だから俺達に新作ガンダムを作らせろよ7
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1:創る名無しに見る名無し
11/11/28 23:40:31.07 ckmi6Mb6.net
・これまでのガンダムシリーズの二次創作でも、
オリジナルのガンダムを創っても、ガンダムなら何でもござれ
・短編、長編、絵、あなたの投下をお持ちしてます
・こんな設定考えたんだけどどうよ?って声をかけると
多分誰かが反応します。あとはその設定でかいて投下するだけ!
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2:創る名無しに見る名無し
11/11/28 23:42:13.87 ckmi6Mb6.net
前のスレが容量オーバーになってたので建てました。
まあ、ほぼおれのせい……だな(汗
さてさて。
では、早速行きましょうか。
3:GPB
11/11/28 23:43:04.68 ckmi6Mb6.net
ガンプラビルダーズVS・A(ヴァーサス・アサルト) 外伝・月光の歌姫01
真っ白い大地の上空を、二機の飛行物体が駆け抜ける。
派手に飛び回り、時に二機が上空で交叉して、まるで星空に絵でも描く様な動きを見せた。
その二機は、現用の航空機などではない。
翼の無い、その推進力で半ば強引に飛翔する力を得ている、白いパール塗装の歪な機械。
可変MS・リゼル。
「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」に登場する機体だ。
地球連邦軍のリガズィの後継機で、メタスの可変機構を取り入れて完全変形を実現した機体である。
なにしろリガズィは、フライトユニットは別パーツだったのだから。
ゴツゴツした箱の様な鋼の塊に、申し訳程度の機首と翼。
航空力学に照らし合わせたならとても、これが飛ぶとは思えない。
それが、ただ飛ぶばかりか曲技飛行まで見せるのは、ここが現実の空間では無いからだ。
ついでに言えば、地球上でも無い。
そして。
『……Yeah――っ!!』
甲高いシャウトと共に、どこかから飛んで来た空間を乱舞する小さな機械から、次々と強力な光が放たれた。
円錐形に似たフォルムを持ち、遠隔操作だからこその機動性を見せる。
それはファンネル。
色とりどりのビームを放射し、大地を無茶苦茶に切り刻みながら飛び回る。
視界を遮る程の煙が立ち昇るが、この場においてはこれは、スモーク自体を人工的に発生させているのだろう。
何故ならばここには、砂を舞わせる風を起こす為に必要な、大気が存在しない。
ここは、月面だ。
バーチャルな空間に形作られた、3DCGで構成された地球の衛星の地表部分。
そして、ビームのカラフルな光に染まるスモークが晴れた場所に立っていたのは―
一機の白いMS。
身長よりも広い横幅を持った、だが華麗とも思えるフォルムを有する、シリーズ屈指の美しさを誇る機体。
「機動戦士Zガンダム」に登場した、ネオジオン軍のニュータイプ専用MS・キュベレイ。
パール塗装を施されたボディにカラービームの照り返しを反射させ、右手を手元に、左手は高々と天を指差し―
このMSの出自を考えると、およそ戦闘時には考えられない姿である。
4:GPB
11/11/28 23:44:39.46 ckmi6Mb6.net
『みんな―っ! 元気してるぅ―っ!?』
手元に寄せた右手が握るのは、ビームガン/サーベルを改造したマイクだ。
ヘッド部分がクラシカルな形に見えるのは、ワザと大きく見せるためか。
それとも、それがかわいい形だと使い手が思っているからなのか。
『それじゃあ―いっくよぉ―っ!』
カメラがある位置がわかるのか、完全に真っ直ぐ目線を向け、ビシッと長い左人差し指を差し向ける。
『“ハートにっ……シューティング☆スタ――”っ!!』
ダンっ! ダダダンっ!!
ドラムが告げる曲の始まりと共に、上空を舞うリゼルがフォーメーションを変えて高々と上昇した。
続くギターのソロに、ファンネルの動きが激しくなる。
そして、それらの中心であるキュベレイも、その場でクルクルと舞い踊った。
まるで音のうねりに乗って、全てが連動しているかの様だ。
そして、ドラムが刻む腹を蹴り付ける様なリズムと共に、あの特徴的な大きな両肩が振動している。
中にスピーカーが仕込まれているのだ。
♪ 星屑が このハートに降り注ぎ
胸に キラキラ 輝くの
ちょっと あなた 気付いてる?
この輝きは 全部 あなたのものよ
You are my only one !!
「……えーっと……」
大音量で鳴り響くポップロック調のアイドルソングに、少し引き気味なウエハラ・ユイトである。
模型工作同好会結成以来、普段はその隠れた活動の場をホビーショップ・ノアに限定していたが、
今日は久し振りに違う所に行ってみようと、
親友にして相棒のホシナ・ケンヤと共に駅前のゲーセンに足を踏み入れた途端に、この歓迎振りだ。
もちろん、その場で歌っている訳ではない。
これは、ネット配信されているPV(プロモーションビデオ)の映像だ。
しかし、いつの間に。
ガンプラバトルのフィールドで、MSに乗って歌を歌うアイドルなんかが出てきたのか。
「おおー! こりゃガンプラバトル界の歌姫、シノザワ・マイナじゃねえかよ!」
興奮気味にそう言うところを見ると、どうやらケンヤは彼女のファンらしいが。
「これって……良くあるバーチャルアイドル……とかって奴?」
CGのMSがマイクを持って歌っているなんて、そうとしか思えない。
「へえっ!? ユイお前、シノザワ・マイナ知らねえのかよ?」
信じられない、と言う顔で親友は心底驚いている。
5:GPB
11/11/28 23:46:06.79 ckmi6Mb6.net
すると丁度、リズムに乗って月面で踊るキュベレイの姿が、同じ色の衣装に身を包んだ女の子の姿にパッと変わった。
ワイプで次々と、実写映像とMSのCGが入れ替わる。
振り付けが完全にシンクロしていた。
月面に宇宙服無しで立つ生身の女の子は、見れば一瞬ギョッとするが、考えればバーチャル映像なのだから何も不思議は無い。
背中まで伸びる栗色の髪。
両側で結わえた長いツインテール。
これがどうやら、シノザワ・マイナ本人らしい。
キュベレイが手にするのと同じデザインのマイクを持って、フワフワのスカートを揺らしながら一定の範囲内で踊り、歌っていた。
「このキュベレイは、マイナの愛機さ。これは音楽ライブ用のスペシャルチューニングモデルらしいけどな」
上空を駆けるリゼルも間奏のタイミングで人型に転じ、キュベレイの両脇に降り立って一緒に踊る。
見た目は変わらず、GMっぽいMSのままだ。
どうやらこの姿でバックダンサーと言う事らしい。
こちらはパイロットの素顔を出さない代わりに、機体各所に刻まれたスリットから効果用のレーザーを煌かせている。
「……ん???」
ジッとモニターを見上げていたユイトが、怪訝そうな表情を浮かべた。
「なんだユイ? どした???」
その変化に気付いたケンヤが、訊ねて来るが―
「―いや」
ユイトは、すぐにその表情を戻した。
「なんだか、どこかで見た事がある気がする子だと思ったんだけど……思い違いだよ、きっと!」
♪ あなたの ハートに シューティーング☆スタ――っ!!
モニターで顔がアップになるそのアイドルが、ウインクしてCGの星を目蓋から散らしてみせるが、
その数秒前には、もうユイトとケンヤはそっちを見ていない。
「それより、久し振りにこっちに来たんだ。早くエントリーしちゃおうよ」
「そうだな。マイたんはいつでも見れるしな〜」
「そんな呼び方なんだ? でもそういうの、きっとユウリにキモがられるよ」
「あいつ、アイドルとか興味ないみたいだしなあ」
「……いや、そういう事じゃなくて……」
なんだかんだ言いながら、ケンヤもアイドルよりバトルの方が大事なのだろう。
まったくモニターに頓着する事は無い。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ああっ! もう全っ然ダメっ!! てんでなってないわっ!!」
今しがた新作のPV撮影のリハーサルで撮影された画像を一通り見終え、いきなり少女は喚く。
件の歌姫、シノザワ・マイナその人であった。
現在配信されているPVで見せる表情が、まるでウソだとでも言う様に、怒りを顔の全面に表している。
6:GPB
11/11/28 23:47:19.10 ckmi6Mb6.net
「あんた達、何の為にわたしのバック固めてんのっ!? しっかりやんないと即刻クビよクビっ!!」
明らかに年上の女性二人に、上から目線で怒鳴り散らした。
二人はガンプラバトルプレイヤー用のパイロットスーツを着ている。
ヘルメットは被ってないが、代わりにマイク付きヘッドセットを装着していた。
あの映像のバックで踊る、二機のリゼルのパイロットだ。
こちらは素顔が出たりしないため、衣装の必要は無いのだろう。
それでも、一応スーツのカラーリングは機体に合わせた特注の物だったが。
そして見えないその中身にも、実は特殊な仕掛けが施してある。
「今日はもうやめやめっ! 帰るから車出してっ!!」
「でもマイナちゃ〜ん! これはこれで、決して出来は悪くないと思うんだけどなあ」
中年のディレクターらしき男が、両手を揉みながら恐る恐るやってくる。
「アレのっ? ドコがっ!? あんまりふざけてるとアンタもクビよっ!?」
ディレクターよりも、この少女の方が立場は上らしい。
ここにいるスタッフは、ガンプラバトルフィールド上でのPVを撮影するための、事務所お抱えスタッフだ。
だから実質、マイナ自身が主導権を握っている。
その場がシーンとしてしまったのが更に気持ちを逆撫でしてしまったか、
「―ふんっ!!」
大袈裟に鼻を鳴らして、少女はスタジオから出て行ってしまった。
今日の撮影は本当に中止らしい。
衣装も着替える事無く地下で黒い大型車に乗り込んだマイナは、後席に備えられたモニターに画像を表示させる。
モニターが映し出したのは―
今年の夏に開催された、ガンプラバトル全国大会本選の記録画像だ。
「……まったく……」
ブツブツと文句を言いながら、その目はモニターから離さない。
瞬きも許されないと思い込んでるかの様に、端から見れば怖いと思われる程の鋭い視線を注ぐ。
「一体何がそんなに不満なんだマイナ?」
車を走らせながら運転席から話掛けて来たのは、中年の男だ。
「パパ……いえ社長。もうあの連中じゃダメよ!」
イライラしながらも、怒鳴る相手は選んでいるのか、訴える様に言葉を吐いた。
その間も、画面はしっかり見続けながら。
「ネットでも有名なガンプラダンスユニットだって言うから、一度は使ってみたけど……アレじゃあいない方がマシ」
「そうかい? 私にはその理由がわからないがな」
娘―マイナに言われて彼女達を探し出してきたのは、父であり事務所社長でもある彼だ。
良し悪しもわからないまま採用した為、今のこの事態は想定していない。
「やっぱりね、MSは戦闘機動じゃないと生き生きと見えないのよ。あんな魅せるためだけの曲芸じゃあ、絶対リスナーには伝わんない!」
ガンプラバトルをやる者は、全員がバトル目的でエントリーすると思われがちだが、
実際には、実に様々な目的でエントリーする者達がいる。
チームでエントリーしてきて、延々二人で漫才をやったり、コントを繰り広げる者。
機体のギミックを使って、街角の大道芸人よろしく、いろんな芸を見せる者。
なぜか、戦闘をよそに宇宙の果てを目指してどこまでも真っ直ぐに飛んで行く者。
そして、あの彼女達の様に、MSの機動性を生かして曲技飛行を極めようとする者
ある意味、マイナもMSで歌を歌っている以上彼女達とは近しい仲間である筈だが―
マイナは、自分では違うと思っている。
なぜなら、彼女自身良くわかっている。
歌を歌うという行為に、本来MSという物は必須ではない。
今自分がやっているのは、端から見れば単なる演出だ。
だが。
これを本気でやって行けば、誰も文句は言わなくなるだろう。
7:GPB
11/11/28 23:48:31.30 ckmi6Mb6.net
シノザワ・マイナの歌には、MSが無いと物足りない。
世間にそこまで言わせて初めて、彼女は目標を達成できる事になる。
一時的に、PVのためだけにやっていたのでは、他のタレントなんかとまるっきり一緒だ。
人気アイドルグループ・SGOC(スゴック)のリーダー、コウジ・マツモトなどはガンプラ好きを公言して憚らないが―
自分は、ただ好きだけで終わらせるつもりは無い。
そして、このままカワイイだけのアイドルで終わるつもりも、無い。
ガンプラバトルのフィールドで、自分だけが歌う事を許される。
そして、ライブもフィールド上に、客を集めて開催する。
そうなれば、世界でも初のバーチャルフィールドでの音楽ライブ実現と言う事になるだろう。
そこまで突き詰めるつもりで、やる。
認められるのはMSだけでも、自分だけでもダメ。
そうしたいなら、自分自身の歌にももっと磨きを掛けないといけないが。
そこまでやって、やっと自分はオンリーワンになれる。
その為には。
あんなぬるいダンスなど、無い方がマシだとさえ思う。
本気の高機動ダンスをバックに、自分が渾身の歌を歌う。
それが、今の自分の欲する全てだ。
だから、ただ好きだけで大会画像を眺めたりはしない。
全ては、次へと進む自分のため。
妥協はしない。
そんな彼女の目に止まったのは―
一機のMS。
本来の機体を若干形状変更したのに加えて、さらにサブウイングまである。
ハッキリと機動性向上を目指して施されたカスタムなのは明らかだ。
重力下での高機動実現には、多少パーツが邪魔でも空力を味方に付けなければいけないという事を良く理解している。
バーニアで強引に軌道を捻じ曲げるなど、本来は邪道だ。
そのためか。
本来ベースとなったウイングゼロカスタムの設定には無い、バードモードへの可変機能が追加されている。
この変形自体はそう難しい物ではないが、
わざわざアーリータイプではなく、TV版と同じパターンの変形をさせている辺りに、このパイロットの機体への強いこだわりを感じさせた。
そして、それを操る腕前も実に機体特性に適っている。
変形と言う行為ですら、その速度をコントロールする為に活用していると思えた。
本来、機動性自体はそう高くないウイングガンダムだが、それを理解した上で、テクニックでその欠点を埋めている。
そして。
強力すぎる武装は、時に自分の首を絞める事になるという事も良くわかっているのだろう。
元々ある武装に、見た目でわかる出力調整を加え、さらに使い勝手の良い武装を別に追加している。
そして、成功例をあまり耳にしない、GNドライヴの搭載と起動。
本体から武装まで、隅々まで血の通った、見事な機体だと思えた。
ここまでやれば、GNドライヴも動いて不思議ではない気がして来る。
このパイロットは、とことん本気だ。
決して、単なる遊びでバトルに臨んではいない。
もちろん、楽しいからやっているのは間違いないが、それも本気だからこそ感じる楽しさだろう。
歌と戦闘。
一見違う事ではあるが、ガンプラを介して見ると、こんなにも通じるものなのか。
8:GPB
11/11/28 23:49:29.85 ckmi6Mb6.net
自分だってMSを駆ってあのフィールドに立つ以上は、戦闘の事も良く理解しているつもりである。
だからこそ、勝利の喜びも、愛機を失った悲しみも、良く理解できる。
マイナは、目の前に光を見た気がした。
後席に持ち込んだバッグの中から、愛用のタブレットPCを取り出す。
ただ笑顔を強要されて歌わされているアイドルならともかく、
自分の様に未来へのビジョンを持つ者にとって、情報は必要不可欠かつ貴重だ。
ガンプラバトル全国大会の関連サイトにアクセスして、今のウイングガンダムの情報を検索する。
目当ての機体は、すぐに見つかった。
と言うより、他にウイングでエントリーしているプレイヤーがいなかったのだ。
当然の様に、本名および顔写真は無く、あるのはエントリー時の登録名と、機体のスキャンデータ画像のみ。
「エントリーはW地区……エントリーネーム……???」
一瞬、読み方に迷う名前だ。
二つのアルファベット二文字の間にハイフン。
これは果たして、単なるイニシャルなのか、それともネタか?
「ゆーわい?……うーい?……ゆーい……」
そこまで口にして、ふと画面を操作する指が止まった。
眉根を寄せて考え込む。
「マイナ、車の中でパソコンなんかいじってると目に良くない」
父が声を掛けるが、聞いてはいない。
「ユーイ……ユイ!?」
ふと口を突いた言葉で、何かにハッと気付いた。
その顔は、何かの決意を秘めていた。
「―停めてっ!」
反射的に叫んでいた。
「うわわっ!?」
運転中に不意を突かれた父は、突然の声に驚きながら、急ブレーキで減速を掛けて路肩に車を寄せる。
「突然危ないじゃないか。一体どうした!?」
怒りと呆れを半々にした様な表情で、後席に顔を向ける。
その鼻先に、PCの画面を突き付けた。
「このウイングガンダムのパイロット、探すわ! すぐに!!」
前回の様に、“探してくれ”とは言わない。
「まさか、お前自ら動くのか? 撮影はどうする!?」
「そんなの、今のまんまじゃ何回リハやったって一緒よ!」
躊躇無くそう答える。
こうなると、もう親の言う事など聞きはしない。
「W地区……多分、場所は変わって無いと思う。一旦マンションに帰って、支度を整えたらすぐに出るわ!」
「ちょっと待て! じゃあ明日からのスケジュールはどうするんだ!?」
一応、一般的にはまだそれほどメジャーではないとは言え、ここ数日スケジュールは埋まっている。
今が一番大事な時期。
一つでも穴を開けたら、今後それがどう影響するか。
だが。
「このまま普通にスケジュールをこなしていったって、ただのアイドル。十年後には元アイドルって呼ばれるだけで終わるのよ!!」
シノザワ・マイナは、自分自身の才能を信じている訳ではない。
常に危機感を感じている。
だが、だからこそ。
今このチャンスを、逃す訳には行かないと思う。
たとえ一般的なメディアから干される事になったって、ガンプラバトルのフィールドがあれば、自分は続けて行ける。
続けていれば、また実力で元のポジション―いや、それ以上のところまで上がる事も。
信じているのは、その部分だけだ。
9:GPB
11/11/28 23:50:44.33 ckmi6Mb6.net
「パパっ! 今しかないの! だから……お願いっ!!」
ここぞと言う時に、親として頼って来る。
しかも、大切なカワイイ娘が。
これに逆らえる男親がいるだろうか。
「わかった……ただし、今からすぐはダメだ」
逆らえないながらも、締める所はしっかり締めて、父親は言った。
「スケジュールの事もあるが……学校はキャンセルできないだろう?」
まだ中学二年生。
学校は、一応マジメに通っている。
「とりあえず、週末の二日だ。学校にはちゃんと行け。スケジュールは……なんとかする」
「金曜日の放課後から! 一刻も早く動きたいの!!」
「……わかった」
なんとか妥協はさせたと思える娘の言葉に、父親兼事務所社長は渋々頷いた。
今後どのくらい時間が掛かるかわからないが、ともかく足掛かりは必要だ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
放課後の技術実習室で、四人の会員達はそれぞれの作業準備に没頭している。
先日、例の大作を披露した文化祭は無事に終了。
製作を指揮したユイトからすれば、まだまだ問題のある完成品だったが、そこは初めてのジオラマ。
物見高い一般客や他の生徒達からは、非常に好評を博した。
ジオラマとなると、さすがにケンヤでも経験は不足しているし、ユイト自身もあそこまで大きい物は初めてだ。
だから、ユイトは作って良かったと思っている。
文化祭終了後、保管場所の問題もあってこの作品は廃棄の予定だったが、
学校がそれを止めた。
出来がなかなか良いので、保存の方向で考えたいと言う。
従って今は、この実習室の片隅で、繋いで大きくした新聞紙を掛けられている。
「これは勝利よ! 自力で勝ち取った、我々の完全勝利っ!!」
時々作業を手伝ってくれた、顧問のクルカワ・アオイは、学校側のこの対応に興奮していた。
この作品一つで、模型工作同好会は学校側からも認められた、と言う事にはなるが……
そうなると、次の大作はもっと良い物を求められる事になるし、
それ以上に、入会希望者が来る可能性が高くなるのも、彼ら自身としては問題だ。
事実、文化祭が終わってから、入会テストバトルはすでに二回ほどやった。
最近は覆面プレイヤーとして、アオイが一人で多人数を相手に叩き伏せる事が多くなっていたが。
相手が子供だろうが素人だろうが、敵として戦う以上一切手は抜かないのがこの猛者のポリシーだ。
という訳で。
あれからしばらくは少し忙しかったが、このところのんびりとした日々が続いている。
学校の勉強以外は。
彼らは今、会の活動として個別の作品を作っている。
顧問からの課題は出ていないため、いっそガンプラ以外で何かやろうとみんなで相談して―
ユイトは、何やら牛乳パックを大量に集めてきて、それを紙粘土状に加工してから何か作るつもりだ。
ケンヤは、百円ショップで買って来た割り箸を削って、なにやらチマチマと作っている。
ミスノは、ジオラマ作りでミニチュアの魅力に目覚めたか、ドールハウスを作ろうとしている。
10:GPB
11/11/28 23:52:04.89 ckmi6Mb6.net
そんな中、ユウリは……
「うーん……これなんかおいしそうに見えるよねー」
見ているのは、なぜか料理のレシピ本だ。
どうやら、リアルな食品サンプルを作ろうとしているらしい。
最近は携帯ストラップなどもあったりして、そういうリアルなミニチュアが人気だが―
「ユウリ。自分の今の実力は、ちゃんと見極めて選びなよ」
ユイトは、どこか心配そうに言う。
不当に高望みするのは、素人にありがちな傾向だ。
食品サンプルを作る事自体は誰も反対しないが、あまりにレベルの高い所を目指して挫折すると、一番辛いのは本人なのだから。
それよりなにより。
今のところ、ユウリはレシピ本を見ているだけで、肝心のサンプルの作り方はチェックしていない。
そこが一番問題だったりする。
「ユイ、お前何作るつもりなんだ?」
まだ素材準備の段階なので、全貌が見えない。
「うん、とりあえず日本の城でも。安土城なんか良いね!」
牛乳パック粘土だと、市販されている紙粘土よりも軽く出来る為、少し大きめの作品でも作る事が可能だろう。
「そんなの、キット売ってるじゃん」
「いや、あれは安いと小さいし、大きいのは高いから。それに出来るだけ、内部も作ってみたいからさ」
こだわるポイントは、個人でそれぞれ違う。
そういう意味では、ミスノのこだわりはユイトに近い様だ。
悩むのにも飽きたのか、ユウリは隣を見やった。
「ミスノは……よくそれだけチマチマと……」
なにしろ、木工工具の他に裁縫道具まで用意して気合が入っている。
裁縫の技術まで必要なドールハウスは、事実上女子の独擅場だ。
「そういうの、ユイも好きそうだよなー」
何気に言うケンヤ。
その言葉に、
「ホントっ? ユイト君こういうの、好きっ!?」
何故か過剰に反応するミスノ。
「うん。内部まで精巧に作られたドールハウスって、本当に見事だよね」
あまり深く考える様子も無くユイトは返すが、
「わっ……わたしがんばるっ! とことん作り込むっ!!」
いきなり、テンションがMAXにまで高まってしまった。
「なんかこういうの、悪くないよな」
ケンヤはしみじみと言った。
この会は、ガンプラバトルの為にアオイが強引に立ち上げた同好会だが、
逆にこの会が無ければ、ケンヤ自身ガンプラ以外の物を作ろうなどとは考えなかっただろう。
おかげで、ガンプラにもそれで培った技術がフィードバックされていくはずだ。
それはとても良い事だと思えたが―
ガラガラガラッ!
「はーい! 今日もやってるわねゴブリン達っ!!」
いきなり引き戸が開いて、顧問の声が響いた。
そしてあろう事か、
「何? 何みんなしてチマチマやってんの〜?」
ジロリと作業途中のみんなを見渡した。
物言いまで弟子と似ている師匠である。
「いや、最近あんたが課題出さないから、こっちで独自に個別のスキルアップを図ってんじゃねえか」
呆れた様にケンヤが返す。
「そんなのよりもっとガンプラ作んなさいよ。退屈なだけじゃない」
せっかく自主的に真面目な活動をしようとしているのに、ぶち壊しだ。
「あのなぁ。中学生にそんなホイホイキット買える財力ないだろが」
「別にモナカキットでも良いじゃない。あれなら安いわよ」
「あれは素組みだと、そのまんまバトルには使えないだろが。確かに塗装やら接着やらで、練習にはなるけどさ」
余程の腕があってカスタムにも手馴れて無いと、旧キットで今のガンプラバトルに挑むのは難しい。
11:GPB
11/11/28 23:53:47.61 ckmi6Mb6.net
「まあ何でも良いわ。それよりバトルに行きましょ!」
みんなの作業の進捗にはまったく気を使う事無く、アオイは急かす様に言った。
「せっかくの金曜日じゃない。明日明後日は休みなんだから、今日は多少ハメ外したって構やしないわ!!」
そう言って、返答も聞かずにさっさと部屋から出る。
「とにかく、先にノアに行ってるわ!」
ガラガラピシャッ!
開いた時同様、扉は乱暴に閉められた。
「……なんかイラついてんな、アオイ先生」
「一刻も早く、ストレス解消したいって感じ?」
「嫌な事があったみたいだね」
「クルカワ先生……とってもわかりやすい……」
四人はヒソヒソと噂しあう。
ともかく、ああ言われた以上無視は出来ない。
今日の作業はここまでにして、一旦帰宅する事にする。
そして二時間後。
「―遅いっ!!」
待ちきれずに店の前で、仁王立ちで腕組みするクルカワ・アオイが、四人を出迎えた。
「いや。制服のまんまで来れりゃ、もっと早いんだけどな」
「まったくもう! やっぱり問題は学校(あそこ)か!!」
どうやら、イライラの原因も職場である学校らしい。
即座に頭の中で結びつけたか、言葉を吐き捨てた。
「もっと学校内での立場を強化しないといけないわね!」
「……いや、それより店入ろうぜ」
ただでさえ、来店客を拒む様に店先に陣取っていたのだ。
これ以上ここにいたら、本当に営業妨害になってしまう。
「みんな、新作持って来たんでしょうね?」
「師匠、あたしそんなに早いペースで作れません!!」
「えーっと……わたしも同じく……」
「オレは新作だぜ! 結構自信作だ!!」
「でもザクだろ? ボクは一応完全新作……かな?」
「なによー! ウエハラ君はウイングカスタムでも良かったのに!!」
アオイはあのウイングの活躍を間近で見たかった様だが、
「あれはそうそう出せませんって! 大丈夫。期待は裏切らないと思います!!」
ユイトもその言葉に自信を窺わせた。
五人揃って入店する。
12:GPB
11/11/28 23:55:25.64 ckmi6Mb6.net
『バトルフィールドは“ソロモン周辺宙域”です』
戦後連邦では“コンペイ島”とも呼ばれた、旧ジオン軍の宇宙要塞だ。
周囲は宇宙空間が広がっているが―
実は度重なる戦闘で、周辺には大小様々なデブリが散らばっている。
それを利用して罠を張ったり、待ち伏せしたり、色々な作戦を考えられるのがこのフィールドの魅力だろう。
こうなると、意外なMSが活躍したりする。
『ふっふふーん! これは良いわ!!』
コクピットで声を上げるのはユウリだ。
そしてその愛機は―
全国大会本選でも使った、ガイアガンダムだ。
四足獣のMA形態で、デブリが集まる暗礁宙域を、隕石から隕石へ飛び移りながら高速で移動してゆく。
上下が無いので、足場さえあればどこでも走れるのが強みである。
それから遅れて、おっかなびっくりと言う感じで隕石の間を抜けて行くのは―
ミスノのティエレン・タオツーだ。
『ユウリちゃん……すっごい張り切ってるなあ……きゃっ!?』
結構隕石同士の間隔が狭かったりする為、こういう場に慣れていない彼女には、通り抜けるだけで一苦労だろう。
今も接触しそうになって、慌てて操作レバーを動かしたりしているのだから。
そんな彼女の元に、
『おいおい。やっぱこういうところはミスノには危ないぜ』
派手にバーニアを吹かして傍にやって来たのは、ケンヤだ。
だが。
『―ええっ!? ケンヤ君、それって???』
いつもと同じザクだと思っていたが、今日は少し違う。
確かに、ベースになっているのはザクというか、ハイザックだ。
ただし。
その全体を覆うと言うか、装着されている大型ユニットが、そのシルエットを全くの別物に変えていた。
『ハハン! びっくりしたか? ハイザックにはこういう装備もあるんだぜ!! 本体以外はフルスクラッチだけど』
モノアイを輝かせて得意そうなのは―
バイザック・TR−2“ビグウィグ”
「Zガンダム」のハイザックをコントロールユニット及びジェネレーターとして活用する為に丸ごと流用した、移動式ビームキャノン砲台の試作機だ。
MS右側に長大なメガ粒子砲のバレルを持ち、そのユニット自体が自力で移動できる機能を持っている。
コアになっているハイザック自体も、大幅に改造が加わっていて、なかなかの力作だ。
ノーマルのハイザックと違う部分もしっかり造り込まれている。
ケンヤが自信作と言うのも頷ける。
どこがどう違うのか、ミスノにはさっぱりわからないが。
13:GPB
11/11/28 23:56:37.81 ckmi6Mb6.net
ティターンズのテストMSと言う事で、今回は本体のカラーリングもティターンズカラー。
僅かに自己主張のつもりか、頭頂部に前から後ろへズバッと、白いラインが一本太く走っていた。
『あの課題の時、徹底的にいじれって言われたのが、こういう答えになったのさ』
『へぇ〜! じゃあこれ、あの時のハイザックを使ってるのね!!』
『あと他に出来るとすれば、“ダンディライアン”くらいかあ。いや、あっちはベースがマラサイか!?』
アニメ本編ではネタが足りなくて、ついに模型雑誌連載オリジナルモデルの方まで眼を向けるしかないザクマニアである。
ザクの方が数え切れない程のバリエーションがあるのに対して、ハイザックは正直、カラーリングくらいしか変更点が無いのだ。
『それより、掴まれよ。こっから出るぞ!』
『でも……ユウリちゃんが……』
『アイツは走り回ってご機嫌なんだから、放っといても大丈夫さ』
薦めに従って、巨大な機動砲台に取り付くティエレン。
『行くぜ!』『う……うん』
危険がいっぱいの暗礁の中を進みだすと、隕石の陰に隠れていたらしいMSが数機飛び出して来た。
リックドムやゲルググなど、まさにこういう場所に特化した様な機体ばかりだ。
『囲まれるっ!?』『そうはさせねえ! 一発かましてやるぜっ!!』
だがこうなると、さすがにケンヤのバイザックも不利となる。
推力は上がっているし、火力も高いが、
このサイズになるとさすがに、宇宙用MS単体の方が機動性では勝る。
そんな局面で、ケンヤに出来る事はただ一つ。
『―よし! ぶっ放すぜいっ!!』
キュウゥゥゥゥゥゥ…………バオッ!
バイザックのビームキャノンが、躊躇いも無く放たれた。
粒子砲のエネルギーは敵MSに命中する事無く、彼らの後方に陣取っていた隕石に命中する。
ドゴアッ!
真っ赤に焼けた岩石が周囲に散り、そこにあった岩石が消失した。
『―今だっ!』
敵MSが避け、障害物が消えた間隙を縫って、TR−2が急加速しつつ通り抜ける。
それを追って敵MSが動き出した。
『追ってくるよっ!?』
『とりあえず、真っ直ぐ飛んで出来るだけ振り切るしかないよなあ』
直進スピードだけは、こっちも負けてない。
だが。
まっすぐ進むだけしか逃げる手段が無いというのは、やはり非常に分が悪い。
ビームライフルが、バズーカが、そしてミサイルが。
大きくて狙いやすい標的を、我先にとばかり狙ってくる。
後ろに向かって反撃するための武装はTR−2には無く、事実上ひっついているティエレンが反撃するしかない。
『追いつかれるっ!?』
ミスノが絶望の声を上げ、
『―くっそおおおおおおっ!!』
ケンヤが、悔しさに絶叫する―
その時。
14:GPB
11/11/28 23:57:35.44 ckmi6Mb6.net
―バシュウウウウウッ!!
遠距離からの高出力ビームが、追跡する敵MS達の行方を遮った。
『―なんだっ!?』『新手かっ!?』
ビームの光跡を目で追い―
彼らは見た。
遥か彼方で輝く月を背に―
大きな翼を広げてそこに静止する、人型らしきMSのシルエットを。
その姿―まさに死を招く天使。
『―あ……あれはっ!?』
『まさか―ウイングゼ……』
驚きの声を上げるミスノとケンヤ。
思わずその姿から連想するMSの名前をケンヤの口から最後まで言わせる様な事はせず、
ブワッと大きく羽ばたいた謎のMSは、この空気の存在しない空間で、まるで風を孕む様にグルリと大きくロールすると、
こちらに向かって真っ直ぐに飛んできた。
見かけ上は、ゆるりと飛んでいる様に見えるが―
その速度、恐ろしく速い。
真正面から放たれる攻撃を、これも一見緩やかで大きな動きで回避し、
あっという間に、一機のリックドムの射程内に到達した。
『―このっ!?』
ジャイアントバズを構えて、今にも撃とうとした瞬間。
その左脇を、超高速で飛び抜けた。
その黒い重装甲の機体は、腹部で真っ二つになり―
やや遅れて、リックドムは爆発する。
『ああっ!?』『す……すげえ!?』
圧倒的な性能差に、ミスノとケンヤも言葉を失った。
そして、その爆発の輝きで―
そのMSの姿が露わになる。
機体全体を包み込めそうなほどに巨大な翼の中心になっていた機体は、全身が白い―が。
おそらく、ケンヤが言う様にウイングガンダムゼロカスタムの物らしき翼を有したその機体、
ガンダム……ではない。
15:GPB
11/11/28 23:58:34.58 ckmi6Mb6.net
「ガンダムW」のMSの中では、全てのMSの起源と言われている。
プロトタイプリーオーとも呼ばれる、アフターコロニー世界でのMSの始祖だ。
それが、翼を持っている―と、言う事は。
『まさか―トールギス……ヘブンっ!?』
ケンヤの驚愕の叫びにミスノは、
『へっ……ヘブンっ!?』
訳のわからなさに絶句するしかない。
トールギスヘブン。
ガンダムWの外伝的小説「フローズン・ティアドロップ」に登場する、作品世界では五番機にあたるトールギスだ。
ついでに言えば作中には、TV本編に登場する事の無かった、トールギス始龍(シロン)も回想シーンで登場する。
「ケンヤ……大正解っ!」
その白い機体のコクピットで声を上げたのは、ユイトだ。
「……と言っても、設定画とか無いから想像で作るしかないんだけどね!」
バイザックの隣について速度を合わせる機体は、美しいの一言だった。
登場した経緯を考えて、ベースはトールギスV。
ユイトの勝手な考察では、
エンドレスワルツ最後の決戦の地・ルクセンブルグで、ツインバスターライフルの連続発射により自壊したウイングゼロの残った翼を、
密かに“火消しのプリベンター”が回収。
戦後火星に移住したゼクス・マーキスが、一緒に持ち込んだトールギスVの機体にこの翼を流用および調整。
それにより完成したのが、トールギスヘブンだろうという説だ。
もっとも、全貌が見えないのでほぼ妄想だが。
せめてイラストでもあれば良いが、現在の所、登場時に使った殲滅兵器の正体もわからない。
従って武装は―
右にVのメガキャノン。
左にVのシールド……は装着しているが、先端に付いている突起は、ヒートロッドとは少し違う。
だが。
あの文章で判断する限り、トールギスヘブンは一切武装してはいないはずだ。
翼が攻撃と防御を兼用しているのは間違いないだろうが、今のままでは再現のしようが無い。
従って、正確にはあの“トールギスヘブン”の、姿を写した贋物と言う事になる。
16:GPB
11/11/28 23:59:51.13 ckmi6Mb6.net
「だから、これは正確には“ヘブン”じゃなくて……“飛天”って、ところかな?」
新作を披露できた嬉しさに、ユイトの声も弾んでいる。
“飛天”―東洋風の天使と言う事だ。
『まったく……いつの間に作ってたんだぁ?』
ケンヤは呆れ、
『ホントにキレイ……』
ミスノは見とれている。
「いや、全国大会のウイングカスタム作った時に、翼が丸々余っちゃってさ。それで、ちょうどトールギスVのキットも手に入ったから」
良く見ると、全体的にはトールギスVそのままの本体だが、フェイス部分だけはガンダム顔だ。
目元を覆うクリアカバー越しに、二つの輝く眼が見える。
ガンダム顔にしたのは、単なるこだわりだろう。
本体の、Vで青だった部分は、シルバーグレーに塗装され、全体の白を部分的に引き締めていた。
突進する為の推力を補う為か、両方の腰に、オリジナルの追加ブースターが装着されている。
これだけが少しだけ美観を損ねているが、不要になれば排除出来る様になっている。
「―じゃあ、後ろは任せてよ。早くここから出よう!」
そう言って、トールギス飛天は翼を羽ばたくように動かして後方を向いた。
左のシールド先端から、ズイっと長いブレードが飛び出す。
『わかった! ミスノ行くぞっ!!』
『ああっ! ユイト君の戦う姿〜!!』
ミスノはもっとトールギスの活躍を間近で見たいのだろう。
だが。
今はのんびりと見物と言う状況ではない。
「―さあっ! ここから先はボクが相手だ!!」
左のシールドから伸びるブレードを真正面に突き付け、ユイトのトールギス飛天は宣言した。
元より、殲滅戦は望んでいない。
あくまでも、ケンヤ達が暗礁宙域を抜けるまでの時間稼ぎだ。
『……あれっ? ミスノがいない???』
隕石の中を散々走り回った後に、ようやくユウリは気付いた。
ふと気付くと、後から追ってきていたはずの親友のMSの姿が見えない。
自分は労せずここまで抜けてきたので、ミスノがどれだけ苦労していたかに思い至っていなかったのだ。
『あっちゃー! ミスノを迷子にしちゃったか。しょうがないなああの子も』
実際には、自分の方が迷子に近いのだが。
それでも、走る速度は緩めない。
どこまでも、無限に続くかに思われるデブリ群の中を、ひたすら走りぬける。
17:GPB
11/11/29 00:01:00.73 wJwT2JDM.net
その行く手に飛び出し立ちはだかるのは―MS−18E・ケンプファー。
「0080・ポケットの中の戦争」で初登場した、ジオン軍の試作MSだ。
両肩にバズーカを装着し、左腕には十基余りの機雷を繋げた“チェーンマイン”という武器を装備している。
その凶悪な武器で、獣を捕らえようとでも言うのか。
頭上でグルグルと投げ縄よろしく振り回すと、いきなり前に振り下ろしてきた。
『―おっとぉ! 知ってるわよぉその武器はっ!!』
横っ飛びに回避して、それが手元に戻るまでの間を見計らって突進を仕掛ける。
間に合わないと悟ったか、ケンプファーの方も左手の武器を投げ捨てて、二門のバズを構えた。
だが。
『それも間に合わないわよっ!』
MA形態のガイアが、背中に装備された二門のビームキャノンを迷う事無くぶっ放す。
腹部のコクピットにその攻撃をモロに食らい、青いMSは大爆発を起こした。
『―よっと!』
そこから宇宙空間に身を躍らせ、一瞬の内にMS形態へと転ずる。
作る方はまだまだ不得手だが、ユウリは確実に操縦の腕を上げている。
そして、兄のガンダムDVDコレクションで、出来る限り過去の作品を予習してきた。
だから、MSの名前はわからなくても、その形状と、搭載する武装は一通り頭に入っている。
相手がよほど特殊なカスタムでもしてこない限り、対応出来る自信がついていた。
原作を忠実にリスペクトしようとする相手ほど、ユウリにとってはやりやすい相手となるに違いない。
陸戦における優位性の向上を目指して開発されたとされるガイアガンダムだが、
その開発陣営は、元々宇宙を拠点とするザフト軍。
宇宙での戦闘も、充分に考慮されている。
右肩にマウントされたビームライフルを右手に持ち替え、油断無く構えた。
そこに襲い掛かるのは、やはり宇宙での主流か。
リックドム三機で編制されたチームが、フォーメーションを組んでやってくる。
こちらは原作と違い、主武装をジャイアントバズとしながらもサイドアームにザクマシンガンを装備している。
次々と撃ち込まれる砲弾を避けながら、たった一機でビームライフルを撃ちまくった。
機動性で勝るリックドムも、散開してそれを回避。
何度かの砲撃で砲弾が尽きると、今度はマシンガンを撃ってきた。
どちらかと言うと、強力だが避けるのは容易いバズーカに比べ、
威力は弱くても隙無く撃ち込まれるマシンガン攻撃の方がユウリは苦手だ。
バーニアとAMBACを併用して、雨の様に撃ち込まれる攻撃を回避し、
右手のライフルと、両肩から伸びるビームキャノンを正面に向け―
『―行っくわよぉ〜……当れぇっ!!』
ビウッ!
バフォッ!!
一斉に発射し、一機を仕留めた。
だが他の二機が、大きく散開して再び挟撃を仕掛けてくる。
『わわわわわっ!? これはヤバイわっ!!』
スラスターを吹かして離脱を図るが、いかにガイアガンダムと言えど、空間戦ではリックドムの方が上だ。
18:GPB
11/11/29 00:02:49.81 wJwT2JDM.net
ヒートサーベルを抜き放って迫るリックドムに対抗して、ユウリの機体もビームサーベルを抜いた。
前と後ろから挟まれる形になるので、どちらにも同時に反撃とはいかない。
『ええ〜いっ! なるようになれっ!!』
一瞬だけ考えて、前から来る方に仕掛ける事に決めたユウリだったが―
後ろからも確実に攻撃は来る。
だが。
ゴアッ!
突然高速で接近して来た何かが、ガイアガンダムを後ろから斬り付けようとしていたリックドムを弾き飛ばす。
いや。
接触と同時に、縦に真っ二つに切り裂いていた。
ドゴァッ!!
その爆発に驚いたか、前から来るリックドムの動きが僅かに鈍る。
そんな動きの変化を、ユウリは見逃さない。
『―いただきっ!』
ビームサーベルを横に一閃。
ドドーン!
真っ二つに分断された黒いボディが、大爆発を起こして至近距離にいるガイアをも巻き込んだ。
その爆発の炎の中から―
黄色と黒のツートンボディが飛び出す。
ユウリの機体だ。
多少爆発の巻き添えは食ったが、自分のやった結果なので文句は言えない。
そして。
『やっぱり……師匠〜〜〜!』
ピンチを救ってくれたMSに振り向くと、情けない声を上げた。
『フッ……ソウミさん! 一人でも結構やる様になったじゃない!!』
声を上げるのは、クルカワ・アオイ。
そして今回の機体は―
夏の大会前にユイトのウイングゼロと死闘を繰り広げた、リーオーヘッドのトールギスだ。
あれからアオイは、この機体を“始龍”ならぬ“武龍(ウーロン)”と名付けている。
これを選んだと言う事は、今日はお遊び無しのガチバトル。
それというのも―
19:GPB
11/11/29 00:03:42.34 wJwT2JDM.net
『あーあ。せっかくウエハラ君があのウイング持って来ると思って、これ持ってきたのになー』
どうやら対ウイングカスタムの為のチョイスだった様だ。
『リターンマッチじゃないけど、やっぱりアレに対抗しようと思ったら、この機体じゃないと』
そう言いながら、今リックドムを切り裂いたヒートロッドをプラプラと揺らす。
『師匠……新作じゃないんだ……』
店に入る前、みんなには新作を持って来たか聞いていた本人が、以前の作品を再登場させるとは。
『私だってねえ、それほど裕福な訳じゃないわよ。あなた達はお年玉とか、これから色々貰う機会あるじゃない?』
なんだかんだ言っても地方公務員。
食いっぱぐれは無いが、大儲けも望めないという微妙な職業だ。
『でも今日は、本気をビンビン感じます! 師匠っ!!』
『本気でやんないと、太刀打ち出来ないのよね。本当にエースになったわ、彼は』
身近で育った強敵に、嬉しそうな声を上げた。
『さあ弟子よ、みんなの所に案内せよ!』
合流を果たしたら、今度はユイトを相手に戦うつもりなのだろうか?
『はい師匠! こちらです!!』
その辺りをあまり深く考えない弟子は、進んで道案内を買って出る。
デブリ群に沿って、元来たルートを遡る様に進みだした二機。
程なく前方に見えたのは―
長大な砲身を備えた移動砲台ユニットに、その上に乗って右手のマシンガンを構えるピンクっぽい機体。
『ホシナ君……それに、マナサキさんも!?』
『―おっ? ソウミにアオイ先生か!?』
丁度暗礁宙域を抜けて来たところで、合流を果たす。
『ウエハラ君はどこよっ!?』
カメラアイ部分を点灯させて、トールギル武龍がいきり立つが、
『……あ〜、今日はその機体かあ。じゃあどうなのかなあ?』
ケンヤの声が、何故か冴えない。
『それってどういう意味?』
疑問を呈したアオイの言葉に、TR−2はその方向を転じて、
『百聞は一見にしかず。まあ、見て判断してくれよ』
『キレイな機体でしたよ〜!』
すでに間近で堪能したケンヤとミスノは、そうコメントしながら元来た先を示す。
示した先に、爆発の光が見えた。
そしてそこから飛び出したのは、白い殻で包まれた様な、一機のMS。
20:GPB
11/11/29 00:04:45.77 wJwT2JDM.net
「―やっと抜けたっ!」
ユイトのトールギス飛天だ。
ハルートやウイングなどのいつもの機体ならば、デブリで狭められた限定空間でもそう苦労はしないが、
なんと言っても、真っ直ぐ飛んで一撃離脱戦法、と言うのが持ち味のこの機体。
やはり、広い場所の方がその力は発揮しやすい。
その特徴的な翼をバサリと広げ、その動きが生み出す反作用に機体を揺らしながら、ゆらりとその場に留まった。
『―なんじゃありゃあ〜〜〜〜っ!?』
いきなり叫んだのは、クルカワ・アオイだ。
『おお、その反応は予想外!』
ケンヤはその思わぬ反応に、どこか喜びを滲ませている。
『トールギスに……ウイングゼロの翼っ!?』
どうやら、さすがに小説までチェックの目が及んでなかったらしい。
自分が今乗っている機体も、同じ小説に出てきているが、アオイ本人はTV本編のヒイロ・ユイのセリフを手掛かりに作ったし、
今は仕事とガンプラ作りが忙しくて、アニメと漫画に目を通すだけで精一杯だ。
『―アレは……あの機体の強さは……ちゃんと検証しないといけないわねっ!!』
ゴアッ!
友軍登録しているにもかかわらず、訳の判らない事を呟いて、いきなりブースター全開で飛び出すトールギス武龍。
『―ああっ!?』『おお! やっぱり我慢できなくなったか!?』
突然の過剰反応に、ミスノとケンヤは驚きの声を上げた。
『ふふふっ……師匠の武人の血が……騒いだっ!?』
ユウリは、なんだか武術家の弟子っぽい事を呟くが―
クルカワ・アオイは、ただの中学英語教諭だ。
「さて敵は―って!?」
何気にユイトが呟いたところに。
思わぬ攻撃が迫る。
ドヒュンっ!
背後から放たれたドーバーガンの砲撃を、飛天が間一髪避けた。
その一撃は、精々呼び止める為に背中を軽く叩いたのだ、とでも言う様に―
接近しつつ武龍が振り上げたのは、左のヒートロッド。
大きく翼を動かして、クルリとその場でターンする様に回避行動を取ると、
その動きの延長で、飛天が左のブレードを下から跳ね上げる様に振るった。
今度はそれを、武龍の方が避ける番だ。
切っ先が触れるギリギリの位置で急停止し、機体全体でスウェーバックの様に後方に縦回転。
回転運動を維持したまま、素早く全体を後方に移動させた。
『―ふふん。私の知らない機体があるなんて、やるじゃないっ!?』
「期待は裏切らない……って、言ったでしょ? まさか知らないとは思わなかったけど!!」
本人達でさえも予想だにしなかった、まさかのトールギス対決。
ただでさえウイング系のMSはエントリーが少ないのに、ここでバッタリ鉢合わせだ。
仲間内同士ではあったが。
21:GPB
11/11/29 00:05:39.49 ckmi6Mb6.net
『そうね! オッケー、じゃあ今日はトコトン戦りましょうか!!』
アオイはもう他のMSはそっちのけで、仲間内同士の頂上決戦に挑むつもりだ。
「……それで良いのかなあ? でも、このまま許してくれそうも無いしね」
ユイトも渋々応じながら、言葉の端では嬉しさを覗かせる。
息が合うのか、飛び退くタイミングも同時。
そこから武龍のドーバーガンの一撃を上に飛び退いて、飛天がメガキャノンを撃ち込む。
それを回避しつつ距離を詰めると、間合いに入るタイミングに合わせて、振り被られたヒートロッドが唸った。
その一閃が首を捕らえようとした瞬間。
フレキシブルな無数に連なる刃が巻き付いたのは、長いブレードだ。
『ふふん。せっかく同じ武器が付いてるのに、ワザワザただの刃物にしちゃったの? わかんないわね』
「―先生らしくないなあ。見た目だけで判断するのは……間違いだよっ!」
ユイトの言葉と共に、
トールギス飛天の左シールドから伸びるブレードが、
バラリと解けた。
『その剣―まさかっ!?』
斬れ味抜群の小さなブレードが幾つも集まって、一振りの剣を形成している。
これは―蛇腹剣。
左腕の動きで、仕返しとばかりに巻き付き返した。
今、二機のタイプ違いのトールギスが、宇宙空間で互いの左腕を拘束し合いながらその場をグルグルと回っている。
どちらが主導権を握っているのかは、この後の展開次第だが。
『つまり……ヒートロッドの機能を残しつつ、斬撃力を追求した……って、事!?』
「まあ、そう言う事。一応半端なカスタムはしていないつもり―ですよっ!」
言い終わると同時に動いたのは飛天の方だ。
手元にグイッと引き寄せ、同時にシールドから抜いたビームサーベルを振り被る。
それに対して武龍の方も、ビームサーベルでその攻撃を受け止めた。
互いに引っ張り合う事で、双方のシールドから伸びる武装が、ギリギリと音を立てた。
だが。
「わかってるよね、先生? このまま無理すれば、どっちが壊れるか」
『そうね……悔しいけど、その点に関しては私の負けね!』
武龍が引く力を抜くのに合わせて、飛天も左腕の力を緩める。
互いに巻き付き合った武装は、双方が後ろに飛び退いた事で完全に離れる。
22:GPB
11/11/29 00:06:31.68 wJwT2JDM.net
一振りで、蛇腹の状態から一振りの刃へと復帰する飛天のブレード。
『それ、ボールチェーンで繋いでるんだもの。さすがにROBOT魂から流用したヒートロッドでも負けちゃうわよね』
「耐久性を追及したんだ。それに、それだけじゃなくて―」
伸びたままのブレードはそのままの形状で射出され、
さらに、その後ろからも蛇腹刃が続々と出てきた。
それらがさらに繋がって―
最終的には、刃渡りだけで右のメガキャノンの全長に匹敵する長さになった。
『自在に間合いも変化する……フレキシブルブレードってところ……か』
「出し惜しみしてもしょうがない。先生には、全てを見せた上で全力でぶつからないと!」
前方への突進と共に跳ね上がる左の凶刃を、武龍が後方に移動して紙一重で避けた。
その刃、真っ赤に加熱している。
動きは止まらず、さらに一歩踏み込んで振り下ろされる刃を、下への移動で避けた。
『その攻撃……防げるとわかってても食らいたく無いわね!』
苦々しい言葉を吐くが、どこか嬉しさも帯びている。
「珍しい―いつも正面から受け止めるのが、先生の流儀だと思ってた……よっ!」
今度は上から迫りつつ、真っ直ぐに突き。
ユイトも、容赦はしない。
手加減されるのが、アオイが一番嫌う事だと判っているからだ。
『そうねっ! 判ってるんだけど、意外とやりづらいわ同じ機体同士の戦いって!!』
今度は肩口で、機体表面で相手の刃を摺らせる様に。
まさにギリギリの避け方で決定打を逸らしながら、間合いを詰める飛天の頭部に向かってドーバーガンの砲口を向けた。
その射程―ほぼゼロ距離。
『接近戦で分が悪いなら―砲撃戦しかないじゃない!』
「ちょっ―これ立派な接近戦ですって!!」
バオッ!
至近距離からの砲撃を、ユイトの機体もギリギリで避ける。
少しだけ頭部左側面を持っていかれたが、内部の可動部まで影響は無い。
だが、二つのカメラアイを保護していたクリアパーツが砕けて、左半分だけガンダムフェイスが露わになる。
『―チッ! 勘の良い子っ!!』
「―おわっと!?」
すかさず放たれた武龍の左正面蹴りを、飛天の右主翼が、まさに攻防一体のアーマーとしての機能を発揮させて防いだ。
その衝突の反作用で、再び二機の間合いが離れる。
23:GPB
11/11/29 00:07:24.40 wJwT2JDM.net
「ズルイな先生……ボクは先生の事、蹴ったり出来ないじゃないか」
言いながらユイトがニヤリと笑みを浮かべると、
『別に良いわよぉ。こんな場で教師だ生徒だってのも無粋だしね。無礼講よ!』
アオイは、なんて事も無いと言う様に応じる。
再び衝突しようと二機のトールギスが突進を開始しようとした―その瞬間。
パビュビュビュビュビュッ!
小さいが、土砂降りの雨の様に激しいビーム砲火が、飛天と武龍の間に次々と降り注ぐ。
『―なにっ!? 邪魔な奴ねっ!!』
「ビーム攻撃―こんな時に一体誰がっ!?」
二機のトールギスが見上げた先に佇んでいたのは―白く美しいフォルムの、一機のMS。
『あれは……キュベレイ? でもなんで!?』
「あれは……あの機体は確か……?」
今、ユイト達の戦いに割って入る様に攻撃を仕掛けて来ていたファンネルは、
まるで主の命に従う従僕の様に、グルリとキュベレイを取り囲み、円の外にその砲口を向けてゆっくりと回る。
間違いない。
ユイトの記憶に残っている。
これはあの、つい先日音楽PVで観た、あの歌って踊るキュベレイだ。
そしてパイロットの名前は確か―シノザワ・マイナ。
それが何故、こんなW地区限定のバトルロイヤルのフィールドに?
その突然の登場に驚いていたのは、ユイト達だけでは無い。
今、この戦場で戦闘を繰り広げているすべてのMSが。
その手を、動きを止めて、このMSに見入っている。
そしてみんなが、戸惑っていた。
突然降って湧いた、この事態に。
おわり
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