【インフル】病気だって擬 ..
[bbspink|▼Menu]
102:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/02 09:37:14 JlxQ4dkS
キモブサウイルスが免疫娘を凌辱とか

103:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/04 17:16:15 c8AXiqeH
>>102
後のAIDSである。

104:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/09 17:48:44 mmPtVVSn
 

105:94
07/02/19 20:49:05 wVpKt4tY
やっとアク禁が解除された!
とりあえず作品書いてみたけど、続きが思いつかんかったから別物にしてしまった。
それでも良かったら貼っていいかい?

106:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/19 21:00:12 RoeN8bIl
>>105
問題ないと思うよ


107:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/20 10:17:41 Xn0fsITR
>>105
是非

108:94
07/02/20 17:03:54 o5Rdq6B5
地下鉄駅から外に出ると、暗い空から雨粒が落ちてきていた。
大学に行く前に見た天気予報では降水確率はそう高くなかったのだが、
いつの間に出来たのか大きな水溜りが路上に点々としていた。
あんな物、信じなければよかった。いっそのこと雪にでも変わってくれれば、まだ救いがあるのに。
寒空から降りしきる大粒の雫は冬の寒さを更に際立たせ、吐く息を白くさせる。
ここにいて雨が止むわけでもない。意を決し、一つ身震いをしてから自宅への帰路を歩み出した。

アパートに着いた時には、服も髪もずぶ濡れになっていた。
できるだけ雨が避けられるように道を選んで帰ってきたのだが、努力は無駄に終わったようだ。
家の鍵を探すため鞄に触れると端から水が滴っていた。鍵が見当たらない。
鍵探しに苦心していると、どこに出かけていたのか隣に住む住人が背中越しに
カバンの中身を覗き込み、傘を振ってから部屋に入っていった。
鍵はたっぷりと水を吸った参考書の下に転がっていた。これからは財布の中に鍵を入れておこう。

109:94
07/02/20 17:06:54 o5Rdq6B5
「駄目だ、風邪ひいちまう。」

ストーブの前で鼻を垂らし、残り数ミリも残っていない灯油の残量を目にして言葉を漏らした。
今日が金曜日だったのは不幸中の幸いか。熱を出しても二日はなんとかなる。
気象庁め。当たりもしない適当な予報を電波に乗せて。当てられないなら予報を出すな。
寒さは確実に体力を消耗させていき、ゾクゾクと寒気が背中を撫で上げた。

「これはいよいよもって危ないぞ。」
「そうね、あなたは風邪をひく。」

……幻聴じゃない……今、確かに女の声が聞こえた。後ろに誰かがいる!
強盗か、はたまたオカルトの類か。気配が音も無く近づいて来ている。
寒いなんて話はどうでもよくなった。今は、この状況をどうするかだ。
声から察するに多分、相手は女だ。幽霊でもない限り接近戦に持ち込めば勝機はある。
凶器を持ってたとしても、押し倒してしまえばこっちのものだ。ここは奇襲するしかない!
気配は今、真後ろに立った。

110:94
07/02/20 17:12:45 o5Rdq6B5
「うわあああああっ!」
「キャッ!」

動きが止まった瞬間を狙って気配に勢いを付けて飛びつく。さわれる。よかった、幽霊じゃない!
暴れる女を強引に押し倒し、なお抵抗する女の腕を力任せに押さえつけた。
高校生ぐらいだろうか?想像より若い娘は、だいぶうろたえているようだ。
黒い瞳が驚きの眼差しでこちらを見続けている。

「そんな…私が見えるの!?」
「えっ?」

何を言ってるんだ、この娘は。もしかして基地外か?そんなことを考えた一瞬の隙だった。
娘が右足を思いっきり蹴り上げ、その足はこちらの股間に見事命中した。完全に不意を突かれた。
娘が放った金的は腕の力を奪い、束縛から逃れた彼女は、
こちらが悶絶する様を見つめながら壁際へと後ずさって行く。

111:94
07/02/20 17:15:15 o5Rdq6B5
「なんで?なんで私が見えるの?なんでさわれるの?」
「何、言ってるんだお前は…。」
「だって、おかしいじゃない!人間が病魔に触れるだなんて!」
「びょ、病魔?」
「…どうしよう…そ、そうか、無視して感染しちゃえばいいんだ!
 相手が変な人間なのは嫌だけど、早く仕事を終わらせて仲間を増やさなくちゃ!」

駄目だこいつ。完全に基地外だ。家宅侵入の上に、言うことが支離滅裂だ。
こんな奴にからまれて、やっぱり今日は運が無い。きっと厄日なんだ。そうに違いない。
遂に目までおかしくなってきたか。基地外娘の周りが歪んで見える。ほら、娘の体が光に包まれて…?

幻覚ではなかった。彼女は本当に光の中にいた。
部屋中の空気が光に吸い込まれていく様な感覚が皮膚を通して伝わってくる。
いや、実際そうなのかもしれない。徐々に光が大きく、黒く変化していく様は、
空気中の何か不純な物を吸収し、膨れ上がっているように感じた。
そう、例えば……病原菌…とか。

112:94
07/02/20 17:20:53 o5Rdq6B5
突如として空気が移動しているような感覚が止んだ。
白光は今や黒い塊となり、渦巻き、中にいるであろう娘の姿は確認できなくなっている。
次第にその黒い塊は小さくなり始め、中心から徐々に娘が姿を現してきた。

ふたたび現れた彼女の姿は、光に包まれる前のそれとは大きく変化していた。
首から足まで全身を包み込む黒のボディスーツ。
黒かった長髪と瞳は、鮮やかな紫へと色を変えている。
そして、頭と尻から生えたスペード型の触覚と尻尾!
子供向けの教育絵本に出てくるバイキンじゃないのか。今の彼女の姿は正しくそれである。

「……えっ!?」
「さあ…覚悟してね。」

紫の瞳が、まっすぐにこちらの眼を見つめてる。
さっきまでのうろたえた眼はどこへ行っってしまったのか。
今そこにあるのはサディスティックな。それこそ獲物を弄ぶ様な、絶対優位者の眼だった。

113:94
07/02/20 17:26:36 o5Rdq6B5
背中に寒気が走る。寒さから来る悪寒か。それとも、この娘の瞳の所為なのか。
立ち上がることが出来ない。頭の中身がハンマーで殴られた様に揺れている。
まるで…風邪をひいた時みたいじゃないか。こいつ、本当に風邪の…。

「立てないんでしょ。頭もグルグル回ってるよね。」
「お前、まさか本当に…。」

ゆっくり、ゆっくりと娘がこちらに向かってくる。全身から滲み出る威圧感。
突き刺る冷たい視線。抵抗する力が出ない。目が逸らせない。加速する脈拍。
もはや後ずさることしか出来なかった。

「諦めなよ。寒さで弱った身体じゃ、私から逃げられないよ。」

気づけば台所に追い詰められていた。こんな狭い所じゃ逃げられない。
獲物を追い詰め、満足そうな眼で見下ろす病魔。意識が朦朧としてくる。
背中が背の低い冷蔵庫にぶつかった。もはや隠れる場所すら無い。

114:94
07/02/20 17:29:00 o5Rdq6B5
……冷蔵庫?

……あっ!アレがある!
そう、確かあれは冷蔵庫の扉ポケット。大学のレポート対策用に買っておいた筈だ。
もし、こいつが本当に風邪菌ならアレが効かない筈が無い!
震える手で冷蔵庫を開けると、そこには鈍く輝く茶色の小瓶が!

「あった!ユ○ケル黄帝液!」
「えっ、栄養剤!?や、やだ!やめなさいよ!」

やめるかバカ。
黄色い蓋に力を込めて、グルリと一回転。キリリッという心地良い音が台所内に響き渡った。
あの、なんとも呈し難い独特の香りが茶色の瓶の飲み口から上がってくる。
これを飲んでどうなるのかわからないが、この娘のうろたえ様を見ると悪い方には転がらないだろう。
それこそ某CMのファイト一発っぷりを凌駕する勢いで、瓶を口に近づけた。
お願いだ。状況を好転させてくれ!

115:94
07/02/20 17:31:45 o5Rdq6B5
「あっ、ああぁーーーっ!」
「きゅぅ〜〜〜〜っ、ぷはっ。」
「の、飲んだ…飲んじゃった…一滴残らず!」
「へへへ…ざまあ…みろ…。」

…遅かったみたいだ…意識が遠のく…。風邪菌娘が落ちた瓶を握り絞めてこっちを見てる…。
なんだ…結構、可愛い顔してる…じゃないか…こい…つ……。

… … …

気がつくと空に月が昇っていた。
雨はいつのまにか止み、ベランダの手すりに雨水が光っていた。
意識が定まらない頭で居間に大の字で仰向けになり、さっきまでのことを思い出す。蛍光灯がまぶしい。
台所で風邪菌娘と死闘を繰り広げていた…ような気がするが、そんな形跡は何処にも無い。
夢だったんだ、きっと。病魔だかなんだか知らないが、そんな奴が居るわけないだろう。

116:94
07/02/20 17:34:42 o5Rdq6B5
「とんでもない悪夢だった…。」
「夢じゃないっ!」
「うわあああぁ!!」

蛍光灯の明かりを遮って、あの風邪菌娘が顔を覗かせた。
こ、こいつ、本当に居やがったのか!クソッ、往生際の悪い奴め。
倒れてる間に出て行けばよかったのに、なんでまだ家の中に居るんだ!

「あんたが栄養剤で抵抗力つけたから、感染失敗しちゃったじゃないの!
 どうしてくれるのよ。媒体が無いと増殖できないじゃないの!」
「知るかそんなこと。他の奴にでも感染しろよ。」
「嫌よ!なんか、尻尾を巻いて逃げるみたいじゃない!」
「逃げろよ。実際、尻尾も持ってるじゃないか。」
「!!…ゆ、許せない!絶対、あんたに感染してやる!」

117:94
07/02/20 17:36:57 o5Rdq6B5
しまった。火に油を注いだか。

「風邪の病魔はしつこいのよ!あんたなんて、私の培養槽になればいいのよ!」
「うるさい!出てけ!」
「イヤッ!居座ってやる!」
「俺の座布団に座るな!風邪菌の癖に炬燵に入るんじゃない!」
「ふんだ!この座布団を私の物にしてやる!」
「うわっ、なんだその黒い塊!何してるんだやめろ!」
「ふん、もう、この座布団は私の菌で一杯よ!座ったら風邪ひくわよ?」
「冗談じゃない!やめろ、尻尾を振って勝ち誇るな!」

こうして、自称風邪の病魔に付きまとわれることになってしまった。
こいつ、本当に感染するまで居座るつもりだろうか。ああ、駄目だ…頭が痛くなってきた…。

118:94
07/02/20 17:38:07 o5Rdq6B5
とりあえず、こんなもんでいい?

119:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/20 17:41:38 8cwRGtaV
>>118
オケおけ キャラ的にはただのアデノウイルスとかその辺でいい?

120:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/20 21:31:23 snVNie6k
なにこの良スレ

121:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/21 00:48:51 PciUTYsF
>>94
goodjob

病気って物凄くマイナスイメージあるから萌え擬人化するのは大変だな。

122:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/21 17:42:08 fS+qbjPK
漫画の神様も結核菌を萌え擬人化してんだぜ。しかも菌と人間のラブロマンス。
魔物娘スレでも言われてたけど、ほんと節操の無い神様だな。良い意味で。

123:94
07/02/21 18:21:07 o+vVLinK
>>119
菌の名前とか特徴がわからないから病気の擬人化。
スレタイも病気の擬人化だし。

>>122
38度線の怪物だっけ?


好評だから出来てる分だけ続き貼り付けるよ。
これ以降は、もう少し待ってくれ。

124:94
07/02/21 18:23:01 o+vVLinK
風邪菌娘が家に居座ってから丸一日。未だにこいつとの攻防は続いていた。
奴はベッドでも菌を培養し始めて、それ以来ベットは占拠され昨夜は床で寝ることになった。

こいつが居座ってからの間、一秒も気を抜くことが出来なかった。
隙が出来ると、こいつは色々な手段で身体を弱らせようとしてくる。
この一日だけでも、ベッドを奪われ、ベランダに締め出され、
背中に氷を放り込まれ、灯油を捨てられ、風呂に水を張られ…。
あぁ、今も炊飯器の中に自分の菌を放り込もうとしてる。

「やめろ。お百姓様に失礼だろうが。」
「放せー!こうすれば、確実に体内に入るでしょ!」
「駄目だ。お前、農家の人に申し訳ないと思わないのか?」
「うっ、う〜…。」

振り回していた腕の動きが止まり、炊飯器から離れた彼女は不機嫌そうにベットに腰掛けた。
変なところで良心が働いているらしい。枕を抱きしめながらこちらを睨む姿が妙に笑えてしまう。

125:94
07/02/21 18:24:40 o+vVLinK
…この娘は本当に病魔なのだろうか?確かに、目の前で突然姿を変えたり、
変身した後の瞳に見据えられると頭がグラグラしたり…思い当たる点は沢山ある。
でも見た目は普通の女の子だ。人間離れした行動を取ってはいるが、やっぱり人間臭い。
そんな部分が、彼女を病魔という印象から遠ざけているのだろう。

「あんたが風邪をひけば万事解決するの!感染させてよ!」

風邪菌娘は口を開くと悪態ばかりついていた。
昨日から一晩中「感染させろ」「出ていけ」の押問答ばかりを繰り返している。
病魔というからには、人間にまとわりついて病気にするのが役目なのだろう。
娘は職務を忠実に果たしている。しかし、人間側としては易々と感染されるわけにはいかない。
そして、そこに衝突が起きる。至極当然のことだが、ずっと口喧嘩しているのも正直、疲れてきた。
彼女は疲れないのだろうか?娘は親の敵でも見るような眼つきで睨み続けるばかりだった。

126:94
07/02/21 18:26:01 o+vVLinK
このまま膠着状態を続けるのは精神衛生上、良くない。
互いに理解しあう必要がある。まだ彼女の名前すら聞いてないじゃないか。
そうだとも「お前」「あんた」で呼び合っていて、良い関係を築けるはずがない。
まずは、ここから改善すべきだ。そう、この風邪菌娘に快く退室してもらうために!

「なぁ、その『あんた』って言うのやめてくれないか?」
「あんたは私の獲物でしょ?獲物に名前なんて必要ないじゃない。」

ひ、一蹴りされた…こいつ…人が下手に出てやれば!
いかん、ここで怒ったりしたら全てが台無しだ。また口喧嘩の押問答が始まってしまう。
あくまでも穏便に、紳士的に接しなければ。相手が病魔だとしても、誠意は伝わる筈だ。

127:94
07/02/21 18:26:45 o+vVLinK
「……じゃあ、お前の名前は何て言うんだ?教えてくれよ。」
「名前なんて無いわよ。」
「名前が無い?」
「私は病魔だもん。同じ兄弟姉妹が何億、何兆の単位でいるから一人一人に名前なんて付けない。
 もっとも、名前があったとしても獲物のあんたには教えないけど。」
「ふーん、名前が無いのか、お前。」
「病の世界ではそれが普通なの。」

なるほどね。病原菌だから仲間が多いのは当たり前か。
だからと言って、ここで食い下がるわけにはいかない。
初めて作れたコミュニケーションの場だ。折角のチャンスを離してなるものか。

128:94
07/02/21 18:28:20 o+vVLinK
「じゃあ、名前を考えないとな。」
「いらないわよそんなの。人間って名前が無いと意思の疎通も出来ないの?」
「そう言うなって。そうだな…風子…なんてどうだ?」
「うわ、安直…オリジナリティーの欠片も無いのね。やっぱり名前なんていらない。」

…どこまでも可愛くない奴め。一度、人類の本気を見せ付けてやろうか?
そうだな…栄養剤であそこまでビビったんだ…アルコールでもかけてやれば……。

………今、とんでもない想像が頭の中に広がった。
アルコールをかけられた娘が、悲鳴をあげながらドロドロに溶け始めて…。
駄目だ!それは駄目だ!未知との遭遇で済む事が、インディペンデンス・デイになってしまう!
そ、そうだ、紳士的にするんだった!日本人は怒らない!

129:94
07/02/21 18:30:34 o+vVLinK
「…そ、そうかな。結構、可愛いくないか?呼んでみるか?風子〜?」
「そんな名前いらないってば!」
「ツンケンするなって。なっ、風子。」
「うるさ〜い!私は風邪の病魔なの!名前なんて無いのよ!」
「だから風子って名前を付けたんだろ。名前が無いと不便だろ?」
「なんで私が、人間『ごとき』に名前を付けられなきゃいけないのよ!」


              ……限界。


その後、一時間に渡って人類の威厳を賭けた口論が続いた。
アルコールこそ出さなかったものの、その怒声はアパート住人の反感を買うこととなった。
風邪菌娘はこっちを睨みっぱなしだ……もう許してくれ。

130:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/21 23:54:31 fS+qbjPK
>>94
続きモツカレ。

俺もSS書いてみようかな。物語なんて書いたこと無いけど。

131:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/21 23:57:54 sq8C0hFj
>>130
書け書け 書かなければ何事も始まらない
たまには自分の中にある衝動を文章にしたためてみるのも面白いぞ

132:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/22 03:13:27 z3Ede0kr
ただ、投稿する前に自分で
1日置いてから読んでおいたほうが良い
それと嗜好を分かってもらえるような
知り合いがいればそいつにも一度読んでもらっとけ

叩かれても良いなら 別にやる必要はないだろうけどな

133:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/22 10:51:37 sDRb0Pq2
まぁひどい叩かれ方をされてもちゃんとその中身を見極めて精進すればいいと思う

134:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/24 20:00:53 9bEv2hY4
URLリンク(kasamatusan.sakura.ne.jp)

二年以上逃げたら負けかなと思ってる。
てかこのスレまだあったのか。。

135:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/24 20:19:18 2GWEL91I
>>134
ピロリ菌?

136:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/24 22:15:17 9bEv2hY4
乗り物はピロリ菌を意識。その他設定無し。
元々菌に顔は無かったが、顔を描いただけでグッと良くなった。擬人化恐るべし。

137:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/24 22:44:10 2GWEL91I
>>136
やはりそうか トン

138:94
07/02/25 21:15:39 H9n95EX6
風邪菌娘が来てから二回目の夜。
口論の末、彼女との間にある亀裂は修復不能な大きさになっていた。
対峙して壁に張り付き睨み合い続けて30分。もはや怒りの限界点だ。

この風邪菌娘、可愛い顔してるくせに酷い跳ねっ返りだ。
心底、人間を馬鹿にして自らを増やすための媒体としてしか考えていない。
人間と病原菌の間に友好関係は生まれなかった。
人類誕生以来の敵同士だ。それが当然なのかもしれない。

「待ってよ、どこ行くの。」
「出て行くんだよ。お前と一緒に居たくない。しばらく家を空けてやるから、
 頭を冷やして気が済んだら出てけ。次、帰ってきた時にまだ家に居たら…覚悟しろよ。」
「諦めないわよ。絶対に感染してやる!」

139:94
07/02/25 21:17:33 H9n95EX6
こんな啖呵を切ってみたものの、何か考えがあるわけではない。
絶対に感染してやる…か。もし、本当に彼女が出て行かなったらどうする?
いっそのこと風邪ぐらいひいてやればいいのか?
いや、やっぱり家から叩き出すのが最良の選択か?
クソッ、意地なんて張らずに別の奴に感染すればいいのに。

思慮を払うように力を込めて家のドアを開けると、隣家の住人がアパートの
階段を昇ってきていた。また、どこかに出かけていたようだ。
眼が合った。と、同時に話したことも無い隣人が口から言葉を発する。

「さっきの喧嘩、うるさかったよ。もっと静かにしてくれ。」

なんのことはない、文句を言いたかったらしい。人がイライラしている時に…。
……えっ?喧嘩がうるさかった?

140:94
07/02/25 21:19:42 H9n95EX6
「女の子と喧嘩なんてしちゃいけないよ。優しくしてあげなよ。」

なんで『女の子』と『喧嘩』をしたって知ってるんだ?
人間には、病魔を知覚できないはずじゃなかったか?
普通の人間にも病魔の声は聞こえるのか?

「あぁ、その子か。可愛い子だねぇ。」

隣人の視線を辿ると、家の中で彼女がへたり込んでいるのが見えた。
隣人との会話を聞いて事の重大さに気づき、様子を見に来たのだろう。
そう、この隣人には娘の姿が見えている!病魔である娘の姿が!

「す、すいません!以後、気をつけますんで!」
「女の子をいじめちゃ駄目だよ?わかってるの?」
「ゴメンなさい!用事があるんです!すいません!」
「おい、ちょっと…。」

141:94
07/02/25 21:20:55 H9n95EX6
隣人の声を遮り、無理やりに玄関のドアを閉める。
隣人は何かブツブツ言ってるようだが、すぐにその声も止み、
隣家のドアが閉まる音が玄関越しに聞こえてきた。
風邪菌娘から、さっきまでの威勢は消えてしまっていた。
彼女の表情は明らかに何かに困惑している。

…この風邪菌娘と初めて会った時、こいつは確かに「なんで私が見えるの?」と言った。
だから今の今まで、自分が病魔の姿を見れるようになったとばかり思っていた。
しかし、隣人は病魔である彼女の声を聞き、姿を目視することができた。
行き当たる答えは一つ。大切なことだ、彼女には酷かもしれないが聞かなければならない。

「なぁ、今まで病魔を見ることが出来るようになったと思ってたんだけど…。」
「………。」
「お前が…人間に見えるようになったんじゃないか…?」
「もう…わかんないよ…。」

142:94
07/02/25 21:21:50 H9n95EX6
それからは全く会話にならなかった。彼女は何を言っても返事をしなくなった。
相も変わらずベッドからこちらを睨みつけて、有無を言わせない姿勢を取り続けている。
だがその姿はどこか頼りない。ベッドの上の彼女の姿が酷く小さいものに見えた。

今日はもう寝よう。
照明スイッチを切り、冷たいフローリングに寝そべって体を毛布で包む。
時計が音を刻む暗い部屋の中、彼女はまだこちらを睨み続けているようだ。
……一体、どうしろっていうんだ。

143:94
07/02/25 21:28:23 H9n95EX6
第三話だよ。

>>134
ミュータンス菌の人だよね?
しばらく見ないうちに画力が上がったね。GJ。


144:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/26 04:27:35 vQIpSek0
>>94GJ!

145:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/27 00:12:57 t2BSSCSQ
>>94
画力なんて全く上がってませんぜ?
そんなことより3話目GJ。

にしても、このスレって常駐どれくらいいるんだろうか‥‥
URLリンク(kasamatusan.sakura.ne.jp)

146:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/02/28 01:45:15 KJl6Cv1l
>>145
とりあえずお気に入りに入れているから最低一人入る
でも色々と用があったり実家に帰って足りするとPCがアレなので見たり見なかったり…

147:94
07/02/28 13:31:27 AizMb0VF
俺もいるでよ。もう虫歯菌を描かないの?

148:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/01 23:06:01 amDav3uW
描いたよ。ベタ塗りだけど。
URLリンク(vista.crap.jp)

前の2枚も色塗ってみた。
URLリンク(vista.crap.jp)
URLリンク(vista.jeez.jp)

149:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/01 23:34:14 amDav3uW
スマン。張りなおし。
URLリンク(vista.jeez.jp)
URLリンク(vista.jeez.jp)
URLリンク(vista.jeez.jp)

150:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/01 23:57:36 z7jhTGEo
エイズは1日に数十数百人を相手にする肉便器キャラって感じ。
当然やった相手はエイズに感染してほぼ確実に死にます><

151:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/02 18:14:51 Gfi81CzJ
でもエイズウイルスで死ぬのではなく
エイズウイルスにより堕落し働かなくなった免疫系を尻目に
破壊活動をおこなう細菌とかウイルスにより亡くなるのであった

152:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/02 21:57:24 VMXkmSlf
要するにエイズウイルスたんは
免疫娘を美味しく頂くドSの百合娘であると

153:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/02 22:51:29 dAEg6vlD
>>149
病気のくせにやけにパステルだなw

154:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/03 08:35:10 gYXfvJiJ
>>151
そりゃ周知の事実だろうがエイズ感染者の死亡率は高い。そういうことだ。

155:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/09 14:15:54 vm85mhRo
保守

156:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/13 02:54:34 PQ6QuN7O
4枚目。どんどん手抜きになってる気もしないでもない。
URLリンク(vista.crap.jp)

157:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/13 14:37:15 a1ffYW6s
>>156
描きやすいのが一番じゃないか…

158:94
07/03/16 21:07:54 Mr0jcoqY
横になってから、どの位の時間が経ったのだろうか?
無言のまま風邪菌娘の冷たい視線を背中に受け続け、眠りにつくこともできずに
暗い部屋の壁を見つめ続けていると、時間の感覚がなくなってくる。
僅か数分間なのかすでに数時間なのか、そんなこともわからない。
規則的に刻まれる時計の音が、狂った時間感覚を更に混乱させていた。
彼女は眠らないのだろうか。いつまで睨み続けているつもりだろう?

「……うっ。」

シンと静まり返った部屋の中に、突如として小さな声が響いた。
なんだろう、風邪菌娘が嗚咽を漏らして……泣いている?
あの跳ねっ返りが泣いているのか?

顔を見たわけではないが、時折聞こえる押し殺したような嗚咽が、
状況判断に十分過ぎる確証を与えていた。間違いなく彼女は泣いている。
冷たく睨み悪態を吐いて、ひたすら嫌な奴に徹していたあの風邪菌娘が涙を流している!

159:94
07/03/16 21:09:02 Mr0jcoqY
「…ひくっ…うぅ…。」

…不安なんだろうな、無理も無い。
彼女は最大の武器である隠密性を失った状態で一人、人間の世界に放り出されてしまった。
姿が見える状態では、警戒されて人間に感染するのも難しいだろう。
もし、このまま家から叩き出されたら、行くあての無い彼女は一体どうすればいい?

良心に同情と罪悪の念が押し寄せてきた。優しさが足りなかったのではないか?
いくら病魔とはいえ、女の子を怒鳴りあげて追い出そうとするなんて。
そうはいっても、こちらとしても襲われたりしてるわけだし…。
人間に見えるようになったなんて事情も知らなかったわけだし…。
だからといって、あんな可愛い女の子が右も左もわからない世界に放り出されたら、
どうなってしまうか想像できるだろう?それこそ悪い人間に捕まりでもしたら!

「……起きてるの?」

160:94
07/03/16 21:09:45 Mr0jcoqY
突然、思考を遮って彼女が涙ぐんだ声をあげた。狸寝入りがバレたか。
良心の葛藤が体から滲み出してしまったのだろうか。
寝返りを打ち視線を上に向けると、初めて彼女の泣き顔を確認できた。
切れ長の目尻から涙をこぼし、その雫を拭おうともせずに彼女はこちらを見つめている。

「えっ、あぁ…うん。」
「マヌケでしょ?散々あんたのことを馬鹿にしてきて、その結末がこんな事になるだなんて。
 人間には見つかる、感染にも失敗する…オマケに仲間の姿も見えなくなっちゃった…。」

話す彼女の頬を涙が伝うたび、罪悪感がより一層大きくなって良心を攻め立てた。
幼少の頃から『女の子を泣かしてはいけない』と教わり続け、それを忠実に守り続けてきたつもりだ。
しかし今、自分のせいで目の前の女の子が泣いている。それが衝撃的でならない。
彼女の涙一粒一粒が心に鋭く突き刺さり、自虐的になった言葉は悲壮感を際立たせた。
何より彼女の震える肩が華奢で、小さくて、弱々しくて。
今にも崩れて無くなってしまいそうなその姿が、同情心を激しく揺さぶっていた。

161:94
07/03/16 21:10:38 Mr0jcoqY
「私なんてこの程度よ、所詮は風邪の病魔だもん!弱った人間にしか感染できない、
 栄養剤一本で簡単にやられちゃうような、人間の脅威にもなれない存在よ!」

頬を高揚させた彼女が、出会ってから一番の狼狽を見せた。
信じられない、これがあの自信満面で生意気全開の跳ねっ返り風邪菌娘か?
肩で息をして苦しそうな呼吸を整え始めた彼女の瞳が、何かを決心したような光を帯びていた。

すると突然、彼女は抱き絞めていた枕を投げ捨てベッドから立ち上がり、
頬から流れる涙を片手で拭い去って、廊下の方へと足を向け始めた。

「おい、どこ行くんだよ。」

返事は無い。だが、どこに行こうとしてるかすぐに見当が付いた。彼女は玄関へと向かっている。
家から出て行くつもりなんだ。身体を包んでいた毛布を蹴り上げ、彼女の後を追って立ち上がる。
と、その瞬間、一つの思慮が脳裏を駆け抜けた。『これでいいんじゃないのか?』

162:94
07/03/16 21:11:14 Mr0jcoqY
彼女は風邪の病魔だ。人間を忌み嫌って馬鹿にして、こっちも散々、嫌な思いをさせられた。
数時間前には口論にまで発展して、人間と病魔はわかりあえないという結論に達したはずだ。
そして、彼女を追い出そうと決心した。丁度いいじゃないか、彼女の方から出て行ってくれるんだぞ。
厄介者がいなくなる。罵声を浴びなくて済む。風邪をひかなくて済む。元の生活に戻れる。
望んでいたことじゃないか。なんで彼女を止める必要があるんだ?
そうだとも、このまま放っておけばいい。厄介者がいなくなるんだぞ、厄介者が。

……放っておけばいいのに……なんで、こんなに彼女の事が気になるんだ?

彼女を一人にしてはいけない。助けてあげないと。一緒にいてあげないと。
そんな意思が頭から、体から、腕に、足先に行き渡り、己の全てを侭に動かしていた。
彼女の右手が玄関のドアノブにかかる。駄目だ、出て行かないでくれ!

「痛いっ!何する……えっ?」

163:94
07/03/16 21:11:48 Mr0jcoqY
気付けば彼女の両手をドアに押し付け、立ったまま、覆いかぶさるように彼女と見つめ合っていた。
こんなに近くでこいつを見たのは初めてだ。彼女が潤んだ瞳を大きく見開いて呆然としている。
こんな必死の形相で止めに来るなんて、想定外の事だったのだろう。
彼女の頭から生えた二本の触覚だけが、顔の前でピョコピョコと動いていた。

「い、行くな。出て行くな。」

気まずさの中から捻り出した言葉が裏返る。
まるで自分が自分でないような、誰か別の人間が喋ったのではないかと思わせる声だった。
自分の意識から遠く離れた言葉。何故、そんな事を口走ったのかもわからない言葉。
彼女の涙を見て以来、心のどこかに出来たわだかまりが、自分とは別の思考を持って彼女と接しようとしていた。

164:94
07/03/16 21:12:26 Mr0jcoqY
「な、なによ…散々、出ていけって言ったのはそっちでしょ!」
「悪かったよ。困ってるんじゃないのか?行くあて無いんだろ?」
「今更なに?同情してるの?人間の同情なんていらないわよ!」
「そんなこと言ってる場合か?落ち着いて、よく考えてみろよ。」
「………。」

数瞬、彼女が動きを止めた。そして一つ深呼吸をして、今一度こちらの瞳を覗き込む。
その瞳の奥底にあるであろう本意を見出そうとするかのように、驚くほどまっすぐな視線を向けてきた。
彼女の紫色の瞳に、初めて会った時の寒気が走るようなものは無い。
そこにあるのは本当にまっすぐな、物事の本筋を素直に受け取ろうとする瞳だった。

165:94
07/03/16 21:16:10 Mr0jcoqY
「本当に悪かったと思ってる、事情を知らなかったんだ。 もう絶対に、怒鳴ったりしないから。
 風邪をひくわけにはいかないけど、今の状態が何とかなるまで家に居ていいよ。
 解決する方法を一緒に考えよう。」
「人間の癖に。」
「本当に悪かった。」
「……病魔に謝らないでよ。」

やがて瞳から何かを感じ取ったのか、彼女は視線を床に向け眼を合わせずに口を開いた。

「…人間が怖いのよ、凄く……本当に…本当に居ていいの…?」

彼女の口から飛び出した言葉は震えていた。
肩を振るわせ口に手を当てて、搾り出すようにして放った蚊の鳴くような声。
その言葉には彼女の本音が隠れていた。怖いのよ…と。

166:94
07/03/16 21:17:11 Mr0jcoqY
獲物だ感染だと叫び続けていた彼女の言動の、根源にある物が見えたような気がする。
彼女は人間を恐れている。配慮が足りなかった、よくよく考えれば当然のことじゃないか。
人間は薬で彼女たち病魔を殺す。彼女が人間を恐れるのは当たり前だ。
その恐れが、彼女の人間に対する態度を尖らせていたのだろうか。

「安心していいよ。もう、絶対に酷い事しないから。」

言葉を聞いた彼女が顔を上げる。と、そこには、会って以来つり上がり続けていた
目尻を垂らし、眼から涙をポロポロこぼす彼女がいた。

「うぅ〜っ……人間の…癖にぃ…。」

床にペタリと座り込み泣きじゃくる彼女の涙は今までの物とは幾分、違って見えた。
不安からくる涙ではなく……いや、不安は残っているのかな。
でも、切羽詰った部分が薄れているような、今までのそれよりも柔和で、可愛げのある涙が溢れている。
それから暫く、緊張の糸が緩んだ彼女は、小さな声をあげながら泣き続けるだけだった。

167:94
07/03/16 21:18:06 Mr0jcoqY


… … …


「人間にも変わったのがいるのね。」
「んっ?」

ベットにうつ伏せになった彼女の横で、ベットの縁に寄りかかりながら言葉に耳を貸す。
思い返してみれば、彼女の方から話題を振ってくるのは初めてじゃないか。
語感もだいぶ柔らかくなってきた。少しは心を許してくれたみたいだ。
枕の下に腕を入れて横を向く彼女の頭の上で触覚が動く。その姿が実に可愛らしく、微笑ましい。
さっきまで大喧嘩をしていたのが信じられないほど、穏やかに時間が流れていた。

168:94
07/03/16 21:20:10 Mr0jcoqY
「変わった人間だなって。普通、風邪菌が家の中に居たら嫌がるものでしょ?
 実際、今さっきまで凄く嫌がってたじゃない。なんで突然、優しくしてくれるの?」
「さぁ…なんでだろうな。」
「なにそれ。やっぱり、人間ってよくわからないわ。」

何故、病魔に優しくするのか、正直なところ自分でもよくわからない。
彼女の涙を見て以来、彼女のことが妙に気になってしまう。多分、同情心がそうさせているのだろう。
彼女のことが不憫で可愛そうだから、こんなに気なるんだ。そうに決まってる。
だって、そうじゃなかったら……まるで、彼女に恋してるみたいじゃないか。

まさか。そんな筈がない。そりゃ確かに彼女は可愛いけど…人間じゃない。病魔だ。
人間では考えられないほどに鮮やかで、魅惑的な紫の瞳と髪を持っているし、
頭の上からは触覚、尻からは尻尾が生えてる。こんな人間いるわけないだろう。


169:94
07/03/16 21:21:34 Mr0jcoqY
価値観だって違う。見ろ、あの黒いボディースーツを!
あんなピッチリと体のラインが出る服を着ようなんて、普通の人間は考えない。
精々、新体操選手とストレッチマンが着るぐらいのものだ。
ほら、あんなにピッチリと豊かな胸…が……ゆ、ゆたかな……。

「ねぇ、聞いてる?」
「はいっ!?なんでしょう!!」
「?…あんたの名前を教えてって言ってるの。」
「あっ、名前ね。名前名前……えっ!?」

驚いた。人間嫌いの彼女が、人間の名前を聞いてきた。
『獲物に名前は必要ない』とかなんとか言っていた彼女が、人間の名前を聞いてきた!

170:94
07/03/16 21:22:43 Mr0jcoqY
「そんなに驚かなくても……や、やっぱりいいわ…。」
「いいよ、教えてやるよ。」
「いいの、教わらない!人間は『あんた』のままでいいわ!」
「なんだよ、また意地張って……そうだ、じゃあ、お前の事を名前で呼ぼう。風子って呼んでいいか?」
「またそれ?もう少し、センスのある名前を考えられないの?」

彼女が怪訝そうな声をあげる。やっぱり風子は、お気に召さないらしい。

「なんだよ、やっぱり風子は嫌なのか?結構、気に入ってるんだけどなぁ。」
「別に…絶対に嫌ってほどじゃ……な、何とでも呼べばいいでしょ…。」

彼女は言い終わるなり寝返りを打って、ソッポ向いてしまった。
今や彼女は、尖った耳の先端まで真っ赤にして縮こまっている。
ときおり両手で頭を抱えては、自分の触覚を撫でたり引っ張ったりして…
その手つきが妙に手馴れているのは、多分、それが彼女の癖だからだろう。

171:94
07/03/16 21:23:27 Mr0jcoqY
「そ、そうか。じゃあ、風子って呼んでいいんだな?」

風子という単語が飛び出すと、一瞬、触覚が大きく跳ね上がった。感情起伏が激しい触覚だ。
背中越しに彼女が小さく頷いたのが見える。どうやら合点してくれたようだ。

「わかった、これからよろしくな、風子。」
「…よろしく…ね。」

今まで以上に縮こまる彼女の…もとい、風子の背中。
随分と打ち解けたものだ。緊張がほぐれて落ち着いたのはわかるが、
こうも和気藹々としていると、逆に罠でも張っているのではないかと勘繰ってしまう。
いや、駄目だそんなことじゃ。少なからず、信頼してくれてるんだ。
風子の信頼に答えてあげなくては……。

172:94
07/03/16 21:24:55 Mr0jcoqY
「…ね、ねぇ。」
「うん?」
「手を繋いでくれない?寝てる間に逃げられそうで…その…怖くて。」

そう言って外された手袋から覗いた風子の手は雪の様に白く、絹の様な光沢を秘め、
震えながら握られたその手には、風邪菌とは思えないほどの温もりが…。
……こ、これは……誘ってるのだろうか?

そんな人間の苦悩をよそに、小さな寝息をたてる風子の髪を
カーテンの隙間から伸びた月光が神秘的に照らしていた。

173:94
07/03/16 21:28:13 Mr0jcoqY
第4話だよ。

遅ればせながら虫歯菌GJ。
風邪菌を書き終わったら、次は虫歯かな。
いつ終わるのか知らんけど。


174:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/16 21:48:29 M0+CnfvL
>>94
GJ。次も楽しみにしてます。

5枚目。
URLリンク(vista.jeez.jp)

175:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/16 22:08:40 7uTg6wD+
>>173
>>174
そんな二人にGJ!を…

176:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/16 22:26:22 3EMLMYyz
suge-

177:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/16 22:26:32 w23EGASo
すまん 風邪ひきたくなってきた

ホントにお前らってスゲェわ

178:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/16 22:36:03 wGiTc9HU
こんな良スレ…………ageてやる!!

179:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/17 16:25:22 kWjhFOiT
これは流石に不謹慎
というのも俺が病気だから

180:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/17 18:34:19 QHAMFOUe
不謹慎と言われると頭が上がりません。

181:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/17 20:34:38 EEqKFEIS
兵器を擬人化してる連中もいるぐらいだし。

182:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/18 13:02:04 aBJrwVb5
風邪ひいてケツにネギ先生を頭からブッ挿してるの想像して噴いた
どっかのエロ同人にありそうだが

183:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/18 13:02:43 aBJrwVb5
ゴメン、↑は誤爆

184:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/18 17:56:30 iNfPogLl
>>183
誤爆でも吹いたwww

185:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/18 21:44:18 rvrHOGpw
URLリンク(vista.crap.jp)

おまけ
URLリンク(vista.jeez.jp)

186:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/18 22:22:08 eQyjQILN
虫歯菌の汁まみれエロスエロス!
って、どんな覗き方しれるんッスかwwwwwwww

187:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/18 23:30:25 rvrHOGpw
首が長くて柔らかいんだよっ!1!!

デッサン狂ったってレベルじゃねーな。スマン。

188:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/20 23:45:18 ItVikcLZ
保守。
だけでは味気ないので描きかけの7枚目。
URLリンク(vista.crap.jp)

189:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/23 03:33:17 QCvBARQ5
面白かったんで通りすがりに一枚貼らせていただきますよ。
病気というかピロリ菌なんでスレチだったらスマソ
URLリンク(up.sai5.net)

190:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/23 10:54:42 l2MPPFRB
音速で保存した。アホ毛がピロリ菌ぽくていいな。
この娘になら侵されてもいい。いや、侵されたい!

191:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/23 15:12:30 KMPcUNIk
エロス

192:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/23 19:36:52 w2MfFAc1
>>189
スレ違いなどトンでもない。GJ。

URLリンク(vista.crap.jp)

193:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/03/24 09:42:42 0sRTX/QP
>>94はもっと評価されていい

194:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/03 20:08:12 /uhpQTFo
保菌

195:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/14 22:29:26 OicAfZAW
保菌

196:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/15 14:53:55 2W+ikLNv
もう病気になってもいいや・・・・・。

197:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/15 17:51:45 TuAJMDXq
そんなんアカン
そないなことになったらこのスレの皆が悲しむやんか
ウチらはいつでも>>196のことを見守ってるんやから···

198:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/15 19:09:21 2W+ikLNv
ありがとう・・・。よし!ちょっと栄養剤飲んでくるわ!

199:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/15 21:00:45 iiRHTs7m
あぁ…バイキンたんが逃げて行く…

200:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/16 16:40:10 m7vVd75a
最近、ヤクルトのCMを見るたびに切なくなる。
多分このスレのせい。

201:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/16 23:48:31 b31Engn1
ノロウィルスの擬人化は難しい・・・orz

202:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/17 19:10:49 0B2Cox2Z
保守。

203:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/17 22:32:11 7vth6GHA
>>201
形からは難しいな。
下痢という特徴だけを見れば…エネマシリンジ持ったドS娘とかかなw

204:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/17 22:52:34 Cr7ezTQk
生命力の強さをイメージさせてミリタリー娘とか・・・


205:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/18 20:06:52 ZGvU62l1
保守。


206:94
07/04/23 18:38:22 DarIzOaj
まどろむ頭が朝が来たことを認識するのに、そう時間はかからなかった。
部屋の中が俄かに明るくなり、ベランダからスズメのサエズリが聞こえてくる。
どうやら風子と手を繋いだまま、眠ってしまったようだ。

繋がれた左手の先に、穏やかな顔で眠る風子の姿があった。
それにしても、なんと端整な顔つきをした娘だろう。何度見ても飽きが来ない。
整った輪郭。長いマツ毛。艶やかな唇。どれを取っても非の打ち所が無い。
美少女というのは、こういう娘のことを言うのだろう。

眠る風子の触覚が動いた。この触覚も可愛らしい。
怒ったり、しおれたり、驚いたり、実によく動く触角だ。例え彼女の顔が見えなくとも、
触覚さえ見えていれば、どういった心境にあるのか確実に言い当てる事が出来るだろう。

207:94
07/04/23 18:40:05 DarIzOaj
風子には、これまた可愛らしい尻尾がある。彼女の尻から生えている尻尾は、
リズムでも刻むかのように絶え間なく左右に振られ、その動きは眠っている今も止まっていない。
ベットの縁から20cmほど垂れた尻尾が、活動している時よりもゆっくりと、小さな振り幅で揺れている。
触覚ほど感情の起伏は激しくないようだが、それでも物事にしっかりと反応してみせる風子の尻尾は、
意思を持っているかのようである。彼女の触覚と尻尾は、実に魅力的で印象的だ。

あぁ……勝手に顔がにやけてしまう。降りかかった災いとはいえ、こんな可愛い娘と一つ屋根の下で暮らせるだなんて。
ふとした衝動から、眠る風子のストレートヘアーに指を通してみる。すると紫に輝く髪が、何の抵抗も無くサラサラと
指からこぼれ落ちていった。綺麗な髪だ。彼女の顔つきに良く似合っている。

「ん……んぅぅ……」

208:94
07/04/23 18:41:18 DarIzOaj
一瞬、迷惑そうな顔をした風子が、小さく唸って、ゆっくりと眼を開け始めた。
彼女の睡眠を妨害してしまったようだ。まだ焦点の合っていない彼女の両目が、
クルリと部屋の中を見渡す。この瞬間、風子の中で、昨夜の出来事を総ざらいしているのだろう。
今まさに彼女の頭の中では、ここが人間の世界であることを認識し、自分の置かれている状況を整理しているのだ。

と、ひとしきり部屋の中を見渡した風子の瞳に、僅かな失意の色が浮かぶ。
その瞳から、彼女の考えている事が読めてきた。
察するに彼女は、今までの事が夢であればと期待していたのではないだろうか。
一夜明けたら自分の居るべき世界に戻っていて、全ては悪夢にすぎなかった。
風子はそうなる事を望んでいたのだ。だが、その理想は虚しくも叶わなかった。

一瞬だけ見せた瞳の中の失意は、風子の置かれている状況の全てを表すかのようであった。
そして風子は、聞こえないほど小さなため息をつき、傍らにいる人間と挨拶を交わすのだろう。
病魔にとって天敵であり、獲物でもある人間に対して……だ。

209:94
07/04/23 18:42:18 DarIzOaj
「おはよう」
「おはよう。気分はどうだ?」
「うん、大丈夫」
「……そうか、それなら良かった」

嘘だ、大丈夫な筈がない。風子の瞳に浮かんだ失意を見逃してはいないんだ。
あの表情は元気な時の表情ではない。明らかに気分が晴れない時の表情だ。
できれば彼女を元気付けてあげたい所だが、何か妙案はないものか。

あれこれと思慮を巡らせるうちに、一つのアイデアが浮かんだ。
そうだ……食事だ。彼女と一緒に、朝食を取るなんていうのはどうだろう。
ここ二日間、風子は何も飲み食いしていない。多分、病魔は食事をしないのだろう。
だからこそ人間と会話できる今、彼女に人間の食事を体験させてやってはどうか?
新しい体験は人の心を躍らせる。憂鬱な気持ちも、少しは晴れるというものだ。

210:94
07/04/23 18:44:25 DarIzOaj
「なあ、何か食べたい物はあるか?」
「えっ」
「朝食だよ。二日間、何も食べてないだろう?」
「風邪の病魔は食事なんてしないわよ」

予想通りの反応だ。一瞬『カビ菌の類は物を食べるのでは?』なんてことを考えたが、
風邪の病魔である風子に、その道理を適用するのは的外れだ。
そういえば昔、人食いバクテリアなんてのが流行った時期があったっけ。
あれに比べれば、風邪の病魔は可愛い部類に入るよな、うん。

「折角だし、何か食べてみないか?」
「……」

211:94
07/04/23 18:47:05 DarIzOaj
僅かな沈黙の後、サラサラの髪を揺らしながら、風子の頭が小さく縦に振られた。
いまいち煮え切らない返事ではあるが、提案に同意してくれたようだ。
善は急げと戸を開けた冷蔵庫の中から、卵二個とハム一パック。
そして、余分に炊いて冷凍しておいた白飯二人前を取り出した。
よし、これだけあれば十分だ。風子を元気付ける為も、一肌脱ぐとしようか。

十分後、居間のテーブルに、炒り卵と焼きハムを乗せた皿が二枚並んだ。
風子が皿に盛った炒り卵を睨みながら硬直している。
その表情は、宛ら初めてのバンジージャンプといったところだ。

「どうだ?これが人間の食事だ」
「なにこれ?」
「鶏卵だよ。大丈夫、毒なんて入れてないから。まずは一口食べてみろよ」

212:94
07/04/23 18:48:20 DarIzOaj
ふと、自分が口にした言葉の不自然さに気が付いた。毒なんて入れてないから……か。
うーむ、病魔に対してこの発言はいかがなものか。やはりここは、薬なんて入れてないから……だろうか?
無意識に口走ったことではあるが、妙に気になってしまう。
栄養剤の一件から病魔が薬品を恐れているのはわかるのだが、毒に関してはどうなのだろう?
そういえば会ってすぐの頃、体の周りに黒い光を集めて変身したんだよな、風子は。
あの黒い光は、やっぱり毒の類なのかな。いや、私の菌とか言っていたような気もする。
悶々とした考察を繰り返す頭から、ふと意識を現実に戻すと、眼の前で箸の使い方に
悪戦苦闘する風子の姿があった。あぁいかん、失敗だ。箸ではなく、フォークを準備してやるべきだった。

「まてまて。箸の使い方、わからないか?」
「なんで人間って、こんな使い辛い道具を使ってるのよ」
「難しかったな、ゴメンゴメン。ほら、これ使いなよ」
「まったく……人間って、本当によくわからないわ」

213:名無したん(;´Д`)ハァハァ
07/04/23 19:03:18 5FFw4/Lg
色々お疲れ&お久しぶり

今日はこれは終わりなのか?

214:94
07/04/23 20:05:24 DarIzOaj
すまん、バイバイさるさんだ。今から続き貼ってくわ。


215:94
07/04/23 20:07:37 DarIzOaj
文句を言いながらもフォークを受け取った風子の姿は、ますますバイキンらしく見えた。
人間の勝手な先入観なのだろうが、どうも風子には三又の道具が似合ってしまう。
風子が銀色のフォークを黄色い炒り卵に突き刺し、口元へと運ぶ。流石にフォークの使い方を間違えることはなさそうだ。
と、寸でのところで風子の手の動きが止まった。風子の瞳がどことなく不安そうだ。

「ほら、食べてみ」

その一言で意を決したのだろう。風子の小さな口が開き、フォークの先端に付いた黄色い塊が口の中に飛び込んだ。
モゴモゴと顎を動かし、神妙な顔つきで咀嚼する風子。眉間に何本もしわを寄せるその姿は、まるで彫刻の考える人だ。
と、咀嚼を続ける風子の表情が、徐々に変化を示し始めてきた。オドオドしていた眼が大きく見開かれ、
垂れていた触覚と尻尾は俄かに元気を取り戻した。

216:94
07/04/23 20:09:38 DarIzOaj
「人間って、こんなのを食べてるの……」

風子の右手に握られたフォークが、炒り卵へと伸び、黄色い塊が一口、また一口と風子の口の中へ消えていく。
よかった、感想は聞くまでもなさそうだ。半分に切られた半月型の焼きハムに、風子のフォークが突き刺さる。
そして、何のためらいも無い、実に素早い動きでハムが風子の口の中に入っていった。
風子の顔つきは、起きてすぐの頃よりずっと明るかった。
尻尾もしっかりとリズムを刻んで、その姿は元気そのものだった。

「食べられるか?」
「ちょっと薬臭いかな」
「あぁ、食品添加物の所為だな。肉の加工品には多いんだ。嫌だったら残しても良いんだからな?」
「この程度の量の薬だったら大丈夫よ。風邪の病魔を甘く見ないでよ」

217:94
07/04/23 20:11:39 DarIzOaj
やはり病魔だけあって、彼女は僅かな薬品にも敏感だ。
しばらく彼女と暮らしていく以上、こういった部分にも気を配っていかないとな。
食べ物一つとっても、人間と病魔の間には大きな相違点があるわけか、また一つ学習だ。
考えてみれば、風子のことも病魔のことも、全くと言っていいほど知らないじゃないか。
風子と良好な関係を築く為にも、彼女の事をもっと知っておく必要があるな。
もしかしたら、それをきっかけに、彼女を元に戻す為の糸口が見つかるかもしれない。

そうだ、まずはあの黒い光について聞いてみようか。
風子の意思で動いているであろう、あの黒い光は一体何なのか? 会った当初から、ずっと気になっていた。
この悶々とした謎が解ければ、考えふけるあまり、風子に箸を渡してしまうような失態も無くなるというものだ。
この質問は、彼女自身にとっても有益な結果に繋がることだろう。

「なぁなぁ、風子。ちょっと質問。風子が集めた黒い塊ってさ、何なの?」
「ん? コレのこと?」

218:94
07/04/23 20:13:43 DarIzOaj
フォークを咥えながら呟いた風子が、自身の右手人差し指を立てる。すると、その先に……出た、あの塊だ。
それは、以前に見た時よりもずっと小さく、ウズラの卵ほどの大きさしかない。
更には色も厳密な黒ではなく、どちらかと言うと濃い紫に近かった。
だが、その塊から発せられる禍々しく危険な香りが漂うオーラは、以前と全く変わっていない。
これは正しく、彼女を変身させた黒い塊だ!

「そう、それそれ! 何なの?」
「これはね、菌なの。人間はアデノウイルスとか呼んでるみたいね。他にもあるわよ。
 これがライノウイルス、こっちはコロナウイルス。これはインフルエンザウイルス、人間の世界でも有名でしょ?」

どこかで聞いたような単語が飛び出すたび、順々に立てられる風子の指の上を、濃緑、濃青、橙と、
見るからに毒々しい色をした塊が踊る。その塊はきっと、風子が説明したとおりの存在なのだろう。
要するに菌だ。彼女は、恐ろしく高密度な風邪菌の塊を、指の上に作り上げていたのか!
やっぱり彼女は病魔だったんだ。疑っていたわけではないが、これで完全に納得した。

219:94
07/04/23 20:16:14 DarIzOaj
「これを全部まとめると……ほら、あんたの言う黒い塊のできあがり」

風子が合わせた色とりどりの塊は、混ざり合い、渦巻いて、どす黒い物体へと変化する。
何度見ても良い感じのしない、異様な威圧感を持った菌の塊が、風子の手のひらの上にできあがった。
なるほど、たくさんの色を混ぜたから黒い塊になっていたのか。
言うなればあの塊は、各種風邪菌の詰め合わせパックというわけだ。

「どう? これが病魔の特技よ」
「なるほどね。それって最終的にどう使うの?」
「ふふっ……こう使うのよ」

突如として、対面に座る風子の瞳が怪しく輝いた……ゾクッ……この感覚……ま、まさか?
そうだ、この感覚は知っている。これはあの時の……初めて風子に襲われた時の感覚だ!
嘘だろ風子? まさか……この期に及んで、まだ感染しようなんて考えていたのか!?

220:94
07/04/23 20:20:03 DarIzOaj
「ほら、こうやって人間の体を弱らせる為に使うの……体験させてあげるわ」

テーブル越しに突き出された風子の右手の上で、どす黒い塊がうねりを上げる。
風子は……もとい、眼の前にいる風邪の病魔は、昨夜の一件で心情を変えることは無かった。
そう、彼女にとって人間は、やっぱりただの獲物にすぎなかったのだ。
油断していた。怯える風子と会話をして、手を握って、食事をして……彼女は、心を許してくれたものとばかり思っていた。
だが、それは勘違いだったようだ……やめてくれ、風子……こんなのって……あまりにも酷すぎる!

「やめろ、風子……やめてくれ……」
「……プッ……ククククッ……」

人間の必死な説得に、眼の前の病魔が含み笑いを返す。あぁ、これが勝利を確信した者の余裕なのか。
彼女にとって、人間との会話なんて物は、一時の気まぐれに過ぎなかったんだ。
あぁ、明日は平日だ……大学で試験があるというのに、風邪をひいてはそれもままならない。
グッバイ、環境工学論の単位。ノート持込可の楽勝科目を落とすだなんて……これじゃ末代までの恥さらしだ……。


次ページ
最新レス表示
スレッドの検索
類似スレ一覧
話題のニュース
おまかせリスト
▼オプションを表示
暇つぶし2ch

5069日前に更新/149 KB
担当:undef