次元を越えて
..
2:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/25 22:24:32.25 tYu9mj/9.net
「クソッ、俺がドジ踏むなんて久々だな…」
久々ではないのだが 男キャラクターの真似をしてみる
そして何にぶつかったか顔を上げてみると…
「へっ?」
そこには 公衆トイレがあった
この道にはトイレなんか無かったはず…
「いやいや、りまぼーっていう」
ブンブンと手をふる。
頭が混乱して 色んな言葉を混ぜてしまう
どぼちてこんな所に公衆トイレがあるのぉぉぉぉ!?
発狂したくなるが ここは人通りは少いが住宅街。
叫んでは駄目だ。と、理性が働きかける
3:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/25 22:29:00.51 tYu9mj/9.net
ちら、と中を見る
中は薄暗く とても入る気にはなれない
「帰ろっか…な」
とトイレを見るが 完全に道を防いでいる
「えっ…」
思わず声をあげる 後ろを急いで振り返る
そこには「道」がなかった
「えっ……」
もう一度声をあげる
怖い。怖い。怖い怖い怖い怖い怖いこわいいいいいいい!
頭が更に混乱する
4:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/25 22:35:06.70 tYu9mj/9.net
富子は周りから大胆不敵に見えるが かなり
ビビりだ
家に1人でいるときも怖くなる
風呂なんて無防備な状態でいるから 余計怖い
そんな慎重派な彼女には 今自分のいる状況を理解したくないという本能が働いて
「うっぴゃー☆」
とりあえず怖くないふりをした
「し、心霊現象なんか どうでも、お、うん俺は信じねえからな!」
お気に入りのキャラクターの真似をする しかし声が震える その時
カラァン
何か地面に落ちた 後ろだ
ビクン、と体が震える 恐ろしい 怖い。
5:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/25 22:43:13.05 tYu9mj/9.net
体が硬直する
ゆっくり、と体を後ろに向ける チリンと自分の鍵についている鈴がなる
そこに あったのは_________
富子「なんだぁ……鍵かよ」
古くさい鍵。2と書かれた鍵は妙に綺麗でもありこぎたなかった。
拾おうとするが 右腕が止まる もし拾ったら何か起こるかも___
富子「もちつけ もちつけ……」
そんな事は起きない、と頭に解らせるように何回も、もちつけ、と言う。
そして右腕で そっと鍵を拾う 頭の中では何も起きませんようにと祈っている
拾った瞬間____
トイレがピカーと眩しく光る!
「うっわ!まっぶし!」
でもちょっと嬉しい。
薄暗かった路地裏は明るい光によってトイレの中…
あれ……トイレが光ってる?
6:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/25 22:48:04.17 tYu9mj/9.net
そっと 怖かった足をトイレに向けてみる
トイレは洋式だった (助かった)
和式というのはやりにくい
今にも怖くて漏らしそうだった膀胱は限界を迎えている
ふうこ「こ、怖いけどいくぞ!」
行かなければこのまま漏らしてBad ENDだ。
新たな黒歴史がまたひとつ増えるだろう
そっと トイレのドアを開ける なにもない綺麗な個室部屋だ
た、たすかたああ
頭はそれでいっぱいだ
部屋は一つしかない 大丈夫だ 怖くない
ーーー3分経過ーーー
7:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/25 23:02:58.43 tYu9mj/9.net
「ふう……」
用を足して満足になった
さあ帰るか…
ぁ!
「流さないと!」
うっかり忘れていた そして トイレを流そうとした瞬間
フラッシュウウウ!!(富子訳) が彼女の顔面に直撃!
「うわっ!!」バッ
眩しくて腕を目に当てる
……どのくらい経ったのだろう
眩しい光がなくなり 目を開けてみる さっきの光のせいであまり良く見えない
手の感触がさっきの壁とは違う アスファルト風の手触りがレンガになった
そしてもう一度目を開けてみると そこは
富子「……すっご」
城があった
8:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/25 23:12:18.31 tYu9mj/9.net
城は天にまで届きそうな位、高く
そびえ立つそれは、まるで、魔王の城…と言った所か
「わあ……」
思わず腕をぎゅっと掴もうとする
むにっ
「へっ?」
体を見てみる そこには あるはずのないものが そこに あった
胸は豊満で 自分のボサボサな黒い髪は赤い髪になりサラサラ
体は14代とは思えない程大きい
20だろう誰がどう見ても
服も確認してみる
M中のダッサイ洋服は 茶色っぽい短パンと 短めの紅とも言える服を着ていて
胸を誇張しているようにも見えた
「うわぁ……かっこいい……」
つい声が出てしまう ん?、声が変だぞ?
「あーっ、うわぁー」
アニメ声に変わってる
9:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/25 23:18:11.33 tYu9mj/9.net
思わず感情が高ぶる
え?え?え? 俺はどうなったんだ?!
あれ……俺?
いやいや、この俺に限ってこんな俺語は……
キャーッ…… 性格変わってね?!?!
その時 ガザガサと草を掻き分ける音がする
周りはよく見たら雑草が生い茂っている 城や自分に夢中になっていたので
じぇんじぇん気がつかなかった……
「あー、何で俺達こんな事されてるんだろうな……」
「文句言うなよ……キャロットに半殺しにされるぞ……俺だって嫌なんだからさぁ」
10:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/25 23:26:33.11 tYu9mj/9.net
「ばーか様付けとけよ……呼び捨ても半殺しだぞ…」
「まあ、そうだな」「そうにちがいねえw はははww」
草むらから高らかな笑い声が聞こえる
あれは!!
あの豚と人をかき混ぜたしゅるい!
垂れ下がって見えるかどうかわからない目!!
富子「オークだああああああああ!!!」
はっ、と気が付く
叫んでしまった
でも顔のニヤケが止まらない キャーーー!!!
心の中はもう発狂寸前だ
あの城といいこの体といもう死んでもいい!!
二次元が大好きな彼女にはもう耐えられなかった
「お、今の聞いたか?」「女の声だったな」
「じゃあアイツかもしんねえな」
オークがこちらを向く そして その派手な格好のせいか
「お! いたいた!見つけたぜ!へへへ!」
すぐに見つかってしまった
富子「うわー!本物だぁ! 触ってもいい?!」
三人組のオークに問い掛ける
11:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/25 23:35:25.41 tYu9mj/9.net
「……なんだいこいつ お嬢ちゃん俺達が怖くねえのか?」
一人のオークが自分の腕を掴む。 少しぶよぶよしているがその力はかなり強い
富子「うわぁ! すっごい!」ベタベタ
体を触りまくる
他のオーク達も……なんだいこいつと言った様子でこちらを見ている
「なんだいこいつ……」 「新種の変態か……?」
そして暫くして…
富子「ありがとうございましたあああ!」
「お、おう」
体をベタベタ触り終わった。 楽しかった。 ここは夢か……
ダッ、と走りだす まだ見てないものとか沢山あるもんね!
「あれ……俺達ってなんの任務で……」
「なんだっけな…」
富子「ハァッ、ハァッ、」
かなり走っているのにちょっとしか体が疲れない!
すっごい!
バチチチチッ!
「えっ」
12:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/25 23:45:56.01 tYu9mj/9.net
何が起こったかわからない
いきなり 倒れた
体を起こそうにも 体が痺れて動かない
そして自分の倒れる前に足があった場所は_______
??「あったりぃ」
コンセントがあった
よく見ればそこから火花が、バチバチと、出ている
??「……あれ 誰コイツ」
声は幼い 顔がわからない 後ろにいる
??「へっろーお」ブンブン
自分の微かに出る声で問い掛ける
富子「だ だひぇ……」
しかし言葉になってない
??「うーん?」
少女が自分の顔を除き混む
そこで彼女の顔がわかった
頭にはパイプのようなもの繋がっており 脳に直接繋がっている
そして 目には カメラを大きくしたようなものがあった
??「あっれぇ コイツ武器持ってないじゃん」ゴッソゴッソ
自分の体がや胸を触りまくる
富子「へぁっ?! や、りゃめれ…」
んー 何しに来たんだコイツ と言った表情でこちらを向く
??「……新種の自殺者? 人間だよね」
ブッニブッニと顔を触る 地味に痛い
13:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/26 00:22:24.14 iZjIjQXi.net
回りには誰もいない
そしてあのコンセントが罠__地雷みたいなものだったと今悟った
「く、くそっ!」
ん 言葉が喋れるようになっている 体の痺れも引いてきている
今のは何だったのだろう……
??「ありゃ 電流弱すぎたかな」
んーといった様子で自分を馬乗りにする
左手に電気を纏う。 なんだあれ
でも今俺があれを喰らうとはっきり言って逃走率は零に等しくなる
そんな事を考えている間に手を降り下ろす、そして一気に
??「きゅ、ばれっ?」
目を閉じて「ひぃ!」と軽く悲鳴をあげる
怖い…怖い怖い怖い怖い怖い怖い!
…あれ
しかし電撃のショックは自分に走ってこず てか動きが止まってる?!
よくよく見ると あの少女の動きが止まった ではなく
止められていた のだった
???「クックック、その辺にしときな 我がその腕を叩き折ってやるぞ」
そこには
喋る狐がいた
尻尾は9つ 体は大人の身長の首一個分小さくした位の大きさだ
そして首を回せない方向に回すと 左に掴んでいた腕を 強く握り
「離れろ」
そうつげると バッと腕を振り払い 距離を置く
??「チッ……あんたかい」
軽く舌打ちをする
自分はというと
富子(た、助かったぁ…)
それだけだった
14:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/26 00:35:17.50 iZjIjQXi.net
じりじり、と 後ろに下がる彼女
そして後ろにある木に、ドンっとぶつかった
そして狐はその隙を見逃さなかった
しまった、と木を見て後ろを振り向いた瞬間 敵に先手を撃たれた
??「ぐぽぇっ!」ドンッドンドン!
土らしき尖った物が彼女に突き刺さる
胸と足と腕に直撃!
「いやあぁぁぁぁあああ!」ビクッ
驚いた ここまでする必要はないのに
彼女は出血多量で死ぬだろう と確信した
「ちょっと!! やりすぎよ!!」バンッ
あの狐に詰め寄り胸らしきコートを掴む すると狐は何かを察知したのかこう言った
「落ち着けって 我の一撃じゃあいつは死なん 何しろ神だしな……」
え
神?
「今語り合う暇は儂には無い 生きたかったら儂についてこい」
??「逃げんのか!!待てやテメェー!!」
怪我などぴんとせず大声で叫ぶ彼女 すごいな それより神って…?
とりあえず今は脱出しよう 何故か本能がそう言っている
「…解った 俺はお前に付いてくよ」
そう言うと にかっと笑い こう言った
「物分かりがよいやつじゃの はようついてこい!」
15:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/26 00:48:33.42 iZjIjQXi.net
薄暗い山を越え
大きな湖を渡り 時には休憩をさせてもらったが
「ち、ちか、れたぁー!」
叫んだ
一体何時間歩いたのだろう 足が悲鳴をあげている
「ほれ、もうちょっとじゃ はよう歩けい」
「もう無理だよ!! てかどこまで行くつもりなのお?!」
思わず愚痴を言ってしまった すると狐はちゃっと 指を指す
「彼処までじゃ」
山でした(笑)
「もう……だめ」グテェ
「しゃきっとせぃ!お主それでも人間か!」
人間ですよ……
「だってわた、」ムゴォ
いきなりあの狐が口を塞ぐ 何かあると思い回りを見回す
そこには
猫らしき人物がいた
?????「……匂いからしてここだと思うんだけどねぇ」
(なに…あいつ)
「いないっすねー 帰りますか?キャロット様」
キャロット
「…ばーかキャロットに半殺しに」
あの娘が…キャロット?!
年齢は18程度いやそれより少し上かな
黒と白に分かれたメイド服を着ている 後ろには猫のしっぽ
頭には猫耳がついている
キャロット「A班はもう少しこのあたりを探索! 私は後ろに行ってローラーをしましょう」
「了解っす!」
彼女の回りにはオーク達が沢山いる
きっと彼女が総司令なんだとすぐにわかった
16:創る名無しに見る名無し
16/06/26 01:50:29.16 e3Nrlmks.net
支援
17:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/26 07:29:28.34 iZjIjQXi.net
アザース
ー
するとあの狐は目配せと手の動きをしながら 「動くな」という指令を自分に出した
「……」
オーク達がこちらに近付いて来る!
「あー お前見つけたらどうする」 「別にぃ」「暇だなぁ」
しかしこちらに気が付いてないらしく 雑談を続けている
自分はぱっと 隣を見る すると 腕に葉っぱを掴んでブツブツ言っている狐がいた
まあ自分の二次元大好き情報から すぐにそれは
「化ける」という能力に気が付いた
「は し る ぞ」
小声でボソッとそう言った すぐに自分は首を縦にふって「わかった」という返事をした
18:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/26 07:45:34.12 iZjIjQXi.net
______走り続けてもう何分経ったのだろう
私達は あの山に 到着した。
「おつかれ さまじゃの」
「おま、え すごい わね……」ゼェゼェ
よく見たらあの狐は息切れ一つ起こしていない すごい体力だ
ここまでの道のりを自分達の感覚で表すと「駅まで3つ 走ってきたぜ!」という位 走った
するとその狐は時代劇なんかによく出てくるパイプを掴むと 「ボンッ!」と大きな音をだし
一人の大人の女性に変わった
「うわぁぁぁ!!」
その姿に思わず感動と吃驚の悲鳴をあげる
髪は短く米の収穫期みたいな色をしている 尻尾は一本に戻り邪魔じゃない おまけに……服がエロい
「おお、言うのを忘れておった これが本当の儂の姿じゃ」
そういうとパクっとパイプをくわえ、フーッと息を吐く まあ別に自分は煙草の臭いは嫌いだがやめなさいと言えないほうなので
そのまま黙っといた……
「じゃあさっきの姿は?!あなたは誰?!」
急いであの狐に駆け寄る すると狐は困った顔をして
「ははは 質問はひとつにしておくれ」
と言った なので さっきの姿を聞いてみた
「あ、さっきの姿? あれはのう儂の友達の姿じゃ この前征服するぜ!とか何か言ってたけど」
「元気にしとるかのぉ……」
そう言うともう一度パイプをくわえ ふく
「あなたは 誰?」
肝心な事を聞いてなかった
自分を救ったので悪い人じゃないな と思う
19:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/26 23:58:17.52 GUhhV9Lm.net
「儂の名前は田草 九郭徴じゃ たぐさ きゅうかくちょう わかるかの?」
そう言いながら地面に落ちてある石でカリカリと漢字を書く
「お主らの名前はカタカナでかっこよくていいのう」
そう言いながら笑ってまたパイプをくわえてすう
「あの……」
あ、そうじゃった お主の名前を聞いておらんかったな!
と、いった表情でこちらを見る九郭徴。
「ここって どこですか?」
「山じゃ 見りゃわかるだろう」
「そういうんじゃなくて!!」バッ
身を乗り出して九郭徴に詰め寄る その顔はとても驚いている様子だった
私はいままで 起こった事を 隅から隅まで 話した
いきなり帰り道にトイレが現ry
城が見えて姿が変わっていた事
とりあえず知ってる限りの事を話した
20:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/27 00:05:47.58 cCTcYyIY.net
別にこの人を信用したわけじゃないが 彼女は何かを知っていると
直感で悟った。
すると九郭徴はもう一度驚いた顔でこちらをちらとみ、又パイプをくわえると スゥーと軽く吸い
こう言った
「……そうか 詳しい事は家で話そう」
家…? どこ?
ここは人もいない山の中 家なんてあるのか、と 訪ねる
「儂の術は あるものを ないものに できるのじゃ よく見てみぃ」
ヒョイと地面を指す そして コンコンと 叩く。 その瞬間
いきなり家が自分に見えた
さっきまで後ろの風景が見えていた場所にいきなり家が生えた…みたいな感覚だった
生えたとはおかしいがそんな感じだろう(自己解釈)
21:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/27 00:18:09.34 cCTcYyIY.net
家の中 とても清潔でいかにも人が住んでいる…といった感じだった
「ほれ、座りい」
ガタッと椅子を引く
「あ、どうも」
「お主の言っている事はわかった お主 ここに来るまえ何か拾わなかったか?」
「は、はい! 鍵を拾いました!」
うぅー···緊張するなあ なんか
「鍵か……」
そう言うと自分の顎を左手で掴み 悩む。
その鍵に 番号は書いてあったか? と訪ねられる
書いてあったと思うんでーとりあえずはいでいっか()
「うーむ……」
また悩む 何を悩んでいるのかチンプンカンだ
「お主、メビウスの輪という物を知っておるか?」
メビウスの輪 それは180c°に紙をひねり その両端の紙をくっつけるだけの簡単な仕組みだが
ところがどっこいこの不思議な輪は
裏表がなく みなさんが楽しく作ったような記憶がある謎の品物だ
22:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/27 00:27:18.35 cCTcYyIY.net
あっれ 化けてる まあスペースだけだったんで大丈夫か
〜
「あーはいはい 切ったらなんか凄いことになるわっかですよねー」
適当に答える 聞いた事はあるが 作り方忘れちゃったし
「それなら話が早いの 綾子!お主隠れてないで紙を持ってこい! ペンもじゃ!」
へ…… 誰かいるの?! 回りをキョロキョロ探すが誰もいない
コトッ
「うわっ!!」
紙とペンがいきなり現れた!!
しかもよく見ると羽ペンだ
その様子を見た九郭徴がハァー、とため息をつきこう言った。
「すまんの……あやつはシャイじゃからのぉ……」
へー シャイなんだぁ(笑)
かわいい性格(笑)
「おっと話を戻すぞ まずこの紙を見い」
そう言って中心に丸を書きビリビリと紙を破く そしてあっという間にクラウンの輪を作ってしまった
「糊はないかの……まあ手で押さえてるからこれでよいか……」
23:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/27 00:39:10.09 cCTcYyIY.net
「このクラウンの輪 これがお主や儂らの元いた世界じゃ。」
そう言ってクラウンの輪を指す
「……?」
「このクラウンの輪は 裏の違う世界に行こうとしても どうしても表へ戻されてしまう」
「つまりは、異次元じゃな」
そう言って余った紙に異次元 と書く
「基本的にこの儂らのいる世界には どうしても行けない。 あちらの世界は表も裏も同じじゃからの」
「……?」
「しかし この一ヶ所だけ神や、化け物が行き来出来る場所があるのじゃ」
そう言うと丸を書いた場所を示す
…よくわからない
数学の証明でくたばった頭にはもう限界だ
「しかしそこには当然他の奴等が入れぬよう鍵が掛かっておる」
「あ、うん」
「その扉を儂は クラインの穴と呼んでおる あるようで巧妙に隠されている穴…」
そこを通るとわしらのいる世界に入れるのじゃ……と熱く語る
やはりよくわからない
24:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/27 00:51:06.99 cCTcYyIY.net
そんな私をちらと見て、なんじゃお主まだわからんのか……という顔をする
畜生馬鹿にされてるな
「つまりじゃのぉ……お主の世界には鍵つきの穴が空いていて そこを通るとこちらにコレマスヨーみたいなものじゃ」
あー なるほど ……鍵?
「あ、ちょっとまって!」
ガッサゴッソとポケットを漁る しかし ない
「まじかよ……」
思わず泣きそうになる もしや…… どこかで落とした?!
そんな姿を見て九郭徴は私に話しかける
「お主……何をしておる?」
「あの、この異次元から出るにはどうしたら……」
「わしにも わからん」ニンマリ
「えっ」
マジカヨ
「ほわひわひわ!! どうしよう…!!」
まあ落ち着けといった表情でこちらを見る
「大丈夫じゃ こちらの世界に来た時点であちらの世界の時は止まっておる」
「そういうのじゃなくてぇー!!」
涙目になって叫ぶ ちがうって!! ここから出られなくなったら……
考えただけでもぞっとする もし彼女の言う事が正しければ 鍵が出入りの合図だったら
ここから出られないじゃん!!(ここっていうのもおかしいけど)
25:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/27 01:00:58.14 cCTcYyIY.net
「儂は出入りの方法は鍵が必要だって事はわかるが手順がわからんのじゃ」
そう言って あやこ!茶じゃ!と叫ぶ。 すると台所らしき場所からコトコトと何かを煮込む音が聞こえた
「お主、そう言えば名前はなんというんじゃ?」
あ、そういやさっき山の話題になって聞いてなかったんだった!
と はっと気が付いたのかもう一度訪ねる
「わ、私は村田 富子と言います」
そう言うと、ムッと顔をしかめてこう言った。
「名前はカタカナにしておけ 悪いことは言わん…」
コトッ
目の前にお茶が出てくる。 そして一言ありがとう、と言うとずずずと音をたて飲んでいる
「なんでですか?」と問う。すると意外な返事が帰ってきた
「お主の世界を滅亡させたくなかったら黙って従うことじゃな……」
その顔はとても険しく、悲しそうだった
自分もその意に従うことにした それより世界の滅亡って……
26:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/27 01:13:34.03 cCTcYyIY.net
キャロット「ちっ」
いくら探しても見つからない。 あの雌狐め、と心の中がいまとても荒れている
??「えっへへー どうするー?」
あの少女がキャロットに話しかける 腕に土にたいなので刺された傷は元通りになっていた
キャロット「お嬢様……」
ふう、と深呼吸をする
キャロット「もう化けられていて 臭いまで変えられて無理ですわね……」
??「むー」
腕を唇に当て、どうしようかーという表情をする
キャロット「やはりここは 追撃のプロに任せるしか…」
??「いやいや?! あいつは無理だよ! 性格上に問題が…」
そう言うとブンブンと顔を横にふる かなり嫌がっているのが見てとれるなぁ…
でもお嬢様の期待には今は答えられない 非常時なんだ
キャロット「あの小娘に出動要請を出しなさい」
「サーイエッサー!」
一匹のオークが了解!という指示を受けて とある町に急ぐ
そこは 湖からすぐ近い ひとつの村だった
????「……」
27:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/27 01:22:28.91 cCTcYyIY.net
みたい○ にたい×
ー
ここは 昔謎の怪奇事件が起こった村だった
毎晩夜になると変死体がひとつあり
村人みなが死の恐怖に襲われていた。 そして 犯人らしき人を見た人物は こう言った。
「長い黒髪が帰り血に染まっており 服は真っ黒だった」
服はあまり暗闇だったせいか見えなかったのだが 真っ黒という表現にされている
村人は「悪魔だ鬼だ」などほざいてたが キャロットには誰が犯人か理解した
人狼の仕業だと_______
「おい!アポイロン! キャロット様からの支援要請だ! 至急湖まで来るように!」
バン、っと地下の牢屋の木の扉を開ける そして ギロっと緑色の目が動く。
彼女の名前はアポイロン 人狼だった_____
28:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/27 01:43:29.14 cCTcYyIY.net
人狼_____
キャロットは初めはそんなのはいないと信じていた
しかし自らの存在(猫又)と毎日夜1人しか襲わないという奴はやはり人狼しかいなかった
これまでの目撃情報と死因を調べると、すべて夜に行われて、首の動脈あたりをかっ切ったのが死因だった
そしてキャロットは罠を張った。人狼を生け捕りにしようという考えだ
そして捕まってこの有り様だ おまけに自分の親友までも人質として預かられるわ
アポイロン「俺ってどうなっちゃうんだろうっていう……」
「おい!聞こえなかったのか?! キャロット様の命令だよ!」
ムッ!
「あ?したっぱの癖に俺様を顎で使うんじゃないっていうwww」
挑発してやろう ちょっとムカついたんで
「……分かってると思うが湖だぞ」
「ちっ、あいあい、はいはいばいならっていうwww」
なんだコイツは
凄いムカつく。
こんなのが戦力になるのか……?
「パシりお勤めご苦労様っていうwww」
「なっ?! うるせえ?!」
やばい 相手のペースだ
悔しいが立ち去ろう…
29:Ene
16/06/28 04:22:41.25 G9ikE8v0.net
URLリンク(youtu.be)
30:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/28 06:57:48.25 7fLCe4hv.net
ねえ、神ってここを行き来出来るんでしょ?なら神に頼めばいいじゃん そもそも神ってどんな種類があるの?
小さく静かな空間に声が響く
「彼女達は特別なんだよ」
と、いかにも適当な返事が帰ってくる
ふぁあ〜とあくびをする 九郭徴は眠気に襲われていた
普段なら、もう寝てる時間だ それに 今日はいろんな事があった 眠くて仕方ない
そんの様子を見て まあ、しょうがないと思ったのか これ答えたら寝よう と提案する
すぐに九郭徴は乗った
「ここに住む神はの、尊敬されてない……つまり 信者というものがいない奴が多いのじゃ」
「お主も儂が土をぶつけた相手を覚えとるじゃろ……あれが神じゃよ」
とても驚く
あの少女は普通の人間にしか見えなかったからだ
「へぇ〜」
「まあ基本的に神は忙しいからの 恩恵や天罰……信者がいなかったらそんなこともやる必要は全くない」
すると、富子が しつもぉーんと言って手をあげる
「神ってどうやって行き来するんですかぁー」
「神は基本的に体がない存在じゃ こちらに来るときは体は作られるが戻る時はなくなる」
「お、行き来かすまんすまん、行き来は基本的に扉を使うのではなくてそのまますり抜けられるのじゃ」
そう言うと眠たそうに布団の方へ向かっていく(風呂はもう入った) そして最後にこう言った
「この情報は秘密じゃぞ……」
31:創る名無しに見る名無し
16/06/28 21:47:08.86 trJt2pBE.net
支援
32:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/29 13:46:52.45 ulafPUDs.net
キャロット「……遅い」トントン
あのオーク達の帰りが遅い
流石にイライラして貧乏揺すりをする
??「おっそーい」
帰ってきた。 遅い……
「すい ま せん!遅れちまいまし た!」
息切れを起こしている まあどうせ私の近くにくるまで歩いてきたんだろう…
オークの後ろを見る しかし 人狼はいない
「ちょっと、アポイロンがいないんだけど?」
そう言うと護送に向かった三人のオーク達は目を丸くして こう言った
「え、先に行くって言ってましたよ?」
……使えない奴等め
「あの問題児がまともにここに来れるわけないでしょ! 考えてみなさいよ!」
激怒する。 その様子を見たオーク達は「ひぃ!」と怯えた様子を口に出さないよう耐える
??「さがそーかー?」
座っていた木製の簡易イスを立つ するとキャロットははぁ、と溜め息をつき
「……申し訳ありませんけどお願いいたします」
??「りょ〜かーい」
「一応他のオーク達も手伝いなさい」
50人程度いるオーク達は四方八方にバラバラになり「イエッサー!」と言って
暗い夜の森を 探しはじめた。
一応城の警護の為に結構な数を残したが 失敗したな…と思った。
33:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/29 13:57:54.56 ulafPUDs.net
アザース
ー
アポイロン「でっていうwwwww」
人差し指を楽しそうにくるくる回す
久々に外に出た まあすぐに見つかると思うがせめて月を見たい
「あの愚民共元気にしてるかなっていうwww」
愚民。 = あの馬鹿村の人々
そんなイコールを頭の中で考えているとへへへと顔がにやける
しかし空腹にニヤけていた顔が歪む
「おなかすいたっていう……」
ここんところパンと飲み物と豚肉しか貰っていない。
「俺様の主食は肉だってのに好みがわかってないっていう!!」
そう怒鳴る しかし誰もいない
ていうか豚肉って肉だよね
「ん?」ピタッ
動きが止まる
あの昔村で匂った美味しそうな匂いがする。 かなり近いぞ! ヤッタネ!
「ご飯タイムっていうwww」
っと、大声を出しちゃいけない てか 月出てないから襲えない
「理不尽すぎるっていう……まあパンだけで我慢するっていう……」
パンをあげるとは言っていないが、最早貰う前提で頭が働く
34:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/29 14:11:09.97 ulafPUDs.net
「ふう……」
名前……か
「お主の世界を滅亡させたくなかったらな……」
世界の滅亡ってなんだろう…
ここに来てから分からない事ばっかし……
コトッ、と飲んでいたお茶をテーブルに置きそのままテーブルの上に腕を置く
「うぅう……」
泣いちゃいけない とわかっていても涙が止まらない お家に帰りたい ママのよくやきけがついた黒っぽいパンケーキが食べたい
その時、ドンドン!ドアを叩く音が聞こえる
「ひっ!」ビクン
これにはびっくりした 心臓が止まるかと思った
もしかしてさっきの少女?!と思って警戒する
そして 窓から覗こうとカーテンをこっそり開けると…
「ぶぎゅー」
「うわっ!?」バッ
再度びっくりする 緑色の髪の少女が窓に張り付いていた
そして窓の鍵を開ける すると早速待ってました!と言わんばかりに窓を開けこう言う
「感傷にひたってる所悪いけどご飯分けてもらえないかっていうwww」
人差し指を右方向にスライドさせる
……ピシャッ
とりあえず、窓を閉めた。
理由は分からないが、とりあえず 閉めた
35:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/29 14:20:23.35 ulafPUDs.net
「へ?www」
窓を閉められたwwwww
これには思わず吹いてしまう
「リマボーっていう」ガラッ
…ピシャッ
また閉められた どぼちてえええええ?!
…ガラッ
…ピシャッ
ガラッ
ピシャッ
ガラッ
ピシャッ
……
この無駄な作業を続けること、二分
流石に自分も堪忍袋の尾が切れた
札が貼ってあるドアを思いっきり蹴飛ばした。
「どぼちて占めるていうwww」
「いや、なんとなくw」
ったく、と思いながら家の中を物色する
「あ、だめだめ! 家を荒らさないで!」
「じゃあご飯持ってこいっていう」
そう言うと机に靴ごと足を置き椅子に手をかけ、王様ポーズをする
「さすがに靴は脱いで……」
あっ、と気が付く
「ごめんっていうwww気付かなかったていうwww」
そう言うと靴を脱ぎ、入り口付近にピシッ!と靴を揃えて置く
成る程、最低限の事は出来るんだな、と思った
36:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/29 18:35:11.50 ulafPUDs.net
ご飯はどこかな……
ガッサゴッソとキッチンを漁る 場所がわからない
すると皮か何かで作られた袋が出てきた そして開けてみると、パンが5つ出てきた
早速それをあの緑の少女のいるテーブルに運ぶ
するとモグモグと食べ始める 自分はお茶を出された時ちょっとだけパンを食べたがお腹がすいている
くきゅ〜る… 丁度いい具合にお腹がなる
「……」キョロキョロ
少し千切って口の中に入れる
「おいしそうだなっていうwwwん?ww」
「きゃああああああ!?」バッ
びっくりしてパンの入った袋を手放してしまう いつからいたんだ
「あっ」
袋を落とした衝撃でパンが一つコロコロ、と転がる そして…… 踏んでしまった
「あああああああ?! ばかなの?しぬのおおお?!」
流石にこれにはあの少女も激怒する
砂漠で水筒を落としてしまったようなものだ オーバーすぎるが今の少女にはこう見えている事だろう……
するとその少女は「ったく、愚民め……」と一つ呟くとそのパンをぱくっと口に入れる
「あ、新しいのに変えるのに…」と衛生面を配慮してこう言う
すると意外な返事が帰ってきた
「お前は空腹というものを知らねえんだなっていうwww」
人差し指を時計回りにしてそう言う その言葉には深い意味があったのだが
まだ私には その言葉の意味を知らなかった。
37:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/29 18:54:09.65 ulafPUDs.net
キッチンから戻って 冷えたお茶を用意しパンをぱくぱく食べる
そこで 事件が起きた。
「このパンは俺の物っていう」
「譲れないな……」
そのパンは細長く、かなり長い おまけに硬い為、折ることはできない
微かに漂うパンの風味 決してうまいとは言いきれないが これだけは譲る事は出来ない
「愚民はさっさと手を引くっていう……!」
「あなたこそ手を離しなさいよ……!」
グググ、と引っ張る。 あの緑の少女は容貌からして12くらいなのだが 凄い力だ
「お前、なかなか根性あるなっていう……名前は何て言うんだっていう?」
名前。
「あっ……」パッ
「っていう?!」ガシャッ
いきなり力が弱まった為、自分の力の反動で椅子ごと後ろにのけぞる
幸いドア側は私なので家具に当たる心配はなかった
「わ、私は……」
どうしよどうしよ! 本当の名前なんか言ったら駄目と言われてるし…
「痛いじゃないかっていう! いきなり手を離すなっていう!!」
流石にアポイロンも怒る 怒鳴ってはいるが幸い怪我はないようだ
九郭徴はいま爆睡してるので起きないだろう
「わ、私の名前は……」
「ん?」
即興でとか無理じゃね
その時赤い髪が目に入る
これだ!
「レッド·ムジャネーだ!!」
ばっと胸をはって高らかに宣言する。
するとその少女はポカンとした様子でこちらを見る
38:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/29 19:03:57.44 ulafPUDs.net
文字化けは点です
ー
するとその少女はふっ、と笑いこう言う
「俺様の名前を知りたいかっていう?www うん?www」
流石にこれには悪意を感じた()
恐らく彼女にとっては無名の自分は蟻のような存在なんだろう…
いらついた
「俺様の名前はアポイロン.シンキョーっていうwwwさあ拝めろっていうwww」
「誰」
すると五秒間くらいアポイロンの動きがぴたり、と止まる
そして、へ?! という顔をする
「お、俺の名前を知らないのかっていう?! この俺様の名前をかっていう?!」
「ええ、全然。」
九廓徴からもそんな話は聞いてないしねェー
するとアポイロンは肩をがくっと、おとし、落ち込んだ……
「そうかっていう……やはり俺の知名度は田舎には届かなかったていうかww」
俺の名前を知らない=田舎者
脳内でそう裏付けた。
「いや私は都会育ちだから」
都会といったら都会だったな
39:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/29 21:17:20.83 MXhcJIh6.net
「でっていう…」ショボン
流石にこたえたらしく静かになった
「ああ言い過ぎたねごめんw」
流石に謝る
「でも俺は諦めないっていうwww ちゃんと田舎の人にも伝わるよう布教活動を続けるっていうww」
……いつ誰が田舎の出身と言った。
「眠たくなってきたなぁ…」
今の時間は約12時だ 中身が14才にはこたえる
「お?! 月が出てるっていう!!」
綺麗な満月……とはいかないが 月が出ていた
「月も出るんだね……」
異次元でも月は出る
「うー……ふー…ふー……」
うなりごえをあげるアポイロン どうした
「あの、どうしたの?」
と、声をかける
「うわっ!!」ビクッ
緑色だった髪は真っ黒に染まる 服もそれに合わせて真っ黒になる
服って色かわんねえじゃん
とか思ってる人は 異次元の常識を捉えてないですね() 服も変わるのが異次元だ
アポイロン「……」
「すご……」
あまりの変貌ぶりに 思わず腰が抜ける さっきまでの小さな体は大きくなり
そのダンディーチックな府陰気は 大人の女性、というものをかもしだしていた
「ん?何を見てるっていう?」
ただ、口調は変わってなかった……
40:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/30 22:57:51.63 CJkC2pO2.net
「もしかして、人狼?」
なんとなく、そんな気がした
すると尻尾をパタパタ左右にふっていかにもそうですよという顔をする
「吠えそうっていう……」
「え」
吠える?! その言葉に少しワクワクする
「アォン……」
小さく吠える あれ なんか想像してたのと違うぞ
「もっと大きな声で鳴かないの?」と提案する すると
「じゃあ吠えるっていう」
その言葉を放った瞬間、大きな声が外に響く
「アォオオオオオオオオオオオーン!!」
「わっ?! うるさい!!」
耳に手を当て耳を塞ぐ
あの電車がトンネルを通った音を外の直で聞くようなものだ
「すっきりしたっていう……」
「うるさすぎるよ!!」
「うーむ……くぅー……」
ぐっすり寝ている筈なのに、何故か体が動けと命令している
茶色い尻尾がペチペチと自分の尻のほうを叩く これも自分で制御してはいるが収まらない
全身の毛が逆立つ あまりの寝心地の悪さに起きる。
「なんなのじゃいったい……」
何やらリビングのほうで騒がしい音が聞こえる
もしや、追っ手か?!と思い、警戒する そして音を立てずにドアを開けると
見知らぬ女が部屋に入っていた
綾子は?! キョロキョロと周りを見渡す すると自分の部屋の前で多分力尽きたのかそこで寝ている
「よかった……」
また音を立てないようにドアを閉める そして深呼吸し
自分の毛を一本引き抜く ちょっぴり痛いが今は我慢だ
41:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/30 23:15:03.55 CJkC2pO2.net
アォオオオオオオオオオオオーン!!
とてつもない音量で狼の鳴き声が聞こえてくる
この他の狼のより耳に障る少し甲高い鳴き声は________人狼だ
あの女は多分散歩のつもりで外に出ている筈だ。だから遠くには行っていない、と考えていたが
どうやらその読みは当たっていたようだ
にやり、と口が歪む お嬢様は少し手伝ったがめんどくさくなって今は寝ているが
起こすのもあれなので、城に運ぶように5匹のオークに伝えといた
あの異端児に何をしようか、と考える 快楽責めは勿論必須条件だ
地下牢にぶちこんで前のままにするか それとも命令違反として、牢屋に入れて
壊れるまで新しい薬の実験台にしようか、それともそれとも________
そんなことを考えているうちにオーク達がやって来て報告をしに来た
「キャロット様! 鳴き声は東側の山間から聞こえたとの情報が! 行きますか?!」
「お待ちなさい どうせ月が出ている間は抵抗するでしょう、そうね突撃の合図は明日の日の出……」
「遊んでないで今のうちに疲れを癒しときなさい」
そう言うと、ゲッ なんで知ってるんだといった表情で りょ、了解しました! と言う
お前らの頭だったらいくらでもよめるよ…
オーク達は はっきり言って力と性欲しかないただの豚だ
会話は出来るが読み書きができない…なんてしょっちゅうだ
やはり豚の知能が良かったのを最初用意すべきだったかな、と今となっては後悔している
42:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/06/30 23:32:22.55 CJkC2pO2.net
「かっ、はっ!」
息が激しくなる もう止まらない
「ほらほら早く言わねえとイカさねえぞ?」
自分がここに来たのは5日前位 よく覚えてない
自分の村がオーク達の軍隊で全滅させられたことだけ覚えている
地獄絵図だった
男は首を切断されみな息をしていない
自分はしばらく地下に逃げていた為何が起こっているか解らなかった
自分と同年齢の友達はオーク達に集団で遊ばれていて だらしない声をあげている
自分はというと、この有り様だ。 何もせずにその様子をポカンと呑気に見ていた為
あっという間に見つかって 友達と同じように遊ばれた
命だけ助かったのは有難いと思うが そもそもあいつらが自分の村に攻めて来なければ
私、いえ、私達は平和に暮らしていたのに
あいつらが 全て壊した そんな事を口にすると 食料無しのぶっ続けで壊れるまで遊ばれる
ここは地獄だ 逃げ出したい でも 今日はチャンスだ。
「ああああああ!! もっと!あっ!」
ここまでのこのこついてきたのは逃げ出す為だ 外に出られるなんて滅多に無い
おまけに今は夜だ もうこれといってない程のチャンスだった
43:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/01 00:08:28.44 TMnfoLpB.net
あれなんかエロ小説になってry
ー
自分の友達はというと、もうすでに壊れていた
ただただ快楽を求めるようになり オーク達にしがみついておねだりする
自分もそんな風に狂えたらな、と思う。
でも自分の中にある 屈辱感、自尊心、劣等感。
そんなものが自分の心の中でギシギシと支えている
だから ずっと今日まで耐えてきた
時には自分の体を自分で遊べ、と命令された事もあった。
でも耐えた だから今夜は嬉しく感じる やっと出られるのだと
快楽という名前の 牢獄から
〜
プチ、と自分の髪の毛を抜くちょっぴり痛いが今は我慢だ
そして、ふっ と一本の髪の毛に息を吹き掛ける するとその髪の毛はムニョムニョと変形し
一本の剣になった
まあ、髪の毛だが刺さると痛くないんじゃない?とか思っていた人はこの剣の殺傷力に驚くだろう
髪の毛の先は尖っていて 固めれば武器にもなるのに なめている人が多い
まあ儂はそんな人を今までに何人か殺してきたのだがな
44:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/01 00:37:08.69 TMnfoLpB.net
がっさごっそ、と オーク達の安易テントを漁る 何か武器になりそうなものはないま
自分はその少し反抗的な態度が気に入られて遠征などに連れて行かれるようになった。
今までは機会が無かったため諦めたが今回は別だ 逃げ出せる
そんな事を考えてタンスなどを漁る すると タンスの二段目からナイフが見つかった
多分林檎などを剥くために用意したらしいがちょうどいい。 貰っていこう
一応衣服なども用意し、裸の姿を隠す
そしてそれを手にすると早急にテントを出る 周りを確認する
早く出ないと次のオークがやって来て遊ばれてしまうので体力を消耗してしまう
そして、裸足で 木の中へ走る
森林などに身を隠せば逃げられる可能性が高まるからだ
45:創る名無しに見る名無し
16/07/01 08:24:11.10 LGDRYS9F.net
支援
46:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/01 21:40:40.14 bV6lZVfB.net
急に宣伝入ってワロチ
ー
sssp://o.8ch.net/ds1h.png
47:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/01 22:30:21.30 bV6lZVfB.net
ちょいさっきのみすりました
ー
ゆっくり、と あの女を注意深く観察する
するとあの富子なんやらが あの女に楽しげに語りかけていそうな様子が見てとれた
自分は集中すると時々声が聞こえなくなることがあり よく悪い癖と言われるがどうしても治らない
「敵ではない」 と体が確認すると 逆立っていた毛が一気に収まる
尻尾の動きも止まる
「お主たち……何時じゃと思っているのじゃ」
そう注意する
九郭徴が起きてしまった! そう思ったらなんだか申し訳なくなった
「ご、ごめんなさい!」
顔を下げて謝る
「……!」
しかしアポイロンは謝らず 何やら顔をしかめる
「……ここで起きたことは見なかった事にしてやる ていう」
そういって 破壊したドアから立ち去ろうとする
しかしそれを止める どこへいくの______と
すると 九郭徴が止めた
理由はわからないが 今ほっといたほうがいい___と無言の迫力で追おうとした腕を押さえる
そしてしばらく静かな時間が流れる
そしてアポイロンは何者だったのか こういう結論に基づく
アポイロンは敵の仲間だ ということに
48:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/02 06:11:35.09 L7GwzgGx.net
なんか基づくが違うような…
ー
アポイロンは何らかの経由で 【九郭徴の事だけ 知っていた】そう考えて間違いないだろう
最初に私を見たときは警戒する様子もなく逆に、あちらから近付いて来た。
つまり 九郭徴を 敵と認識していた 自分は認識していなかった という事かな。
そして九郭徴を見逃してくれたのは 多分自分が気に入ったからだろう
あの時のアポイロンの笑顔はとても可愛かった。 それにとても楽しそうだった
自分を理解、してくれる人が現れたと思ったのだろう
そしてそんな自分を見て 九郭徴は、「もう、寝よう」と言ってくれた
そして私はそのまま 寝ることにした
アポイロン「……」
気分が重たい。 何故かとても悲しい
この気持ちは、自分の師が死んだ時にも起こった。そして あの親友が捕らえられたときも
今、思えば自分は何をしている……? 友達が 欲しいと ひとりで 思っていた 頃と 同じじゃ ないか
ひたすら 窓の 外を 見て かりそめの 友達を作って みんなの注目を 浴びながらも 後ろめたい 感情を抱く
やだ、もう、やだ。
一人は やだ。
「うぅっ…… ふっぐすっ…」
涙が止まらない 上手に息が出来ない でも自分はやるべき事をしなければいけない
歩いて湖へ向かう 行きたくないが 行くしかない 自分に選択肢はない。
そして歩いて約30分が経過したと思う 人狼は基本的に夜行性だ こんな事で疲れはしないが心が重い
そして、湖までもう一息と 行った所で青い髪の少女に出会った
きゃっ! と悲鳴をあげ 自分を見るなり お願いします!見なかった事にしてください! とせがむ
この少女は自分に似てる と思った 対して共通点は見当たらないのだが 自分の心が痛む きっとよくわからない
とても悲しい過去を背負っているのだな、と感じた その少女の姿を 自分と同じ姿を脳内で書き換えた
アポイロン「助けてください!! この子はまだ狩りの仕方も覚えてないんです!」
あの時 キャロットにすがった自分。 そして 今、自分の前ですがる少女
今、この少女を捕らえて 湖に行けば もしかして_____ シャムテマーを_____
49:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/02 06:25:08.58 L7GwzgGx.net
一瞬そんな感情を抱いたがすぐに考え直した
今、そんな事をしてはあの女と同じような事をしてるだけじゃないか
ふと、そんな考えが頭をよぎる
「この子は 右目は不自由なんだ! お願いだ!救ってやってくれ!」
「あら、それだったらこの子を飼ってあげるけど……」
それ以上は考えたくなかった いや、思い出したくなかった
「……」スッ
すっ、とさっき来た道の方を指す
「この森を抜けると、町がある」
まあ町までかなり遠く、行かなくてもいいが、一応逃走経路だけ教えてやろう
そのあとは知ったこっちゃない
私は、ただの問題児に戻ろう。
ポーカーフェイスを装って 笑う毎日 あの頃に戻ってやろう
50:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/02 06:41:27.29 L7GwzgGx.net
すごく感謝された
泣きながら、手を握って ありがとう と言われた
もう別に今は そんな感情はどうでもいい
「早く……行け」
これ以上思い出したくない
頭にノイズがかかるように 頭痛がする ひどいもんだ
「は、はい!」
そんな様子を見て 青い少女は助けるから早く、行け、と頭の中で置き換えていた
「あの、 お名前は?」
思わず聞いてしまう もし助かった時お礼をしたい____
「……名乗っていいくらい 愛されてないもんで 残念だけど名前は言えないっていう」
自制心を取り戻し でっていう口調に戻る 今は目の前の子供に集中しなければ
「……辛い過去があったんですね では、これで!」
「辛いことがあったんだな……でも、力になれない」
「だって私達とあなたは住んでる世界が違うでしょ?」
「……」
はっ、と気が付く その少女はもうおらず 自分一人だった
ふう、と溜め息をつく そして落ち着く
「過去の事を思い出すとか久々だなっていうwwww」
声を高くする 楽しくなる 淋しくなくなる でもちょっと 淋しい
そしてオーク達のいる安易テントに着く
「でってうwww」
指を回しながら いつも通りの反応をする
逆に普通の言葉にすると 相手に隙を見せられる
もう自分は、ここうぃか居場所はないのかな……
51:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/02 22:33:26.83 4HRLV9Rg.net
うぃかに草っていう。()
ー
その甲高い声にキャロットがすぐ気付いてこちらに服を正しながら近付いてくる
キャロットの癖は動揺すると服を正す事だ おまけに腕を少し腹の辺りにあてている
……警戒してるな
「この俺様が帰って来てあげたっていうwww 感謝するっていうww」
「あら、今まで何をしていたの?」
「散歩してきたっていう 月が出ている間っていう 帰り道は散歩に含まれないっていう」
……散歩、か。 アポイロンが普通に外に出歩いて問題を起こさなかった事は一度も自分は見たことがない
アポイロン外に行く=イベント発生(迷惑な) それなのに____
のこのこ帰ってくるのはありえない 絶対何かイベントみたいなのを起こす筈だが
「さっき、ここから脱走した女がいるけど アポイロン 何か知ってる?」
キャロットは 罠を張ってみた さあ、かかるか
「見てないっていうww そんなこと俺様に聞くなっていうww お前で探せっていうww」
かかった______
アポイロンは一見大胆に見えるが 実に神経質だ。 悪く言うと、臆病。
自分もだが相手にボロを出さないように、いつも気を配っている そして基本的に聞かれた事以外は 言わない
そしていつも相手の小さな仕草など気にしているアポイロン。 この注意深い女に 知らない?、という質問に 見てない、という答えは有り得ない
「あら、そうなの? 残念だわ さっき話した女以外は誰か会っていない?」
全神経をフルスロットルで使う アポイロンの怪しいしぐさを見る さっきの女よりこれは重要だ 何故なら体からパンの匂いがする
あの女はパンなど持っていない筈だ なら、誰だ_______
「いや、会ってないっていう ぼっちで怖くなったから帰って来たっていうww」
ぴく、と右腕の小指が動く。 ほんの少しではあるが あれは間違いなくアポイロンの癖だ
【何か約束事がある時】だけ 動く癖だ
つまり、敵と何らかの約束をした。 という事だろう
(でっていう…)
キャロットの瞳孔が、大きくなる
喜び、を感じている 証拠だった______
チッ、 と心の中で舌打ちをする。
さっきの見てない、は悪かったな……と後悔するが 遅かった。 訂正しても確信を持たれるだけだろう
「それより、お仕置きは勘弁っていう 俺を呼んだ理由は何だっていう?」
このままこの話を続けていてもボロを出すだけだ それなら話を変えてしまおう
「あなたに頼みたい事があってね」 「まーた探し人かっていう」
即答する。 まあ大体呼ばれた内容は分かっている 危険因子を取り除け、という事か
九郭微だろう 最近城に入ったという噂も出ていたし
「それと、もうひとつ とある人物を探し出して欲しいの。」「っていう?」
「貴方より危険人物……いえ、常識を超える人物……名前くらい聞いた事あるでしょ?」「っていう?」
これも即答する 誰それ おいしいの?
「……ツンデレッジ、という 全てを消そうとした 人間 是非、【こちら側】についてほしくてね」
それを聞いた途端 アポイロンがぶっ!、と吹き出す。 実は 会った事があるが
あれは人間じゃない____と今でも思う 最早 神に近いような 性格も自分を超えるヤバい人物だ
まあ最近は何の音沙汰も無いが生きている事は確かだと思う。 何故なら町の方で仮面をつけた少女がときたま
現れる……ことが噂になっている 彼女のトレードマークは仮面だ。 主に黒と白に分かれた仮面を着けている
52:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/03 06:15:36.34 uhq0v4QN.net
今回は このどちらかを見つけるだけでいいわ
そう言ってバッ、と城がある山の方を指す
「今回の報酬は 弾むわ あなたの友人を解放してあげてもよろしくてよ?」
「!!」
それを聞いた途端顔付きが変わる
そして何やら考える仕草を見せる
「明日の夜でいいかっていう 少し10分ほど寝たいっていう」
「まあ、いいでしょう 今回は九郭微の方は生け捕り です。この意味が分かりますね?」
「ツテを使って探しますっていう」
そう言ってヨチヨチと眠そうにオーク達のいる安易テントへと入っていき最初にいた奴等を追い出し
寝てしまった。
「ふーむ……」
アポイロンが最初に会った人物とは誰なのか……
ずっとその事が頭から離れない
自分にだけは話したくない人物。
「もしや……!」
ふ、と頭をあの女の存在が頭を過る
相手の存在を自分に置き換える。 もし秘密にしなければいけない人物____キャロットだけには_____
もう答えは一つだ あの雌狐だ
平和やらなんやらほざいて私の邪魔ばかりしてくる 今にも殺してやりたい
ん?……確かこの山を超えると 国があった…筈
昔、兵力が足りず諦めた城
だが今なら落とせるが価値はないので放置しているが…
「やりやがったわね あの小娘」
逃げさせる、いわば 時間稼ぎ。
明日の夜と言ったのもその為
恐らく勘のいい九郭微はそこへ行くだろう。 私の手が伸びない所まで
53:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/03 06:47:22.32 uhq0v4QN.net
朝_____
アポイロンは爆睡している。どこが十分だ まあ近付いたらすぐに起きるだろう
キャロットも仮眠を取り、すっきりしている
「おはよう……」
昨日はいろいろな事があった
今でも夢かと思うくらいだ
「うわっ?!」「オハヨウじゃの」
ずるずる、と九郭微がフードを被った少女を引っ張る
「だ、だれこのひとぉ?!」
「知らぬ」
じゃあ入れんなよ! と言いたくなるが ここは耐える
「それより今日は町へ行くぞよ!」
「町……」
「ついでに全然起きないこの者も連れてくぞ」
そう言ってぴしぴしと頬っぺたをフードの少女を叩くが起きない
「あ、うん……」
「それより飯じゃ これ、綾子 起きなしゃれ」
そう言って肩に巻き付いている狐をぺしぺしと叩く
あれは、えっと 管狐だ! うん!
「!」ピクッ
自分が見られているのを 感じ取って起きると知らない人が二人いた
寝ぼけている綾子には二人に見えた
「……っ!」
顔を真っ赤にして ふっ、と消えていく
なんか可愛いね こういうのがペットに欲しい
「はっ?!」
今まで全然起きなかった青髪の少女がいきなり、ばっと起きる。
そして回りを見渡すと家の中にいた
おかしいな木によたれかかって寝ていた筈なのに……
ベッドまで移動されてる でも助かった
「おはようございます……」
「お、起きたか おはよう」「おはよ」
尻尾を生やした狐と 真っ赤な髪がある大人の女性二人……誰だ
「自己紹介がまだじゃったな 儂は九郭微! 隣が…」
ちらと見る でもその心配はない
「レッド.ムジャネーだ」
「思わずセンスの悪さに厨房の方から くす、と笑い声が聞こえる」
綾子のやつめ……
54:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/03 06:57:39.96 uhq0v4QN.net
「」つけてて草ぞよ
ー
「助けて下さってありがとうございます……私は アムール ワーズと言います」
「固いことは後じゃ はよう飯を食べるぞ 町は遠いからなあ」
「ま、そうだね」
そう言ってよっこらせ、と新しいパン袋を出す
「それとムジャネー 1つ聞きたい事があるんじゃが」
そう言って厨房の方をさす
「なーにー?」モグモグ
「実は処分しようとした腐ってたパンが消えておるのじゃ」
ぶーーーーと ミルクとパンが混ざったものを吹き出す
嫌な予感がする……
「……やはり食べたのじゃな」
来た 下痢だ
「ちょっとトイレ!!」
トイレに走る やばいぞ すごい腹痛だ
「っていう! 毒を盛られたっていうwww」
同じような事をしている
55:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/03 07:10:31.29 uhq0v4QN.net
まあ自業自得だな…と思った
「町へ行くから荷物を纏めてくれい」
「はい!」
アムールにそう伝える まあ荷物などないのだが 手伝ってあげてくれい、という意図が隠れていた
30分ほど
「ふう、収まった……」
「お主は馬鹿か」
またもや厨房の方から笑い声が聞こえる
もう首絞めてやろうか()
それじゃ 行くぞよという言葉を合図に外に出る
「もうやだ……盗み食いはやめよう」
ーーーー
「っていう!うごおお……!」
毒を盛られたっていうwww 昨日は感じなかったけど凄い腹痛だ
「ふっ、馬鹿みたいね 敵の食料を貰って食べるなんて」
「黙れっていう……それどころじゃ…」
鳥肌が全身に立つ 腹痛が……
今日はこの腹痛のせいで飛び起きた クソッあんなに食べるんじゃなかった
56:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/03 07:24:20.12 uhq0v4QN.net
2つ山を超える
それは途方もない旅だった。
九郭微もこれには流石に疲労の色を見せる
ちょくちょく休憩しては 歩き 休んでは 歩き
これのループだ 綾子はただ九郭微の首にぶら下がっているだけでとても楽そうだ
初めて羨ましく思った
自分はちょくちょく弱音を吐いていたが アムールは何一つ言わず歩いている
偉いしすごいと思った
結局町へ着いたのは朝から出たのだが 昼間になっていた
この町特徴は とてつもなく大きい噴水があることだ と話してくれた
門番が自分達を止めにかかる
「お前ら! ここに入って何をするつもりだ!」
すかさず九郭微が答える
「商売 寝泊まり それだけです」
「そのバッグの中身は何だ!」
「私達は旅の商人なのです 是非、これを……」
九郭微が門番に何かを握らせる
金貨、 だった
「と、通ってよぉーし!」
いわゆる、賄賂だ
57:Ene. ◆YNS0qIRC9I
16/07/03 07:34:32.06 uhq0v4QN.net
あからさまな態度に思わず笑ってしまう
そして私達に小声でこう言った。
「実はあれ落ち葉なのじゃ」
門を抜け、門番が見えなくなったとき一斉に笑いだした
「おかしいのお はっはっはw」
九郭微も皆が楽しそうにしている姿に 思わず自分も笑ってしまう
「さて、今日泊まる宿を探さなければな……」
「ひー まー」ブンブン
腕を縦にスライドさせ訴える
「ああ、わかったわかった 遊んでおいで」
そう言うとお金を少しじゃらじゃらと渡す
やばい 価値が解らない。
「ほれ、お主も」
そう言うとアムールにも同じ金額を渡す
「え?! 私もいいんですか?!」
当たり前じゃろ といった表情で見つめる
「暗くならないうちに帰っておじゃれ 集合場所は噴水じゃ」
そう言うと手をふって自分達の荷物を背負い 宿を探しに行った。 重くないのかなあ……
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