【軍事】ミリタリー系 ..
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152:666SQUADRON
10/07/16 20:14:47 ZlyL/HSr
「“ベイカーのB”、今から二十秒後に本艦の艦尾につくコースを取れ」
ブラウン中尉が無線連絡を了解したことを確認したジョースター艦長は、自ら舵輪を握り艦橋に仁王立ちす
ると艦の周囲を素早く見回し、左舷側から大波が迫ってくるのを見て取ると取り舵を一杯に切りながら伝声
管に向って怒鳴った。
「左舷半側速!右舷全速!」
二軸推進のうちの片方のスクリューの回転を下げ、もう片方を加速させることによって九千トンの商船改造
空母は駆逐艦のように鋭く回転し、蒼い壁を切り裂きながら大波の風下側を駆け上がった。
そして波の奈落の上の空中に一瞬静止し、今度は巨大な波のきりたった絶壁を、猛烈な勢いで落下していっ
た。
「今だ!」
艦長の指示は無線器にかじりついた通信士によって即座に“ベイカーのB”に伝えられた。
いまや空母ディフェンダーは波と波の間に出来た谷間に放り込まれ、40度も傾きながら谷底にむかって落
下している。
その飛行甲板の傾斜は、やはり大きく右側に傾いて飛行するマートレット戦闘機の操縦席からの視点では、
ほとんど水平に見えた。
過去数回の戦闘航海でFw200哨戒機六機を撃墜し、「コンドルキラー」の異名を持つエメットは神技と
も言える腕の冴えを見せ、強風の吹きつけるなか飛行甲板に向かって降下するマートレット艦上戦闘機の降
下速度と、波の谷間に沈降する艦の勢いを見極め、両者の速度差が限りなくゼロに近づく完璧なタイミング
で着艦を決めた。
樽のような胴体からハの字型に突き出した主脚が飛行甲板に叩き付けられ、ぐっと沈み込んだ機体が油圧緩
衝装置の働きで跳ね上がろうとするが、艦体が再び波に持ち上げられ、下向きにかかったGが“ベイカーの
B”をがっちりと押え付ける。
間髪をいれずキャットウォークに待機していた決死隊が飛び出し、カウボーイよろしく手にしたワイヤーを
戦闘機に投げかけて雁字搦めに固定した。
コクピットを出たエメットは艦が揺れた拍子に主翼から転げ落ちそうになった。
空中では山猫のように敏捷なエメットは、飛行機を降りると毛躓かずに道路の段差を跨ぐことも出来ないの
だった。
素早く駆け寄った軍旗護衛曹長がエメットを救った。
腰に命綱を結んだ軍旗護衛曹長は獲物を襲撃する灰色熊のような勢いで突進し、バランスを崩して飛行甲板
にダイブするようなかたちで放り出されたエメットの身体をお姫様抱っこに受け止める。
そして耳まで真っ赤にしたエメットが、恥ずかしさのあまり自慢のカイゼル髭を引っ張るのも気にせず柔ら
かくていい匂いのする撃墜王を艦内に収容するのだった。

URLリンク(002.shanbara.jp)

153:創る名無しに見る名無し
10/07/18 20:32:21 aDT3C5Z8
来てた。
FR77のさらなる航進を喜びたい。
次の主敵は難しいが。

曹長は、深夜に飛行甲板を散歩しないように。

154:創る名無しに見る名無し
10/07/25 23:03:40 tBVwPNsS
曹長(そうちょう)160−212年
曹操の従兄弟



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