ロスト・スペラー 8 at MITEMITE
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496:創る名無しに見る名無し
14/06/21 20:44:01.68 Lw45+HoH.net
4人以外の学生は、さっさと教室に引っ込んでしまった。
その事に関して、ハーディストは特に問題にせず、4人に説教を始めた。

 「ヒュージ、これが公道だったら、どうする積もりだ?
  出会い頭、馬車にでも打つかれば、怪我をするのは君の方だ」

 「だ、大丈夫ですよ。
  公道では使いません」

ヒュージは慌てて口答えしたが、それが逆効果だと、直ぐに気付く。
シューロゥとローダンドは彼の失策に、片手で両目を覆って俯いた。

 「馬鹿者!!
  そんな事を言っているのではない!
  仮に公道でなくとも、お前が怪我を負わずとも、足腰の弱い人や、幼い子供に打つかれば、
  お前は魔法で人に怪我を負わせた事になる!
  過失であっても、『魔法に関する法律』に触れるのだ!
  魔法を使う際に、不注意は言い訳にならん!」

『同階層<フロア>』中に響く大声で、ハーディストはヒュージを叱責する。
まるで落雷の様に、ガタガタと教室が震える。
これは4人に対してだけではなく、全ての学生に向けて言っているのだ。
問題児四人組は、他の学生に対する、良い見せしめでもある。
自業自得とは言え、損な役割の様だが、彼等に懲りる様子は無い。
寧ろ、自覚的ですらある。
勿論、怒られないに越した事は無いのだが……。

497:創る名無しに見る名無し
14/06/21 20:47:53.99 Lw45+HoH.net
ヒュージが集中攻撃を受けるので、侠義心に駆られたヘレックスが庇いに入る。

 「ま、まぁ、抑えて下さい、ハーディスト先生。
  ヒュージも悪気があった訳じゃないし……」

ハーディストの攻撃的な瞳が、ヘレックスに向く。

 「ヘレックス!!
  お前は私の話を聞いていなかったのか!?
  悪気があろうが、無かろうが、問題ではない!
  悪意が無ければ良いならば、事故で捕まる阿呆は居らん!」

敵意を向けられ、ヘレックスは怯え竦んだ。
十代も半ばを過ぎた若者が、年寄り1人に恐怖を感じている。

 「他人事ではないぞ!
  一緒に遊んでいた全員同罪だ!
  友人ならば危険な行為は止めさせろ!
  解っているのか、シューロゥ、ローダンド!!」

 「は、はい!」

行き成り話を振られて、シューロゥとローダンドは反射的に背筋を伸ばし、気を付けの姿勢で、
声を揃えて返事する。

498:創る名無しに見る名無し
14/06/21 20:49:21.91 Lw45+HoH.net
ハーディストの目は、次にシューロゥを捉える。

 「良し、シューロゥ、何が解っているんだ?」

 「えっ?」

 「『はい』と返事をしただろう?」

シューロゥは焦った。
好い加減に返事をしたのでは、更なる怒りを買う事になるのは明白。

 「ああ、いや、追い掛けっこは危ないですね……」

 「そうだな」

何とか答を絞り出した物の、ハーディストの目は変わらずシューロゥに向いた儘で、僅かも逸れない。
シューロゥは苦笑いして、ハーディストに尋ねる。

 「ええっと、他に……?」

 「お前達に注意したのは、全部で4点だ。
  時と場所を考えて遊べ。
  これが1点だな。
  他の3点を言ってみろ」

シューロゥは何にしても要領が良く、狡(こす)い所がある事を、ハーディストは知っていた。
こう言う時に、下手に反抗しないからと言って、見逃してやる訳には行かないのだ。

499:創る名無しに見る名無し
14/06/22 18:17:31.53 I+HlDx/v.net
シューロゥは答えられない。
表向きは深刻に反省している風を装って、実は聞き流していたのだ。
気不味い表情で沈黙する彼を見兼ね、ローダンドが横から答える。

 「周囲に気を配れ。
  不用意に魔法を使うな。
  友達なら止めろ」

ハーディストは憮然として、ローダンドを一瞥し、深い溜め息を吐いた。

 「その通りだ。
  シューロゥ、もう一度言ってみろ」

 「遊ぶなら時と場所を考えろ。
  周囲に気を配れ。
  不用意に魔法を使うな。
  友達が危険な事をしたら止めろ」

 「良し」

ハーディストは頷くと、懐中時計を確認した。

 「次の授業には間に合うな。
  もう良いぞ、行け」

漸く解放されて、4人は安堵の息を吐く。

500:創る名無しに見る名無し
14/06/22 18:18:54.50 I+HlDx/v.net
しかし、その中でヒュージだけは腑に落ちない顔をしていた。
彼はハーディストに、薮蛇を承知で尋ねる。

 「……ハーディスト先生、俺、気になったんですけど―」

 「何だ?」

他の3人は、余計な事を言うなと、兢々としてヒュージを見詰める。
それにも構わず、彼は続けた。
こう言う時に、恐れを成しては負けだと、勝手に思っているのだ。

 「気配、消してましたよね?」

 「ああ」

ハーディストが淡々と肯定すると、にやりとヒュージは笑う。

 「やっぱり。
  先生の魔法資質なら、直ぐ判りますから。
  変だとは、思ってたんですよ」

悪童ではあるが、愚鈍ではない。
単なる馬鹿には、教師を出し抜く事は出来ないのだ。

501:創る名無しに見る名無し
14/06/22 18:22:59.51 I+HlDx/v.net
直後、ヒュージは不満気に訴える。

 「何で、そんな意地悪を?
  態と打つかるなんて、卑怯じゃないですか……」

ハーディストは笑顔で、ヒュージの頭頂に拳骨を落とした。
ゴンと鈍い音がして、ヒュージは痛みに呻き、涙目で頭を抱える。

 「今までの話から、その位は察しろ。
  世の中、魔法資質の高い者ばかりではないし、気を張って歩く者ばかりでもない。
  もし、魔法資質の低い者が歩いていたら?
  そこに思いが至らない時点で、駄目なのだ。
  お前は私に気付かず、衝突を避けられなかった。
  その事実が全てだ」

それ以上は言わず、ハーディストは去って行った。
未だ納得し切れないで、顰めっ面のヒュージの肩を、シューロゥが叩く。

 「行こうぜ、次の授業に遅れる。
  2連続で怒られるのは御免だ」

 「応……」

小さな声で答えたヒュージを、ローダンドが小馬鹿にする様に揶揄した。

 「へっ、脇が甘いな。
  魔法資質に頼り過ぎなんだよ」

 「あー、お前が時々やらかすのって、それが原因かー!」

突然、ヘレックスが両手を合わせて、大きな声を出す。

502:創る名無しに見る名無し
14/06/23 20:26:00.45 42YIbBzn.net
奇異の目を向けるヒュージに、ヘレックスは説明した。

 「お前、ダブル・ボール・ルール(※)でフット・ボールやドッジ・ボールやっても、
  背中に目があるみたいに上手いけど、偶に信じられないミスをするよな?
  正面からのパスを受け損ねたり、直ぐ傍を通られても見落としたり。
  俺は的限り、うっかりだと思っていたんだが……」

シューロゥとローダンドが意地悪く笑う。

 「あーあ、教えちまった」

 「今頃気付いたのかよ」

慌てたのは、ヒュージだ。

 「えっ」

ヒュージは多くのゲームで、シューロゥやローダンドが敵に回ると、必ず不利になった。
どちらか片方が味方に付いているなら良いが、2人共敵になると、完全に翻弄された。
それは2人共、魔導師を志しているので、知識を持っている上に、知恵が働くから、
仕方が無い事なのだと、ヒュージは思っていた。


※:その儘の意味で、ボールを2個使うルール。

503:創る名無しに見る名無し
14/06/23 20:29:15.13 42YIbBzn.net
シューロゥとローダンドは互いの顔を見合うと、種明かしをする。

 「間抜けなヒュージ君に、教えて上げなさい、ローダンド先生」

 「ああ。
  ヒュージ、君は無意識に、魔法資質で物を捉える様になっている。
  周囲が魔法を使う状況では、特に集中するみたいだな」

ヒュージは大人しく、ローダンドの講釈を聞いた。

 「だから、魔法を使って気配を消しても、直ぐに感付く。
  ボールを見え難くしても関係無いし、無音のシュートだって止められる。
  でも、逆に態と魔力を全く使わないと、簡単に見落としてしまうんだな」

過去、2人に散々やられた場面を思い返し、ヒュージは愕然とする。

 「マジかよ……」

 「普通は全く魔力を使わないって事は無い。
  魔法を使った方が早く走れるし、強いシュートが打てる。
  だから皆、無意識に、自然な動作で魔法を使える様に、訓練する。
  ―そこが盲点だ」

ローダンドの解説に、ヘレックスは唸った。

 「成る程、態とでもなかったんだなー。
  お前の事だから、笑いを取りに行ってるかもと、そう言う可能性も考えてたんだが……」

 「解ったかな、ヒュージ君?
  今後、同じ手は通用しなくなるだろうけど」

シューロゥに得意気な笑みを向けられ、ヒュージは剥れる。

504:創る名無しに見る名無し
14/06/23 20:33:28.49 42YIbBzn.net
ローダンドはシューロゥの発言に、言い添えた。

 「そう簡単には、直らないと思う。
  完全に癖になってるからな。
  相当意識して矯正しないと」

 「―って事は、未だ未だ通用するのか?」

シューロゥに訊かれ、ローダンドが頷く前に、ヒュージが割り込む。

 「嘗めんなよ!
  絶対に、やり返してやるからな!」

それは楽しみだと、3人は不敵に笑う。
何だ彼んだで、仲の良い問題児四人組だ。
一拍置いて、ヒュージはシューロゥに尋ねた。

 「……もしかして、お前は鬼教官に気付いてたのか?」

 「いいや。
  休憩時間に、そこまで気を回すかよ。
  だって『休憩』時間だぜ?
  なあ、ローダンド」

 「酷い言い掛かりだ。
  巻き込まれて、一緒に怒られるのが判っているのに。
  黙ってたって、何の得にもならないだろう」

2人の態度は、何時も冗談めいていて、嘘か真か判然としない。
そう言う奴だと知って、ヒュージも付き合っている。

505:創る名無しに見る名無し
14/06/24 19:12:33.28 7mpQnXzn.net
魔法学校中級課程は、未だ未だ「教育」の段階だ。
単に呪文を覚えるだけでなく、魔法の使い方、魔法に対する姿勢、共通魔法使いとしての心得を、
一から叩き込まれる。
初級課程が「基礎的な呪文」と、「基礎的な詠唱、描文技術」の修得に徹底しているのに対し、
中級課程では道徳観や倫理観の涵養にも、時間と労力を割く。
魔法学校としても、魔導師会の名誉に懸けて、人間的、人格的に未熟な者を、
社会に出す訳には行かないのだ。
流石に、上級課程ともなれば、口煩い説教は減るが、その代わりに容赦無く罰則が与えられる。
そして、高等魔法技術を学ぶと同時に、いよいよ『共通魔導師<コモンスペル・ミッショナリー>』としての、
自覚を持つ様に促される。

506:創る名無しに見る名無し
14/06/24 19:13:27.62 7mpQnXzn.net
そろそろ容量一杯なので設定の整理


『魔法学校<スペラー・スクール>』


正式には『共通魔導師養成学校<コモン・スペル・ミッショナリー・トレーニング・スクール>』。
他の呼称は、コモン・スペル・リタレット・スクール、コモン・スペル・トレーニング・スクール、
コモン・スペル・スクール、スペル・トレーニング・スクール、ミッショナリー・トレーニング・スクール、
コモン・スペル・ミッショナリー・スクール、コモン・スペラー・スクール。
和訳すれば、共通魔法訓練学校、共通魔法学校、魔法訓練学校、魔導師養成学校、
共通魔導師学校と言った所。
何れも意味は変わらない。
最も単純な名前が、スペラー・スクール(又はスペル・スクール)。
本来は、魔導師を育成する為の機関。
共通魔法を広める役割は、公学校に譲られている。
唯一大陸では、『共通魔法<コモン・スペル>』が最も広く使われている為、魔法と言えば『呪文<スペル>』。
広く魔法を意味する「magic」は、原始的な意味合いを含み、魔術、奇術と訳される事が多い。
手品も「magic」。
「magic」には、よく分からない物、神秘的な物と言う意味もある。
故に、「旧い魔法使い達」は「old magicians」。
概念的には、「magic」が発展して「spell」がある。
それは錬金術と化学の関係に近い。

507:創る名無しに見る名無し
14/06/24 19:16:09.84 7mpQnXzn.net
温度単位


唯一大陸では主に2つの温度単位が用いられる。
1つは温冷温度(H度)。
自然界に於いて、幾許かの不純物を含んだ水が凍結する温度(約−10℃)を、
0度の基準とし、人の体温より少し高い温度(約40)を100度として計算する。

換算式
t(℃)≒H度÷2−10

人の標準体温はH95度前後(地域差有り)、標準気圧下での沸点はH220度となる。
単位のHは「half(半端、程々)」の意。
病気や負傷で発熱時に、体温がH100度以上になるか、逆に冷気に晒される等して、
H90度以下になると生命の危険ありと判断される。
表現上は華氏温度に近い。
主に、日常生活の寒暑の目安として使われる。
H60度を境に「温かい」と「涼しい」が分けられ、夏季に日中の気温がH100度を超えると酷暑、
冬季に日中の気温がH0度を下回ると酷寒とされる。
もう1つは限界温度(R度)。
理論上の最低温度(絶対零度)を0度の基準とし、H度に合わせて計算。
H0度はR530度、人の体温はR625度、沸点はR750度となる。
こちらは専門分野での使用が主で、日常では殆ど使われない。

換算式
T(K)≒R度÷2

大体そんな感じ。
今後、活用される予定は無い。

508:創る名無しに見る名無し
14/06/24 19:17:19.67 7mpQnXzn.net
「生徒」と「学生」


魔法学校に通う者を、本編中では時に「生徒」、時に「学生」と言っている。
言い訳すると、使い分けてなかったんじゃなくて、どっちが相応しいかなとか考えながら、
後で整理すれば良いやと思いつつ、今になって、こんな事に……。
はい、御免なさい。
アメリカ式に中級課程と上級課程で「学生」とするか、日英式に上級課程のみを「学生」とするか、
余り深刻にならない程度に悩んだ結果、馴染み易い様に、日英式に上級課程のみ「学生」で、
それ以下は「生徒」にしとこうと思います。
いや、でも書き直しが面倒臭いので、地方毎に違うって言う風にする手も……。
この件は保留。

509:創る名無しに見る名無し
14/06/24 19:19:11.08 7mpQnXzn.net
「舞踊魔法使い」「魅了の魔法使い」


バーティフューラー・トロウィヤウィッチ・カローディアは、『色欲の踊り子<ラスト・ダンサー>』と言う、
舞踊魔法使い。
舞踊魔法使いだけど、彼女の魅了の能力と舞踊は関係無い。
トロウィヤウィッチが持つのは、魅了と支配の能力。
ダンスで人を魅了する事はあっても、それは舞踊の効果と言うより、彼女自身の能力。
過去に舞踊魔法使いの同類と見做され、そう呼ばれていたと言うだけ。
実際は他の舞踊魔法使いとは、全く異なる能力。
本来の舞踊魔法からすれば、異端と言う事になるが、旧暦の事なので整理されていない。
一応、バーティフューラーの一族は自他共に、舞踊魔法の使い手と認識しているし、されている。
これは元からの設定。

510:創る名無しに見る名無し
14/06/24 19:22:41.78 7mpQnXzn.net
「アルヒャー・アントロポス」


嘗て、母なる星に暮らしていた、人類の事。
古代人、旧人類。
魔法暦に生きる、現行の人類はシーヒャントロポス。
アルヒャントロポスとアルヒャー・アントロポスが別って、混同し易いし、面倒だよなと思ったけど、
直そうか直すまいか、考え中。
更に、宇宙は一度終わっていて、最初の人類が別に居るんだから、ややこしい。
この世界の人類は、猿から進化していない。
最初に神が居て、星が出来て、人間が生まれて、それから他の生き物が出来た。
魔法暦では、遺伝子的に近縁種と言うだけで、人と猿は共通の祖先を持っていると、考えられている。
この世界の哺乳類は、父の手により、母なる星から生まれた、人類の弟分的な存在なので、
遺伝子的に似通っているのは当然。
……ナンセンスな設定だ。

511:創る名無しに見る名無し
14/06/25 19:55:03.64 BZk5w+5R.net
「付与魔法使い」「魔法剣士」


ゲントレン・スヴェーダーは『付与魔法使い<エンチャンター>』の『魔法剣士<ミスティック・ソーディアン>』。
付与魔法によって、様々な状態や属性を剣に付加する。
付与魔法で、鈍を鋭利にしたり、逆に殺傷力を奪ったり、風圧に熱、冷気を乗せたりも出来る。
これは剣に限らない。
無揮剣、無刃剣、無身剣は、何れも付与魔法。
無刃無身剣は、「与えずして与える」付与魔法の究極。
剣士をswordsmanじゃなくてswordianにした理由は、「断つ」術を身に付けて、
剣と一体化した人間だから?
それともmanだと男のイメージが強くなるから?
数年前の自分は何を考えていたのか?

512:創る名無しに見る名無し
14/06/25 19:56:44.96 BZk5w+5R.net
精霊言語


精霊魔法や共通魔法を発動させる時に詠唱する言語。
元は精霊魔法の物だったが、共通魔法が魔法を解明する際に、借用した。
本来は漢字の様に図形で表意し、表音文字を持たない架空の言語。
過去形が無い。
便宜的に、子音をアルファベット、母音を数字で表し、その組み合わせで音を表す。
それは水の流れる音、風の吹く音、火の燃える音と言われ、人語に表し難い。
実は、作中で何度も精霊言語の誤字脱字や、文法ミスをやらかしている。
でも、意味が判るのは多分自分だけなので、大して問題は無いと思いつつ、
毎回保存したログを直している。

513:創る名無しに見る名無し
14/06/25 20:04:59.10 BZk5w+5R.net
唯一大陸のスポーツ


唯一大陸にも、陸上競技や球技等のスポーツがある。
魔法は主に、身体能力を上げる目的で使われる。
直接的な妨害や、道具を操作するのは御法度。
基本的に道具を余り使わない競技が流行する。
例外は、クロスマント(小球を使ったバドミントンの様な競技でスマッシュが無い)。
水泳はカターナで盛んだが、グラマーやエグゼラには金槌が多い。
一般的には、魔法を使わなくても出来る遊び、又は健康維持の運動と言う認識。
十分社会に浸透しているが、学校の部活動や、社会人クラブがある程度で、
プロフェッショナル・リーグが出来る程ではない。
スポーツは魔法を使わなくても出来るが、魔法を使えた方が有利になる。

例として、フット・ボールで魔法を使う際のルールを以下に記す。
・魔法で脚力を強化してシュートを打つのはセーフ。
・同様に、身体能力を強化してセービングするのもセーフ。
・ボールに触れず、テレキネシスでシュートを打つのはアウト。
・シュートしたボールを操るのもアウト。
・同様に、テレキネシスやバリアー、その他の体を使わないセービングもアウト。
・ボールを見えなくしたり、音を消したりするのはセーフ。
・地面に細工をしたり、追い風や逆風を吹かしたりと、フィールドを弄るのはアウト。
・基本的に敵に魔法を掛けるのは全部アウト。
・味方に掛ける分にはセーフ。
・但し、本人の意に反して操ったり、危険なプレーを強要するのはアウト。
こうしたルールは、魔法が使えるからと言って、極端に有利にならない配慮がされている。

514:創る名無しに見る名無し
14/06/25 20:18:57.38 BZk5w+5R.net
スポーツの発生は古く、旧暦から続く物だが、単純なレースと違って、現代では球技が余り、
盛んに行われていない。
人気が無かった訳ではないが、フット・ボールやドッジ・ボールには、攻撃側の一方的な有利と言う、
暗黒期が開花期の相当長期間に亘って存在した。
魔法で身体能力を最大限に高め、全力で狙い済ましたシュートを打つ。
それだけで誰も止められなくなり、技術も作戦も無くなってしまったのだ。
超高速で飛んで来るボールに、守り手は超高速で反応した後、シュートを止めなくてはならない。
魔法で強化されたシュートは正確無比な上に、殺人的な威力だ。
攻撃側は『安全な距離<ハーフウェイ>』や上空から、自由なタイミングで仕掛けられるのに対し、
守備側は常に後手に回る。
僅かでも射線が通れば終わりで、数人程度なら吹き飛ばされる。
シュートを止める為の体を重くする魔法と、高速で移動する魔法の相性が最悪だった事が、
より問題を深刻にした。
初めの内は、一撃で守備網を突き破る、豪快な必殺シュートが持て囃された物の、
これはフット・ボールで例えれば、キーパーの居ないPKのみで試合が進む様な物。
テニスやバレーで言えば、サーブのみの合戦だ。
対抗する技術や作戦、ルールが確立するまで、競技的には死に体だった。
協会も手を拱いていた訳ではないが、度重なるルール変更は、競技人口に直接影響した上、
観客の競技に対する理解をも複雑にした。
この間に、娯楽魔法競技が発展してしまったのも、大きなマイナス要因だった。
それを現在まで引き摺り、スポーツのプロフェッショナルは誕生していない。
幾つかのルールの改変により、フット・ボールは敵のボールを弾くだけなら、空中の物に限って、
手で触れても良くなった。
又、ドッジ・ボールでは2回以上のパスが禁止された。
クロスマントのスマッシュ禁止も同様の理由。
一方、全力で一発を打つと言う流れは、娯楽魔法競技のマックス・パワーへと引き継がれる。

515:創る名無しに見る名無し
14/06/25 20:20:47.72 BZk5w+5R.net
こんな物かな?
そろそろ次スレで。

516:創る名無しに見る名無し
14/06/25 20:28:38.05 LSsQjuZB.net
乙です


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