善子「UNDERTALE?」
..
98:名無しで叶える物語
20/05/24 23:42:11.41 hkEPb0Jr.net
よく考えたらトリエル撃破時にレベルアップ演出はなかったですね
失礼しました
日付変わったくらいに昨日の続き投下します
99:名無しで叶える物語
20/05/25 01:45:00.81 I0SBitvC.net
〜雪道〜
びゅおおーー……と、冷たい風がゲート越しに吹き抜けた。
善子「……さっむ!!?」
トンネルを抜けた先は雪国だった──なんて、ノスタルジックな句を吐いてる余裕はない。
善子「やっ……ば! 何これ……さむ、うぅぅ……」
これ、曜までたどり着く前に寒さで死ぬんじゃ……っていうか地底なのよね!? なんで地底に雪が積もってんの?!
善子「うぅ、これも魔法の力ってやつなのかしら……」
せっかくゲームの世界に入ってるんだから堕天的な魔法とか使えたらいいのに……
マリーがいたら炎で暖めてくれたのかな。
……なんて。
善子「……」
善子「暗くなっちゃ、ダメね」
寒さに震える身体を庇いながら、私は進む。
100:名無しで叶える物語
20/05/25 01:46:27.32 I0SBitvC.net
長い道だわ……どこかに街はないかしら? そこで暖かい服を揃えなきゃ……
善子「ん?」
道を横切るように、大きな木の枝が落ちている。とっても丈夫そう……これを武器にすれば……
善子「……おっも」
なにこれ、重たすぎじゃないの! 全く持ち上がらないんだけど……!
善子「……仕方ないわね。これは置いて行こう……」
結局私は枝を無視して進むことに──
──バキッ!
善子「ひゃぅっ!!?」
唐突の破裂音。
振り返ると──さっきの枝が折れていたのだ。
善子「え……なになになになに……どういうことよホラーとかやめてよ……」
私ホラーあんまり得意じゃないんだけど……
101:名無しで叶える物語
20/05/25 01:47:11.41 I0SBitvC.net
善子「……ふ、ふん! この堕天使ヨハネを驚かせようというの? クックック……まだまだよ」
善子「これくらいでビビらされる堕天使なんかではないわ!」
普段ならマントをばさっとするところだけど、今は持っていないからポーズだけ。自身を鼓舞するようにかっこよくキメてから、改めて道を進む。
───と。
善子「!」バッ
……足音が聞こえた。
雪を踏む音。
間違いない、絶対に聞いた……のに。
善子「足跡がない……」
……なによこれ。
べ、別に怖くないし……怖くないもん。
こ、この堕天使ヨハネが怖がるなんてあり得ないことですし!??
102:名無しで叶える物語
20/05/25 01:48:42.98 3QM6s39Z.net
待ってた
103:名無しで叶える物語
20/05/25 01:49:09.74 I0SBitvC.net
もう少し歩くと、目の前に木で作られた柵だかゲートだかと、小さな穴が見えてきた。
穴というよりは小さな崖のようなものらしく、木の板で橋をかけているようね。
とりあえずこれを抜けて──
──足音。
善子「……」
な、なに……近づいてくる?!
のそ、のそ、と。
善子「……」
こ、怖くなんか……怖くなんか……う、うぐぐ……!
足音は近づいてくる。
ゆっくり、ゆっくり。
私の背中にぴったりくっつくかというくらいまで近づいて。
「ごきげんよう、ニンゲン」
善子「!」
「初めて会うというのに……挨拶もなしですの?」
この、声は。
「こちらを向いて、握手なさいな」
この……声は。
この、声は……!!
104:名無しで叶える物語
20/05/25 01:51:36.88 I0SBitvC.net
善子「ダイヤ!!」ガバッ
「え、ちょっ……!?」
善子「ダイヤ、ダイヤ……ダイヤよね、あなたダイヤでしょ!?」ムギュー
もはや懐かしく感じるこの感触……ダイヤ、ダイヤだわ。嬉しすぎて堕天使鳳凰縛キメちゃいそう!
「そ、それはそうですが……って、さすがにハグは国際的すぎます! わざわざ手にブーブークッションを仕掛けたというのに……」
善子「……え?」
ブーブークッション?
「まったく。せっかくのジョークだと言いますのに、台無しにされてしまいましたわ……お約束のジョークを潰すだなんて、ひどい」
不満そうに言いながら、彼女は手のひらに用意してあったブーブークッションをぺりぺりと剥がしていた。
どうやら私はなんかやらかしてしまったらしい。
……だって仕方ないじゃない。こんなに早く次のAqoursに会えるとは思っていなかったんだもの。
105:名無しで叶える物語
20/05/25 01:53:40.52 I0SBitvC.net
「それはそうと、あなた、ニンゲンでしょう?」
少しして機嫌を直したらしいダイヤは、私を足先から頭の上までを一瞥し、言った。
善子「え、えっ……と、ええ、はい」
ダイヤズ「ふふふ、面白いですわ。わたくしはダイヤズ。見ての通り、スケルトンです」
ビシッと決めポーズをする黒澤ダイヤ。もといスケルトンのダイヤズ。
確かに見てくれは若干スケルトンっぽい……コスプレ感すごいけど。
ていうか、名前の語呂悪っ……ダイヤズってなに。
ダイヤズ「ここでニンゲンが来ないか見張るように言われていたんです」
善子「え、そうなの……?」
ダイヤズ「ええ、まあ。と言っても……わたくしはニンゲンを捕まえるなんてどうでも良いことです」
ダイヤズ「ですが、わたくしの妹のパビィルスはそうはいきません」
善子「ぱ、え……なに?」
ダイヤズ「パビィルス。みんなはルビィと呼んでいますわ」
善子「…………はあ?」
更に語呂悪いの来た!?
ていうかもうルビィの面影がほとんどないじゃない!
106:名無しで叶える物語
20/05/25 01:57:12.86 I0SBitvC.net
ダイヤズ「で、その妹のルビィは筋金入りのニンゲンハンターで……ああ、噂をすれば影ですわね。ルビィが来たようです」
善子「え……ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 私、危ないんじゃ……!?」
ダイヤズ「わたくしに任せなさい。とりあえずこのゲートをくぐってくださいまし。ルビィが作ったんですが、目が大きすぎて意味がないでしょう?」
善子「……確かに」
どうやらこれは通せんぼするための柵だったらしい。ダイヤズの言う通り、目が大きすぎてもはやただのゲートだ。
私はダイヤズに促されるままゲートを抜け、少しひらけた場所まで歩いた。
ダイヤズ「とりあえずそのちょうどいい形のランプに隠れてくださいますか?」
ダイヤの指差す先に、小さなランプがあった。小さなと言っても、私と同じくらいの背丈のある、そんなランプ。
善子「わ、わかったわ……」
こそこそと足早にランプの影に隠れた。……ランプの形が嫌に私の身体にフィットしてる気がするんだけど。
私が隠れたのと同時、広場の向こうからもうひとりのスケルトンが現れた。
107:名無しで叶える物語
20/05/25 01:58:58.25 I0SBitvC.net
ダイヤズ「あら、ごきげんようルビィ」
パビィルス「ごきげんよう……じゃないよぉ!」
パビィルス「パズルを調整しといてって8日前にお願いしたのになんにもしないで!」
パビィルス「勝手に持ち場を離れて歩き回って……」
パビィルス「こんなところでなにしてるのっ!」
……どうやらここのダイヤは怠け者らしい。ルビィの方がよっぽどダイヤっぽい性格してるわね……
あのかっこよくて頼れる生徒会長黒澤ダイヤはどこへ……
ダイヤズ「そこのランプを見ているの。いいランプでしょう? ルビィもご覧なさいな」
はぁぁあああ!?? ちょっと待ちなさいよダイヤ私隠れてるじゃないちょっとおいこら!
パビィルス「そんな!ひまは!ないのっ!」
お、おお……? ええ……?
逆に助かるパターンなのこれ……?
108:名無しで叶える物語
20/05/25 02:00:17.63 I0SBitvC.net
パビィルス「ニンゲンがここを通ったらどうするのお姉ちゃん!」
パビィルス「ニンゲンの襲来に備えるんだよっ! そして必ずルビィが……ルビィが捕まえちゃうんだもん!」
強かな野望を抱き、ルビィは叫ぶ。
……というか、強気ねルビィ。まあ普段から強気な部分は結構あるとは思うけど……
パビィルス「そうすればルビィの望みは叶うの! ……人気者になって、尊敬されて、憧れのロイヤルガードに……!」
……ロイヤルガード?
パビィルス「それからみんなのお友達に……」
ダイヤズ「でしたら……」
ルビィの語る野望に水を差すダイヤ。ちょっとだけルビィは不満そうだ。
ダイヤズ「でしたら、このランプに相談してみるのがいいかもしれませんわよ?」
おぉおおおいい!!?
パビィルス「ちょっと、適当なこと言わないでっ! おばかお姉ちゃん!」
……ダイヤにむかっておバカって、あんた死ぬ気なの?
109:名無しで叶える物語
20/05/25 02:02:48.93 I0SBitvC.net
パビィルス「いつもなにもせずホネくそばっかりいじってるくせに! そんなんじゃ偉い人にはなれないんだよっ!?」
ダイヤズ「いえいえ、こう見えても『トントン』拍子に出世してるんですわよ?」
ダイヤズ「スケルトンなだけに」ツクテーン
……さむ
とりあえず……こんな感じのやりとりが続いて分かったこと。
パビィルスもといルビィはニンゲンを捕まえるために、この先にパズルを用意していて待ち構えているらしい。
そしてダイヤズもといダイヤは特にそれに興味はないけどダジャレ好き。
めちゃくちゃ寒いダジャレ好き。
とにかくダジャレとジョークが好き。
……普段のダイヤじゃ考えられないわ。千歌のギャグ能力だけ乗り移ったみたいになってる……
ダイヤズ「もう出てきて構いませんよ」
善子「あ、うん」
思考にふけってる間にパビィルスはどこかへ行ったようだ。
彼女が戻ってくる前に進んでおかないと……よいしょっと。
110:名無しで叶える物語
20/05/25 02:04:08.93 I0SBitvC.net
善子「ありがとうダイヤ」
ダイヤズ「いえいえ。ふふ、わたくしで助けになることがあるなら♪」
善子「……じゃ、行くわ」
ダイヤズ「……ひとつ」
善子「?」
ダイヤズ「ひとつだけ、お願いしても構いませんか?」
善子「ん、いいわよ。助けてもらったし……私にできることなら」
ダイヤズ「ここ最近……ルビィはずっと落ち込んでいます。あの子の夢はニンゲンに会うこと……ですから、もし良ければ、会ってあげてください」
善子「えっ……」
でも、捕まえるって……ハンターって言ってたけど……
ダイヤズ「大丈夫です。ルビィはああ見えて、実は悪いスケルトンではありません。実は臆病で、寂しがり屋で……頑張って強そうなフリをしているだけなんです」
善子「……」
ルビィは……やっぱり、ルビィみたい。
ちょっとずつ違うけど……ダイヤも、妹思いの優しい姉でよかった。
ダイヤズ「では、お願いしますね? わたくしはこの先で待っていますから」
善子「あ、待って!」
ダイヤズ「?」
善子「えっと、近くに街ってある?」
ダイヤズ「それでしたら……この先にスノーフルという街があります。わたくしたちもそこに住んでいるので、そう遠くはありませんわ」
善子「よかった……ありがとう」
ダイヤズ「いえ。……では、お先に」
そう言ってダイヤは一足先に『逆方向』へ消えていった。
……あれそっち? ……あれ?
善子「……まあ、いっか。とりあえず……私も先に行かないと」
111:名無しで叶える物語
20/05/25 02:04:19.72 I0SBitvC.net
とりあえずの目的──あのパビィルスというスケルトンの罠をかいくぐって、街にたどり着くこと……!
……というか、あのランプほんとちょうどいい形だったわね……
・あのランプのかたちのちょうどよさをおもいだすとケツイがみなぎった
ヨハネ LV5
ボックスのみち
セーブしました。
112:名無しで叶える物語
20/05/25 02:04:29.95 I0SBitvC.net
短いですが今日はここまで
113:名無しで叶える物語
20/05/25 02:27:22.57 uEKNaUHY.net
初見でトリエル倒したんか…
まじかよ…
114:名無しで叶える物語
20/05/25 03:25:31.21 jrqL8JP6.net
名前の語呂が悪すぎて草
115:名無しで叶える物語
20/05/25 03:40:25.85 3QM6s39Z.net
面白い、続きも楽しみだ
116:名無しで叶える物語
20/05/25 08:02:37.72 BZGF7DOJ.net
トリエルは初見でRPG慣れしてると余計になあ…
117:名無しで叶える物語(たまごやき)
20/05/25 20:05:56 8P+lvw6j.net
ああ、Gルートのダイズさん観たくなって仕方ないわw
乙!
118:名無しで叶える物語
20/05/26 10:00:33.79 xNTKuRxg.net
この善子ちゃんがGルートに向かうことなんてあるのか……?
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