【防衛】要塞を守りきれ!ファンタジーTRPGスレ3 at MITEMITE
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50:ルーク ◆ELFzN7l8oo
16/04/23 17:13:04.29 0TNaDdD/.net
青い眼を輝かせて自分を見つめる少年を、クレイトンが眩しそうに見返す。
「……気持ちは解るが、おめえにはまだ早えぇ」
「父さんも同じこと言うんだ」
「まともな親ならそう言うさ。あのエルフがまともかって聞かれたら、良くわかんねえけどな」
一瞬浮かんだ嫌悪の表情を、ルークは見逃さなかった。
「おじさんは……父さんの事、嫌いなの?」
「あ?」
「だってさ、いつもそんな言い方するだろ?『あのエルフ』って」
「ま、好き……ではねえな」
「なんで?前に人形を壊されたから?それとも……エルフだから?」
「どっちでもねえ。とにかく、冒険したけりゃ、もちっと腕磨け」
ルークは両膝に置いた手を握り締めると、軽い身のこなしでパッと立ち上がった。
「なんだよ!攻撃魔法は一通りマスターしたし、治癒も飛翔も使えるし、弓だって!」
言いながら手に弓を持ち、弦を引く動作をしてみせる。
「……そういうことじゃねぇ。もう少し大人になってからってこった」
はあーーと長い溜息をつき、ルークは意味もなく歩き回った。逸る気持ちを抑えられない。
「霜降り山脈に行くなってのは解る。遠いし、エルフもゴブリンもオークも居る。でも地下の探検くらいならいいだろ?」
クレイトンの顔がわずかに曇る。
「……やめとけ」
「何でさ。何でみんな地下にこだわるのさ。賢者の扉を開けてみたいって思うの、当然だろ?」
「……地下だけはやめとけ!」
歯車をカチリを嵌めこみながら、男が諭した。
「あれに触っちゃいけねえ。グーリン・マ・コールもそう言ってる」
クレイトンは別の歯車を手に取ると、指先でその歯車をクルクル回しはじめた。
「いつも思うんだけど……そのグーリン何とかって神様。教会の公認?」
男が何か言いかけようとしたその時、門を誰かが叩いた。

51: ◆ELFzN7l8oo
16/04/23 17:14:20.69 0TNaDdD/.net
同じころ、主塔の最上階、広い居間の一角で、一組の男女がテーブルについていた。
ドワーフの手で新しく再建された食堂兼居間は、重厚で落ち着いた造りに変わっていた。
暖炉の上には牡鹿のはく製が掛けられ、壁のレンガの赤茶色が自然なグラデーションを帯びている。
木製のテーブルに並べられたスープが、まだ湯気を立てている。
スープ皿の両脇に肘をつき、組んだ手に顎を乗せているのはルークの父親だ。
後ろに流した長い金色の髪。長い耳。エルフだ。
外見こそ若いが、不老不死のエルフ族が見た目通りでないのは周知の事実だ。現に300をとうに越している。
尖った耳がピクリと動く。彼には外の会話がすべて聞こえていた。
「どうした。またルークが何か?」
男のような口調だが、声の主はルークの母親だ。茶色の長い髪を編みこみ、上にまとめている。
「冒険したい、などと。マキアーチャ。君にはあれの気持ちが解るか?」
「まあな」
彼女はもと冒険者。一人息子の気持ちは痛いほど解る。
故に「可愛い息子に旅をさせたい派」、なのだが、慎重で真面目すぎるエルフの夫がなかなかそれを許そうとしない。
その夫が思いもかけぬ話題をもちかけた。
「ルークも17になった。冒険者ギルドが斡旋する場に……いい物件があった。奴には丁度いい」
「どういう風の吹きまわしだ?それは何処だ?いつの間に調べたんだ?」
矢継ぎ早に問いを繰り出すのは、彼女が射手(アーチャー)だからだろうといつも思う。
「私なりに考えていただけだ。地下研究棟に興味を持たれても困る、というのもある」

不意に、伝令魔法による聞きなれた声が響いた。賢者による来客の知らせだ。また王国からだろうか?
窓から外壁の向こうを見下ろすと、剣や槍が数多く突き立っているのが見える。微かに聞こえる馬の嘶き声……100以上。
「誰だ?」
険しい顔つきになった夫を心配気に見つめるマキアーチャ。
「いつかこの日が来ると思っていた。しばらく戻れぬかも知れん」
「え?」
額に描かれた魔紋が青い光を放ち、彼の身体が煙るようにかき消えた。
マキアーチャはそれを追いもせず、ただ彼の座っていた椅子の背をぐっと握り締めた。

52:ルーク ◆ELFzN7l8oo
16/04/23 17:15:48.96 0TNaDdD/.net
大勢の人間が発するどよめきの声とともに、門を叩く音が止んだ。
ルークは門へと進める足を止める。
どうやら父親が門の外に「降りた」ようだが……今日はやけに大勢だ。嫌な予感がする。
「王都まで出頭願おう」
相手の声がはっきりと聞こえた。ええっと……出頭って……何だっけ?
「容疑は?」
答える父親の声。容疑?っ…っ…ってことは……ええっーーー!!?
急いで閂(かんぬき)をはずし、通用門を押し開けた。
ずらりと並ぶ王国の騎士団。馬に跨る者は抜き身の剣を、地に立つ者は槍を高く掲げている。
左手の盾にはアルカナン王国の紋章と王家の紋が刻まれている。なんで王の親衛隊がこんなに……?
肩や胸につけた徽章をジャラジャラ言わせながら、親衛隊長らしき男が馬から降りた。
黒い髪と顎髭を蓄えた堂々たる体躯の騎士だ。
鋭い眼付きで眼の前のエルフを一瞥すると、巻かれていた紙を広げ、声高らかに読み上げる。
「王国への不法侵入容疑、間諜容疑、かの大戦における大量虐殺容疑」
罪状を聞き、納得したように頷く父親。
(いやいや、そこは反論するところだろ親父!)
何か言いたげなルークを後ろ手で制し、息子にしか聞こえぬ声で。
「私は大丈夫だ。ここをしばらく頼む」
そう囁いた父親の両の手にガチャリと鉄の輪が嵌められた。端正な顔が苦痛に歪む。
エルフは鉄にさわれない。もし持続的に触れることがあれば、苦痛のため集中を削がれ魔法が使えないと聞いた事がある。
下手をすれば精神崩壊しかねないとも。
他の騎士たちが虜囚となったエルフの腕を取り、強引に馬に乗せた。
隊長が、睨みつけるルークを肩越しに見やり……フンと鼻で笑った。黙っていられる人間が居るだろうか。
「待て!!」
矢筒から矢を抜こうとした手をクレイトンが止めた。構わず追おうとするが、腕を掴まれ動けない。
「わかんねぇのか!」
クレイトンがさらに力を込める。思わぬクレイトンの腕力に思わず呻くルーク。
「あいつは役目を果たしただけだ。この要塞の平穏を乱させねぇ、それがあいつの役目だ」
「わかってる!わかってるけど……」
ひと際大きく馬が嘶き、騎士たちが背を向けた。
蹄が地を蹴る地鳴りの音、もうもうと立つ砂埃。クレイトンが門を閉じ、閂をかけた。
地面に座りこむルークの肩に、ポンと手を置く。
「父さんは……どうなるの?」
「どうなるって……そりゃあよ?やった事はほんとだろうから……良くて火刑。悪くて……」
「悪くて?火炙りより悪いことってあるの?」
「そりゃあるだろよ。軍隊の拷問っつったらそら酷でえもんだって。エルフなら特に・」
ルークは肩に置かれた手を払い、クレイトンの胸元を掴んだ。
「何だよそれ!さらっと言うなよそんな事!!」
「おめえ、その体たらくで良く冒険してぇとかほざいたな。奴の息子ならもっと・」
ハッとして彼は手を離した。
「もっと?……父さんの事、嫌いじゃなかったの?」
「バカか」
クレイトンはゆっくりと作業場に向かい、腰をおろした。
「大人ってのはな。好きとか嫌いで動いてんじゃねえんだよ。ヒヨっ子の小僧っ子が」
「あああ!!もう!!!」
小さい金槌で、自分の肩を叩いているクレイトンをしばらく眺めていたルークは、意を決したように立ち上がった。
「どうする気だ?」
訝しげに聞くクレイトン。
「腹が減っては何とやら!朝飯を食う!」
言うなり最上階への階段を駆け上がっていくルーク。
その様子をニヤニヤしながら見やり、彼は金槌を作業箱に仕舞った。ポリポリと頭を掻く。
「……見どころが無(ね)えってわけじゃねぇんだけどなぁ」

53: ◆ELFzN7l8oo
16/04/23 18:55:26.35 0TNaDdD/.net
このままだとRPGじゃなく、ただの一人小説ですね。
敵味方問わず、同僚募集中です。

54:創る名無しに見る名無し
16/04/24 10:24:00.61 wIdcjS6p.net
名無しでなら協力できるぞ

55: ◆ELFzN7l8oo
16/04/24 11:10:15.47 YiF7RtZJ.net
それでもぜんっぜん有り難いです!!

56:創る名無しに見る名無し
16/04/24 18:49:29.28 RXgKzmYB.net
やってて空しくない?

57: ◆ELFzN7l8oo
16/04/25 06:33:55.51 BSsl2WHQ.net
やりたくてやってるので空しくはありませんが正直寂しいです

58:創る名無しに見る名無し
16/04/25 10:24:12.66 rfe+sBrn.net
もうやめようか

59: ◆ELFzN7l8oo
16/04/30 17:10:51.82 qMYhRPZQ.net
カツカツと小刻みに響く硬い靴音。
丁寧に磨かれたマーブル模様の白大理石の廊下を、白い装束の少年が一人、足早に歩いている。
目深に被るフードから銀色の髪がのぞいて揺れる。右手には背丈より長い錫杖。先端のルビーが唯一の彼の彩(いろどり)だ。
神経質そうな銀の眼が、突きあたりの白い扉を見上げた。
簡易の謁見室の扉は、他国の使者を通すそれに比べさほど豪奢ではない。
フードを降ろし、彼はドアを押しあけた。
若い外見とは裏腹の身分にある彼は、いつ何時であろうと勝手にこの部屋に入ることを許されている。
「陛下、何故(なにゆえ)このような……!」
入るなり咎める台詞を口にした少年に、部屋に居た人間達が一斉に視線を送った。
「遅かったなビショップ」
声をかけたのは王座に座る若い王だ。今年で38になる。
豊かな長い黒髪に優美な細い眉、深い湖の如き藍色の瞳。光沢のある白い衣を纏うなかなかの美女だ。
細い腰に金の帯、額と首元には豪奢な黄金のアミュレットが光っている。
御前に敷かれた緋色の絨毯に、王国親衛隊の騎士が10人ばかり、片膝を立て控えている。
先頭に立つのは親衛隊長と国家騎士団長を兼任するラファエル・ド・シュトルヒルム。
ビショップとは犬猿の仲……にあるラファエルは、フンと鼻を鳴らし視線を前に戻した。
ビショップもラファエルを一目睨むと、彼の横に引き据えられているエルフの傍に歩み寄った。
両手を繋ぐ鋼鉄の枷。声を上げまいと必死で苦痛に耐えるエルフの男。
しかして気の毒だとは微塵も感じなかったが……言っておく必要はあるだろう。
「エルフ評議会から抗議の知らせが入っています。
我が同族に虐待・凌辱等の行為を行った場合、即刻に各エルフ族の集落に働きかけ、資源の提供を取りやめると」
「ほう?」
揶揄するように返事を返したのはラファエルだ。自慢の黒い顎鬚を撫でつけ、頭二つ分は低い背丈のビショップを見下ろす。
「もう評議会の耳に入るとは……誰かが情報を流したのではあるまいな?」
「まさかとは思うが、貴公はわたくしを疑っておられる?」
「神官風情のやりそうな事だ」
「それが当方に如何なる利益をもたらすのか、無い頭を捻り考えられたらいかがか」
「やめよ」
言い争いを始める二人に、女王が割って入った。

60: ◆ELFzN7l8oo
16/04/30 17:13:26.39 qMYhRPZQ.net
「わらわが命じたのだ。心配せずとも丁重にもてなすつもりだが?」
「何を仰せか!こ奴は……!」
ラファエルがエルフの肩をつかんで乱暴に引き倒すと、右足で頭を踏みつけた。
彼は25年前の大戦を思い返していた。
友軍として駆け付けた彼らの前に現れたのは、たった一人の敵将だった。
軍団長の撤退を告げる声は、横合いからの大津波によってかき消された。
悪夢のような一瞬の出来事。
馬も人も大半が溺れ、運よく逃げた者は宙に舞う風の白刃で切り刻まれた。
まだ騎士として新米だったラファエルだけが生き延びたのだ。
咄嗟に軍団長である父親が彼に渡した魔法剣、アルカナ=ブレードの加護によって。
彼等の不覚は当然と言えた。
一度に大量の標的を仕留める魔法は存在しないとされてきたからだ。魔導師一人が持つ魔力量など限られている。
しかしその敵将はいとも簡単にやってのけた。
それは本国から供給される膨大な魔力に耐えられる器を持った……エルフだったからだと知ったのは最近の事。
そのエルフこそがこの男。シャドウ・ヴェルハーレン! まさか……生きていたとは!!
全体重を右足に乗せる。頭蓋骨がミシリと音を立てた。

「それで……? 気は晴れたかラファエルよ」
王が柔らかな物腰で席を立ち、玉座を降りはじめた。
騎士団長は慌てて足をどけた。やや後方に下がり、部下と同様片方の膝をつく。
ビショップも急ぎ同じ姿勢を取った。視線を、横たわったまま動かぬシャドウに注いだまま。
彼は彼で、手塩にかけ育てた神官達を殺された経緯があった。
たとえ死ぬまで鞭打ったとしても、全身の骨が砕けるまで鎚で打ち据えたとしても……その数に見合う報復とはなるまい。
「そう……。そんな事では気は晴れぬ」
それが自分に向けた言葉だと気づき、ビショップは顔を上げた。王が美しい眼で自分を見つめている。
ビショップは年甲斐もなくどぎまぎした。
彼は決して若くはない。先代の王の、そのまた先代の王の時代から王宮に仕えていた大神官長なのだ。
左手の平に埋め込んだ魔法石、エターナルストーンによってその外見を保っているに過ぎない。
実際の年齢は100を超えている。
余談だが、エターナルストーンは不老不死をもたらすものではない。せいぜい百年の寿命の延長であると言う。

61: ◆ELFzN7l8oo
16/04/30 17:16:10.26 qMYhRPZQ.net
「鉄の枷をはずしてやれ」
王の命に一同はざわめき立った。行動に移すものは居ない。
「どうした。この王城にて魔法は使えぬ」
「しかし王!この者は魔導師にして帝国の騎士。陛下の御前にて解く訳には」
ビショップの抗議に、王は意味深かげな微笑を返す。
「エルフに鉄枷は……『虐待』であろう?」
ラファエルが御意、とだけ答え腰に帯びる大剣を抜いた。彼だけは王の前での帯刀を許されている。
宙に閃く二つの銀の軌跡。少し遅れて鋼鉄の輪がスッパリ断たれ、転がった。
鋼鉄すらたやすく断ち切る国家の宝剣。威力を発揮できるのは彼だけだ。
身体を起こしたシャドウの両の手首には傷一つついていない。
「エルフどの。いや、ヴェルハーレン卿とお呼び致すがよろしいか?」
王の問いにシャドウは答えない。両手を床についたまま、黙って下を向いている。
音もたてず歩を進める王の足が、シャドウの眼前で止まった。王は素足だった。
「その魔紋。其方にとっては二つ目の紋であろう」
ハッとしたようにシャドウは顔を上げた。左の頬には靴の泥がこびりついている。
「二人の主人が偉大であったか……其方が尻軽なのか……どちらでも良い。わらわが欲しい情報はただひとつ」
「『死の賢者』とは……なにものか」
おそらく聞かれるだろうと危惧していた問いだった。
「何も知らぬ。聞くだけ無駄だ」
不遜な受け答えに騎士達が色めき立った。シャドウの首筋に抜き身の剣が押し当てられたが、王が『下げろ』と合図を送る。
しぶしぶ剣を鞘に納める騎士団長に、神官長が侮蔑の視線を送る。
物言わず火花を散らす二人。構わず王が続ける。
「答えたくなくば答えずとも良いが……未来永劫闇の中で後悔する事になるぞ?」
「知らぬものは知らぬ」
「では……その身体に聞こう」
王の右の手指がシャドウの額の紋に触れた。その指がズブリと中に潜る。魔法ではない、霊的な力。
他の心を読み、操るアルカナン国王に代々受け継がれてきた力。最高位のシャーマンの力だ。
シャドウの眼から朱色の血が幾筋も流れ落ちた。
何かに抗うように震える口が、言葉にならない声を上げる。
突如、王は手を離した。ドサリと倒れこむ男には眼もくれず、血に染まる指を舌でなぞる。
「連れて行け。次に目覚める事があれば……我が傀儡となっていよう」
誰もが戦慄するであろう王の行為は、その場の人間にさほどの衝撃を与えていない。みな見慣れているのだ。
ただビショップだけは只ならぬものを感じていた。
彼は誰にも聞こえぬ声で、ポツリと呟いた。
「あの魔紋……。陛下の御手に移ったかに見えたが……はて……?」

62:創る名無しに見る名無し
16/04/30 23:21:12.24 ore/uTZz.net
お前ユリウスかよお前よ

63:ルーク ◆ELFzN7l8oo
16/05/01 06:46:38.42 qKzR+SRK.net
――――――ドンッ
強く肩を打ったルークはバランスを崩し蹈鞴(たたら)を踏んだ。雑多の中、ぶつかった相手を見やる。
相手も自分を見ていた。
目深なフードのせいで顔は良く見えないが、口を結んだままこちらに顔を向けている。
「すみません」
思わず謝った。ぼうっとしていた自分が悪いのだろう。
相手の男は何も言わず、ただルークの顔をじっと見ている。よほど気に障ったのだろうか。
「顔を見せろ」
高圧的な物言いだ。
「なんだよ、こっちは素直に謝ってるだろ」
ムッとしてルークが言い返すが……言ってしまってから「しまった」と後悔した。無視して素早く立ち去るべきだったと。
ここは城下町。
「ちょっとだけ買い物をしてくる」と出かけはしたが、聞き込みをするのが本来の目的なのだ。目立つべきではない。
買い物客がただならぬ様子の二人を遠巻きに眺め始めた。
装飾品を売る行商や果物売り、辻占い師たちがそそくさと店仕舞いを始める。
相手が舌うちする音がはっきり聞こえた。
ツカツカと歩み寄ると、ルークの腕をつかんだ。
「痛って!!」
たまらず悲鳴を上げた。先日クレイトンに掴まれた腕に出来た青痣。まさにそこを掴まれたのだ。
「……? 怪我でもしているのか?」
男はパッと手を離すが、今度はルークの後ろ襟首を掴んで引っ張っていく。
押し戻そうとする人間達の間を掻きわけ、しばらく行くと人気のない裏道に出た。
怪しげな店が立ち並ぶ裏の街道。その横道を曲がり……裏の裏のそのまた裏道へと足を運ぶ。
「ちょ……もういいから、離してくれない? 苦しいんだけど!」
「逃げぬと約束すれば離さぬでもない」
「ああもう! わかった! 約束する!」
ようやく男の手から解放され、ルークは大きく息を吐いた。首回りを撫でつけ、フードが外れているのに気づく。
「……エルフか……?」
ルークを見て男が呆気にとられた顔をするが、すぐに真顔になった。『音』を聞きつけたのだ。
その音にはルークも気づいていた。
人間ならざる物が発する足音と息遣い。生温かい風が微かな獣の匂いを運ぶ。
「白の番人だ。来い」
男が素早く近くの店の扉を開ける。
「何してる。 かみ殺されたいのか」
ルークは音の正体を見てみたいという欲求に駆られたが、素直に従うことにした。本来の目的を思い出したのだ。
そこは娼館を兼ねた酒場だった。

64:創る名無しに見る名無し
16/05/01 21:36:44.88 1demGLMt.net
こういうのって設定とか展開とかどれぐらい踏み込んでいいものなんだろうか
面白そうなんだけど思い付きで書き込んでも却って邪魔になりそうで

65: ◆ELFzN7l8oo
16/05/02 06:14:29.39 njJLq2Me.net
>64
その手の心配をされる、つまり名無しではなくキャラでの参加を御検討でしょうか。
設定も展開も、先に出したもん勝ちですので、相当の無茶ぶりでなければ遠慮は御無用かと。
ぶっちゃけ。
ど〜〜〜〜〜しても心配なときは、「やっちゃっていい?」と一言聞くのもありかと。避難所もありませんし。

66:創る名無しに見る名無し
16/05/03 12:37:12.08 rb9LinLi.net
了解、回答ありがとう
しばらくは定期参加できそうにないので過去ログ読んで流れの勉強しつつ名無しでネタ振りしようかと
プロットや設定を練ってある場合は他人からいじられるのを嫌がる人もいるので心配になって聞いてみました

67:ルーク ◆ELFzN7l8oo
16/05/06 06:36:25.32 J1Hyb9Qs.net
カウンター越しに座る身なりのいい初老の男、おそらくマスターだろう。
静まり返った店の中、暖炉の薪がパチパチとはぜている。
小奇麗な木製の床に壁。凝った彫り物が施された丸い木のテーブルが数台、ゆとりを持って並べられている。
「へえ……」
感心しながら部屋を見回すルークを連れが小突いた。マスターが胡散臭げな眼を向けている。
「お客様。CLOSEの文字をご覧になられましたか」
ルークが首を捻った。咄嗟に目に入った扉に、そんな表示は無かった。
確か扉には……二つ首の竜が月を囲むような……そんな模様が彫られていた気が……
一人考え込むルークを尻目に、迷いの無い足取りでカウンターに近づく連れの男。
懐から重そうな包みを取り出し、差し出す。中身を検(あらた)めたマスターの眼がスッと細まった。
「……失礼致しました。こちらへ」
連れの男が足を組んで椅子に腰かけ、慣れた仕草でテーブルに肘をついている。
ルークは座らない。粗末な身なりのくせにやたら金回りのいいこの男が不審に思えて仕方なかったのだ。
―盗賊団の一味なのかな。 金持ちの家襲うから付き合え! とか言われたりして。
「オーダーは」
「へ!?」
マスターの問いに頓狂な声で返したルークを無視し、男が麦酒(ビール)を二つ注文する。
「いや……その……」
口ごもるルークの前に、広口の大きな杯が置かれた。細かいクリーム状の泡が盛り上がっている。
指先で縁(ふち)をはじくと、泡が一筋、高山の泡雪のように流れ落ちた。
どうしたものかと考え込む。そろそろ帰らなきゃ母さんが心配するかも。
「どうした。飲まぬのか? 見かけどおりの歳じゃないのだろう?」
旨そうに杯を傾けながら男が言う。
「俺、行かなきゃ」
出口に向かおうとするルークの服を男が引っ張った。
「待て。付き合ってくれてもいいだろう」
「やっぱり」
「何がやっぱりなのだ」
「だから!ここに俺を連れてきた理由(わけ)だよ! 盗人(ぬすっと)野郎を手伝う腹なんかこれっぽっちも無いからな!」

68:ルーク ◆ELFzN7l8oo
16/05/06 06:37:02.09 J1Hyb9Qs.net
男がポカンと口を開ける。
「ちょっと待て。何か誤解がある。とりあえず落ち着け」
ルークの肩に手を置き、宥めるように座らせた男は被っていたフードを降ろした。
くせのある黒髪を後ろで束ねた精悍な男。その表情(かお)は若々しくも理知的だ。とても盗賊には見えないが……
「ライアンだ」
親指で自身を差し、男が名乗った。
ルークは一瞬押し黙るが、名乗られたら名乗り返せと父親が言っていたのを思い出す。
「……ルーク」
「ルーク? エルフらしくない名だな」
「あんたこそ。『小さき王』とかどんだけだよ」
「ほう……? やはり見かけどおりの歳じゃないのだな。100歳くらいか?」
「んなジジィじゃないって! 17になったばっかりだっつーの!」
マスターがコホン、と咳払いをしたので、ルークは黙って椅子に腰かけた。
「……で? 付き合えって何のことだよ」
「ん?」
「ん?じゃない。言ってたろ。『付き合ってくれてもいいだろう』って」
「ん」
ライアンがチラリとカウンターの横を眼で差した。いつの間にか、女の人達がこちらの様子をうかがっている。
背中と胸元がやけに開いた……色とりどりのイブニングドレスを身に付けた女性達。
―春先に庭の花に集まってくる蝶みたいだ。
―って事は……えーと……ここはそういう所……ですか?
「勘違いするな。情報収集だ」
ニッと笑うと、ライアンは明るい茶色の髪の、ややポッチャリ系の女の子の肩に手を回した。
桃色のイブニングドレス。小柄で……唇はピンクでちっちゃくて……茶色のフワフワの髪……クリクリの目……すっごく可愛い。
―って……いつの間に!!
「ここは王族、貴族が忍んで通う高級娼館。彼女らなら王の性癖から筆頭神官の懐具合まで知ってる」
「いや俺、協力するなんて言ってない」
手洗いにでも行く振りをして消えようかと算段するルークに、さらに声を潜めてライアンが囁いた。
「エルフなら知ってるだろ。今朝早くに親衛隊の奴らが捕縛してきたエルフの事を」
「……え!?」
「シッ!……彼について……何でもいい。聞いといてくれ」
「何であんたが」と言いかけたルークの声は、群がってきた「蝶たち」の嬌声にかき消された。

69:創る名無しに見る名無し
16/05/07 18:09:19.79 OJVzxNPI.net
エターナルストーンは賢者の石?

70:創る名無しに見る名無し
16/05/08 02:39:51.63 jA5WvRoo.net
頭おかしい

71: ◆ELFzN7l8oo
16/05/09 06:09:02.58 u3fyCFmZ.net
王の寝室に暖炉はない。事故があってはならない。職台もない。火は時にすべてを消し去る。
汗ばむ右手をゆっくり広げる。
これは鍵だ。
―我らを『賢者の石』へと導く―鍵。

名前: エスメライン・F・ファシリアーナ=アルカナン
年齢: 38
性別: 女
身長: 170
体重: 51
スリーサイズ:85 55 87 
種族:人間
職業:国家元首
性格:慈愛に満ちた為政者であり、反国勢力に対しては容赦ない
特技:他者の心を読み、操る能力を持つ(魔力を持つが魔法は使わない)
武器:なし
防具:なし
所持品:黄金のアミュレット各種を身につける
容姿の特徴・風貌:黒髪と黒い瞳、純白の絹のドレス(腰からスリットあり)、幅広の金帯、常に素手で素足。
簡単なキャラ解説:アルカナン王国の現国王。王家の悲願である『賢者の石』の探索に力を注ぐ。

72: ◆ELFzN7l8oo
16/05/09 06:10:47.54 u3fyCFmZ.net
こちらへと近づく靴音。ビショップのものだ。ドア向こうの衛兵が敬礼する金擦れの音。
扉を叩く音、2度。
「この夜更けに何用か」
「ご機嫌を伺いに参りました。何とぞ、お目通りを」
蝶番が軋む。
革の靴底が床石に触れ、カツンという音を立てる。乾いた小気味良い音が壁に、天井に反響する。
靴音が部屋の中央でピタリと止まった。ビショップがその場に膝まづく。白い長衣の裾がバサリと翻る。
「今宵はどうしても確認したき事がございます」
「ほう?」
ヒタリ……と歩を進める。石の床は冷たい。
かがみこみ、ビショップの左手を取る。彼の掌に埋まる青石が星屑を散らすように煌めく。
「エターナルストーン。先々代の世に当時の其方が持ち帰ったと聞く」
「は。『賢者の石』を精製した。その言葉を信じ、ベスマの地下へ赴いたは80年前」
「其方、いくつになる」
「140になります。見た目に反し、身体自体は衰え……もって後……半世紀かと」
王はしばらく少年にしか見えぬ神官長の顔を眺めていた。
「その石は其方に年若い外見とわずかな延命をもたらしたのみ。つまりは……賢者の石とは似て非なるもの」
「……左様にございます」
「して……其方の見極めたき事とは……これであろう?」
自分の右手をビショップの前に広げて見せた。
手の平に……滲むように浮かぶ紫色の小さな紋様。賢者の魔紋。
禍々しく紫色に煙る魔紋をまじかに見、ビショップの目が大きく見開かれた。頬を一滴の汗が伝う。
「奴の記憶を垣間見た。『死の賢者』の紋に相違ない」
「『死の賢者』。……死の壁を超えた者。……ならば『賢者の石』は……彼が……?」
軽い眩暈。違和感。異質感。これはみな……あのエルフから奪ったこれのせいなのだろう。
不意に肩を支えられ、我に返った。
「その魔紋、お身体に障ります。宜しければ、このわたくしが引き受けますが」
彼の手が魔紋に重なる。さざ波のように熱(ほとぼ)りが引いていく。癒しの石……エターナルストーン。
「其方には一刻も早く『賢者の石』を見つけてもらわねばならぬ。この紋は仕事に障ろう」
先代の、そのまた先代から王家に仕える大神官。その忠義に一片の曇りもない。
天蓋の下に腰かけ、退出を促す。
「我が手心に……入り込む者あり」
「……白の番人を放ちました。ご案じ召されますな」
柔らかな寝台に身を横たえる。天蓋に描かれた双頭の竜が揺らめき、その首をもたげたかに見えた。

73:創る名無しに見る名無し
16/05/10 15:37:30.43 mIV07Eo0.net
これはTRPGではない

74: ◆ELFzN7l8oo
16/05/10 17:43:51.87 xKZPD2+Z.net
>73
同意です。まさかここまでヒトが来ないとは。
放置は出来ないので続けますけどね?
いつかきっと誰か来てくれます。きっと。待ちますとも!容量完走するまで!

75:ルーク ◆ELFzN7l8oo
16/05/10 17:45:50.38 xKZPD2+Z.net
「エルフって初めて見ました!」
「あたしも。今夜はあたしを選んで?」
「やだ、あたくしよね?」
腕や肩を触ってくる女の子達にもみくちゃにされ、パニックになりかけた。とと兎に角いっぺんににしゃべらないで欲しい。
何言ってるか良く解んないし、これじゃ答えようにも……
「エルフって、あっちの方もすごいんでしょ?」
「やばっ! 引き締まったお尻! ハンターでもしてるの? 」
―ちょ・なんなの!? 変なとこ触んないで!
俺は隅のテーブルに腰かけていたライアンに視線を送った。
けどあいつ、あの女の子と話し込んで……こっちを見ようともしない。―薄情もん!
『選べばいいのよ。ただ、気に入った娘の手を握ればいいの』
声が聞こえた。
幾人もの女の声に混じる一人の女性の声。聞き取れたのは、それがエルフ語だったからだ。
『情報が欲しいのでしょう?『あのエルフ』の』
口笛と鼻歌を合わせたような言葉。他の子は言葉とすら思ってないだろう。
じっと俺を見つめるその女性。銀色のまっすぐな髪に、青い瞳。黒いドレスが良く似合う……大人びた女性。
『……どうしてそれを……?』
俺もエルフ語で返した。
『エルフがここに来る理由なんて、他にはないもの』
彼女が当然のように手を差し出してきた。思わずその手を取る。
他の娘達が、咎めるようながっかりしたような声を上げ、カウンターの向こうへ引き上げていった。
……ふーん、こういうもんなんだ。
チラリとライアンの方を見る。二人が手を取り合って立ち上がり、奥へと行きかけるのが見える。
「わたし達も、行きましょう?」
「えぇ? 何処へ?」
「二人だけで……話せるところ」
そっか。娼館だから、奥にそういう個室があるわけね。
まったく疑いもせず俺は彼女についていった。思えばこれが初めての冒険だった。

76:ルーク ◆ELFzN7l8oo
16/05/10 17:46:29.92 xKZPD2+Z.net
「そこに掛けて、くつろいで。ね?」
彼女が案内した部屋は、見たこともないくらい豪華な寝室だった。本で見た王侯貴族のそれに負けないくらい。
広い間取り、高い天井、天蓋付きの寝台に、細かい刺繍つきの寝具。
窓際に、石造りの大きな……盥(たらい)のような四角い物体。泡がたくさん……石鹸の香り? 
「浴槽……よ。裸になって、身体を洗うの」
「え!? 顔だけじゃなくて、身体も洗うの!?」
「ふふ……お客様には好評よ? とても気持ちがいいって。お互いの身体を泡で洗い合・」
「待った!」
どうしたの?という顔をして俺を見つめる彼女。
今すごい想像しちゃったんですけど。
そりゃ娼館ってことは……そういうことするトコ、なのかも知んないけど……そんなつもり、ぜんぜん無い。誓って無い。
「ふふ!初心なのね、可愛い!」
俺の胸元の紐を解きにかかる彼女の手をギュッとつかんだ。
「……お姉さん」
「エレンって呼んで」
「……エレン」
「はい」
「何か飲みたい」
エレンが急に心得顔になって部屋から出て行った。さっき麦酒を飲まずにいたのを見ていたのかも知れない。
とりあえずベットに腰かけた。
ふと……寝台の木製のノブに文字が刻まれているのに気づいた。ルーン文字だ。
このアルカナンがルーンの一部だった頃より……遥か昔の古代人が作った文字。なんて父さんが言ってたっけ。
よほどオタクな魔導師でなければ、読める人間は滅多に居ないとも。
オタクな父親に文字を習った俺には一応読める。
ア・ン・フィ・ス・バ・エ・ナ 。アンフィスバエナ。……読めるには読めるけど、……どんな意味だっけ?
ノックの音。エレンがグラスと瓶の乗ったトレイを手に入ってきた。
「はい」
差し出されたグラスを受け取る。薄い琥珀色の液体。底から細かい泡が上っては消える。……なんだろう?
不思議そうに眺める俺を見て、エレンがくすりと笑った。
「シャンパンよ」
「シャンパン……ってことは、酒?」ため息をついてグラスを突っ返した。
「赤ワインの方が良かったかしら?」
「ごめん。まだ17だから飲めないんだ」
「17ならいいじゃない。アルカナンの法律じゃ16からいいって・」
「ええ! そうなの!? 親父が25にならなきゃ駄目だって……」
エレンがニコリと笑ってグラスを差し出した。
「そう。随分と堅物のお父様なのね」
そうそう。いつも俺を子供扱いするんだ。冒険にも行かせてくれないし。
受け取ったシャンパンは、泡が少し減っていた。……酒は苦くて不味いって聞いてたけど……。
半ばヤケクソ気味に口に入れる。すっきりして甘くなくて……とても美味しい?
「うんと飲んでいいのよ? あちらのお客様がたくさん置いていって下さったから」
「ふーん……?」
あいつ(ライアン)、そう言えば情報収集とか言ってたっけ。
「それにしても貴方と……貴方のお父様。わたしの聞いたエルフとは随分感じが違うわ」
「え?」
「今は亡き帝国に、とっても好色なエルフが居たそうよ?」
「へえ」
「何でも城内の女侍従からお偉方の新妻にまで手を出したって。まさに『あのエルフ』当人のことよ」
「え?」
「エルフならもちろん知ってるわよね? シャドウ=ヴェルハーレン! 名前まで悪役よね!」
俺は飲みかけたシャンパンを、思い切り彼女に向かって吹いた。

77:シャドウ ◆ELFzN7l8oo
16/05/12 17:50:52.77 ytqr0qCK.net
重い扉を閉める音が、石の床を介し振動となって身体に伝わった。
鎧靴が床に当たる甲高い足音とともに、鎧同士が擦れる不快な金属音が耳につく。……二人、いや三人居る。
「起きろ!」
怒声を浴びた。ちょうど起きた所だと言いたかったが口が開かない。目も開かない。
首を上げることも出来ず、床に投げ出された足の感覚は無く。
広げた両腕を壁に繋ぎとめる石の枷。
聴覚と、石枷がもたらす腕の重さ分の痛みだけが、自分がまだ生きていることを証明する唯一の感覚。
「隊長。よもや?」
「フン。この程度でくたばるタマか」
鳩尾に重い衝撃。ほとんど痛みは感じない。……が、徐々に感覚が戻る。
うっすらと目を開ける。見た顔がそこにあった。要塞に押し掛けた一群の将。
そして以前……殲滅せしめんと攻撃した敵軍の、唯一の生き残り。名は確かラファエル。
「どうだ。扉以外、鉄を一切使わぬ石牢。エルフには丁重なもてなしだろう」
「この国では壁に拘束することをもてなしと呼ぶのか」
男達が息をのんだ。同時にラファエルが剣の柄に手をかける。その剣にも覚えがあった。
謁見の間にて鉄の枷を断ち切った剣。
そして大戦にて……敵軍の将が年若いラファエルに手渡した魔法剣。大津波を引かせ、風の白刃をすべて霞と化した剣だ。
柄頭に竜の刻印が見える。アンフィスバエナ(=双頭の竜)はアルカナン王家の紋。王の所有である証。
「奴の額を確認しろ」
「……!しかし奴は……!」
「魔法は使えぬ。陛下の魔力結界はここ王城の地下はもとより、城下にまで及ぶのだ。無論……魔具の類は別だがな」
言うなり男は剣を引きぬき、切っ先をこちらにむけた。
騎士のひとりが眼の前にかがんだ。額を覆う金の髪を乱暴に掴み上げる。
「隊長。我が王の紋に違いありません」
「こ奴はエルフ。操舵の術が効かぬのでは?」
「ならば……試そう」
ラファエルが剣を正眼に構え、振り下ろした。冷気に似た風圧が身体を突き抜ける。意識が……揺さぶられる。
「答えよ。貴様の主(あるじ)の名は?」
「知れたこと。『……・――……』」
……どうしたことか、言葉が……名が出てこない。我が自ら主と定めた……その人物は……?……姿は……?
「貴様の主は……『あの方』、であろう?」
……ゆっくりと首を……縦に振る。いかにも。……我が主は……あの……麗しき御方。
「王の命を伝える」
ラファエルが剣を軽く振る。手首を捉える石枷が斬られて落ちる。自由となった両の腕を床につけ、膝まづいた。
「なんなりと、ご命令を」
「ラファエル・ド・シュトルヒルムが配下となり、ベスマに赴け。『賢者の石』を我が元に届けよ」
「承知……致しました」
彼等に続き牢を出た。
……はて……。自分は何故……投獄されていたのだったか……?

78:名無し募集中。。。
16/05/17 23:09:22.43 Q+xLm34B.net
【キャラ考えてみたよん】
名前: シオ・ビクタス
年齢: 26
性別: 男
身長: 183
体重:76
スリーサイズ:
種族: 人間
職業: 剣士
性格: 意志が強い、頑固
特技: 双剣術
長所:義に厚いところ
短所:涙もろい、味覚オンチ
武器:双剣(片手で扱えるように軽い)、短剣
防具:胸当て、股間当て
所持品:わずかな金、簡易な寝具、師から授かった手紙
容姿の特徴・風貌: 黒髪の長髪ポニーテール、眉毛のキリッとした美男子、茶色の瞳、意志の固さを感じる口元、ヒゲは薄くほとんど生えない
簡単なキャラ解説:義侠心あふれる好青年
双子の妹がいる

79:名無し募集中。。。
16/05/18 01:32:29.24 6X68tPTU.net
「シオよ、アルカナン王国にいる鍛冶屋のホンダを訪ねよ委細は彼に聞け」
一ヶ月前にシオが受け取った手紙にはそれだけが書かれていた
「しかし唐突な…変わらぬ人だな」
つぶやくとシオは短くため息を吐いた
遠くには巨大な王都があるのが見えている
すでにアルカナンとは目と鼻の先に来ている
王都まであと半日の所にいるが着いたらまずは宿を探さねばならない
鍛冶屋のホンダをシオは知らない
広い王都を数ある鍛冶屋を探してホンダを見つけることを思ってシオの足どりは重くなった
「普通アルカナンの何処そこまでは書くものだがあの人には常識…」という所まで言ってシオは次の言葉を飲み込んだ
眼前に馬車があらわれたからだ
荷台にワラを積んでゴトゴトとこちらに向かってくる
手綱をもった老人は楽しそうに口笛を吹いていた
シオは歩みをとめ馬車道をよけて端によった
老人もシオに気づいて口笛を吹くのをやめた
この荷を背負い剣を腰の両側に差した若い旅人に老人は警戒したのかじっと観察するように見つめていたがシオの前にくると手綱を引いて馬を止めた
「お若いの、王都まで行くのかね?」
老人は手綱をもったまま声をかけた
「ええ」
シオは短く返事をした
老人は急に目を細めて
「お若いの、剣闘会に出るならもっと速く歩かねば日暮れには遅れるぞ」
「剣闘会?」
今度はシオの返事に思いがけなかったのか老人は目を見開いて
「王都で今度開かれる剣闘会に出るんじゃないのかね、そうかこれはすまなかった」
そう言うと老人は自分の勘違いを笑ってシオに軽く謝るように会釈をすると
そのまま馬に合図を送って荷馬車はゴトゴトと去っていってしまった
「剣闘会……」
シオはまた老人の言ったことをつぶやいてそうだ日暮れまでには王都に着かなければと歩きを速めた

80:名無し募集中。。。
16/05/18 14:15:18.42 5ixf9dUU.net
王都の入り口である門の前は夕暮れ近くになって行き交う人の群れでごった返していた
牛やロバの背に荷を乗せて運んでいる者や荷台に大きな樽をいくつも積んで馬車を走らせている者、風呂敷を背に重そうな足取りの行商らしい男、子供の手を連れてキョロキョロ周りの様子を伺いながら門に入ろうとする女
王都の門はいくつかあり最も大きな門は日が落ちれば閉じてしまう
夜は小門だけが出入りを許されるが入都は厳しく制限され手形がなければ入ることはまず許されない
他にも都に入る方法はあるがシオには元になるソレが無い
夕暮れに間に合ったのは良かった
シオは竜や獅子が彫られた立派な大門に目をやりながら安堵の息を吐いた
門を抜けると人の群れは思い思いの方へ拡散していきシオの眼前に王城にまっすぐと続く大通りが見えた
「あれがアルカナンの王城か」
雄壮な大城が道の先にそびえていた
その姿に目を見張ったものの王都へ来た目的が目下鍛冶屋を探すことであるシオには関係が無い
あそこに用は無い
シオはまず宿を探すため大通りを歩き始めた
ふと目をやると人だかりがあり覗くと豚の頭を店頭に並べた肉屋の主人が2本の包丁を擦り合わせて威勢よく啖呵を切っている
「うちの豚はそんじょそこらの豚とは違うよ東のナバウルに住むといわれる一角豚だよこの肉を食べたら健康長寿ときたもんだ」
その啖呵を聞いた子供が口を挟んだ
「角なんて生えてないじゃないか」
店主は子供を見てこれは一角豚のメスでメスには角が生えないんだよと説明すると
これを聞いていた周りから不審の声が上がった
するとわかったわかったと言って店主が奥に引っ込みこれがオスの一角豚だよと角の生えた豚の頭を出してきた
一角豚というものを初めて見た人達は驚きの声をあげて珍しいものを見たとささやきあった
そうしていると人だかりの中からその一角豚の肉をくれという者が出てその声に1人続き2人続きあれよあれよという間に店頭の豚肉はほとんど売れてしまった
店主は嬉しそうな顔をして今日はもうこれで終わり店じまいだと言って品物を片付け始めた
「一角豚とは初めて見たな、我が師アルシャインは東のナバウルへ剣術修行に出たことがあったはずだがそんな話は聞いたことがなかった」
シオも王都に来たのは初めてでは無いが都には常に新鮮な驚きがある
王都まで足取りの重かったシオも都の溌剌とした空気というものに気分をあらためた

81:名無し募集中。。。
16/05/18 17:24:38.03 5ixf9dUU.net
「モーラ悦びと痛みの店」
その文字の横に半裸の女性がこちらを誘うように人差し指を曲げている絵が描かれた看板に目をやった
「あれは宿……ではないよな」
シオは苦笑した
すでに小一時間宿を探して通りをうろついている
以前王都に来たときに使った宿は満室でありその宿から紹介された別の宿も満室であった
それではと目についた宿屋に飛び込んだがやはり満室で空きは無いという
「剣闘会…」
荷馬車の老人が言っていた剣闘会をどの宿の主人も使った
「今年は王都で10年振りに剣闘会が行われるんですアルカナンどころか大陸各地から見物客が集まって来ているんですよ」
それ故にどこの宿屋も客室は満杯だという
剣闘会は王都にある闘技場で行われる
アルカナンには3つの闘技場があるが王都の闘技場は一番大きく観客が20万人は入れるという規模である
剣闘会は剣だけではなく槍や弓あるいは魔法もその使用を許可されている
但し武器はもちろんのこと魔法も事前にどのような魔法を使うのかを申告しなくてはならない
大陸中で小規模の剣闘会は行われるがアルカナン、北方のアインランド、東のナバウルで行われる大剣闘会は三大剣闘会といわれ優勝者には大陸一の名声と莫大な賞金が支払われる
しかし大規模な剣闘会は持ち回りではなくその時の為政者が力を誇示するために開くもので大陸で数年に1度あるいは数十年に1度しか行われずアインランドではすでに30年の間大規模な剣闘会は開かれていない
今回アルカナン王都で行われる大剣闘会は大陸で行われる大規模な剣闘会として10年ぶりでありそれ故に大陸中からアルカナンに見物客が押し寄せてきている
すでに日が落ち始めている
泊まる宿が無ければこのまま都で野宿というのも仕方ないとシオは覚悟し始めている
しかし王都で野宿するのは王都の外で野宿するより危険であることがある
「獣より人のほうが怖い」
それがシオの生きてきた実感である
あるいはあの娼館に一夜だけでも泊まって明日にはホンダを見つけ出してその厄介になればいい
シオの足が娼館に向いた

82:名無し募集中。。。
16/05/18 17:33:08.16 5ixf9dUU.net
白の番人=人狼
人に化けてる
よし書こう

83:名無し募集中。。。
16/05/19 03:04:04.79 7CaP451p.net
「モーラ悦びと痛みの店」
その看板の文字の隣に描かれた女性は先ほどと変わらず人差し指を曲げてシオを誘っている
しかしこの前と違うのはシオは看板を見ただけでなく店の中に入った
店の中は薄暗くランプの数も大きさもそれ以上明かりを必要としないように計算されていた
カウンターがあり年配の女が声をかけてきた
「お客さん一晩は金貨1枚だよ」
シオは苦笑した
「あいにく銀貨しかもっていない」
ふんと鼻を鳴らした年配の女はカウンターを指で叩いて銀貨を置くように催促した
シオは懐から銀貨12枚を取りだしてカウンターに置いた
女の感じの悪さは商売が上手くいってないことを表している
剣闘会で大陸中から人が来ているのに何故かこの店は繁盛していない
年配の女がカウンターの奥へと引っ込み
しばらくすると少女がカウンターの奥から出てきた
「まさか君が?」
シオが驚くと少女はぶんぶんと首を振り部屋に案内するとだけ言って歩き始めた
シオはその少女について階段を上がり2階の廊下を進んで一番奥の部屋に案内された
部屋に入るとやはり暗い
少女は部屋の説明だけしてそそくさと戻っていった
何もない殺風景な部屋にひとり残されたシオは騙されたと思ったが文句を言いにいくほど怒りがこみ上げてこない
旅の疲れがそうさせているのか元よりそんな気もなかったからなのか
シオは旅装を解いてベッドに横たわった
良い匂いだ
枕は柔らかくシーツは洗濯されてしっかり太陽に干されている
ベッドに抱かれるだけで十分に気持ちよくそのままシオはうつらうつらとしていると扉を誰かがノックする音が聞こえた

84:名無し募集中。。。
16/05/19 03:05:55.80 7CaP451p.net
「誰だ?」
シオは目を覚まして扉の向こうに声をかけただが返事は無い
代わりに扉の向こうからすすり泣くような音だけは聞こえる
シオはベッドから起きて扉を開けると先ほど部屋を案内してくれた少女がそこに立っていた
少女の格好は生地の薄い白のワンピース姿で下着がはっきりと透けていた
シオは戸惑って言葉が出ない
少女は目をふせてすすり泣いている
その沈黙の状況が数秒続いたが
シオは状況を理解して少女に優しく声をかけた
「私は大丈夫だそういうのは必要ない君はそのまま戻るといい」
しかし少女は返事をせずまだすすり泣いている
シオはもう一度同じ事をさらに優しい口調で説いたがやはり少女は動かない
シオが表情に困惑の色を浮かべていると泣いていた少女が話し始めた
お客さんの所から戻るなと女主人に言われてきたから戻ることは出来ない
話している少女の目から涙がさらに溢れた
このまま少女が戻ればどうなるかをシオは容易に想像できた
少女のことを考えてシオは部屋に招き入れた
シオは椅子に座り少女をベッドに座らせた
少女はチラチラとシオの顔を見ては怯えている
シオはいきなり自分の故郷の話をし始めた
少女はキョトンとした顔でシオの顔を見つめる
「私の生まれた村は漁村で海がキレイでな魚が豊富に獲れるんだ」
シオは少女を和ませようと色んな話をした
少女は話を聞いている内に緊張がとけて時おり笑みを浮かべてシオの話に聞き入っていた
「知ってるか?東のナバウルには一角豚というのがいてな」
「それ…ウソ…」
少女がシオの話に突然入ってきた
「ウソ?」
シオが言葉を繰り返す
今度は少女が話し始めた
一角豚というのはウソで肉屋の店主が角に見えるように木を削って普通の豚の頭に指しているだけ
最初に店主に声をかける子供も一角豚の頭を見せたあとその豚肉をくれと一番先に叫ぶ人もグルだという
店主が作った一角豚の頭は店先にずっと置いておけば見破られしまうからしまって置かなければならない
店の奥から出してきた一角豚の頭は始めに注文をかけた男に渡してしまえばバレることはない
少女の説明にシオは目を丸くして驚いているとその顔に気付いたように少女は笑顔をシオに向けて言った
「お兄さんて面白い人」

85:名無し募集中。。。
16/05/19 17:03:41.81 7CaP451p.net
シオと少女の会話は夜半まで続いたが少女は泣きつかれたのか安堵したのかシオが話している間に気づくと寝てしまっていた
ベッドの上の無垢な少女の寝顔を見るとシオは深くため息をついた
少女の未来を思えば気分が暗くなる
だが自分にどうすることも出来ないことを分かっているそれが悲しいのだ
胸に重苦しさを感じながらシオは再び眠りにつこうと床に毛布をしいた
その時扉の向こうに人の気配を感じた
「誰だ?」
「お客さん娘がそこにお邪魔していませんか?」
女主人の声が廊下に響いた
「いや、ここには来ていない」
シオはウソをついた
シオの言葉に女主人の返事はなくわずかの間沈黙が流れた後ガチャガチャとドアノブを強引に回そうとする音が聞こえた
シオは棚に置いたベルトから2本の剣を抜いた
「何者だ!」
シオの怒声が部屋に鳴り響いた
その声に寝ていた少女が飛び起きた
目の覚めた少女は部屋の中に充満する異様な気配に怯え2本の剣を両手にしたシオの背中をじっと見つめている
扉の外にいるのは女主人ではないそれどころか人ですらない
シオの怒声にドアノブを回そうとする音が消えまた沈黙が流れた次の瞬間木製のドアを長い毛でビッシリと覆われた獣のような腕が貫いた
その光景に少女は悲鳴を上げる
シオは2本の剣を身構えた
貫かれたドアの穴から怪物がのぞきこみその眼がシオと少女を捉えた
「人狼か」

86:名無し募集中。。。
16/05/19 17:04:49.01 7CaP451p.net
シオはその怪物を知っている
奴らは昼間は人に化け、夜に狼となって人を襲う
山深い村々に時おり表れるというのを聞いたことがある
しかし王都にこんな怪物が住んでいるとはあるいは紛れ込んだか
シオは背後の少女を気にした
「ベッドの下に入れるか?」
少女は涙を浮かべて眼の前の恐怖に震えていたがシオの声にうなずきベッドの下に潜り込んだ
覚悟を決めたシオは大きく息を吸って吐くと双剣の柄を握り直した
人狼の不気味な眼が穴から離れたあとけたたましい音が共にドアが勢いよく弾けた
その木片が部屋に散らばると木片の上を怪物の足が踏みしめた
全身が茶褐色の毛に覆われ狼の頭を持った怪物が鋭い爪を立て牙を剥き出しにしてシオの前に立った
少女がベッドの下から人狼の足元を見ていた
人狼が息を吐くたびに剥き出しの牙を濡らしてヨダレが床に滴り落ちている
シオと対峙していた人狼が唸り声をあげた
その瞬間シオは右手の剣を一閃する
人狼は大きく後ろに飛んでその攻撃をかわした
反応が早い
距離を取った人狼が体勢を低くとったあと
床を蹴ってシオに飛び掛かった
人狼の爪がシオを捉えたかに見えたがシオはその鋭い爪をかわし人狼と体を入れ替えると同時に左手の剣を人狼の肩に突き刺した
すぐに人狼はシオに向き直って戦闘体勢を取るが刺された右肩からは血が流れ右の腕は上がらなかった
人狼は威嚇の表情とともに唸り声をあげるがシオはいささかも臆することなくさらに斬りかかる
人狼はその鋭い攻撃にたまらず退がると痛みに歪んだ顔を見せた
飛び退いた人狼が再びシオとの距離を取ると
シオもまた大きく息を吸って吐きゆっくりと双剣を人狼に向かって構え直した
その様子を人狼は忌々しく睨み付ける
シオと人狼の睨み合いが続いた
だが夜半の喧騒に辺りが騒がしくなってきた
人狼は耳を立てて周囲の様子をうかがったあと眉間にシワを寄せると小さく唸った
その直後勢いよく床を蹴った人狼は部屋の窓を突き破って外に逃げた
シオは警戒しつつ破れた窓に近づくと辺りを確認したあと剣をゆっくりと下ろした
「エルフ…」
シオはつぶやいた
そう聞こえた
人狼が逃げる前に放った小さな唸り声の中に確かにそう聞こえた
シオはベッドに振り返った
この部屋にいるのはシオともう1人しかいない
ベッドの下で恐怖に震えている1人の少女しか

87: ◆ELFzN7l8oo
16/05/20 06:17:20.70 +48eRWD4.net
投下、ありがとうございます! 思いつくまま自由に展開するストーリー、楽しく読ませて頂きました。
2点だけ、お願いがあります。
時間を空けて投下する時は、【つづく】と最後に表示してくれませんか? 入るタイミングが分からないので。
(長めのストーリーを投下する場合、1レス出来たその度に投下するのではなく、すべて書き切ってから一晩寝かせ、
少なくとも1回は推敲してからの投下をお勧めします)
もうひとつ。
遠慮せず絡んでください。
どうせ娼館に泊まるならルークと同じ館に泊まるとか、王城から出てくる騎士の一団を見かけるとか。
でないと唯のサイドストーリーになっちゃいます。
なかなかにアイディア豊富ですので、勿体ないと思い……偉そうにアドバイスさせて頂きました。
1日待って【つづき】がなければ明日にでも投下します。よろしくお願いします。

88:創る名無しに見る名無し
16/05/20 07:29:21.99 CASr2JPE.net
「ちょっといいかい?要塞の守り神さん」
「よければ私も仕事させてもらうよ」

名前: ベリル・メンヌハ
年齢: 23
性別: 女
身長: 186
体重: 74
種族:人間
職業:錬金術士
性格:自信満々で欲に忠実
長所:果敢
短所:性格に問題あり
特技:凍結系の魔法
武器:強力なとげ付のロッド
防具:ローブ
所持品:様々
容姿の特徴・風貌:紫色の髪で大柄、体の線が出る服  スリーサイズは104-68-99ぐらい
簡単なキャラ解説:秘宝を探している錬金術士。既に禁忌に触れた研究をしている。
酒と男が大好き。

【支援NPCです】
女は名前をベリルと名乗り、破格のじょうけんで雇われることを願い出た。

89:名無し募集中。。。
16/05/20 16:48:23.82 ZYD9T+0m.net
>>87
ご指摘ありがとうございます
よく分からなかったんで
展開とか設定とか何とかすれば回収できるように腐心してたんですけど限界来てましたwww
つづくのかどうかを書かなかったのはすみませんでした
様子を見て誰も書いてなかったら本編の外側をなぞるように書いていこうと思ってたので
今度から気を付けます
一応出した名称の簡単な説明だけ書いておきます
鍛冶屋のホンダ・・・王都で鍛冶屋を営む鼻の大きな中年男性で年齢は50代
あとは特に考えてません(笑)
アルシャイン・・・シオの師匠、10年前の大剣闘会の優勝者、剣の達人、白髪まじりの短髪に無精髭、弟子に対して勝手で無遠慮
アインランド・・・北方の領主達の連合国
アインランド人のイメージとしては身体の大きい北欧の白人
ナバウル・・・東方にある王国のことで草原や山岳の多い土地、人種はアジア系、カザフスタン人みたいなモンゴロイド系が多いイメージ
ハーフマンエルフの少女リリス・・・人とエルフの間の子供、年齢10歳、娼館にて産まれる、母親は5歳の時に病気で亡くなる
こんな感じです

90: ◆ELFzN7l8oo
16/05/21 17:09:38.43 rmtzOyiW.net
>88
NPCのキャラクターですね、ありがたく使わせて頂きます。
念のため確認しますが、NPC扱いで本当によろしいですか? ロール回し、やりません?
>89
なんと大陸の全貌が明らかに!
地図、書いてみたいですが何処にどうアップしていいものやら……もしご存知でしたら教えてください。
少女さんはハーフエルフなんですね。なるほど絡みやすい。
あ。遠慮なく絡む派&絡まれたい派ですので、度が過ぎるようでしたら言ってください。

>賢者のPL様
現在要塞から少々離れてますが……そのうちズバッと行くかも知れません。今明かされるワイズマンの過去!
『ワイズマン』って真の名も出自も、いつから要塞に居たのかもすべて謎なんですよね。
確かなのはもと人間だったって事だけ。
いやその……いくら『何されても文句言えないNPC』でも過去設定までいじられるのは気分いいものじゃありませんよね?
何処まで設定していいものか……正直悩みっぱなしです。
もしガチで放って置いて欲しい時は一言お願いします。
このままだとほんと遠慮なくバッサリやっちゃいますよ? 無論死なない程度にですが。

91:創る名無しに見る名無し
16/05/21 18:14:03.61 TCP/cQDK.net
>>90
>>88ですが、NPC扱いで結構です。
ロールによっては死亡しても構いません。

92: ◆ELFzN7l8oo
16/05/22 11:11:24.93 uuVOflz6.net
気まずい沈黙が部屋を満たした。エレンが驚いたような怒ったような顔でこっちを見ている。
「ごごごごめん!!」
慌ててテーブルに置いてあった布切れで彼女の顔を拭く。
「お酒はじめてなのよね? 仕方ないわ」
にっこり笑って俺から布を取り上げ、髪と服を拭き始めるエレン。
そうそう! シャンパンのシュワシュワが喉に引っかかったっていうか、そういう事にしといてくださいっ!
「そんなに慌てなくて大丈夫よ。どうせ脱ぐんだし?」
ちょっぴり挑発的な眼で俺を見つめ、彼女は両手でドレスの襟を横にずらす。
胸元の深い谷間を形成する二つの丸い御山。すっごく柔らかそう…………いやいやいやいや。
「待ったっ!」
彼女の手を掴んで止めた。その眺め。俺には刺激的過ぎるんでお願いだからやめて。
チラリと壁際の水時計を見る。―もうこんな時間?
「あのエルフを助けたいなら無駄……よ?」
「……えっ……?」
エレンがつまんなそうな顔をして椅子に腰かけた。
……どうして俺が考えてること、解るんだろう。読心術でも使えるんだろうか?
「解るわ。全部顔に書いてあるもの」
「……」
「ていうか、いま王都には腕に覚えのある剣士達が集まってるのよ? 人間だけじゃなく、エルフも、ドワーフも大勢。
わかる? 剣闘会に参加するフリして「囚われのエルフ」をこっそり助けようってエルフがたくさん居るの」
「……そうなの?」
「そうなの。だからお国からお達しが来てるわけ。エルフを見たら捕まえとけって」
急に頭がクラクラした。もしかして、さっきのお酒に何か入れられた……とか?
「入れたわ。強い眠り薬をね。でもあなたはほとんど飲まなかった」
エレンが濡れたドレスに眼をやりながら言う。
もしかして……ライアンもこいつらの仲間なんだろうか。初めからそうと知ってて……?
ゆっくりと……テラスに向かって後退した。
「無駄よ。外には……白の番人がたくさん居る。あのエルフもとっくに・」
「とっくに……なに?」
エレンが冷たい笑みを浮かべる。
―思い出した! アンフィスバエナは双頭の竜。ここ、王の息のかかった宿ってこと!?

ガシャアアアアンンン……!!!!!
窓を破って外に・と思ったその時、窓を突き破る音がした。外からだ。
テラスの窓にカギはかかっていなかった。開けて顔を出すと、通りを白い影が通り過ぎた。獣の匂いと血の匂いが入り混じる。
ヒラリと身を躍らせた。
トンッと石畳に足がつく、と同時に横合いから何者かに突き飛ばされた。
『敵……!?』
回転しつつ身を起こし、背の短剣を2本とも引き抜いた。


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