【防衛】要塞を守りきれ!ファンタジーTRPGスレ4 at MITEMITE
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1:創る名無しに見る名無し
16/10/12 09:31:13.50 V3663qQl.net
 ロールプレイ(=想像上のある役柄を演じる事)によりストーリーを進める一種のリレー小説です。
(スレッドタイトルにTRPGとありますが、ダイスを振る本来のテーブルトークRPGとは異なります)
文章表現にはこだわりません。台本風(台詞とト書きによるもの)も可。重要なのは臨場感……かと。
なな板時代の過去スレが存在しますが、ここは創作板。なりきるのはストーリー内のみとします。
プレイヤー(=PL)はここが全年齢対象板であることを意識してください。過度な残虐表現も控えること。
過去スレ
【防衛】要塞を守りきれ!ファンタジーTRPGスレ
スレリンク(charaneta2板)
【防衛】要塞を守りきれ!ファンタジーTRPGスレ2
スレリンク(charaneta2板)
【防衛】要塞を守りきれ!ファンタジーTRPGスレ3
スレリンク(mitemite板)

2:創る名無しに見る名無し
16/10/12 09:32:01.29 V3663qQl.net
新規参入者はここで参加の意志を伝え、投下順の指示を受けてからプロフ(以下参照)とロールを投下して下さい。
基本的にレス順を守ること。
○日ルール(※)は3日とします。
※レス順が回ってから連絡なく○日経過した場合、次のレス番に投下権利が移行すること。
(その場合一時的にNPC(他PLが動かすキャラクター)扱いとなる事もあります)
挨拶、連絡、相談事は【 】でくくること。

名前:
年齢:
性別:
身長:
体重:
スリーサイズ:
種族:
職業:
性格:
特技:
長所:
短所:
武器:
防具:
所持品:
容姿の特徴・風貌:
簡単なキャラ解説:

スレタイの通り、要塞を敵から守るという主旨のもと、ストーリーを展開していきます。
名無しの方の介入もありです。

3:創る名無しに見る名無し
16/10/12 09:33:25.70 V3663qQl.net
シャドウとルーク
URLリンク(img3.imepic.jp)
ルカインとベリル
URLリンク(img3.imepic.jp)
ラファエルとエスメライン
URLリンク(img3.imepic.jp)

4: ◆ELFzN7l8oo
16/10/12 17:17:55.55 KtqJJZjX.net
立てて下さった方、ありがとうございます!
イメージ画像追加しました。既出分もサイズ縮小してアップし直しましたので、合わせて掲載します。
1部、2部を含めたダイジェスト作成中ですので、2日ほどお待ち下さい
大陸地図
URLリンク(img3.imepic.jp)
ルーク&ライアン
URLリンク(img3.imepic.jp)
ベリル&ルカイン
URLリンク(img3.imepic.jp)
エスメライン&ラファエル
URLリンク(img3.imepic.jp)
イルマ&ワイズマン
URLリンク(img3.imepic.jp)
イルマ&マキアーチャ
URLリンク(img3.imepic.jp)
覇狼将軍フェリリル
URLリンク(img3.imepic.jp)

5:創る名無しに見る名無し
16/10/12 18:33:23.18 /pB6pVoe.net
良いね!
こんだけ可愛いイルマが、ワーデルロー率いるアーマー兵を数百人射殺したり焼殺したりしたなんて、信じられんな!

6: ◆ELFzN7l8oo
16/10/13 07:01:50.61 F0e3q+5u.net
ダイジェストに手をつけたらやたらと長ったらしくなったので3行で纏めました。
次のレス順は◆khcIo66jeEさんですね! よろしくお願いします!

魔王従える八大魔将と勇者の一行が死闘を繰り広げる中、ついに五つの封印の内二つが完成した。
残る『封印の石』はあと三つ。ルーク達は封印を完成し、魔王を封じることが出来るのか。
そんな中、極北の大峡谷で巨大な氷の騎士―ブリザード=ナイトが目覚めた。対する皇竜将軍リヒトの反応や如何に。

7:皇竜将軍リヒト ◆khcIo66jeE
16/10/13 19:34:15.83 /NXmkph4.net
ベルクの命令に応じ、その場にいた騎士たちが去ってゆく。
最後に残ったのは二名。ベルク本人と、その腹心とおぼしき魔導師のみ。
失敗したときを考えての予防策か。そう、心の中で思う。
>我等は魔族に非ず。故に魔族の王は頂けぬ。
>御せるか否かはすなわち我等次第。
>我等もいつか剣を捨て、共存の道を歩めれば、そう思う
ベルク自身と、そしてベルクが参謀と信を置く魔導師の言葉を、凝然とふたりの姿を見据えながら聞く。
リヒトはベルクらが答えを語り終え、口を噤んでからも依然として沈黙を貫いていたが、
「―そうか」
と、やや間を置いて静かに告げた。
が、またすぐにマントの内側から片手を出し、三本の指を立てる。
「ひとつ。おまえたちは大きな誤解をしている」
「我らが王は魔族の王に非ず。この世界すべての種族の王。人間の、エルフの、ドワーフの王」
「魔王とは、おまえたち地上の者が我が王を認識するために便宜上付けた呼称にすぎん。王は王でしかなく、それ以外の名に意味はない」
「おまえたちの崇める神が、我が王を地上に遣わした。ならば、神の意に沿うことがおまえたち、神に作られし者の義務ではないか」
「おまえも王なら、理解できるはずだ。世界をひとつに纏めるには、絶対的な君臨者が必要だということが」
赤眼の魔王。闇色の王。12枚羽根の堕天使。それらの呼び名は、地上の者たちが畏怖と憎悪とを込めて付けた徒名である。
魔王自身は自らを魔王と名乗ったことはない。魔王―否、リュシフェールはあくまでも神の使徒なのだ。
さらに、リヒトは続ける。
「ふたつ。おまえたちは、人であるがゆえに魔王を奉戴することはできぬ、と言った」
「それはつまり、人として我が王に抗うということ。人として我が王を拒むということだ。そうだな」
「―ならば。人として生き、人たらんとして戦うことが望みなら―」
「人ならぬ者の生み出した、人ならぬ巨人を用いんとするのは、道理に合わぬ」
ボウッ!!
そこまで言ったリヒトの全身から、おぞましい黒色の魔気が放たれる。瘴気にも似た力が、周囲を侵食してゆく。
リヒトは腰に佩いた剣、竜戦士の証たる竜剣ファフナーをずらりと抜き放つと、
「―おまえたちに、こんな玩具は必要ない」
そう言ってマントを翻し、徐にブリザード=ナイトへと身体を向けた。

8:皇竜将軍リヒト ◆khcIo66jeE
16/10/13 19:34:55.75 /NXmkph4.net
リヒトの放つ魔気の影響を受けてか、ゴゴゴゴ……と峡谷が振動する。氷柱が、氷壁が落下し、大きな音を立てて砕ける。
「ふッ!」
全身鎧に身を固めているとは思えない身軽さで、リヒトが高く跳躍する。そして、屹立するブリザード=ナイトへと剣の一閃。
魔気を芬々と放つ竜剣が、ブリザード=ナイトの甲冑に覆われた額を捉える。
「目覚めろ、ファフナー!皇竜黄金剣―ゴルト・エクスプロジオン!!!」
カッ!!!
目も眩むばかりの、黄金色の閃光。そして爆発。突風が吹き荒れ、ベルクたちの髪を、マントを激しく嬲ってゆく。
そして、濛々と立ち込める爆煙がゆっくりと流れ、薄まり、再度周囲の状況が確認できるようになった頃。
ビッ、ビギギ、ビキキキキ―という澄んだ音と共にブリザード=ナイトの額に亀裂が入り、それは瞬く間に全身へと伝播していった。
崩壊は一瞬。まず首が転がり落ち、腕が形を失い、全身がガラガラと崩れてゆく。
轟音と共に滅びゆく氷の巨人を一瞥すらせず、リヒトは再びベルクたちに向き直った。
面頬の奥からベルクたちを射るように見据えながら、今一度口を開く。
「みっつ。平和の意味もわからぬまま、我が王に弓引き戦乱を引き起こそうというのか」
「花が剣に勝る世。それを作るために、我が王をこの世から消し去ろうというのか。我が王の統治では、その世界は作れないというのか」
「―本当に。できると思っているのか?」
ベルクへ向けて竜剣の切っ先を突き出し、リヒトは淡々と問いを重ねる。
だが、それは先程の問いとは違い、明確な答えを求めているものではない。それはベルクの覚悟を問う言葉。不退転の意志を確認する文言。
ベルクが沈黙していると、リヒトは突き出していた剣を降ろして鞘へと納めた。そして、
「―ならば、やってみせろ。勇者と力を合わせ、この世には我が王の支配など必要ないということを知らしめてみろ」
そう、荘重に告げた。
「世界の均衡は現在、我が王の側に傾いている。我が王は野望によって復活したのではない。『世界に望まれて』復活したのだ」
「2000年の間同族間で争いを繰り返し、領土の奪い合いに狂奔するおまえたちを。進歩と無縁の者たちを、支配によって律するために」
「王は不要と断じるならば、それは証拠を見せる以外にない。おまえたちが2000年前と比べ、進歩したという証を。自らの力のみで平和を築いていけるという証拠を―」
「さもなくば。オレはいつでもおまえたちを殺しに現れる」
ばさり、とマントを翻す。その姿の纏う黒い色彩が、急速に薄くなってゆく。
「オレは皇竜将軍、竜戦士リヒト。忘れるな―おまえたち地上の生物は今、裁きの間の只中に立っているということを」
最後にそう言葉を紡ぎ、原型を留めないほどに粉砕されただの氷の山と化したブリザード=ナイトの残骸を残して。
皇竜将軍リヒトは、ベルクたちの前から姿を消した。

9: ◆khcIo66jeE
16/10/13 19:38:32.35 /NXmkph4.net
【新スレおめでとうございます。今後ともよろしくお願いします】
【イラストも拝見させて頂きました。賢者に苦闘の痕跡が見られ微笑ましい限りです、ありがとうございます】
【イルマさんはかわいいですね。賢者が惚れるのも納得の愛らしさです、眼福でした】
【そしてまさかフェリリルまで描いて頂けるなんて。恐さと可愛さが同居した、素敵なイラストありがとうございます】
【このイラストのような魅力を出せるロールができるよう、頑張りたいと思います】

10: ◆ELFzN7l8oo
16/10/13 20:32:19.63 F0e3q+5u.net
>5
ありがとう御座います!
そうそう。可愛いのにやる時はやる子なんですね! きっと!
>7
……見抜かれてる!!
御明察の通り。賢者の正面姿描いたら幼稚園児泣きそうな絵になっちゃって……。妥協の結果です。
イルマ嬢は中の人の願望が少々。フェリリルはもうひとバージョンあってそっちが本命だったり。
時間があればリヒトを是非手掛けたいなーと思ってます。

11: ◆ELFzN7l8oo
16/10/15 17:18:52.90 9I5GzebJ.net
>―おまえたちに、こんな玩具は必要ない
静かに言い放ち、ブリザード=ナイトへと向き直るリヒト。
「……まさか―待て!!!!」
エミルが魔将へと右手を伸ばすが、その手をベルクが止めた。エミルが驚愕の眼を向ける。
あの巨人は我が子も同然なのだ。目覚めたばかりの子を、みすみす見殺しにせよと!?
「閣下! あれは我等が永き年月をかけ、ようやく復活に漕ぎつけた我等が騎士! 止めねばなりませぬ!!」
「ならぬ」
唇を噛みしめ首を横に振るベルク。エミルも頭では解っていた。あの魔気、ただの人間に手出し出来る存在ではない。
止めようと伸ばした手は小虫の如く払われよう。
臍をかむ思いで魔将を見上げ、燦然と降り注いだ閃光に右手を翳した。
「ああ……」
唖然とその様を眺めるエミル。
氷の瓦礫と化して行くブリザード=ナイト。力ある賢者の魔紋が光を失い、消えていく。
帝国崩壊後、ほどなくして手掛けた大仕事、それこそ20年近くかけ、ようやく成果となったそれが一瞬にして消えたのだ。
が、嘆いている暇は無かった。魔将が巨人の亡骸を背にし、こちらを見たからだ。
いよいよ我等の番かとエミルがベルクを庇うように前に出た。しかし魔将は静かに口を開いただけだった。
それは問いのようで、そうではない。謎をかけ、その答えを導くもの。あろうことか、勇者と力を合わせ魔王を倒して見せろとも。
まるで第3者の如き物言いに首を傾げるベルク。
>オレは皇竜将軍、竜戦士リヒト。忘れるな―おまえたち地上の生物は今、裁きの間の只中に立っているということを
最後にそう言い残し、魔将は消えた。

ベルクは肩を落とし放心していた参謀の肩をがしりと掴んだ。
「そう嘆くな。かつての敵を駒とせんとした、それ自体が誤りであったのだ」
「……」
「竜戦士」
「……は?」
「知っていよう。古よりこの地に棲まう竜の伝説を」
「ええ。魔術師であった祖母が、そのまた祖母から受け継いだと言う口伝にて」
「その口伝、いまここで申してみよ」
エミルは眼を閉じ深く息を吸い―ゆっくりと吐いた。
【地に宿りし5つの魂 ドラゴンの姿にて具現せしそれは大陸の意思なれば 棲まい治むるもの裁かんとす】
「解るか? 我等は今しがた、魔王より恐ろしき者と対峙していたのだ」
「魔王より……恐ろしいものとは?」
「あの魔将はこの『地』そのものだったという事よ。望みはある。急ぎ魔法騎士を集めベスマに飛べ。賢者には人の助けが要る」
「それはよう御座いますが、閣下はどうなさいます?」
「五の結界のひとつ。もとルーン王城謁見の間にて『賢者の石』の到着を待つ」
まさか一人で・とエミルが言いかけたが、意思強固な王だ。止めても覆すまい。
突如陽が差した。本物の陽光が氷粒となった巨人に降り注ぎ、虹色に峡谷を彩った。

12:ルーク ◆ELFzN7l8oo
16/10/15 17:20:58.15 9I5GzebJ.net
……ここ。何処だろう。
高い天井に異国情緒あふれた派手な模様。壁はレンガじゃない、木だか竹だかで出来た……うん。
アルカナンでもルーンでもない、外国には間違いない。水時計の音とリズムもちょっと違う。
天蓋付きのベットから下がる布の模様も変わってる。この字、なんて読むんだろう。どっかで見たことあるような……
そうそう! 俺の剣に刻まれてた文字と同じ! ってあれあれ!? 剣が無いじゃん! つか俺、何にも着てなーーーい!!
慌てて服と剣を探そうと降りかけた俺の手を、誰かが掴んだ。肩が変な方向に捻じれて……いたたたっ!
―いきなり引っ張るなよ! 脱臼するかと思った!
「時間はあるわ。もう一度楽しみましょ?」
……この声。振り向かなくても解る。さっき俺に無理矢理キス(しかもディープ)した張本人。
そういやドワーフの神殿で「ナバウル王城」って言ってたっけ。
って事はここ、ナバウル王城のどっかの部屋。やたら豪華だけど、まさか王様の部屋だったりしないよね?
「そうよ、ここ王様の部屋」
あはは、そうなんだ〜    なんて思ってる場合じゃない!!
「エレン! どういう事か説明してよ! なんで俺ハダカなのかも!」
振り向いた俺、軽くショック。
身体を起こしてこっちを見ているエレンは俺を同じく素っ裸。
いやいや、それもショックの一因だけど、そのエレンの後ろに転がってる血塗れの……死体。
エレンがニヤリと笑って手を離した。
「何を驚いてるの?」
「……それ……まさか……」
「ええ。ここにさっきまで居た王と妃。ちょっと気の毒よね。お楽しみの最中だったのに」
あくまで軽く、そして少し可愛らしい口調と正反対に、内容はかなり怖いものだった。
「殺したの? ナバウルの王様と……王妃様を?」
エレンがちょっと驚いた顔をした。何を言ってるの? って言う風に。
彼女がベットの後ろに手を回して拾い上げたそれは、血にまみれた抜き身の剣だった。……俺の……剣?
「え? ―え!?」
その時初めて、自分の手が血でどす黒く汚れているのに気がついた。
「覚えて……ないの?」
蒼い眼が俺の眼を射ぬく。―まさか……いやいや、まさか! まさか!
「貴方―凄かったわ。お城に居た人だけでなく、城下の人達もみんな、この剣と闇の魔法で皆殺し」
ペロリと唇を舐める舌が赤い。
「そして―静かになった城で……静かになったこの部屋で、貴方は私を犯すように抱いた」
「……うそ、だよね?」
嘘じゃないと証明するように、エレンが自分の身体のあちらこちらを眼で示す。
首、腕、足、至る所にくっきりと痣のように残る跡は……まさしく俺自身の手型。急に蘇る女の感触。
剣を振るった手応えと魔法を使った後の達成感、疲労感も。
エレンの腕が俺を仰向けに押し倒した。押しのけようとしたけど、腕に力が入らない。
「とても……良かったわ」
柔らかい唇の感触は何故だかとても心地よくて、されるがままに眼を閉じる。
―俺、どうなっちゃったんだろう。これも冒険? そうなの? 教えてよ、クレイトンおじさん……

13: ◆ELFzN7l8oo
16/10/17 16:37:39.08 ROs//Z38.net
手を加え過ぎたかも……の皇竜将軍リヒト
URLリンク(img3.imepic.jp)

14:黒狼戦姫フェリリル ◆khcIo66jeE
16/10/18 17:55:58.51 RwEV82Fv.net
手柄は我がものと勢い込んでナバウルに到着したフェリリルを待っていたのは、予想だにしない光景だった。
「……これは……」
驚きに目を見開く。側近の人狼たちも、一様に驚きを隠せない様子で呆然と立ち尽くしている。
眼前に広がっているのは、壊滅した王都。立ちのぼる黒煙と瓦礫、そして屍の山。
周囲に生存者の姿はない。まるで嵐のような、徹底的な破壊と殺戮の痕跡だけがある。
フェリリルは徐に歩を進めると、屍のいくつかに近寄り、屈み込んでその様子を仔細に観察した。
―凄まじい腕だ。一刀のもとに斬り捨てられている。
―こちらは魔法か……一瞬で消し炭だな。よほど高位の術者でなければ、この威力は出せぬ。
―陛下が他の魔将にナバウル攻撃の命を下されたのか?
「他の魔将がナバウルを攻めるという情報は?」
観察を終え、立ち上がって人狼に問う。情報将校を務める人狼はかぶりを振った。
―ならば、誰がやった?剣ならば皇竜将軍、魔法ならば無影将軍が考えられるが―。
―だが。我ら魔王軍は一芸特化だ、一流レベルの剣士と大魔道士レベルの術者を同時に擁する軍団などない。
いったい何者の仕業なのか。フェリリルは怪訝な表情を浮かべた。
皇竜将軍率いる竜帝兵団の仕業ならば、今頃この王都の上空をドラゴンが飛翔しているはずだ。
同様に無影将軍率いる降魔兵団がやったのなら、周囲にゴーレムやガーゴイルらがいるに違いない。
が、フェリリルは頭を振ると犯人捜しの思考を頭の中から締め出した。
大事なのは、誰がやったかではない。
自分が手に入れるはずであった手柄を何者かが横取りした、そのことが問題なのである。
「この様子では、勇者も生きてはいまいな……」
落胆を隠しきれない様子で呟く。
ここまで王都を徹底的に破壊した者が、勇者を見逃す―ないし勇者に敗れるとは考えづらい。
いかに勇者が強かろうと、ここまでの破壊を成せる者と戦っては勝ち目はあるまい。
戦いそびれてしまったな、と、フェリリルは師剣コンクルシオの柄頭を軽く撫でた。
しかし。
「……?このにおいは……」
廃墟に長居は無用と踵を返しかけたフェリリルであったが、ふと立ち止まって鼻をひくつかせる。
魔狼の長らしく、フェリリルも鼻が利く。その鋭敏な鼻が、つい先ほどまでここにいた者の微かな残り香を嗅ぎ当てたのだ。
そして、そのにおいには心当たりがあった。
「エレン?……エレンか?どうして、あいつがここに―」
つい先日魔将になったという同胞の姿を思い浮かべる。
が、おかしい。エレンは自分の軍団すら擁していないはずだ。こんな大破壊が単独でできるとは思えない。
けれど、紛れもなくこのにおいはエレンのもの。自分の嗅覚に絶対の自信を持っているフェリリルだ、間違うなどありえない。
においはナバウルの王城へと続いている。王城へ行けば、まだエレンがいるかもしれない。
―あいつめ!
フェリリルは舌打ちした。トンビに油揚げを攫われるとはこのことだ。
エレンのことは友人と思っているが、それと手柄の横取りは別である。
「王城へ向かう!ついてこい!」
恨み言のひとつも言ってやらねば気が済まぬとばかり、フェリリルは王城へと足を向けた。

15: ◆khcIo66jeE
16/10/18 18:12:22.23 RwEV82Fv.net
>>13
【ありがとうございます!わたしの脳内イメージ以上にかっこいいリヒトでした!】
【拝見した瞬間「これは強いわ……」と呟いてしまいました。本当に素敵な絵をありがとうございます】
【劇中でも高い評価をして頂いて恐縮です。魔王軍ではあるけれど、あくまでフラットな立場ということでやりたいと思っています】
【やっぱり絵があるとイメージを思い浮かべやすいですね。ご期待に沿えるようがんばります】


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