【なんでもあり】人外 ..
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36:名無しさん@ピンキー
11/12/09 11:21:08.62 atpM6XOk
 それは少女が夢見ていた不思議な世界だった。数日前、人間だった時のメルモ
は夢の中で牝鹿に変身し、牡鹿と恋に落ちる夢を見た。その夢のとおり、
今、メルモは鹿に生まれ変わり、逞しい牡鹿と出会ったのだ。
 デジャブを感じながら、鹿に生まれ変わったメルモはオオツノとのキスに
酔った。キスの後、オオツノはメルモの美しい姿態を毛繕いした。お返しにメルモも
オオツノを毛繕いしてやり、身体を寄せつけたりもした。暖かい体温、鼓動が伝わってくる。
このひと時、自分が本来は人間だったことを忘れていた。オオツノに
助けられた時の記憶も頭をよぎっていたが、その時の自分の姿は鹿に置き換わり
、彼の連れ合いが殺されたシーンもその時そばにいた己の姿はやはり鹿の姿だった。

 メルモは後見役でもあるワレガラス医師と秋の山にやってきていた。二人の
弟たちを親代わりに育てるメルモに気晴らしさせるべく、○○県山の奥村に紅葉
狩りにきたのだ。
 山で道に迷った二人は嵐にあう。偶然出会ったハンターの遠山とともに、山を
降りようとするが、道を阻まれ、秋の雨に打たれた三人の身体は体温が低下し、
命の危機を迎えてしまった。
 そんな時、三人の前に逞しい牡鹿のオオツノが現れた。オオツノは人間たちを
小さな洞穴へと導いた。そこには鹿や猿の群れ、猪のつがい達がいてお互いに
身を寄せ、温めあって嵐の去るの待っていたのだ。
 彼らは哀れな人間たちを黙って受けいれた。メルモはオオツノの温かい身体に
寄り添い、冷え切った身体を温めた。この時もメルモはデジャブを感じた。
(夢に出てきた鹿さんだわ。)
 ハンターの遠山から牡鹿がオオツノと呼ばれ、ハンター達から畏怖の対象である
事を聞いた。彼はハンター達の手口を覚え、あらゆる(鹿達にとっての)危機を
乗り越えてきたという。また、最近は人里に下り、畑を荒らすこともあるらしい。
 オオツノは寄り添ってくるメルモを優しくも力強い瞳で見つめ受け入れた。少し
獣臭いのが気になったが、冷え切った身体はどんどん暖かくなってくる。逞しい
牡鹿に持たれてメルモは眠った。メルモとオオツノ、運命的な出会いであった。



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