【兄妹だけど】生殺し妹文学館【愛し合う】第十六巻 at ASCII2D
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750:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/04 12:34:05 2WBgJW6w
了解&サンキュ

751:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:32:07 HwBplM7j
 正月ネタなのに未だ終わらない…とりあえず書けた所だけ投下。

752:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:34:10 HwBplM7j
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「さぁ…お前も充分に楽しめよ。」
 「うぅ…お…お手柔らかに…」
 「そう遠慮するな。うりゃ!」
 「わ…ちょっと…きゃあ!」

 覚悟を決め服を脱ぎつつも怯えながら鎮座するフランを転ばせる
ように倒す。慌てて体制を整え直す前に両足を大きく開かせる。

 「先ずは一足早めの御屠蘇を…」
 「いやぁ!そんな所舐めちゃ…あ…あん…駄目…駄目ぇ…」
 「お?何だココはもう準備万端じゃねぇか。」
 「いやぁあぁ!!」

753:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:36:22 HwBplM7j
 既に溢れ返る液体を一滴も残さんと俺は夢中でフランの秘所に
吸い付く。

 「次は…御節料理の定番…おぉ!凄い締め付け!!」
 「んぁ!あ・・・あ…んぁ…止め…んぁ…」
 「へへ…“数の子”とは巧く例えたもんだな。」

 ゆっくりと膣壁を掻き回しその熱い感触を堪能する。やや意地悪く
時々指先をクイッと上げるのに合わせフランが堪らず腰を上げる。

 「や…あ…掻き回しちゃ…あぁ!」
 「へへ…コレだけは誰にも渡さんぞ。さぁ…もう我慢出来ない頃
だな?それじゃあ…」
 「もうやだ…何で…こんなのばっかり…」


754:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:38:33 HwBplM7j
 また泣きそうな表情でフランが呟く。

 いかん…少しやり過ぎたか…。一旦俺は手を止める。

 「悪いとは思う。けどな…時々何ていうか…性欲とは別の…違う
衝動に駆られる言うか…」
 「何なのそれ?」
 「つまり…お前を独占したくなるんだぁ!!」

 言葉通りに抑えきれなくなった自分を鎮める為にあえてフランに
飛びつき抱きしめる。

 「ちょ…ちょっと…痛たた…」
 「おっと悪い。けどもう少し…こう…これならいいだろ?」
 「うぅ…ん…いいけど…」 

755:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:41:01 HwBplM7j
 そのまま暫くお互いの肌の温もりと心拍を感じ合う。

 幼い頃同様に触れ合ったまま止まっているという効果は絶大。俺達
は少しずつ落ち着きを取り戻す。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「先生、フランシーヌはまだ〜?」
 「まぁまぁ…初詣には来ると言ってましたから。年が明けるまで
待ちましょう。」
 「うぅ…あたし未だ逢ってないの〜。」

 休憩所は非常に賑やかだ。一頻り話しをして皆が落ち着いたと
思ったら今度は我が娘フランシーヌの話で再び盛り上がっていた。
どうやら逢いたくて堪らないと思っている人が殆どのようだ。

756:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:44:15 HwBplM7j
 「慌てるな。それより準備は万端なのか?」
 「やぁアレックスさん。貴方もそろそろ休憩ですか?」
 「そうしてもいいのですが…どうもあの二人が…」
 「成る程…後で酔い覚ましを用意しましょう。」


 「うぅ…何かくらくらする〜。」
 「ベッキー、呑み過ぎじゃない?あ〜さっきから顔が熱い〜。」
 「あんたも人の事言えないじゃない!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「あぁ…そう言えば…抱っこなんて滅多に無かったな。」
 「ん?そうだね…ボクお兄ちゃんにおんぶされた事は有ったけど
抱っこされた事無かったかも…。」

757:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:46:22 HwBplM7j
 「俺はおんぶさえ無かったけどな。」

 俺達は遊び疲れてお互いの家で眠りこけた懐かしい日々を思い
出していた。

 隣同士だから当初はそのまま次の日まで起こされる事無く朝を
迎えていたがやがて俺が先に目覚めフランをおぶさって隣まで
運ぶようになった。

 西堀家の引越しも再開して俺達が結ばれたあの日もそれ程経って
いないのに全てが遠い昔のように懐かしい。

 「ねぇ…お兄ちゃん。」

 やがてフランが口を開く。

758:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:49:22 HwBplM7j
 「今度からは…ちゃんと誘ってくれる?」
 「ん?あ…あぁ…分かった。」

 返事と同時にフランが俺の下腹部を探っていた。

 「あ…あの…ちょっと…」
 「い…一回だけだよ…」
 「ま…待て…未だ…あ…あ!」
 「ひ…姫納めだよ♪」
 「だから…あぁあぁ!!」

 未だ装着していないのにフランが先端を潜らせる。

 「ちょっと…生はまずいだろ…あ…だから待て…」
 「待たない。」


759:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/07 13:52:29 HwBplM7j
 今日はここまで。

 感想・リクエストお待ちしています。

760:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/07 15:58:26 sw5zkw4C
中出しと孕ませ台詞に期待してます

761:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/09 10:10:40 vn04sTjB
>>753-754 辺り

 URLリンク(2ch-library.com)

762:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/09 23:37:33 eGYuxTvH
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J

763:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/10 00:10:08 sQDo0AcI
>>759
遅ればせながら、「数の子」「お屠蘇」をからめたお正月バージョン投下乙です。

>>761
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 おっぱい!おっぱい!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J

764:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/14 21:00:59 UIYidzUn
 出勤前保守

>761
 おっぱい!おっぱい!(AA略

 いやこの愛すべきアホキャラをこうも可愛く描いてくれるとは…GJです!

>763
 餅と蜜柑と猪もお忘れなく…と言うかそれに気付いてくれて感謝。


765:向230@携帯
07/01/15 23:31:26 7yRlVgJh
残業会場から保守。

某騒動のせいで投下しづらいなぁ…困ったちゃん(´・ω・`)

766:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/19 04:11:32 9kRkuem+
ho

767:三国 ◆V72uzrF0y2
07/01/20 14:31:51 JRiYrlvX

妹「ぅおにーちゃーーーーん!」
兄「その言い方は止めなさい」

768:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/20 15:34:15 crBxqxFE
妹「おにぃ〜 ゲームしよー」
兄「お前の宿題が終わってからな」<<どさっ>>
妹「こんなん今日中に終わらへんわーーっ」
兄「サボったお前の自業自得だ、ほれ始めろ」
妹「う〜…」

     ~
     ~
妹「…お腹すいた」
兄「それ一冊終わったらな」
妹「おにぃーのオニーー!」
兄「うむ、いかにも俺は兄である」
妹「う〜…」

769:何かのネトゲかとw ◆orz..c5K0U
07/01/20 16:28:05 CHKf4Lg2
SYSTEM: 天空橋花月(morip123)さんよりパーティー加入の依頼を受けました。

兄「…誰やねんこいつ…morip123ってID適当杉w」
内藤地平(boonboonboon): PT厨乙

天空橋花月(morip123)さんからのメッセージ: おにいちゃん、あたしあたし
兄「…オンゲーで妹と遭遇しました、と」
SYSTEM: 天空橋花月(morip123)さんからのパーティー加入依頼を無視しました。
天空橋花月(morip123): ちょwwヒドスwww

兄「…とりあえずここらで稼ぐか」
天空橋花月(morip123): てつだうよー
SYSTEM: 攻撃できません。
兄「…ちょww横殴りすんなw」
内藤地平(boonboonboon): 横殴り厨乙


770:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/24 00:22:06 2+cIvs5Z
いま妹は遠くバリの地……

地震あったとき空の上でやんの 悪運の強いやっちゃ

771:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/27 03:32:06 iupnaxIr
ほしゅ

772:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:03:12 6oCo+DKA
 …PiPiPiPiPi

「んー…」

 目覚ましの不快な電子音に起床を促され、目を閉じたまま手を伸ばしてスイッチを叩く。

 馴れてしまえばこの音を聞きながらでも眠りの世界に戻れるが、二度寝の誘惑に乗ると後が大変
 お腹を空かせたままバス停まで走らなくてはならなくなる。

 そんな荒行は御免だと身体を起こし、タイマーで10分前から稼動するエアコンの暖房を浴びつつ
 ベットから降りて制服に着替えを済ませると、エアコンのスイッチを切ってから鞄を持って部屋を出る。

「あ…」
「あ」

 まだ寝てるかと思ったのに…、洗面所から出てきた兄と顔を合わせてしまった。

773:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:06:29 6oCo+DKA
 どちらとも無く顔を逸らせると、挨拶も無く素通り。

 これが、今の私と兄との関係…。 あの日の夜から、お互いを避け続けている。

「はぁ…」

 父も母も同じ職場で働いていて、朝は私達が起きる前に出勤
 夜は私達が眠りに付いてから帰宅、そんな我が家の朝食はいつもパンとコーヒーで済ませているけど
 ここ最近は朝食も夕食も一人で食べる事が多い。 それ以外は友人の千鶴ちゃんと偶に外食。

 今日も一人で味気ない朝食を済ませて家を出ると、時間で計ったようにクラスメイトの千鶴ちゃんが現れた。

「おっはよー みっちゃん」
「おはよー… 千鶴ちゃん」

いつも元気な千鶴ちゃんとは対照的にテンションの低い挨拶を返す私。

774:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:10:29 6oCo+DKA
「あれ、またエライ元気ないなぁ?」
「健にぃと顔合わせた…」

 あ〜と納得する千鶴ちゃん。 やれやれと呆れたように首を振って見せる。

「まだ喧嘩しとったん? はよ仲直りすりゃイイのに」
「ん〜…喧嘩とは、違うんやけどね…」

 そう、喧嘩とは違う。 
 喧嘩ならもっと簡単に片付いてるし、ここまで引きずる事も無かったと思う。

「な〜んか気まずくて、中々ねー…」
「ふーん… 前にも聞いたケド、ホンマに何が原因なんよ?」
「ん、いや‥ それはちょっと」

 心配してくれる千鶴ちゃんには悪いけど、ちょっとこればっかりは話せない。

775:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:28:34 aXmfA7Uy
「まあ、人様の家庭の事情に他人のあたしが首突っ込むのもアレなんやけどさぁ」
「ううん、そんなこと無いよ ただちょっと人には言えない事情というかなんというか…」

 気を使ってくれる友人に申し訳なく思いながら、事の原因を思い起こす


 ―ほんとに、なんであんな事したんだろう…―  


 妹の美樹が学校に出かけたのを部屋の窓越しに確認してからリビングに下りると
 空になったカップとお皿をキッチンで浸し、冷蔵庫からジュースを取り出した。
 中身が少ない、そろそろ買出しに行っておかないと等と考えながらコップに注ぐ。

「ほんとに… なんで俺は、あんな事したんだろうな…」

 一週間前の夜、俺は美樹を泣かせた。  今日、俺は未だに謝れないでいる。

776:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:31:23 aXmfA7Uy
 ここ最近はこのレースゲームの対戦にハマっている。
 今日も何時ものように対戦前のウォーミングアップ、美樹はまだ風呂から上がらない。

 もう暫らくは時間があるだろうから、仕掛け所のコーナーワークをチェックしておこうと
 ショートコースで周回をセレクト、三週周った辺りで美樹が風呂から上がって来た。

『あーーーっ 健にぃまた一人で先にやってるし!』
『ウォーミングアップだウォーミングアップ』
 
 バスタオルを巻いた姿で、濡れ髪から水滴を落としながらテレビの前に陣取り、コントローラーを引っ手繰る。

『じゃあたしもウォーミングアップ、何週やった?』
『三週、つーか先に着替えて来い』

 格闘アクション系だと俺の方が腕は上なのだが、レースゲームではほぼ互角
 負けず嫌いな美樹はまだ両者馴れきっていないこのゲームで差を付けられまいと闘志を剥き出しにしている。

777:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:34:00 aXmfA7Uy
『やっぱここがポイントやね』

 俺と同じショートコースを選び、コーナーワークをチェックする美樹。

 風呂上りでほんのり上気した美樹の身体から石鹸の香りが漂って来る。

 操作に夢中になり、カーブを曲がる時に自分の身体も傾ける癖は相変わらずで
 対戦中はそれで態と身体をぶつけて来たりする。 

 俺が隣に居る時はそうやっていつも壁代わりに凭れて来る、そして俺はそれを肩で押し返す
 何時ものやり取り、兄妹の他愛ない戯れ、 ただ 今日は何時もと少し違っていた。

 バスタオル一枚で隔てた美樹の身体から発せられる香りには、雄を引き寄せるフェロモンでも混じっていたのか 
 俺は美樹の体温に惹かれ、香りに痺れ、肌理の細かい肌に目を奪われ、僅かに覗く胸の谷間に意識を囚われていた
 
 そして、得意げに振り返る美樹の笑顔。 その桜色の唇に、気が付けば吸い寄せられていた。

778:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/27 16:35:11 Yazky7BW
っC

779:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:36:52 aXmfA7Uy

 最高ラップを更新して「どうよ?」とばかりに健にぃに笑顔を向ける。

 次の瞬間、唇を奪われていた。

 最初は何が起きたのか判らなかった、唇に柔らかい感触
 健にぃの顔が目の前にあって、息が苦しくて、びっくりして…

 思わずコントローラーを投げ出して後ずさりすると、私の肩を掴んでさらに強く唇を押し付けてきた

 混乱して、頭が真っ白になって、身体が浮ぶようにふわふわして、それが怖くて両手を思いっきり突き出すと
 尻餅をついて呆然とこちらを見る健にぃ、呆然とするのは私の方だ ―キスされた? 健にぃ に?―

 いきなり何でこんな… ムードもへったくれも無い不意打ちで…、いや そもそも何で急に? なにこれ?

 鼻の奥がツンとなって目頭が熱くなって来る、遅れて顔も熱くなって来る、さらに頭も熱くなって来る

780:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:38:53 aXmfA7Uy
『ばかぁっ!!』

 そう叫んでリビングから逃げ出した。

 それ以来、健にぃとは口を聞いていない
 顔すらまともに合わせられない、別に私がその事で健にぃの事を嫌悪しているわけじゃないけれど…

 確かに私の方にもちょっと行動に問題があったかもしれないし
 健にぃもそりゃあ健全な男の子だし、あんな格好でじゃれ付いたりしたから
 その気にさせちゃったのかもしれないし…。

「はぁ…」
「溜息止まらんなぁ? 今ので29回目やで」
「あはは…」

 バスを降りて通学路を歩きながら30回目の溜息を飲み込んだ時、千鶴ちゃんがポンと手を打った。

781:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:41:16 aXmfA7Uy
「みっちゃんさぁ、彼氏作ってみぃひん?」
「は?」

 いきなり何を言い出すのかと振り返るが、冗談を言ってる顔ではなかった。

「あたし彼女募集中の知り合い多いから、イイ男の子紹介するで?」
「いやあ別にあたし、彼氏とかそういう気分じゃないし…」

 千鶴ちゃんはよく他の学校の生徒達と知り合う合コンに出ていて、彼方此方に知り合いが居る。
 
 時々誰かと「付き合ってるの〜」と惚気話を聞かされるけど、暫らくするとアッサリ「別れた」と言って
 また出会いを求め、「合コンよー 出会いがあたしを求めてるのよー」と嘯く恋多き乙女ちゃん。

 多分、本当の恋愛とかじゃなく、遊びの一環なんだろうなぁとは思うけど…。

「だからー、気分転換の意味でも ほら、みっちゃん男の子と付き合った事とかないっしょ?」

782:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:45:10 aXmfA7Uy
「う、そりゃまあ… ないけど、やっぱりそんな気軽にって訳にはいかないし」
「ん〜身持ち堅いなぁ〜 ほんならダブルデートで行こうや」
「ダブルデート?」
「うん、今狙ってる子が居てるんやけどね、その子紹介して貰う代わりにこっちからも一人紹介する約束でー」
「ほほー…」

 呆れた口調で半目を向ける。 やけに熱心に誘ってくると思ったら、そういう事ね。

「お願〜い みっちゃん、協力して〜〜〜」
「だから… あたしはそういうの興味ないんだってば」
「そこをなんとか〜〜」

 拝み倒してくる千鶴ちゃんに、出会いに協力するだけと念を押し、渋々ダブルデートを承諾した。

「まあ、これで気分転換出来たらさ、健一さんとも仲直り出来るかもしれんやん?」

783:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/27 16:48:24 aXmfA7Uy
「ダブルデートと健にぃとの仲直りがどう繋がるんよ…」

 約束をとり付けて上機嫌の千鶴ちゃんに少しばかり脱力しながらごちる。

「みっちゃんもさ、そろそろお兄さん離れせなアカンのとちゃうん?って事や」

 その言葉に、私はドキリとした。


----------------------------------------------------------------
今日はここまで

>>778
支援どもー

784:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/28 02:53:02 wMo4qoCw
おもすれー

785:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:05:44 ZIlUW9g5
 家の前に見覚えのある人物が立っていた。 美樹のクラスメイトで、家にも何度か遊びに来た事がある。

「小野原さんじゃないか」
「あ、健一さん こんにちはー」

 随分とめかし込んだ服装のようだ、軽くメイクも入っていて
 唇に引かれたルージュが水晶のような光沢を出して輝いている。

「気合入ってるね」
「えへへー 今日遊園地でデートするんですよー」
「へー」

 時刻は昼を少し回った時間、今日は休日で空も良く晴れているようだ。

「健一さんは何処かに出かけてたんですか?」
「ああ、ちょっと大学まで忘れ物を取りにね」

786:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:08:06 ZIlUW9g5
 しかし遊園地に行くなら方向が逆じゃないかと問い掛けようとした時、家のドアが開いた。

「ごめーん リボン結ぶのに手間取っ…」 URLリンク(2ch-library.com)

 はたと目が合い、言葉が途切れる。 そしてどちらとも無く目線を逸らす。 今の二人の、何時もの距離。
 
 そんな気まずげな雰囲気に「あやや…」と察するような視線を両者の間に往復させるも
 直ぐに気を取り直して明るい声で美樹を迎える小野原さん。

「よーーし、じゃあ今日のダブルデートにレッツゴーー♪」

 ダブルデートという単語に反応して思わず美樹に目をやる
 成る程、普段見慣れない余所行きの服装に大きなリボンで髪を結いでいる。 

 視線を向けた事に気付かれないよう直ぐに目を逸らし
 そのまま背を向けると、急かされるように家の中へと逃げ込んだ。

787:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:10:18 ZIlUW9g5
 動揺していた。 何故?  美樹がデートする…  誰と?
 そりゃデートなんだからボーイフレンドの誰かだろう、小野原さんには男友達が大勢居る事を知っている。

「落ち着け、俺」

 何を動揺してんだ、美樹だって年頃の女の子だ。 デートぐらい普通にするだろう。
 ― でも 兄とキスしたりはしないよな、普通 ―

 気持ちがズーーンと沈みこむ。  美樹を傷付けた…。

「はあ…」

 ちゃんと謝らなきゃなぁと、罪悪感に苛み
 このまま一生、会話が出来ないのではないかという不安に怯む心に渇を入れる。

「明日…、今週中 ぐらいには謝ろう…」

788:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:12:55 ZIlUW9g5
 遊園地に向かうバスの中、窓の景色をぼ〜と眺める私に千鶴ちゃんが声をかけて来る。

「随分深そうやねー?」
「ちょっとね…」

 千鶴ちゃんが健にぃの前でダブルデート発言をした時
 慌てるのと同時に、健にぃの反応が気になった。 

 どんな顔するかな? とか、どう思うかな? とか、
 何か慌てたり、動揺するリアクションを期待していたのかもしれない。
 
 でも結果は何時も通り…、おめかしした私に目もくれずにさっさと家に入ってしまった。

「まあ、そう暗い顔せんと 折角のデートなんやから、楽しもうや」

 デートって言っても、私はあくまでも単なる協力者、手筈通り事が済んだらさっさと帰るつもりだ。

789:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:15:05 ZIlUW9g5
「初めまして、『端学』の『日高 伸男』言います、こっちが連れの―…」

 遊園地の入り口脇で待ち合わせた男の子達と自己紹介
 家族連れが行きかう入園ゲート前の改札機にはカップルの姿もちらほら見える。

「じゃあ今日はよろしくねー」

 千鶴ちゃんはお目当ての男の子とペアを組んで早速モーションを仕掛けようと自然に手を繋いでる
 手馴れてるなぁと半ば感心しながら、お相手の男の子の事を観察してみた。

 二人とも『坂ノ端学園』というこの街の学園の生徒で、『端学』は略称。 他『学園』と呼ぶこともある。
 私達が通ってる『坂ノ街大学付属高等学校』より後に出来た、比較的新しい学校に通ってるらしい。
 (ちなみに健にぃは私と同じ学校の卒業生で、そのまま大学に上がっている)

「それじゃあ、僕達もいこうか 綾瀬さん」

790:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:17:11 ZIlUW9g5
「あ、はい」

 声を掛けて来た私のお相手、日高さんと並んで千鶴ちゃん達の後に続く。
 休日だから結構人が多く、これなら直ぐに逸れる事が出来そうだった。

 前を歩く千鶴ちゃんは終始楽しそうに隣の男の子と話してる
 本当に楽しんでるって雰囲気が伝わってきて、ちょっぴり羨ましく感じた。

「綾瀬さんはこういうデートとかは初めてなんやって?」
「ええ、まあ…」

 日高さんが気さくに話しかけて来るけど、やっぱりちょっと警戒してしまってどもってしまう。

「ははは そんなに緊張せでもいいよ、気楽に行こうや でも…信じられんなぁ」
「え? 何がですか?」 
「綾瀬さんみたいな可愛い子が今までデートする機会が無かったやなんて」

791:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:20:03 ZIlUW9g5
「え…、ええ!?」
「いやホンマ、周りの男はなにしとったんやっちゅーねんってな ハハハー」

 さらっとそんな事を言って笑う日高さん、この人も手馴れてる? っていうーか…可愛いなんて言われたのって
 同い年の男の子からそんな言葉を掛けられたのは初めてで、思わず顔が紅潮してしまう。

 その後も適当なアトラクションを物色しながら他愛無い会話を続ける。
 もっとも喋っているのは殆ど日高さんで、私は時々相槌を打ったり、質問に答えたりするくらい。

「じゃあ次はあのコースター行ってみよーー」

 千鶴ちゃんから合図が来た。 
 予め決めておいた作戦、千鶴ちゃんが提案したジェットコースターに並ぶ時にペアで逸れるというモノ。

 相手の男の子の手を引きながら急かす様に走り出す千鶴ちゃん。 
 ちらっとこちらに顔を向けると「手筈どおり宜しく」という意味のウィンク一つ。 様になってるなぁ…

792:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:22:14 ZIlUW9g5
 二人の後を追おうとしたら髪を結っていたリボンが解け、拾ってる間に逸れてしまった。 …というシナリオ。

「上手く逸れたみたいやね」
「え? 知ってたんですか?」
「まあ、小野原とも付き合い長いから」

 そう言って苦笑を見せる日高さん、でもそれなら話は早い。

「そうだったんですか、それじゃあ私はこれで失礼しますね」
「えっ ちょ、ちょっとまってーな」

 帰る事を告げて出口のゲートへ向おうとした私の手を掴み、引き止めようとする日高さん
 急に手を掴まれた事に驚いて身を強張らせると、慌てて手を離してくれた。

「ああっ ゴメン、…でもこのまま帰るってのは ちょっと酷くない?」
「え、でも…」

793:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/29 14:23:46 gZHgpmiy
おまえはブログにでもかけよ

794:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:25:06 ZIlUW9g5
 途惑う私に、バツの悪そうな顔をしながら話しを続ける。

「なんか利用するだけしといて、用が済んだらポイっていうかさー」
「でも、私は協力するだけって約束だったし…」
「いや、なんつーか 一応お互いに紹介するっていう等価交換が条件なんやから…」
「…」

 そんな事を私に言われても困る。 だって千鶴ちゃんは出会いに協力するだけでいいって…。

「せめて一緒に食事ぐらいはして貰えないと格好付かないし、哀し過ぎるし…」

 うーん… そう言われると、確かにちょっと可哀想かもしれない…。

「…食事するだけですよ?」

 日高さんの言い分にも一理あるし、利用した事に良心の呵責を覚えた私は食事に付き合う事にした。

795:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/29 14:30:58 ZIlUW9g5
今回ここまで



796:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 07:44:11 OAyBcVjV
 ―翌日―

「みっちゃ〜ん、ここここ〜」

 奥の四人掛けテーブルから手を振る千鶴ちゃん
 今日は学校帰りの寄り道で商店街のファミレスに来ている。

「千鶴ちゃん、今日学校来なかったけど…」
「うん、サボリ」

 困った子だ。

「昨日はありがとうな〜、ちゃんと報告するから」
「いや、別にいいけど…」

 昨日意図的に逸れたあと、千鶴ちゃんは彼と二人で暫らく遊園地を周り、食事を終えて夕方から夜まで公園で散歩

797:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 07:46:55 OAyBcVjV
「以上、報告おわりー」
「え、それだけ?」

 唐突に終わった報告についうっかり疑問の声を上げてしまった、興味なかったのに。

「うん〜、顔も感じも良かったやけどね〜 なんというか今ひとつグッと来るもんがなかったわ」
「ふーん」
「あ〜 もっとイイ男居らんかな〜」

 恋多き乙女ちゃんは贅沢な悩みに唸っている。

「んで、みっちゃんのほうはどうやった?」
「え? あたし?」

 私の方は手筈通り逸れた後そのまま帰る予定だったのが色々あって、日高さんとの食事に付き合う事になった。
 ただそれだけだ。 その後は恙無く帰宅した。 もちろん携帯番号もメールアドレスも教えていない。

798:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 07:49:06 OAyBcVjV
「え、それだけ?」

 不満そうに私の台詞を投げ返す千鶴ちゃん。

「そうだよ? っていうーか、利用するだけしといて用が済んだらポイなんて酷いとか言われて、それで仕方なく」
「うーん、思いっきり渋々やね、それ…」
「だって最初からすぐ帰るつもりだったんだもん… でもあんな事言われてそのまま帰ったら、なんか後味悪いし」

 千鶴ちゃんのせいだよ〜と暗に批難してみる。 でも返って来た答えは意外な言葉だった。

「むー、みっちゃんのコト元気付けよう思って紹介したつもりやったんやけど…失敗やったか ゴメンなー?」
「う、ううん ちゃんと気分転換になったからいいよ、それなりに楽しかったし」

 そう殊勝な態度に出られるとこっちが恐縮してしまう。 
 軽い子に見られ勝ちだけど、千鶴ちゃんは結構人情深い所があるのだ。

799:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 07:53:53 OAyBcVjV
「日高はまぁまぁ誠実で引っ張って行けるタイプやからね、身堅いみっちゃんには丁度ええかと思ったんやけど」
「そんな事考えてたの? まあ、確かに悪い人じゃあ無さそうな感じはしたけどね」

 昨日食事した後、携帯番号やメールアドレスの交換を断ったらすんなり引き下がってくれた。

「日高がダメでもみっちゃんに合いそうな男の子は何人か知ってるし、みっちゃんも彼氏つくろーや」
「えー 私はいいよぉ」

 夕食前のデザートを食べながらそんな会話に興じる。
 ふいに、千鶴ちゃんが店の入り口の方を指して声を上げた。

「あ、日高や」
「え?」

 釣られて店の入り口に振り向くと、日高さんと並んで店に入ってくる女の子の姿。 
 二人とも同じ学園の制服、坂ノ端学園のブレザーを着ている。

800:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 07:58:22 OAyBcVjV
「おー日高が女連れやー」
「ちょ…っ 千鶴ちゃん!」

 慌てて千鶴ちゃんの口を塞ごうとするも、時既に遅し。

「げっ 小野原! …と、綾瀬さん」
「ん? 知り合い?」

 あからさまに動揺する日高さんにそう尋ねる隣の女の子。
 眼鏡を掛けたセミロングの、千鶴ちゃんとは違った意味で利発そうな印象を受けた。

「知り合いというかなんと言うか、この前連れを紹介した時に偶々知り合った子というか」
「ふ〜ん?」

 日高さんの彼女かな? なんだか誤魔化そうとしてるみたいだけど…。

801:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:00:34 OAyBcVjV
「その子、日高の彼女?」
「ちゃうちゃうっ 全然そんなんとちゃう!」

 臆面も無くそんな事を聞く千鶴ちゃんにぶんぶん首を振って否定する日高さん。

「ほっほう〜 これはまたいい所でネタが拾えたかな〜?」
「オイオイ、勘弁しろよ〜…」

 眼鏡の女の子はニヤリと笑って値踏みするような目を日高さんに向け、日高さんはその視線に恐々としてる 
 そんな二人のやり取りを千鶴ちゃんと私はキョトンとして見ていた。

「とにかくっ この二人とは単なる知り合い! あんま絡むと迷惑になるから、あっち行くぞ ほらっ」

 そう言って二人掛けのテーブル席へと引っ張っていった。

「結構親しそうやね、普通の友達ってとこかな」

802:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:03:07 OAyBcVjV
 千鶴ちゃんが二人の関係をそう分析した。 千鶴ちゃんのこの手の勘はよく当る。

「…」

 単なる知り合い、確かにその通りなんだけど… 
 なんだろう? 微妙に不満というか、がっかりしたような気持ちになる。

 千鶴ちゃんの付き合いでデートして、可愛いとか言われたりして、成り行きで一緒に食事して…
 別にそれだけだと思ってたけど、もしかしたら多少は何か期待してる気持ちがあったのかもしれない。

「ん? みっちゃん、どしたん?」
「ううん、別に」

 私は笑って誤魔化した。  

 その後、夕飯の材料を買いに千鶴ちゃんと別れて商店街へ、健にぃの好きなカレーの材料を買って帰宅した。

803:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:05:27 OAyBcVjV
 お風呂から上がって部屋で髪を乾かしている。  今日も健にぃと話が出来なかった。 
 夕食中、何度か話し掛けようとする素振りは見せたものの、結局会話に至らず。

「あたしの方から何か言った方がいいのかなぁ…」

 以前なら今頃の時間は二人でぎゃーぎゃー言い合いながら対戦ゲームをやっていたのに
 アレから一度も遊んでない。 当然だ、今の私達は会話すら出来ないでいるのだから。  
 …健にぃは遊んでるのかなぁ なんて止め処も無い事を考えていると、ふいに机の上で携帯が鳴った。

「知らない番号だ… 誰だろう? <<ピッ>>…もしもし」
「あ、綾瀬さん? 僕、日高やけど」
「え!? 日高さん?」

 びっくりした、どうして日高さんが私の携帯に電話を…?
 
「今日は本当ゴメン! 一緒に居た連れの子はクラスメイトなんやけどさ…」 

804:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:13:05 OAyBcVjV
 日高さんの話によると、一緒に居た眼鏡の女の子は日高さんのクラスメイトで(智子さんというらしい)
 学級委員長をやっている彼女は学園の情報通で、遅刻やサボリを代価に応じて先生に誤魔化してくれたりもする。
 今日二人で店に来たのはその代価を支払う為だったらしい。

「僕が合コンとか出まくって軟派君やってる事とか、誰と付き合って何回振られたとかいう情報も抑えられてて…」

 有益な情報を得られる変わりに、ネタを握られると非常〜に厄介な相手なのだそうだ。

「だからさ、咄嗟に誤魔化して素っ気無い態度とった事謝るよ、その代わりちゃんと埋め合わせするからさ」
「え、いいよ別にそんな…気にしなくても」

 態々そんな事の為に電話して来てくれたんだ… きっと携帯の番号は千鶴ちゃんにでも聞いたのかも。

「今度近場の商店街でかなりレベルの高い合コンやる事になってるからさ、その枠どうにかして空けとくから」
「えっ あ、あたしそんなっ 合コンなんて…!」
「これから主催者捕まえて交渉するんで、詳細は明日にでも小野原に聞いといて、それじゃっ」

805:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:16:28 OAyBcVjV
「ちょ、ちょっと日高さん?」

 ツーツーだって…。  

「合コンて、私が…?  なんか、ありえへん」

 どうしよう? なんだか強引に約束されちゃった
 交渉して枠空けるとか言ってたし、行かないと日高さんに悪いかなぁ…。

「はぁ…」

 健にぃと気まずい状態が続いてるのに…、合コンなんか出てていいのかなぁ

「…健にぃも誘ってみるとか   って、アホかあたしは」

 速攻で却下。  うーん…ほんとに、どうしよう?

806:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:19:04 OAyBcVjV
綾瀬 美樹に合コン参加の約束を取り付けた日高 伸男は、すぐさま携帯を操作して馴染みの番号を呼び出した。

「はいはーい、どないやった?」
「なんとなく手応えはあったように思う アドバイスさんきゅな」
「うむうむ、みっちゃんは引込み思案な所があるから ちょっと強引なくらいがええと思うンよ」

小野原 千鶴のアドバイスに従って美樹に電話を掛けた日高は、彼なりの勘に手応えを感じていた。

「ああ、なんか染まってなくていい子だよな〜綾瀬さん… 彼女となら本気で付き合えるかも」
「言っとくけどみっちゃん傷つけるようなマネしたら許さへんで?」
「分かってるって」

両者の友人として、互いを良く知る千鶴は改めてそう念を押しておく。
一応、彼女なりに日高の事は信頼しているので美樹の件はそれで納得し、もう一つの本題に入った。

「それで、和哉君の方は大丈夫なんやろね?」

807:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:21:16 OAyBcVjV
今度の合コンにはスペシャルゲストとして『端学のプリンス』を呼ぶ計画があり、千鶴もその彼を狙っているのだ。

「和哉なー… なんとか頼み込んで顔だけでも出してくれる事になったけど…」
「おーっけーーい♪ 良くやった日高!」
「でもなぁ、あいつ もの凄えーシスコンだぞ? 絶対誰の相手もしないと思うけどなぁ」
「ほうほう だったら尚の事、妹離れさせてあげないとねー♪  このあ・た・し・がっ」

大企業の社長の息子、容姿・性格共にランクS、学園内にファンクラブがある程だ、でもって彼女は居ないときた。
色々と悪い噂も聞かれるが、大半はモテない君達の僻みだろう。 正否不明の噂など一々気にするつもりは無い。

「ふっふっふ〜 『端学のプリンス・如月 和哉』君…、ぜーったいモノにしちゃるわ〜〜」
「まあ、頑張ってくれ…」

久々の大物狙いで燃える千鶴に、日高は溜息混じりの声援を送っておくのだった。

808:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/30 08:24:09 OAyBcVjV
今回ここまで

ちょっと練り直しするので次回はだいぶ先になるかも

809:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/30 22:28:24 vszboI+G
>>808
どうもおつかれさまです。
あえて難点を言えば設定とか前振りに凝り過ぎな感が…ね。
トリアーエズ続き待ってます。

810:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/31 04:53:23 fPpSZANs
>>808
お疲れ様です
続き、楽しみにしてます

811:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/31 06:25:30 CbzRgawF
>>809
あっさり風味な方がいいですかね〜

>>810
どもっす
練り直しが終わったので書き上ったら随時上げていきます

812:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:24:25 jMw7K36h
 弾の灯氏・新作乙です。

 そして年跨ぎ作品に時間を掛けすぎた俺が来ました…orz

 続きを投下します。

813:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:26:42 jMw7K36h
 「ところで、レイチェルさんは…」
 「未だ伴角家にいる筈です。ココへは年が明けてから来る予定に
なっています。」
 「なるほど。お友達の家で年越しですか。」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「さぁ今度はレイちゃんの番だよ。」
 「あの…何でこんなにせかす…痛てて…放せくそ…」
 「グズグズしてると年が明けちゃうよ。」
 「そうですわね。虹乃さんの言うとおりですわ。」
 「次はレイちゃんの姫収めだよ♪」
 「お兄様、姫収めですわ♪」
 「ちょっとぉおぉおぉ!!!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

814:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:28:45 jMw7K36h
 「お…おい…き…今日は…安全日なのか…」
 「そんなの知らな〜い♪」

 良く見れば陶酔したかの表情でフランは挿入を続けていた。

 「ボ…ボクだって…ずっと…我慢…してるのに…」
 「わ…分かった…お・・・俺が悪かった…あ…あぁ!!!」

 ついに根元まで飲み込まれた。ついつい俺は後ずさりするが
両肩を握られ逃げられない。

 まずい…この勢いで続けたら絶対に膣(なか)出しに成りかねん。

 「お兄ちゃん…続けないの?」

 俺の迷いを見透かすかのように嬉しそうに耳元でフランが囁く。

815:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:35:23 jMw7K36h
 「く…くそぉ!もう…どうにでもなれぇ!!!」
 「んあぁ!!!」

 もう我慢の限界。俺はフランを押し倒そうとしたが…

 「い…いいの・・・ねぇ?お兄ちゃん…い…いいの?」
 「あ…あれ?ちょ…ちょっと…」
 「あはは…気持ちいいんだ♪」

 逆にフランが押し返す。その雰囲気に呑まれ押し倒されたのは
俺の方だ。

 「キスしちゃえ♪」
 「何…んぐ…」

816:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/31 09:36:21 fy8Xs7t7
リアル遭遇支援
|・)

817:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:38:09 jMw7K36h
 ガッチリと顔を両手で握られ半ば強制的に唇が重ねられる。
大胆にフランの舌が蠢き俺に絡み呼吸がままならない。

 「ん…くはっ…んぉ…おぉ…」
 「お兄ちゃん…何で遠慮するの?」
 「い…いや違…うぐ…ん…」

 いかん…完全に向こうにリードされている。

 「あ…慌て…わ…あ…」
 「えへへ…ねぇ…こんな感じ?」
 「うぉおぉ!!」

 亀頭を弄ぶように膣壁が絶妙な感覚で俺を締め付ける。半ば逃げ腰
な俺の動きを止めるのには必要充分だ。

818:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:41:07 jMw7K36h
 「お兄ちゃん…ねぇ…こ…こう…かな…ん…ん…」
 「こ…これはこれで…イイけど…って違ぁあぁう!!!」
 「じゃあ…もっと…」
 「あぁあぁあぁ!!!」

 戸惑う俺を尻目に加速するフラン。時折大きく仰け反り大きく喘ぎ、
同時に眺めの金髪が俺の顔を掠める。

 「あぁ…こ…この…」

 ここで俺はフランをもう一度抱き上げようと再び両腕を伸ばす。

 「あ・・・あは…お兄ちゃん♪」

 嬉しそうな表情でその手を取りフランが繋がったまま俺を起こそう
とするが…

819:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:43:12 jMw7K36h
 「うぅ…んしょ…きゃあ!!!」
 「が・・・あ・・・あ…」

 フランの悲鳴と同時に膣口がぎゅうぎゅうと締め付けられる。原因
は即座に理解出来た。俺が背中に回した指が髪に引っ掛ったせいだ。

 「あぁ!や…あ…あぁあぁ!!」
 「ぐおぉおぉ!!!」

 締め付けが治まらない。今の動きで偶然にも俺がフランの感じる
場所を突いているらしい。悶える度に腰が振り回すようにガクガク
と大きく揺さぶられる。

 「そ…そんな…あ…は…あ…あぁ!!!」
 「い…いやぁあぁあぁ!!!」

820:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/31 09:45:19 fy8Xs7t7
支援2

821:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:45:22 jMw7K36h
 お互いに痛いぐらいに抱きしめあいながら俺達は頂点に達する。

 「んぁ・・・あ…あ・・・」
 「は…あぁ…あん…あん…」

 長い禁欲生活のせいも有り直ぐに射精が収まらない。果敢にも
フランはそれが終わるまで堪えてくれた。だがやがてそれが終わる
頃には脱力してズルズルと俺に打ち掛かる。

 「あ…お…お、おい…」
 「お…お兄…ひゃん…い…今の・・・す…凄い…」

 朦朧とした表情でフランがかろうじて話し暫く動かない。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

822:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:48:22 jMw7K36h
 勢いに流されたとはいえど、結果として膣内射精に至った事で
俺は少し後悔の念に駆られていた。

 「あうぅ…何で…こんな…何で…」

 俺の心配をよそに我に帰ったフランは全身を丸め顔どころか耳
まで紅潮させていた。太股を滴る俺の精液の事もすっかり忘れて
顔を隠しながら身悶えしている。

 「うぅ…恥ずかしい…。」
 「まぁまぁ…落ち着けって。」
 「いやぁ!」
 「とりあえず…もう一回抱っこさせろ。」
 「あぁん!」

823:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/01/31 09:49:18 CbzRgawF
支援

824:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:50:40 jMw7K36h
 抱き上げたフランの背中をポンポンと叩き赤子をあやすような
要領で暫く落ち着くのを待つ事にした。

 「いや…攻めるばっかりで嫌われてるんじゃないかって心配してた
けど…あれだけお前が夢中に…」
 「いやぁ!もう言わないで!!」
 「だから落ち着けって。あぁ…可愛いぞチクチョー!!!」


 「え?可愛い??」
 「あぁ…さっきのあの姿、とっても可愛かったぞ♪」
 「あ…う・・・あぅ…う…うぅ…」
 「お?おい…ちょっと…フラン…」

 俺から咄嗟に離れ再び蹲り呻きだすフラン。

825:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:53:12 jMw7K36h
 よく考えれば兄妹同然のフランには直接“可愛い”なんて褒め言葉
を使った覚えが無い。どうやら今はそれに過剰に反応しているらしい。
顔が先程以上に赤くなっている。

 「やれやれ…悶えるわ赤くなるわ…まるで烏賊焼き…」
 「う…うるさぁあぁい!!!」
 「あ、そうだ。初詣の帰りにでも食うか?」
 「えぇ?奢ってくれるの??」

 フランの表情が一変・嬉しそうに俺に近づく。相変わらずこいつは
食い物には弱い。

 「その前に…新年おめでとう、フラン。」
 「え?あ…お…おめでとう、お兄ちゃん。」

 既に時刻は0時を過ぎ年が明けていた。

826:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 09:56:04 jMw7K36h
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「お兄ちゃん、レイちゃん、はっぴ〜にゅ〜いや〜♪」
 「おめでとうございます。今年も宜しくお願いします。」
 「お…おめでと…うぅ…もう…出ないぞ…くっそぉ〜・・・」

 「はんぐ いん ぜぁ〜♪」

 「ぎゃあぁ!止め…あ…あぁ…」
 「お兄ちゃん、今度は姫始めだよ。」
 「お兄様、姫始めですわ。」

 「頼む…せめてインターバル…わぁあぁあぁ!!!」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

827:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 10:01:41 jMw7K36h
 よく考えれば双方の両親公認なのだから妊娠したからといって躊躇
する理由は少なくとも俺にとっては全く無い。

 そして今、食べ物の話に釣られ警戒心をあっさり解き屈託の無い
笑顔で俺を見つめるフラン。

 俺が取る行動は唯一つのみ。

 「ん?お兄ちゃん…早く初詣に…え…ちょっと…」
 「さてと…一度出せば…二度も三度も同じだな♪」
 「あ…ま…まさか…」
 「初詣の前に…姫始めといきますか♪」
 「わぁあぁ!さっ…さっきの約束は…きゃあ!!!」
 「おっと…危ない。お前“達”の身にもしもの…」
 「勝手に妊娠したって決め付けるなぁ!」

828:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 10:05:47 jMw7K36h
 逃げる直前にすかさず足首を握りそれを阻止する。もちろん転倒
寸前に受け止めるフォローは忘れない。

 「あと勘違いしてるようだから言っておくが…ぬぉ…とと…こら
そんなに暴れるな!」
 「も…もう読めた…あ…お兄ちゃんの事だから…」
 「日付も年も変わったから、さっきの約束は無事終了。と、言う
事で…もう一回♪」
 「ひ…卑怯者!!!」
 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「いやぁ〜ん、先生、行かないで〜♪」
 「あ…あの…」
 「うぅ〜今からでも…先生の子供になりた〜い♪」
 「はは…困りましたね…これじゃ…」

829:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 10:07:54 jMw7K36h
 酔い覚ましを取りに自宅へ戻ろうと立ち上がったロジャーを悪酔い
した二人が離そうとしない。

 「あぁ…母さん。すまないが…」
 「はいはい、出番ですね。」
 「申し訳ありません。せめてものお詫びにこちらで車を出します。」
 「気にしなくてもいいのよ。うちは一人っ子だからたまにはこんな
のも悪くないわ。」
 「それでは暫くお待ち下さい。」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 「何だか賑やかな声が…えぇと…確かこの家ですよね?」
 「まさか…あの子達…また…」

830:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/01/31 10:09:03 fy8Xs7t7
支援3 ゲホゲホ

831:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 10:09:57 jMw7K36h


 「笑顔咲ク〜君〜と〜つ〜ながって〜たい〜♪」

 「そのつながるは違う、絶対違…いぃ〜〜やぁ〜〜!!!」



 そして新年初のお説教タイムが始まろうとしているのを俺達は
知る由も無かった。



−−−THE END(?)−−−



832:PC・Drinker ◆BokUNiNIjE
07/01/31 10:14:45 jMw7K36h
 終了。あのドサクサ紛れにあの三人を書いたせいでセルフパロディ
っぽくなったような気も…。

 ちなみにフランシーヌはもう2つネタが有るので機会が有ればまた書く
かもしれません。

 そして>816(=>820=>830)氏、弾の灯氏、支援感謝します。

 感想・リクエストお待ちしています。

833:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:27:35 2ANBaeF1
 部屋に戻って来るなり、ガックリとベットにもたれ掛かる。

「今日も謝れなかった…」

 夕食中、何度か話しかけようと試みたものの結局言い出せず、そのまま食事が終わってしまった。
 中々切っ掛けを掴めない事に悶々としていたが

「何時までもこんなんじゃ駄目だ…」

 やおら立ち上がり、決意を込めた足取りで部屋を出た。 
 しかし、美樹の部屋の前まで来てその足取りは鈍る。 

 時刻は夜の9時を回っており、事が事だっただけに、こんな時間に女の子の部屋に来るのは拙いのではないか?
 扉の前でそんな風に思い悩んでいると、部屋の中から携帯の呼び出し音が聞えた。 反射的に耳を澄ます。
 
 「え!? 日高さん?」

834:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:30:25 2ANBaeF1
 携帯に出た美樹の口から聞き覚えの無い名前が呼ばれる。

 声の感じからして予期せぬ相手だったのか、慌てているような、緊張しているような、そんな雰囲気だった。
 ふいに、昨日の小野原さんが言った『Wデート』発言を思い出し、ついつい耳を欹て、立ち聞きしてしまう。

 「えっ あ、あたしそんなっ 合コンなんて…!」

 合コン!?  

「美樹が合コン?  ありえねぇ…」

 呟いてから思う。TVのチャンネルを奪い合い、対戦ゲームで大騒ぎし合う まだまだ子供だと思っていた筈の妹。
 今まで浮いた話の一つもなく、男っ気もなかった美樹が合コンやWデート… 自分の知らない美樹の姿。
 そんな美樹との間に距離を感じ始めて途惑う自分。 結局、電話の終わりそうな気配を察して部屋へ引き返した。
 
「何をやってんだ俺は…」

835:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:34:16 2ANBaeF1
 *** 

 今日は合コンの日。 あれから千鶴ちゃんに話して参加のキャンセルを頼もうとしたけど
 千鶴ちゃんに強く勧められて結局押し通された。 なんだか最近こんなのばっかりな気もする…。

「今日あたし遅くなるから」

 キッチンに居るだろう健にぃに一応声を掛けておく。
 未だに仲直り出来ていないけど、黙って帰りが遅くなったら心配させちゃうしね。

 もちろん合コンに出るなんて事は言わない。 
 そんな事がバレたら絶対「似合わねぇ」って笑われるに決まってる。

 あ… それをネタにして話す切っ掛けにすれば良かったかも…。
 
 そんな事を思いながら、商店街の待ち合わせ場所に向った。

836:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:39:42 2ANBaeF1
 ***
 キッチンでコーヒーのお湯を沸かしている時、玄関から美樹の声が掛かる。

「今日あたし遅くなるから」

 一瞬ドキッとする、未だに謝れないでいる俺は美樹から声を掛けられる事に妙に敏感になっていた。
 率直に嬉しかった。 それから掛けられた言葉の意味を考え、複雑な気分になる。

「…そうか、今日か」

 美樹が合コン…。 やっぱりどうやってもイメージが結びつかない。 「ありえねぇ」というのが感想だが…。
 自分が知らなかっただけで、美樹も普通に今時の女子高生をしていたのだろう。 そう想うと少し淋しい。

「それにしても…」

 Wデートやら合コンやらと、最近になって急にそういった行動が目立ち始めたのは…。

837:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/05 09:42:03 hxIfPtbF
|・)リアル遭遇支援

838:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/05 09:45:25 KRugMr7O
久々にリアル支援〜

839:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:46:08 2ANBaeF1
「やっぱ俺のせいなのかな…」

 あのキスが切っ掛けでそういう事に目覚めたとか?

「…いや、自意識過剰だな」

 自分にそんな大した影響力は無いだろうと自嘲する。
 自己嫌悪と罪悪感に苛まれる環境が続いている為か、どうにも後ろ向きに考え勝ちになっている。

 何時も一緒に居た『兄という家族の男性』と距離が出来た為に、家の外に代わりを求め始めたのかもしれない。

 兄からの卒業、成長の過程によくある話だ。 親離れとか、子離れ、今で言うなら兄離れ…
 常に身近にいる家族からの自立、精神的依存からの脱却。 それは美樹が成長したという事なのだろう。
 それは喜ばしい事の筈、だが…
 
「なんだろうな… この喪失感は」

840:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:48:28 2ANBaeF1
***
「みっちゃ〜ん、こっちこっち〜」
「へぇ〜 綾瀬さんもこういうの来る方なんだー?」

 待ち合わせ場所には千鶴ちゃんの他数人の『女性陣』が集まっていて
 同学年の知ってる子や、学校で何度か見かけた事のある先輩の姿があった
 千鶴ちゃんとよく男の子の話をしている先輩だ。

「結構多いんだね?」
「うん、今日はちょっと多い目かな?」
「綾瀬さんは初めてなん?」

 会場に入る時間まで暫らく雑談をして過していると、『男性陣』の準備が出来たらしく
 幹事さんが呼びに来たので皆の後に続いて会場のお座敷レストランに入る。

 う〜ん、ちょっとドキドキしてきた…

841:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 09:51:14 2ANBaeF1
「ねぇねぇ、和哉君ってさー…」

 会場の大広間に入ってそこで男性陣、女性陣の順に軽く自己紹介。
 その後は自由に飲んだり食べたりしながら気に入った相手とお話して過すフリータイムって事になってるけど
 千鶴ちゃんは真っ直ぐある男の子の所へ行って積極的に話しかけてる。

 なんでも『端学のプリンス』とかって異名を持ってる坂ノ端学園の有名なイケメン君らしくて
 千鶴ちゃんの他にも四人くらいがその男の子を囲っていて、質問攻めにされてるみたい。

「うーむ、流石に和哉も引いてるなー」
「あ、日高さん」

 誰と話すでもなく、オレンジジュースをちびちびやりながら
 ぼ〜ッと千鶴ちゃん達の方を眺めていると、日高さんが隣にやって来た。

「隣、座ってええかな?」

842:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/05 09:57:13 hxIfPtbF
支援2〜

843:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:02:41 2ANBaeF1
 どうぞ、と横に少し動いて場所を空ける。 空けなくちゃならないほど狭くは無いけれど一応気分の問題で。

「どない? 雰囲気にも馴れた?」
「はい、流石に知らない人とは話せませんけど」
「そっか、じゃあ僕と話そう〜」
「ふふ、いいですよー」

 それから暫らくの間、千鶴ちゃん達をネタに日高さんと雑談に興じる。

 カラオケタイムとかあったけど私は参加せず、凄く上手い人も居たけど皆聞いてるのか聞いてないのか
 一応歌が終わったら拍手してやんややんや言ってるけど、歌ってる最中は飲み食いしながら雑談してるし
 そういうモノなのかな? と思ったけど、私は今一そんな雰囲気がしっくり来なかった。

「はっはっはっ なるほど、綾瀬さんは真面目なんやなぁ」

 そうなん…?

844:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:07:52 2ANBaeF1

「それでは、二次会に出席するグループはこちらに集まってくださーい」

予定の時間を少し過ぎてお開きになり、会場になった店の前で帰宅組と二次会組に別れると
其々余韻を楽しみつつ、携帯の番号やアドレスを意中の相手に伝え合う。 宛ら交換会のようになっていた。

「美樹ちゃんはこのまま帰るの?」
「うん、あんまり遅くまで遊ばれへんし」

日高の問い掛けに幾分砕けた口調で返答する美樹。
合コンの間中ずっと日高との雑談に興じていた為か、随分打ち解けた雰囲気を見せていた。

「千鶴ちゃんはー…」
「ああ、小野原なら ほら」

そう言って指差す先で、千鶴が『端学のプリンス』からアドレスを聞き出そうとオネダリ攻撃を敢行していた。

845:弾の灯 ◆a.2VI1eTvE
07/02/05 10:10:02 2ANBaeF1
「他の子はもう皆諦めてるのに、小野原はまだ粘ってるみたいやな」
「うーん、流石は千鶴ちゃん… あ、そういえば日高さんってあの和哉君って人と知り合いなん?」
「うんまあ、一応クラスメイトで少しは喋る方かな? もしかして和哉に興味あんの?」
「え!?違う違うっ 何かあの人だけ他の人より浮いてる感じがしてたけど、日高さんだけ普通に話してたから…」

変な誤解をされまいと両手をぶんぶん振りながら否定しつつ、和哉に感じた異質感を口にする。

「あ〜 アイツなぁ…、最近ちょっと色々あって学園でもかなり微妙な位置に居るんだけど…」

転校してきた日から随分モテては居たそうだが、女性関係等でちょっとした事件があり
今は変わらず好意を寄せる者半分、様子見半分に嫌悪少々という良くも悪くも目立つ存在で

「変に大人びてる部分が在るかと思えば、やたら世間知らずな所があったり、まあ 色々変わった奴なんだ」
「ふーん…」

二人の視線の先では、とうとう根負けした和哉から携帯アドレスをせしめた千鶴がガッツポーズを取っていた。


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5331日前に更新/434 KB
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