kskアニメキャラバト ..
2:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 22:42:22 0kBe8Cnl
よろしいならば参加者だ
6/6【涼宮ハルヒの憂鬱】
○キョン/○涼宮ハルヒ/○朝倉涼子/○キョンの妹/○古泉一樹/○朝比奈みくる
6/6【キン肉マンシリーズ】
○キン肉スグル/○キン肉万太郎/○悪魔将軍/○ウォーズマン/○アシュラマン/○ジ・オメガマン
6/6【モンスターファーム〜円盤石の秘密〜】
○佐倉ゲンキ/○モッチー/○スエゾー/○ホリィ/○ハム/○ナーガ
6/6【魔法少女リリカルなのはStrikerS】
○高町なのは/○スバル・ナカジマ/○フェイト・T・ハラオウン/○セイン/○ノーヴェ/○ヴィヴィオ
4/5【ケロロ軍曹】
○ケロロ軍曹/●日向冬樹/○タママ二等兵/○ドロロ兵長/○ガルル中尉
4/4【スレイヤーズREVOLUTION】
○リナ=インバース/○ゼルガディス・グレイワーズ/○ゼロス/○ラドック=ランザード
4/4【新世紀エヴァンゲリオン】
○碇シンジ/○加持リョウジ/○惣流・アスカ・ラングレー/○冬月コウゾウ
4/4【強殖装甲ガイバー】
○深町晶/○アプトム/○ネオ・ゼクトール/○リヒャルト・ギュオー
4/4【砂ぼうず】
○水野灌太(砂ぼうず)/○小泉太湖(小砂)/○川口夏子/○雨蜘蛛
3/3【となりのトトロ】
○トトロ/○草壁サツキ/○草壁メイ
47/48
地図はこれだよ!
URLリンク(takukyon.hp.infoseek.co.jp)
こちらは現在位置だよ!
URLリンク(takukyon.hp.infoseek.co.jp)
3:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 22:42:38 0kBe8Cnl
【―カヲル君からのお願い―】
___,,,.................,,___ \ / キャラクターの状態を把握しやすくするために、
´ >'"¨'''ー- ...,,__¨`\ ヽ\ | SSの最後に以下のテンプレを挿入してくれ。
_/_,,.... -─-- ..,,_\ \ i ヽ |
/ `> \ \ i\ i | 【場所/時間帯】
/-‐ァ / ___ \ヽ i / | 【名前】
/ /// / _,,..二ニ= ',i // | 【状態】
//,.7'" _,,.. -‐'''"、‐-..__.... -─- 、 レ 、 ̄`\ | 【持ち物】
/,..イ/ 「¨,ゝ、=ニ二 \¨、`\ | 【思考】
//// Z ヽマラ''" -‐‐- 、 \ \ __ |
// _=ニ二__.... _二ニ= , il ', ',/ ̄ | 時間帯の区分は以下の通りだ。
___,イ,' 、_ノ _,.-‐ニ二、-‐ニイ ll \. i ',. ', / | 0〜3時:未明
/ フ , 、 '"、 -.、、\. /i ∧ /l ∨ ',_', ,.イ | 3〜6時:明け方
"\'-─- //!,' 丶 ヽ,仏、 / レ' ', /| l __,,... -‐ム''" < 6〜9時:朝
\‐-、 ,' \ Z ヾ-イ .// /',/ /レ'''"/ / | 9〜12時:昼前
//ヽ ` Z `>ソ / /_/ ,.イ / | 12〜15時:昼過ぎ
、 ,. ‐‐--‐'''"_,.! \ _,,.. -‐- ..,,__,,.. -‐'''" / . | 15〜18時:夕方
/ / ̄  ̄>'''" / / . | 18〜21時:夜
__/__........___/ -‐==- イ / . | 21〜24時:夜中
/ / ,.-‐''" |
\ 三時間区切りだから、割とアバウトでいいと思うよ。
4:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 22:42:59 0kBe8Cnl
【放送】
6時間に一度ゲームマスターからの放送があり、死亡者と禁止エリアを発表します。
禁止エリアは>>101>>102>>103……という形で書いてもらい、安価で決定されます。
キャラクターの時間を進めるのは自由です。
しかし、放送時間までたどり着いたら一度ストップ、他のキャラ達が追い付くのを待ってください。
ほとんどのキャラが放送時間にたどり着き、放送がされたら再び時間を進められます。
5:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 22:52:08 KrYZfx/f
>>1乙であります!!
6:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 22:54:17 Y8qL+VdA
1モツ!!
カヲル君…怒りを鎮めてくれw
7:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:41:04 A1ssDSPN
>>1乙!
8:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:49:03 0kBe8Cnl BE:1849570496-2BP(0)
ksk
9: ◆0O6axtEvXI
08/09/15 23:49:14 WkmfyLmt
やべ、前スレsageミスった……orz
あ、悪魔将軍&フェイト・T・ハラオウン、投下します!
10:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:49:43 u5dY7+w9
ksk
11:とある魔術の超電磁砲 ◆0O6axtEvXI
08/09/15 23:50:33 WkmfyLmt
ゼルガディスと別れ、フェイトは廃屋へと向かっていた。
特別な理由があるわけではない、なのは達がどこに居るか予想ができない以上、地図に書かれていた施設について調べて行こうと考えたのだ。
廃屋、神社……わざわざこれらの施設だけ書き込まれてるのは何故なのだろうか?
市街地と思われる北部にこれだけの建物しかないということはないだろうし、道の途中に一軒だけぽつんとレストランが建っているわけでもないだろう。
何故この施設だけなのか? その理由が気になり手近なところから探索することとした。
無論、なのは達のことを早く探したい気持ちはある。
だが彼女達がどこにいるかの予想ができない以上、闇雲に探し回っても出会える可能性は低い。
それならば出会うまでの間に一つでも多くの情報を入手しておく方が得策であろう。
と、そこまで考えてフェイトは軽く肩を回す。
「銃って、重いな……」
接近戦を主とする彼女だが、それでも速度を重視するため軽量型のバルディッシュと約8kgもあるライフルとでは基本の重量が違う。
持ち歩くだけで腕に疲労が溜まって来るのがわかり、とはいえ護身のための武器をしまうわけにもいかず溜息を吐いて気を入れなおす。
先の交渉でストラーダを手に入れられなかったのは痛かった、自分と同じく高速戦闘をするエリオのデバイスならば相性もよく言う事なしだったのだが……
―瞬間、動きを凍りつかせる。
「エリオの、デバイス……!?」
名簿にエリオの名前はなかった、それは確かだ、自分の息子のような存在でもあるその名前を見逃すわけが無い。
しかしゼルガディスが持っていたのは間違いなくストラーダ、エリオのデバイスのみが何故ここに存在しているのか。
あの二人組はこの場にいる者達だけでなく、他の関係者にも手を出していると考えるのが自然だろう。
そうするとエリオは、それに側にいるであろうキャロはどうなったのか?
―フェイトの脳裏に、液体と化した少年の姿が思い浮かぶ。
「エリ、オ……キャロ……!」
自分の肩を抱きかかえてその身を震わせる。
何者にも代え難い唯一無二の存在。
自分が絶対に守ると誓い、自分を守ってみせると言ってくれたあの二人は、もう存在しないかもしれない。
「い、や……そんな……そんなの……!」
悲しみ、絶望、怒り……彼女の心を闇が一気に喰らい、その場にへたり込ませてしまう。
その直後だった。
数瞬前まで彼女の頭部があった空間を男の拳が貫いたのは。
12:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:52:11 u5dY7+w9
ksk
13:とある魔術の超電磁砲 ◆0O6axtEvXI
08/09/15 23:52:53 WkmfyLmt
他の参加者を探していた悪魔将軍は、廃屋の近くで金髪の女性を発見する。
ライフルを持っているのを見て、向こうに気づかれぬようにしばらく観察しようと木の陰に隠れ様子を伺う。
身のこなしは悪くない、だが余りにも非力だ、あの程度の銃を持っているだけで疲れるとはあまりにも脆弱。
本調子でない自分の調整も兼ねて抹殺しておくのもよいだろう。
そう思い何やら震えている女の背後から拳を繰り出し……まさかかわされるとは思わず一瞬狼狽する。
「っ! あなたは!?」
「ふん!」
即座にその場から離れライフルを構えるが、悪魔将軍は構わず追撃にかかる。
向けられる銃口に怯みもしない相手にフェイトは焦る。
銃器に慣れていない自分では威嚇射撃さえ危険だ、狙いがずれて急所に当てるわけにはいかない。
よって再度回避を選択、横へ飛び退き、悪魔将軍の腕が背後にあった木を掴みそのままへし折る。
その圧倒的な力にフェイトの背筋が凍る、本能が「説得は無駄」と呼びかけ、即座に詠唱を開始しながら銃口を悪魔将軍の足元の地面へと向けて一発撃つ。
フェイトの狙い通りに地面へと弾丸は向かうが、その斜線上に悪魔将軍は自ら足を進めた。
「な―!」
「硬度9! サファイヤパワー!」
悪魔将軍が叫ぶと同時にその身体が硬質化し銃弾を弾く。
驚愕しながらフェイトは後ろへ下がるが、悪魔将軍の腕がそれを追いかける。
捕まるまいと必死で身を捩り―その背後にあった黄色の光球が放たれた。
「な―!」
「プラズマランサー、ファイア!」
雷撃を纏った魔力球が直撃し、吹き飛び倒れ付す。
デバイス抜きの一撃だ、威力は低くなるがフェイトの狙いは纏わせた雷による痛みと麻痺。
予想以上の疲労感に戸惑いながらも、倒れたまま動かない悪魔将軍を見て息を吐く。
(危なかった……異常なまでの筋力強化に身体の硬質化……見たことも無い魔法だ、デバイスも無しにこんな強力な魔法が使えるなんて)
拘束するために使えそうな道具がなかったか、デイパックを探り……突然その手が掴まれる。
「え……!」
「変わった技を使うな……だがその程度で、この悪魔将軍が倒せると思ったか!」
「う、あ――!?」
フェイトは知らなかった、人間を遥かに超えた超人の頑強さを、悪魔将軍が痛覚を持たないことを。
フェイトの予想より遥かに早く起き上がった悪魔将軍は、そのまま対策を考えさせる間も与えず両腕を取り振り回す。
それだけで腕に引き千切れそうな痛みが走りフェイトは顔を歪め、次の瞬間には空高く投げ飛ばされる。
(ひ、飛行魔法を……!)
焦りそうになる自分の頭を必死で抑え、術式を組み立てていく。
飛行魔法は資質が重要になるが魔法の難易度自体は初歩の魔法だ、一瞬で術式は組みあがり、発動させ―目の前に悪魔将軍が現れた。
驚きの声を発するよりも早く、悪魔将軍はフェイトの首へ自分の右足の脛を当て、そのままフェイトと共に落下していく。
「喰らえ! 地獄の断頭台!」
「あ……ぐ……! た、て……!」
このまま地面に叩き付けられては無事ではすまない。
悪ければ首が飛び、良くても骨が折れる、どちらにしろ死は避けられないだろう。
飛行魔法は解除し全思考能力を防御に回す、自らの身体を覆うフィールドタイプの防御魔法を発動、更にクッションになるよう円形の防御陣を落下地点に作り出そうと脳をフル回転させる。
(間に、あえ……!)
「死ぬがいい!」
14:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:53:38 u5dY7+w9
ksk
15:とある魔術の超電磁砲 ◆0O6axtEvXI
08/09/15 23:54:19 WkmfyLmt
悪魔将軍の足がフェイトの首、首輪のわずか上に捻じ込まれる。フェイトの表情が苦痛で歪み……悪魔将軍は感心したようにフェイトを見る。
「ふむ、並の超人より丈夫な者が多いようだな……だが」
クッションと防御魔法により首が折れる事は避けたフェイトはその場から離れ、再度詠唱をしようとし、動きを止める。
(声がでない……喉、が……!?)
「やはり、貴様の技は呪文のようなものを唱えなければ使えないようだな」
喉を潰される……魔道士にとって致命傷だ。
愕然とするフェイトに向かって、悪魔将軍は両腕から剣を生み出し突き付ける。
抵抗する術のないフェイトは後ずさり、いつの間に落としたのか、ライフルが足に当たった。
だがこの武器は通用しない、あの相手は自分の理解を超えた存在だ、もう一度捕まれば間違いなく命はない。
対抗手段は思い浮かばない。デバイスも詠唱も抜きで使える魔法など数えるほどさえないのだ、その中でこの相手に効果のあるものは存在しない。
(死ぬ……? 何も残せないで、なのは達にも会えないまま……?)
悪魔将軍が両腕を振り上げる、避けることは可能だが、逃げ切ることはまず難しいだろう。
時間が立つごとに、フェイトは自らに漂う死の臭いが強くなるのを感じとっていた。
(嫌だ……このまま誰も、みんなを守れず死ぬなんて、絶対に……!)
「―だ……じ――まも……」
「む……?」
潰れた喉で、消え入りそうな声で、それでも言葉を紡ごうとするフェイトに悪魔将軍は興味を持つ。
思い出すのは、普段は情けないキン肉マンが時折見せた、悪魔将軍さえも怯ませるほどの気迫。
あの気迫の正体をこの女は知っているのではないだろうか? キン肉マンの持つ火事場のクソ力にも似た力を持っているのかもしれない。
「女、いったい何が貴様をそこまで突き動かす?」
「――た、し……う………なの――は……がはっ!」
無理に喋り、喉に激痛を走らせながらもフェイトは悪魔将軍を睨み続ける。
「わた……しは! な、のはを! みんなを! 守る!!」
「むう……! これは、正義超人共と同じ……!」
「トライデン―げほっ! う、く……!」
無理矢理詠唱しようとするが、その途中で喉を押さえて膝を付く。
一言でも発せられただけで奇跡なのだ、防御魔法があったとはいえ、超人の息の根さえ止める地獄の断頭台を受けて無事でいられるわけがない。
悪魔将軍もフェイトの限界を察し、止めを刺そうと構えを取る。
「死ねぇ! 地獄のメリーゴーランド!」
悪魔将軍はフェイトへ飛び掛り、回転しながらその両腕の刃で切り裂こうと迫る。
限界に達したフェイトにはそれをかわす力も、反撃する力も残されていない。
16:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:55:05 Y8qL+VdA
ksk
17:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:55:35 u5dY7+w9
ksk
18:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:56:14 Kpergx+K
ksk
19:とある魔術の超電磁砲 ◆0O6axtEvXI
08/09/15 23:56:14 WkmfyLmt
このまま切り裂かれるのを待つのみ……その、はずだった。
「――スマッシャァァァァ!!!」
「なに!?」
残る力の全てを、いや、それ以上の想いを込めて、フェイトはたった一言を叫び……よろめきながら三叉の魔力砲撃を放ち続ける。
完全に攻撃の態勢だった悪魔将軍にその砲撃をかわす手段はなく、先ほどの魔力球とは比べ物にならないほどの衝撃が襲いかかる。
「ぐ! 硬度、じゅ……おおおおおおお!?」
「――――っ!!」
悪魔将軍に痛覚はない、だがそれはダメージを受けないということとはまた違う、魔力と雷撃の二重の衝撃が悪魔将軍を飲み込もうと襲い掛かる。
そして、フェイトも同じように二重の衝撃に襲われそれに耐えていた。
デバイス抜きでの自分の使える最高位の魔法、更に潰れた喉による不完全な詠唱、不完全な魔法は暴走しかけ、術者本人をも喰らい尽くそうと暴れまわる。
それでも、常人なら一瞬で気絶しそうなほどの痛みを受けながら、フェイトはただ前を見続ける。
「な……の――はああああああああああ!!!!」
「うおおおおおおおお!?」
悪魔将軍を吹き飛ばし、フェイトはその場に倒れ付す。
体力も魔力もほとんど残ってはいない、このまま誰とも会えなければ死ぬかもしれない。
(でも……私は守れた、のかな……ね、なのは………)
気を抜けば手放しそうになる意識を無理矢理繋ぎ止め、悪魔将軍が吹き飛んだ方向を見つめる。
非殺傷設定とはいえ、あの直撃ならばしばらくは動けないはずだ。
できればこの間に誰かに拘束してもらいたい、あの悪魔をそのままにしておくのは危険すぎる。
そんな願いを込め……その思考は完全に停止した。
20:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:56:40 yVGLsMyi
ksk
21:とある魔術の超電磁砲 ◆0O6axtEvXI
08/09/15 23:57:50 WkmfyLmt
「驚いたぞ……」
(え……?)
足音が聞こえる。
「よもや、この悪魔将軍に傷を負わせるとはな……」
(そんな……)
聞き覚えのある声も、一緒に。
「認めざるを得ないようだ、超人を超える者達がここにはいると」
(うそ……)
そして、見覚えのある姿が。
「感謝しよう、貴重な情報を与えてくれたことにな」
(なのは……!)
すぐ近くにあるライフルへ手を伸ばそうとする、だが腕は動いてくれない。
後ろへ下がろうとしても足は動かず、対抗策を練ろうにも脳は焦りから空回りし続けるのみだ。
「そして……」
(エリオ、キャロ……)
そんな中、彼女は想うのは、最愛の二人の子供……
「さよならだ」
(ごめんね……)
◇
「おのれ……あの二人、この身に何かしおったな……!」
廃屋の中、まだ使えそうな部屋の一つを探し出し壁によりかかるように座り込む。
先ほどの女が最初の見立てと違い相当な強者だったのは認めよう。
だが、それでも身体に残るダメージと疲労感は大きすぎる。
彼の身体を構成する悪魔六騎士がまったく反応を返さないのを見る限り、何か細工をされたと考えるのが妥当だろう。
「仕方あるまい……今は、休息をとるか……」
ゆっくりと身体を休めながら、一つ、ある事に思考を向ける。
(なのは、高町なのは、か……)
【E-5 廃屋内/一日目・未明】
【悪魔将軍@キン肉マン】
【状態】全身にダメージ(大)、身体に少し傷
【持ち物】
ユニット・リムーバー@強殖装甲ガイバー、ワルサーWA2000(6/6)、ワルサーWA2000用箱型弾倉×3、ディパック(支給品一式×2、不明支給品0〜2)
【思考】
0.休息
1.強い奴は利用(市街地等に誘導)、弱い奴は殺害、正義超人は自分の手で殺す(キン肉マンは特に念入りに殺す)。
2.適当にブラブラする。
22:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:57:57 Kpergx+K
ksk
23:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:58:32 u5dY7+w9
ksk
24:とある魔術の超電磁砲 ◆0O6axtEvXI
08/09/15 23:59:02 WkmfyLmt
彼女は守ることができなかった。
その力、その想いの全てをぶつけても悪魔には届かなかった。
だが、それでも、
それでも、たった一つだけ、彼女は守りぬいた。
友との「友情」を、悪魔将軍の唯一の弱点である、その想いを。
彼女は、守り通した。
【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはStrikerS 死亡】
25:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/15 23:59:47 Kpergx+K
ksk
26:とある魔術の超電磁砲 ◆0O6axtEvXI
08/09/15 23:59:48 WkmfyLmt
投下終了です、支援ありがとうございましたっ!
矛盾、指摘等ありましたらお願いします。
27:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:00:27 Y8qL+VdA
ksk ksk
28:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:01:46 Kpergx+K
フェイトーーーーーーーォ!!!
よくがんばった!よくがんばったよ!
これからはカオル君の遊び相手として
カオル君の怒りを静めておくれ、頼んだよフェイト
29:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:04:11 pMB71fun
ああ貴重なボインちゃん分が……!
さようならフェイト、これからはカヲル君の怒りを鎮めておくれ
30:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:04:39 SiyWmfAJ
うおおおお二人目の死亡者はまさかのフェイト!?
将軍強いよ将軍、なんかもう閣下(k)と将軍(s)だけで半分くらい全滅させられそうだw
これにキョン(k)もいるんだから……やばいぞ、ヒーローチーム!
31:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:05:04 q3AoNKLS
投下乙…
フェイトォォォォォォォ!!
良く頑張った!お前は十分頑張って、最後まで大切なモノを貫き通したよ
お前が弱いわけじゃない…相手がホントの悪魔だっただけなんだ!!
32:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:08:16 m4NINMB4
投下乙です!
フェイトが二人目の死亡者になったか……
だが、あの悪魔将軍さま相手にデバイス無しでよく頑張った!
GJだ!
33:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:08:55 Q4z7KHaz
投下乙!
うわぁぁぁ、フェイト、フェイト!
よく頑張ったけど、さすがに相手が悪すぎた……!しかもなんかなのはさん目ぇつけられてるー!
お疲れ、そして死者スレでカヲル君の遊び相手を頼むぞ!
あと前スレ>>1000!
ナイスといいたいがまたカヲル君が怒ったらどうするんだwwww
34:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:09:03 62mZs6Wq
投下乙
うわあ悪魔将軍強ええ
やはり戦士相手に魔法使いは不利か!?
35:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:09:35 zsP9Kvkj
フェイトさぁぁぁあぁぁぁぁぁん!!貴重な大人の女性キャラがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
結局散ってしまったけれど、でもそこに至るまでの気迫あふれる戦いには心を撃たれたよ……ちょっとだけなのはさんの名前呼び過ぎと思わないでもなかったけど…
しかしフェイトさん相手に余裕綽綽の悪魔将軍はまさに将軍だ…この先の将軍の活躍を考えるとgkbrとwktkが止まらない!
>>30
こんな所までkskなのかよ!?w
どこまでもネタの神に愛されてるなぁこのロワは
36:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:09:51 tYV7TgY6
投下乙
フェイトーーーーーー
悪魔将軍強ぇええええ
だがまだだ、ヒーロー側にはトトロがいる!!
37:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:10:11 YOqEwsYr
そういや2chの運営がダダこねたせいで専ブラの書き込みになんか障害あるってマジ?
38:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:11:17 tYV7TgY6
なんか「同意する」っての選ばなきゃ書き込みできなくなってることかな?
39:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:12:11 q3AoNKLS
トトロなら…トトロなら何とかしてくれるっ…
40:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:13:34 SsCziZJg
投下乙!
もうそろそろ誰か死にそうだ……と思ってたらフェイトかあああ!
将軍相手なら仕方ない……がんばったよ。カヲル君と冬樹と仲良くな。
41:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:13:50 Q4z7KHaz
だ、誰かkskマーダーに対抗してksk対主催を……!
42:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:14:45 62mZs6Wq
>>37-38
専ブラがJane Doe Styleなら以下のようにすれば何とかなるっぽい。
ちなみに雑談スレから勝手にパクってきた
165 名前:View ◆AcQTmXmylo [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:13:02 ID:k+Pti8ze
>156,158-159
とりあえず応急機能があるので、
メモ帳などでJane2ch.iniの[Write]セクションに
AditionalAgreementField=kiri=tanpo
と一行追加すれば書けるようになります。
詳細はJaneView.txtの▼060616の項目を参照。
178 名前:View ◆AcQTmXmylo [sage] 投稿日:2008/09/15(月) 06:55:42 ID:k+Pti8ze
>165はちょっと書き間違ってて、
AditionalAgreementField=&kiri=tanpo
で、&が必要でした。
43:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:16:38 q3AoNKLS
k(コウゾウ)
s(サツキ)
k(キョンの妹)
完璧だ
44:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:17:35 tYV7TgY6
kskマーダー ksk対主催
k 閣下 k ケロロ
s 将軍 s スエゾー
k kyon k ガルル
適当にwikiの名簿からkskに該当するキャラを探したが勝てる気がしねぇwww
45:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:23:14 SsCziZJg
k(キョンの妹)
s(サツキ)
k(草壁メイ)
kskロリ。……ヴィヴィオが入れられたらよかったのに。
46:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:23:19 Ozrj790V
やはりここはトトロのジブリフィールドアタックしかないな
47:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:27:53 Q4z7KHaz
みんななぜそんなにトトロに期待するwwwもっと強いのいるだろ……いるよね?
48:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:29:08 tYV7TgY6
ギガンティックトトロですね、分かります
49:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:29:51 YYTWeVfA
パヤオの力を信じるんだ!
50:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:31:54 CC+tVlBG
>>42
きりたんぽから、スカポンタンに変わったらしいけど?
51:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:32:15 SsCziZJg
最新の現在位置地図ってあるかな?
位置把握したいんだが……。
52:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:33:52 Q4z7KHaz
>>51
今作ってるんでちょっと待って……
53:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:34:26 62mZs6Wq
>>50
俺もよく分からんけどコピペしただけなんだw
だからよく分からないw
54:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:35:17 SsCziZJg
>>52
おお、ありがとう。
なんかせかすみたいなこと言ってすまなかった。
55:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:36:08 R0Li63vE
ためしに書き込んでみる
56:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:40:38 JQkmIXLD
投下乙です!
ギュオーに続き、マーダーのポテンシャルを思い知る話でした。
彼の時は二人組だったけど、今度は一人きりだったから逃れられなかったか…!
思いのたけをぶちまけた攻撃が、かえって相手になのはを認知されてしまうという不幸も素敵。
ついでに専ブラテスト
57:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:49:30 Au+5sBy8
>>31
ちょっと待てw
あの人を悪魔呼ばわりしたのは別人だwww
58:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:54:12 Q4z7KHaz
お待たせ、現在位置地図更新ー
URLリンク(takukyon.hp.infoseek.co.jp)
59:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:56:38 SsCziZJg
>>58
乙!
相変わらず見やすくていいですww
うーむ、予約したい組み合わせがあるがどうしても移動経路に一人いるなあ……。
60:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:56:39 tYV7TgY6
>>58
乙!ありがとうございます
こうしてみると将軍とまっくろくろすけ近いなぁ
61:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 00:59:02 Q4z7KHaz
>>59
逆に考えるんだ、「そいつも一緒に予約しちゃえばいいさ」と考えるんだ
62:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:05:05 V4iAzn5r
>>58
乙です。
改めてみると、神社周辺カオスだw
63:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:06:02 YYTWeVfA
k 来た! 地図来た!
s 最新地図来た!
k これで勝つる!
64: ◆qYuVhwC7l.
08/09/16 01:07:53 zsP9Kvkj
えー、キョン妹とゲンキを予約した物ですが、現在推敲中につき01:30までには投下出来るものと思います。
ぶっちゃけかなり長くなりそうなので、申し訳ありませんがかなりの支援、もといkskを頂ければ幸いです
そしてギコナビ使いの俺は見事に専ブラの異常にひっかかりましたとさ
なぜだカヲルくん!!魂のルフランじゃ不満だったのか!?くそう、投下する前から怒りの鉄槌ですかぁぁぁぁーーーー!?
65:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:09:19 Q4z7KHaz
>>64
来た!お待ちしておりましたー!
大丈夫、カヲル君のとこにひとり行ったから今の彼は機嫌いいはず!
そしてお色気パート待ってるよ〜(小声)
66: ◆qYuVhwC7l.
08/09/16 01:25:51 zsP9Kvkj
お待たせしました、ゲンキとキョンの妹の投下を開始しますー
67:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:26:06 pMB71fun
ksk
68:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:26:29 V4iAzn5r
お待ちしてました。ksk
69:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:27:11 Q4z7KHaz
ksk
70:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:27:31 tYV7TgY6
ksk
71:果タシテ、無知トハ罪ナリヤ? ◆qYuVhwC7l.
08/09/16 01:27:48 zsP9Kvkj
お待たせしました、ゲンキとキョンの妹の投下を開始しますー
「きゃああああああああぁぁあぁ!!だめ、だめ、だめだってばぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
地図上にしてG-02に当たる部分に存在する細道を奇妙なバイクで移動しながら、
年端もいかぬ少女―名簿上の名前を用いるならば『キョンの妹』なるあんまりにもあんまりな物を与えられた人物が叫ぶ。
仮にも殺し合いを命ぜられた多くの強者がひしめき合う会場内では、自殺行為以外の何物でもないのだが、あいにくと今の彼女にその事を考える余裕はない。
何せ――他ならぬ『乙女』としての危機が迫っているのだから。
バイクを用いた高速移動の産物として与えられる強烈な向かい風によって、バタバタと暴れる浴衣の下半身部分を必死で抑えながら、彼女は自分自身の迂闊さを激しく呪った。
――だって、だって、前にハルにゃんが『浴衣の下には下着を付けないでいるのが日本の伝統なのよ!』なんて言ってたからぁ〜!!
本人の意思とは関係なくそうせざるを得ない状況があった事も忘れて、自分自身でも良く分からない言い訳をするも、
それが事態の好転に何一つ貢献しない事は誰よりも彼女自身がわかっていた。
今、少女の体を包み込んでいるのは、『ksk温泉』なる意味不明の印字が施された布きれ一枚きり。
そして、全身を緩やかに覆い隠す浴衣としての機能しかもたないそれは、強風という力による蹂躙に耐え得る筈もなかった。
「うぅぅぅ………ひゃぁっ!?」
身を精一杯縮こませて、少しでも抵抗を減らそうと行動した少女を新たな衝撃が襲う。
つい先ほどの入浴にてぽかぽかと温まっていた平面的な体の上を、直に冷たい風がなぞっていったのを感じたのだ。
その感覚を事実と裏付けるように、浴衣の上半身部分が豊満な体を包み込んだときの様に大きく膨張し、
結果として肌の露出部分の増加…すなわち浴衣の隙間が大きく広がったという現象を引き起こす。
そして彼女は、発現したその大きな隙間から、桜色の部分が一瞬だけその姿を大胆に覗かせているのをしっかりと目撃してしまった。
………防衛すべき拠点は一か所だけではなかったのだ。
「み、見えちゃう〜〜〜〜〜〜!!見えちゃうよぉぉぉ〜〜〜〜〜!!!」
それぞれの手で上半身と下半身を必死に防衛しつつ、少女は再び叫ぶ。
果たして何が見えるのか? そんな事は口に出せる筈もない。『乙女』としては尚更である。
そしてその『乙女』の危機をあざ笑うかのように、現実は非情であった。
「えーーーーーー!?何か言ったかーーーーーーーー!?」
「見、見えちゃうのーーーーー!!だからちょっと止めてーーーーーーーー!!!」
「風でよく聞こえないんだって!!もっとはっきり言ってくれーーーーー!!!」
「は、はっきりなんて言えるわけないよぉぉーーーーーー!!」
「ダメだーーー!!!全然聞こえないってーーーー!!!!」
つい先ほどから幾度となく繰り返されている、バイクの運転手である少年、ゲンキとの会話が、強風の所為で声がかき消されることもあり全く上手く言っていないのだ。
誓って言って、ゲンキという人物は人並み以上に正義感に溢れたごく普通の小学生男子である。
決して同年代の少女の服を強風ではためかせて喜ぶといった下劣な性癖を持っている訳ではない。
とにかく、思いやりという感情をしっかり持ちあわせている彼は、明らかに異常を示している後ろの少女を気遣い、現状打破を目指してはいるものの……
「だから!!何がどうなってんだってーーーーー!?」
「だだだだだだだめーーーーー!!!絶対こっち向いちゃだめーーーーーーー!!!」
「うげぇ!!首、首から今嫌な音がぁ!!」
少女の状況が状況と言う事もあり、少しでも振り向こう物ならば即座に彼女の鉄拳が襲ってくる始末。
こうして今だにどんな惨状が少女を襲っているのかを理解できないまま、ゲンキはただバイクを走らせていた。
72:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:28:42 tYV7TgY6
ksk
73:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:28:53 rI2O8Bxd
ksk
74:果タシテ、無知トハ罪ナリヤ? ◆qYuVhwC7l.
08/09/16 01:29:28 zsP9Kvkj
ならば一度バイクを止めて、落ち着いた状態で改めて会話をすれば良いという考えも出てきそうな物だが、如何せんゲンキも焦っていた。
自分の大切な仲間であるホリィ、モッチー、スエゾー、ハム……彼らと一刻も早く合流したいという気持ちが彼を急かしているのである。
もちろん数々の強敵を打ち倒してきた彼らがそう簡単にやられる事は無いだろうとも思っているが、
主催者からして『人を突然オレンジ色の水に変える』というあまりにも不可思議な能力を持っている存在なのだ。
ワルモンとは比べ物にならないような強敵がこの殺し合いに参戦し、仲間達をその手に掛ける事も大いに考えられる。
また、ワルモン軍団の幹部であるワルモン四天王最後の一人、そしてホリィとスエゾーにとっては家族の仇でもあるナーガがこの場にいる事も不安要素の一つだった。
それに加え、後ろにいる少女…キョンの妹についてもまた心配な事がある。
彼女自身がその見た目に反せず、明らかに戦闘能力を持たない被保護対象である事は確実だが、話を聞くところによれば彼女の兄であるキョンを始めとした他の人々…
曰く、『SOS団』なるサークルに所属する高校生グループもまた、荒事とは一切無縁の生活を営んできたごく普通の人間達であるらしい。
もちろんただの小学生にすぎないゲンキ自身より弱いとは言わないが、それでも『何者かに襲われたら…?』という不安は消えない。
おそらく、自分と同じ年頃で、更に間違いなくか弱い存在である彼女にとっても同じ不安を、もしかしたらより一層大きい物を感じているだろう。
――少しでも早く知り合いと合流させて、安心させてやらないと……それにまぁ、色々と酷い事しちゃったっていうのもあるし。
一瞬だけ脳裏に蘇った、湯けむりの中に浮かぶ肌色…もしくはピンク色な光景を慌てて頭を大きく振って追い出すと、ゲンキは更に強くアクセルを入れる。
自分と仲間たちの為に、そして後ろの少女の為に。
「っきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?は、速くなってるよゲンキ君ーーーーーーーーー!?ダメ、見えちゃうぅぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜!!!」
……そして、その行動はより一層守るべき存在に絶望を与えるのであった。
ゲンキには何一つの悪意は無い。ただ一つだけ挙げるとすれば、彼は余りにも幼すぎた。
まだ幼い少女相手とはいえ、異性に対して適切な行動を取るには余りにも『無知』すぎたのである。
※
「う、うぅぅぅぅぅ……もうダメぇ………」
最早叫ぶ気力すら失い、僅かに涙を流しながら妹は力なく蹲った。
バタバタと暴れまわる浴衣を抑えている腕にも最早痛みが走り、「もう限界」という信号を彼女に送っている。
このままじゃもうお嫁に行けなくなるかも…という後ろ向きな呟きを噛み殺し、どうすればこの状況を打開出来るのかと彼女は幼い頭脳を必死で回転させる。
――ゲンキ君との会話は全然ダメ……だったらもう、後に残った方法は……。
少女の脳裏に浮かんだ言葉。それは即ち―――『実力行使』。
「ハルにゃん、お願い…ハルにゃんの元気な力、ちょっとだけ私にちょうだい…」
兄の一番の交流相手である、とにかく溌剌として破天荒で、自分の姉のような女子高生の事を思い浮かべながら呼吸を整える。
今から自分がしようとしている行為は、おそらく大きな犠牲を伴う危険な物だろう。
それでも、このまま何もしないで為すがままに(精神的に)凌辱され続けるよりは遥かにマシだ。
「…………〜〜〜〜っ………うん、よしっ……!!」
両手が使えないので、心の中の手の平にしっかりと三回『人』の字を書いて飲み込む
落ちないようにバランスを取りながら、バイクの横に垂らしてあった自分の両足を引き上げて体育座りの様な格好になって、一呼吸置いた後に――少女は行動を開始する!
「っと………ええぇぇぇぇぇーーーーーーーい!!!」
「ってうおおおおぉぉぉぉぉーーーーー!?」
突然、背中に衝撃と重みを感じたゲンキが驚愕の叫びを上げる。
後ろにいたキョンの妹が体育座りの状態から、足をバネにして運転手であるゲンキの背中に覆いかぶさったのだ。
彼女が立ちあがった一瞬、両手が完全に浴衣から離脱したために裾部分が大きく捲りあがり顔から火が出そうになったが、幸いにして目撃者は存在していなかった。
ともかく、これはまだ作戦の第一段階に過ぎない。ゲンキの背中に乗りあげたキョンの妹は更に前進して両手を伸ばす。
75:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:29:37 tYV7TgY6
ksk
76:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:30:41 tYV7TgY6
ksk
77:果タシテ、無知トハ罪ナリヤ? ◆qYuVhwC7l.
08/09/16 01:31:15 zsP9Kvkj
「な、何!?どうしたぁーーーーーー!?」
「いいからぁぁーーー!!ゲンキ君はちょっと黙っててぇぇーーーーーー!!!」
あまりにもいきなりすぎるキョンの妹の行動と、鼻腔をくすぐる彼女の髪から漂うほのかなシャンプーの香りなどの所為か妙に跳ね上がる心臓を抑えながらゲンキが叫ぶが、
少女はそれに答える余裕はない。
ただハンドルを掴んでいるゲンキの腕に添うように両手を進めていき……やがてその小さな二つの手はしっかりとハンドルを握り締めた。
「届いたっ……止まってぇぇぇぇーーーーーーー!!!」
少女が、絶叫と共にハンドルの下についたブレーキレバーを握り締める。
一瞬だけ宇宙人が作ったらしい(滅茶苦茶怪しい)このバイクが果たして地球製の物と同じブレーキの構造をしているのかと不安にはなったが、
今まで散々少女を苛めてきた非情な現実もようやく微笑んでくれたようで、走行中だったバイクは急激にそのスピードを落としていった。
ただし、急ブレーキという現象には付き物の強烈な衝撃と言う置き土産と共に。
「あ、あぶ、危なぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!?」
衝撃に振り落とされないように、またハンドル操作をミスして大事故を起こさない為にゲンキは必死で暴れまわるハンドルを押さえつけ、
キョンの妹もブレーキレバーを握り締め身を固くしたまま絶叫をあげる。
二人の努力がどうにか実を結んだのか、多少のアクロバティック的運動は行われた物の、ブレーキ作動位置から数十m程の所でバイクは無事に停止した。
「はぁ、はぁ、はぁ……………い、いきなり何するんだよ!?」
ともすれば大事故を引き起こしかねなかったキョンの妹の先の行動に、ゲンキは思わず声を荒げて非難する。
だが、それに対するキョンの妹もまた負けていなかった。
「だ、だってゲンキ君が止まってくれないからぁ!!もう少しで見えちゃいそうだったのにー!」
「見える?見えるって何がだよ?」
「そ、そんなの言える訳ないよー!?」
「言えないって…別に可笑しい所は見当たんないけど……」
「……っ…!やっ、見ちゃダメだってばぁぁぁーーーーー!!」
バイクから降りたゲンキに自分の体をジロジロと見られるに当たって、キョンの妹は初めてそこで浴衣が乱れ切っている事に気づいた。
幸いにも決して見られてはいけない『乙女』としての部分はギリギリで隠されていた物の、不幸な事にその為にゲンキには何が起きたかを理解できていなかった。
「見ちゃダメって…ちょっと服がぐちゃぐちゃになってたけど、それぐらいじゃ?」
「それがダメなんだってばー!!い、今………ンツ…付けてないし……」
「え?だからよく聞こえないって!!」
あまりの恥ずかしさに体を隠しながらボソボソと呟くキョンの妹だったが、やはりどこまでもデリカシーの欠けるゲンキの一言に思わず彼をキッと睨みつける。
「だから!パンツとかシャツとか着てないから浴衣が捲れると色々見えちゃう……の……」
「…………………あ、そういえば…」
大声で叫んでいる途中で流石に恥ずかしくなり後半はかすれた様な小さな声になってしまう物の、ようやくゲンキにも合点が行ったらしい。
一瞬まじまじと彼女の体を見つめてしまうが、ハッと我にかえり慌てて後ろを向いて直立の姿勢を取る。
78:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:31:45 tYV7TgY6
ksk
79:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:32:35 Q4z7KHaz
ksk
80:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:32:38 tYV7TgY6
ksk
81:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:32:42 V4iAzn5r
ksk
82:果タシテ、無知トハ罪ナリヤ? ◆qYuVhwC7l.
08/09/16 01:33:05 zsP9Kvkj
「ご、ゴメン!!俺もう向こう向いてるから!!絶対見ないからさ!!」
「うぅ……絶対だよ?絶対に見ちゃダメだからね?」
やや涙ぐんだ声でゲンキに答えながら、キョンの妹は細心の注意を払ってバイクから降り、後ろに括りつけてあった自分の下着を取り戻そうと手を伸ばす。
「あっちゃー……ホントにゴメン!全然そんな事気付かなかったし、何か言ってるのはわかったんだけどよく聞こえなくて…」
「もういいよ、ゲンキ君に悪気が無いのはわかったから…だから絶対にこっち見ないでね?」
「そ、それは絶対見ないって!!」
キョンの妹からは見えないというのにわざわざ両手を合わせて謝っていたゲンキだが、彼女の発言を聞いて再び気をつけの姿勢で待機する。
まさに彼の誠実さを表しているかのような行動に、半泣きだった少女も思わずクスリと微笑んだ。
「………………あれ?」
そのまま微動だにせず棒のように突っ立っていたゲンキだが、やがてここから少し先に二つのある物体が落ちているのに気づいた。
しばらくそれが何かを見極めようと目をゴシゴシと擦るが、月明かりに照らされたそれがディバックである事を理解するのにそう時間は掛らなかった。
「あ、俺達のディパックか……今の急ブレーキで落っこちっちゃったんだな」
このままだと忘れるところだった、危ない危ない……
そんな事を考えながらディバックに近づいた時、落下の衝撃で開いたらしい口から白い何かがはみ出しているのが目に入る。
「あれ…なんだ、この白いの?」
「見、見ちゃダメって言ったでしょゲンキくーーーーーん!!!」
「い、いやそっちじゃなくてコレだって!!」
まさにその時、生乾きだった自分の下着を手に取っていたキョンの妹に弁解するために、はみ出していたそれを完全に取り出してヒラヒラと振る。
それは、真白なカバーに包まれた分厚い小冊子だった。
「え……何それ?どこにあったの?」
「ディパックの中に入ってたんだ。たぶん、銃の他にも入ってた支給品…だと思うけど」
下着を再び元の場所に戻してとことこと掛け寄ってきたキョンの妹に、ゲンキは手の中の小冊子を見せる。
その表紙にでかでかと印刷された文字は、使用されている漢字こそ小学生の彼らにも理解できるぐらいに単純な物ではあったが、
その意味を図り知る事は幼い彼らには……いや、例え一定以上の知識を持っている大人にとっても難しい事だろう。
その文字列とは、即ち――――
「……………人類?」
「補完………計画?」
ゆっくりと表紙から目を離し、互いに顔を見合わせた少年少女は、巨大なクエスチョンマークを浮かべて同時に首をかしげた。
※
「えーと……人類、補完計画とは、秘密、結社………セ、セエレ?エス、イー、イー、エル、イー?」
「ローマ字読みじゃなくて英語読みじゃないかな?……私にも読めないけど」
「まぁいいや、飛ばしちゃって…セエレの……悲しい……?」
「……悲願?えっと、ヒガンであり、人類、全てに対する…キュウサイ……である。人類の、進化はすでに、大きな…イキヅマリ、を見せて……?」
ちょうど辺りに埋まっていた丁度いい大きさの岩に二人で座り込み、ランタンの明かりで冊子の文字を照らしだしながら、
ゲンキとキョンの妹はその内容をたどたどしく音読する。
ともすれば小学校の国語の時間のような、どこか微笑ましい光景ではあったが、読み上げている内容は教科書には載せられないような極めて難解な物だった。
83:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:33:30 rI2O8Bxd
ksk
84:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:34:06 tYV7TgY6
ksk
85:果タシテ、無知トハ罪ナリヤ? ◆qYuVhwC7l.
08/09/16 01:34:08 zsP9Kvkj
「ちょっと飛ばして……ケイカクの実行には………し…いや、使い……えーと?」
「ここも飛ばしちゃって…リリスの、分身である………ヨウ、ヒトガタ…ケッセン兵器…?」
「人造人間、エヴァンゲリオンの……じ、人造人間!?そんなモンスターいたかなぁ…?」
「とりあえず続き……エヴァンゲリオンの……エス、2?……機関?…を、キョウメイ……で…グングニルの……?」
「…………………………わかる?」
「…………………………ぜんぜん」
難解な漢字に聞き覚えのない専門用語を前に、途方にくれて顔を見合わせる二人の間を冷たい風が吹き抜けた。
「あーーーーーっ、もうヤメだヤメ!!こんなのただの難しい本だって!!」
早々に匙を投げたゲンキが両手を広げて草の上に倒れ込む。あまり頭脳労働の経験のない彼にとっては、この謎の書物の解読は拷問でしか無かった。
キョンの妹は未だ諦めきれないのか、まだ眼で文章を追っている物の、頭のクエスチョンマークは消えずに数を増すばかり。
これを完全に解読するには、一介の小学生にすぎない彼らは余りにも『無知』すぎるのだ。
可愛い顔立ちを疑問符で歪めているキョンの妹を見ながら、ゲンキは疲れたように声を掛ける。
「もう読まなくてもいいんじゃないか?大体、そこに書いてあるのが全部本当なのかどうか怪しいし…」
「ゲンキ君が言ってるのって、これに書いてあった、『セカンドインパクト』って話のこと?」
「2000年に南極で大爆発が起きて、日本の東京や世界中のあちこちが沈んじゃった事件なんて聞いた事ないぜー?」
ぼーっと月を見上げながらゲンキが気のない返事をする。
そんな世界規模の大事件が起こっていたのならば大きなニュースになっているだろうし、何よりその影響を実際にこの身に受けているだろう。
だが、ゲンキはもちろんの事キョンの妹もまたそんな事件を聞いた事も無かった。
「じゃあ、この本………ただのハズレなのかなぁ………」
「………それはまだわかんないけどさ」
明らかにションボリと元気をなくし、ともすればそのまま泣きだしてしまいそうな少女の声がいたたまれなく、
とりあえずフォローするような言葉を掛けてみるが、ゲンキ自身もかなり半信半疑だ。
主催者曰く、『殺し合いを円滑に進めるための道具』と言っていたが、果たしてこんな本の何が殺し合いに関係しているのか?
まさか武器に使え、という事でもあるまい。角でたたけばそこそこの威力はありそうではあるが。
ハァ…………と一つため息を付いたところで、キョンの妹がゲンキに話しかけてきた。
「ねぇゲンキ君……『L.C.L.』って、何かで聞いたこと無い?」
「え?」
突然の言葉に、しばらくゲンキが考え込む。
L.C.L.、エルシーエル……なんだろう、どこかでチラリと耳にした気がする。
「ここに書いてあるんだけど…私も何かで聞いたような気がして」
「どれどれ?」
よっ、と上半身を起こして、再び小冊子の中を覗き込む。キョンの妹が指し示している文章列には、確かに『L.C.L.』なる単語が含まれていた。
「………『L.C.L.』は、本来はエヴァンゲリオンの、エントリー…プラグ? 内に充満され、パイロットを…ホゴし、直接の……ここは飛ばすか。
えーっと……真実は、『L.C.L.』とは生命の…スープそのものであり…その形状はオレンジ色の、液………オレンジ色の液体?」
ドクンと心臓が跳ね上がった。
オレンジ色の液体。『L.C.L.』。そうだ、確かこの言葉は――。
86:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:34:52 tYV7TgY6
ksk
87:果タシテ、無知トハ罪ナリヤ? ◆qYuVhwC7l.
08/09/16 01:34:57 zsP9Kvkj
「…え……オレンジ、って………まさか……最初の時の………」
―――「生と死は等価値なんだ、僕にとってはね。だから死ぬのは怖くな―
―――「誰もが心に壁を持っている。A.T.フィールドと呼ばれるそれがあるからこそ、不完全な群体生物はその脆弱な個を保っていられる。
―――それを解き放ってしまえば肉体はその意味を失い、生命のスープであるLCLの海へと還元される。
―――これがその首輪の原理。
「そうだ……最初に主催者達に歯向かった、あの男の人が変化した……! それで、その時にあの女の人が言ってた事の中で、『L.C.L.』って!!」
呆然としているキョンの妹の手から小冊子を引きよせ、少しでも何かの情報を得ようとゲンキは文章の上に目を走らせる。
だが、そこに書かれている物も他の例に漏れず難解な内容であり、また先の少女の説明にあったような事しか読み取る事は出来ない。
もしかしたら、この文書は自分達を拘束している首輪の原理について重要な事が書かれているかも知れないのに―!
「ダメだ、全然わからない!!」
「む、無理だよゲンキ君…きっと私たちみたいな子供じゃわかんない内容だよ……?」
「……俺たちにはわからない……だったら」
他の、これを理解できるような人物に見せる事ができたら?
ゲンキは思考する。自分が知る中でこれを理解出来そうな人物は誰だ? モッチーとスエゾーは論外だ。
まとめ役にもなってるホリィなら…? ダメだ、自分より少しは年上だからと言って、こんな論文を理解できるような人じゃない。
だったらハムは……確かに頭もいい。けど待てよ? これは多分、モンスターファームの世界じゃなくて地球を舞台にして書かれた物だ。
自分とは別の世界の住人である彼らには荷が重い。
「なぁ!お前の知り合いで、これを理解出来そうな人っているか!?」
「えっ……?えーと…キョン君……はあんまり頭が良くないし……ハルにゃんや古泉君やみくるちゃんだったら……
で、でもみんな普通の高校生だから難しいかも……」
「そっか………」
つまりは、全滅……だが、その事実を突き付けられても、ゲンキの中のガッツはびくともしない。
「知り合いじゃなくても、きっとこの『殺し合い』をどうにかしようとしている人はいる筈だ。
そして、その中にはこれを全部理解できる人が居るかもしれない!!」
「きゃっ!?」
ゲンキが小冊子を持ったまま勢いよく立ちあがる。はやくも、この『殺し合い』に対抗するための手段が見えてきたのだ。
高まるガッツも少しでも発散しようと、ゲンキはいつも通りのあのセリフを叫ばんとする。
「よっしゃぁ!! ハートバクバク、元気ガンガンで――」
「待って!!」
「うおっ!? ど、どうした? なにかあったか!?」
決め台詞を突然遮られて思わずコケそうになるが、姿勢を保ちながらゲンキがキョンの妹を見る。
希望を見出してガッツ全開のゲンキとは反対に、少女の顔はどこか浮かない物であった。
「………なにか、変だよ? だってこの支給品って、殺し合いを進めるための物だよね? じゃあなんで、首輪の事が書いてあるような物を私に渡したのかな…?」
「そ、それは……主催者が間違えたとか!!」
まさにその場の思いつきというようなゲンキの言葉を聞いても、キョンの妹の顔は晴れる筈もない。
ただ一つ、彼女自身の中ではある事が引っかかっていた。
88:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:35:40 tYV7TgY6
ksk
89:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/16 01:35:43 V4iAzn5r
ksk
90:果タシテ、無知トハ罪ナリヤ? ◆qYuVhwC7l.
08/09/16 01:35:51 zsP9Kvkj
「………………有希ちゃん、かな……?」
「えっ?ユキ…って誰?」
「えっとね……最初に、メガネをかけたおじさんと一緒にいた女の子。あの人、キョンくんとハルにゃん達のお友達で、同じSOS団に入ってるの」
「な………なんだってーーーーーーーーーーー!?」
ここに来て明かされた驚愕の新事実に、思わずゲンキが絶叫する。
ついさっきの温泉での情報交換では、少しゴタゴタしていた事もあり言いそびれていたのだ。
「じゃ、じゃあその有希って人は友達を殺し合いさせようとしてるのか!?」
「そんな事ないもん! 確かに有希ちゃんは全然おしゃべりしなくて顔もかわらなくてちょっと変な人だけど、ハルにゃんやみくるちゃんと一緒で優しいお姉ちゃんだよ!!」
「だとしたら、何で…?」
「………そんなの、わかんないけど……でも、でももしかしたら、この本も有希ちゃんがわざわざ用意してくれた物なのかも、って……」
キョンの妹は消えそうなか細い声でそう答えると、力なく俯いてしまう。
あの最初に集められた大広間での彼女の様子を思い出そうとしてみても……いつもと変わらない、無表情ばかりが浮かんでくる。
「……わかんないよ………有希ちゃん………」
膝を抱えたままのキョンの妹を見ながら、ゲンキもまた考えていた。
今の彼女の様子を見るに、少なくともあの『有希』という人物は他の皆からも随分と信頼されていたように思える。
彼女と兄と同じく『SOS団』なる仲良しサークルで一緒に行動しているという事からもそれが窺い知れるだろう。
ならば、あの少女をこんな凶行に走らせてしまった原因とは何なのか?
『裏切り』という事についてはあまりゲンキ自身考えたくない。少なくとも、精神的に消耗している様子のキョンの妹には言い出せないだろう。
それならばまた違う原因が……………?
「誰かに………操られて?」
「えっ…………」
ポツリと、ゲンキの口から思いついた言葉が漏れる。
彼の脳裏に浮かぶのは、自分たちの最大の敵でもある、ワルモン軍団の首領『ムー』の事だ。
ムーには特殊な力があり、正しい心を持ったモンスター達の悪の心を増幅させ、戦いを好む残虐なワルモンへと変化させる事が出来る。
例えば、自分の仲間であるライガーの弟で、本来は兄思いの優しい性格であったモンスター、ギンギライガーがワルモン四天王にまでなってしまったかのように。
それと同じ力が、有希という少女に働いていたとしたら………?
「けど、ムーには人間を操る力なんて―」
「それだよ!!」
「うわっ、て、またかよ!」
ゲンキの言葉を再び遮って顔をあげたキョンの妹の目が、これまた再び衝撃でよろけているゲンキにしっかりと向けられる。
「有希ちゃん、きっと悪者に操られてるんだ!!」
「い、いやでも、ムーにはそんな力は無いし……」
「じゃあ、脅かされて無理やりにあんな事をさせられてるとか!!」
「脅かされて……? それだったら、確かにあり得るな」
ゲンキが旅した世界の中でも、ワルモン達に支配され、無理やりに働かされていた人々がいた事を思い出す。
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4906日前に更新/360 KB
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