【なんでもあり】人外と人間でハァハァするスレ7 at EROPARO
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450:しっぽむすび4/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 01:14:50.81 gXkiVWVi
私は自分の尻尾をゆるく彼女に巻き付かせた。こんなことは初めてなので加減が判らない。
「いたく、ないですか」
「もっときつくてもいいよ」
育った場所で私は尻尾をできるだけ使わないように、巻き付かないようにと言いつけられていた。
今思うと、人間よりもずっと強い力を持っている身体で逆らわれないようにという配慮があったのだろう。
「きれいな尻尾だね」
おせじなのだろうか。
白くてつやつやした彼女の尻尾に対し、真っ黒なだけで模様もなく、
その上皮膚病でがさがさになっている私の尻尾はとても汚かった。
改めて、巻き付いていいのか不安になる。
「黒一色ですごくきれい。蛇人の間では模様がないのが美人だから、きっともてるよ」
そんなものだろうか。この人の方がずっと美人なのに。
そんな人と尻尾をしっかりと絡ませているのだと考えると、すごくどきどきした。
「だから、これからよろしくね、くろちゃん」

私は何と言ったらよいのか解らなかったので、ただ頷いた。
あとで、ありがとうとか感謝の意を述べればよかったと気づいたのだが、頭が回らなかったのだ。
物心つく前から人身売買組織の片隅で育てられ、同族に出会ったこともなかった蛇人の子供である私は、
こんな風に温かく笑う人に会ったこともなかったのだから。

451:しっぽむすび5/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 01:17:51.32 gXkiVWVi
その日のうちに、私は養護施設から彼女の家に移った。
私のいた組織に警察の手入れが入ってから一ヶ月、それからこの施設で暮らしていたが私物はほとんどない。
見送ってくれる人もいない。
施設の職員は私の下半身から目をそらしひきつった笑顔を浮かべたし、
ひきとられている子供たちは怯えた顔で遠ざかるか、
悪口を言おうとした口を職員に抑えられて遠ざけられた。

蛇人は世界的にとても数が少なく、あまり知られていない種族だ。
今でも蛇人は毒のある牙でかみついて子供を丸飲みにすると信じる人がたくさんいる。
そして、ここが重要なのだが、蛇人はとてもお金持ちだ。
三百歳を越える平均寿命で富と知識を築き上げ、彼らの国は世界有数のGDP を誇っている。
そんな蛇人の少女が密かに誘拐され人身売買組織に育てられていたというのは、世界を揺るがす大事件だった。
組織を黙認していた警察官僚は自殺、ほかにも何人も更迭されたり服役したりしたのだ。
もっとも当時の私はなにも知らず、環境の変化に怯えるばかりだった。

自由になりたい、殴られたくない、おいしいものをおなかいっぱい食べたい、
鱗がついていることを馬鹿にしない人たちと暮らしたい。
そんなことをいつも夢みていたけど、とため息をつく。
警察に保護されたあと、私はずっと養護施設の中に閉じこめられたままでいた。
施設の外にはたくさんの記者がいて、私が窓から顔を出すと写真を撮ったりコメントを求めてくる。
施設の人たちは親切にしてくれるけど目の奥には恐れがあったし、尻尾で軽く触れるだけで飛び上がった。
この小さな国はほとんど普通人で占められていて、蛇人をテレビの中でしか見たことのない人ばかりだ。
組織を出ても、私がみんなから嫌われている厄介ものの蛇人であることは変わらない。
なにも変わらない。
彼女に会うまで、私はそんなことを考えていた。

452:しっぽむすび6/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 01:20:11.73 gXkiVWVi
外は驚くことばかりだった。
彼女が自分で運転するミニバンに乗って施設を出たことにも驚いたし

(私たちの下半身の構造上、絶対に車は運転できないと思っていたのだ。
そう言うと彼女は
『普通人だって足が不自由な人がいるんだから、
足が使えない人のための車だって開発されてるんだよ』と笑う。
そう言ってから後ろをちらりと見て、
『この大きさの車でも二人乗りになっちゃうけどね』と肩をすくめた。
私は後部座席いっぱいにおしこめられた私と彼女の下半身が絡まないかと、
胸がどきどきして景色を見る余裕もなかった)

たどり着いた家がすごく大きくて綺麗なことにも驚いた。

私が割り当てられた部屋は大きな窓があって、オレンジの花柄のカーテンがかかっていた。
大きな敷き布団といくつものクッション。
壁に作り付けられた棚以外の家具は折りたたみ式のテーブルだけだ。
「普通人っぽい部屋の方が慣れてるかと迷ったんだけど。どうかな?」
私は部屋の中をぐるりと回ってみて、どこにも尻尾がひっかからないように考えられた部屋なのだ、と感心する。
同時に、こんないい部屋を使っていいのか心配になった。
日当たりがよくて天井も高く、広さは私が組織にいたころ押し込められていた檻の五倍はありそうだ。
その心配が顔に出たのか、彼女は私の頬にふれて微笑みかける。
「もともと余ってた部屋なんだ。この官舎、本当は家族持ち用だから広すぎて」
「ご家族はいないんですか?」
「本国にはいるよ。両親と兄と姉。あ、結婚はしてないけど」
彼女は少し考えこんだ後、口を開く。
「本当は結婚していたり、もっと大人の人がくろちゃんの後見人になれたら良かったんだけど……
蛇人って数が少ないからちょうど良い人がいなくて。
でも、私がんばるから。頼りないかもしれないけどね」
そう言ってまた絡めた尻尾は温かいような心地で、ずっと絡んだままにしておければいいのに、
と私は考えていた。

453:しっぽむすび7/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 01:23:51.24 gXkiVWVi
「まずは、服とお風呂だよね」
というのが尻尾を離した彼女の第一声だった。
「服はたんすにいくつか入れてあるの。サイズが合うといいんだけど」
作り付けのたんすを開けてみると、
シンプルなブラウスやTシャツと共に、ロングスカートが何着か掛けられている。
彼女は鮮やかな色に染め上げられたスカートを取り出す。
「このスカートは私たち蛇人の民族衣装のような感じかな。老若男女、どんな場でも着るものだよ。
身体に巻き付けて、帯でとめるの。と、いうか、その、つまり」
彼女がしどろもどろになる理由が解った。
「……施設で虐待を受けていたわけじゃないんです。
ただ、みんな蛇人の……あそこがどこにあるか知らないし、
『もらった服だとあそこを隠せません』とも言い辛いし……」

そう、実のところ施設で支給された服では私の性器をまったく隠せていなかった。
彼らも悪意はなかったのだと思う。
ぴったりと閉じていれば、性器がどこにあるかなんて、普通人には判らないのだ。
それに生まれてこのかた、性器をきちんと隠せる衣服を支給されたことなどなかった。
裸じゃないだけ、組織にいたころと比べればずっといい。

「くろちゃん」
彼女が眉をひそめているのを見て悲しくなる。
そんな常識のない子供はやっぱりいらないと思っているのだろうか。
「一つだけ約束して。言いたいことや、いやなことは、はっきり言うってこと」
彼女は身体を落として、私に目線を合わせる。
「きっと、今まではそんなこと言ったら、ひどい目にあってきたんだよね。
でも、もうこれからは違うの。
いやなことや、恥ずかしいことはいやだって言っていいの。それにね」
彼女は私の着る、ほつれたシャツに触れる。
「くろちゃんがこれまでいた施設の人だって悲しむよ。
本当はいやなことがあったのに、がまんさせて気づかずにいたなんて」
そうだろうか。みんな私のことを厄介ものとしか思っていなかったのではないだろうか。
「目を合わせて、気持ちをはっきり言うの。そうすればきっと、伝わるから」

454:しっぽむすび8/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 01:25:34.91 gXkiVWVi
そういえば、私はもう長い間、人と目を合わせていなかった。
組織ではずっと目を伏せて過ごし、助けられた後も同じようにしていた。
もしかしたら、誰かが私と目を合わせようとしていたこともあるのかもしれない。
それに気づかずに、私から拒んでいたのかもしれない。
昨日までの私なら、お人好しすぎる考えだと笑っていただろう。
でも今、少し潤んだ瞳で私を見つめ続ける彼女を前にすると、
そういうこともあるかもしれないという気がしてきていた。

「それから、くろちゃんはもう一つ、我慢していることがあるんじゃない?」
そう言って彼女は私の尻尾を軽くたたく。
「尻尾の先まで、きちんと洗ったこと、あんまりないでしょう?」
私は自分の尻尾……がさがさしたかさぶたで斑模様になっている尻尾を、とぐろを巻いて隠す。
そう、上半身はともかく下半身はほとんど洗ったことがない。
組織にいた頃は時折水をかけられるだけで済まされていたし、
そういうものだと思っていたから施設に入れられてからも格別洗おうと思ったこともなかった。
でもそれはきっと、普通の蛇人から見れば不潔で恥ずかしいことなんだろうな、
と縮こまる私の尻尾を、彼女の手が撫でる。
「綺麗にすれば皮膚病だって治るよ。
今日はとことん、身体のすみのすみまで洗いつくすから、覚悟しててね」

この住居の浴室は、私が今まで入った中で一番広いものだった。
なにしろ、私は全身がきちんと入るお風呂に入るのは初めてだ。
組織でも施設でも、私の下半身はシャワールームからはみ出してしまっていたのだから。
その上、ちょっと窮屈ながら彼女も一緒に入れるのだから想像を超えた広さだった。
「蛇人のお風呂って、どこもこんなに広いんですか?」
「ここは割とぜいたくな方かもね。
都会だとお風呂のスペースが確保できないから、公衆浴場に入る人が多いよ」
彼女はちょっと苦笑する。
「外国のバラエティ番組が蛇人国を紹介するとき、だいたい公衆浴場がネタにされるんだよね。
普通人から見たら大量の蛇人が身体を密着させてくねくねしているのが地獄的光景に見えるみたい」
私は今密着している彼女と私の身体を見ながら、その光景を想像しようとした。
そんなにたくさんの蛇人がまず想像できないし、
知らない人たちと身体をくっつけるのはかなり恥ずかしいことなのではないかと躊躇してしまう。

455:しっぽむすび9/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 01:28:01.03 gXkiVWVi
今だって恥ずかしいのに。
私は横目で彼女をうかがった。
ボディソープのボトルを振って中身を確かめている彼女は特に羞恥を感じていないみたいだ。
先ほどの話通りなら、蛇人は他人に裸を見せるのに慣れているから、ということになるのだろうか。
それとも普通人と違って上半身の多くも鱗で覆われているから?
自分の身体もそうだが、蛇人の身体で鱗が生えていないのは顔と胸くらいだ。
それにしても、と私は彼女の胸を見て考えてしまった。
「なに?」
「な、なんでもないです!」
彼女はぷっと笑って胸をそらす。
「当ててみせましょうか?
私の胸が平らなのは、私が特別に平らなのか蛇人という種族が平らなのか、ってことじゃない?」
私は真っ赤になってうつむいた。
視線の先には私のやはり平らな胸がある。
「答えを言うと、これは種族の特徴なの。
蛇人は子育てにあまり母乳を必要としないから、胸が発達しないのね……がっかりした?」
「え、いや、その」
私はなんと答えたものか判らず、首を横に振る。
「私たちは胸が平らなのが普通なんだけど……
外国から文化も入ってくるし、今時の子の間では胸に詰め物をするのが流行ってるみたい。
中には豊胸手術をする子までいるけど、医師としてはおすすめできないな。
くろちゃんは、大きい方がいい?」
「い、いえ、ふつうが、いいです」
「普通が一番だよね」

言いながら彼女はシャワーのノズルを手に取り、蛇口をひねった。
温かな水の粒が彼女の鱗の上ではじけて転がる。
つやつやした鱗は水を受けて真珠のようにきらめいた。
思わず見ほれていると、泡だったスポンジを手渡される。
「ほら、ぼーっとしてないで。私は尻尾の先から洗っていくから、くろちゃんは身体の上からね」
彼女は私の尻尾側に移動し、スポンジを持て余す私をよそに洗い始めた。
彼女の爪がこりこりと私の鱗の間をひっかくのが判る。
私はくすぐったさに耐えられず、尻尾を大きく振る。

456:しっぽむすび10/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 01:31:31.53 gXkiVWVi
「こら、じっとしなさい」
「だ、だって、くすぐったくて」
「我慢」
我慢できない。彼女は跳ね回る尻尾にかじりつき、頭から泡まみれになっている。
黒い自分の尻尾と白い石鹸液の組み合わせがとても卑猥に見えて、私は自分の発想を恥じた。
恩人で、裏表がなく優しくて、その上同性の人でいやらしいことを考えるなんて、いけないことだ。
そんなことを考えていると知ったら、彼女はきっと悲しむだろう。

「もう、元気だなあ。さっきまであんなにおとなしくていい子だったのに」
彼女はびちびち跳ねる私の身体を尻尾で押さえ込む。
下腹から胸にかけて巻き付いた彼女の身体は石鹸水でぬめり、私の身体を泡立たせていく。
「面倒くさいから、このまま身体で洗っちゃおうかな」
さらっとそんなことを言う彼女に赤面する。
蛇人の社会にはないんだろうか。こう、身体で身体を洗う性的サービスって。
私自身も組織で練習はさせられたことがある。
だが蛇人にまきつかれるサービスを好む客がいなかったので、幸か不幸か練習どまりだったけれど。
もしかして蛇人は身体が触れ合っても何とも思わないのだろうか。
私はこんなに、どきどきしているのに。

「もう、くろちゃんも洗わないとだめだよ」
彼女がふりかえって私をたしなめ、私はあわててスポンジで身体をこすりはじめた。
身体が跳ねる。
「あれ、どこか痛くした?」
「な、なんでもないです!」
彼女がまた私の尻尾に専念し始めたのをうかがい、私は息をついて身体をみおろす。
たいらな黒い胸に、小さく主張するような薄紅の乳首。
硬く充血して立ち上がり、スポンジが軽く触れるだけでびりびりと痺れるような部位。
こんな、人並み以下の大きさの胸なのに(蛇人的には普通らしいけど)
こんなときばっかり、と泣きそうになる。
浅い息をつき、泡の中から顔をだす乳首から目をそらして、できるだけ遠いところを洗う。

457:しっぽむすび11/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 01:35:29.04 gXkiVWVi
今までこんな気持ちになったことはなかった。
ほかの組織の子供たちと同じく、私もある程度成長したらいろいろな性奉仕を行うようになったけど、
快感はなかったのだ。膣に挿入されたときでさえ痛いだけだった。
ほかの子供たちが何度かするうちに「感じる」ようになっていくのに、何度やっても痛いだけ。
私は、蛇人はそういう身体なのだと思っていたのに。
どうしよう、どうして、こんなときに。
身体に触れるだけで声がでてしまいそうだが、それでも怒られるのが怖くて、私はスポンジを必死に動かす。
出来るだけ胸から遠いところ、二の腕、首、背中。
でもどこを洗っても快感が胸を尖らせていく。
ほしい、もっときもちよいものがほしい。
胸をぎゅっとしてほしい、わきの下を撫でてほしい、下腹をこすりあげてほしい。
彼女に、それをしてほしい。
私がそんなことを考えているとも気づかず、彼女は背を向けて石鹸を泡立てている。
白くなめらかな背中と丸みを帯びた尻が上下に揺れているのを見ると、猛烈に腹がたってきた。
私はこんなにどうしようもない気持ちなのに、彼女はなんとも思ってない。
ずるい、どうして私だけ、彼女だって、いやらしくなればいいのに

後で考えると、あのときの私はまさしく魔が差していたのだろう。
だが、そんなことに気づく余裕もなく私は身をよじる。
私の尻尾が彼女の平らながら柔らかな胸を、下腹を、そして性器があるべき場所をしめつけ、
こすり上げ始める。
「あ、あの、くろちゃん?」
「なんですか?」
できるだけ無邪気に聞こえるような声を返す。
さきほどまで声を殺すのに必死だったのに、企みを胸に抱いていれば平静を保てる。
私はそんな、薄汚い人間なんだと改めて思う。
「そ、その、尻尾が、へんなところに当たって」
「そうですか?」
私は彼女のあそこをざりっとすり下ろした。
石鹸とは違うぬめりが感じられて動悸が高まる。
「ちょ、ちょっと、離して」
「いやです」

458:しっぽむすび12/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 01:39:34.21 gXkiVWVi
私は尻尾の力を強くすると同時に、二本の腕で彼女の尻尾を抱きしめる。
顔の先でびちびち跳ねる、薄いピンク色の尻尾を見つめていると、なんだか変な気分になってきた。
先端にそっと口づける。
ぴん、と反り返った尻尾に唇を這わせた。
若干見た目が似ているとはいえ、これはあくまで尻尾であって男根ではないのだけど、
勘違いしそうになる。
彼女の尻尾が震えているのは、気持ちよくて射精したくてたまらないから、なんて。
口を開け、先端をくわえこむ。

口淫だけは自信があった。
鱗がある身体を抱きたがる客は少なく、いつもフェラチオ止まりだったからだ。
「おまえはフェラチオだけが取り柄だな」と組織では言われていた。
結局私は、目の前にちんぽのようなものがあったらくわえこむような変態ってことなんだろう。
だって、あごが苦しいのに、ざらざらした鱗が口内を削るのに、嬉しい。
口いっぱいに彼女で満たされているのが、
鱗を舌でなぞり軽く歯を立てるたびに彼女が感じているのが、嬉しい。
彼女の手がゆるゆると私の尻尾をしごきあげるだけになり、
荒い息と押し殺した声を浴室にこだまさせているのが、嬉しくて仕方がない。
胸を、尻を、下腹をこすり上げもみ上げて、互いの身体が飴のように溶けて一つになるような気がした。
自分の中から何か熱くて大きなものがこみ上げてきて弾けるのを、
私は彼女の尻尾を噛みしめながら感じていた。

459:しっぽむすび13/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 01:44:10.67 gXkiVWVi
しばらく腰を弾ませたあと、私は憑き物が落ちたように冷静になった。
熱い蒸気につつまれた浴室で、冷水を浴びせられたような心地だ。
どうしよう。
なんてことをしてしまったんだろう。
絶対きらわれた。きっと追い出される。それどころか逮捕されるかもしれない。
涙でぼやけかけた視界に、ひょいと彼女が顔をのぞかせる。
次の瞬間、ばしゃっと手桶からお湯をかぶせられた。
「ばか、くろちゃんのばか」
真っ赤に頬をふくらませた彼女の顔が目の前にある。
「あ、あんなの、いや、そもそも私も悪いけど、でも、だめだよ」
「……ごめんなさい」
「泣いてもだめ」
頬を引っ張られる。

「だいたい、その、なんで言ってくれなかったの? 本当のこと」
彼女は私の下腹に目をやったあと、すぐにそらす。
私は問いの意味が解らず首をかしげた。
「本当のこと、ってなんですか?」
彼女は真っ赤になり、もごもごとなにかをつぶやいたあと、意を決したように口を開く。
「だ、だって、きみ、男の子じゃない?」
「え?」
私は彼女の視線を追い、自分の下腹を眺めた。
私の女性器はぱっくりと開き、石鹸の泡と白くどろどろした汁にまみれている。
でも、そこに初めて見るものがあった。
女性器からだらりと伸びた、細長い肉筒。
組織でさんざん舐めしゃぶらされていたものによく似ている。
そんなものがなぜか、二本も突き出していた。
「……なんですか、これ?」

頭からすっと血がひいていくような気がする。彼女も私が嘘をついていないことが解ったのだろう。
心配そうな目を向けて言った。
「今まで、一度も見たことがなかったんだね。これは、蛇人の……おちんちんだよ」
「うそ、だって、こんなの、はえたこと、ないし」
「蛇人のは、身体の奥に収容されているの。
だから子供の内は検査しないと男女の区別がつかなくて……くろちゃん? くろちゃん、大丈夫?」
彼女の声が遠く、辺りが暗くなっていく。
まるで穴の中に落ち込むようだと考えた辺りで、私の意識は途絶えた。

460:しっぽむすび14/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 01:48:50.73 gXkiVWVi
ぼんやりとしたオレンジ色の灯りが視界の先に浮かんでいる。
花の形をしたランプだ。壁際の卓に置かれたそれが柔らかな光を投げかけている。
目を上げれば、今日来たばかりの自分の部屋だと判った。もうすっかり日が暮れているらしい。
私はかけられていた布団に頭から潜り込んだ。全部夢だったのだと思いたい。
でも、濡れている髪も、身体に残る石鹸の香りも、現実だ。
私はあそこに手を伸ばしてみた。
今はぴったりと閉ざされ、あんなものが生えている様子はない。
やっぱりあんなの、おかしい。
第一、二本も生えている意味が解らない。

私は裂け目をむりやり開き、指を差し込んでみた。
ほかの場所よりは薄いが鱗が生えている内側が、指を締め付ける。
ほら、指だって入るし、あんなものが入っているスペースなんかない。
あれは幻だったのだ。お風呂でのぼせた頭が見せた、幻。
絡みつく彼女の身体も、石鹸の苦みと汗のしょっぱさが混じる彼女の尻尾も、彼女の甘い声も、全部幻。
そう考えたとき、何かが身体の奥から沸き上がってくるのを感じた。
大きな塊が私の裂け目を降りてきて、差し込む指にこつんと当たる。
とたんに腰に強いしびれが走り、私は思わず声を上げてしまった。
うそだ、こんなの。これはなにかのまちがいだ。
そう思いながらも、指は裂け目の中のそれを探るのをやめられない。
つるんとして丸みを帯びた、果実のようなもの二つ。
それが私の裂け目をぎちぎちと広げ、外に出てこようとしている。

461:しっぽむすび15/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 01:56:10.84 gXkiVWVi
「やだ、こんなの」
そう言いながら、私は果実とそれが生える茎を撫で回す。
「で、でてこない、で」
言いながらも、それが嘘だと解った。
出したい。射精したい。
がくがく腰をゆすりながらしゃくりあげる。
気づきたくなかった。
こんなことなら、ずっと組織にいた方がましだった。
今まで自分の口に精を吐き出していった男たちと同じ生き物だなんて、知りたくなかった。
あいつらと同じ、けだもののような欲が自分の中にたぎっているなんて、耐えられない。
なにより、耐えられないのは

「くろちゃん?」
扉が開く音と、彼女の呼ぶ声。
「もう、起きられるかな? 夕ご飯、食べない?」
彼女の声にはわずかな怯えが感じられる。私は動きを止め、じっと布団の中でうずくまった。
しゅるしゅるという音。彼女が部屋に入り、近づいてくる音だ。
「こないで!」
思わず叫んでから言い直す。
「こないで、ください」
彼女は立ち止まり、部屋にしばし沈黙が満ちた。
「くろちゃん、ごめんなさい」
彼女がぽつりとつぶやく。
「許してもらえないと思うけど、本当にごめん。
いやなことがあったら言えって、言ったばかりなのに、
私からひどい目にあわせるなんて、ごめんなさい」
私は答えない。
ただひたすら、布団の中で息をこらえている。
「でも、おねがい、出てきて話を聞いて。くろちゃんは本当に男の子なの。
蛇人の外性器は男性も女性も同じ形をしているし、見た目だけで区別をつけるのは難しいのよ。
その上、蛇人の男性は髭も体毛も生えないし、体型も普通人と比べて華奢だから尚更区別がつかない。
組織には蛇人の身体に詳しい人間がいなかったから、これまで女の子として育てられてしまったんだと思う」

いや、きっと女の方が都合がよかったからだろうと私は声に出さず答える。
大枚はたいて手に入れた蛇人が、商品価値の低い男だと思うのが嫌だったのだ。
だから多少不自然な点に目をつぶって女だと思いこもうとしたのだろう。
「もし、くろちゃんが女の子としてこれからも暮らしたいなら、そうもできるよ。
将来の話になるけど、性転換手術の認可だって下りると思う。これからどうするかは、ゆっくり」
「もう、いいです」
私は布団から顔を出さぬまま、言葉をさえぎる。
「出ていきます。お世話になりました」
私はしゃくりあげようとする声を抑えて、言葉を出す。

462:しっぽむすび16/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 02:00:26.74 gXkiVWVi
その、抑えたはずのしゃくり声が、布団の外側から響いてきた。
ひぐぅ、とつぶれるような泣き声とともに、布団がぎゅっと絞られる。
「ご、ごめ、ん、なざい、ぃぃ」
布団の外側に、ぼふっと顔が押しつけられたことが判った。私の顔の目の前だ。
「な、なんで泣くんですか」
「だ、だっで」
向こう側から涙が染みてくる。私はそれに触れたいという気持ちを必死に抑えた。
だめだ、彼女に触れてはだめ。だって、もっと触りたくなってしまうから。
「くろちゃん、ごめん、ね、だから、いがないで」
彼女の腕が私の背中にまわされる。
自分はこらえている一線をあっさり越えてくる彼女にいらだちと、うらやましさと、
なぜか強い愛おしさを感じた。

「こ、こどもみたいに、泣かないでください」
「泣ぐ」
きっぱりと言い切られる。
「泣いで、くろちゃんを止められるなら、いぐらでも泣く」
「ずるいです、そんなの」
私の声にも涙が混じりしゃがれる。
「ど、どんなずるいこともするし、くろちゃんが一緒にいてくれるなら、なんでも、するから」
彼女の息がほう、と布団の外から伝わり私の耳に当たる。身体がかあっと熱くなった。
「うそ。なんでもなんて、できないくせに」
「うぞじゃない、もん」
「じゃあ、私がセックスしてくれ、って言ったらするんですか?」

布団の外側で、彼女が身体を硬くしたのが判った。
私はかえって弛緩していたと思う。
もうおしまいだ。かえってすっきりした。これで後腐れなく彼女と別れることができる。
布団から彼女が身体を離したのが、胸がつぶれるほど苦しいけど、これでよかったんだ。
私は大きくため息をついて目を閉じた。

次の瞬間には、布団にごそごそ潜り込んできた彼女のために目を見開くことになるのだが。

463:しっぽむすび17/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 02:05:35.06 gXkiVWVi
「な、なに、やって」
「私とするんでしょう? セックス」
布団の中に二人分の体温が満ちる。
「だ、だめです」
「いやなの?」
暗くてよく見えないが、彼女は私の胸を抱き、上目づかいにこちらを見つめているようだ。
「だ、だってその、マナさんは、そういうことしちゃ、だめ」
「解ってる。本当はだめだよね」
彼女の下半身が私にやわらかく絡みつく。
このままだと勃起しているのがばれてしまう、と焦る私をよそに、彼女の腰はぐりぐりと私の局部をこねまわす。
「だめぇっ、こ、マナさんで、いやらしいこと考えちゃうから、だめ、です」
「そんなの当たり前だよ」
思いの外、冷静な声が返ってきた。
「異性とお風呂に入ったんだから、そういうことを考えるのは普通だし、くろちゃんは何も悪くないんだよ。
……まあ相手が私、というのが、ちょっと、その、逆に申し訳ないけど」
彼女の髪がちくちくと首筋に刺さる。
むず痒さに髪を払ってから、今自分の指はあそこから出た汁でべとべとだと気づいた。
彼女もそれに気づいたのか、触れる身体がかあっと熱くなる。
「わ、私も考えたよ、くろちゃんで、いやらしいこと」
彼女の唇が私の喉に触れた。
そのまま少しずつ、唇は首筋に口づけながら、私の顔目指して進んでくる。
「だから、おあいこ、じゃないな。ほんとうは、わたしは考えちゃだめなことなんだから」
彼女の唇が私の頬に触れたとき、ぽたりと熱いしずくが落ちてきた。
「だから、だめだって、言って。
そんなのずるいと解ってるけど、もう、自分では無理、で、
だから、くろちゃんがだめだって言ったら、もう、しないから」

私は塩辛いしずくを舐めながら考える。
彼女は、ずるい。社会人としては、最低なんだろう。
何しろ辛い環境から保護した私と、いやらしいことをしようとしているのだから。
それに、そもそも、
「ずるいです。そんなの、だめだって、言えるわけないじゃないですか」
いい匂いで、子供みたいにべそをかいている人を前に、なにもしないなんて出来るわけがない。
「さいごまで、ぜんぶして」
そうねだると、彼女の唇は私の唇に下りてきて塩辛くなった口を吸ってくれた。

464:しっぽむすび18/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 02:09:09.67 gXkiVWVi
さて、
蛇人の男性には性器が二本生えているが、これを両方いっぺんに使うことはまずない。
二人の女性を相手にしたり、二本を一つの女性器に突っ込んだりするのは、蛇人向けのAVの中だけの話だ。
実際二本同時に勃起状態にするのは大変難しく、だいたい片方が立っていればもう片方は萎えていて、
片方が精を吐き出し終わって一息ついたころに、やっともう片方が硬くなってくる。
常にどちらかが半勃ちで苦しく、いつが止め時なのか全く解らないまま四回くらいしてしまった。

また、蛇人の男性器を収容する性器のうの内側には鱗が生えているが、
蛇人の女性器の内側には鱗がなくやわらかく絡みつく粘膜になっている。
並べてみれば性差は一目瞭然なのだが、普通人の多くは今でも
「蛇人のあそこは内側にも鱗が生えている」という俗信を鵜呑みにしている。

それから、蛇人は普通交わるとき、互いの首を軽く噛み、尻尾の先を硬く絡み合わせる。
私がその夜に知ったのは、そんなことだった。


次に目覚めたのは、まだやっと明るくなり始めた時刻だった。
彼女の額が、私の額にこつんと当てられる。
「もう、朝ですか?」
「まだ。だけど」
彼女の首筋にはいくつも私の歯跡が残っていた。
服で隠せる場所でもないし、外に出たら私としたってことがばれてしまうんだ、と顔を赤くする。
「お風呂に、入りたいんだけど」
「はい」
辺りは私と彼女の体液で煙るようだった。私も次に入らせてもらおう、と考える。
「その、尻尾、離してくれないと」
「あ」
忘れていた。こわばった尻尾をゆるゆると解いていく。
互いの尻尾の間にねちゃりと汁が糸を引いた。
「……お風呂、一緒に入る?」
「……はい」

465:しっぽむすび19/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 02:14:36.06 gXkiVWVi
あれほどむらむらしていたのに、
シャワーで身体を洗い流し、温かな浴槽に身体を沈めると邪気がぬけたようになってしまった。
私は同じ浴槽内で身体を寄せる彼女を眺める。
風呂に入ってから無言のままの彼女に、何を言ったらいいのか解らない。
何を言うかだって?
『昨日は魔が差してすいませんでした、なかったことにしてください』以外、
言うことはないじゃないか!

浴槽に肩まで沈むと、余ったお湯が外にあふれだした。
そう、言うしかない。
このまま、彼女と恋人同士になど、なれるはずがないのだ。
私は大きな事件の被害者で、多くの人に注目されている。
その私と『こんなこと』になったと知られたとき、責められるのは彼女だ。
仕事も失い、人生はめちゃくちゃになってしまうだろう。
どうしよう、全部私のせいだ。

「くろちゃん」
彼女の手が私の肩を抱く。
「昨日、約束したでしょう。言いたいことがあったら、はっきり言うって」
彼女のピンク色の爪が食い込んだとき、ぽろりと言葉がこぼれた。
「マナさんの恋人になりたい」
口にしてから、はっとして彼女の顔を見る。
彼女は青白い顔で私を見つめていた。
「無理、ですよね」
彼女はぎゅっと眉根を寄せて、しばらく涙をこらえたあと、こくんと頷く。
「ごめん、なさい、へんなこと言って」
視界がぼやけた。私は顔を洗うようにお湯を自分の顔にかける。
ごまかせる訳もないけれど、顔が濡れているのはお湯のせいだと、自分に言い聞かせる。
「め、めいわくかけて、ごめんなさい、私じゃ、どうやっても、マナさんにつりあうわけ、ないのに」
「違う」
彼女の手が私の顔をぬぐった。クリアになった視界で、彼女の目が紅く燃えている。
「謝るのも、つりあわないのも私の方だよ。
こんなこと、しちゃいけないって解ってたのに、どうしても我慢できなかったの。
初めて会ったとき、まだ男の子だと知らなかったときから、なぜか目が離せなくて」
流れる汗が、首筋に残る噛み跡に染みた。
「今だって、本当はだめなのに、離したくない。くろちゃんを、私だけのものにしたい」
狭い浴槽の中で、私たちはもう一度尻尾を絡み合わせた。
黒い尾と白い尾が結びつき、一匹の生き物のようにのたうった。

466:しっぽむすび20/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 02:17:56.66 gXkiVWVi
風呂から出た頃、やっと日が昇り始めた。
彼女はカーテンを開け、差し込む光に顔をしかめてから、にっこりと笑う。
「くろちゃん、自分の尻尾を見て」
「え?」
何のへんてつもない、いつも通りの黒い尻尾だ。
模様くらいついていればいいのに、と何度も思った、薄汚い無地の尻尾。
尻尾の上に朝日がきらめいた。
「え、ええっ?」
思わず声を出してしまう。
いつもの尻尾ではなかった。黒い尻尾の上に虹の光沢が輝いている。
「な、なんで? 石鹸が残ってるから?」
「違うよ」彼女がぷっと吹き出しながら言う。
「黒い蛇人の鱗はときどき虹の光沢を持っていることがあるの。
とても珍しいから、鱗を見ただけで運がいいなんて言われてる。
本国ならアイドルにだってなれるかもね」
実感がわかず尻尾をなんども裏返して見ている私の頬を、彼女はそっと撫でる。
「私、一生分の運を使いきっちゃったかもね。でも、後悔してないよ」
「私も」
背伸びして彼女の首筋に口づける。
「私も、後悔してない。マナさんとこうなったの。何度繰り返しても、絶対に、またこうするから」
彼女はくしゃっと泣き顔を作ったあと、心から嬉しそうに微笑んだ。
そのゆがんだ顔がとても美しく見えて、いつまでもこの顔を見続けていたいと思った。

結論から言えば、私と彼女の同居生活は一ヶ月も続かなかった。
私の本当の両親が判明し、本国に帰還することになったからだ。

467:しっぽむすび21/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 02:23:06.63 gXkiVWVi
私の父は商社員で、蛇人の本国を離れて働いていた。
母は父と共に赴任先で暮らしていたが、妊娠が判明して帰国が決まっていた。
だが帰国より先に産気づいてしまったのだ。
母親は病院にかつぎ込まれ私を……正確には私が入っていた卵を……産んだが、
その病院がマフィアの息がかかっている場所とは考えもしなかった。
病院側は珍しい蛇人の卵を商機と見て、両親には卵が死んでいたと伝えた。
長い寿命を持つ代わりに繁殖力の低い蛇人の卵が死んでいるのは、さほど珍しいことではない。
ましてや言葉の通じない外国ということもあって、両親は病院側の説明を信じ、帰国してしまった。
その後、事件の報道を受けて名乗り出て、DNA鑑定を受けて両親であると判明したのだった。

そんな彼女の説明を、私はぽかんとした顔で聞いていた。
「……その人たちと、暮らさなきゃいけないの?」
彼女は困ったような笑みを浮かべる。
「ご両親はずっと、後悔していたそうよ。
本国にさえいれば、無事あなたが生まれて成長していたんじゃないかって。
あなたが生きていたら、ってずっと思っていたって」
「そんなの」
私の中には、顔も知らぬ両親に対する怒りしかなかった。
その人たちがのんきに暮らしている間に私がどんな目にあっていたかなんて、彼らは想像もできないだろう。
そして、やっと手に入れた彼女との暮らしも、彼らは奪っていこうとしている。
許せなかった。

「くろちゃん」
「嫌です」
彼女の言葉をさえぎる。
「そんな人たちと暮らせません。無理にきまってます」
彼らが望んでいるのは、あの日生まれるはずだった可愛い赤ん坊だろう。
組織でありとあらゆることをやらされて、その上男なのに女だと思いこんで成長した自分ではないはずだ。
第一、私はまだ蛇人の本国語もおぼつかない状態だった。
会話さえできないのに、会ってどうしろと言うのか。
「やる前にあきらめるの?」
彼女の強い視線に、少したじろぐ。
「無理だし、嫌です」
「どの辺りが嫌?」
「……きらい、だから」
「会ったこともないのに?」
「会ったことなくても、嫌いな人は嫌いです!」

468:しっぽむすび22/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 02:26:27.15 gXkiVWVi
かんしゃくを起こしても彼女はあきらめなかった。
何日も同じ会話をくりかえし、両親からの手紙やらビデオメールやらを見せられて私も認めざるを得なかった。
両親は別に悪人というわけではないし、私のことを心から思っている。
私が複雑な育ち方をしたことを承知しているし、ゆっくりと仲良くなれればいいと思っている。

「……でも、いやです」
十数度目かのやりとりでも、私はそうつぶやく。
「どうして?」
私はうつむいて目をそらした。
「私のせい?」
「……マナさんと、ずっと一緒にいたい」
言ってもしかたのないことだと解っていた。
わがままを言って困らせて、嫌われるだけだと解っていても、彼女と離れることを考えられない。
「くろちゃん」
彼女は私に目を合わせた。
「くろちゃんは知らないんだよ。世界にはいろんな人がいる。
私よりくろちゃんを愛してくれる人も、すてきな人もたくさんいる」
「いません」
「まだ、確かめてもいないのに?」
「マナさんよりすてきな人なんて、いないです」
彼女の目を見て言い切る。その目が自虐的な光を帯びた。
「傷ついたあなたを手込めにして、自分のものにするような女なのに?」
「違います!」
「違わないよ」
あれは私がむりやりしたようなものなのに、そう言っても彼女は首を横に振る。

「くろちゃん、お願いがあるの」
彼女は涙をぬぐい、紅い瞳を大きく開いた。
「私が、本当に世界で一番すてきな人なら、それを証明して」
「証明?」
意味が解らぬ私の顔を彼女の両手が包み込む。
「くろちゃんはこれから国に帰ってご両親と暮らし、そこで大人になるの。
学校に行って、友達を作って、ガールフレンドも出来たりして」
顔に彼女の胸が押しつけられる。頭上の声が湿っているのが判った。
「それでも私が一番すてきだと思ったら、会いに来て」

469:しっぽむすび23/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 02:30:00.20 gXkiVWVi
それから、十年以上が過ぎた。
慣れない本国での暮らしは辛いこともあったし、両親と打ち解けるのにも時間がかかった。
過去を知られ、腫れ物にふれるように扱われるのも嫌なものだった。
でも親しい友人もできたし、やりたいことも見つかった。
今の私は新聞社の特派員だ。世界を広く回れる仕事がしたい、
あと正直に言えば……彼女が世界のどこにいても、会いにいけるようになりたい、と選んだ仕事だ。
彼女とは最初の何年か定期的にメールを交わしていた。
次第にメールは間遠になり、この数年は一年に一度くらいだ。
そして今年「直接会いたい」と書いてから、メールは返ってこない。

彼女はもう、私には会いたくないのかもしれない。
あれは若気のいたりで、思い出したくないあやまちなのかもしれない。
それでもあきらめきれず、私は彼女の家まで来てしまった。

呼び鈴を押そうとした指をひっこめる。
これではストーカー以外の何者でもない。
第一、現在の彼女について知っていることはこの家で暮らしていることだけだ。
結婚だって、もうしているかもしれない。

「お母さん!」
高い子供の声に飛び上がりそうになった。
あわてて門の前から離れる。
「あたし、もう出かけるからね! 日曜だからって、ずっと寝てちゃだめだよ!」
子供の声にくぐもった声が応える。遠くてぼやけた声でも、私にははっきりと彼女のものだと判った。
扉が開き、人影が出てくる。
褐色がかった肌と金髪の女の子だ。年は彼女と出会ったころの私と同じくらいだろうか。
快活そうな顔立ちが彼女によく似ている。
「じゃあね! いってきまーす!」

女の子が呼びかけてからドアが閉まるまで少し時間がかかった。
蛇人の長い身体を通すのに時間がかかるからだ。
私は女の子の身体から目を離せなかった。
女の子の鱗は黒だった。それも、虹の光沢を持つ黒。
その上に絡みつくように白と紅色の模様が散っている。
女の子はすれ違う私をけげんそうな顔で見たが、何も言わずに去っていく。
私は脳の処理が追いつかず、遠ざかる女の子の尻尾と、彼女の家を交互に見た。

470:しっぽむすび24/24 ◆vpePLp7Z/o
13/02/05 02:33:44.58 gXkiVWVi
唐突に彼女の家の扉が開き、今度こそ飛び上がる。
「帽子、忘れてるわよ! 今日は暑くなるからかぶっていかない、と……」
扉から出てきた彼女の声が尻すぼみになる。
彼女は私と別れたころとあまり変わらないように見えた。
違うのは髪がのびてゆるく編まれていることくらいだ。
しばらく互いに、なんと言ったらいいのか判らず見つめ合う。

「あ、あの」
口火を切ったのは彼女の方だった。
「見た?」
「み、見ました。あの」
唾を飲んでから続ける。
「わ、私の、マナさんと私の子、ですよね?」
彼女はだまって頷く。顔は真っ赤だ。
「どうして」
どうして言ってくれなかったのか。それも、こんなに時間が経っているのに。
確かにあのころの自分は頼りない子供だったけど、それでもなにか、できたかもしれないのに。
そう言おうとした言葉が胸の中で溶けていく。

「マナさんは年の割に子供だし、変態でどうしようもない人かもしれないけど」
私は彼女の手をとる。手はあのころよりずっと荒れていて、それだけが歳月を感じさせた。
「でも、私にとっては世界一すてきな人だ」

もう私より低い位置にある頭を抱きしめながら、尻尾を絡められればいいのにな、と考えていた。
彼女の尻尾はドアの内側だ。
でもこれから家の中に入れば、いくらでも、失った歳月の分までもできる。
すすり泣く彼女の髪を撫でなから、私はそんなことを考えていた。

(了)

471:名無しさん@ピンキー
13/02/06 10:49:39.38 GMFeuli8
GJ!!

472:名無しさん@ピンキー
13/02/09 23:22:46.50 ftG+YBtd
すごくよかった…本当にGJ

473:名無しさん@ピンキー
13/02/11 10:46:23.66 /6ytiirJ
gj。この前の北海道謎の発光から考えてたが、マジで和平の異種族こないかな
蛇系もエイリアン系も金属生命体でもいいんだが受け入れる覚悟くらいしてるよ
地球は法に捕らわれてるかぎりダメになる一方だし、ここらでバーンと宇宙のヒトがな、こう

474:名無しさん@ピンキー
13/02/27 11:18:35.14 Ty5aBSnr
保守

475:名無しさん@ピンキー
13/03/24 18:49:04.76 pSokpVoO
ほしゅ

476:ロボットPちゃん 1
13/04/01 19:04:26.68 ClHD5iuJ
ロボット×女子大生 6レスぐらい
ごちゃごちゃ説明があるけどロボコンとかカブタックみたいなノリだと思ってね


ズーパルロボット達のステイ先の一つに自分の家が選ばれた時には、アケミも内心ちょっとわくわくしていた。
しかし、『ズーパルロボットプロジェクト』はあくまでも小学生がズーパルロボットと親しむための企画であって、
アケミの家に来たキリン型ロボット、キーロックも、アケミの弟のカケルを連れ出し、
近所の小学生&ロボットコンビと共に宝箱探しなどのイベントに明け暮れる日々を送っている。
もう大学生のアケミに出る幕はないのだ。
(私が子供の頃に、ズーパルロボットがいたらなぁ……)
無邪気に遊んでいられる小学生達が羨ましくもあり、恨めしくもあるアケミだった。

今日は金曜日で大学も三限までだが、大学生らしい華やかな遊びに興じる気力はなく、真っ直ぐ家に帰るつもりだ。
無理して濃くしているメイクも早く落としたかった。
ホームを降りる階段で転びかけたので、黒縁の眼鏡を取り出して顔にかけると、目の前には馴染んだ地元の町。
駄菓子屋の前を通りがかると、
「あ〜! まったお宝取り返されちまったよォ……。博士に怒られるーッ」
一台のロボットが地団太を踏んでいた。アケミは眼鏡をかけ直してそのロボットを観察した。
ズーパルロボットステイ地区になってからは当たり前の光景に思えたが、
そのロボットはズーパルロボットにしては不自然だった。傍にパートナーの小学生の姿がない。
もちろんたまたま近くにいないだけとも考えられるが、ズーパルロボットとは異なる雰囲気をアケミは感じ取った。
ズーパルロボットではないロボット、と考えると……。
「……ズーワルロボット?」
ズーワルロボットとは、ズーパルロボットの開発者、阿仁間博士のライバル、来羽博士が彼に対抗するべく
作った悪のロボットの総称である。早い話がパチモンである。
アケミの言葉に、
「あァん?」
とズーワルロボットは左右の足をペタペタ踏み鳴らしながら振り返った。
黒い身体に白い腹、平べったい翼(フリッパーっていうんだっけ)のような腕パーツを持つそのロボットは、
ペンギンモチーフであるらしかった。
「おネエさん、オレさまに何か用か?」
かくんと首を傾げ、不思議そうにアケミを見つめる。アケミは、こんな至近距離でロボットと視線を
合わすのは初めてだった。ちなみにアケミ宅に居候しているキーロックは背が高いので視点が遠い。
このズーワルロボットは、悪ぶってでもいるのかサングラスをかけているが、その奥に見える瞳は円らだった。
(ちょっとからかってやろうかな)
「ねえねえアンタ」
「オレさまはP・キングだ」
「そう。よろしく、P・キング」
「あア、よろし……く?」
「私……、あたしはね、失敗続きで不甲斐ないアンタに悪知恵を授けるためにやってきたの」
ふふん、と真っ赤なリップの端で、挑発的な笑みを作った。
(わあ、私ってば、悪女みたい!)
悪いお姉さんのフリが案外はまって、アケミは内心はしゃいだ。

477:ロボットPちゃん 2
13/04/01 19:05:31.38 ClHD5iuJ
「そいつはありがてぇ話だ! どんな知恵だ?」
P・キングは簡単にノッてきた。アケミは周りを見渡す素振りをして言った。
「ここは人通りが多いから場所を変えましょ」
「おう!」
P・キングは何の疑いも持たずにのこのことアケミの後についてきた。
(この子大丈夫……? 知らない人についていっちゃいけないって来羽博士に教わってないのかな)
と心配したアケミだったが、乗りかかった船だ、適当にアドバイスでもなんでもして帰ろうと思い直した。
ひと気のない河川敷に辿りつき、アケミはまずP・キングに質問をぶつける。
「P・キング、アンタはいつもどんな風にズーパルロボットと対決してるの?」
「んー、やっぱりまずは宝探しが多いかなァ。でもオレさま、なかなか見つけられなくって、
で横取りしようとするんだけど……」
「取り返されちゃうってわけね」
「そうなの」
しゅんとするP・キング。横取りするほうが悪いといえば悪いのだが、ズーパルロボットは小学生パートナーがいるし、
ズーパルロボット同士の連携もある。いくら悪のロボットだって一対複数は分が悪い。
「バトルになることもあるけどよぅ、いっつもオレさま負けちゃうんだ」
P・キングは石ころを蹴り飛ばした。
「あー、ジョーくんとかカンヌちゃんとか、結構強いもんねぇ……」
アケミはクマ型ロボットやカンガルー型ロボットの名前を挙げて頷く。
「おネエさん詳しいな!」
「え、えーと」
仲良くなりたくてこっそりズーパルロボットについて調べたりしてたけどやっぱり小学生の輪には入れなかった、
とは言いにくい。
「大学生だもの、そのくらい知ってて当たり前……よ」
「おネエさんって大学生なんだ! さっすが大学生!」
「え?」
「ちっちゃいのが小学生、中くらいのが中学生、それよりもーっとでっかいのが大学生だろ? すっげェ」
P・キングはフリッパーをぱたぱたさせて感心している。
(間に高校生が入るけどね)
アケミはこの悪いロボットというか頭が悪いロボットを応援したくなってきた。
とは言え悪事のアドバイスだなんてベタなものしか思いつかない。
「人質を取って、その人質とお宝を交換、なんて、どう、かし……ら……」
さすがにそんなこともう何度もやってるんだろうなと感じ、しどろもどろになりながら提案するが、
「うおおおお! それは思いつかなかった! おネエさんすげェ!」
予想外に誉められてしまうアケミだった。

478:ロボットPちゃん 3
13/04/01 19:06:11.81 ClHD5iuJ
「どいつを人質にするんだ?」
(うーん……、ちっちゃい子に迷惑かけちゃうのは忍びないなあ)
「そうね、このあたしなんてどうかしら」
アケミは気取った仕草で髪を掻き上げ、眼鏡を外して微笑んで見せた。
「エッ? おネエさんを?」
「そうよ、お宝を持ってこさせるのにちょうどいいターゲットもいるし。キーロックとカケルのコンビは知ってるわよね?」
「知らない」
「そう、その二人を……って、知らないの?」
「ジョーとかカンヌなら分かるんだけどなァ」
「そうなんだ……」
首を伸ばせば3メートルの背丈を持つ、町でも目立つ容姿のキーロックを知らないとは。
(まあ、いいや)
「今からカケルに電話するから、これを読んでね」
アケミはP・キングにメモ書きを渡してスマートフォンを取り出し、カケルのベルトフォン宛に発信した。
「きさまのあねはあずかった。かえしてほしくばお宝もってくさりばしの下へこい」
P・キングは棒読みでメモを読み上げた。

アケミから言い出したこととは言え、P・キングに後ろから抱きつかれるように拘束されていると
なんだか恥ずかしいし落ち着かない。
早く助けが来ないものかと鎖橋の下で待ちかまえていると、
のそのそキーロックが橋の陰から歩いてきた。カケルはキーロックの首輪に設置された席に座り、
キーロックの角を操縦桿のように握りしめている。
「なんだありゃ! でけえ! こええ!」
いきなり怯むP・キングに若干不安を覚えつつもアケミは
「大丈夫、あいつ背が高いだけでそんな強くないから!」
と小声で励ました。
キーロックはまったく緊張感のない声で
「アケミさん元気ー?」
とのほほんと聞いてくる。
「元気なわけないでしょ、ほら、たぁすけてー!」
「そ、そうだぞ、おとなしく持ってる限りのお宝を渡すんだ! 渡さないとおネエさん返してやんねぇぞ!」
アケミとP・キングは声を張り上げた。
「どうする、キーロくん?」
「んー。あんまりピンチそうに見えないよねー」
カケルとキーロックはのんびりと相談を始めている。アケミはカケルに向かって訴えかけた。
「ちょっとカケル、お姉ちゃんこのままだと帰れなくなっちゃうよ? 助けて」
「キーロくんどう思う?」
「うーんー、あのズーワルロボットさー、放っておいたらそのうちアケミさん解放してくれるんじゃないかなー」
「!? そんなのんびり待ってたら夜遅くになっちゃうでしょ!」
「でもさ、おねーちゃん、おとーさんが、『アケミはもう二十歳越えたんだから
たまには夜遊びでもしてこないと逆に心配だ』って言ってたよ」
「お父さん!?」
確かに大学から家まで直帰しすぎてたいたが、そんな心配までされているとは。
「う、うーん」
アケミは痺れを切らしてP・キングに指示を出した。
「こうなったら、なんか武器! 武器をあたしに突きつけて脅すのよ!」
それなら平和ボケしたコンビにもこの状況が分かるだろう。
「分かった!」
と頷き、自分の腹を扉のように開き、体内を漁ってみるP・キングだったが、
「アーーーーっ、武器忘れた!」
と、情けない声をあげた。
「ちょっと、二人に聞こえちゃうでしょ!」
アケミはベチッとP・キングの嘴を叩いた。

479:ロボットPちゃん 4
13/04/01 19:08:07.81 ClHD5iuJ
「武器もない相手と勝負する気はないなー、ねーカケルくんー」
「そうだね、帰ろうか」
「うんー」
キーロックはぐるりと背を向けた。
「最初から勝負する気なかったでしょ! お姉ちゃんを助けてからにしなさいよ!」
アケミは焦り、P・キングに新しい提案をした。
「そうだ、P・キング。武器ないなら首絞めるフリしなさい、あたしの首」
「? こうか?」
P・キングはフリッパーをアケミの腰から上へ滑らせる。
「ふやん!」
フリッパーの先がアケミのたわわな下乳に触れ、アケミは思わず声をあげた。
「……ん?」
P・キングはふにふにと二、三度丸くて重みのある二つの物体を持ち上げ、揺さぶりをかける。
「いや、ひやん! やめ、」
「おねーさん? どうしたのー?」
キーロックが振り返る。
「おお、おネエさん、首よりもこっち絞めるほうが、あいつらに効果あるんじゃないかな?
オレさまも楽しいし」
P・キングは無邪気に言いながらアケミの両乳をぐいぐい持ち上げる。
「はぁん、んっ、そう、ね……」
(やめてって言えない……!)
「なんかお姉ちゃんおかしいよ、キーロくん」
「そうだねー、苦しいのかなー」
キーロックはアケミに近寄り、覗きこむように首を倒し鼻先を近付けた。
(お宝と交換……はなくてもいいから、助けて、キーロック!)
と内心願ったアケミだったが、キーロックは思わぬことに、アケミの首筋に向かって舌を伸ばしてきた。
「うひゃ!」
キリンのぬめった舌先がキャミソールの下へ入り込み、背中を擦る。
パツンと音がして、アケミは胸元が軽く、というか心元なくなるのを感じた。
肩紐がずり下がる。
「アケミさん、ブラジャーがきつかったんだよー。前からぼく気になってたもんー」
キーロックがウインクした。
「なるほど」
(こらカケルうなずくな!)
「おおッ、柔らかくなった!」
P・キングはブラジャーがずれて、キャミソールの布一枚越しになったアケミの胸をフリッパーの先でこねくり回す。
「やー! もうやめてー!」
「あああ、ごめん、おネエさん! キモチ良かったから、つい……」
ようやくP・キングは手を止めた。
「まったくもう……」
アケミはふーっとため息を吐いた。というか、今のはブラジャーを外してきたキーロックの方が性質が悪い。
眼鏡をかけて辺りを見回しても、カケルとキーロックの姿は既にない。(逃げたか……)

480:ロボットPちゃん 5
13/04/01 19:09:10.61 ClHD5iuJ
「作戦は失敗したみたいだから、もう離してちょうだい」
「う、うーん」
「どうしたの?」
P・キングはそわそわと落ち着きがない。
ついにびくびく震えながらアケミの背にすがりついてくる。
「どうしよう、おネエさん。オレさま……」
「な、なあに?」
背中にP・キングの丸っこい腹をぐいぐい押し付けられるのを感じながらアケミは聞き返す。
消え入りそうな声でP・キングが訴えた言葉は、
「……交尾したい」
であった。
「え、えええっ? ちょ、ちょっと待ってそんな」
思わぬことにアケミは狼狽えた。
(「トイレ行きたい」みたいなノリでそんなことーっ!)
「だいたい交尾なんてあなた、アンタ意味分かってるの?!」
「う、うん、分かる、よ。オレさまのペニスをおネエさんの―」
「わー! やめてー!!」
アケミは耳を塞いでイヤイヤと首を振った。胸を揉まれた上に交尾を要求されるなんて、そんな……
そうこうしているうちにスカートが捲りあがり、レギンス越しに太ももが硬いモノで撫でられだした。
「ハア……ハア……」
迫るP・キングの息遣いには危機感も覚えたが、それ以上にP・キングが苦しそうで、
(頼られてるんだから、なんとかしてあげないと……!)という気になってくる。
ふと、大学の友人が「オトコなんてぇ、ヤらせなくっても出すもん出しちゃえばスッキリしちゃうんだから」
と言っていたのを思い出す。友人のあけっぴろげな下ネタトークにたじたじしていたアケミだったが、
まさかロボット相手に役に立つなんて思わなかった。
意を決して太ももに擦りつけられているモノをちら見した。
肉棒など弟の小さい頃のモノを見たか見ないかくらいのアケミなので、まともに見ることが出来ないが、
ピンク色で先が尖った形のペニスは人間のモノとは随分違っているように見えた。
(金属の、棒なんだから……、鉄棒か何かだと思えばッ)
アケミはきゅっと内股を閉じて、P・キングのペニスを挟み込む。
「うおッ!?」
P・キングがのけぞった。
「あ、あのねPちゃん、交尾じゃないけど……、こう、その、スリスリしちゃえば、
満足出来るんじゃないかなって、その……」
太ももを擦り合わせてP・キングを刺激する。
「おおっ、ありがとう、おネエさん!」
早速P・キングは硬いペニスをごりごりと擦りつけはじめる。
「――ッ!」
布越しとはいえ、陰部同士を擦り合わせてしまっている形だ。
「んっ、っあっ! ……っふ」
アケミは次第に思わぬ昂ぶりを感じてきて焦った。
(どうしよう、私……、屋外で、ロボットにこんなこと……)
禁忌を意識することで更に興奮は高まり、レギンスにまで潤滑液が広がっていく。
「おネエさぁん、おネエさんっ」
しがみ付きながら自分を呼び甘えてくるP・キングが素直で可愛らしく感じられて、
だからこそ耐えなくてはと思うのだが、段々頭が性感に支配されていく。
「Pちゃん、わ、私もうッ―!! あふっ!」
絶頂を迎えたアケミはそのまま地面に倒れ込んだ。
「ぬおおおおおッ!」
振り向いた顔にP・キングの粘ついた液体が降りかかってきて、アケミの視界は真っ白になった。


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