○君!
私は○○君が好き。○○君も私が好き。私は○○君が好き。○○君も私が好き。
私は○○君が好き。○○君も私が好き。私は○○君が好き。○○君も私が好き。
私は○○君が好き。○○君も私が好き。私は○○君が好き。○○君も私が好き。
○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君
○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君
○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君○○君………………あはっ♪

12:名無しさん@ピンキー
07/02/13 02:11:47 0mRpN3BG
>>4

僕は事故に遭った……らしい。
らしい、と言ったのは、僕に記憶が無いからだ。
僕が覚えているのは、デートの後、彼女─美月に手を振りながら横断歩道を渡ろうとした所までだ。
家族の話によると、その時に横から突っ込んできた車に挽かれ、病院に運ばれた後、3日も寝ていたらしい。
怪我は、と言うと、両足複雑骨折。
正直に言って、再び歩けるようになるのは難しいらしい。
まぁ、僕は小説家になりたいから──と強がりを言ったところで、もう歩けない事に対する喪失感は拭えなかった。
僕を挽いた車を運転していたのは、近くの会社に勤めるOLらしい。
今回の事故は僕が全面的に悪いので、本当にいい迷惑だったと思う。

まあ、そんな事があって、僕は入院中だ。
そこに、彼女の美月が見舞いに来た。
旅行用のトランクをもって。

「駿!心配、したんだからぁっ!」
そう言って抱き付き、泣きじゃくる美月に、僕はごめんと言って背中をさする事しか出来なかった。

「あのね、駿に朗報があるの!」
「それはねぇ……ほら!」
美月が差し出したのは、トランク。
それを開けると──



「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

13:名無しさん@ピンキー
07/02/13 08:14:38 j908xWak
>>12
その中に入っていたのは人の顔だった。

・・・・・・・・・・・・。

よく見ると少し違った。
中にはもう一つトランクが入っていた。それに人の顔が書いてあったのだ。

「あははは! うわぁぁぁぁぁぁ!!! だって!
 何驚いてるのよ。人間の頭でも入ってると思った?」
「お前なあ・・・・・・」

 美月はにやりと笑うと僕に向かってこう言った。

「うふふ。朗報っていうのはね、その中に入ってるのよ。開けてみて」
「まったくお前ってやつは・・・・・・」

 もう一つのトランクを開けると、中に入っていたのは―


「―――え?」

14:名無しさん@ピンキー
07/02/13 08:45:06 gnRHxdtb
>>13
小さい小さい箱だった。この形の箱はドラマとかでよく見かける。
そう、プロポーズのシーンなんかで、よく―
震える手でそれを開けると指輪が入っていた。銀色のシンプルなものだ。

「駿、あのね、結婚しよう」

美月はつっかえながら必死に続ける。

「あのね、わかってる。普通これは女がやるもんじゃないってわかってるの。
 こんな時までカケラも大人しくなくてごめんなさい。でも、考えたの」

もうほとんど彼女は泣きそうだった。

「私はね、あなたが、あなたがどんなになってもそばにいたい。私は駿のお嫁さんに
 なりたい。歩けないなら私が支えるから一緒にいて欲しいの。駿と一緒に生きたい」

美月はもう泣いていた。それでも彼女は必死に続ける。

「駿が死んじゃうかもしれないって思った時本当に怖かった。離れるぐらいなら死にたいと思った。……もう離れない。離さないから……け、け、結婚して」

残りの言葉は僕の口唇のなかに吸い込まれた。

僕はこの時最高に幸せだった。
この時は、まだ自分と周りがどんな状況なのか全く把握していなかったからだ。



15:名無しさん@ピンキー
07/02/13 12:55:37 DsXBobEd
美月からプロポーズを受けて数日がたった
この数日間は幸せだったと断言出来るだろう
美月は僕の事を献身的に介護してくれたし朝早くから来て面会時間ぎりぎりまでいてくれた。帰る時にはいつも名残惜しそうに
「駿、明日も絶対くるからね。だからちゃんと待っているんだよ」
と言ってくれた。
毎日美月にこの言葉を言われるたび、僕はなんとなく幸せな気分になった。
今の僕は美月を必要としている。そして美月は僕を必要とし助けてくれる。
とても理想な関係だったと言えるだろう
この関係はこの先ずっと続くだろう
しかしこの関係がヒビの入ったガラス細工のような物だったことに僕はまだ気付いて無かった。
そして僕はその事を思い知らされることになる



16:名無しさん@ピンキー
07/02/13 13:56:52 ZLb7CIwF
書きながら投下するのは止めてくれませんか
もし携帯からならメモ帳なりメールに書き溜めてから投下して下さい

17:名無しさん@ピンキー
07/02/13 14:01:08 bM3OW3V5
>>1
乙!

>>16
おまえは何を言っているんだ

18:名無しさん@ピンキー
07/02/13 14:13:59 40K7HDry
まあ、とりあえず前スレ>>777
伊南屋氏投下щ(゚Д゚щ)カモォォォン 




19:13
07/02/13 14:17:24 j908xWak
まあ、書き込みづらい空気になってたかもな。
みんなすまん。

20:名無しさん@ピンキー
07/02/13 14:32:24 DsXBobEd
>>16
あれって全員別の人が登校したんじゃないのか?
だからID(?)がバラバラなんだと思うんだが


21:名無しさん@ピンキー
07/02/13 14:46:38 ITwVDmp/
ROCO氏GJ!!

この女性視点のエロさがたまらないですね。
もともとこの属性は無かったのですが、今から芽生えてきそうです!!

22:名無しさん@ピンキー
07/02/13 14:49:25 ITwVDmp/
スマソ。

スレ間違えちまったんだよ……(´・ω・`)

23:名無しさん@ピンキー
07/02/13 14:50:00 ZLb7CIwF
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
死ぬから、今すぐ死ぬから嫌いにならないで!!
あはっ、あはははは
『グサッ』
あはははははははは!!
『グサグサグサグサグサっ!』


短絡的で本当にすまんかったorz

24:名無しさん@ピンキー
07/02/13 15:08:56 FnEeh2NW
>>23
あんたのせいで・・・あんたのせいで途絶えちゃったじゃないの!
どう・・・、どう責任とってくれるのよ・・・。殺してやる・・・コロ・・・シテ・・・







                                          サクッ

25:名無しさん@ピンキー
07/02/13 15:21:25 DsXBobEd
>>24
貴女がそんなこと言って良いのかしら?
貴女だって>>23と同じ雌豚なのよ。
貴女たちがいるから、七志君は怖がって出てこれないの、でも安心して七志君。今この豚を殺してあげるから…

26:名無しさん@ピンキー
07/02/13 17:14:46 odr1Uu9e
新ジャンルの『素直狂う』ってヤンデレ?

27:名無しさん@ピンキー
07/02/13 17:30:34 EIaTgmpr
>>26
狂人が男に惚れるのと、男に惚れるあまり狂うのは別物です。

28:名無しさん@ピンキー
07/02/13 18:02:36 dyXsTalx
ヤンデレの定義も難しいよな…

愛した男が死んで、それを認められずに
「あはは、もう、早く起きないと遅刻するよ?」
と、誰もいないベッドに毎朝男を起こしに来たり、
「今日はご馳走にしたんだぁ」と、自分しかいないテーブルに
二人分の食事を用意してる。

これはヤンデレなのか痛キャラなのかどっちなんだろ?

29:名無しさん@ピンキー
07/02/13 18:33:07 v4rGzLRf
俺が思うに

・主人公に対して愛情をもっている
・狂っているのでは、と思わせるほど精神が病んでいる
・しかし生まれつき狂ってはいない。どこかで狂った
・ヒロインが美少女である

の基本さえ押さえていればヤンデレなのではないかと。
あとは魅せ方次第だと思う。

>>28もそこに至る過程次第でどう見えるか変わるだろうし。

30:名無しさん@ピンキー
07/02/13 18:38:51 EIaTgmpr
>>28
その場合男の生前にどうやって狂ったかじゃない?
出会う前から狂ってれば痛女だし、男と出会って狂えばヤンデレ。
男の死が原因で死後に狂ったのならヤンデレだと思う。

あと痛女とヤンデレの区別の基準のひとつに、「男以外への接し方」がある。
たとえば誰彼構わず痛い行動を繰り返しているのならただの精神病or痛女だし、
男と、男が絡む事情にだけ過敏に反応するのはヤンデレになる。

31:名無しさん@ピンキー
07/02/13 19:06:45 1TzDS62S
基準なんて少ない方がいいんだよ
作品の幅が狭まるだけだ

病んでいる、そして主人公にデレている。
これで十分

32:名無しさん@ピンキー
07/02/13 19:10:24 1TzDS62S
てわけで痛女はヤンデレの一部分だと思います

33:名無しさん@ピンキー
07/02/13 19:46:23 Jcwk0VJZ
>>31
そう!
頭で考えるんじゃない。
心で感じるんだ!!

34:名無しさん@ピンキー
07/02/13 19:50:27 gnRHxdtb
>>33がいいことを言った。

35:名無しさん@ピンキー
07/02/13 20:52:20 HbS1YR/w
ここを見るまでヤンデレってヤンキーなデレかと思ってた。
普段ヤンキーっぽいけど時々デレるみたいな。

36:名無しさん@ピンキー
07/02/13 21:01:45 v4rGzLRf
>>10

37:名無しさん@ピンキー
07/02/13 21:25:54 Jcwk0VJZ
>>35
そ、それはそれで…

「ぎ、義理なんだからねっ!……カン違いしないでよねっ?」

…スマソ、これではツンデレだ……orz
いよいよ明日だ!!
頭にバのつく婦女子が溜まりに溜まった想いをカフェインを
炭水化物と共に摂れる形でその他色々なオプションを付けて
そんでもって場合によっては血の雨が降ったりなんかもする日は!!!


38:名無しさん@ピンキー
07/02/13 21:26:06 dyXsTalx
まあ、こういう話をすると荒れる原因だと思うが、

「痛女はヤンデレを内包している」

と思うんだよな。
痛女のカテゴリーの一つとしてヤンデレがある、というか。



まあ、結論は>>31って事には激しく同意だがなッ!

39:名無しさん@ピンキー
07/02/13 21:27:57 4vxG40j9
もて王の綾はヤンデレ?

40:名無しさん@ピンキー
07/02/13 21:30:15 91rHc3Xx
>>35
URLリンク(ashigaru.f-adult.com)
こちらの「成人向けオリジナルに」にある「喜多さんと僕」シリーズがお勧め

41:名無しさん@ピンキー
07/02/13 21:31:16 Jcwk0VJZ
残り二時間と半…


         -2:30-




42:名無しさん@ピンキー
07/02/13 21:35:29 v4rGzLRf
>>37
誰か俺宛に食べきれないチョコレート送ってくれないか?
俺は会社入って一度も貰ったこと無いし。
いや、もらったらお返ししないといけないから貰いたくは無いんだ。

しかしチョコは欲しい。俺が毎月チョコレートにかけている金額は
相当な額になるから少しでも食費を浮かせたいのだ。

愛は要らん。女も要らん。セクロスも要らん。
ただチョコレートをよこせ。俺がバレンタインに言いたいのはそれだけだ。


まあ、明日はSSが投下される確率大だからな。
今から楽しみだ。

43:伊南屋 ◆WsILX6i4pM
07/02/13 21:41:25 TiStBspt
闇討ち/須藤冬華
URLリンク(imepita.jp)
イベント絵らしきものシリーズ

44:名無しさん@ピンキー
07/02/13 22:02:38 J4YNFArw
冬華ちんはもっとロリ上品なサイ娘なんだい!

45:名無しさん@ピンキー
07/02/13 22:04:34 Jcwk0VJZ
残り二時間


     -2:00-

46:伊南屋 ◆WsILX6i4pM
07/02/13 22:22:45 TiStBspt
>>44
イメージにそぐわなかったようでスマヌ。功夫が足りんかった。

とりあえずカラーも出来たので一応は置いとく。
URLリンク(imepita.jp)

47:名無しさん@ピンキー
07/02/13 22:24:06 ofO+wJaT
>>46
これは怖可愛いですね((( ;゚∀゚)))ガクブルハァハァ

48:名無しさん@ピンキー
07/02/13 22:36:36 v4rGzLRf
>>46
クンフーが効いておりますな。雰囲気充分です。

49:名無しさん@ピンキー
07/02/13 23:10:24 eRVaRylj
>>46
カラーだと様になるw

50:名無しさん@ピンキー
07/02/13 23:36:59 8Irdrcd7
闇打ちウサギの妄想では目が最後らへんのアンデルセンみたくなって鼻の頭に筋が浮かんでたヤツ手を挙げろ














お願い……私を一人にしないで……

51:名無しさん@ピンキー
07/02/13 23:49:09 3QD6tNG5
個人的な嗜好だが、ヤンデレは

「幸せな一時があって、それが一方的に理不尽に奪われ、ゆえに狂うしかなかった」

という展開がツボ。



てか、ちょっとネタ思いついたんで形にしてくる

52:名無しさん@ピンキー
07/02/13 23:50:14 TiStBspt
期待してる

53:名無しさん@ピンキー
07/02/14 00:07:47 eRVaRylj
>>51
新たな職人誕生か!?

54:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 00:09:37 dy7nRHr9
メリーバレンタイン!

というわけで女店長のSSを投下します。

55:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 00:10:20 dy7nRHr9
ことのはぐるま番外編〜女店長・越えられない壁〜

 日本のある町にコンビニエンスストアがありました。
 その店は胸の大きな女性が店長を務めています。
 胸がどれぐらい大きいかというと、成人男性の手にも収まらない
くらいの大きさをしています。
 お店にやってくる男性たちは店長の胸元に釘付けになってしまいます。
 ときどき、店員の女の子がその胸を見てため息を吐いています。
 その女の子のバストサイズは日本人の平均以上ありますが、それでも店長の
胸の大きさにはかないません。それほど大きいのです。

 今日は2月14日。
 バレンタインデー当日です。
 コンビニエンスストアの店内にもチョコレートのコーナーが設けられ、
女の子たちはそこで義理、または本命の相手に贈るためのチョコを選んでいます。

 胸の大きい女店長は楽しそうな女の子たちを事務所の監視カメラから観察しています。
 物憂げな眼差しは見る者全てを恋に落としそうな色気を放っています。

「懐かしいわ。わたしもあんな頃があったわよね・・・・・・」

 彼女が物憂げな視線で女の子たちを見つめているのには理由があります。
 遠い昔を懐かしんでいるわけではありません。まだ20代ですから。
 バレンタインデーは彼女にとって特別な日です。
 今でも愛している彼の心を射止めた記念日なのですから。

 あれは三年ほど前のことです・・・・・・






56:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 00:10:59 dy7nRHr9
 当時の女店長は店長ではなく、コンビニのアルバイト店員でした。
 
 この回想の中では便宜的に裕子と呼ぶことにします。
 本名ではありません。仮名です。

 大学を卒業後、彼女はフリーターとして生計を立てていました。
 就職はできなかったものの、勤労の喜びを味わいながら日々楽しく
暮らしていました。
 
 ある日のことです。
 時刻は夜八時数分前。裕子は退屈そうにバイト終了の時間を待ちながら
レジ当番をしています。

 すると店内にスーツ姿の男性が入ってきました。

「いらっしゃいませこんばんは!」

 裕子は元気良く挨拶します。
 彼女の挨拶はお店に入ってくる人にはっきりと聞こえます。
 その男性にももちろん聞こえました。

 男性は裕子の方を向いて微笑を浮かべながら会釈を返しました。
 優しい微笑みでした。その笑顔を見て裕子はどきっとしてしまいました。

(か・・・・・・かっこいい・・・・・・)

 清潔感のある短い髪に、穏やかな微笑み。
 すらりとしたスーツをかっこよく着こなした男性の姿を見て、
目を離せなくなってしまいました。


57:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 00:11:43 dy7nRHr9
「これ、温めてください。袋は結構ですので」
「はい! かしこまりました!」

 男性がレジに弁当とお茶を持ってきました。
 レジを挟んで裕子と男性は向かい合っています。

(はああ・・・・・・いい匂い)

 男性を目の前にして、裕子は緊張したり興奮したりと大変です。

(そうだ・・・・・・)

 お弁当とお茶にシールを貼ってから男性に差し出します。その場で彼女は
あることを実行することにしました。
 両手で弁当を差し出して、男性が手を出した瞬間にその手を握ったのです。

「う、うわっ?」
「あ・・・・・・ごめんなさい!」

 裕子は謝りながら男性を上目遣いで見つめました。
 ぶりっ子全開、おとす気満々の瞳です。
 男性は軽いパニックになって慌てています。

「ええっとあの、その・・・・・・」
「ごめんなさい! 間違って握っちゃいました。
 ほんと、ごめんなさい! う・・・・・・ぐす」

 今度は下を向いて嗚咽を漏らしました。
 もちろんうそ泣きです。

「いいえ! 全然怒ってませんから! 気にしないでください!
 そ、それじゃ、失礼しますっ!」

 男性は弁当とお茶を持って慌てて店から出て行きました。

(やった! これで顔を覚えてもらえたわ!)

 その時点でバイトが終了する時間になったので、事務所へと入っていきました。


58:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 00:12:20 dy7nRHr9
 かつてないほどの速さで着替えを終えた裕子は外へ飛び出しました。
 何故かと言うと、先ほどの男性と会って話をしたかったからです。

(まだそんなに時間は経ってないから、その辺にいるはずよ)

 目を鋭くして、周囲をきょろきょろと見渡しています。
 男性はすぐに見つかりました。コンビニの外に設置してあるベンチに座って
弁当を食べています。
 裕子ははやる気持ちを抑えてゆっくりと男性に近寄っていきます。

「こんばんは」
「むぐ? ・・・・・・さっきの店員さん?」

 男性は箸を止めて裕子の方に振り向きました。

「隣に座ってもいいですか?」
「ええ。構いませんけど」

 男性は腰を浮かせて左側に空間を空けました。そこに裕子は座ります。
 二人の太ももが密着するかどうかという距離を空けて。

「う・・・・・・」

 裕子の行動に男性は戸惑ってしまい、弁当を食べる動きが緩慢になりました。
 それを見て取った裕子は、すかさず男性に話しかけます。

「私、裕子っていいます。お名前教えてもらっていいですか?」
「荒川修二です」
「私ここでバイトしてるんです。荒川さんはなんのお仕事をしてるんですか?」
「そこの高校に今年から教師として赴任しました。今日は残業していたら
 いつもより遅くなってしまってこんな時間になっちゃったんですよ」
「高校の先生ってやっぱり大変なんですね」

 あっさりと男性の名前・おおよその年齢・職業を聞き出しました。
 たたみかけるように裕子は次の行動を開始します。


59:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 00:13:02 dy7nRHr9
「あ。動かないでくださいね。ご飯粒が・・・・・・」
「うわっ!」

 裕子がご飯粒をとろうと体をくっつけてきたので、修二はまた慌てました。
 豊満なバストの谷間に左腕が埋まってしまったからです。
 ご飯粒を取ろうとして動くたびに大きな胸が形を変えます。

「ああん、動かないで。取れないですよ」
「いや、どこについてるか言ってくれたら自分で・・・・・・」
「いあ・・・・・・ん。むぁ・・・・・・そんなに抵抗しないで。私・・・・・・」
「へ。あ! すいません!」
「あ、取れました」

 今度はご飯粒を指に取り、修二の目を色っぽく見つめながら口に含みます。
 ぺろり、と。
 
 裕子はここまでの一連の行動で修二を完全に手玉に取ってしまいました。
 しかし続けて攻勢にでることなく・・・・・・

「それじゃあ隣、ありがとうございました。
 またお店に来てくださいね! バイバイ修二さん!」
「え・・・・・・あ、はい。さようなら・・・・・・」

 修二の隣から立ち上がり、その場を立ち去りました。
 修二はおあずけを食らった犬のように物足りない顔をしています。

「・・・・・・なんだったんだあの人・・・・・・」

 ちょっと興奮してしまった自分を恥ずかしく思いながら、修二は弁当の残りを
食べ始めました。


60:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 00:13:44 dy7nRHr9
 その夜、修二が電車に乗って家に帰り着く頃には十時を回っていました。
 部屋に入った修二はすぐにシャワーを浴びにいきました。

「・・・・・・ふう」

 シャワーを浴びながら修二は今日あったことを思い出していました。

(今日はいつもより長く残っちゃったけど・・・・・・いいことがあったな。
 裕子さん・・・・・・結構美人で、なにより胸が・・・・・・)

 左腕に胸を押し付けられたときの感覚を思い出すと気分が昂ぶってきました。
 
 そのとき。

 がたん

(――っ!)

 部屋の方から音がしました。
 まさか泥棒?鍵はかけたはず。いやしかし開けようと思えば本職の強盗であれば
簡単に開けられる。忍び込まれたかもしれない。嫌な想像が頭をよぎります。
 シャワーを止めて、入り口から見えない場所に隠れながら耳を澄まします。
 
 ですが、一向に音が聞こえてきません。それどころか人の気配すらも感じられ
ません。
 静かに浴室から出て、バスタオルを体に巻いたまま部屋を覗きますが、何も
変わった様子はありませんでした。

「なんだ。音がしただけか。びっくりさせないでくれよ」

 そう呟いてから体を拭き、寝巻きに着替えると歯磨きをせずにベッドに
倒れ込みました。

「今日はいつもと違うことばっかり起こったなあ・・・・・・」

 そしてそのまま胸の大きなコンビニ店員の女性のことを最後に思い出してから
眠りにつきました。


61:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 00:14:33 dy7nRHr9
 深夜。修二はなんとはなしに目を覚ましました。
 枕元の時計を見ると夜の二時。まだ眠り始めて三時間しか経っていません。
 もう一度目を閉じました。

 ・・・・・・・・・・・・。

 ごそ ごそ する する

(・・・・・・ん?)

 ベッドの下からかすかに音がしました。衣擦れのような音が。
 そういえば以前『ベッドの下に殺人鬼が潜む』という都市伝説を聞いたことが
ありました。もしや・・・・・・と思って耳を澄ましますが、しばらく待っても何の音も
聞こえてきません。
 自分が動いたときに布団が衣擦れの音をさせたのだろう。都市伝説なんか
所詮作り話だよ。そう納得して眠りにつきました。



『修二さん。私、私ね・・・・・・今日、一目あなたを見たときに恋に落ちちゃった
 みたいなの。こんなの初めて』

 修二は巨乳の女店員が出てくる夢を見ていました。

『信じてもらえないかもしれないけどね・・・・・・私、今まで男の人と付き合ったこと、
 一度も無いの。
 だから、ちょっとだけ不器用なアプローチしちゃうかもしれないけど許してね』

 そう言うと女の子は修二の唇に顔を寄せてきました。
 その唇と修二の唇が近づいていきます。

『修二さん・・・・・・』



「ちょ、ちょっと! 裕子さん待って!」

 修二は叫びながら飛び起きました。

 ・・・・・・・・・・・・。
 自分が見た夢の内容を思い出して、頭を抱えています。まさか昨日初めて会った
女性の夢を見てしまうとは。しかもいきなりキスを迫られるなんて・・・・・・。

「大学卒業してから彼女なんかいないけど、いくらなんでもこれはなあ。
 ・・・・・・・・・・・・はあ。仕事行くか」

 すでに時刻は朝六時。
 修二は気分を入れ替えて学校へ向かうことにしました。


62:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 00:15:29 dy7nRHr9
 その日の満員電車の中にて。
 修二は勤務先の学校へ行くために今日もいつも通りの電車に乗り込んでいました。
 去年の春から毎日のように乗り込んでいるので、すっかり我慢も覚えました。
 
 そう。今のように女性と間違われて痴漢されてしまっても、我慢できるのです。

 すり すり すり

「(うええ)・・・・・・」

 痴漢がお尻を触っています。両手で太ももと臀部を揉んだり、さすったり。時々
痴漢が下半身を擦りつけて来たりします。
 やめてくれよ・・・・・・俺は男なんだから。そう思っても痴漢は察してはくれません。

 今度は前のほうに手が回ってきました。股間を探るように執拗に触ってきます。
今まで触っていた相手が男だということを確認しているようです。今までに女性と
間違われたときはこの時点で終わっていました。

 ジィィィィィ

(は!?)

 しかし、今回の相手は違いました。なんとスラックスのチャックを下ろしたのです。
そのまま下着の上からペニスを撫でてきます。
 この時点で修二にも限界が来ました。ペニスを撫でている痴漢の手を掴み、その手を
見て―最初に浮かんだのは疑問でした。その手は男にしてはやけに細かったのです。

(女の人の手?)

 ということは痴漢ではなくて―痴女?そういえばさっきから背中に柔らかい二つの
感触がある。ああ、至福・・・・・・いや、それどころじゃない!
 修二は混乱しています。男であれば駅に着いたときに駅員に痴漢として突き出せば
いいのですが、今回の相手は女性です。それにそのまま握っていれば自分が痴漢扱い
されかねません。
 修二がその手を離したとき。

 ぷしゅーーーーーーー

 電車が駅に到着し、ドアが開きました。そしてそのまま人の流れに押されてホームに
投げ出されました。
 辺りを見回してもすでに誰が同じ電車に乗っていたのか分からないほどごったがえして
いたので、修二は痴女探しを諦めました。

 ふと気がつくと、数人の女子高生が自分の方を見てくすくすと笑っています。なにやら
下半身に目がいっているような―

(いいっ!?)

 さっき痴女にチャックを下ろされていたことを忘れていました。修二は慌ててチャック
を上げて、下を向きながら恥ずかしそうに早足で歩き出しました。


63:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 00:16:14 dy7nRHr9
 時刻は変わって、夜八時。
 アルバイトを終えた裕子はコンビニの外に設置してあるベンチに座って修二を待って
いました。今日は修二がお店に来なかったので、昨日より遅い時間にやってくると思い
待ち伏せているのです。

(早く来ないかな修二さん。たくさん話したいことがあるんだから)
 
 それに今日は渡したいものがありました。バレンタインデーのチョコレートです。
なんと彼女は会って二日目で修二に愛の告白をしようと考えていたのです。

「(もしOKをもらえたら家に連れ込んで・・・・・・)うふふふふふふふふ」

 何を想像しているのかはわかりませんが、不埒な想像をしているのは間違いありません。
身悶えしながら笑い声をあげているということはきっとそういうことなのでしょう。

 
 しかし10分、30分待っても修二は現れません。これはもしかしたら今日は会えないかも。
そう裕子が考えたとき―口論しているような声が聞こえてきました。

 その声が聞こえてくる場所へ向かうと、修二と数人の男が向かい合っていました。しかも
男の一人は修二の胸倉を掴んでいます。

(あのアホザルども! よくも修二さんに!)

 頭に血が上ってそのまま乱入しようと思いましたが、思い留まりました。
 相手は男三人。彼女一人が加勢したところで状況は変わりません。しかし。

(このまま見過ごすなんてできないわ! 待ってて修二さん! すぐ戻るから!)
 
 裕子はひとまずその場に背を向けて立ち去りました。


64:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 00:18:13 dy7nRHr9
とりあえず前編投下終了です。

本当はこんなに長くするはずじゃなかったんですけどね。
後編はまたあとで。多分夕方になります。

65:名無しさん@ピンキー
07/02/14 00:18:29 m5YUejK5
リアル遭遇

66:名無しさん@ピンキー
07/02/14 00:20:15 sR1tpHco
GJ!後編楽しみにしてます!

67:名無しさん@ピンキー
07/02/14 00:31:47 3wpUmH2H
後編楽しみにしてます。
もうチョコは諦めましょ…orz

68:名無しさん@ピンキー
07/02/14 02:20:42 nhia5pcM
>>67
あきらめるのはまだ早いぞ!
きっとすてきなヤンデレが今日の帰り道に……

69: ◆choco.get.
07/02/14 02:57:09 acjIks4q
皆、今日はこのトリを付けようぜ。

つ【#h|,yJ6n' 】


70: ◆choco.get.
07/02/14 04:12:02 4m57XWYr
関連スレ候補
ほのぼの純愛 9スレ目
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71:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 15:37:11 nKGnbif8
チョコが貰えないなら自分で買えばいいのよ。

では投下します。

72:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 15:37:47 nKGnbif8
 コンビニ裏の空き地で修二は不良三人に因縁をつけられて絡まれていました。理由は
分かりません。ですが不良たちにとっては目の前にスーツ姿の男性がいたというだけでも
絡む理由になってしまいます。つまりはその程度の理由で絡まれていたのです。

 不良たちは三人。それに対して彼の味方をする人間はいません。辺りは暗く、月明かり
しか彼らを照らすものはありません。

(昨日から厄日続きだ。変なことばっかり起こる)

 胸の大きいアルバイトの女性店員にくっつかれたり、その人が夢にでてきたり、朝から
痴女に会って、しまいには不良に絡まれる。修二は我が身の不幸を呪いました。
 修二はすでにかなり弱っています。追い討ちをかけるように不良の一人が脅迫の言葉を
かけます。
 
「はやく金を出せ。はやくしねえと二度と町を歩けなくしてやるぜ」

 三人に囲まれながらそう言われたらどうしようもありません。
 修二が諦めて財布を取り出したそのとき。


73:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 15:38:35 nKGnbif8
 がたがたがた! がたがたがた!
 がたがたがた! がた!

 何かが暴れているような音がしました。ドアを無理やりこじ開けようとしているような。
 そして。


 ばぁん!

 大きな音とともにコンビニの裏口が開きました。 
 誰かが出てくる!不良たちは身構えました。何が来てもいいように。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 しかし、いつまで経っても裏口からは誰も出てきません。
 
「なんだよ脅かしやがって・・・・・・」

 そう呟き裏口に背を向けた瞬間。
 
『お離し・・・・・・』 『お離し・・・・・・』

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
 女の声が聞こえてきました。

 消え入りそうな声です。
 しかし、その声はだんだん大きくなります。

『お離し・・・・・・ お離し・・・・・・・・・・・・
 お離し・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 ・・・・・・・・・・・・。

『早く、お離し!!!!』


 どばぁん!

 怒鳴り声が聞こえてきたあと、裏口が勢いよく閉まりました。


 ・・・・・・・・・・・・。

 彼らが後ろを振り向くと、
 裏口には白い服を着た女が立っていました。


74:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 15:39:16 nKGnbif8
『お離し・・・・・・』

 ぺた・ぺた・ぺた

 女はゆっくりと歩いてきます。
 一歩一歩近寄るたびにぺた、ぺた、と音がします。
 
 白い服はところどころ黒く汚れており、長い髪は顔の前に垂れ下がっています。
 女は前かがみの状態で下を向きながら彼らに向かってきます。

 ぺた・ぺた・ぺた
 ゆっくりと、ゆっくりと。


『お離し・・・・・・ お離し・・・・・・』
「こ、このアマ! なんのつもりだ!」

 不良の一人が声を荒らげます。
 恐怖に駆られないよう、必死になって虚勢を張っています。

「ふざけてるんならこの辺で―」
『ひああああああああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああああああああ
 あああああああああああああああああああああああ!』

 びたんっ!

 叫び声を上げながら前のめりに倒れました。
 倒れた勢いで両腕と長い髪を地面に投げ出しています。

 ・・・・・・・・・・・・。

 そのまま動きません。不良の一人が女に近寄ります。
 しかし、すぐに女が体を起こしました。


 がばあっ!!

 
「っ・・・・・・!」
   
 体を起こした女の顔を見て四人は絶句し―

「うぎゃああああああああああっ?!」

 一拍置いて今度こそ悲鳴を上げました。

 女の顔は赤く染まっています。
 比喩ではなく、赤い絵の具をそのまま塗ったように赤く。
 その顔に水に濡れた長い髪が貼りついて奇妙な模様を描いています。
 目は瞳孔が開き、感情を宿していません。

 そして額には二本の角が。


 女は鬼の顔をしていたのです!


75:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 15:39:50 nKGnbif8
 びだんっ! びだんっ!

 女―いや、鬼は両手を使って動き出しました。
 上体を浮かせて、腰から下はひきずりながら、不良たちに近づいてきます。

 びだんっ! ずるり
 少しずつ。

 びだんっ! ずるり ・・・・・・ びだんっ! ずるり  ・・・・・・
 少しずつ。

『お離し・・・・・・ お離し・・・・・・』

 鬼はうわごとのように『お離し』と繰り返します。
 その場に居た男四人は何のことを言っているか理解できません。
 そのいでたちと、奇怪な動きは男たちの思考を完全に止めてしまいました。

「うああ・・・・・・」
『お離しいいいいいいいいいいいいいいっ!!』

 ばんっ!
 ぶあっ!!

 鬼が両手で地面を叩き、男たちに向かって飛び掛りました!

「ひいいいいいいいいいいいいっ!」

 
 どちゃり!

 しかし、鬼の腕は不良の足を捕らえることなく空を切りました。
 倒れながらも顔を上げ、叫び声をあげます。

『早く! 早く! 早く! 早く早く早く!
 早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く!
 早く! お離しいいいいいいいいいいいいいいいいっ!』
「!・・・・・・あ・・・・・・う・・・・・・ひ・・・・・・
 う、うああああああああああっ!」

 至近距離で鬼の顔を見せられ、同時に叫び声を浴びせられました。教師の胸ぐらから
手を離し不良たち三人は逃げ出しました。


76:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 15:40:30 nKGnbif8
 修二は不良の腕から開放され、支えを失って尻餅をつきました。

「あ、・・・・・・ああ」
『・・・・・・・・・・・・ひひ』

 鬼が声を漏らしました。

『ひあああああああっはははははははは!
 あはははははははは、はははははははは!
 きゃはははははははははははははははは、は、は』

 おぞましい笑い声をあげた鬼が、修二を見つめています。

『ようやく、離したねえええええええええっ!』

 ばんっ!

 修二に向かって襲い掛かり、今度は空を切ることなく肩を掴みました!

 鬼の顔が近づいてくる!

「ぎゃあああああああああああああっ!」

 修二は悲鳴を上げて気絶してしまいました。



「あちゃあ。やりすぎちゃった・・・・・・かな?」

 鬼は自分の顔を掴み、耳の後ろに引っ掛けていた輪ゴムを取り外しました。
 現れたのは、裕子の顔。

 鬼の正体は変装した裕子でした。

「そんなに怖かったかな?
 節分用の鬼のお面と、汚れたボロ布の組み合わせって」

 彼女はそう言っていますが、少しだけ違います。
 その変装もそうですが、叫び声や動きが真に迫っていたからこそ不良たちは
逃げ出し、目の前にいる男性も気絶したのです。

「でも・・・・・・これはチャンスだわ。
 最高よ。うふふふふふふふふふふ。
 あっははははははははははははははは!」

 鬼の面をしていないというのに裕子はまたしても笑い出しました。


 ・・・・・・もしかしたら、あれは彼女の本来の性格だったのかもしれません。


77:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 15:41:13 nKGnbif8
・ ・ ・ ・ ・ ・

「う・・・・・・ん?」

 修二が目を覚ましたとき、目の前は真っ暗でした。
  
「あれ? 俺・・・・・・あの時、鬼に食べられそうになって・・・・・・!」

 自分の体が無事かを確認しようとしましたが、動けません。両手は縛られて頭の上に
回された状態で固定されていました。足首は縛られていて、股を開いた状態にされています。

「目が覚めましたか? 修二さん」
 
 女性の声が修二の耳に届きました。その声を修二は聞いたことがありました。蝋燭に火が
灯り、女性の顔がぼんやりと見えてきました。

「もしかして・・・・・・裕子さんですか?」
「はい。覚えててくれたんですね」
「ええ。それはもちろん・・・・・・って! なんて格好してるんですか!」 
「格好? 何も着てないだけじゃないですか。何かおかしいですか?」

 裕子は一糸纏わぬ、生まれたままの姿で修二の目の前に立っていました。
 細い足首と締まったふくらはぎ。肉感的な太腿から臀部へ続く緩やかなカーブ。芸術的な
くびれを描いているウエスト。
 そして芸術的なウエストの上には裕子の大きな身体的特徴である二つの大きな膨らみが。
 とても扇情的な姿です。修二が今までに経験してきた女性たちの中でも彼女ほど美しい肢体
を持っている女性はいませんでした。
 そのため、修二はその姿を見ただけで激しく興奮してしまいました。

「・・・・・・うふふ。修二さん。すっごく興奮してますね」
「え、何でそれが・・・・・・え、ええっ!」

 修二も服を着ておらず、全裸の状態です。そのため彼の陰部が勃起しているのも裕子には
丸見えです。そのことに気づき慌てて隠そうとしますが―四肢を縛られていてはどうにもなり
ません。

「隠さなくてもいいでしょう? これからすることを考えたら・・・・・・」
「何をするっていうんですか・・・・・・」

 修二も当然気づいてはいましたが、一応とぼけてみせます。

「男と女が裸になって密室でふたりきり。何をするかなんて決まっているでしょう?」


78:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 15:42:01 nKGnbif8
 裕子は薄く笑いながら修二に体を重ね合わせてきました。二人の手と手が、足と足が重なり
ます。そうすると当然裕子の胸も修二の胸とくっつきます。修二は二つの乳房が潰されていく
のを目にしました。胸にとても気持ちのいい感触が二つあります。

「裕子さん。離れて・・・・・・」
「正直になっていいんですよ? ほら、ここはとっても正直ですよ」

 裕子が太腿で勃起した陰茎を挟んできました。素股の体勢です。
 しかし裕子がその状態で全く動こうとしないので修二はだんだん物足りないものを感じて
きました。とはいえ自分から動くこともできず、おあずけを食らった状態です。

「あれえ? 修二さんなんだかもぞもぞ動いてませんか? 
 それに、またおっきくなってますよ」
「くう・・・・・・・・・・・・」

 動きたい。けど自分から動くわけにもいかない。
 どっちつかずの状態に置かれて修二は呻いてしまいました。

「動いてもらっても私はいいんですけど・・・・・・」
「え・・・・・・」
「でも先にやることがあるので、おあずけです」

 そう言って裕子は立ち上がって床から何かを拾いました。黒い四角形のものです。かすかに
甘い香りがただよってきます。

「もしかして・・・・・・チョコレートですか?」
「はい。今日はバレンタインデーですから。今修二さんに食べてもらいたいんですけど。
 いいですか?」

 それを食べたらさっきの続きをしてもらえるかもしれない―そう考えた修二は答えました。

「・・・・・・構いませんよ」
「うふふ。じゃあ、さっそく・・・・・・」

 裕子はチョコレートを修二の口に―入れることなく、自分の口に含みました。それから口の
中で咀嚼しています。
 そして修二の顔に近づいてキスをしました。

「ん、んぅ・・・・・・」
「うむうう?! う、ぅぅぅ・・・・・・」

 裕子が噛み砕いて溶けたチョコレートが修二の口内に注がれました。突然甘いものを口に
注がれて、大量の空気と一緒に飲み込んでしまいました。ごくり、と。

「はあぁぁぁ・・・・・・美味しかったですか? チョコレート」
「こほっ、こほっ ・・・・・・んん、・・・・・・ええ」

 その答えを聞いて、裕子は満足そうな笑顔を浮かべました。


79:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 15:42:54 nKGnbif8
「続き。してほしいですか?」

 修二は無言でうなづきました。それを見て、裕子は腰の上に跨ります。

「実は私経験したことないんです。だから・・・・・・」
「大丈夫ですよ。・・・・・・優しくします」
「いいえ。あ、それもですけど・・・・・・初めてをもらうんでしたら、
 最後まで責任をとってほしいんです」
「え?」

 修二の耳元に口を寄せ、ささやきました。

「結婚してください」

「・・・・・・はい?」
「聞こえませんでしたか? 最後まで責任をとるという意味で、
 結婚してくださいって言ったんです」

 修二はぽかんと口を開けています。まさか女性からプロポーズをされるとは思っていなかった
ようです。

「私と結婚するのはいやなんですか?」
「いや、そんなことは無いです。でもそれだけの理由で決めるのは・・・・・・」
「・・・・・・もっとわかりやすく言った方がいいみたいですね」

 裕子の声が半音下がりました。修二の首に手を当てながら言葉を続けます。

「殺されたくなかったら、結婚してください」

(え・・・・・・・・・・・・?)
「今自分の置かれた状況を理解できていますか? 手足を縛られているんですよ。
 私がこのまま力を入れたらどうなるかは・・・・・・わかりますよね?」

 軽く指に力を込めました。
 
「私は修二さんのことが好きです。愛してます。もうこの気持ちは止めようがありません。
 それなのに、修二さんが受け入れてくれないんだとしたら・・・・・・生きていけません。
 でも、一人で逝くのは寂しいから・・・・・・修二さんも一緒に連れて行きます」
「・・・・・・・・・・・・」
「返事は、YESですか? NO、ですか・・・・・・?」

 修二は逡巡してその結果・・・・・・

「YESです。・・・・・・僕も裕子さんのこと、好きですから」

 命が惜しいので彼女のプロポーズを受けました。


80:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 15:43:44 nKGnbif8
 その後で、二人は結ばれました。

「はああっ! もっとぉ! もっと突いてくださいぃ!
 ああ! おくに、奥に当たってるううっ! はぁあぁっ!」

 裕子は獣のように修二の体を貪り、

「あ、・・・・・・ぐああ・・・、・・・まってゆうござ、ん。
 も、じゅっがいめ・・・・・・あ、ぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」

 修二は死にそうになりながらも彼女の猛攻に耐え抜きました。

 本当はチョコレートを修二の体に塗りたくったり、裕子の胸を使って羨ましい事をしてもらった
のですが、それはこの哀れな雄の心の中にしまっておいてここでは語らないことにします。

 裕子はこのようにしてバレンタインデーに愛しの男性を射止めたのです。





「あの子たちも幸せになってほしいな・・・・・・」

 監視カメラに映っているアルバイト店員の男の子と、彼をときどきちらちらと見つめている
もう一人のアルバイト店員の女の子を見ながら女店長は呟きました。
 男の子が女性客と話をしている姿を女の子はじーーっと見つめています。

「そうねえ。あの子にアドバイスしても面白いかもしれないわね」

 あの男の子の鈍感さは異常だし。
 言葉には出さずにそう思い、女店長は女の子にアドバイスするためにレジへ向かいました。

 不器用な女の子の恋を応援するために。


81:越えられない壁 ◆Z.OmhTbrSo
07/02/14 15:44:44 nKGnbif8
 そのあと。

「あ、ねえ! キミ!」
「ん? どうした?」
「お、お離しぃぃっ! がおーーーーっ!」
「・・・・・・鬼の面なんか被ってどうしたいんだ?」
「あ、あれ? ・・・・・・おかしいなあ。店長の話では気絶するはずなのに」
「お前は俺を気絶させてどうしたいんだ・・・・・・」
「うぅぅ・・・・・・キミなんか鬼店長に喰われちゃえーーっ!」
「なあっ!? 豆を投げるな! 痛い、痛いって!」
 
 こちらの女の子は女店長のように上手くできなかったようです。

 皆さんはこんな女の子がいたら気絶してあげてくださいね。

 メリーバレンタイン!


 越えられない壁・終

----------

終わりです。

ああ、最後はなんだかグダグダになってしまった・・・・・・
自分でチョコ買ってくるよ ノシ

82:名無しさん@ピンキー
07/02/14 15:50:54 gomY7YCo
>>81
リアルタイムGJ!!
まあ、お離しって言われただけで逃げちゃう不良はお話にならないな

83:名無しさん@ピンキー
07/02/14 16:14:13 sR1tpHco
後編キタ━━(゚∀゚)━━!!
GJ! 女店長さんは人妻なんですか!?(*´Д`)ハァハァ

84:名無しさん@ピンキー
07/02/14 17:47:58 D5SoExi7
ぐっじょぶ(*´ρ`*)

>>82
熟成されたヤンデレのオーラが出てたら結構怖いと思うんだが……
オーラがないと「お離し」が「お話」に聞こえたりなんかして……意味不明か。

85:伊南屋 ◆WsILX6i4pM
07/02/14 18:11:15 ZzD7HcjX
三月兎/眠らないヤマネ

バレンタインネタ描こうかと思ったけど誰もチョコを贈る場面が浮かばなかった……。

86:伊南屋 ◆WsILX6i4pM
07/02/14 18:13:06 ZzD7HcjX
いい加減リンク張り忘れるのをなんとかしろ俺……orz
URLリンク(imepita.jp)

87:名無しさん@ピンキー
07/02/14 18:42:46 EAK1qzXb
      __      __   ___ _      _  __  _____     ___ ___    ___
      /..   |     /   /  |   / |  |   / ./ |  / /__  __/ [][] _| |_| |__ _| |_
.     /    .|   /    / ../  /   .|  |  / ./  /  /      / /     |    _  | |_  レ'~ ̄|
    /     |  /     /  /  /. . .|  |/ ./  ./  /       |  |___     ̄|  | / / /   /| |
.   /  /| ..|/ //  /  /  /. . . .|   /   /  /        \__|       |  |  ̄ /_  /  | |_
   /  ./..|    / ./  /  /  /   /   |     /  /                      |_|     |__|.  \/
.  /  ./. |  /  /  /  /  /.  / ... ..|   ./  /
 /  ./   ̄   /  /  /  /  ./ / |  |   /  /
./  ./       /  /. /  | ./ /  |  |. /  |

88:名無しさん@ピンキー
07/02/14 18:44:45 NESgu9dX
>>83
しかし、随分凄い手で旦那さんゲットしてるなwww

89:名無しさん@ピンキー
07/02/14 18:48:31 0YzpXEKD
>>81
GJ!店長可愛いよ店長>>86
相変わらずの高クオリティGJ!

90:姉弟:バレンタイン by前スレ367
07/02/14 19:10:35 GS4dNN5H

 佐藤育に取っては、バレンタインという行事は、年に一度のビッグイベントの一つだ。他はクリスマスと正月である。
 なにしろ、バレンタインは時に秘めがちな思いを持つ女性には絶好の機会であり、自身の思いを確かめる重要なときであるからだ。
 チョコを作ったり、買ったりする。そしてそこで思う。コレをあげていいのか、あの相手にと・・・。そう言う葛藤の中、自身の暴走や思いの強さを持って行動する。
 そしてまた自分に気づく。その思いの弱さ。その思いの強さ。
 育の思いは、当然強いものだった。
 彼女が弟にチョコをあげたのは、中学1年の頃。授業で作ったのをあげたのが始まりだった。
 それからはまるで惰性の様に続いているが、受け取る方はともかく、作るほうは真面目だった。
 
 育は材料を買い、その梱包を一つ一つ解いて行った。銀紙を破り、チョコを砕く。溶かし少量のミルクを加える。
 くどいチョコは好みではない。ミルクの味は強すぎない方がいい。彼女なりの経験から出された結論だった。
 攪拌しているとき、育は少し振るえた。
 日常の料理を作るではない、違う感覚。特別なものを作ってる自負。
 弟にあげるチョコレート。
 甘い甘い、私の味のチョコレート

 
 佐藤伸がコンビニに久しぶりに入ると、店の一角にはチョコにチョコがあふれている事に気がついた。
 腕時計を見て、なるほど、今日はそう言う日なのか。と理解する。2月14日。バレンタイン。
 しかし、彼にとってバレンタインと言うものは、特別な意味を持たない。
 幼少の頃から聞き及ぶ行事ではあれど、世間一般でその対象になったことはなく、自身もそれを当然と捕らえていた。
 ただ、バレンタイン戦車ってのがあったな。と言うのを思い出すための日。その程度の日だった。
 ちなみに、彼がゴリアテ自爆有線戦車を思い出すのはなぜか9月1日である。
 コンビニを後にして、車のイグニッションを捻る。直6シングルカム3キャブレターのエンジンがうなりをあげる。
 つながる綺麗な音。ロータリーなどとは違う回転感。やはり直6はいい。ココロが洗われる。
 時計を見れば夜の7時。
 今日がバレンタインと言うことならば、姉はチョコを作って待っているということになる。
 こう言う日は何かと早めに帰った方がいいのだが。伸はS30Zに耳を傾けた。
 普段は変化の無い顔を少し笑わせる。少し乗ろうか、首都高に。

91:姉弟:バレンタイン by前スレ367
07/02/14 19:12:28 GS4dNN5H
 7時50分頃。
 そろそろ弟が帰ってくる頃だと、育はエプロンを脱いだ。
 家事を一段落下と言うことで、椅子に座り、安堵のため息を付いた。
 テーブルには夕食がすでに準備してあり、チョコレートも冷蔵庫に叩きこんである。
 残念だが、漫画のような「私を食べて」などという事はしない。溶けたチョコは熱いのだから。
 そんな事を考えていると、携帯のアラームが鳴った。午後8時。普通なら、もう帰って来ているはずだ。
 仕事や渋滞で遅れるときは事前に連絡してくるから、そう言うことではないのだろう。
 でもまだ帰ってこない。
 メールを打つ。いまどこにいるの?
 数分後、メールが来る。今帰ってるところ。
 早く帰ってきて。
 なるべく速めに帰る。
 一度携帯を畳む。
 聞こえないはずの、秒針が動く音が聞こえる。
 カチ、カチ、カチ・・・・。
 ちょっと遅くないかな?
 カチ、カチ、カチ・・・・。
 おそいよ。
 カチ、カチ、カチ・・・・。
 おかしいよね。こんなに遅いんだから。
 もう一度メールを打つ。
 誰かとあってるの?
 否、帰り道に居る。
 カチ、カチ、カチ・・・・。
 やっぱり遅い。
 カチ、カチ、カチ・・・・。
 遅いよ。遅い。
 カチ、カチ、カチ・・・・。
 遅い。
 遅い。
 遅い。
 遅い。
 遅い。



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