少女・女性が化物に捕食されちゃうスレ 復活の5 at EROPARO
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250:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/08/02 23:13:40 X7ZjpEdi
「武装を解除して、下がりさない。私は今、彼女と歓談をしているのです」
 今や少数派となった、人間の外見をした者。
 藤村は人間の姿形を維持したまま、王よろしく異形の群れに命令を下した。
 雪菜に向けられた鉤爪や触手はそのまま下ろされ、半獣人たちはそのまま数歩退いて跪く。上空を
旋回する有翅の子供たちも次々に地面に降りていった。
「失礼いたしました。悪ふざけが過ぎたようです」
 ぺこりと頭を下げる藤村。
「まったく、『叡智の冠』が、ここまで動物園だとは知らなかったわ」
「ごくごく一部の者だけです」
 雪菜も霊剣を降ろして畳み、再び懐にしまった。

 宗教法人 『叡智の冠』。
 それこそが、藤村の属する組織。

「貴女が知りたいことについて、お話しましょう。ちょうど良い。実は、『酒池』から『肉林』へは少し準備
時間が要りまして、彼女たちの年齢ならば20分〜30分程度。その時間潰しということで」
「最初からそう言っとけば良いのよー。ん?」
 そういう雪菜の視界の端に、ぞろぞろと列をなして歩いてくる少女たちの集団が現れる。全員が何も
着ておらず、逃走防止のためか、手足は鎖で繋がれていた。

251:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/08/02 23:15:24 X7ZjpEdi
 またかよ、と雪菜は苦笑いする。
 しかし、蟲に嬲られているフィルール・スター・ナイツの少女たちとは異なり、最初から明らかに怯えて
いる。反応を見ても、どこにでもいる、普通の少女にしか見えなかった。
 そして、列は藤村の護衛たちの前でぴたりと止まる。
「ちょっと、あの子供たちは何? 護衛には見えないけれど」
「ああ、あれは」

「私の護衛たちの、今日のお弁当ですよ。彼らは生肉が好きですので」

 藤村は、まるで生徒たちに給食が配られるのを、微笑ましげに見ている教師のような顔で、連れられ
てきた少女たちが単なる食糧であると言い放った。
 彼女は既に、人間の側に立っていなかった。


(続)




252:名無しさん@ピンキー
10/08/02 23:16:15 X7ZjpEdi
続きはそのうち。
ではまた。

253:名無しさん@ピンキー
10/08/03 20:58:27 6zAh2dHW
お弁当を生きたままつれてくなんて興奮ものだな
続きがすごく楽しみだ

254:名無しさん@ピンキー
10/08/04 15:44:34 mwC5qhpi
新しいの来てた!
新展開わくわくしてます!

255:名無しさん@ピンキー
10/08/09 01:36:38 Li+vnPdT
>>251の続きを投下します。
残虐な表現があるので注意してください。

256:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/08/09 01:38:22 Li+vnPdT
 どうしてこのようなことになったのだろう、と少女は思う。
 手と足に付けられた枷は異様に重く感じられて、じわじわと疲労が溜まってくる。
 封じられた両手を前にだらりと垂らし、背中を丸めてラジオ体操をしているかのような体勢で、足を地面
に擦りつけるように歩かされた。少し前から足跡は赤く濡れ、足の裏からは激しい痛みを覚える。
 フィルール・スター・ナイツに選ばれて、異世界に旅立てると信じていた少女。
 しかし、与えられた役割は、あまりにも非情で、惨めなもの。
「ひいっ! いやあああああっ!」
 髪を乱暴に掴まれ、ぶちぶちと引き抜かれながら、顔を起こされる。
 視界の先で、ゴリラと人間が融合した異形の巨躯が、だらりと涎を垂らして彼女を見つめていた。裸体
に獣の臭気が纏わりついて鳥肌が立ち、両足がガクガクと震えて立つこともままならない。
 ゴリラの半獣人は、少女の御椀型の乳房、肉の付いた腹部、毛の茂る陰部まで、唇を唾液で濡らしな
がら見回すと、枷を嵌められた両腕を万歳させるように持ち上げる。
 そして、大きな口を開いて、大きな顔を彼女の胸元に埋めた。
「ぐっ、き゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!」
 灼熱の感触が左乳房に潜り込み、陰部に向けて赤い川が何筋も伝い落ちた。黄ばんだ歯が柔らかな
胸肉をグチグチと音を立てて咀嚼し、紙やすりのようにざらついた舌が乳首に唾液を塗していく。
 ゴリラの半獣人が、女性の乳房が大好物だということは、数分前に聞かされたばかり。
(いやだ! こんなの、いやだあ!)
 少女は異世界で悪魔と戦うため、厳しい修行に耐えてきたのだ。スーパーで叩き売られるバナナである
まいし、ゴリラの化物の餌にされるため、今まで生きてきたわけではない。

257:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/08/09 01:39:54 Li+vnPdT
 ごつん、ごつん、とゴリラ人間の頭に、鋼鉄の枷が振り下ろされる。
 少女はあまりの激痛に視界も霞む中で、枷で半獣人の頭を殴って必死に抵抗した。自分の胸に齧りつ
いている異形を殺すつもりで、渾身の力を込めて鉄の枷を振り下ろす。
 しかし、ゴリラの半獣人は少女の抵抗を無視して、牙で肉を貫いて口内に固定した。そして、首を勢い
よく横に振って、左乳房を胸から引き剥がし、そのまま皮膚で繋がった右乳房まで剥いでしまう。
「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 両胸から血の大華を咲かせて激痛にのけぞる少女の前で、ゴリラの怪物は彼女の右乳房をだらりと口
から垂らしながら、ぐっちゃぐっちゃと左乳房を咀嚼していく。脂肪の塊の歯応えを楽しみ、溢れ出してくる
脂肪と血液の濃厚な味を愉しみ、クセのある乳腺を珍味とばかりに舌で愛でる。
 少女は血の帯を広げながら、ショックで地面をのたうち回った。


「我々、『叡智の冠』は、動物園ではなく、人類救済のための高潔な教育機関です。子供の可能性を引き
出し、創造するのは新価値と概念。導き出した最適解は新たな世界の鍵となり、現世の空集合たる聖界
フィルールに達し、やがては世界を新たに塗り変えるのです」
「へえ? 異世界に送るって理由で、子供を殺しまくりの集団が、教育機関?」
「肉体の死は集団の一つ。異世界という解釈も、貴女のニュアンスとは異なります。聖界フィルールは
位相の異なる隣人の庭なのです。この世界と異なるこの世界。より高次になるだけのこと。子供たちが
道を切り開いた瞬間、世界は新たな叡智に塗り潰されます。それは即ち、進化です」

258:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/08/09 01:41:38 Li+vnPdT
「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」
 乳房と呼ぶような膨らみも無かった幼い少女が、剥がれた胸板から肋骨を露出しながら崩れ落ちる。
 そこには既に6名の少女たちが、齧りとられた乳房から鮮血を流しながら重なり合っていた。お互いの
胸から流れた血と泥で塗れた彼女たちは、失血のショックで震えながら身を寄せ合っている。
 枷に嵌められながら、お互いの欠けた胸を押さえて止血も施し合っていた。効果はおそらく、行わない
よりもマシという程度。しかし、彼女たちは何とか生き抜こうと必死に傷口を圧迫する。
「痛い! 痛いよおお!」「早く傷口を!」「暴れないで!」「お願いだから、動いちゃダメ!」
 半狂乱状態の幼い少女を、6人の胸が欠けた少女たちが地面を這って取り囲み、お互いの身体を使って
必死に押さえつける。しばらくして、暴れていた幼女も、落ち着きを取り戻した。
 ゴリラの半獣人は、後の3人分の剥いだ乳房を捏ねて団子状にし、頬をカエルの様に膨らませて咀嚼
している最中だ。唇から流れ落ちているのは、少女たちの母性の象徴と涎の混合物。ただし、ゴリラの
異形は乳房にしか興味を示さず、少女たちの全身を食べようとする気配は皆無だった。
 最初に齧られた少女は、最後の幼い少女の手を握り、顔を見て、静かに語りかける。
「私たち、助かるかもしれない……あいつ、胸しか興味ないみたいだし……」
「ほ、本当……? 私たち、助かるの……?」
 激痛に引き攣っていた幼い少女の顔に、ほんのわずかに希望の光が灯った。
 次の瞬間、彼女の丸い眼窩と愛らしい顔に、ストロー状の針が何十本も打ち込まれた。ぐちゃりという
音が聞こえるようだが、実際は無音。本人は何が起きた分からず、口が金魚のように動く。

259:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/08/09 01:43:57 Li+vnPdT
「う……あ……」
 幼女の眼球の破片や血液を顔中に浴びて、最初の少女は放心状態。
 そして、潰れたトマトと化した幼女の顔半分から、じゅるじゅると血液や肉が吸い上げられる。
 ストロー先端がゴリゴリと頭蓋骨を擦る音が聞こえてくる。彼女の手足の激しい動きからしても、相当
の苦痛は容易に想像できるが、縫い付けられた頭部が逃走を許さなかった。
 その先では、チョウチョウの翅を生やした子供たちが、口から数メートルのストローを伸ばし、まるで泥
状に溶解したパフェを啜るような恍惚の表情を浮かべて、彼女の体液を飲んでいる。
「いっ、いやあああああああっ!」
 ぎょろりと少女の顔を映したのは、人間の眼球では無く、昆虫の複眼。
 顔だけ見れば天使のように愛くるしい子供たちだが、中身はチョウチョウと変わらない。花の代わりに
人間の体液を貪る化物でしかなかった。恐怖と嫌悪感が、彼女の中で爆発した。
「助けて! 誰かぁ! 助けてええええ!」
 手足をばたつかせる彼女の胴体に、バッタの翅を生やした子供たちが群がる。愛らしい顔の下半分
は変形し、巨大なハサミのような対の牙が、頬まで広がる口から飛び出していた。


「人間と魔物を交配させて作った化物が、教育機関に必要なの?」
「私たちには敵が存在します。それに対抗するための戦力も必要でしょう。教義は教義として、組織防衛
のため、犠牲になる子供たちも不可欠。尤も、それさえもフィルールへの鍵にはなり得えますが」

260:名無しさん@ピンキー
10/08/09 01:45:28 Li+vnPdT
続きはそのうち。
ではまた。

261:名無しさん@ピンキー
10/08/10 09:55:02 o6m6jjn9
おお、投稿感覚が短い!
ほとんど無いような貧乳を食いちぎるシーンって案外見なかったので
新鮮だな…
作者さんすばらしいです!

262:名無しさん@ピンキー
10/08/24 21:17:08 9onsH68z
hoshu

263:名無しさん@ピンキー
10/09/04 09:21:34 j8g/CN5h
保守

264:名無しさん@ピンキー
10/09/12 12:55:26 XAxJ+v2X
>>259の続きを投下します。

265:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/09/12 12:56:17 XAxJ+v2X
「地獄は、人間の想像力を試しているってー、私は思うのよ」

 床に広がった、黒い絨毯のようなもの。一歩踏み込むと、白い足袋が血を吸ってじわりと変色する。
 綺麗な紅色の着物を纏う、黒髪の少女はそれを気にせず、ゆっくりと歩を進めていった。
 右手には木槌、左手には……30センチメートルはある鉄針。
「……姫……様…………おゆ、るし……ください……」
「その限界を超えたときにー、人間の想像力は、未知の領域に達することができちゃうのよ」
 姫と呼ばれた黒髪の少女は、目の前にいる子供が恐怖に怯え、苦痛に顔を歪め、震える姿を見て、
目を細める。しかし、それが、子供の頭蓋に鉄針を打ち込む行為を止めることはない。
「だから、本当の地獄をねー、体験してねー、そのどこまでも広がる地獄の世界に解答を得られれば、
貴女は天上に近づくことができるのー。今までと異なるものが見えて、異なることが分かって、それは、
新しい世界を築くための礎になるのー。だから、苦しいと思うけれど、がんばってー」
「ひいい……いい……」
 柔和な笑みを浮かべて近づいてくる姫に、まだ幼い少女は、
「……おゆるし、ください……………………もう、死なせて……」
 全身の皮を剥がれて伸ばされ、黒い絨毯を敷いたようになった床。
 その中央で、剥き出しの肉や筋に細かい針をびっしりと刺され、ハリネズミのようにされた少女は、
それでも生きていて、赤黒い血で濡れた頭をゆっくりと上げる。
 両頬から口内に挿入された針が、舌を噛み切ることを妨げていた。
「苦しいでしょう? 辛いでしょう? でも、がんばって」
 姫は悲しげに微笑むと、手にした鉄針を彼女の顔に当て、木槌で打ち込み始める。
 音が響き、少しずつ、少女の顔の内部に鉄杭が侵入する。
「叡智の冠を、生み出すためだから」
 絶叫が迸った。

266:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/09/12 12:58:33 XAxJ+v2X
 ……………………………………
 …………………

「『叡智の冠』―其の起源は、数百年前。国土が死肉で覆われた、戦乱の世にあり。
 異形が人に化け、異形が人を喰らい、そして人が異形を操る暗黒時代。日本国の未来を左右する、全国の戦
国大名を二分しての、未曽有の内戦。荒廃した社会の、裏の裏」

 かん高い少女の声が、何も無い空間に穏やかに広がっていく。
 そこは、日光は決して当たらない、深い洞窟のような場所。
 しかし、外壁は岩ではなく、淡い光を含んだ、ピンク色の肉で構成されている。

「戦乱にて、無惨に死にゆく童に、救いの手を伸ばす、一人の姫君あり」

 立ち上がったのは、とある戦国大名の可憐な姫君。
 彼女は莫大な財を投じて、学舎を作り、童たちを匿い、そして育てた。
 苦難に耐えるための教育。生きるための教育。死なないための教育。
 それは文字の読み書きであり、算術であり、武芸であり、そして、飢え、殴打、凌辱、ありとあらゆる、拷問的
苦痛に耐える訓練も含まれていた。今の価値観で見れば、虐待か拷問かにしか思えない内容も、しかし、国内
が事実上の内戦状態にあった当時では、生きるために必要な教育として行われたのである。

267:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/09/12 12:59:36 XAxJ+v2X
 ……それは、宗教法人『叡智の冠』に代々伝わる物語。
 全ての信者が教え込まれる、偉大なる始祖の物語。
 子供には特に、徹底した教育が行われる。その行動が、この世界の全てにも勝る善行であるように。絶対に
疑問を抱かないように。自分たちの境遇を理解させるために。
 それは、一種の洗脳。
 しかし、『叡智の冠』の、その教育が批判対象となったことはない。
 宗教を絡めた教育など、どこの団体でも行っていることである。
 教育機関としての顔を持つ組織ならば、なおさらのこと。
 直接でなくとも、例えば、進学校とされる私立高校であっても、宗教系の学校では、その授業カリキュラムに、
偉大なる始祖の物語や、思想が組み込まれる。それが、ただ教師の話を聞くだけで済む科目か、それ以上の
ことを求められるかは、それぞれの団体の思想に委ねられることになるわけだが。
 進化論など、最たる例。
 人間がサルから進化したという考え方もあるが、一方で、猿から人間への進化には、起点となるインパクトが
必要であり、そこに科学の光が当たらない以上、神による介入した可能性を否定できはしない。
 進化論といっしょに、そのような思想も教えるのも、教育としては一部で認められていること。
 反発するのは、宗教と科学。
 教育は拒まず、否定せず、拒むのも、否定するもの、教育者のみ。

 ……………………………………
 …………………

268:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/09/12 13:01:07 XAxJ+v2X
 そして、教団の上位幹部のみに伝えられる、本当の思想。

「姫君は勿論、神などは信じてはいませんでした。
 罪無き幼き少女が飢えに苦しみ、野犬の餌にされ、異形の餌にされ、はたまた、餓鬼と化した人間の餌にされ
るような世界。それが、神に創られたものならば、それが神の試練なのだとしたら―神など要らない」

 全ての色を抜き去った、澄んだ長い白髪。
 一糸纏わぬ姿の幼い少女は、腹を抱えて再び大笑する。

「姫君は理解していました。
 人間の世界を創るのは、神に非ず。人間の他に無いのだと。
 しかし、あらゆる宗教法人が戦闘集団を有し、宗教同士が世界中で争い続けていた時代に、あまりに単純な
そのことを、本当に理解していた人間が、果たしてどれだけ存在したでしょう。
 神などは、人間の限界を示す概念に過ぎないのに。
 本当に、人々が神と呼ぶ存在がいるならば、それは人間の想像の外にのみ、いるのだから」

 少女は異様に頭部が膨らんでいて、首と手足が針金のように細く感じられた。まるで、宇宙人の目撃証言で
ある灰色の畸形生物のようで、人間の規格からは外れている印象を受ける。
 蒼い瞳は笑い過ぎて涙が浮かんでいるが、その眼球に浮かぶのは反射光のみ。まるで、鏡面のような少女
の瞳は、外部の光を受け容れずに、全て跳ね返しているかのようだった。

269:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/09/12 13:02:32 XAxJ+v2X
「『叡智の冠』において、『神』とは『人間』と同じ意味を持ちます。
 人間の世界を創るのは、あくまで人間。神が人間の運命を決める。
 しかし、その神は人間であり、本当の意味での神ではない。
 神が統べる異世界、聖界フィルールは、あくまで人間のイマジネーション。その領域に潜んでいる、想像力の
限界こそが悪魔であり、その領域で悪魔と戦う聖星騎士も、肉体の枷を捨てた人間に過ぎない。
 肉体もまた、人間の限界の一つ。想像力と同じく、人間の枷となる限界に過ぎない。
 そんなものは、要らないの。これは、限界とそれを超える可能性なのだから。
 その結果、人間が被るべき、叡智の冠が産み出されるのだから」

 腰を上下させ、足をぷらぷらとさせて少女は微笑む。
 彼女が腰掛けているのは、まるでゼンマイのように丸く渦を巻いた、黄色い触手だった。十メートル以上の高
さがある巨大な触手の、周囲には赤い触手、碧の触手、蒼の触手、紫の触手……。
 世界中の絵の具を集めて色を塗ったような、色鮮やかな触手が群生して、お伽噺に出てくる、毒々しい魔女
の森か、カビの生じた食物を顕微鏡で拡大したような光景が、そこに広がっていた。
 そして、カラフルな触手の森は、大海原のように上下に波打つ。
 まるで風に吹かれているように、此方から彼方へ、大きく激しく、鼓動に合わせて。

「姫君は、庇護した少女たちに教育を施すうちに、悟りました。そして、毎日のように顔を殴り、辱め、頭から
足まで針をびっしりと突き刺し、炙り、潰し、刻んで、あらゆる責め苦を試しながら、確信しました。
 人間の想像力の限界、それは即ち、『地獄』であると。
 多様な責め苦と無限の時間。
 悪夢的な地獄を与えることで、人間はその想像力の限界の、解を知る。
 限界を知るとき、人間はようやく、その限界を超えるための段階に入れる。
 その限界を突破した時、人間は新しい領域に足を踏み入れるのだと、姫君は悟りを開きました。

270:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/09/12 13:03:57 XAxJ+v2X
 姫君は毎日毎日、庇護した少女たちを、思いつく限りのあらゆる方法で拷問して、彼女たちの限界突破を試み
ました。自分のアイデアでは不足と知るや、国中から残虐な刑罰を募集して、それらを少女たちに試しました。
 発狂する者も、死ぬ者も続出したが、彼女は全国から子供を収集して、拷問をし続けました。
 少しでも多くの苦痛を与えるために、手段は選ばず。
 極限の拷問を施し、それに耐えた少女こそが、人間を次の段階に導くのだから」

「そして、夢は、もうすぐ現となる。
 私と藤村が創る聖界フィルールは、これ以上無い地獄となる。それに取り込まれる、フィルール・スター・ナイツも、
厳選された少女ばかり。精神の限界がいよいよ示される。
 『叡智の冠』の理想。
 私たちの目指した場所は、もう手の届く先なのよ」

 巨大頭の少女が大笑すると、呼応するように触手の海が大きく揺れた。
 それはまるで地震のような激しさだった。無数の触手が生えている底部がプレートのように移動し、何ヶ所か
に集中して大地が起伏するかのように大きく盛り上がり、無数の触手が絡み合う塔と化して天井に向かい、そ
して、その触手が生え並んだ大地に亀裂が走り―

「喜びすぎです。怪獣さん」

 カラフルな触手に覆われた表皮が割れて、黒い血に満たされた筋肉繊維で覆われ、突起状の歯で覆われた
巨大な亀裂が現れる。二〜三十メートルはある裂け目からは、洪水のような唾液と、鋼鉄の板のような舌が覗
いていて、まさに、それが怪獣と呼ぶべき巨大生物の口であることを示した。
 口からは、瀧のような唾液が流れ落ちていた。

271:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/09/12 13:05:26 XAxJ+v2X
 そこでは、半透明の蛆虫ともミミズのような蟲たちが、飽和してびちびちと蠢いている。外界で、フィルール・ス
ター・ナイツの少女たちを嬲りものにしている蟲と同じだった。
 元より、蟲は、件の巨大生物の唾液中にて繁殖していたもの。怪獣が噛み砕いた獲物を、蟲が勝手に嬲りもの
にして限界まで解体していくので、体内には『胃』も『腸』も存在していない。口内で蟲に潰された獲物は、口内の
肉壁からそのまま吸収され、残り滓は吐き出されてしまう。
 巨大生物と、口内の蟲は、お互いに餌を供給し、消化を助ける、共生関係なのだった。
 もっとも、口内という制約上、一定時間が経つと獲物は蟲から離れる。よって、蟲が延々と、時間無制限で獲
物を嬲り続けたら、どのような変化が起きるかは、分かっていなかった。
 ―それを藤村は解明し、そして応用した。
「……………!」「…………………………!」
 音を立てて膨れあがる触手の丘の裏からは、半透明の吸盤で覆われた巨大な腕が、岩のように大きな眼球
に覆われた肉丘が、虹色の閃光を放つ三つ叉の角が、次々と浮き上がる。
 それは、複雑怪奇な構造を持ち、既存の動物学を超越した巨大生物が、身体を無理矢理折りたたまれてこの
空間に寝かされていて、それが今、起きようとしているのだった。
 しかし、数百年前、そいつは巫女協会によって、全身をバラバラにされており、起きるのに必要な構造器官は
全て切断されていた。今の状態から、どうしても起きあがれない。頭部も解体されて、脳味噌や眼球を摘出さ
れ、皮膚は全て剥かれて、筋肉も各部分で切断され、骨格も臓器も全て摘出されて、それでも殺すことができず
に、苦肉の策として、それぞれのパーツを別々に封印されたのだから。
 そして今も、集められたパーツが結合しておらず、剥ぎ取られた触手だらけの皮膚や、腕や、角や、眼球が、
個々に動いていて、しかしお互いがお互いを邪魔して、起き上がれない状態が続いているのである。

272:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/09/12 13:06:59 XAxJ+v2X
「……………………………………!」
 触手だらけの皮膚を、ぐいっと押しのけて現れたのは、怪獣の心臓。
 一つ一つの心臓が集結して、まるでブドウの果実のように巨大な房を形成していて、しかし、そのうちの一つ
だけが抉られていた。抉られた一部は今、外界で、人食いの心臓として繁殖している……。

「生物とは心臓のみで構成されず。
 怪獣さん自身の出番は、きっちりと用意されていますよ」

 巨大頭の少女−−宗教法人『叡智の冠』の巫女であるアペカは、足下に折り重なる巨大な魔物を見下ろしな
がら、にやにやと邪悪な笑みを浮かべていた。
 巨大怪獣。
 心臓の魔物のオリジナル。
 そして、同時に、教団の最終兵器。
 封印の大半は解除したので、外に出せば自己再生して動き出す。
 出現すれば国中が大混乱になり、国軍が出動する大事になるだろう。そいつは、最大戦力ではあるが、サイ
ズからして、使い道と言えば、都市ごと敵を殲滅するという物騒なものでしかない。

「しかし、落ち着いてください。怪獣さんの出番はまだ先です。
 『叡智の冠』の最終兵器である怪獣さんが、こんな前哨戦の前哨戦で、登場してはいけないんですよ。
 怪獣さんは、もうすぐ起きる首都決戦で、大集結して邪魔をしてくる巫女協会の巫女やら、他の正義のヒロイン
さんの組織やら、警察やら軍隊やらを、纏めて踏み潰して、ぺっちゃんこにすることなんです」

273:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/09/12 13:09:07 XAxJ+v2X
 アペカは大きな頭を揺らして、振り子のように動いて、けらけら嗤った。
 想定しているのは、数週間後の、首都制圧戦。
 樹海で、全国から教団信者を集めて人食い心臓を数万まで増殖させ、首都に侵攻させる計画。
 魔物の繁殖は、巫女協会の裏切り者を利用して、事前に露見しないよう工作していた。
 まず、諜報担当の雪菜という巫女を買収して、調査結果を捏造させた。
 後は、やってくる討伐隊に虚偽の情報を伝えて油断させ、皆殺しにする。そして、雪菜に、討伐隊は魔物と戦
闘して、どちらも全滅した、と報告させれば良い。
 「最初から魔物はいなかった」と報告するよりも、「巫女は全滅したが魔物は討伐した」と報告する方が、再調
査がかかり難くなる、という雪菜の意見により、そうすることとなった。
 組織の内部にいる彼女だからこそ、注目されやすいケースと、されにくいケースを熟知しているのである。
 後は、巫女討伐隊が来てから1〜2週間で魔物を増やし、首都を攻撃する。抵抗する勢力は、件の巨大怪獣を
投入して都市ごと叩き潰すことになる。

「そして最後に、この私が、現世界と、完成した聖界フィルールを繋げる」

 アペカは奇怪なことを言って、うっとりと微笑み、暗い暗い狂気の夢を見る。
 彼女や藤村たち、『叡智の冠』の目的が、そのとき達成させることになる……。

「来週、巫女の討伐隊が5人、派遣されてきます。
 それさえ処理できれば―ハッピーエンドは、もうすぐそこ」

……………………………………
…………………

274:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/09/12 13:13:06 XAxJ+v2X
 悲鳴があちらこちらから聞えてくる。
 藤村の護衛たちの食事は続いていたが、特に雪菜は少女たちを助けようとはしない。
「あら、あの子が暴れているわ」
 ふと、話を切った藤村が懐から取り出したのは、イモリのような生物が入ったビンだった。胃袋が異空間になっ
ており、ドーム何杯分かの容積を持つ魔物であるという説明を、雪菜はさきほど聞いている。
 ビンの中のイモリは、興奮しているのだろうか。ばったん、ばったん、と激しく暴れていた。
「ん? そういやー、その中って何が入ってるの?」
 藤村は、待ってましたとばかりの笑顔で、雪菜に回答した。

「巨大怪獣です」

「もう、怪獣の話はいいって。さっき、したじゃない」

 藤村は少し寂しそうに雪菜を見ながら、ビンを懐にしまっていく。
「アンタ、最後に巨大化は嫌だとか言って、巨大怪獣はいいわけ?」
「それとこれとは、話は別です」
「面倒くさいなー。まあ、その怪獣さんに踏み潰されたりしないようにね」
 そして、雪菜は少し真面目な顔で、言った。
「私が今回の報酬を受け取って、日本から脱出するまでは、変な真似はしないでね? 中東に逃げようと思った
ら、海上封鎖されて出られませんなんて、ちぃーっとも、笑えないんだから」

 雪菜の要求に、藤村はただ微笑して頷くだけだった。

275:名無しさん@ピンキー
10/09/12 13:13:37 XAxJ+v2X
続きはそのうち。
ではまた。

276:名無しさん@ピンキー
10/09/13 23:29:43 wnF8zakm
とうとう話のラスボスが
続きが楽しみだ

277:規制解除来た
10/09/25 05:51:58 xyimGxm/
満月が照らす森の中
うっそうとした森の奥に一本だけそびえる大きな木

その木の枝にわたし達は吊るされている。
枝は足がかろうじて届く高さで、背の低い娘は足をブラブラさせている。
誰もが一糸まとわぬ姿のまま両手を枝に固く縛られていた。

わたしの名はノノ。
吊るされているのはわたしを含め10人ほどの近くの村の娘ばかり。
この森の近くの村に住む娘のうち選ばれたものが毎年こうやって木に吊るされている。
この森に住む鬼のための生贄として。

わたしはふと視線を目の前の森の向こうに向ける
満月のおかげで眼下に広がる山すその風景が浮かび上がっていた。
その向こうに見える海岸線と海。そして、かすかに小さな島も見えた。

わたしは生まれてからこの山の中の村でしか暮らしたことがなく、
眼下に見える海を見たことがないまま生涯を終えることになるのだ。

「行ってみたかったなぁ。海ってあれが全部水なんだよね。」
普段水汲みで苦労してきたわたしにはあれだけの水があるなんてちょっと信じられなかった。
「あの向こうの島にも、人が住んでるのかな…」
そう思いながら視線を近くに向けると、黒くて大きな影がこっちへ向かってきた。

鬼たちだ。


278:規制解除来た
10/09/25 05:52:20 xyimGxm/
吊るされた娘達の中に緊張が走る。
泣き出す娘もいた。
しかし、誰一人として逃げ出すことは出来ないのだ。

鬼の姿かたちは意外とわたし達人間と大差ない。
生贄と交わって子供を作ってきたおかげで徐々に人間に近づいていったかららしい。

鬼達は顔を見合わせながら思い思いにわたしたちのもとへやってきた。
何をされるかはわかっていた。
鬼の一人が背の低い少女の足を掴んで開かせる。
少女は泣き叫ぶが、抗うことは出来なかった。
鬼の股間に屹立する巨大なペニスが少女を引き裂くように
彼女の幼い女陰に割り込んでいく。
悲鳴がひときわ大きくなり、首を振り乱しながら暴れた。

「ナツちゃん…」
村で一番歌のうまかった彼女が、今、その声をからしながら
鬼に犯されて泣き喚いている。

そして、それは私の運命でもあった。
他の娘達にも鬼が近寄って犯し始めたころ、わたしのところにも鬼がやってきた。


279:規制解除来た
10/09/25 05:53:26 xyimGxm/
わたしのところにきた鬼は他の鬼たちよりひときわ大きく、逞しかった。
そして、そのペニスも強固な杭のようだった。
「ひっ…」
一瞬目をそむけてしまうくらいにそのペニスは凶暴なものに見えた。
わたしの足を広げて鬼はそのペニスを力ずくで押し込んでいく。

メリメリ…
たしかにそんな音が頭に響き、股間から体が二つに引き裂かれる痛みが走った。

「うぎぃ!!」
そのまま鬼は力ずくでわたしの膣内に大きなペニスを押し込んでいきました
わたしは体内を無理やり押し広げられる苦痛に悶える。
今まで男性を知らなかったわたしの純潔を踏みにじることに快感を覚えるように
奥へ奥へとわたしの中を犯していく。
子宮口へ達したら、一旦引いては叩き破るかのような勢いで再び突いてくる。
その度に引き裂かれる痛みがズキズキ疼く。

内臓を容赦なく抉られるような痛みに涙を浮かべながら、わたしは鬼の激しい突き上げに耐える。
せめて…少しでも早く終わるように念じながら目を閉じた。
「おっかさん……助けて!」
誰の声かわからない声が響く
生贄の誰かかもしれないし、わたしが上げた声かもしれない。
その区別もつかないほどにわたしは鬼に犯されていた。

意識がどこかへ消えていた。

知らぬ間にわたしは喘いでいたのかもしれない。
泣き叫んでいたのかもしれない。

それすら鬼の乱暴な動きに塗りつぶされていた。

そして…突き上げが私の体を飛ばすような勢いになった刹那
胎内に溶岩のような熱い塊が注ぎ込まれるのを感じた。

「ぁ…ぁ……」

股間からとめどない熱い液体がこぼれ落ちるのを感じていた。
わたしたちは股間から流れおちる鬼の精液をだらしなく垂れ流しながら泣いていた。


280:規制解除来た
10/09/25 05:54:21 xyimGxm/
そして、他の娘達も同様になった頃、新たな鬼達がやってきた

それから、わたしたちは新たな鬼達に犯され続けた。
数を増した鬼達にお尻の穴も、口も、アソコも犯され続けた。
いつしか体中に精液をまといつかせるのが当たり前になっていった。
しかし、わたしたちは知っていた。
これが、ほんのはじまりに過ぎないことを

夜が明け、散々に犯されたわたしたちを鬼達が名残惜しそうな顔で見ながら去っていった。
「ノノ…やっと…終わったね」
ナツが枯れた声でわたしにそういった。
繰り返された喘ぎと悲鳴でかつての声はもう戻っていなかった。
ナツと、わたし自身を慰めるためにこういった
「次の満月…それまではもう何もないよ」

そのはずだった。
そして、次の満月には…わたしたちは食べられてしまうのだ。
あの鬼達に。

わたし達の体に変化が訪れたのはその後からだった。
吊るされっぱなしで感覚がなくなっていたわたしたちの手が徐々に茶色く変色し始めた
まるで枝と一体化したようだった。

それとともに、わたしたちは空腹を感じなくなり始めていた。
誰もおなかがすいたとも喉が渇いたとも言わなくなっていた。

そして、日がたつにつれて、お尻が膨らみはじめていった。
それは日増しに大きくなっていき、やがて下腹部とともにぷっくり膨れ始めた。

そして、満月が近づいた夜。誰ということなく体中から不思議な香りが漂い始めた
まるで、桃の実のような。


281:規制解除来た
10/09/25 05:54:46 xyimGxm/
誰もが、半ば木と一体化したようにぼんやりとした視線を漂わせた満月の夜。

鬼達がやってきた。

わたしたちは覚悟したような表情を浮かべていた。
もう、動くことも出来なくなったわたし達に鬼たちに食べられる運命から逃れることは出来ない。
せめて、痛くないようにしてほしい。祈ることはそれだけだった。

鬼達は、手に手に大きな鉈を持っていた。
一人の鬼が、端の娘の足の付け根に鉈を当てる、
娘が顔を引きつらせた瞬間、鉈がすごい速さで娘の両足を切断した。

上がる悲鳴、ゴトリという不気味な音とともに地面に落ちる両足
奇妙なことに、切断面からは血は流れなかった。
かわりに透明で甘い香りを放つ果汁が滴り落ちた。

鬼達の鉈は次々と娘達の足を切り落としていった。
私の足にも、あの大柄な鬼が鉈を持ってやってきた

ヒヤリと鉈の感触が伝わり、それが離れた次の瞬間
激しい衝撃とともに足の感覚がなくなった。

ゴトゴトッとわたしの足が地面に落ちる音を聞いた。

全員の足が太腿から切断された後、鬼達は指笛を吹く。
どこからともなくやってきたのは獰猛そうな野犬だった。
野犬たちは地面に転がるわたしたちの太腿の肉や
ふくらはぎ、すねの肉をかじって食べていった。
弾けるような歯ごたえと肉質を持つ豊かな丸みを帯びた太腿は、争うようにして食べられた。
娘達の足の肉は野犬にとってこの上ないご馳走だった。
そして、木に吊るされたわたしたちは自分達の足が食べられるのを見ているしか出来なかった。


282:規制解除来た
10/09/25 05:55:16 xyimGxm/
足が骨を残して食べつくされ、残った骨が野犬たちにしゃぶられていた頃、
鬼達は娘達の尻に手をかけた。
鬼がひときわ強く腰を引くと
ブチッという音とともに、丸く膨れた尻と下腹部が千切れた。

体から離れた腰は、丸い尻とともに芳香を立ち上らせながら地面に落ちる
それを鬼達は大きなお盆に載せて運んでいった。

私の番は、すぐにやってきた。
すっかり重くなった尻に、より一層の負荷がかかり…

ブチッ

という音とわたしのお尻が千切れる感覚を味わった。
そして、音はそれだけで終わらなかった
ゴロゴロ…

何の偶然か鬼達の予想せざる方向に落ちたわたしのお尻はそのまま茂みの中へ消えていった
鬼達が軽い騒ぎを起こしながら茂みの中へ分け入っていった。
それを見ていた私の横で、新たな音が聞こえた
ナツのお尻が千切れる音だった。

娘達の中で、おなかから下が残っているものはいなくなった。
これからが鬼達の楽しみだった。

鬼達は、大きな鉈を包丁に変えて、わたしたちの上半身を切り分けては食べはじめた。
柔らかい内臓は、艶を帯びたまま生で鬼達の口に入り、
胸の肉は茂みから飛び降りた山猿があばら骨とともに齧り取る
乳房は鬼達が丁寧に切り取ってはぷるんっとした肉がたっぷりの女の味をはじけさせながら
思い思いに食べられていった。

そして、鬼たちが去った後残った顔や腕のわずかな肉を、野鳥がついばんでいった。
わたしたちは、それをどうすることもできないまま食べられるに任せるしかなかった。
いつしか、意識が薄れていったわたしの目に浮かんだのは、つるされた直後に見た
海岸と海、その向こうの島の眺めだった。


283:規制解除来た
10/09/25 06:03:15 xyimGxm/
その瞳も、すぐに野鳥が嘴でついばんでまるで卵のように噛み割った。

娘達が生涯を終えた翌日。
祭壇の上に娘達の残った尻が芳香を漂わせながら並んでいた。

丁寧に祈りを捧げた鬼達は、先を争うようにして娘達の尻にむしゃぶりついた。
程よい弾力を持つ娘の尻肉は、かぶりつく鬼達の牙におしげもない果汁と香りを漂わせては
噛み千切られていく。

一人の鬼がナツの尻のなれの果てにかぶりつく
柔らかな尻肉は、噛み千切られるとともに乙女の芳香を撒き散らし、
鬼の口の中で甘く広がる。
滴り落ちるピンク色の汁にもナツの味と女性の匂いが充満していた。

ナツの肉はかみ締めるほどにぷるんとここちよい弾力を維持していたが、
それもやがて鬼の口の中で咀嚼されては甘い汁と女性の香りを残して飲み込まれていった。



284:規制解除来た
10/09/25 06:04:05 xyimGxm/
そして、尻の果肉が食べられていくにつれ、その真奥の空洞が露になる。
その中では、小さな小さな赤ん坊が、身を縮めて眠っていたのだ。

生贄に鬼の子種を残した娘達は、このような形で鬼達の子供を身ごもっていたのだ。
手に手に赤ん坊を取り上げる鬼達と、残った尻の肉にむしゃぶりつく鬼達。
喧騒の時間はそう簡単に終わりそうにはなかった。

茂みに落ちたノノの尻にも、鬼の子供は眠っていた。
ノノの尻は、茂みからわずかな隙間を転がり落ちて小さな沢に落ちた。
沢に落ちたノノの尻は、流れに乗って川に流れ、そのまま川下へ下っていった。

川下の村から洗濯に来ていた老婆が、ノノの尻のなれの果てを見つけたのは、
それからしばらくした後のこと。

老婆が拾ったノノの尻から生まれた子供が「桃太郎」と名づけられたことと、
その子供がノノが最期に眺めた海の向こうの島へ行って自分と同じ鬼達を
こらしめていったことはまた別の話である。

285:名無しさん@ピンキー
10/09/25 09:19:54 S5nWSOgl
新作きたあ!
「尻桃の生る木」の人かな
朝からとてもえろくてよかったです。
ごちそうさまでした

286:名無しさん@ピンキー
10/09/26 12:58:39 Y0WMskpB
まだ職人が残っていたのか…
とてもありがたい!
どんどん解体されていく無残感がええのう

287:名無しさん@ピンキー
10/09/28 21:48:24 KCtkgDBD
巫女は話に収拾がつくのか?

288:名無しさん@ピンキー
10/09/28 22:27:01 xLLvtkEE
この人のは大丈夫だよブログ見れば解る
まだまだ長い間楽しめそうでいいね

289:名無しさん@ピンキー
10/10/01 23:36:29 f8C45Zsd
これほしい
URLリンク(blog.smilebeans.com)

290:名無しさん@ピンキー
10/10/03 21:26:35 Ekzli4nh
話の合間に話題なんだけど
皆はどれぐらいの年齢の娘が捕食されるのがベストなの

291:名無しさん@ピンキー
10/10/04 20:51:04 ZpWa+UzD
その話題は既出だ

292:名無しさん@ピンキー
10/10/11 23:40:32 EJ6EaEzW
>>274の続きを投下します。
残虐な表現があるのでご注意ください。


293:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/10/11 23:44:15 EJ6EaEzW
 場所は変わり、時間は飛ぶ。


 その日、『叡智の冠』の総本山で、実験が行われた。
 巨大な怪獣が、全身をバラバラにされて封印された状態で発見されたのが数年前。
 その怪獣の口から採取された蟲がアルコール中で増殖することが確認されたのが数日前。そして
今日、少女たちの肉体にそいつらを植え付けて、時間ごとの変化を観察することになった。
 90度に近い角度で立てられた手術台。
 磔状態に近い姿で、手足を手術台に縛り付けられた全裸の少女。
 そして、その足元からは、ヒルや蛆虫を思わせる蟲の大群が這い上がっていた。
 
 部屋には誰もいない。
 ただ、時間ごとの変化を記録するビデオカメラが、無機質な音を立てて動き続ける。

 2時間後、部屋に少女の姿は無かった。
 手術台から、全身の骨や内臓が粘土細工のように捏ねられて混ぜられ、血肉で全身を塗り固めら
れた、細長い物体が、天井に向かって緩やかな放物線を描いて伸びていた。各所から飛び出した指
や長い髪の毛、潰れた眼球や内蔵からして、それが数時間前の少女であることは間違いない。
 その姿はまるで、人肉でできた巨大な「樹」のようで―。

 …………………………………………
 ………………………

 場所は変わり、時間は飛ぶ。

294:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/10/11 23:45:56 EJ6EaEzW
 ………自分がどうしてここにいるのか、雅乃は漠然と理解していた。
 周りをふらふらと飛んでいる、カキ氷のシロップのような色の蒼い火の玉が、時おり数が増えたり
減ったりしているが、それは風が吹くのと同じ現象で、大きな意味を成していなかった。
「…………。 ………………! …! …! …………!」
 昔、好きだったJポップのワンフレーズが記憶に残っていて、それを何度も繰りかえして呟いた。お
そらくはサビの部分だが、それすらも曖昧。しかし、何もすることがなく、どこにも行く場所が無い少女
にとって、それは数年間という長い時間、退屈を紛らわせる数少ない行為だった。
 風にも負けるような微かな声が、深い闇に融けて消えていく。
 長い髪の毛に白のブラウス、そして青いスカート。
 それは、数年前に事故に遭った姿のままであり、トラックに轢かれてひしゃげた自分の遺体が運ば
れてからも、警察の現場検証が終わってからも、道が封鎖されてからも、雅乃は同じ場所に留まり
続けていて、そして今も歌を口ずさんだり、一人でしりとりをしながら、孤独に過ごしていた。
 ざわり、と風が揺らめき、樹の葉音が激しくなる。
「…………?」
 珍しく人間のような気配を感じて、雅乃は歌を止めて、暗闇をじっと見つめた。
 しかし、すぐに諦めて歌を再開しようとする。これまでも何人かの人間がここを訪れているが、彼女
の両親を含めて、誰も彼女のことに気付くことができなかったのだから。
 5人目あたりで雅乃はようやく、自分が幽霊と呼ばれる存在になったことを理解できた。
 しかし、どういう経緯で、生前の彼女が事故死したのかは、もう分からない。生前の自分がどのよう
な生活をしていたのか、恋人はいたのか、夢はあったのか。そのようなことは全て、事故の瞬間に彼
女を残して、この世から永遠に消え去ってしまったのだった。
 考えるのを止めて、雅乃は再び歌い始めた、そのとき、

295:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/10/11 23:47:31 EJ6EaEzW
「随分と懐かしい曲を歌っているのね? 何年前に流行った歌だったかしら?」
 驚いて振り返った雅乃の前には、紺のスーツを着た女性が立っていた。髪は嵐のように跳ねてい
て、まるで無数の蛇が虚空に伸びているかのような印象さえ受ける。
 彼女の背後からは、黒いスーツの男や、牛乳瓶の底のような眼鏡をかけた男女、ピンクの子供服
を着た幼女など、様々なタイプが混在した集団が現れた。その集団がどのような目的でやってきたの
か、外見からでは想像のしようもないが、あまり関わりたくない印象はある。
「藤村先生、彼女は……」
 瓶底眼鏡をかけた男の声に、藤村と呼ばれた女性は首肯した。
「私も便宜上、魂とか幽霊とか呼んでいるけれど、これを表現する適切な言葉は、まだ存在しないわ
ね。しかし、これは意思と、時計と、そして現在から過去にかけての情報を持ち合わせている」
 そう言った藤村の唇がぐにゃりと歪み、目に暗い光が灯る。
「いっ! いやあああああっ!」
 本能的に、それがおぞましい存在だと分かった。
 雅乃は悲鳴を上げて、藤村から逃げる。
 その目に宿った、夜よりも暗い残酷な意思を感じ、藤村が、自分に災いをもたらしにきたことを理解
した。しかし、彼女はこの場から遠くに動くことができない。
 それでも逃げようとする雅乃の前に、白い影が立ちふさがる。
 灰色の宇宙人のように巨大な頭を持つ、髪も肌も紙のように白い少女だった。風船のように膨らん
だ頭を支える首はあまりに華奢で、触ればすぐに折れてしまうような印象さえ受ける。
「ひっ! なによ、貴女!」
 怪人じみた外見の少女に、幽霊の雅乃ですら驚いて怯んだ。しかし、自分の逃走の邪魔をしてい
ることを悟るや、その脇を強引に通り抜けようとする。両親ですら触れることもできず、体を通り抜け
てしまう自分を捕まえることなど、できるはずはないと判断しての行動だった。しかし、

296:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/10/11 23:49:23 EJ6EaEzW
「あら? 貴女に、走って逃げられる足なんてありまして?」
 白色の少女、アペカがそう言葉を発した瞬間、雅乃の両足はバキリと音をたてて、ヒザから逆方向
に折れ曲がる。血肉が飛び散り、ヒザの皿が砕け散り、皮だけ太股と繋がった状態で落下した。
「いっ、ぎゃああああああああああああ!」
 生前の、死ぬ直前の記憶を呼び起され、足を失った激痛の記憶が心を焼ていく。目を赤くして地面
をのたうち回る雅乃を見下ろし、アペカは正確に宣告を続ける。
「最初の車に足を潰された貴女は、続いて、後続のトラックにも轢かれたとか?」
 ボンと巨大な泡が爆ぜたような音を立てて、雅乃の腹部は引き裂かれて皮を剥ぎ取られ、内臓を
瀧のように垂らしながら、腰が砕けて上半身が前後で半回転してしまう。涙目で苦悶を訴える顔は、
吐血が飛び散って赤黒く汚れていた。全身が痙攣し、手はぴくりとも動かない。
「…………ぁ、はぁ……やめ、て……おもい、だしたく……ないの……あんな、くるしいの……だれ
も、たすけて……くれなくて……いたくて、いきが……できなくて……やあ、ぁ……!」
 瀕死の姿になった雅乃は、苦しみから逃れたい一心で、アペカの足にすがりつく。
 必死に忘れようとしていた、死ぬ直前の数分間の記憶。
 それを呼び起された少女は、足を失い、腹が裂けて腰が砕けた状態で、当時の激痛と呼吸困難に
耐えながら、元気だったころの自分を思い出そうと記憶を振り絞る。事故直後も、数ヶ月かけて彼女
は、事故死したままの姿から、元気な姿を取り戻したのだから。しかし、
「ごめんなさいね。これも、聖界フィルールを創るためだから」
 無邪気に微笑んだアペカの顔の、さらに上空。
 そこには、まるで、巨大な黒い星が落下してきた、と錯覚するような暗黒色の球体が、視界に入る
夜空の端から端までを、ほぼ覆い尽くしていた。大きいなどというレベルではない。そこらの山の何
十倍、何百倍はある。都市の10や20を、軽く押し潰せるようなサイズだった。
 つい数秒前までは、曇り気味の夜空が広がっていたが、今や正体不明の球体で覆われている。ま
るで、空が巨大な鍋蓋に変わって、自分たちの居場所を閉じようとしているかのように。

297:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/10/11 23:51:35 EJ6EaEzW
「な………なに………!? あれ……」
 目を見開いた雅乃の顔に、黒い影がさした。藤村と、取り巻きの瓶底眼鏡の男女だった。
 しかし、彼らは眼鏡を触りながら雅乃を観察するだけで、助けようとはしない。生きたまま動物を解
剖して、その反応を好奇心半分、探究半分で見ているかのよう。
「これが、死亡時の姿ですか」「大抵の魂は、死亡時の姿のままなのですけどね」
 半壊した人体を前にして、平静でいられる者といえば医療関係者ぐらいだろう。しかし、彼らは医者
ではなく、単純に頭の螺子が飛んだ狂人にしか思えなかった。
 アペカは邪悪な笑みを浮かべて、巨大な頭をゆっくりと動かして言った。

「貴女にも視えるようにいたしました。あれが、聖界フィルール」

「我ら、『叡智の冠』が構築した、世界を変える魔法」

 藤村と、アペカと、その取り巻きたちは、まるで神を崇めているかのように、上空の巨大な暗黒球
体を見上げて歓喜の声を上げる。涙も混じる感動の声が、幾重にも重なり、闇に木霊する。
 聖界と呼ばれた暗黒球体からは、まるで毛糸球を解くように黒い触手が現れて、夜の闇に根を張
るように広がっていく。それらは同時にピタリと静止し、次の瞬間、雅乃の肢体に殺到してきた。
「ぎゃああああああああっ………!」
 黒い触手が、雅乃の手足や破れた腹を雁字搦めにする。そして、凄まじい力で上空に吊り上げら
れた。彼女は助けを求めるように、地上に向けて必死に手を伸ばしたまま、空に消える。
「貴女の苦痛、貴女の苦悶、貴女の地獄、私たちが利用させていただくわ」
 藤村は、悲鳴を追いかけるように、再び空を見上げた。
 そこには、星の少ない、普通の夜空が広がっているだけだった。

298:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/10/11 23:54:05 EJ6EaEzW

 場所は変わり、時間は飛ぶ。


 『叡智の冠』の総本山では、今日も実験が行われていた。
 電話ボックスサイズの箱に少女を押し込め、数日に渡り数十パターンの音楽を連続して聴かせ、
数百パターンの発光を眼前で行い、刺激を与え続ける……それが実験の内容である。
 話しているのは、教団の幹部である藤村と、アペカだった。
「要するに、一度まず発狂しちゃえば、もう発狂はしようがないのよ。決して元に戻ることは無い代わ
りに、それ以上の反応も起きることは無いの。これは使えるって思ったわ」
 藤村が微笑みながら、アペカに説明する。
「つまり……拷問で発狂しないように、先に発狂させておくと?」
「そのとおり。長時間にわたり、聴覚と視覚から刺激を与え続け、脳に発狂状態を引き起こす。彼女
たちの人格に影響を及ぼさないようにね。直接脳味噌を弄くるわけではなくて、あくまで、環境変化
への自発的な適応を促すものなのよ。言うなれば、予防接種ね」
「……それで、結果は?」
「これまで、全身に針を800本も打ち込めば、大抵の子は発狂していたわ。だけど、この処置を施して
からは発狂者ゼロ。まあ、既に発狂しているわけだから、正確な表現ではないけれど」
 おぞましい実験の内容を嬉々として語りながら、藤村は口元を歪める。
「でも、その娘。その後にすぐショック死しちゃったのよね」
「じゃあ役に立ちません。その程度の苦痛は、もう山のように集めてありますもの」
 アペカの手のひらには、お手玉サイズの、暗黒色の球体が浮いていた。
「ふむ。やはり、狂わないだけではなく、死なないようにする方法が必要なのよね……」
 藤村の表情は困っているようにも見えるが、
 それよりも、更なる探究への喜びが勝っているように見えた。

 …………………………………………
 ………………………

 場所は変わり、時間は飛ぶ。

299:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/10/11 23:55:46 EJ6EaEzW
「というわけで、彼女たちの精神は苦痛に対して、特殊な耐性があるのです」
 藤村の笑顔で語った説明内容を反芻して、雪菜は蒼白になりながら言葉を搾り出そうとする。発狂
するのを防ぐために、最初から発狂させてありました、などと説明を受けて、素直に受け入れること
などできるはずがない。淡々と語られたおぞましい実験に、背筋が寒くなる。
 確かに、精神の変異を防ごうとすれば、直接脳味噌を弄くるか、もしくは、音や光などの外的要因
で間接的に処理をするかの方法しかない。少なくとも、雪菜は他に思いつかなかった。
 藤村の使役している蟲が、苦痛や恐怖により分泌される脳内物質を餌にしているからには、餌を
生産する脳味噌を直接弄ることで、感じる苦痛を減少させるような処理はできないはずである。
 ならば方法は限定されるが。しかし、
「山を歩いてた娘たちには、少しおかしくなっているのも、いたと思うけれど……」
「勿論、完璧に確立された方法ではありませんが、極度の飢えや疲労、それに化膿による発熱で思
考能力が減衰するのは、発狂とは異なる現象です。」

「たっ! 助けてえええっ!」

 藤村と雪菜が振り返ると、そこには全身に切り傷ができた少女が、息を切らしてヒザをついてい
た。乳房は胸から剥がされており、赤黒い肉から腹に無数の血川が伝っている。
 背後には、昆虫の翅を生やした子供たちが迫ってきていた。他の少女たちが、されるが侭に怪物
たちに食われている中、どうやら少女だけは、彼らに噛まれながらも逃げてきたようだった。
「貴女は相変わらず元気ですね。詩帆さん」
「ふっ、藤村先生! 助けて! 私は、イヤです! こんな、食べられるなんて!」
「もう、貴女はお弁当だって言ったでしょう。ほら、千緒ちゃんを見習いなさい」

300:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/10/11 23:57:08 EJ6EaEzW
 笑顔で彼方を指差した藤村の姿を見て、詩帆と呼ばれた少女は顔に絶望と恐怖を浮かべながら、
そちらを見てしまう。千緒というのは、先ほど乳房を食われた傷を処置しようとして、チョウチョウの化
物である子供たちに襲われ、頭にストローを刺されて体液を吸われていた少女である。
「千緒………」
 ぎこちなく首を曲げた先には、チョウチョウの翅を生やした子供が蠢いていた。毒々しい翅の模様
が重なり合い、それが10匹も集結してうぞうぞと重なり合い、異様な塊をなしている。
 そして、翅の隙間から、襲われている少女の姿がちらりと見える。
「ひっ! いやあああああああっ! 千緒ぉぉぉぉぉぉぉっ!」
 詩帆が最後に見た彼女の姿は、苦痛に歪みながらも、微かに希望の光を灯していた。その後で顔
中をストローで刺されていたが、それは一瞬だけで、夢のような印象しかなかった。
(ほ、本当……? 私たち、助かるの……?)
 苦痛の中で浮かべた、彼女の表情が、何度も何度も脳内で再生される。
「ごぼっ! げぼっ! がぼっ! ごほっ!」
 千緒は、巨大な針に近いストローを何本も生やし、目や鼻が刺し潰されて平坦となった顔を苦悶に
歪め、頬が裂けて歯茎が露出した顔から、血の塊を吐き出していた。繋がるストローからは赤く濁っ
た体液が吸い出されており、顔の中身を食われているのは疑いようがない。
 乳房が剥がれた胸板や背中にも、ブスブスと音を立てて、ストローが刺されては抜かれ、刺されて
は抜かれを繰り返されており、腹部から背中まで刺し傷だらけだった。美味な部分を探しているのだ
ろうが、刺され続けた千緒の胴体は穴だらけで、ワイン樽のように赤い液体を流し続けている。
 チョウチョウの化物たちは、くるんと渦を巻いたストローを槍のように伸ばし、彼女の肌に突き刺し、
体液を数滴ずつ、飴を舐めるような緩慢さで吸い取っていく。最早、彼女を苦しめるだけ苦しめて食
らい尽くそうとする悪意は明白で、それはただ嬲り殺しにしているだけだった。

301:人食い怪物vs巫女 ◆gRbg2o77yE
10/10/11 23:58:28 EJ6EaEzW
「ごぼぼぼぼ! がぼっ! ごぼごぼごぼっ!」
 力無くばたついた手足は、最後の抵抗だった。千緒は、全身の体液を吸い出される激痛から逃れ
ようと、最期の力を振り絞って怪物たちを追い払おうとしている。肩や手のひらをストローが次々と刺
し貫いていくが、彼女は抵抗することを止めようとしない。
「ごぼがぼげぼごぼごぼごぼぼぼ!」
 血液やら脂肪やら、内臓の分泌液やらを全身の穴から噴き出しながら、千声ならぬ声で絶叫す
る。彼女も、フィルール・スター・ナイツを目指した少女の一人。怪物のお弁当と化した自分の運命
に、納得しているはずがない。彼女の誇りと信仰の深さがそれを許さないだろう。
「や゛め゛て゛え゛え゛え゛え゛! も゛う゛や゛め゛て゛え゛え゛え゛え゛!」
 千緒の惨状に耐え切れなくなった詩帆は、喉が破れんばかりに絶叫した。
 呼応するように、鉤爪を生やした半分トカゲの女性と、果実のように垂れた3つの頭部を持つ少年
が、手足を暴れさせる千緒に近づいていく。そしてチョウチョウ人間たちを押しのけて集団に入り、死
に物狂いで暴れる彼女の手足を押さえつけた。少女の小さな肢体が、ビクリと震える。
 トカゲ女は、鍵爪を千緒の左肩にそっとかけると、まるでノコギリで丸太を挽くように、前後に擦り始
めた。3頭の少年も、まるで土中の野菜を抜くような仕草で、千緒の右肩に手をかけ、そのまま肩の
構造を無視して、力任せに捻り始める。何れも、彼女の抵抗を捻じ伏せる怪力で。
 ゴリゴリと骨を削る音と、 グチグチと骨と肉が捩れる音が響き渡る。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛―――!!」
 腕が切断される音と、腕が抜ける音が同時だった。
 ぶちんと音を立てて、彼女の右腕は、肩から抜け落ちた。ごりごりと摩擦を立てて、彼女の左腕
は、骨の断面を残して取り除かれた。小さな肩が、痙攣しながら胴体に残っただけだった。


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