パワポケでエロパロ22 ..
573:名無しさん@ピンキー
11/11/09 00:41:23.32 NZ+LfwsI
乙です。halloweenがharowinになってるのはわざと?
574:名無しさん@ピンキー
11/11/09 00:54:32.72 lWjnH8CH
>>573
どうにかそれぽい理由付けを考えてみましたが無理でしたw
ただのミスですね。修正しておきました、御指摘ありがとうございます。
575:名無しさん@ピンキー
11/11/09 22:59:25.86 H4lOOW1c
このシリーズは安定して甘いねえ、GJ
576:名無しさん@ピンキー
11/11/10 06:05:53.73 FQ7ab0kw
書く時に、主人公のキャラ付けをどうしようか毎回迷う。
全シリーズ別人ではあるけど、明確な個性がある訳では無いし…。
8主、9主、10主あたりは設定が設定だから、まだ指針があるけど。
…まぁゲームでも彼女毎にキャラ変わるから、それに合わした感じにするのが無難か。
577:名無しさん@ピンキー
11/11/10 17:08:06.05 aIK5ar+X
彼女イベントとか仲間イベント見てれば主人公のキャラ付けって方向性ぐらいは見えてくるもんじゃね
それに合わせれば良いと思うが
578:名無しさん@ピンキー
11/11/10 22:34:24.06 VaGe6ONX
でもいざエロになると普段とのギャップ型か普段の延長型か悩む。
579:名無しさん@ピンキー
11/11/11 00:21:13.77 u0N2mA21
どうやったって本物にはなれないから強引グマイウェイで構わないと思っているな、俺は。
それに悩んでる暇があれば両方作って寝かせた後良さそうなの落としたほうが千倍マシ
580:名無しさん@ピンキー
11/11/11 19:46:42.60 W29LWOky
嫉妬深いキャラって誰だろうね。浮気したらめちゃくちゃ怒りそうなの。
逆にすぐ許してくれそうなちょろいキャラも知りたい。
581:名無しさん@ピンキー
11/11/11 20:17:12.98 DDmuczkB
漣は主人公とカオルが仲良さげに話してるだけで好感度が下がるくらい嫉妬深い
ちょろいっていうか紫杏は二人までなら許すって言ってる
582:名無しさん@ピンキー
11/11/11 21:05:31.73 3U6qGxcW
二人までなら許す→走力-5だから許されない
583:名無しさん@ピンキー
11/11/11 21:18:49.55 7AXPHsSx
一応紫杏は許してたじゃないかwカズと朱里が許さなかっただけで
恵理はたぶんちょろいな。恋人が他にいると思っても、怒るより振り向かせようとしてたし
・・・追い詰めすぎるとヤバイ方向に行くけど
584:名無しさん@ピンキー
11/11/11 21:20:08.99 W29LWOky
カズとアカリで二人という説もあるね。
イベントで言えば、維織さんも嫉妬イベあったなぁ。
というか緑髪は全体的に浮気とかしたらヤバそう。さらとか特に。
でも麻美は「その中でもお前が一番だよ」とか言っとけばころっといけそうだw
585:名無しさん@ピンキー
11/11/11 23:57:38.03 pzb0kTPG
漣や五十鈴、瑠璃花は嫉妬深そうな印象があるな。
586:名無しさん@ピンキー
11/11/12 00:00:59.31 4ajhHM4P
リコは意外と泣き出しそう
587:名無しさん@ピンキー
11/11/12 00:11:11.43 a+WjHDaX
リコは精神的には脆いからなあ
「あたしじゃダメなの?」とかいって泣きついてきそう
588:名無しさん@ピンキー
11/11/12 00:38:16.63 UDRG3+mK
紫杏の2人までって
ムーミン、カズor朱里(イベントで手伝った方)、妙子(3人目、報復)
だと思ってたんだが・・・
589:名無しさん@ピンキー
11/11/12 01:37:10.41 aIhwhxH8
どうも、>262〜308に投稿した作者です。
>262〜308の続きの中編が完成しましたので掲載させていただきます。
前後編の二部作にするつもりでしたが、思ったより長くなったので中編を作った次第であります。
※今回も陵辱描写注意。
590:名無しさん@ピンキー
11/11/12 01:40:29.53 aIhwhxH8
前回までのあらすじ
木村冴花は、プロの世界へと進んだ小波を手助けしたかった。
超高校級の実力を以て混黒高校を撃破し、甲子園で旋風を巻き起こした小波と言えど、
プロの一年目にいきなり名を轟かすような活躍はそうそう出来るものではない。
そんな彼が野球で苦しんでいるのを、冴花は黙って見ていられなかった。
高校時代から付き合いを始めてから現在まで、相思相愛の仲を築き上げてきた愛しい人の
力になってあげたいという強い願望があったからだ。
その結論として、球場まで足を伸ばし、敵チームの戦力を偵察するという行動に至ったのだった。
かつて優秀な野球部マネージャーとして名を馳せた彼女にとってそれは苦ではなかった。
だがその帰り、混雑した電車内で油断した彼女は、車内に人が居なくなる隙を狙った痴漢達に遭遇する。
二人の男達の手馴れた手つきに、彼女の体は翻弄される。
絶世の美女と讃えられた母親譲りの豊満な肉体は、完全に男達の性欲達成の玩具と化した。
愛しい人にしか抱かれた事のない、彼女の無垢な心は千々に乱れる。
痴漢の域を越えた男達のプレイ。とめどなく湧き上がる官能に必死に耐える冴花であったが、男達の容赦ない責めの前に、
とうとう望まぬ絶頂を与えられてしまう。それは青天の霹靂。
他の男に気を遣ってしまったという事実に、彼女は大いに困惑し、そして涙した。
最愛の人への想いを汚されたショックに身悶えするような悲壮が溢れ、彼女の心を一層苦しめる。
しかしそれでもなおも男達は迫った。冴花の体の全てを支配しようと。
591:名無しさん@ピンキー
11/11/12 01:43:36.06 aIhwhxH8
「さぁ、挿入させてもらうぜぇ……!」
(もう、だめ……ごめんなさい、小波君……っ)
男に自らの胎内へと押し入られる最後の一瞬、頭の中に彼の姿が浮かんだ。自然と大粒の涙が溢れて、頬を伝い滴り落ちていった―。
……その時だった。
「Reciprocal affection」中編
「んんっ!んはあああぁぁっ!!!」
冴花の体を激しく電流が貫いた。堪えられるはずもなく、大きな声が口から溢れ出る。
バックから男の剛直が、彼女の膣へと押し入ったのだ。
胸と秘所への愛撫によりたっぷりと分泌された愛液は、彼女の膣内を豊潤に湿らせていた。
潤滑剤を存分に含んだ彼女のそこは、男の分身をいともあっさりと受け入れてしまった。
「くはぁ、こいつぁすげぇ締まるぜ……名器なんじゃねえか」
剛直を完全に膣の奥へと挿入させた背後の男が、息を荒げながら言う。
「んやっ、あぁ、んん!や、やめ……なさい!抜いてっ!」
ガムテープの半分剥がれた口で冴花は男達へ怒鳴った。今の彼女には、こうして口で抵抗することしか出来ない。
電車の床に四つん這いにされた冴花は、痴漢二人組のもう片方に、体をその状態のまましっかりと拘束されている。
二人一組で、痴漢行為を行うこの男達にとっては手馴れたものだった。
片方が女性の身体をまさぐり、もう片方が身動きの取れぬよう拘束する。
男性に比べ体力の劣る女性は、一人の拘束役がいれば抵抗ができない。男達は今までこの連携で、幾人もの女体を攻略してきたのだ。
592:名無しさん@ピンキー
11/11/12 01:46:15.95 aIhwhxH8
「ふへへ、さあぁ動くぜ」
バックの男が興奮した声で言うと、ピストン運動を始めた。
それは初めから男の全力で容赦なく行われた。挿入される女性をいたわることなどない、
ただ男の性欲の赴くままに、激しく前後に出し入れされ、冴花は悲鳴を上げた。
「ひぁ、あぁあ、ん、あッ、ん!んぁう!いぁああ!」
男の絶え間ないピストンに、冴花は頭の中がかき回される思いがした。
強烈な刺激を受け、無理矢理にされているはずなのに、膣内は熱く燃え、今まで以上の快感を冴花にもたらす。
いくら否定しても、それはもう紛れもない。見ず知らずの男を、受け入れてしまっている証だった。
(認めたくない、信じたくない。こんな私を……こんな、こんなっ……!)
官能で荒波に揉まれる頭の中で、冴花は思った。
胸を、秘所を弄ばれ、そして今、はっきりと男により、女の最も大切な部分を犯されている。
つい先刻までは、恋人にしか見られたことのなかった、彼女のあられもない女の姿を、他の男により暴かれている。
冴花の頭の中は、もうそのことで一杯だった。
もう抵抗することも考える余裕すらない。ただひたすら、望まぬ男に与えられる快楽を、その身で受け止め続けるだけ。
快楽の余りしなやかな身を捩り、男の性を奮わせる艶めいた矯声を上げる。
その姿は、女性的本能が官能を悦んでいることそのものであった。見ず知らずの男に抱かれ、そこに悦びを見いだしてしまっていた。
知性溢れる努力家で、ちょっぴり素直じゃない普段の木村冴花の姿はそこにはない。
今の彼女は性行為を、そしてそれに伴う快楽をむさぼる、ひとりの雌であった。
593:名無しさん@ピンキー
11/11/12 01:49:41.21 aIhwhxH8
(もういっそ、楽になってしまえば)
(何も考えなければいい、堕ちてしまえば)
(そうすれば苦しむこともなくなるのに)
私の脳裏に、囁きが過ぎる。それは私の本能の声であり、悪魔の声でもある。
それに対し、私の中で僅かに残る理性の欠片が、首を左右に振った。
堕ちたりなんか、しない。したくない。
私には待ってくれている人がいるんだ。愛しい人を裏切るような、そんな真似は、したくない。
だから、こんな奴らなんかに、犯されたくない。気持ちよく、なりたくなんかない!
「そらっ、もう、少しだぜ!」
そんな私の理性の欠片を完全に打ち砕くように、バックの男が一気にスパートを駆ける。
男も限界が近いのか、ピストンのピッチは最高潮を迎えた。
「ふぁ!っ!あっ!ん!んぁっ!っく!あ、ら、らめ……っ!中に……出さない……で!」
私は最後の理性を振り絞り、そう言った。それと同時に、最後の理性も官能の波に押し流された。
膣壁がキュッと締まり、男の分身を強く搾る。その快感の余り、男も獣のようなうめき声を上げた。
男は冴花の言葉に耳を貸すことなどなく、そのまま中で果てるつもりであった。
それを悟った冴花は絶望に沈んだ。
594:名無しさん@ピンキー
11/11/12 01:51:55.95 aIhwhxH8
(ごめんなさい……小波君)
冴花の残った最後の理性が、そう嘆きの言葉を囁いた。
……と、その時!
「おい、てめえらいつまでやってんだよ!交代の時間を忘れやがって」
列車内に響く大声。冴花を囲んでいた二人の痴漢の動きが止まった。冴花も驚き声のした方を振り向いた。
見ると、別の二人組の男達が目の前に悠然と立っていた。
「イキがって独占しやがって」
「時計見ろよ、見張りの交代だろうが」
別の二人組達は、冴花を囲んでいた二人にほとんど怒鳴るようにして喋る。
その喋る言葉などから、冴花はすぐに察した。
最初の二人組が言っていた、仲間のこと。それはきっと、今現れたこいつらのことなのだろう、と。
そして私はより深く絶望した。
交代ということは、今度はこいつらにも体を好きにされるのか。
また絶頂を与えられ、それだけでなく、完全に犯されてしまうのだろうか−−。
現に今現れたこの二人も、最初の二人と同じ目をしている。そう、欲望に駆られた、濁りきった目だ。
その目で時折、舐めるような視線を四つん這いになっている私へと注いでくる。
私の体が恐怖に再び震えた。
ところが、そこから思いもしない事が起きる。
595:名無しさん@ピンキー
11/11/12 01:54:36.56 aIhwhxH8
「待てよっ、いまいいとこなんだぜ」
背後の、今まさに冴花の中で果てようとしていた男が、今現れた二人組に怒鳴り返した。
その語勢には、自らの欲望の充足がなされるすんでのところでお預けを食らわされたことによる苛立ちが、
たっぷりと込められているようであった。
「あぁ?寝ぼけたこと言うなよ、さっさと見張りしてこいよ」
「時間はちゃんと区切ってただろうが!」
しかしそれに負けじと別の二人組も激しく反論する。そして二人がかりで冴花の後ろの男をひっぺがしにかかった。
その拍子に、バックの男の男根は抜け、そして冴花の束縛が解かれて、彼女は床にペタンと座り込む。
「おい、ふざけんなよ!やめろ」
「ふざけてんのはてめえだ!」
次第に、四人の男達の取っ組み合いが始まった。他に誰もいない列車内に、性に飢えた雄達による醜い争いが始まる。
冴花は呆気にとられながら、その様子を見ていた。
もしかしたら……これは……チャンスなのではないか。私は、不意にその時冷静さを取り戻し、考えた。
男達が喧嘩をしている間に、もしかしたらなんとかこの危機から、逃げられる方法は無いのだろうか。
現在、両腕をガムテープで拘束され、口元にも同じ物が貼られている。痴漢達に施された戒めはこれだけだ。足の自由が奪われていないのは幸運だ。
もしかしたら、これなら―。
596:名無しさん@ピンキー
11/11/12 01:56:38.74 aIhwhxH8
と、思ったその時。ガクン、と列車が揺れる。その衝撃で床に座り込んでいた冴花も揺さぶられる。
(な、なに?)
最初は地震でも起こって列車が揺れたのか、と思った。
否、私はすぐに気がついた。
今のは……列車が停車したから、その慣性で私の体が動かされたのだ。
先程まで、男達に弄ばれ続けていて、列車の速度が落ちてきていることなどには気がつく余裕がなかった。
(停車した、ということは……)
次の瞬間。横たわる私のすぐ真横の両開きのドアが開く。眩しく光が、私の目に差し込んでくる。
駅に……ついた−−?
私はその扉が希望の扉に見えた。そして直感的に悟った。これが、最後のチャンスだ。逃げるための。
弾かれたかのように、官能的な緩怠の残る体に鞭打ち、私は起き上がった。
隣に転がっていた鞄を、縛られた両手で何とか手に掴む。鞄の中には今日の偵察の資料やカメラなども入っている。
置いていくわけにはいかないからだ。
「……っ!」
そして私は、そのまま扉の外へと飛び出した。ほんの一刹那の出来事だった。
男達に服を脱がされたことで体のところどころはだけさせられ、とても恥ずかしい姿のままだったけど、そんなことは言ってはいられなかった。
「あっ」
「あの女ァ!」
私が飛び出たホームには幸い人がいなかった。
後ろの方からは雄叫びのような男達の声が聞こえてくる。私は恐怖を背後に感じつつとにかく走った。
597:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:00:22.54 aIhwhxH8
(逃げなきゃ、逃げなきゃ、ここでまたつかまってしまったら、今度こそ何をされるか分からない……!)
必死にホームを駆けて、階段を登る。幾人かの通行人がすれ違い、今の私の姿を見たのか、目を丸くしている。
羞恥で顔がかっと熱くなり、そのまま改札近くの女子トイレまで逃げ込んだ。
「はぁ、はぁ……」
全力で走ったことにより肩で息をつかざるをえない私は、トイレの個室の中でまずガムテープによる束縛を解いた。
両腕を縛っていたテープは思いのほか簡単に巻き付けられただけだったので、何とか破りながら解くことができた。
そして自由になった手で口に貼られたテープも引っ剥がした。
息苦しさがなくなり、呼吸がすっと楽になった。
男達は追っては来なかった。
そのまま周囲が人で混雑してくるまでトイレの中で待ち、男達に乱された服装や体裁を直すとホームへまた出た。
そこはたまたま逃げるために降りた駅だったので、自分の下車駅まで再び電車に乗らなくてはならない。
恐る恐る周囲を見回す。先程とは打って変わって、列車待ちをする客でホームはごった返している。
あの男達の姿は見えない。幸いにも諦めてくれたのだろうか。
そうしているうちに、列車が駅へ滑り込んで来る。今度こそ私は、女性専用車両に乗り込み、再び列車は動き出した。
やはり帰宅ラッシュが続いており座ることなど出来なかったけど、そこで私はようやく、一息ついた。
(……助かった、のかな……)
598:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:02:23.59 aIhwhxH8
地獄のような時間は、唐突に終わりを迎えた。一旦は、冴花は安堵に胸をなで下ろすのだった―。
しかし、彼女の体にはハッキリとまだ残っている。痴漢達により享受された、熱っぽさを含んだ官能的なうねりが。
女性専用車内で吊革につかまって立っているのも、冴花は少しつらかった。
媚薬を塗布された両の乳房は、心臓が鼓動する度に熱が送られてくるかのように熱く火照る。
分泌された愛液によりまだ湿り気を残した秘所は、はけ口のない切なげな官能を体中に走らせ、彼女の心を蕩けさせようとする。
体に残された幾つもの快楽の余韻は、彼女の精神を今も次第に蝕んでいくかのようである。
私は、痴漢されてイカされちゃったんだ―。そして好きでもない男に挿入されて、悦びを感じてしまったんだ―。
体に残る感覚が、否応無しに私へその事実を突き付ける。
これから、どうしたらいいんだろう……。
あの痴漢達の顔は、覚えたくなくても覚えてしまった。警察に行って、今日起こったことをすべて話せばきっと対応はしてくれるだろう。
だけどそうすると……。
ぼんやりとした回らない頭でそんな事を何度も考えながら、私は下車駅で降り、そのままフラフラとした足取りで自宅にまで辿り着いた。
帰る前に夕食の買い出しに行く予定であったが、そんなこともすっかり心の外になっていた。
599:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:05:47.51 aIhwhxH8
おぼつかない足取りで、自宅のアパートにまでたどり着く。
小波君との同棲開始と同時に借りた、近郊の賃貸アパート。父が遺した邸宅は二人で住むには大きすぎるし、
心機一転して新たな生活を始めたいという私の要望から決まった、新たな生活の場だった。
入口の玄関の戸を閉め、ようやく帰宅した私は、何をするともなく居間にぺたんと座り込んだ。
偵察結果を入れてある鞄をドサッと床に置くと、体の力が抜けて、疲れが一気に出てきたような気がした。
身体じゅうにジットリと汗が浮かぶ。それと未だ体に残る官能の名残が不快感となって、まとまりつくような気持ち悪さを生み出す。
(……どうしたら、いいの。これから……)
私の頭の中ではまだ同じことを延々と考え続けていた。答えなんてまったくもって出なかった。
そのうち私は無意識のうちに居間を出て、浴槽へと向かっていた。
…………
600:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:07:48.81 aIhwhxH8
…………
シャワーの熱い水しぶきが、胸から下の全身へと降り注ぎ、体をほのかに暖めていく。それでも心までもが暖まるはずはなかった。
これからのことを考えても、私の頭の中には何も浮かばなかった。いつもなら自分の持ち味である冷静さで
解決策の一つや二つを模索できたであろうに、この時にあったのは、暗澹たる思い、漠然と横たわる不安だけだった。
ボディソープを過剰にタオルにとり、そのまま、体中を赤くなってしまうのではと思うくらいに、強く擦って泡立てた。
あの痴漢の男達のドロドロとした肉欲が私の体中にぶつけられ、なすりつけられ、こびりついて、
今でもそれがはっきりと不快感という名残で残っているような気がしたのだ。少しでも早く、体を覆うそれを拭いたかった。
特に怪しげな薬を塗布された乳房に残されたぬるぬるとした感触が、
しつこくねっとりとまとわり付いてくるかのようで、簡単に落ちてくれない。
まだ効果が残っているのか、胸をタオルで擦るたび体がビクッと感じてしまうのが悔しかった。
601:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:11:27.81 aIhwhxH8
シャワーを済まし、置いてあったインナーとイージーパンツのいわゆる部屋着に着替え、
ヘアトリートメントを施したのちドライヤーで髪を乾かす。
いつものお風呂上がりの時のルーティンを、無意識の内にこなして、冴花は居間へと戻った。
すっかり夕暮れ時も過ぎて陽は落ち、光の無い居間は濃紺色の闇に包まれている。
天井の電気のスイッチを点け、冴花は食卓の椅子にゆっくりと腰掛けた。
「ふう……」
体の力が抜けて、溜め息が自然に漏れる。
とりとめのない思考ではあったが、シャワーの間に冴花はある結論を導き出していた。
今回の件は、私が油断をしたせいだ。勿論……あんな痴漢達は許せないのだけれど。
でも、だからと言って、私はどうしたらいいのか?先程考えていたように、警察に通報し対処してもらうのか?
それは……出来ない。私はそこで大いに悩んだのだ。
警察に知らせればきっとあの男達は捕まる。だけど、そんなことは問題じゃないの―。
私は、あの男達にレイプをされた。体中を弄ばれ、愛する人にしか見られたことのなかった恥ずかしい姿を沢山見られ、
愛する人にしか与えられたことのない悦びを……受け入れてしまった。
たとえあいつらが捕まろうとも、その事実は、変わりようがないのだ。
602:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:13:29.23 aIhwhxH8
警察に届け出るような事となるとたとえ野球に忙しいと言えども、一緒に暮らす小波君はいずれそのことに気付いてしまうだろう。
それは、私があの車内で受けた恥辱の限りを、小波君が目の当たりにするということになるのだ。
その瞬間を想像するだけで、私は胸が張り裂けるような思いになる。
彼は一体どう思うだろうか。私は他の男に抱かれ、悦びを得てしまったのだ。私を想ってくれている彼を、裏切ってしまったのだ……。そんな私のことを、彼はどう思うだろうか……。
(いやだ、考えたくない。そんなこと、考えたく……な……い……)
目の奥が熱くなってきて、視界がにじむ。冴花は気がついた、泣いているのだと。それは他にない、冴花からの彼への想いがそうさせている。自分でもそれは分かっている。だけどその想い故に、彼女は重大な選択を選ばなければならないのだ。
だから私は決めたんだ。この事は、私の中で自己完結させる。
つまり、警察はもちろんのこと誰にも言わず、悪しき思い出として、私の心の中でずっと封印していくのだと。
そうすれば、彼に知られてしまうことも、ない。
私の不甲斐なさが生んだ、悲壮な思いを、彼にまで同じ思いをさせてしまうことはなくなる。
そして彼に、嫌われてしまうことはなくなる−−。
だから、私は決断したのだ。
603:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:16:09.04 aIhwhxH8
勿論それは−−隠し続けるという行為は、話してしまう事よりも、ずっとずっと、悲壮で、彼にとっても許し難いことなのかもしれない。
だってそれは、愛する人を、ずっと欺くということになるから。
だけど、もう、決めたんだ。これからずっとこの事を「背負って」、彼と共に暮らしていくのだと。
私には小波君しかいない。彼は、私にとっての全て。そんな彼に嫌われたら、私は……きっと、生きていけない。
両親を、家族を失い、独りぼっちになってしまった私にとって、最後にたった一人頼ることのできる最愛の人だから、
だから、そんな彼に、嫌われたら、私は、私は……!
「うっ、ひっ、ぐすっ……う……」
どんどん溢れる涙が頬を滑り落ち、卓上へ次々と零れていく。口からは嗚咽が漏れる。犯した過ちに悔やみ切れない悔恨を、
そしてこれから彼を一生欺いていかなくてはならない重すぎる背徳感を味わった。それには涙を流さずにはいられないのだ。
「ひくっ、うっ、ううっ……」
(ごめんね、ごめんね……小波君。私はこれからずっと……)
かつて父が逝去した時、私は彼の前で初めて涙を流した。しかしその時彼は私にこう言った。
『もう、泣くなよ。冴花は強い子なんだ。俺に弱みなんか見せるな。だから何があっても泣いちゃいけない。堪えるんだ』
彼は言った。涙を見せるな、と。だからこそ、今こそ私はその彼の言い付けを守らなくてはならない。
今回の件を背負って、堪えながら、立ち上がり、また歩いて行かなくてはならないから。彼に認められた強い子として。
それはとても皮肉なことだ。彼の言葉を受け、私は彼を欺くことを決心したのだから……。あなたを想うが故に私はいま、あなたへと背くのだから……。
冴花は卓上で顔を伏せて泣き続けた。腕で目を乱暴にこすり、涙を拭おうとした。
604:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:18:09.39 aIhwhxH8
と、その時だ。
ガチャン、と玄関の鍵の施錠が解かれて戸が開く音がした。
そして、声がした。
「ただいまぁ、冴花、帰ったよ」
その声を聞き、私はハッとして卓上から顔を上げた。紛う事など無い。まぎれもないその声は、私の最愛の人の声だ。
電車内にてメールを受け取り、夜八時頃に帰宅すると聞いていたが、
それ以外の出来事でそれもすっかり失念していた私には、突然の帰宅に感じられた。
今のこんな姿は、見られるわけにはいかない。私は涙を強引に拭うと食卓の椅子を立ち上がった。
たった今、心の中で腹を決めたばかりなのだ。痴漢の件は、自分の記憶の中で永遠に封印していく。
小波君に迷惑を掛けないため、それと共に……私自身の保身のために。
だから今は、いつも通りに振る舞い、彼を出迎えるんだ。決して心中を悟られないように、慎重に……。
そう心の中で改めて確認し、私は居間から玄関に続く扉を開けた。
「わっ」
「おっと」
その扉を開けた途端、玄関から歩いてきた小波君と鉢合わせになり互いに驚く。
だけどその次の瞬間。
605:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:21:05.26 aIhwhxH8
「ひぁ!?」
私は、小波君に両手で掴まれ、そのまま彼の胸元に抱き寄せられた。驚き、不意の声が出てしまった。
「ただ〜いま!はは、驚いた?」
そんな私を見て、小波君がおどけた口調で言う。
「も、もう、バカっ……」
胸の奥がカッと熱くなる。それが何だか恥ずかしくて、私は顔を背けながら彼の胸元から離れた。
「と、とにかく。……お帰りなさい」
気を取り直して私は努めて明るめの声で言った。彼もそれに合わせてニカッとはにかみながら応じてくれる。
遠征先からの移動の後、午後の練習を終えて帰ってきた小波は、冴花がもう何度も見慣れた球団支給のジャージ姿だった。
プロ入りしてからハードな練習に揉まれた彼の体躯は、高校時代からさらに一回り大きくなった気がする。
そのためか、プロ入り直後の支給のジャージは少々窮屈ぎみだ。
「今日も風呂から入るよ。もうすっかり、汗でベタベタだぁ」
「はいはい。寝間着、勝手に用意しとくわよ」
「ああ、サンキュ」
606:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:25:28.70 aIhwhxH8
冴花は小波から重たい鞄を預かり、彼の自室の隅に置く。
そして小波はすぐさまお風呂場に向かう。野球でいつも汗をかいてくる小波は、帰宅直後はいつもお風呂からだと決まっていた。
冴花は至っていつも通りの、彼の帰宅時の対応をしているつもりだった。
その後、彼の自室から頼まれた寝間着を取ってきて、洗面所へ向かう。
洗面所に置かれた、沢山の洗濯物を取りあえず洗濯機に入れて水で濯いでおく。さぞかし今日も練習に精を出したのだろう。
洗面所の真横の浴槽には湯気が立ち上っており、既に彼が入浴しているようだった。
「ねえ、ここに寝間着置いておくわよ」
お風呂場の戸をコンコンと叩いて、私は彼にそう告げた。
「うーん、サンキュー!それにしてもいい湯加減だよ」
「ふふ、そう」
浴槽の中から彼の朗らかな返答が返ってくる。彼は、いつも通りだった。
さっきの帰宅時のスキンシップといい、野球で辛いことがあった日も、失敗をしてしまった日も、
彼は家に帰った時は良くも悪くもいつもこんな調子である。
無論それは、家でいつも待っている私の事を気遣ってのことだということは分かっている。
彼だって、私のことを気にしてくれている。だから家に帰って来たときは、野球でのストレスは出さないようにしてくれている。
勿論、私は父親がプロ野球選手だったくらいだから、野球は昔からよく知っているし、それへの理解は深いつもりだ。
彼自身のプレーについて話し合いをする時は当然本音どうしで話し合いを行うが、その時はその時、それ以外の時はそれ以外。
彼はメリハリを付けてくれるのだ。大事な時は本気で話し合い、そうでないときは私への思いやりも以って接してくれる。
同棲を始めてはや半年、私たちの「生活」はそんな形を作り上げつつある。
607:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:28:25.33 aIhwhxH8
それだけに、今は、その彼の思いやりがとても心苦しかった。
私を気遣ってくれる彼を、私は、これから未来永劫、欺いていかなくてはならないのだ……。
もう後戻りは出来るはずもないし、するつもりもなかった。そう決めたはずなのに……、
なのに、また涙がこみ上げてくるのを我慢出来そうになかった。
冴花はそれを小波君に悟られまいと、静かに洗面所を後にしようとした。
「お〜い、冴花。そういや、今日の晩飯の献立は?」
その時、洗面所からの去り際に、浴槽から小波の声が聞こえた。
「あ、えーっと、晩御飯は……」
そこまで口にして、彼女は思い出した。夕飯の買い出しに行くことをすっかり失念していたことに。
「あ、ちょ、ちょっと待ってね、今から作ってくるから!」
「え、おーい?冴花?」
私は取り敢えずそう言って、洗面所を後にした。小波君も心待ちにしていたであろう夕食を、すっかりと忘却してしまっていたこと、
そしてそれを小波君に指摘されたことに、私は完全に動揺してしまっていた。
…………
608:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:31:19.61 aIhwhxH8
…………
「ごめんね、今日はちょっと買い物の時間が無くって……。簡単なものになっちゃったけど」
正確には、買い物をするのも忘れてしまった、だ。夕食を食卓に並べながら私はねじ曲げた言い訳を口にしていた。
「はは、いいんだよ。それじゃ、いっただきます」
それでも小波君は気にしていない様子で、食事へとがっつく。相当お腹を空かせていたらしかった。
先程から三十分後、入浴を終えた小波と共に冴花は夕食をとった。だが当初の彼女の予定していた献立とは、大きく異なるものになっていた。
インスタント麺を用いた即席ラーメンに、冷凍ものの餃子という有り様である。
あり合わせの物で作ったということが明確なメニューであった。
ここまで適当な料理を振る舞ったことは冴花の記憶にはない。同棲生活を始めてからは、常に小波の食事には気をつけてきたのだ。
プロ野球選手たるものとして、バランスの取れた栄養摂取は必要である。
体調によって野球での活躍を左右されるようでは、プロとして話にならなくなってしまうからだ。
冴花もそのことはしっかり心に踏まえていた。だから小波への料理には十分に気をつけてきたのだ。
それだけに、今回、これまで継続してきたその心掛けを壊してしまうような食事にしてしまったことに、冴花は心が痛んだ。
609:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:33:35.39 aIhwhxH8
「……なあ、食べないのか?」
「……へっ?」
意識外から小波君の声が飛んでくる。食事のことを気にしてまた、考え込んでしまっていたらしい。私は思わず頓狂な声で返事をしてしまう。
「今日は食欲ないのか?」
「え、ううん、そんなことないわよ」
私は無理に苦笑いしながら、箸を取って食事を再開した。実のところ彼の指摘した通り、食欲がないというのは本当だった。
電車であんな目に遭ったというのに、食欲があること自体が逆におかしいというものだ。
それでも小波君がそれを察してしまうのが怖くて、私は口に押し込むように夕食を頬張るのだった。
「あ、そうだ。今日観てきた試合、すごかったわよ」
私は食卓の空気を取り繕おうと、今日の偵察の話題を切り出した。
「へぇ、そういや今日はあの○○が先発だったんだよな?」
小波君も無論この手の話には乗ってくる。私もそれに合わせて話をどんどん出していくことにした。
「そうそう。九回投げて完投よ。あれだけ酷使されてるのに、大したスタミナね。何といっても凄かったのは九回のピンチでのピッチングで……」
「うんうん」
…………
610:名無しさん@ピンキー
11/11/12 02:39:48.66 aIhwhxH8
…………
それから食卓では、今日の試合の話がメインになった。小波君の方も、試合は練習場のテレビでかじる程度に見ていたらしく、思いのほか、論議は盛り上がっていた。
「だから、狙いは変化球でしょ。あなたは一軍のストレートのノビにまだまだついていけてないんだから」
「そっ、そんなことないやい。タイミングさえわかってて、ヤマが当たれば打てるさ」
「ヤマなんてそう簡単に当たるもんじゃないわよ。いい、あたしは確率の話をしてるの。
あなたのこれまでのストレートへの対応率から言ってるの。
だから、変化球を狙い打つ方が無難なのよ」
「う、うーん。そうかな……」
「ええ、ハッキリしてるわよ」
彼との討論は、私にとってはオハコだった。
彼は野球に対し天才肌故か、どうも自分の思ったままのプレーをしたがる傾向がある。
かつて高校野球地方大会での高校キングとの試合にて、
ワンマン気味のプレースタイルをしてしまい危うく敗北しかけたことさえある。
それがまだ抜けていないらしく、プロの舞台でも、客観的に見てるとこうして暴走気味なプレーをしようとすることが多々ある。
そういうときは決まって私がそれをきっちり指摘することにしていた。
今もこうして彼を論破してねじ伏せたところだった。
「わ、わかったよ、とにかく、変化球狙いの方がいいんだな」
「今までのあなたをみる限りでは、ね」
それはやはり、いつもの、私達二人の風景そのものだった。
彼の仕事柄の都合で、比較的、共に過ごす時間は少ない。だけどそのぶん二人でいる時間はお互い大切にしあう。
二人で言葉を交わし、触れ合う時間。出会ってから、今ではすっかり当たり前のものとなったことだが、
もちろんそれはかけがえのない幸せを感じられるはずの時間だ。
611:名無しさん@ピンキー
11/11/12 03:08:14.49 aIhwhxH8
だけど……今は、その幸せを心から噛み締めることが私には出来なかった―。
心の中に大きな穴が空いてしまい、幸せを受け止めることが出来なくなったかのように―。
後編に続く。
〈次回予告〉
人の性(さが)、揺らめく想い、それはいずれその命とともに必衰し散り行くもの。
想い深き故に、冴花はその想いを心の奥底へと封じる。深い深い眠りへと。
心を責める、恐怖と罪悪。どちらにも真の答えはない。
苦渋に横たえかつての清純を置き忘れるとき、かつてない感触が、彼女の体を包み込んだ。
612:名無しさん@ピンキー
11/11/12 11:19:56.42 5S0+ozWq
GJ
重い内容だけど続きが気になるね
613:名無しさん@ピンキー
11/11/12 16:45:43.29 dS4ALP35
乙乙。
人称の揺れがちょっと気になるけど、臨場感のある文章だと思う。
俺だけかも知れないが、次回予告で某ロボットアニメを連想して変な気分になったw
614:名無しさん@ピンキー
11/11/13 01:18:38.48 WKEyMBq+
乙
苦悩の描写が良いね
続きがどうなるか楽しみ
615:名無しさん@ピンキー
11/11/13 12:16:33.96 QdwYg2BO
書いた事の無いキャラに挑戦しようと思い、冬子を書く事にしました。
そうえば維織さんと親友設定があるので、それも併せて使ってみようかなと。
タイトルは「勘違いから産まれる戦争」
616:名無しさん@ピンキー
11/11/13 12:17:50.32 QdwYg2BO
ある日の事、雪白冬子と野崎維織は喫茶店で歓談をしていた。
後に世界で十指に入る大企業となる(現在でも十分大企業だが)ユキシロとNOZAKIの御令嬢が
ごく普通の喫茶店に二人で座っているというのは何か物凄い映像だが、その事は今回の話とは関係が無い。
今日は維織がミルキー通り近くにある図書館に用があり、偶然にも昨日冬子から電話があったので
ならばついでに会おうという事になり、近くの喫茶店に二人で入ったのだった。
ちなみにその喫茶店は先日店長が行方不明となり、つい最近改装されて新しくオープンされたものである。
「フフフ、本当に変わらないわね維織は」
「…冬子も中学校の時に出会ってから、変わってない。真面目で口うるさくて融通が利かなくてお節介で…
「なんですって…
「―とても優しい」
「っ!……はぁ。全く、相変わらずずるいんですから、維織は。
あぁほら、口元にケーキが付いてますわよ。そんな事では殿方に振り向いて貰えませんわよ」
維織の口元にナプキンを持っていきながら、そんな事を言う冬子。
軽い仕返しの意味を込めて(維織は気にしないだろうが)からかってやろうと思っての発言だったが
維織の返しは予想外のものだった。
617:名無しさん@ピンキー
11/11/13 12:19:07.14 QdwYg2BO
「大丈夫。付き合っている人はいるから……うぷ」
「え?」
その台詞に動揺して、ナプキンの目測を誤り維織の鼻に押し付けてしまう。
「冬子、そこは口元じゃなくて鼻」
「ご、ごめんなさい維織。って!そんな事はどうでも良いんですわ!
維織、今貴方何と言いました?」
「?真面目で口うるさくて融通が利かなくてお節介でツンデレで…
「そこじゃありませんの!何か一つ増えてますし!
そうでなくて貴方につ、付き合ってる人が居るって…」
「うん……言った」
「聞いてませんの!!」
「今言った。……何を怒ってるの?冬子」
(ぐぬぬ……。い、いつの間にわたくしの維織に……一体どこの馬の骨が…)
618:名無しさん@ピンキー
11/11/13 12:20:17.35 QdwYg2BO
その男への怒りに顔を熱くする冬子であったが
考えてみれば維織も二十歳を過ぎているのだし、そういう話があって当たり前だ。
維織が大学を卒業してからはあまり会う事も出来ていない自分が、それについてとやかく言う事は出来ない。
むしろ寂しがり屋の彼女にそういう人が出来た事を祝福すべきだろう…と、理性では思い直す。
「コホン。取り乱してごめんなさい維織。
…それで、その方はどのような方ですの?ご職業は?」
しかし何か寂しい気持ちになったのは事実なので、少し問い詰める様な感じになってしまう。
何か隙があれば文句の一つも言って、溜飲を下げようという思いがあったのだが
隙どころの話じゃ無かった、と冬子は後に思う事になる。
619:名無しさん@ピンキー
11/11/13 12:21:10.07 QdwYg2BO
「職業……。野球……?」
「まぁ野球選手ですの!それは偶然ですわね、実は私が今仲良くさせて頂いている八波―
「ブギウギビクトリーズの」
「どこのチームですのそれ!?」
「商店街の野球チーム。そこでエースで四番を打っている…」
「いやそんな誇らしげな感じで言われましても!要はただの草野球チームですわよねそれ!?
そうでなくて、普段何をして働いているのかを聞いているのですわ!」
「働いてない……。ずっと私と一緒」
「働いてない!?あ、後の言葉も気になりますが今は置いておくとして。
それではその方どうやって生計を立てているのです?もしかしてどこかの財閥の御子息で働く必要がな―
「私の家に一緒に住んでいる。九波君は一文無しだから、基本的に全部私が面倒を見てる」
この場に九波が居れば、色々とツッコミを入れたい台詞だが
彼は今、近くの公園で待機させられているので話は進む。
「いよいよどういう方ですのその方!?ニートのヒモ!?い、いけませんわ維織!みだりに殿方を家に住まわせるなんて!」
「……九波君の友達を私が燃やしたから、その責任を取らなければ駄目」
「何を言ってますの維織!?燃やした!?友達を!?」
当然のツッコミを入れる冬子だが、実は彼女もつい先日公園で同じ様な行動を取って
一人の少女を路頭に迷わしていたりする(次の日には再建していたが)
620:名無しさん@ピンキー
11/11/13 12:23:23.68 QdwYg2BO
更に冬子は維織から微妙に要領を得ない話を聞き
件の維織の彼氏とやらは、今年の春頃に遠前町にふらりと訪れた謎の男で
身分証明書の一つも持っておらず、来るなりテント生活を始めているので住所も不定
商店街のチームで野球の練習をしていない時は、魚を釣ったりきのこを取ったりで暮らしている(いた)サバイバルな男という情報を得た。
(い、いけませんわ……。そんな不衛生極まりない変質者を家に住まわしているなんて…。
維織の純粋さに付け込んで、あわよくば財産まで得ようとしている下種に違いありません!)
「維織。一度その方とわたくしを会わせていただけないかしら?」
維織を救わなければという正義の心と幾許かの嫉妬を心の中で燃やしながら、冬子は聞く。
「え?冬子と?……………絶対に駄目」
しかし維織の答えはノー。
数秒の間を置いてのその答えには、維織の強い意志が感じられた。
経験上、こういう時の維織は答えを覆す事は無い、と冬子は分析する。
(わたくしに会わせては問題のある殿方だと自覚しているのでしょうか?
『私が居なければこの人は駄目』と思い、ダメ男に尽くしている…ヘタをすれば暴力を振るわれているかもしれません。
うぅっ可哀相な維織…)
九波がこの場に居れば全力でツッコミを入れたいであろう思考だ。
まぁ暴力というか、いぢめているというのは事実なので全てを否定する事は出来ないが。
というか、むしろそっちの方が怒りを買うかもしれない。
621:名無しさん@ピンキー
11/11/13 12:25:31.56 QdwYg2BO
冬子も通常時なら、『私が居なければこの人は駄目』というのは維織にこそ向けられるフレーズという事は分かっている。
学生時代はずっとその気持ちを抱いていた当人でもあるのだから。
そういう意味では冬子の維織への気持ちは、母性本能に近いものがあったりする。
「どうしてです?何でしたら、連絡先を教えて頂ければ、私と二人でお話させて頂くのでも構いませんわ
むしろ、わたくしとしてはその方が好都合です」
維織と一緒では、別れさせようとするのを邪魔するだろうから、という意味での最後の一文なのだが
当然、維織がその様に解釈するハズは無く
「好都合……!?
……………冬子。絶対絶対絶対絶対絶対会っちゃ駄目。……そんな事したら絶交」
友達が少ない維織にとって、『絶交』というのはかなり重い言葉ではあるのだが
それが彼女の真剣さを如実に表していた。
それは向けられている冬子にも当然伝わる。
(維織…なんて真剣な表情で。それ程、その殿方の事を愛してますのね……憎らしいですわ。
そして、ここまで嫌がるという事は、その男がいかに悪い男なのかを自白している様なもの。
…維織もわたくしの考えは分かっているでしょうから、妨害されるかもしれませんが、わたくしが何とかしてみせます)
(維織を助ける為なら、わたくしは鬼にでもなってみせますわ!
…例え、維織に嫌われる事になろうとも)
悲壮感を漂わせながら、冬子は決意する。
その清廉な表情は見る者全てに時間を忘れさせる、美しいものだった。
後日、誤解と思い込みと勘違いと掛け違いと情報の行き違いによる
一人の風来坊を巡るNOZAKIとユキシロの全面戦争が起きたりするのだが
それはまた別の話。
622:名無しさん@ピンキー
11/11/13 12:30:35.92 QdwYg2BO
とりあえず終わりです。
維織さんと冬子の会話と、勘違いコント(?)が書きたかった。
続き…というか本来そちらが本編になるのでしょうが、書き切れるか自信薄なので
とりあえずここまでで一つの話として投下しておきます。
おまけで会話の別パターンでも。
「きちんとした職に就いて、安定した収入を得ている方なんですわよね?」
「冬子……変わったね」
「え?」
維織には珍しく真剣なトーン。
それに驚き、さっき変わって無いって話してなかった?というツッコミを入れられなかった。
維織は冬子をまっすぐ見て、言葉を続ける。
「……いつからそんな事でしか人を見られなくなっちゃったの?仕事なんて、お金のある無しなんて、どうでも良い事。
もっと大事な事が他にある……冬子が教えてくれた事だよ?」
その言葉に、冬子ははっと我に返る。
そうえば昔、そんな事をこの子に説教した事もあったっけ…。
冬子の頭の中でその時の情景が浮かぶ。思えば、初めて維織に怒ったのはその事についてだったか。
その私が、いくら維織が心配だったといえ何を下らない事を言ってしまったんだろう…と冬子は己を恥じる。
「…ごめんなさい維織。どうかしていましたわ。そうですわよね、貴方が選んだとのが―
「確かに九波君は一文無しのニートのホームレスだけど、そんな事は―
「流石に聞き捨てなりませんわよ!?ニート!?ホームレス!?」
623:名無しさん@ピンキー
11/11/13 15:21:02.87 QdwYg2BO
不意に思いついた小ネタ「sweet pocky」
「十二波さん!今日は2011年11月11日ですね!」
「ん?あぁそうだな。どうしたんだ漣そんなにテンション上げて」
「ふふふ、11月11日はポッキーの日。更に今年は11年なので、百年に一度の真ポッキーの日ですよ!」
「あぁそうえばそうだったな。そんな名前が付いているかは知らないが」
「そこで私は今日に備えて、古今東西ありとあらゆるポッキーを取り寄せました」ドサッ
「うわ、凄い量だな。50箱はあるぞ。地域限定のや絶版の物まで…漣ってそんなにポッキー好きだったっけ?」
「フフフ甘いですね十二波さん。まるでポッキーの様に…」 ドヤッ
「いやそんなに上手い事は言えてないぞ」
「私がしたいのはポッキーゲームですよポッキーゲーム!」
「あぁ成る程…。えらく古い遊びを知ってるなぁ漣。今でも王様ゲームとかでやってるのか…?」
「今日はこのポッキー全部それで食べつくしますからね!覚悟しといて下さいよ十二波さん!」
「全部!?」
「フフフ、全部食べた後は十二波さんのポッキーも舐めてあげますから頑張りましょうね♪」
「誰が極細ポッキーだ!
だったら俺も漣のつぶつぶ苺を舐めしゃぶってプリッツにしてやるから覚悟しとけよ!」
「望む所ですっ!」
いちゃこらいちゃこら
624:名無しさん@ピンキー
11/11/13 19:09:09.88 G9O+9df1
GJ
いろんなバリエーションの話を書けてうらやましい
最近投下が多くて良いね
625:名無しさん@ピンキー
11/11/13 22:03:43.06 1NHm3qu1
上の冴花のヤツ見て思ったけど、やっぱり陵辱モノの方が抜けるよね
和姦イチャラブで抜ける人は尊敬するわ
626:名無しさん@ピンキー
11/11/13 22:24:06.27 WKEyMBq+
>>611>>622
二人ともGJ!
>>625
自分はほのぼの和姦の方が向いてるかなあ
まあやっぱり好みは人それぞれでしょ
627:名無しさん@ピンキー
11/11/14 02:31:16.93 2TnQof18
レンちゃん街中をデートしてる最中、綺麗なお姉さんにチラッと視線が行く主
↓
それを逃さず見たレンちゃんは嫉妬して
「目を瞑ってください!」と言って、主をラブホにつれこむ
↓
そこで互いにイチャラブ
628:名無しさん@ピンキー
11/11/14 02:53:42.62 7HNppjm3
漣ちゃんはマジ宝の宝庫やで
629:名無しさん@ピンキー
11/11/14 03:39:10.18 vuPNXDqm
>>623
GJ!
良い意味で頭悪い話で笑えたw漣の汎用性を上手く活かしてるなぁ
冬子の話の方も、続き楽しみにしてます。
基本的にシチュといちゃラブを楽しませる作風だと思ってましたが、これは普通に話も面白そうだw
630:名無しさん@ピンキー
11/11/14 13:20:59.46 aVLEBky6
10主と奈桜のセックス中にパンパンと腰を打ち付ける音に反応してやってくるイワタン
631:名無しさん@ピンキー
11/11/14 23:51:53.13 HrKC+I4W
13裏のレンってエンゼルに13裏主×レンのオカズ本執筆とか頼んでそうだよな…
632:名無しさん@ピンキー
11/11/15 00:39:04.48 fgTSqxtG
そしてレンがかませの13裏主×エンゼル本を執筆するわけですね。
633:名無しさん@ピンキー
11/11/15 23:16:28.59 S97Z9iCq
レンvsエンゼル勃発
最終的には二人してキャプテンに説教されて終了
634:名無しさん@ピンキー
11/11/15 23:21:42.27 QuOh0Gn7
そこは仲良く3Pで
635:名無しさん@ピンキー
11/11/17 01:09:22.38 S+by7B7u
漣と武美はエロ向きなキャラだよなあ
636:名無しさん@ピンキー
11/11/18 00:00:56.01 wjzQZRJ7
14公式サイトで確認できる姫子は見た目はツンツンしてそうだな
637:名無しさん@ピンキー
11/11/18 17:37:10.59 0nv2Xmo3
見た目で判断したら11のある二人でエライ目にあったなぁ
638:名無しさん@ピンキー
11/11/18 19:22:04.19 5Tvb4gbd
11は朱里ちゃんゲーだから仕方ないね
華音と涼子なんてハッピーエンドが存在してないし……
しのぶも訳あり感ハンパなかったし……
シズヤは影が薄いというか……正規ルートじゃないから仕方ないのかもしれんが
639:名無しさん@ピンキー
11/11/18 19:56:49.32 0nv2Xmo3
いや個人的にはシズヤ>浜野だったわ
640:名無しさん@ピンキー
11/11/18 21:44:29.58 +WtnKu98
>>638
1人忘れてるような……
641:名無しさん@ピンキー
11/11/18 21:59:53.47 USUHNDz9
>>638
シズヤ→日出子じゃないのかね?
つかシズヤは14で出てるから正規ルートじゃね?
642:名無しさん@ピンキー
11/11/18 23:13:01.88 eM1bDA46
まあ、10以降主人公が複数いないと説明がつかないんだけどね
643:名無しさん@ピンキー
11/11/18 23:42:46.10 YjKC0w7M
10以降は五十鈴のライターのキャラと西川氏のキャラで一人ずつの主人公がいるような感じもする
そういやシズヤは11から皆勤だな
やっぱり使いやすいからかな
644:名無しさん@ピンキー
11/11/19 11:12:40.88 n9aVpNqe
朱里編は10のカズルートで感じてた主人公の無力感を払拭できてよかった
涼子編とあわせて11主の優しさが際立つ
645:名無しさん@ピンキー
11/11/19 20:05:43.96 rSSIdQWf
11主はメンタル的には強いのか弱いのかよくわからないなあ
646:名無しさん@ピンキー
11/11/19 20:37:33.29 C/cTBZc/
>>645
そこはほら、ライターによる違いって事で一つ。
647:名無しさん@ピンキー
11/11/19 21:56:20.59 gToxUDY9
朱里・シズヤ・涼子を初めとする彼女関連じゃ男気と主人公の中でも屈指の優しさを見せるのに
ステーキで胃炎になっちゃう不思議
大舞台では強いメンタルを発揮するタイプなのかも
648:名無しさん@ピンキー
11/11/20 15:44:38.90 JqMAnKEK
シズヤの結婚したてのころは最初の時みたいに失敗しまくるんだろうなあ
もしそうならすごくいいわ
649:名無しさん@ピンキー
11/11/20 22:44:28.50 MDFlZrKF
シズヤにはドジッコ的要素を感じる
650:名無しさん@ピンキー
11/11/21 15:57:13.99 6WE+cEP5
649 いいやドジっこにはあさみちゃんがいるだろ
651:名無しさん@ピンキー
11/11/21 23:51:29.30 bY8Lcws0
もうすぐ14発売か…表も裏も楽しみだな〜
652:名無しさん@ピンキー
11/11/21 23:58:20.80 3mYT2Ftz
内容から見て裏はキャラ総出演とかあり得るのかな
勝ち抜きのも今回は面白そうだ
653:名無しさん@ピンキー
11/11/22 00:01:18.23 bYkySCv6
内容的には一区切りになりそうな
しかしキリちゃんにもようやくスポットライトが当たったようで本当に良かった
654:名無しさん@ピンキー
11/11/22 08:47:42.20 9tfpkT0i
キリちゃんってむっちんバデーだよね。
655:名無しさん@ピンキー
11/11/22 08:53:05.13 U9xzQOV0
今日はいい夫婦の日ですな
656:名無しさん@ピンキー
11/11/22 09:59:30.23 /I3dYPjN
>>232を書いた者ですが、自分の作品がwikiに乗っていません。
自分で編集できないので誰か掲載をお願いします。
657:名無しさん@ピンキー
11/11/22 20:12:34.98 2TrvsFTQ
まとめwikiもコメントが殆ど無くなったから、張り合いないよね
658:名無しさん@ピンキー
11/11/22 20:51:34.61 dwZrcR5W
>>657
閲覧数は30000回ってるはずだから見てる人は多いんじゃないかな?
まあ、荒れないのは一番だよ
ED後結婚してるキャラってどれだけいるんだろう
659:名無しさん@ピンキー
11/11/22 21:06:30.22 f5U+bD8Z
梨子はアルバムに結婚式の写真っぽいのが写ってるから結婚してるだろうな
あと子供がいるんだしアカネも
660:名無しさん@ピンキー
11/11/22 21:12:25.81 2TrvsFTQ
ページごとに閲覧数が出れば良いのになぁ
カズとかピンクとか除けばしてるんじゃない?
661:名無しさん@ピンキー
11/11/22 22:11:04.15 CDL8axJK
武美と9主はある意味新婚旅行だな。
662:名無しさん@ピンキー
11/11/22 23:51:06.03 u13yAmth
>>654
キリちゃんは7唯一の巨乳……と思ってる
663:名無しさん@ピンキー
11/11/23 00:15:19.85 IxjulDg0
>>660
閲覧数が少なくて悲しくなる書き手もいるだろうからそれはちょっと
664:名無しさん@ピンキー
11/11/23 00:46:39.44 oguTRTPE
アルバム時点で結婚してるっぽい人
1・明日香
2・弓子、幸恵さん、愛(?)
3・ヒナコ
4・天本さん、葉月(五月)、希美
5・めぐみ(?)
6・彩
7・梨子、玲奈(?)
8・茜
9・奈津姫
10・五十鈴
11・シズヤ
12・なし
13・冴花、麻美
結構いい夫婦ネタ広めれそうかな?
665:名無しさん@ピンキー
11/11/23 01:39:10.18 exbl5UJr
夫婦とは何の関係もないけど主人公×麻美もの投下します
666:名無しさん@ピンキー
11/11/23 01:41:24.43 exbl5UJr
(……あと、一人)
照りつけるような日差しの中、俺は白球を握っていた
体力はとうに底をつき、正直立っているだけでも不思議なくらいだ
だがまだ倒れるわけにはいかなかった
(……一人、たった一人)
しかし塁はすべて埋まっており逃げ玉もカウントいっぱい使ってしまっている
打たれたら負け、抑えたら勝ち。ここまで来ると
詰井にサインを送り、ミットが止まったのを見て、最後にボールの感触を確かめる
(見せるんだ、あさみに。俺の背中を)
そして腕を大きく振りかぶり――
ストライークッ!っと五回目のの主審の声が響く
球場内の空気がより一層重いものとなる
マウンドに立つ小波君からはここから見ても分かる程、闘気が満ち溢れていた
(あと、一球……)
思わず乾いたつばを飲み込む
あと一球で小波君は甲子園への切符を手にするのだ
私と同じように地獄に落ち、それでもひたすら頑張り続けて誰もが羨む物に手を届かそうとしている
羨ましかった、憎かった、応援したかった、自己嫌悪に陥った
そんな無茶苦茶な感情を抱え小波君と接してきた
でもそんな状態でずっといれるはずもなくて、無茶苦茶なまま小波君にぶつけてしまった
嫌われる、そう思いながらも吐き出すことを止める事ができなかった
だけどそんな私を小波君は受け入れてくれて前へと引っ張ってくれた
その大きな背中を見せ安心させてくれると約束してくれた
変われる気がした。こんな私でも前に進めるんだと
この試合はそれを証明するための試合。少なくとも私にとっては
目をつむり、手を胸の前で組む
(だから、神様――)
(―――どうか小波君に祝福を――)
そして最後の一球が投じられる
667:名無しさん@ピンキー
11/11/23 01:42:15.35 exbl5UJr
――キンッ!
聞こえたのは無情にもボールを弾き返すバットの音だった
「っ!そ、そんな!」
思わず血の気が引いた。目を開く。ボールはどこ?急いで目を凝らす
「……あれ?」
音を聞いて想像した軌道とはまるで遠く、ふんわりとフライの様に高く上がっていた
「やった!これなら!」
二度目の期待は裏切られることなくしっかり内野陣のグラブに収まる
そして審判の終わりを告げる声が響く
「……やった。やったやったやった!」
思わず声を荒げながら溢れる喜びを味わう。証明してくれた、私のエースが!
私は歓喜に満ちているであろう小波君を目に留めようとマウンドに目を移し
「……え?小波、君……?」
飛び込んできた映像は黄金の左腕を抑えながら蹲る小波君の姿だった
どうして?何が?何で?疑問で頭の中が埋め尽くされる
周りのざわめきが遠のく。だけどそんな状態でも、いやそんな状態だからこそ一つだけ耳に入って来た
「――投手の奴、左手でボール弾いてなかったか?守備的にはナイスプレーだったけど大丈夫なのか?――」
顔が真っ青になる。汗が拭き出る。手が震える。呼吸が荒くなる
ああ、どうしてこの世界はこんなにも残酷なんだろう――
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