kskアニメキャラバト ..
2:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 21:01:00 PpZXJwwC
よろしいならば参加者だ
6/6【涼宮ハルヒの憂鬱】
○キョン/○涼宮ハルヒ/○朝倉涼子/○キョンの妹/○古泉一樹/○朝比奈みくる
6/6【キン肉マンシリーズ】
○キン肉スグル/○キン肉万太郎/○悪魔将軍/○ウォーズマン/○アシュラマン/○オメガマン
6/6【モンスターファーム〜円盤石の秘密〜】
○佐倉ゲンキ/○モッチー/○スエゾー/○ホリィ/○ハム/○ナーガ
6/6【魔法少女リリカルなのはStrikerS】
○高町なのは/○スバル・ナカジマ/○フェイト・T・ハラオウン/○セイン/○ノーヴェ/○ヴィヴィオ
5/5【ケロロ軍曹】
○ケロロ軍曹/○日向冬樹/○タママ二等兵/○ドロロ兵長/○ガルル中尉
4/4【スレイヤーズREVOLUTION】
○リナ=インバース/○ゼルガディス/○ゼロス/○ラドック=ランザード
4/4【新世紀エヴァンゲリオン】
○碇シンジ/○加持リョウジ/○惣流・アスカ・ラングレー/○冬月コウゾウ
4/4【強殖装甲ガイバー】
○深町晶/○アプトム/○ネオ・ゼクトール/○リヒャルト・ギュオー
4/4【砂ぼうず】
○水野灌太(砂ぼうず)/○小泉太湖(小砂)/○川口夏子/○雨蜘蛛
3/3【となりのトトロ】
○トトロ/○草壁サツキ/○草壁メイ
48/48
地図はこれだよ!
URLリンク(takukyon.hp.infoseek.co.jp)
3:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 21:09:26 PpZXJwwC
【―カヲル君からのお願い―】
___,,,.................,,___ \ / キャラクターの状態を把握しやすくするために、
´ >'"¨'''ー- ...,,__¨`\ ヽ\ | SSの最後に以下のテンプレを挿入してくれ。
_/_,,.... -─-- ..,,_\ \ i ヽ |
/ `> \ \ i\ i | 【場所/時間帯】
/-‐ァ / ___ \ヽ i / | 【名前】
/ /// / _,,..二ニ= ',i // | 【状態】
//,.7'" _,,.. -‐'''"、‐-..__.... -─- 、 レ 、 ̄`\ | 【持ち物】
/,..イ/ 「¨,ゝ、=ニ二 \¨、`\ | 【思考】
//// Z ヽマラ''" -‐‐- 、 \ \ __ |
// _=ニ二__.... _二ニ= , il ', ',/ ̄ | 時間帯の区分は以下の通りだ。
___,イ,' 、_ノ _,.-‐ニ二、-‐ニイ ll \. i ',. ', / | 0〜3時:未明
/ フ , 、 '"、 -.、、\. /i ∧ /l ∨ ',_', ,.イ | 3〜6時:明け方
"\'-─- //!,' 丶 ヽ,仏、 / レ' ', /| l __,,... -‐ム''" < 6〜9時:朝
\‐-、 ,' \ Z ヾ-イ .// /',/ /レ'''"/ / | 9〜12時:昼前
//ヽ ` Z `>ソ / /_/ ,.イ / | 12〜15時:昼過ぎ
、 ,. ‐‐--‐'''"_,.! \ _,,.. -‐- ..,,__,,.. -‐'''" / . | 15〜18時:夕方
/ / ̄  ̄>'''" / / . | 18〜21時:夜
__/__........___/ -‐==- イ / . | 21〜24時:夜中
/ / ,.-‐''" |
\ 三時間区切りだから、割とアバウトでいいと思うよ。
4: ◆LQxnEUL7WA
08/09/05 22:04:10 BDGHZF/2
丸みを帯びた形状に、数々の傷や窪み。往年の兵器を思わせる、古めかしい装甲。
漆黒のヘルメット、ショルダーパッド、ニーパッド、レスリングパンツ、それらが包む浅黒い筋肉。
目には映らぬ肉体内部には、人類未踏の技術により組まれた超人界至高のメカニズムが躍動を続けている。
時折聞こえてくるコーホー、コーホーという機械的な呼吸音は、深夜の凍てついた空気に響きそして消えた。
「……」
無言。呼吸音以外は無駄な言葉を発さず、漆黒の男はただ考え事をしていた。
慌てず騒がず、自らが立つ境遇、舞台、環境を判断材料に、物事の取捨選択と優先順位の組み立てを進める。
これが過去の、約三十年前の若かりし頃の彼であったならば、こうはいかない。
未曾有の自体に頭がパニックを起こし、この催しの趣旨どおり、監視者たちの掌で躍らせて仕舞いとなっただろう。
年月は人に落ち着きを与える。それは人間にも、超人にも言える道理だ。
だからこそ―21世紀の時を生き、伝説超人(レジェンド)の一人として称えられた彼は慌てない。
冷静沈着な精密機械のように、ロボ超人であるウォーズマン―通称『ファイティング・コンピューター』は揺るがない。
「フッ……超人オリンピック・ザ・レザレクション決勝、ケビンマスク対キン肉万太郎の対決を目前に控え、こんなところに連れてこられるとは」
21世紀、前世紀に名を馳せたキン肉マンやテリーマン、ロビンマスクといった強豪超人たちは、衰え一線を退いた。
若き超人たちの指導者となる者、老体を構わず研磨する者、あてもなく人間の世を放浪する者、歩んだ道はそれぞれだ。
その中で、歳を取らず肉体の衰えもないロボ超人ウォーズマンは、とある一人の若き超人に着目し、専属の指導者となった。
祖国ロシアを捨て、西方のイギリスに愛国心を移してまで熱情を注いだのは……かつての師、ロビンマスクの一人息子たるケビンマスクだった。
ウォーズマンの体内時計によれば、明日は超人オリンピック・ザ・レザレクション決勝当日、ケビンマスクがチャンピオンとなる吉日のはずだった。
もちろん、コーチたるウォーズマンがこんなところで油を売っているわけにはいかない。早々に日本へと舞い戻らなければ。
「俺だけならば、それでよかった。しかしここには、キン肉マンの息子であるキン肉万太郎までいるではないか」
殺し合いの参加者がピックアップされたリスト、その中には、ケビンマスクの対戦者たる日本代表超人、キン肉万太郎の名もあった。
対戦者不在では、決勝戦は成り立たない。不戦勝により勝ち得たチャンピオンベルトに価値はなく、ロビン王朝の復活には繋がらない。
己の身だけではなく、キン肉万太郎もどうにかして連れ出し、帰還を果たさなければならなかった。
「いや、問題はそれだけじゃない。万太郎の父にしてかつての英雄超人、しかし今は老いぼれ大王のキン肉マン。
俺たちの時代にその悪名を轟かせ、超人界に多大なる爪痕を残していった悪魔将軍にジ・オメガマン。
元悪魔超人だが正義超人に鞍替えを果たし、祖国たる魔界での生活を送っていたかと思われたアシュラマン。
なんともおかしな人選だ。特に悪魔将軍とオメガマンの名が気にかかる。キン肉マンに倒されたはずの二人がなぜ……」
名簿に名を連ねる有名・強豪超人たち。死んだ者や一線を退いた者まで含まれるその面子を見て、ウォーズマンは訝しんだ。
そして連想するのは、この面子を選び拉致した殺し合いの首謀者……草壁タツオと長門有希の顔だ。
超人でもない、単なる人間であるはずの二人が、いかにしてこのような催しを実行できたのか、謎が残る。
5: ◆LQxnEUL7WA
08/09/05 22:05:42 BDGHZF/2
「他の参加者も……殺し合いをするメンバーには、正義超人が守護すべき人間たちが多く含められている。
人間・超人が混在する輪の中で、クロエの仮面を剥ぎ取られた俺に、神はなにを望む?
ケビンマスクよ……おまえならどうした? そしてケビンの父であるロビンマスク、あんたなら……」
ウォーズマンの悲願。それは、自身を超人レスリング界に引きずり込んだ張本人たるロビンマスクへの恩返し。
ひいては、彼の息子たるケビンマスクをこの手で鍛え上げ、結果としてのチャンピオンベルト姿を拝むことにある。
一方で、ウォーズマンは人間を尊び守る、地球の平和を死守する正義超人軍の一端だ。
前者がクロエとしての顔であるとするなら、後者はウォーズマンとしての顔。
そして、この地で呼ばれたのが『クロエ』ではなく『ウォーズマン』だとするなら……。
「戦えというのか〜? ケビンマスクのコーチ超人クロエとしての悲願ではなく、
ファイティングコンピューター・ウォーズマンとしての捲土重来を成せというのかぁ〜?」
仮面の外側に汗をかきながら、ウォーズマンは頭を抱えて狼狽する。
若かりし頃のウォーズマンであったならば、このまま懊悩の海に沈み溺れただろう。
だが、
「……おもしれぇじゃねぇかぁ〜」
ニィ……っと、ウォーズマンが口元を歪曲させて、笑う。
残忍さを主張する不気味な笑みは、彼がファイトの際に時折見せる―通称『ウォーズマンスマイル』。
若き超人時代の衝動と、アイドル超人軍としての使命感が沸々と甦り、ウォーズマンは歓喜に震えたのだった。
「やってやるぜー! 一人でも多くの人間を守り、悪行超人に類する輩はこの俺が沈めてやるー!」
猛々しく叫び、ウォーズマンは立ち上がった。
「さて、そうと決まればいつまでも燻ってはいられねぇ。まずは各地を回ってみるか……」
確固たる指針を胸に、行き先を求めるウォーズマン。
現在地である暗がりからの脱出を目指し、歩を向けた矢先、
幼い少女の泣き声が聞こえた。
◇ ◇ ◇
6:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:06:24 zOlB+GXg
ksk
7: ◆LQxnEUL7WA
08/09/05 22:06:43 BDGHZF/2
なにもかもがわからなくなって、しっちゃかめっちゃかだった。
おかあさんの退院の日は、そろそろだと聞かされていた。
おとうさんが、大勢の人たちの前でなにかを喋っていた。
おねえちゃんと繋いでいたはずの手の感触が、消えていた。
全身を不安と焦燥が駆け巡り、足は加速し、走った。
見知らぬ土地を、がむしゃらに駆けた。
草壁メイには、それしかできなかった。
四歳児の体には余る大きなデイパックを背負いながら、首輪の感触に怯えながら。
知らない男の人がスープになる光景を覚えながら、それを眺めるおとうさんに怯えながら。
「わあああああああああああああああああんっ!!」
顔面は既に涙でぐしょぐしょになり、目は赤くなっていた。
それでも走りをやめられないのは、安心が訪れないからだ。
いつもメイに安心を分け与えてくれていた姉や祖母は、側にいない。
歯止めが利かず暴走する童心は、やがてその身を一軒の廃屋へと導いた。
照明皆無の暗闇と、呼吸器官に詰まるような埃混じりの空気は、引っ越して来たばかりの我が家に似ていた。
割れた窓ガラスや腐った床など、掃除だけでは住まいにはし難い雰囲気すら漂っていたが、メイは構わず突き進む。
ひょっとしたら、ここにおねえちゃんがいるかもしれない。おばあちゃんがいるかもしれない。いないかもしれない。
どこに行けばいいのかもわからなかった。普段ならとっくに寝ている時間、メイは疲れ果てるまで疾走を続けた。
暗黒が満たす廃屋の中に足を踏み入れ、しかしその度合いがあまりにも濃すぎたがために、メイは二の足を踏む。
幽霊でも出そうなべとついた空気に当てられて、幼女の恐怖心はさらに駆り立てられた。
あのときは、おねえちゃんと一緒だったからまだ平気だった。あんな風に、大声で叫ぶこともできた。
今は夜で、ひとりぼっちで、家に帰る手段もわからなくて、これからどうなってしまうかも全然わからない。
不安が満たす矮小な心は、それでも懸命に救いを求め、少女の喉を刺激する。
元気を取り戻せば、きっと―と。
「まっくろくろすけでておいでー!」
メイは暗闇に向かって、泣きながらそう叫んだ。
すると、
「コーホー」
返ってきたのは、機械的な呼吸音。そして黒い人だった。
◇ ◇ ◇
8:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:08:00 ZcT6sRAP
ksk
9: ◆LQxnEUL7WA
08/09/05 22:08:10 BDGHZF/2
「わああああああん! おねええええええちゃああああああああん!!」
叫びの音量は増し、メイは脱兎の如く廃屋から逃げ出した。
田舎で慣らした健脚がなければ転んでいただろう速さで、とにかくあの黒くて大きな人から逃れるために、走った。
そんな、殺し合いの渦中に身を置かれた哀れな子供に目をつけたのは、一人だけではなかった。
メイの足が向かう先、待ち構えるように立つ一人の少女の影があった。
抜群のプロポーションをオーソドックスなセーラー服に包み、艶やかな長髪を可愛らしく揺らす。
喜色に富む朗らかな笑顔は、泣き叫ぶ少女の姿をしっかりと捉え、またニコッと笑う。
手には大型のボウイナイフが握られており、血痕の付着していない刃は今、この地で初めて人に向けられる。
朝倉涼子はボウイナイフを得物とし、草壁メイを最初の獲物に選んだ。
朝倉の持つギラギラとした刃に気づいたメイは、疾駆していた足を緊急停止。
泣き顔をそのままに、声だけは止めて、にこやかに立つ朝倉と相対する。
笑顔から発せられる、あまりの威圧感。耐え難い恐怖に、メイは竦んでしまった。
既に狂気を垣間見た直後、四歳児のメイに耐えられるものではなく、当に限界は超えてしまっていた。
「おねえ、ちゃ、た、たすけ」
どうにかして搾り出した声を、人間ならざる聴覚を持つ朝倉が拾い、返答としてこのような言葉を突きつける。
「うん、それ無理」
残酷無比なキラースマイル。
朝倉が一歩前に出て、メイは尻餅をついた。
朝倉がもう一歩前に出て、メイは失神してしまった。
朝倉は構わず、進撃を進めた。メイの意識はもはや朝倉には干渉できない。
当然の結果が見えた、刹那。
メイの後方に位置する廃屋から、黒い影が飛び出した。
「うおおおおお! スクリュードライバー!!」
両腕を頭の上にピンと伸ばし、自身を矢のように鋭く尖らせ、回転。
弾丸の性質を持った弩弓として、廃屋の壁をぶち破り標的の朝倉涼子に一目散。
ベアークロー未装着でのこの技は、21世紀では『超人削岩機(マッハパルバライザー)』とも呼ばれる。
10:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:08:56 zOlB+GXg
ksk
11: ◆LQxnEUL7WA
08/09/05 22:09:14 BDGHZF/2
飛来する黒の超人弩弓を前に、朝倉涼子は驚き瞠目する。
身の硬直も一瞬に済ませ、すぐさま跳躍。人間離れした身体能力を持ってスクリュードライバーの射程から逃れた。
朝倉が回避したことにより、弩弓は回転を停止。自身にブレーキをかけ、気絶した少女の壁となるように立つ。
決意して早速、ウォーズマンは正義超人としての務めを果たしたのだった。
が、守護はとりあえずだ。安逸は、悪行超人に類する外敵を倒して初めて訪れる。
「邪魔する気?」
こっくりと首を傾げ、可愛らしく尋ねる朝倉。
ウォーズマンは、そんな彼女に不敵な笑みを零しつつ返した。
「フッ、今さら人間面するのはやめてもらおうか。このウォーズマンの精巧なセンサーが告げている……貴様、人間ではないな?」
「あら、そういうあなたも人間じゃないみたい。でも、そっか。うん。ひょっとしたら、そういうことなのかもしれないね」
ロボ超人であるウォーズマンの観察眼は、目の前の少女をただの人間ではないと踏んだ。
首謀者のあの二人、草壁タツオの側にいた長門有希なる少女。どこか彼女に近しい雰囲気を感じる。
ゆえにウォーズマンは脇を固め、悪行超人を前にしたときと同様の心構えで対決に臨んだ。
しかし、朝倉涼子の次なるアクションは、ウォーズマンとしても想定外なものだった。
「今回の一件については、私は特になにも説明されていないの。情報統合思念体とのコンタクトも不可。
けれどあの場にいた長門さんは紛れもなく本物だろうし、そもそも粛清されたはずの私がこうしてここに立っているのも不自然な話。
でね、いろいろ考えてみて、とりあえず趣旨に則ってみようと思ったんだけど、あ、もちろん涼宮ハルヒは保護対象として確保する前提でね」
スマイリー・マーダーは急にナイフを皮製の鞘に収め、饒舌に事情を語りだす。
展開の唐突さに疑問を覚えるウォーズマンは、ファイティングポーズを解かぬまま問うた。
「なんのつもりだ?」
朝倉はニコッと返し、直接の返答ではない身の上話を続ける。
12:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:09:45 OyhWRynz
ksk
13: ◆LQxnEUL7WA
08/09/05 22:10:30 BDGHZF/2
「けど、そうなのよね。ここには私の知っている人間だけじゃなくて、あなたみたいな非人間もいるみたい。
情報統合思念体とのコンタクトが取れないから、あなたがどういった存在なのかも私は知ることができないし。
これはあれかな、人間みたいに情報は自分の足で得ろっていうお告げなのかな。おかしな話よね、誰に命令されたわけでもないのに。
だってそうでしょう? 私は単なるバックアップかもしれないけど、長門さんの部下というわけじゃないし、草壁タツオなんて人間は知らない。
私は対コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイスであって、人殺しの道具ではないわけだし、そもそも殺す意味が不明瞭だもの。
もしこの舞台が私の知らない情報で構成されていて、あなたのようなイレギュラーが他にも存在するというのなら、私はまず知ってみたい。
この感覚はあれね。キョンくんを殺して涼宮ハルヒがどう出るか探求した、急進派の意向に沿って行動した私とは別種とはいえ同じものなのかも」
……タクティクスに長けたウォーズマンの精巧なコンピューターといえど、朝倉の真意はまるで読み取れなかった。
本人どう対処したものかと立ち往生する傍ら、朝倉は無防備に歩み寄ってくる。
「安心して。とりあえず、その子とあなたに危害を加える気はなくなったから」
変わらぬ笑顔で、まったく信用できないセリフを吐く朝倉に、ウォーズマンは結局構えを解けぬまま、
「ね? だから―少しあなたの話を聞かせて」
親交の証として、向こう側からの強制的な握手を許してしまった。
【E-05/廃屋前/一日目・未明】
【名前】ウォーズマン @キン肉マンシリーズ
【状態】健康
【持ち物】デイパック(支給品一式、不明支給品1〜3)
【思考】
1:幼女(草壁メイ)を保護、少女(朝倉涼子)に対応。
2:正義超人ウォーズマンとして、一人でも多くの人間守り、悪行超人とそれに類する輩を打倒する。
3:最終的には殺し合いの首謀者たちも打倒、日本に帰りケビンマスク対キン肉万太郎の試合を見届ける。
【備考】
※「キン肉マンII世 ULTIMATE MUSCLE2」超人オリンピック・ザ・レザレクション決勝直前から参加。
【名前】朝倉涼子@涼宮ハルヒの憂鬱
【状態】健康
【持ち物】ボウイナイフ、デイパック(支給品一式、不明支給品1〜2)
【思考】
1:自身の知らぬ未知の情報を吸収、分析し、今後の方針を練る。そのためにもまずウォーズマンと対話したい。
2:今のところ誰かに危害を加えるつもりはない。
【名前】草壁メイ@となりのトトロ
【状態】気絶、精神疲労、軽い錯乱状態
【持ち物】デイパック(支給品一式、不明支給品1〜3)
【思考】
1:失神及び錯乱状態。
2:おねえちゃんやおばあちゃんに会いたい。
14:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:11:00 tU4EQbcE
ksk
15:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:11:05 zOlB+GXg
ksk
16: ◆LQxnEUL7WA
08/09/05 22:12:29 BDGHZF/2
投下終了。タイトルは
「Contacting ファイティング・コンピューターVS対コンタクト用ヒューマノイド・インターフェイス」
でお願いします。
一人くらい万太郎知ってるのがいてもいいじゃないってことで
17:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:17:05 vZwpE3wd
18:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:19:27 vvSTNv1q
投下乙!
まっくろくろすけでておいで→コーホー
の流れでお茶吹いたwwwwwwwwwwwww
そして珍しく余り積極的じゃない朝倉とは。もしや初の脱マーダー化なるか!?
19:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:19:48 ZcT6sRAP
>>16
乙!
メイが呼びかけた後出てくるウォーズマン想像したら吹いたw
あああやばい実は予約してるんだけど終わらないいいいいい
20:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:19:58 zOlB+GXg
投下GJ!
>「まっくろくろすけでておいでー!」
>「コーホー」
何このまっくろくろすけwww
そりゃメイでなくとも逃げるわw
ウォーズマン出るタイミングはかってただろww
そして2世のウォーズマンが出るとは意外、てっきり万太郎は一人ぼっちかと思った。
21:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:22:46 ZW5h7zOL
いや、確かに「まっくろくろすけ」ではありますけれどもwwwww
22:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:27:58 yPebtyFb
やっぱみんなまっくろくろすけにつっこみ入れてるw
これはいいまっくろくろすけww
23:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:27:58 1BYUS0Hu
GJ!ウォーズマンに吹いたww
24:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:29:41 vlHODwgX
投下乙!
まっくろくろすけには吹いたwww
25:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:30:27 cWR+c9Gs
まっくろくろすけww
26:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:32:08 G0WfWfUB
おお、丁度次スレ移行とは
もう5スレ目とは早いなー
そして2人とも投下乙!どっちもこの先の展開が気になるね
27:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:36:48 cWR+c9Gs
あれ?結局ゼルガディスとかオメガマンの名前を正式名称に変更するのはやめたの?
28:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:37:18 /LovS+3B
投下乙!
まっくろくろすけwwwww
しかし朝倉怖いな。
何かきっかけがあれば殺し合いに乗る可能性も……。
29:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:40:34 tU4EQbcE
しかしこのまっくろくろすけノリノリである
30:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:41:08 QM8fRxQ7
このインパクト、もうウォーズマンの通称はまっくろくろすけになるんじゃないかwww
31:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:41:36 vvSTNv1q
ねんがんの【確定参加者・場所・時間別一覧表】をてにいれたぞ!
未明 B-7 デパート上空 小砂
未明 B-8 街 冬月、タママ
未明 C-8 ゴルフ場 モッチー、ハルヒ
未明 D-6 森の中 ラドック
未明 E-5 廃屋前 ウォーズマン、朝倉、メイ
未明 E-8 山 ヴィヴィオ、アスカ
未明 F-6 森 ノーヴェ、ネオ・ゼクトール
未明 F-8 森 みくる
未明 G-5 森 ギュオー
未明 H-5 森 スエゾー、オメガマン
32:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:46:58 QM8fRxQ7
ならばこちらは各キャラスタンスの簡易まとめだ!
マーダー
オメガマン、ラドック=ランザード、リヒャルト・ギュオー
マーダー化の危険アリ
朝倉涼子、タママ二等兵、ネオ・ゼクトール(アプトム限定)、小泉太湖(小砂)(人外限定)
対主催(戦闘能力アリ)
ウォーズマン、モッチー、スエゾー、ノーヴェ、惣流・アスカ・ラングレー
対主催(戦闘能力ナシ)
涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、ヴィヴィオ、冬月コウゾウ、草壁メイ
エヴァはよう知らんので、「実はアスカそんなに強くないよ」とか「実はコウゾウめっちゃ強いよ」とかあったらゴメン
33: ◆/PADlWx/sE
08/09/05 22:47:34 ZcT6sRAP
シンジ、夏子、雨蜘蛛投下します
34:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:47:58 G0WfWfUB
>>32-32
すげぇ!乙!
35:少年少女と、変態 ◆/PADlWx/sE
08/09/05 22:49:37 ZcT6sRAP
「うわぁぁぁああああああああああああぁああああああああああぁぁああぁぁ!!!」
碇シンジが開始早々に叫び声を上げた。
突如、黒っぽいスーツのような物を着た男に襲われたからだった。
* * *
僅か数分前の出来事。
「殺し合え」と言われた異様な空間、異様な状況。
それらについて行けないまま、彼の友人である渚カヲルが目の前で死んだ。
それだけでも頭が真っ白になる異様な自体だというのに、シンジは気がついたらどこかの採掘場に倒れていた。
周りを見渡す。何かの採掘途中で掘り返された砂と、森ばかりが目に入る。
……さっきのは「夢」で、今も「夢」の中にいるはずだ。
僕はカヲル君と話していて、いつの間にか寝てしまって、それで悪夢を見てしまっただけなんだ―とシンジはぎゅっと目を閉じ、耳を塞いだ。
カヲルが溶け、オレンジ色の液体となって死んでいった光景が自然と思い出される。
友人であるアスカもレイもミサトもトウジも全て失った彼が得た、随一と言っていい「友人」だったのだ。
その「友人」すらいなくなってしまったら、いったい誰に頼ればいい? ただ使徒と戦い続ける? たった一人で?
カヲルと会った事によって、少し心の緊張がほぐれたのに……。
目を瞑っても、耳を塞いでも、いくら首を振っても、先ほど見た「悪夢」の光景はしっかりと目に焼き付いてしまっていた。
「うぅぅぅ…………ぅぐっ………………」
耳を押さえていた手をそのまま口元へ持って行く。そして力なく地面に蹲った。
いくらエヴァンゲリオンに乗って、使徒と戦うという特異な状況にある彼でも、“友人が溶かされて死ぬ”という事態にはついて行けない。無論、「殺し合え」と言われてもすんなりと受け入れられるはずが無かった。
――誰もが心に壁を持っている? それがA.T.フィールド? LCL? ……意味が分からないよ。
あの二人はいったい誰なんだ? 女の子の方は僕達と同い年ぐらいじゃないか。なんであんな酷いことが出来るんだよ……。
A.T.フィールドを知っているってことは父さん達と関係がある?
じゃあ、どうしてカヲル君を殺したんだッ! どうしてカオル君は死ななきゃいけなかったんだ!
どうして僕達は殺し合いなんかしなきゃいけないんだ!
……帰りたい。そりゃあ普段は「帰りたくない」って思うときの方が多いけど、こんな状況よりはマシだ―。
彼の頭を満たすのは、疑問と恐怖と不安でいっぱいだった。
エヴァンゲリオンに乗り始めてから何度も囚われた感覚。決して慣れることの無かった感覚。
それらの感情は頭の中で渦巻き、彼の正確な思考を妨げる。
口からはうめき声が漏れ、シンジが正常では無い事を物語っていた。
ゲーム開始から約十分。
十分の間に現実を受け入れ、殺し合いに乗るか乗らないかを決めた者もいる。シンジのように、現実を受け入れられず、戸惑った者もいるかもしれない。
せめて殺し合いに乗らない者が来れば良かったのだが、彼は運が悪かった。
基本的な「支給品と名簿を確認する」ことさえしていない間に、――殺し合いに乗った者、すなわち襲撃者が現れた。
じゃり、と砂を踏み砕く音にシンジは現実に帰る。
振り返りざま立ち上がり、――ぱぁん、という破裂音が響いた。
「あ、……………………っ!!!」
拳銃の弾は左肘をかすめ、闇に消えていった。
ずきずきと痛む左腕。その場所は振り返る前にシンジの心臓があった位置だ。
ぽたり、ぽたりと地面に血がしたたり落ちる。
目の前には、銃を構え、こちらを向いている男がいる。
男――雨蜘蛛がゲームに乗っていることは明白だった。
36:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:51:03 cWR+c9Gs
ksk
37:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:51:13 tU4EQbcE
ksk
38:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:52:22 FUfnU3/3
ksk
39:少年少女と、変態 ◆/PADlWx/sE
08/09/05 22:53:37 ZcT6sRAP
* * *
はぁっ、はぁっ、と荒い息のシンジ。
対する雨蜘蛛は息を切らしていなかった。それもそのはず、荒事に慣れている雨蜘蛛は十四歳の少年と比べものにならない体力を持っていた。
「そこの小僧、大人しく降参しろ。疲れずに済むぞ〜」
どこかからかうような口調だった。
「はぁっ……はぁ…………い、……嫌だ…………!」
立ち止まったら殺される。逃げなきゃ殺される。
死にたくない。
逃げなきゃ死ぬ逃げなきゃ死ぬ逃げなきゃ死ぬ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ……!
ただ「走る」ことのみを頭に置く。
そのせいで、足下への注意がおろそかになっていた。地面には掘り返された砂利や石ころだらけ。都会に住む人間のシンジにとっては圧倒的に不利な立場。
雨蜘蛛は関東大砂漠に住んでいて、この様な地形には慣れていた為、圧倒的に有利な立場であった。
結果、シンジは足をとられて転倒してしまう。
顔を上げると、目の前には銃を構えた雨蜘蛛。シンジは背筋が凍るような思いに囚われた。
「あ…………あぁぁぁああぁ………………」
「小僧、俺が聞くことだけに答えろ」
有無を言わせない口調で言う。
「水野灌太―砂ぼうずと呼ばれている奴を見かけなかったか。髪はぼさぼさで目つきが悪くてボイン好きな外道少年だ」
「し、…………知ら、ない……」
「嘘はないな?」
「ほ、ホントだよ! ここに来て人に会ったのはアンタが初めてだ」
「そうか」
かちり、と指が引き金にかかる。
「じゃあな」
「待って!」
「なんだ? 遺言でも残したいのか?」
雨蜘蛛は怪訝そうな声――マスクをしているため、表情は伺えない――で訊く。
「……ゲームに、乗ってるの?」
シンジにも分かりきった問い。だけど、人を躊躇無く殺せる理由を聞かずにはいられなかった。
「当たり前だ。銃も握ったことなく、ただ逃げ回ることしか出来ない甘ちゃんとは違うんだよ」
僕だって戦ってるんだ―とシンジは言いたかったが、ぐっとこらえた。
何故か、だんだん冷静な思考が出来るようになってくる。
「…………誰でも殺すの?」
「そうだ。『奴』以外は死のうが何しようがどうでもいい」
そんな理由で、人が殺されてしまうなんて――。
「いくらなんでもおかしいだろ……!? 殺し合えって言われて、素直に殺し合うなんて」
「俺みたいな連中は常にそういう世界に生きているんだ。場所が変わっただけで状況は変わっていないさ」
雨蜘蛛は銃を構え直し、淡々としながら言う。
その隙にシンジはちらりと横を窺った。支給品が入っているディパックは手の届く位置にある。
……気づかれないよう、じりじりと手を伸ばし始めた。
「僕より小さい女の子でも殺すの? 小さい子供でも?」
シンジはさっきの広場のような所に、自分と同い年、あるいは年下ぐらいの女子供を見ていた。
「あぁ。できれば活きのいい女と張り合いたいな。ガキは論外だ」
その言葉はシンジにショックを与えた。
まだ親に甘えたいであろう年頃の子供もいたのに――こんな奴らに、殺される? 誰だって死んでいい訳はないのに。
―させるもんか。
40:少年少女と、変態 ◆/PADlWx/sE
08/09/05 22:54:44 ZcT6sRAP
脳裏には、皆を守ろうと勇敢に戦い、……傷ついた友人達の姿が浮かんできた。
レイ、アスカ、トウジ―。そしてこのゲームで殺されたカヲル君。
もう誰も傷つかせたくない。死なせたくない。
ディパックを掴み、歯をぎゅっと食いしばる。
そのまま目の前の襲撃者にぶつけてやろうと目論んでいた。
が、それを予見していたらしく、ディパックを蹴り飛ばされてしまい、反撃の手段は封じられた。
負け惜しみのように、震える声でシンジが言う。
「お前らみたいな奴は、…………血も涙も、」
「無いね」
――再び、破裂音が響いた。
* * *
「………………………………」
シンジが襲われる数分前。
小砂に「凄腕美人」と称される女―川口夏子は一人考え込んでいた。
気がついたら見たことがない所にいて、「殺し合いをしろ」と言われて、誰かが体を溶かされて、……また見たところがない所にいる。
首にそっと手を触れる。硬く冷たい感触がそこにあった。
この異常な現実を受け入れるしかないわね……と、夏子は考え始めていた。
あの二人の正体。どのようにして体を溶かすのか。どうやってこんな大人数の参加者を一度に集めたのか。あの二人の真の目的は何か。
今は考えてもキリがない。一人で考えるには限界があるし、いずれもあの二人に超人的な能力が備わっていないと出来ないことだからだ。
その能力の正体を考えても始まらない。自分の行動方針を決めなくては。
ディパックをごそごそと漁る。最初に手にしたのは支給品名簿だ。
目を滑らせると(明らかに人間とは思えないような名前もあったが、この際気にしないことにした)見知った名前は三つあった。
『小泉太湖』
『雨蜘蛛』
そして、信じられない名前が一つ。
『水野灌太』
「灌ちゃん………………生きてたんだ…………」
…………………………。
夏子の胸に複雑な感情が走る。
一時期は憎んでいた。「強くなろう」と夏子に思わせ、政府軍に入るきっかけとなった。
例の輸送車の陽動作戦の時は、少しだけ見直した。
だけど、地下からの脱出の時の爆発に巻き込まれて…………半年以上もそれっきりだった。
「……………………………………………………」
夏子は黙り込む。
嬉しいとも、嫌だとも言えない。
灌太が昔からの幼なじみで、尚かつ執拗な嫌がらせを受けていたが故に、だ。
41:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:55:01 cWR+c9Gs
ksk
42:少年少女と、変態 ◆/PADlWx/sE
08/09/05 22:55:40 ZcT6sRAP
…………とりあえず……自分の兄弟は誰も参加していない。安堵のため息を漏らす。
三人とも本当は苦労をかけたくないから本当に良かった。……特に春夫は少々気が弱いから、こういう異常事態に巻き込まれて無くて安心した。
そして、自分は関東大砂漠では無い所にいる。周りの景色からして地下でもない。
夜にしては暑いし、夏子が知らない―見たこともない緑色の風景が広がっている。すぐには帰れそうになかった。
まずは行動方針を決めよう。
改めて「殺し合い」をしろ、と言われても、弱肉強食の世界で生まれ育ってきた夏子にとっては普段と変わりない。
格闘術の訓練を受けていたことがこんな所で役に立つとは思いもしなかった。
「……そうだ。今度は武器を確認しなきゃ」
再びディパックを漁る。コンバットナイフが出てきた。
説明書には“なんと! あの対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースの一人が使っていた物の同モデル!”と書かれてあった。……意味不明。
そして、「七色煙玉セット」が入っていた。それぞれの色で一個ずつ。七回使える。
「少し頼りないわね」
せめて銃が欲しかった。
武器が無いよりかはマシとはいえ、ナイフと煙玉だけでは厳しい。いざとなったら逃げるしかない。
最初のうちは徒党を組んで行動した方が良さそうだ。……最後の方は、切り捨てることになるかもしれないが仕方ない。
雨蜘蛛は論外として、小砂は一緒に行動してくれそうだ。戦力にもなる。
灌太の場合は―――――。
銃声が響く。
反射的に、音のした方へ走り寄った。
見ると、先ほど「論外」と称した雨蜘蛛が気弱そうな少年を襲っている所だった。
雨蜘蛛は少年に銃を突きつけ何かを問いただし、少年は生きる時間を稼ぎつつどうにかして状況を打開しようとしているみたいだった。
―どうしようかしら。
雨蜘蛛に加勢する気は全く無い。どうせ初っぱなから人々を殺して回り、灌太辺りと決着をつけるつもりなんだろう。
「逃げる」――? ……雨蜘蛛がこちらに気づくのも時間の問題だ。銃なしではまともに渡り合えない。
「少年を助ける」―? メリットが余り感じられない。だけど、仲間を増やす、という点のみでは良いことだ。
少年に戦う力は無いと見えるが、楯ぐらいにはなりそうだ。
―それに、…………いつかの借りを返してやりたい。自分の代わりに傷ついた冬夫兄さんに変わって。
夏子は煙玉を取り出し、雨蜘蛛に向かって投げつけた。
* * *
43:少年少女と、変態 ◆/PADlWx/sE
08/09/05 22:56:35 ZcT6sRAP
雨蜘蛛にとって予想外の事態が起きた。
引き金をちょっと引けば少年が死に、……少年の支給品をぶんどれるはずだった。
突如、横から飛んできた何かに銃がぶつかり、はじき飛ばされる。
雨蜘蛛も少年も唖然としていた所で、赤色の煙が充満しはじめた。
銃の場所が見えない為、雨蜘蛛は身構える。
第三の襲撃者は横から襲ってきた。
腰の辺りを思いっきり蹴飛ばされ、雨蜘蛛はうめく。
蹴りを返すが受け止められ、拳が飛んでくる。
それをバックステップで交わしたが、きらりと光る「何か」に胸の辺りを切り裂かれた。赤い液体がしたたり落ちる。
襲撃者の顔を見て、雨蜘蛛は驚きの声を上げた。
「お前は………………あの活きの良い女じゃねぇか」
確か、政府軍に入っていた。
夏子はナイフを持ったまま不敵に笑い、言った。
「いつかのお返しよ。冬夫兄さんに変わってね」
再び姿が見えなくなる。
煙が晴れてきたが、少年と夏子は忽然と姿を消していた。
追いかけるのはあきらめ、そのままだった銃を拾う。
胸の傷は浅い。このぐらいなら放置しても良さそうだ。
ふと、少年のディパックに目を留める。逃げる時に置き忘れたらしい。
中身を漁ると、…………信じられないものが出てきた。
* * *
「大丈夫? 腕の怪我は平気?」
余りにも突然のことだったから、シンジはまた混乱した。
殺される―と思った瞬間、横から何かが飛んできて、煙がいっぱいになって、気がついたら手を引かれて女の人と一緒に逃げてきたのだ。
「腕…………は、平気です。助けてくれてありがとうございました」
とりあえず、シンジはお礼を言った。
「無理しちゃ駄目よ。貴方、あの男に刃向かおうとしていたでしょう? 殺されるのがオチだから危ない人を見つけても手出しはしないこと」
シンジは驚いた。自分の行動まで見られていたとは……。
「で、でも…………放っておいたら、誰かが殺され」
「その前に自分が死ぬ? それでもいいなら止めないわ。今から追いかけたら?」
「ご、…………ごめん、なさい」
俯くシンジ。
人が傷つくのは嫌だけど、自分が死ぬのも嫌だった。
……正直言うと、まだ頭がぐるぐると混乱している。
女の人は、シンジが落ち着くまで黙って見守ってくれていた。
数分後。互いに自己紹介をした。
危なくなったら逃げられるように―と、夏子はシンジに煙玉を渡した。
夏子は太湖(小砂とも呼ばれているらしい)を探し、シンジはアスカを探していることを伝えた。
「…………変なんです」
「何が?」
「僕の友人のアスカなんですけど、その……とても身動きできる状態ではないのに、どうやってゲームに参加しているのかなぁ、って」
精神を完全に病んでしまっている様にも見えたアスカ。
歩くことも話すことも出来そうには無い。
「……私も変だと思うことがあるの。死んだはずの人がゲームに参加してる」
「え? それって―」
「あの二人が言っていたでしょう。死者蘇生も出来る、って。そういう事なのかな、って思うの」
『優勝者は願いを叶えられる』
『死者蘇生』
……もしかしたら。
「シンジ君?」
「あ、いや、…………何でもないです」
さっきの考えを取り消す。
とにかく、今は夏子さんと行動しよう―シンジはそう思った。
44:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:56:37 vZwpE3wd
45:少年少女と、変態 ◆/PADlWx/sE
08/09/05 22:57:24 ZcT6sRAP
* * *
「これは…………」
雨蜘蛛はある一つの物をしげしげと眺めていた。
手に取り、それを裏返し、持ち上げる。
それが未知の武器ならまだしも、
…………彼が手にしているのは「メイド服」だった。
説明書には「SOS団のマスコットが着ていたあの服!」としか書かれていない。
雨蜘蛛は何か気になるところでもあるのか、じっくりと眺めている。
まだ未明。
雨蜘蛛は紫がかった黒色の砂漠スーツを着ている。
顔のマスクで口も鼻も完全に覆われ、目がある位置のレンズのみが光って見える。
そして手にしている物はメイド服。
第三者が見たらこう思うに違いない。
「変態」と。
しばらくした後、彼の趣味に通じる物があったのか、それをディパックの中にしまい込んだ。……何に使うのかは不明である。
雨蜘蛛は一人歩き出す。
普段仕込んでいる糸やらナイフやらSMグッズは全て取り上げられていた。戦うとしたら銃のみ。
そして、――今、一番戦いたい相手は「砂ぼうず」。
「待っていろ。直ぐに決着をつけてやるからな。フハハハハハハハハハハハ〜〜!」
森の方角に向かって、真っ直ぐに走り出した。
46:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 22:57:22 vZwpE3wd
47:少年少女と、変態 ◆/PADlWx/sE
08/09/05 22:58:15 ZcT6sRAP
【H-06/森/一日目・未明】
【名前】碇シンジ@新世紀エヴァンゲリオン
【状態】左肘に軽い銃創/情緒不安定気味
【持ち物】七色煙玉セット@砂ぼうず(残り六個)
【思考】
0:優勝したらカヲル君が――?
1:川口夏子と共に仲間(惣流・アスカ・ラングレー、小泉太湖)を捜す。
2:生き残りたい。誰も死なないで欲しい。
【備考】
※第二十四話「最後のシ者」の、渚カヲルが使徒と判明する前より参戦。
【名前】川口夏子@砂ぼうず
【状態】健康
【持ち物】コンバットナイフ@涼宮ハルヒの憂鬱
【思考】
1:碇シンジと共に仲間(小泉太湖、惣流・アスカ・ラングレー)を捜す。
2:終盤まで徒党を組む。生き残る為には手段を選ばないつもりでいる。
3:水野灌太と会ったら――。
【備考】
※第二十一話「師匠と、弟子PartII」終了後に参戦。(まだ雨蜘蛛が裏便利屋に雇われていない時期)
【H-07/採掘場/一日目・未明】
【名前】雨蜘蛛@砂ぼうず
【状態】胸に軽い切り傷
【持ち物】S&W M10 ミリタリーポリス
【思考】
1:生き残る為には手段を選ばない。邪魔な参加者は殺す。
2:水野灌太と決着をつけたい。
【備考】
※第二十話「裏と、便」終了後に参戦。(まだ水野灌太が爆発に巻き込まれていない時期)
48: ◆/PADlWx/sE
08/09/05 22:59:03 ZcT6sRAP
以上です。ノシ
49:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:00:59 cWR+c9Gs
投下乙!め、メイド服とはw
50:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:07:20 FUfnU3/3
エヴァも砂ぼうずも把握してないんだけど面白いなw
シンジはそのうち壊れてしまいそうだ
51:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:08:42 vlHODwgX
投下乙
CV若本にメイド服、これからが本当の地獄だ(ゴクリ
52:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:12:20 QM8fRxQ7
投下乙ー
シンジと夏子か…シンジは砂漠じゃ真っ先に死ぬかカモにされるかって感じのタイプだしなぁ…この先に不安が残る組み合わせだ
そして雨蜘蛛…いや、奴ならきっとメイド服を有効活用する気がしてならないw 漫画版でも女用のドレスをプレイに使ってたしwww
とりあえずアレだ、シンジが掘られなくて良かったぜw
にしても夏子も「生き残るために手段は選ばない」って言ってるし灌太も絶対まともな対主催にはならないだろうし
マジで砂ぼうず勢は全員マーダー化しちゃうんじゃないか…!?
53: ◆LndwzbX0Vw
08/09/05 23:13:20 xSvcnwMH
携帯から。酉違うかも。状態表がおかしいので明日修正します
54:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:22:34 QM8fRxQ7
前スレ終わっちゃったし、とりあえずこっちにも貼っておこうかな…
現在の未予約キャラ
3/6【キン肉マンシリーズ】
○キン肉スグル/○キン肉万太郎/○アシュラマン
3/6【モンスターファーム〜円盤石の秘密〜】
○佐倉ゲンキ/○ホリィ/○ナーガ
1/6【魔法少女リリカルなのはStrikerS】
○セイン
2/4【スレイヤーズREVOLUTION】
○リナ=インバース/○ゼロス
1/4【強殖装甲ガイバー】
○深町晶
1/4【砂ぼうず】
○水野灌太(砂ぼうず)
0/6【涼宮ハルヒの憂鬱】
0/3【となりのトトロ】
0/5【ケロロ軍曹】
0/4【新世紀エヴァンゲリオン】
やっぱり媒体自体が古めのキン肉マンとモンスターファームがやや苦戦か…?
55:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:23:56 vvSTNv1q
今日までの予約が三つ残っているが果たして
56:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:24:46 vvSTNv1q
>>54
ハム&古泉の予約が破棄された件も追加
ぶっちゃけMFは書けるんだが他に書けるのが知らないor売り切れなんだよ…
57:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:26:00 vZwpE3wd
別に予約はキャラ単体でも良いんだぞ
58:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:30:57 zOlB+GXg
>>48
投下乙!
砂ぼうず知らなかったんだけど
この状況にまったくうろたえてない所が凄いなw
シンジも不安定だし、どうなるんだこれから。
59: ◆wuOy/6oIeM
08/09/05 23:32:46 1BYUS0Hu
数日前に、トトロ、ドロロ、キョンの妹を予約した者です。
どうしても今日中に投下出来そうに無く、身勝手ですが三人の予約を撤回させて貰いたいと思います。
皆さんに迷惑をおかけしてすみませんでした。
特にこの三人を使用しようとしていた方、本当にすみません。
60:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:35:22 QM8fRxQ7
修正してみた……
2/6【涼宮ハルヒの憂鬱】
○キョンの妹/○古泉一樹
3/6【キン肉マンシリーズ】
○キン肉スグル/○キン肉万太郎/○アシュラマン
3/6【モンスターファーム〜円盤石の秘密〜】
○佐倉ゲンキ/○ホリィ/○ハム/○ナーガ
1/6【魔法少女リリカルなのはStrikerS】
○セイン
1/5【ケロロ軍曹】
○ドロロ兵長
2/4【スレイヤーズREVOLUTION】
○リナ=インバース/○ゼロス
1/4【強殖装甲ガイバー】
○深町晶
1/4【砂ぼうず】
○水野灌太(砂ぼうず)
1/3【となりのトトロ】
○トトロ
0/4【新世紀エヴァンゲリオン】
61: ◆U85ZpF.SRY
08/09/05 23:38:22 Uw4A4c62
それでは、佐倉ゲンキとキョンの妹を予約します
62:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:40:10 cWR+c9Gs
うーん破棄が多いと悲しいな
次の予約が入らなければどんどん投下可能なんで、投下していってくれ
それがむりならぜひ避難所の没作投下スレへ!
63: ◆321goTfE72
08/09/05 23:42:08 knrGga4N
水野灌太とセインで予約します。
64:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:44:32 knrGga4N
って感想を忘れた…。
GJ!まっくろくろすけのやりとりはやっぱり笑った。
砂ぼうず勢は全員どっちに転ぶか分からない性格してるけど…
メイド服に大いに期待。
65:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:44:58 vlHODwgX
予約されてないキャラなら即投下もありだよ!
66:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:45:41 zOlB+GXg
>>63
凄いトリップだw
つかあのときの人か?
67:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:49:26 Q3y1dLRF
とりあえず雨蜘蛛に原作異常の変態プレイみせてもらいたいところw
68:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/05 23:53:55 QM8fRxQ7
確かトトロは以前「なんか40kb近く書いちゃったんだけど」って人がいた気がする…
出番ですよー!!
69: ◆m0TQE.IDWQ
08/09/06 00:18:12 MUxzxsTm
いいのかな?トトロ、古泉一樹でよやく
70: ◆h6KpN01cDg
08/09/06 00:19:04 w8fdNQIx
ケロロとサツキ投下しますー。
皆さんのクオリティが高いので怖いですが……。
71:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/06 00:20:06 oxnfCEme
ksk
72:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/06 00:20:31 VyokBVGS
ksk
73:名無しさん@お腹いっぱい。
08/09/06 00:22:04 DyZFnEHr
ksk
74: ◆h6KpN01cDg
08/09/06 00:22:32 w8fdNQIx
時の流れというものは、残酷である。
人が一番望む瞬間でとどまってはくれないものなのだ。
だから、彼女は少しだけ考える。
もし自分が、妹と同じくらい幼ければ。
今の状況すら理解できないほど、小さな子供に戻れれば。
もしくは、お母さんやお父さんくらいの大人になっていたならば。
あらゆる知識と経験で、悲しみを克服できるほどに成長していれば。
しかし、どうしようもないのだ。
未来人でも超能力者でもない彼女は――ただの、12歳でしかないのだから。
D-10区間。
一人の少女が、草叢に座り込んだまま動かずにいる。
ここに先ほど送られてきたばかりの少女は、先刻のわずかな時間で目の前に繰り広げられた光景を未だ認識できずにいた。
「……」
少女・草壁サツキは、気の抜けた顔で言葉すら発しない。
妹やクラスメイトに見せるしっかり者の面影はそこにはなく、その表情にはショックと疑問だけがただ渦巻いている。
さわさわと風が涼しい。海がすぐ横に見える、普通なら絶景の観光スポットだろう。
それなのに、どうして。
「……お父、さん」
もしここにいるのがサツキ一人ならば、まだこの境遇に耐えうることができただろう。
勿論ごくごく普通の少女であるサツキには、人が死ぬことへの耐性もなければ身を守る手段もない。
一時は絶望しきり、恐怖に怯え、泣き喚くことにはなろう。
それでも、普段の彼女なら、そこから懸命に立ち上がれるはずだった。
メイのために、父親のために、母親のために、クラスメイトのために、トトロのために、早くここから抜け出そう、とすら思えたかもしれない。
しかし、サツキは動けずにいた。
あの謎の場所で妹のメイの姿を確認したというのに。
妹と手をつなぎ、守ってやらなければと思ったというのに。
ひくり、と喉が空しく音を立てるだけで、うまく声にすらならない。
「……そ、んな……なんで……なんで……お父さん……」
理由は一つ。
父親が――草壁タツオが、あの少年を『殺した』からだ。
銃で撃った訳でも包丁で刺した訳でもない。
ただ、少年の首が溶け去り、消えただけ。
それでも、聡いサツキには十分分かる。
あれは、父親の手によるものだと。
あの人は、『死んだ』のだと。
――お父さんは、そんなことする人じゃない。
それは誰よりも、娘である自分がよく知っていた。
――お父さんは考古学の先生で、かなり抜けてて、正直私が見ていても頼りなくて……でも、すごく優しい人なの。
結核で苦しむ母に愛情を注ぎ続ける、愛すべき父親。
それなのに、どうして。
「……どうして……」
そんな、ひどいことをするのだろう?
「お父さん……っ!」
私たちのことが嫌いになったの?
お母さんのことをもう愛していないの?
考えたくない。
考えたくないが、『殺し合いをしてもらう』という言葉を発した時の、父親の見たこともない冷徹な瞳がいまだに頭にこびりついて離れない。
本来なら発狂してもおかしくない状況。サツキの理性をかろうじてつなぎとめていたのは、妹の存在だった。
メイはまだ4歳。あまりに幼すぎる妹も、この場にいる。
温かい掌のぬくもりを思い出す。
好奇心旺盛で遠慮を知らない、てんで子供の妹が、このような場所でまともにやっていけるはずがない。
なくしていいはずがない。大切な、大切な妹。
――メイが、……死ぬ?
連想する。メイも少年のように、オレンジの液体しか残らずにこの世界から消失する。
自らの父親の手で。
それを考えるととても意識を失うことなどできそうになかった。
75: ◆h6KpN01cDg
08/09/06 00:23:26 w8fdNQIx
「……メイ」
そして、ゆっくりと彼女は立ち上がる。
頭は全く冷えていない。そのまますぐにでも倒れてしまいそうだ。
それでもそう呟いたのは、悲しきかな彼女の性。
トトロが出た、そう無邪気に笑う妹の姿を考えると、自然に足が前に出ていた。
「メイ……どこ?」
しっかりしなきゃ、そう繰り返す。
「……メイ」
父親のことは、奥底に封じ込めた。
それ以上考えるだけで、心が完全に壊れてしまいそうで。
サツキは、ただメイのことだけを思う。
「メイを……探さないと」
妹だけは。
何があっても、メイだけは守りたい、と。
わずか12歳の彼女はそう誓った。
※
「……うーむ、これは一体どんなアニメでありますか?」
そして同地区。
大きめの石に腰かけ、ディパックをあさる生物が一人――否、一匹。
彼の姿は、どこからどう見てもカエルそのものだ。
本当はケロン星に住む宇宙人、しかも一介の軍人なのだが、まあ普通の人間が見ればカエルにしか見えないだろう。
「……タママに冬樹殿…………それにガルル……あ、ドロロ忘れてた。我輩達に何をさせたいのかさっぱりであります」
口では平気そうに言う。が、内心ケロロは怖くて仕方がなかった。
あの少年の謎の死に様。彼の故郷であるケロン星は、今住んでいるペコポンなどよりずっと科学の発達した場所。
そのケロン星の知識をもってしても、説明がつかないことが起こったからだ。
人が溶ける。燃やしたり消したりすることはできても、あんなやり方は見たことがない。
侵略の集団に使うには、どうも気乗りがしないくらいおぞましいものに思えた。
参謀たるクルルなら解析の一つや二つ可能だったかもしれないが、少なくともケロロにはさっぱりだった。
ケロン軍からこんなところに行けなどという命令は下らなかった。これでは侵略予定表を提出できないであります、そう言えばまだザクを作り終えてなかった!とケロロは一人呟く。
「……そしてこれは何でありますか」
とりあえずディパックの中身を確認しようとケロロが引っ張り出したのは――女の子用のセーラー服だった。
夏美のものとは違う。
「……?これ、どこかで見たことがあるような……」
ケロロは首をひねる。このデザインは初めて見た気がしない。
しかし、どこで見たのかよく思い出せない。
「……まあ、使えないものは仕方ないであります。とにかく冬樹殿を探さないと」
冬樹はケロロの大切な友人だ。
冬樹を危険なことに巻き込みたくない気持ちはある。それに……ケロロ自身も正直あまり一人では行動したくなかったり、していた。
できるだけ怖いことからは逃げたい。当たり前の感覚だろう。……軍人としては、少々どころかかなり失格の思考ではあるが。
「早く帰って……早くガンダムの再放送を見ないと!……はっ、そそう言えば夏美殿にトイレ掃除を頼まれていたであります!すっごい怒ってた気が…………こ、殺される……」
理由はともかくとして、仲間を探そうと歩き始めるケロロ。
そこに、背後から知らない声がかかった。
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5325日前に更新/343 KB
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