ロスト・スペラー 13
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330:創る名無しに見る名無し
16/05/10 19:21:23.19 NQDZST4p.net
現地の調査が終わるまで、3年半もの歳月を要した。
探査魔法と言う、打って付けの魔法技術がありながら、ベル川には巨大魚や大海獣が出現する為、
特に川底の地形の把握に苦労した。
結果、途んでも無い事が明らかになった。
「橋脚が立てられない」……。
約3街もの川幅を越えるには、川の中に橋脚を立てる必要がある。
しかし、当時の建設基準法では、支間は1通までと定められ、それ以上は不可とされていた。
1通間隔で3街の川幅を越えるには、約30本もの橋脚を立てねばならない。
所が、川の中央付近は水深が3巨以上あり、更に地盤も弱いので、橋脚が立てられないのだ。
―どうするべきか?
設計士達は困り果てた。
誰も最初から楽な仕事だとは思っていなかったとは言え……。
新しい法律を作って、支間を技術的限界の3通に伸ばしても、どうしても解決出来ない場所が、
3箇所あった。
橋の完成を阻む「魔の淵」を如何にして越えるか?
妙案も無い状況で、シャジャール・アーブラジスリーは経営陣に、こう提案したとされている。
「取り敢えず、出来る所から造って行きましょう。
その後は後世の知恵に期待するとして……」
何故、そんな発言を若いシャジャールがしなければならなかったのか?
彼の発言の裏には、早く着工したいと言う、周囲の圧力があった。
経営資金の獲得の為に、首脳陣は着工を急いでおり、それは日当が欲しい現場の作業員、
彼等を繋ぎ止めておきたい人材派遣会社(所謂『手配師』)も同じだった。
シャジャールは会社の資金繰りの為の、生け贄にされたのだ。
斯くして魔法暦35年、完成の見通しが立たない儘、スーパー・ベル・ブリッジの建造は始まった……。
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