【なんでもあり】人外と人間でハァハァするスレ7 at EROPARO
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300:名無しさん@ピンキー
12/03/11 05:06:55.76 +P8w9YXn
素晴らしいんだが妹の彼氏の軟体動物氏が気になって夜も眠れず昼寝しそう。

301:名無しさん@ピンキー
12/03/12 06:33:29.76 BEcX979i
>>301
問に対する解の終わりに、二重に斜め線を書く彼氏さんに違いない

302:名無しさん@ピンキー
12/03/12 14:24:47.53 0N1z64XR
急に妄想が来たので

今ハ昔、京ヨリ東へ下ル男アリケリ。

「あー、ヤリてえなあ。それにつけても女のほしさよ。しかし女どころか、見渡す限り大根畑で人っ子一人いやしねえ。
……待てよ?大根、か。こりゃあ面白いことになるな」
「な、何なんですかあなた。私はまだこの畑で成長途中なんです」
「ふうん、その割には葉っぱがすごいことになってるじゃねえか」
「やめてください!引っこ抜かないで!」
「おやおや、嘘はいけないぜ?こんなにも食べごろになってるってのに」
「ひどい……」
「おとなしくしてりゃ痛い目には合わせねえよ。さあ、水できれいに洗うんだ」
「つめたいっ!やだぁ……!」
「ほら、お前の白い肌があらわになってきたぜ?なかなかそそられるな」
「そんなにじろじろ見ないで……。ダメっ、穴なんかあけられちゃ、私……!」
「さすが90%以上が水分なだけはあるな、もうグチョグチョだぜ。おまえみたいな淫乱にはこの棒をくれてやらなきゃ、な!」
「らめえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
「ふう、これで全部入ったぞ。どうだ、俺のをくわえこんだ感想は。ん?」
「しゅごいぃぃぃ、あなたのおちんぽしゅごいのぉぉぉぉ」
「 いやだいやだと言いながら、この淫乱はほしくてたまらなかったんだろう?まったく……」
「あぐうぅぅぅ、ひいぃぃぃ、いいぃぃぃぃっ!」
「 ほら、こんなにいやらしい汁をいっぱい垂らして。もっと気持ちよくしてほしいか?」
「してぇぇぇぇぇ、お願いぃぃぃぃ」
「だったら、どうしてほしいかきちんと言ってみろ」
「あ、あなたの、おちんぽぉぉぉぉぉ、もっとぉぉぉ、ズボズボしてくださいぃぃぃ」
「お前は、本当に仕方のない淫乱だな。ほら、ほら!」
「あひいぃぃぃぃぃっ!イクうぅぅぅぅぅぅぅ!」
「……大根のくせして、こんなに締めつけやがって。俺も、そろそろ、ヤバい……!」
「らめえぇぇぇぇっ!ミルクなんかかけられたらぁぁぁぁぁぁ、大根シチューになっちゃううぅぅぅぅぅ!」
「なれよ、なっちまえよ。そうなったらおいしく調理してやる。うっ・・…!」
「ひぎいぃぃぃぃっ!また、イッちゃう、イッちゃうぅぅぅぅぅ!」

大根ハ男ニ食サレタトノミ伝エラレタルトカヤ。

民明書房刊 蒟蒻物語集〜新事実!オナホは千年前から存在した!〜


303:名無しさん@ピンキー
12/03/12 14:29:45.03 0N1z64XR
原典確認したら蕪ですたwww勘違いサーセンwww

304:名無しさん@ピンキー
12/03/13 15:46:46.11 jvP/9Xgo
オナホはこんにゃくに限るな
読んでるだけでちんこ痒くなってきたw


305:名無しさん@ピンキー
12/03/14 01:09:55.94 A+8isVKb
ゴムなしでヤるのは毒サソリ/毒グモとヤるくらいあぶねーぞ、という海外のエイズ予防の広告
男×サソリ URLリンク(i.imgur.com)
女×クモ URLリンク(i.imgur.com)

306:名無しさん@ピンキー
12/03/14 06:48:10.97 duWrJaQO
>>306
さそりの交尾は独特なんだよな

人間に例えると凄まじくアブノーマル

307:名無しさん@ピンキー
12/03/14 15:49:25.25 YU9JUH6M
婚姻ダンス…

308:名無しさん@ピンキー
12/03/14 16:32:25.70 dInwEBlf
>>306
とてもラブラブに見えてあまり啓発になってないと思います

309:名無しさん@ピンキー
12/03/14 18:27:28.17 b/m5jjou
双方合意の上なら問題ないよねえ

バッドエンドだけど、プラトニックだけど道ならぬ恋を阻まれた二人が、最初で最後の心中エッチをする、って妄想した
毒で死んじゃうからプラトニックを貫いていたけど、引き裂かれて生きるくらいなら、みたいな

310:名無しさん@ピンキー
12/03/14 20:58:57.09 PqECV6no
ぎいい

311:名無しさん@ピンキー
12/03/20 06:44:29.89 yfctMfTr
どつかに触手♀いねぇかなぁ…

312: ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:23:46.31 hRnX0rML
時期遅れの雛祭りネタで、しかも長くてマジすいません。
雛人形×人間女子、百合ありです。
NGは「ももまくら」でお願いします。

313:ももまくら 1/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:26:14.96 hRnX0rML
雛人形をしまうのが遅れると婚期が遅れる、等と申します。

このお話をする前に調べてみたのですが、どうやら旧暦の桃の節句の後は、
すぐ雨の多い季節になるので人形が傷まないように、という意味が込められていたようです。
または、すぐに片づけをしない、だらしのない娘は嫁き遅れる、とか。

最初に私にその話をしてくれたのは、母方の叔母でした。
こんなに綺麗なのだから、ずっと飾っておきたいという私を彼女は笑ったものです。
“お嫁に行けなくなっちゃうわよ、私みたいに”
年齢を感じさせない、不思議な雰囲気だった彼女は、その後にこう、付け加えました。
“雛人形は、持ち主の不幸を全て引き受けてくれるそうよ。
だから、もしも悲しかったり辛い事があったら、お人形に相談してごらんなさい。
きっと、何とかなるわ
……まあ時々、おいたが過ぎるときもあるけれど”

今思うと、叔母はあの雛人形たちについて何かを知っていたのではと思うのですが、
時が経っては知るすべがありません。

私の家にあった雛人形は母の家から伝えられたもので、全部で五段飾りでした。
お雛さまとお内裏さま、三人官女に五人囃子、右大臣に左大臣、それに箪笥や牛車の調度品。
世の中には七段飾りや八段飾りといったもっと大きな雛飾りもあるのでしょうが、
当時の私には五段飾りで十分、天にも届くほど大きく見えたものです。
今私が住んでいる小さなアパートには、とうていあれを飾るような場所はありません。

ささいな事が、後で考えれば大きな事のきっかけになっていた、という事があります。
今思えば、その年の雛祭りの宴が行われなかったのは、きっかけだったのです。

子供だった私はそれに気付かず、
ただ友達や親類が集まる、ささやかな宴が行われなかった事を不満に思っていました。
父親は仕事で夜遅くまで戻らず、母親も体調が優れず、
一人でぽりぽり雛あられを食べるだけの節句は、実にむなしいものでした。
こんな大事な時くらい、お父様だって帰ってきてくれればいいのに。
お母様だってすぐいらいらして、部屋に籠もってしまうし、
何だか私って、親に愛されていない子供みたい。
本気でそう思った訳ではないのですが、
夜中に布団に潜って考える事というのはどうしても膨らんでしまうものです。

314:ももまくら 2/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:28:11.20 hRnX0rML
私は、これをお雛様に相談してみたらどうかしら、と思いつきました。
もちろん、本気でお雛様になんとかしてもらおうと思った訳ではありません。
夜中、月の光が射す下で、お雛様に自分の窮状を訴えかける“美少女”
という絵面に酔っただけの事でした。
それに叔母への話の種になりますし、まあお節句に何もないなんて可哀想、
叔母さんと一緒にデパートにでも行きましょうか、なんて事になるかもしれません。

そんな、下心を持って私は雛人形の前に立ったのでした。

襖を開ける前、私は奇妙な音がしているのに気付いていました。
かちかちと、硬いものをぶつけ合わせるような音。
さらさらと、布のすれる音。
ちりちりと、金属が触れ合う音。
何の音だろう、もしネズミだったら嫌だなあと思いながら襖を開けます。

どこもおかしい所はありません。
赤い雛壇の上に、整然と人形たちが座し、障子から入る月の光に照らされています。
しいんと、何の音も聞こえません。

気のせいだったのかしら、と私は部屋に入り、襖を閉め、雛壇の前に正座しました。
さて、お願いをしなくちゃ、と見ると

先ほどと違うのです。

私の方を向いていたはずの、お雛さまとお内裏さまは、
互いに向かい合って顔が触れ合わんばかりの距離に近づいています。
しかも、二体とも、かちかちと音を立てて動いているのです。

私は恐れよりも、これは何をしている所なのだろうと疑問を抱きました。
もしかして、お雛さま同士でキスをしている所なのかしら、とどきどきします。
しかし、彼らは本当にあと少しで届かないのです。
日頃おだやかな笑みを浮かべているはずの彼らが、
切なげな潤んだ視線を交わしているのを見ると胸がつぶれるような心地がしました。
早く、早くキスしてしまえばいいのに、と思って二体を見ると、どうも邪魔があるようなのです。


315:ももまくら 3/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:29:57.64 hRnX0rML
お雛さまの十二単がもこもこと蠢いて、中に誰か入っているのが解ります。
十二単の端からは袴を履いた足がのぞき、まるで獅子舞の足のようです。
でも十二単の下と言えばスカートの下と同じです。
そんなところに顔をつっこまれて、お雛さまは恥ずかしくないのかしら。
お雛さまの頬は日頃よりもずっと赤かったので、やっぱり恥ずかしかったのかもしれません。
お内裏さまの方はと言えば、狩衣姿の公達に足を捕まえられています。
左大臣か右大臣か……確か、若い方なので右大臣です。

蛙のように足を広げたお内裏さまの太股を右大臣はつかんで持ち上げています。
組体操みたい。
でも、なんで腰をお内裏さまのお尻にぶつけているのかしら。
かちかちかちかち音がしているけど、お内裏さまは痛くないのかな。
時々、びくんっとお内裏さまの身体が跳ねているから、やっぱり痛いんじゃないかなあ。
身体が跳ねていると言えばお雛さまの方もそうで、
立て膝の姿勢が崩れて、びくびくと身体を震わせています。
お雛さまが大きく口を開けてあえぎ、胸をゆさゆさと揺らしました。
硬くて動かないはずの胸が動く事にも驚きましたが、
苦しげに胸元を開こうとしているのが気になりました。
お雛さまは病気なのかもしれません。
時々、胸が苦しいと言って押さえている母の姿が重なります。
大変、お薬とかお水を持ってこなくちゃ、と思った時には、
お雛さまは自分の胸を大きく開いていました。

真っ白な二つの小山の上に、ぽっちりと桃色の点が乗っています。
もう両親と風呂に入る年でもなかった私にとって、久方ぶりの他人の裸でした。
自分の裸とも、着せかえ人形の裸とも全然違います。
むっちりと柔らかげで、触ったらどんなに気持ちがいいだろうと思うような裸です。
その上、お雛さまは自分の両胸を手に取り、ぷにゅぷにゅと弄び始めました。
必死に、泣きそうな顔で乳房を揉み絞るお雛さまを見ていると、
何故か私の胸までがむずむずしてしまいます。

一心に伸ばしていたお内裏さまの首が、お雛さまの胸に届きました。
お雛さまは一際大きく体を震わせます。
大きく口も開いているのですが、声は漏れません。
もしかしたら、お人形の声は小さすぎて人間には聞こえないのかもしれないと私は思います。


316:ももまくら 4/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:31:20.36 hRnX0rML
それよりびっくりしたのは、
お内裏さまがそのまま、お雛さまのおっぱいをちゅうちゅう吸っているところです。
お内裏さまって、赤ちゃんだったのかしら?
とてもそんな風には見えないし、端正なお顔のお内裏さまが、
赤ちゃんみたいな事をしているところを見るのは、とてもいけない事のような気がします。
お雛さまの方は真っ赤な顔で眉をしかめていて、
最初はこんな恥ずかしい事をされるのを嫌がっているのかと思ったのですが、
お内裏さまが吸いついていない乳首をこりこりと自分でいじっているところを見ると、
どうやら嫌という訳でもないようです。
おっぱいの先がむずむずして、かゆくて、吸ってもらわないとどうにもならないような感じなのかしら。
そして、私の幼いおっぱいも、そのような痒みに身をよじり始めているのです。

お雛さまが激しく身をよじり、重い十二単を払い落とします。
その衣の下から、白髪頭が見えました。
どうやらこれは左大臣です。
胸も尻もむき出しになり、もうわずかな薄物が腰回りにまとわりついているだけのお雛さまのふとももを、
左大臣は両手で抱えて開いています。
顔は、ぴったりとお雛さまの足のつけねに押しつけているので見えません。
長く伸びた白い髭が、わずかに上下してるのが見えるだけです。
あんな場所に顔をつけていて、臭くないのかな。
私は自分がそんな場所の臭いを嗅がれる事を考えるだけで、恥ずかしくなってしまいました。
それに、左大臣のお髭のようなふわふわしたものでくすぐられたら、
我慢できなくて、おしっこを漏らしてしまうかもしれません。
その証拠に、お雛さまの内ももはてらてらと膠を塗ったかのように光っています。
透明な、とろりとした水飴のようなものが、後から後からお雛さまのお尻から流れ出て、
左大臣の髭を、脱ぎ散らした華麗な着物を、赤い雛壇を濡らしていきます。

かつかつと鳴る音が更に激しくなりました。
右大臣の腰がお内裏さまのお尻を叩く音です。
お内裏さまも右大臣も真っ赤で苦しそうな顔をしています。
そもそも、どうして主人である側のお内裏さまがお尻を叩かれているのか全く解りません。
お雛さまの腰にしがみつき、乳房に吸いつきながらも、
お内裏さまはお尻を突き上げるように右大臣の腰にぶつけます。
その拍子にはらりとお内裏さまの袴が落ちました。


317:ももまくら 5/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:32:57.00 hRnX0rML
そこに見えたものが何なのか、最初私は解りませんでした。
赤黒い、棒のようなものがお内裏さまの腰から突き出しています。
私の小指の先ほどの長さと太さしかないのですが、
お人形の身体に付いていると、ずいぶん不釣り合いで、大きく見えます。
お雛さまの、小さな白い手が、棒を握りました。

途端に、甘酒のような、白くてどろどろした汁が噴き出し、お雛さまを汚します。
大変、絶対に濡らしても汚してもいけないはずのお雛さまが、べちゃべちゃになってしまうなんて。
そんな私の心配を余所に、お雛さまとお内裏さまは抱き合い、
互いの身体を、着物を、髪を、白い汁で塗りたくっています。
明日、お母様になんて言えばいいのでしょう。
お人形同士が抱き合っていたら白い汁が出た、なんて言い訳で納得してもらえるでしょうか。

お雛さまたち四体の人形が雛壇の最上段で横たわり、
私が座る場所から何をやっているのかよく解らなくなってから、私は溜息をつきました。
これではとても“お人形に相談をする”どころではありません。
下の段に目を移してみれば、三人官女も二人しかおらず、身体をくっつけあってじゃれているようです。
日頃澄まし顔をした彼女たちが、
女学生のように身体をぶつけあったりほっぺたをくっつけたりしているのにも驚きましたが、
互いの袴をまくりあっているのは流石にやりすぎのような気がします。
長くて白い足を絡め合い、頬を桜色に染めて、戯れるニ体を見て、
そう言えばもう一体はどこにいるのだろうと疑問に思います。
仲間外れにされていたら、何だか可哀想です。

その下の段を見たとき、私は驚いて声を上げる所でした。
五人囃子がそろって袴を脱いで、お尻をまるだしにしていたからです。
私は彼らが背中を向けていてちょっとほっとしました。
いくら人形のものとはいえ、男の人のあれを直視する勇気は無かったのです。
五人囃子は、最初三人しかいないように見えました。
三人が中心を囲み、二人がその輪の中にいるようです。
その向こうに、長い黒髪と着物がゆさゆさと揺れています。
一体なにをやっているのかしら、と私は少し伸び上がりました。

318:ももまくら 6/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:34:08.12 hRnX0rML
私は今度こそ、押し殺した声をあげてしまいました。
三人官女の最後の一人は、その下の段にいたのです。
それと気付かなかったのは、並び立つ五人囃子に囲まれていたからでした。
しかも、三人官女は、いじめられているのです。
着物は完全に脱がされて裸になっていますし、四つん這いにされて、お尻を鷲掴みにされています。
そのお尻に五人囃子の一人が腰をかつかつと叩きつけていました。
その上、もう一人の五人囃子は三人官女の頭をつかみ、自分の腰に押しつけています。
何かを三人官女の口に押し込んでいるようです。

やがて、前と後ろの五人囃子はびくんと身体をふるわせ、
それぞれの腰からまた甘酒のような液体を吐き出しました。
甘酒とはまったく違う、磯臭いような匂いが広がります。
五人囃子が三人官女から離れ、私は彼らの腰にあるものを見てしまいました。
赤黒い棒がだらんと垂れ、白い汁にまみれています。
そのときになってやっと、私はそれがおちんちんである事に気付きました。
おちんちんである、という事は、あの白い汁はおしっこです。
三人官女の顔も髪も白く汚れ、半開きになった口元から飲みきれなかった白濁汁が伝っています。
女の子におしっこを飲ませるなんて。
あまりに酷過ぎます。

その間にも、次の五人囃子が三人官女の前に立ち、後ろで足を広げます。
後ろの五人囃子が自分のおちんちんを手に取り、三人官女の足の間にずぶずぶと差し込むのを見て、
怒るより前に呆然としてしまいます。
恥ずかしい話ですが、私はその頃、女陰の存在を知らなかったのです。
下半身にあるのはおしっこの場所と、お尻の穴だけだと思っていた私は、
ぬめぬめと輝く桃色の器官を見ても最初、それが自分にもあるものとは想像もできませんでした。
おちんちんが入っていく度に、官女はきこえぬ声でうめき、身体を震わせます。
私には傷口にものを差し入れていくように見えました。
こんな、酷い事は止めさせなければいけません。

私はぱっと手を伸ばすと、三人官女の身体をつかみました。
手のひらの中に、お人形の温かく、柔らかな身体があります。
まるで生魚のようにぬめり、もがく感触を気味悪くも思ったのですが、
そんな事を言ってはいられません。
なおもかじりつく五人囃子を弾き飛ばします。
彼らはきいきいと怒っているようですが、声は聞こえません。

319:ももまくら 7/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:35:27.49 hRnX0rML
私は自分の両手のひらに三人官女を包み込み、そっとのぞき込みました。
白い、瓜実顔の三人官女は、眉をわずかに寄せ困ったような顔で私を見つめています。
髪の毛はくしゃくしゃで白い汁がついていますし、衣を一枚だけ羽織って、
恥ずかしそうに足の付け根を手で隠しています。
「も、もう大丈夫だからね」
私の言葉にも、彼女は悲しそうな顔をして首を振ります。
私は足下をぴょんぴょん跳ねる五人囃子たちを叱りつけました。
「こんな事して、恥ずかしくないの!
うちのお人形が、こんな酷い事をするなんて、許さないから!」

途端に、私の足がさっと払われます。
あっと思った時には、仰向けに倒れていました。
かろうじて手を高く差し上げて、三人官女を押し潰す事は避けられましたが、
畳に打ちつけた頭がちかちかします。
その伸ばした手首を、つぅっと細い糸がくくりました。
手のひらの中から三人官女がこぼれて、ぽろりと私の鼻の上に落ちます。
磯のような、チーズのような嗅いだ事のない匂いに鼻をひくつかせると、
官女は泣きそうな赤い顔をしました。
しまった、人の匂いを嗅ぐなんて、お行儀の悪い事だったな、と思っている間にも、
私の身体には幾重にも細い糸がかけられ、気付いた時には畳に完全に磔になっていました。
しかも、足を組んだ形で縛られて、蛙の足のような無様な姿です。

「なにするの! 離しなさい!」
そう叫んで身体を反らせても、糸は切れる様子がありません。
私の視界の隅に、五人囃子の一人が立ちました。
何かを言っているようですが、唇をぱくぱくさせているだけで、私には解りません。
ただ、私の顔の上の官女が、それに興奮した様子で言い返しているのは解ります。
「……何を言っているの?」
そう尋ねると、官女は困った、泣きそうな顔でのぞき込みます。

視界の端の五人囃子が去り、私は自分のわき腹をくすぐられるような感触に驚いて顔を上げました。
官女が転げ落ちそうになって、かろうじて私の首元につかまります。
首を曲げて見える範囲では、五人囃子の一人が、私の腹に這い上がっていました。
彼が、大きく手を振ります。
同時に、私の腰で布がよじれました。
「だ、だめっ、やめてっ」
彼らは、綱引きのように力を合わせて、私の下着を脱がせているのです。

320:ももまくら 8/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:36:41.59 hRnX0rML
私の声もむなしく、下着はずり下げられてしまいました。
完全に脱ぐ訳でもなく、ももの半ばにひっかかったままの下着は、
まるで用を足す時のようで落ち着かない気分になります。
五人囃子たちは私の身体に上がってきて、ボタンをひとつずつ外していきます。
もうパジャマは腕にひっかかるばかりで、私の身体を隠すものは何もありません。
私のふくらみ始めた胸を、しげしげと官女が眺めていたり、
ぽっこりした腹の上で五人囃子が飛び跳ねたり寝ころんだりしていても、
止める事も隠す事も出来ないのです。


余程“はずかしいからゆるして”と言おうかとも思いました。
でも、私は何も悪い事はしていません。
それで謝るなんて、絶対に嫌です。
泣きそうになるのを、じっと目を瞑って我慢していた私は、
腰に当たる温かな濡れた感触に思わず悲鳴を上げてしまいました。
おもらしをしてしまったのか、と思うような温かい液体がじょぼじょぼと私の股を濡らします。
見れば、朱塗りの銚子から甘酒のような白く濁った液体が、私の股に注がれているのです。
もし、桃の節句の宴が行われていたら、それで甘酒を飲んでいたはずの銚子でした。
五人囃子たちは自分の身体より大きな銚子を持ち上げて、それを私の足の付け根にあてがっています。
自分の身体が白くてどろどろしたものに汚されていく事に、私は改めて嫌悪を感じました。

銚子の口が私の身体を探り、差し込まれます。
感じたことのない痛みに、私は声をあげました。
そんな場所、今までトイレットペーパー越しにしか触った事はありません。
それを、こんなよく解らないものを押し込まれて、しかも甘酒を流し込まれてしまっているのです。
同時に私は、自分の身体に“穴”があるという事に気付いて驚いていました。
こんなところに、穴があったんだ。
ここに、甘酒がどんどん、どんどん入っていく。
おなかが、たぷたぷになる。
甘酒はお酒だから、あんまり飲んじゃいけないのに。
きっと、酔っぱらっちゃったんだ。
身体がほかほかして、ふわふわして、おしっこの場所がすごく熱いのです。


321:ももまくら 9/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:37:55.39 hRnX0rML
「あ、あふれ、ちゃう」
声がかすれて、今までの自分の声と全然違います。
「あまざけ、あふれちゃう、こぼれちゃうよう」
こぼれないよう、腰を持ち上げてから、何でそんな事を心配しているのかと不思議に思いました。
それにもう、甘酒は畳一杯にこぼれて、私の尻の下も、背中もぐっしょり濡れてしまっているのです。
「あついぃ、おしりが、よっぱらっちゃったぁ」
舌が回らなくて、甘えたような声なのが恥ずかしく、私は泣きそうになりました。
そんな私の顔を、大丈夫ですよ、という風に
官女が撫でてくれます。

でも、どうしよう。
今まで、酔っぱらった事なんて、ない。
どうすれば、元にもどるの。

私は、自分の身体がまっぷたつになるような感覚に声を上げました。
「あっ、なに、いまの、なに」
痛い訳ではないのです。
私の内ももの薄い皮膚が、左右に引っ張られているのでした。
私の小指より小さな手が何本も、私の身体を左右に広げようとしているのです。
私は首を曲げて、自分の下半身で行われている事を伺おうとしました。

彼らはもう銚子を床に置き、今は私の身体を左右に開き、私の“穴”を大きく広げています。
私は自分の身体に、こんなに大きな空洞があったのかと驚いていました。
なみなみと、甘酒を注ぎ込まれたと思ったのに、まだ足りないと喉を鳴らすように下腹が蠢きます。
私は、この空洞を塞いで、一杯にして欲しいという事しか考えられなくなりつつありました。
その穴を更に広げられたら、飢えは増すばかりです。
「ひ、ひろげ、ないでぇ」
私の言葉とは逆に、彼らはなおも私の中心を引き裂いていきます。
「だめ、まんなかが、からっぽに、なっちゃう、からっぽなの、くるひぃよぅ」
まわらぬ言葉と共に、唇のはしから涎がこぼれます。
それを、官女がちゅうっと吸うものですから、恥ずかしさは増すばかりです。

322:ももまくら 10/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:40:01.26 hRnX0rML
首を曲げると、五人囃子は右脚にニ体、左脚にニ体、中央に一体と並んでいます。
左右の五人囃子は私の身体を引っ張っているとして、中央は何をしているのでしょう。
ただ、私の身体を観察しているのでしょうか。
考えてみれば、私は自分のそこを、じっくり見た事などありません。
自分より先に、他人にそこを見られてしまったのです。
それは、もしかして、ものすごく恥ずかしいことなのではないでしょうか。
「は、あぁっ、あうぅんんっ」
そう考えた途端、身体の奥から、とろりとした何かが流れ出します。
尿意に似た、しかしそれよりもっと緩やかで、深く身体を痺れさせる感覚に私は恐怖しました。
「は、あ、なに、とま、って、おもらし、やだぁ」
私の意志は身体にとどかず、こぽこぽとそれは、身体の中心からこぼれていきます。


左右の五人囃子たちは、両手をやわやわと開いたり閉じたりして、私の中心を揉み始めました。
もう私は息をはあはあと荒げ、身体をよじるばかりです。
苦しくて、恥ずかしくて、そして身体の飢えを満たしたくて、もう何も考えられません。
自分の股の間に、手鏡がしつらえられたのも、気付くまで大分時間がかかりました。
昼間、自分の顔を映して澄まし顔をして見せた手鏡は、
ぐちゃぐちゃになった私の身体の中心を映しています。
この、桃色の、ぬるぬるしたのが、私の身体?
唇のようにぽってりした肉を五人囃子たちは無造作につかんで広げています。
その奥の、さらに濃い桃色の穴奥からは、白く泡だった汁が、こぽり、こぽりと流れ落ちてきます。

私の穴の前に五人囃子が立ちます。
かがみこんで穴をのぞく五人囃子は、おもむろに顔を穴に押し当てました。
「あぁっ」
それまで感じた中で、最も強い衝撃が私の身体を襲います。
「か、かお、くっつけないで、やめて」
私の制止を聞かず、五人囃子は押し当てた顔をぐちゅぐちゅと左右に振ります。
私はこらえきれずに腰を揺らしましたが、かじりついた五人囃子は離れません。
股を襲った、裂けるような激痛と圧迫感に、私は悲鳴をあげました。
五人囃子は、私の中に、入ってこようとしているのです。


323:ももまくら 11/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:41:46.88 hRnX0rML
「や、やあっ、やだぁっ、こわいぃっ、やめてぇっ」
悲鳴を上げる私を、五人囃子だけではなく、全ての雛人形が見守っています。
「あ、あぅっ、たすけてぇっ」
お雛さまもお内裏さまも、右大臣も左大臣も三人官女も、黙って私を眺めるだけです。
何でこんなに意地悪なんだろう。
私、この人形たちに嫌われるような事したのかな。
ぼろりと流れた涙を、小さな手が拭いました。
あの三人官女が、私の頬に立って涙を拭っているのです。
彼女は私の頬をぽんぽんと叩くと、私の身体の下の方に向かいます。


私は首を曲げ、自分の身体を見下ろしました。
下腹が人形の頭でぽっこりと膨らんでいるのが解ります。
ごりごりと私の中心を頭が通っていくと同時に、
小さな手が私の膣内をかき回していくのが何ともおぞましく思えます。
しかも股の間では、まだ小さな脚がばたばたと振り回されているのです。
中からこぼれる汁は赤い色が混じり、私は自分の身体が傷つけられたのだと知りました。
このまま、身体に穴を開けられて死んでしまうんだ、と気が遠くなります。
三人官女はそんな、汗と汁と血にまみれた私の身体の上をすたすたと歩いていきました。

三人官女は五人囃子が身体を突っ込んでいる箇所の少し上に着くと、私の方を向いて腰を下ろしました。
何故か、びりっとした感覚が私の身体を走ります。
私は一瞬痛みを忘れて、三人官女を見つめました。
官女は薄物をまとったきりで、豊かな胸も、薄い毛の生えた股も全てむきだしです。
官女の腰を下ろした先は、私のまだ毛の生えていない股ぐらの、その先端につんと尖った部分でした。
今となっては、もちろんそこが何なのかわかるのですが、
膣の存在すら知らなかった当時の私には無理な話です。
ただ、その薄桃の膨らみを、官女が自らの腰とふとももで柔らかく愛撫し始めたら、
私は何も考えられなくなってしまいました。
それまでの痛みすら、私の頂点を高ぶらせる刺激のように思えて、
爪を畳に食い込ませて、身体を反らせます。

むっちりしたももで私の肉芽を圧迫していた官女は、やがて腰を上げて唇をつけました。
お人形の唇ですから、小指の爪の先より小さいはずですが、熱い針で刺されたようで私は声を上げます。
苦しく、痛く、熱く、官女の顔にべちゃっとした私の陰部が当てられているのが申し訳なくて
泣く私を慰めるように、官女はそこをさわさわと撫でます。


324:ももまくら 12/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:42:55.45 hRnX0rML
細い指がぽってりした肉の蕾を開き、私はそこに小さな豆のようなものがある事を初めて知りました。
そこに官女がちゅうっと口をつけるものですから、
私はもう身体の他の場所の事など考えられなくなってしまいます。
官女は口からすうっと涎を私の豆に落として、それを丁寧に手でまぶします。
冷たい小さな手にこね回される度に、私の豆は赤く膿んで膨れ上がるように思いました。
私の豆が、官女の涎をたっぷり浴びて、つやつやと輝きます。

桜色に頬を染めた官女に、上目遣いに見つめられて私はどきりとしてしまいました。
たしかに官女は綺麗なお人形でしたが、こんなに綺麗だったでしょうか。
綺麗だけど、お雛さまに比べれば地味で、目立たない人形だったはずです。
それが、人目見るだけでどきどきして、ぎゅっと抱きしめたいような人形になってしまったのです。
雛壇なんかに飾らず、自分の机の引き出しにそっとしまっておきたいと、私は思ってしまいます。

官女が何かを問うように私の顔を見上げた時には、
私はもう何がなんだか解らなくなってしまっていました。
何をされてもいい、とがくがく首を縦に振る私に官女はふんわりと微笑み、
自らの女陰を私の豆に合わせました。

その後の事は、断片的にしか覚えていないのです。

私の腰の上で、髪や胸を振り乱す官女と、まるで身体がつながって、
あそこから生えているように思えた事や、
自由になった右手で、撫でさすると指先に歯形をつけられた事、

私の中を代わる代わる休みなく、人形たちが押し入り、小さな手で襞の隅々まで探っていった事や、
私の乳首を他二人の官女がくりくりとこねあげ、どちらが固く出来るかを競っていたり、
私の痴態を余所に、お雛さまとお内裏さまと左大臣右大臣は行為に没頭していて何だか腹が立った事、

などがせいぜいで、後は絶え間なく襲い来る絶頂に頭を真っ白にしてよがり狂っていただけでした。

何度も、何度も、もう無理だと言ったのに、その度に私の豆を官女の女陰がきゅうっとしめつけます。
そして彼女が、泣きそうな顔で首を振るとき、私は我慢できなくて腰を何度も何度も突き上げていました。

障子から射す月の光が、私の身体を白く照らしました。
腹の上には官女がうつ伏せに横たわって、長い黒髪を広げています。
私の視線に気付いた官女は、顔を上げて微笑み、私のおへそを優しく撫でてくれました。

その晩で覚えている事は、それが最後です。


325:ももまくら 13/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:44:30.28 hRnX0rML
翌朝、白々とした朝の光に目覚めた私は、慌てて辺りを見回しました。
雛人形の前で力尽きたはずなのに、気付いたら自分の寝床で、衣服に乱れもありません。
夢だったのでしょうか。
確かに決して現実ではありえない有様でしたが、夢と片付けるにも生々しく、
私はしばらく寝床の中で呆然としておりました。
ふと、指先の痛みを感じて、私は右手を見つめます。
右手の人差し指の先に、小指の爪よりも小さな歯型と、
針で刺したような大きさしかない十本の指跡が、くっきりと残っておりました。

私は慌てて飛び起き、両親に挨拶する前に雛人形の間に走ります。
部屋の前に立つと何だか怖くなり、私はそうっと襖を開けてのぞきこみました。
雛壇の上のお人形たちは、何もありませんでしたよ、と言わんばかりのすまし顔です。
確か、夜最初に覗いた時もそうだった、と私は忍び足で部屋に入り込みます。

中央に立ち、雛壇の前に正座しても、なんら変わった様子はありません。
白濁液にまみれていたはずのお雛さまもお内裏さまも、まったく穢れのない姿ですし、
どの人形も脱ぎ散らかしていたはずの衣服をきちんと着こんでいます。
私は念のため、お雛さまの十二単をつついてみましたが、
かちかちと硬く爪を跳ね返して、到底脱げそうには見えません。
私は昨日交わった、あの三人官女……右側でお銚子を手にして立っている人形を見つめました。
彼女も他の人形と同じく、何も起こらなかったようなすまし顔です。
ただ、髪の毛がほんの少し乱れていて、私はちょっとどきどきしながら整えてあげました。

寝巻きのまま雛壇に向かい合っている私を母親がとがめ、私は後ろ髪をひかれるような思いで部屋を出て、その日一日、何も手に付かず、雛人形の間をちらちら眺めながら過ごしました。
夜、両親が寝静まってから、私は忍び足で雛人形の間に向かいます。
襖を開けて外から見ると何の変わりもないのですが、雛壇の正面に座ると光景は一変しました。


326:ももまくら 14/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:48:36.03 hRnX0rML
相変わらずの遊びを続けるお内裏さまたちと、
身体をくっつけあってくすくす笑いあっている二体の三人官女、
そして、五人囃子と最後の三人官女はと言えば……
しょんぼり肩を寄せ合っている五人囃子の前に官女は立ち、がみがみと叱り付けているようです。
官女は私に気付くとぽっと頬を染め、私の前に引っ立てるように五人囃子を連れてきました。
私は自分の前で土下座をする五人囃子たちと、それを睨む官女を見て、
どうやら彼女は人形たちにいじめられていた訳ではなく、立場が下という訳でもないと気付いて、
ほっとしたり、では昨日やられていた事は合意の上であるのかとちょっと呆れたりもしました。

三人官女が目を潤ませ、背伸びをして私を見つめます。
私は彼女を掬い上げて、顔の前に持ってきました。
彼女の紅い頬を見ていると、自分の頬も熱く、紅くなっていくのを感じます。
官女はちょっと目を逸らしてもじもじした後、ちゅうっと小さな唇で、私の唇に口付けました。
小さな唇は熱く、酔わせるようで、
私が官女の着物を脱がせて全身に舌を這わせるまで、さして時間はかかりませんでした。


そんな風に十日ほどが過ぎて、叔母がまた、私の家にやってきました。
雛人形の片付けを手伝うためです。
叔母は“この子達に会うのも、久しぶりねえ”と笑いながら、手際よく人形を薄紙でくるみ、
箱に収めていきます。
本当はお手伝いしなくてはいけない私は、じっと箱の中の彼らを眺めていました。
箱の中にあの三人官女が、お雛さまが、
あんな事があったにも関わらず、何となく仲直りをしてしまった五人囃子が消えていきます。
叔母は、私の頬を撫でて微笑みました。
“この子達も、ずっと外ではしゃいでいたら疲れちゃうわよ。お休みさせてあげないとね”
私の頬がちょっと痩せていたのも、恥ずかしさに真っ赤になっていたのも、
叔母は気付いていたのでしょうか。


そして、また桃の節句がおとずれました。

私が夜訪れたのは、いつも雛人形を飾っていた部屋ではなく、物置代わりの部屋でした。
この部屋に雛人形たちは仕舞われているのです。

その年は、節句の宴は行われず、そして、雛人形たちも飾られませんでした。

327:ももまくら 15/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:51:43.57 hRnX0rML
私は記憶を頼りに自分がすっぽり入るほどの大きさの箱を探り当て、
その横にそっと腰を下ろします。

「ねえ」
当然、返事などはありませんが、私は言葉を続けます。
「私、あなたたちと、お別れしなくちゃいけないの」
しん、と冷たく埃っぽい部屋に声が響きました。
「お父さまの会社が、駄目になってしまったの。
去年からずっと頑張っていたけど、どうしても無理だったそうよ。
このお家も、あなたたちも、別の人に売るしかないのですって」
私はつん、とした鼻をすすり、努めて剛い声を出します。
「私も……別の、お家に引き取られる事になったわ」

私は、次の言葉を口に出すのを躊躇いました。
口にしたら、恐ろしい懸念が現実になってしまうように思えたのです。
「私、お父さまとお母さまがけんかしているのを聞いてしまったわ。
私を引き取る人は“評判のよくない”人なのですって。
そんなところに私をやるなんて“身売りも同然”だって、お母さまが、
お父さまは“じゃあ、家族で首をくくれとでも言うのか”って、怒って」
声が震えます。私は流れそうになる涙を必死に堪えました。

「私、もう知ってるわ。
身売りって、あなたたちとした事を、知らない人や嫌な人ともさせられる、って事でしょう?
でも、もう一つ、知っている事もあるの」
私は、掌を箱に当てます。
「あなたたちとした事は、本当は大好きな人としかしちゃいけない事で、
しかも、それを最初に、大好きな人と出来る、というのはとても、素晴らしい事なんでしょう?
私は、初めてを、あなたたちと、したわ。
大好きな、あなたと。
だから、もう大丈夫って事よね?」

顔を押し当てた箱に、涙の跡が付きます。
私はそのまま、夜を箱の隣で過ごしました。
母は私が落ち込みの余りにそんな奇行をしたと思い、ずっとおろおろしていましたが、
私は平静に、そしてその前よりもずっと立ち直っていたと思います。
なぜなら、箱の向こうでは、ずっと彼らの笛や、鼓が奏でられていたのですから。
あの日、私の頬を撫でてくれたのと同じ手が、
ずっと箱の向こうから撫でていてくれたのを感じていたのですから。
もう大丈夫だ、と私は考えました。


それから長い時が経ち、私が次に、あの人形たちと再会したのは、勤めていたお屋敷でのことです。

328:ももまくら 16/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:56:47.51 hRnX0rML
その時の気持ちを、なんと言い表せばいいのでしょうか。
再会の喜びと、彼女たちがもう自分のものではない絶望とがない交ぜになって、
私は思わず涙を流してしまいました。
襖の向こうでは、かつてと同じように人形たちが愛らしい姿で座しています。
ほんの一度でいい。
触りたい。
撫でたい。
連れ去ってしまいたい。

胸の中で荒れ狂った嵐を押さえ、私は目元を拭います。

「何故泣いているの」
襖の向こうから響いた声に、私は考える事なく答えてしまいました。
「そのお雛さまは、むかし、わたしが持っていた……」
その辺りではっと気付きます。
これは、決して、一介の女中である私が口にしていい事ではありません。
「……私が持っていた物に似ていて、懐かしくなってしまいました。
お見苦しいところをお見せして、申し訳ありません」
すっと襖が開き、そこに立っているのは華やかな振り袖の少女です。
下働きの私は初めて顔を合わせたのですが、この家のお嬢さまである事は見当がつきました。
つややかな黒髪に、小さな白い顔。
きつい表情をのぞけば、雛壇のお雛さまの一人と見違えるような、整った顔立ちをしています。
お嬢さまは冷たい顔で私を見やった後、ぽつりと呟きました。
「そうね。あれは、あなたの雛人形かもしれないわ」

女中を始めてから知った事なのですが、人は自分の周りしか見えないし、聞こえないものなのです。
仕事を始める前は、お屋敷暮らしのお嬢さまや奥さまをうらやんだりするのでは、
と密かに心配しておりましたが、
日々の暮らしに追われていてはもう別の世界の住人にしか思えませんし、特にくやしいとも思いません。
そして向こうも、私の事を気付いてもいないのです。
だからと言って、こういう話を耳にしてしまった時、何事もなく忘れるのは難しいものでした。

“立派なお雛さまだったわね”
“お雛さまは、ね”
“我が家に代々伝わる、なんて言うから、笑いをこらえるの、大変だったわ。成金のくせに”
“そういえば、あのお雛さまって、もしかして……”

かつての私も、彼女たちと同じだったのかもしれません。
雛祭りの宴の後、笑いさざめくご令嬢たちの背を眺めながら、何ともうそ寒い気持ちがしたのです。


329:ももまくら 17/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/25 23:58:24.44 hRnX0rML
雛人形の間に足を運んだのは、何故か胸がざわついた為でした。
襖を細く開けると、夕闇にお雛さまの白い顔が点々と浮かび上がっているのが見えます。
気のせいだった、と胸をなで下ろした私はすぐに気付きました。
白い顔が、一つ足りません。
あの、右側の三人官女だけがいないのです。

私はすっかり取り乱して、襖を開け放ってしまいました。
同時に、ひっと息を飲む声が耳に届きます。
襖の影に、お嬢さまが立っていたのです。
お嬢さまの手には三人官女が握られ、今にも叩きつけられようとしていました。

お嬢さまも、まさか私に見つけられようとは思っていなかったのでしょう。
目を大きく見開いて、まじまじと私を見ておりました。
「あの、お嬢さま。何をなさっているのでしょう?」
私の問いで、ようやくお嬢さまは我に返られたようです。
綺麗な顔を歪めて、唇を笑みの形にして答えられました。
「何って、これからお人形を壊すところよ」

「お止め下さい!」
血の気が引いた私の前で、お嬢さまが嘲笑います。
「女中風情が生意気を言うのね。これは私のものよ。壊しても構わないでしょう?」
「で、でも」
私は涙ぐんでいたかも知れません。
でも涙でぼやけた視界でも、お嬢さまの目からぽろぽろ涙がこぼれているのが解りました。
「それとも、あなたも、どうせ私のものじゃないって笑うの?
私だって、こんな人形、欲しくなかったわ!
それを、お父様が買ってきて、家に伝わるものですなんて言うのよ。
そんな嘘、誰も信じる訳ないのに!
こんな、こんな恥ずかしい思いするくらいなら」

私はそっと、お嬢さまの手を握ります。
その手から三人官女がぽろりと落ち、畳に転がったのを気にかけなかった訳ではないのですが、
私はお嬢さまの瞳から目を離しませんでした。
「お嬢さま」
私の声に、お嬢さまはびくりと身体を震わせました。
「この子たちは、あなたのお人形です。
壊したいとおっしゃられるなら、私には止める事は出来ません。
ですが、きっと、この子たちはそれを望みません。
もっと、お嬢さまにお仕えしたいと思っているはずです」


330:ももまくら 18/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/26 00:00:00.19 VjNtyqwY
「そんなわけ、ない」
お嬢さまは俯いて目をそらします。
「お高くとまって、わたしを見下してる」
「いいえ」
気がついたとき、私はぎゅうっとお嬢さまを抱きしめて、耳元に囁きかけていました。
「どうか、どうか一晩、お考えください。
きっと、この子たちがお嬢さまを好いているとお分かりいただけるでしょうから」


自分でも、何故そんな事を言ったのか解らないのです。
でも、そうするべきだと思いました。
もしかしたらそれは、私の足下に転がった三人官女が、私にやらせた事だったのかも知れません。

私が身体を離すと、お嬢さまは三人官女を掴んで乱暴に雛壇に置き、
一度私を睨んでから部屋を出ていきました。

私はため息をつきます。
これで、ここでのお仕事は駄目になってしまったようです。
また次のお勤めを探さなければいけません。
「あなたたちが雇ってくれないかしら」
そう言いながら私は、三人官女の乱れた髪を直し、綺麗に向きを直して部屋を出ました。

翌朝、朝食の支度を終え、お膳を出そうとしたところで、女中頭から声をかけられます。
お嬢さまのお呼びだ、と言われれば見当はつきました。
深呼吸をしてから、お嬢さまの部屋の扉をノックします。

お嬢さまはまだ寝間着のまま、着替えてもいませんでした。
私の顔を、わずかに涙をためた赤い顔でにらみます。
ああこれは、悪いことになってしまったかも、と私は内心青くなり、
あの悪ガキの五人囃子は捨ててしまった方がいいのかも、と心の中で毒づきました。

「あの」
お嬢さまは真っ赤な顔で口ごもり、私たちはしばらく黙ったまま向かい合います。
「ど、どこか、お加減の悪いところはございますか?」
私はとんちんかんな事を言っていると思いつつも、他に言葉が見つかりません。
「べ、べつに! ど、どこも悪くないわ!
いつも通りよ」
お嬢さまはつっかえながらも言い返します。
「あと、痛いところもないし、そ、それに、わたしだって、あれくらい、知ってたわ!」
「知ってた?」
私の問いに、お嬢さまの顔は更に赤くなります。
「と、とにかく、何でもないって話よ。解ったらでてって!」
解ったかと言われれば何も解らない気はしますが、私は一礼し部屋を辞そうとします。


331:ももまくら 19/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/26 00:03:38.38 hRnX0rML
「待って」
お嬢さまの小さな手が、私のスカートを掴みました。
俯いたまま口を開きます。
「ねえ、あなたの、ときは」
声が小さく、よく聞き取れません。
お嬢さまはやがて、やけになったように叫んでから、扉を閉めました。
「やっぱり、あんな人形大嫌い!
今日、じゃなくて、明日には仕舞い込んでちょうだい!」


そんな風にして、その年の節句は過ぎました。
付け加えるなら、結局お嬢さまの命令で雛人形を仕舞うのは何度も延期され、
三月の中旬を過ぎてからになった、ということ位でしょうか。

次の年も、その年とさして変わりませんでした。
節句の宴は盛大に執り行われ、
ご主人さまは変わらずに我が家に伝わる雛人形だと語って密かに失笑を買っていました。
変わったのは、お嬢さまがもはやそれを気にしていなかった事と、
私がお嬢さまのお側仕えになっていた事です。
何故か私はお嬢さまに気に入られていると見られており、そのお役目を授けられる事になりました。
気に入られている訳でも、相性が良い訳でもなく、
お嬢さまは私に対しては気まずくて強く出られないだけなのでしょう。
お気に召さなければ、いつでもお役目をお解き下さいと申し上げたのですが、
人に弱みを見せるのを嫌うお嬢さまは私を睨むだけでした。

その年も、お雛さまをしまうのは中旬を過ぎてからでした。

その次の年、お雛さまを飾る私の背に、お嬢さまは声をかけました。
「ずっと、これを飾っておければいいのに」
振り向く私に、初めて出会った時より背が伸びて、美しくなられたお嬢さまは笑いかけます。
「雛人形をしまうのが遅れると、婚期が遅れるのでしょう?
だったら、ずっと出しておきたいわ」
お嬢さまに、縁談が来ているのです。
相手は、二十も年上でした。

お嬢さまは、右端の五人囃子の頭を撫でます。
何故か、お嬢さまのお気に入りはこの子でした。
私は“お気に入り”が被らなかった事を喜ぶべきか、ちょっと悩んだりもしたのです。
「雛人形って、何で飾るのかしら。
こんなもの、ただ綺麗で楽しいだけなのに。
飾っていい事がある訳でもないのにね」
お嬢さまの笑みは苦いものでした。
「お人形が不幸を引き受けてくれるなんて、嘘ばっかり。
大体、あなただって、そうでしょう?
こうして、わたしなんかに、こき使われているんだから」


332:ももまくら 20/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/26 00:05:10.54 VjNtyqwY
「いいえ」
私を見つめるお嬢さまは、初めて出会った時のような、きつい瞳をしていました。
「負け惜しみなの?」
「違います」
私はほう、と息をついてから、話し始めました。
「父の家業が失敗してしまった時、私は身売りをさせられる寸前でした。
そうでなければ、思い詰めた父は心中をしていたかもしれません。
でも、私は女中とは言え自由の身ですし、両親も元気に暮らしています」
「それが、雛人形の力だと?」
皮肉っぽく笑うお嬢さまを、私はまっすぐに見つめます。

「たまたまかも知れませんね」
私はふっと笑いました。
「私は、身売りされるならされるで、黙って耐えようと思っていました。
でも、あの子たちと別れた後に、少し考えが変わったのです。
もっと、自分の好きなように、思い切ってみようかな、と。
だって、あの子たちって、まるっきり好き勝手じゃないですか。
お雛さまとお内裏さまは変態だし、五人囃子はお猿みたいだし、他の子たちも似たようなものだし。
なのに、私だけが難しい顔で泣きべそをかいているなんて、馬鹿みたいで。
それで、両親に言ってしまったんです。
どうせ身売りするなら、出来るだけ高く売れる所にして欲しい。
そこで私は売れっ姐になって、家も会社も、何もかも取り戻してみせる、と。
両親は真っ青になって泣き出してしまいましたが、逆に冷静さを取り戻したみたいです。
結局、被害を最小限にして事業を畳んで、田舎で暮らしています。
私の方はこうして奉公して、現在に至る、という訳です」

私は震えるお嬢さまの手を包み込みました。
「私が子供の頃、言われた事があります。
困った事があったら、お人形に相談してごらんなさい、と。
この子たちに、そういう物事を解決する力があるのかは解りませんが、
私の時は、良い方に変わりましたから」
お嬢さまはじっと、少し頬を染めて私を見上げていました。


333:ももまくら 21/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/26 00:08:10.55 VjNtyqwY
その夜の事です。

私はぴたぴたと、なにか小さなものが頬に当たる感触で目覚めました。
薄目を開けると、まだ辺りは暗く、カーテンの間から月の光がわずかに差し込んでいます。
寝直そうと目を閉じると、また、頬をぴたぴたと叩かれます。
私の小指ほどの大きさの、ちいさな掌で。

慌てて目を開けると、私の顔の上に、あの三人官女が座り、ぴたぴたと頬を叩いているのです。
私は夢を見ているのかと、目をぱちぱちしてしまいました。

髪の毛を引っ張られ、私は小さく悲鳴を上げてしまいます。
見れば、他二人の官女も私の周りに集まっているのです。
何事かと思いますが、尋ねても人形たちが答えられないのは解っているので、
私はとりあえず、起きあがって見ました。
三人官女たちは、ちょこちょこと扉の前に立ちます。
「開けろって、事?」
三人がこくこく頷きますので、私は扉を開けて、そうっと廊下を伺います。
真夜中の暗い廊下には、誰もいないようです。
私は胸をなで下ろしますが、人形たちは頓着せずに廊下を歩き出し、こちらを振り返りました。
私はおどおどと彼女たちに続きます。
もし他の使用人に見られたら、何て言ったらいいのかしら、と思いつつ辿り着いたのは、洗面所です。

官女が身振りで、顔を洗うように示しましたので、私は冷たい水に震えながら顔を洗いました。
頭の隅にあった眠気が洗い流されて、この夢が冷めてしまうような気がしましたが、
相変わらず視界の隅には官女たちがいます。
私が顔を拭くやいなや、彼女たちは飛びかかってきました。
一人が私の髪を梳き、他の二人が化粧水と白粉で私の顔をはたきまわって、
あっという間に身支度が整えられていきます。
皆、自分の身体より大きな櫛や脱脂綿を持って飛び回っているのに、
私が自分でやるよりずっと綺麗になっていくのです。
毎日、これをやってくれたらいいのに、と内心思いました。

すっかり、綺麗になった私を連れて、三人官女は雛人形の間にやってきました。
しかし、赤い雛壇は空っぽで、人形たちの持ち物が残されているだけです。
そして、雛壇の前に床がのべられているのを見て、ようやく私は飲み込めたのでした。


334:ももまくら 22/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/26 00:10:19.14 VjNtyqwY
そうは言っても、想像もしていなかった事態に、私は座り込んでしまいました。
三人官女は心配そうな顔で、私を見上げます。
「その、これは、そういう事?」
私の口からは、要領を得ない言葉しか出てきませんでしたが、官女たちは頷きます。
「でも、なんで、だって、好きなのは、私じゃなくて、あなたたちでしょう?
あの五人囃子の子とか……」
官女たちは首を横に振ります。
うち一人は、呆れたという風に肩をすくめました。

そうだったんだ、どうしよう。
いくら考えても解らなくて、頭がくらくらしてきました。
その私の肩に座って、心配そうにのぞき込んでいるのは、あの日、私が助けた官女です。
小さな瞳が、少し潤んでいるようでした。
「あのね」
私は、小さな官女がびっくりしないように、そっと声を押さえて話しました。
「私、今でも、あなたがすきだよ。
他の子たちも、すき。
でも」

ああそうか、と私は自分の胸の中に気づきます。
「お嬢さまを、幸せにしてあげたいの。
あの人が、泣いているのが、我慢できない。
あなたが私にしてくれた事を、あの人にもしてあげたいの。
怒ってる?」
彼女は首を横に振り、にっこりと微笑みます。

彼女がぴょんと、私の肩から飛び降りると同時に、細い笛や太鼓の音が耳に届きました。
楽しげな調べが、だんだん近づいてきます。
私はその調べの中に、ひたひたと潜められた足音が混じっている事に気付きました。

調べと足音は、襖の前でぴたりと止まります。
少し間があって、襖はするすると開けられました。
私は襖を開けている右大臣と左大臣の腕力にちょっと感心します。
その前には五人囃子が楽器を構え、ちょっと得意そうな顔をしていました。
その更に向こうには、お雛さまとお内裏さま。
夜見る時は、大体やくたいのない事をしている二人が、珍しくすました顔です。
そして、その向こうに立っているのは、
綺麗な振り袖に身を包んで、真っ赤な顔をしたお嬢さまなのでした。


335:ももまくら 23/24 ◆vpePLp7Z/o
12/03/26 00:13:01.59 VjNtyqwY
私は、恥ずかしさにいたたまれずに身体をすくめました。
大体、化粧はしてもらったものの、身につけているのは、いつもの寝間着一枚です。
しかも一番上のボタンが外れていて、胸元が丸見えでした。
言ってくれたら、もっと気の利いた格好をしてきたのに、と八つ当たりをしたい気分です。
それ以前に、自分がここにいるのは何かの手違いなんじゃないか、という気さえしてきました。

お嬢さまは私の前で立ち止まると、怒ったような顔で私を見下ろします。
私の方は、どうしたら良いのか解らなくて、黙ってお嬢さまを見上げていました。
何か言わなきゃと思った辺りで、お嬢さまが先に口を開きます。
「あの、わたしと」
そこまで言って、お嬢さまは詰まりました。
口を半開きにしたまま、ぷるぷると震えています。
「お嬢さま」
「ちょ、ちょっと、待って」
お嬢さまはぎゅうっと目をつぶって、歯を食いしばってうなり声を上げた後、早口で続けます。
「おまえは、いやだろうし、
いやなら、しかたないし、
だ、だめなら、あきらめる、
けど、わた、わたしと」

私はお嬢さまの桃色の頬を、つややかな唇を、涙のたまった長いまつげをぼんやりと眺めていました。
この人を、自分のものに、していいんだ。
髪を撫でたり、ほっぺたをくっつけたり、ぎゅうっと抱きしめてもいいんだと思うと、
胸が痛くなるような気がしました。

「わたしと、ひなまつりを、して」

お嬢さまは一息に言い切ってから、べそをかいた顔になります。
「あ、あ、今の、間違い、ひなまつりって、わたし、なにいってるんだろう、つまり、その」
私は、お嬢さまの手を引きました。
ふいを突かれた彼女は、ぺたりと布団に座り込みます。
「じゃあ、します、ひなまつり、を」
私もそれだけ言うのが精一杯で、
後はただ、お嬢さまを抱きしめて口づける事しか考えられませんでした。



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