クロスオーバー創作ス ..
74:
10/10/30 22:51:11 x7NLZasG.net
・・・どうしよう、トリ作成ソフトと別のトリが出てきてしまった。
原因が分からないので、このトリを使っていきます。
あと、もう一回wikiの管理人に申請をしなくては・・・。
75:そして誰もいなくなるか?
10/11/12 23:42:25 h+rWJC4d.net
あの〜かいてもよろしいですか?
76:そして誰もいなくなるか?
10/11/12 23:43:10 h+rWJC4d.net
よさそうだな・・・
77:そして誰もいなくなるか?
10/11/12 23:51:23 h+rWJC4d.net
朝、私は目が覚めた、時刻はAM9;14
「まだ・・・朝か・・・」
私は久しぶりに取れたこの休暇を
存分に楽しむつもりだ、あのウイルスのおかげで疲れている体を休めたい。
と思っていた
すると下の階から声が聞こえた
「ねぇ、アル朝ご飯はいらないのかしら?」
などといつものように嫌みったらしい声を聞き私は身なりを整えた
78:そして誰もいなくなるか?
10/11/12 23:55:57 h+rWJC4d.net
出だしミス
79:創る名無しに見る名無し
10/11/13 00:09:02 daTiPkNQ.net
これは投下の予感!?
80:創る名無しに見る名無し
10/11/13 00:10:56 eR5d+miS.net
>>75
どうぞドウゾ。
81:そして誰もいなくなるか?
10/11/13 00:13:31 tyRksYwj.net
では書きますもう一度
82:そして誰もいなくなるか?
10/11/13 00:17:35 tyRksYwj.net
はっきり言えば世界は終わりを迎えようとしていた
空気中に広がったGウイルスは世界中の人に感染した
それにより世界は荒廃し、世界は終わりを迎える・・・と
大半の人間は考えていた
83:そして誰もいなくなるか?
10/11/13 00:20:44 tyRksYwj.net
しかしそんな人の中にもイレギュラーは存在する
その一人が「アルバート ウェスカー」
彼は新しい世界を作るために
エクセラ・ギオネ、リカルド・アーウィングらと共に
「ウロボロス計画」を企んでいた
84:創る名無しに見る名無し
10/11/13 00:28:24 daTiPkNQ.net
支援、必要かな?
85:そして誰もいなくなるか?
10/11/13 00:29:15 tyRksYwj.net
また明日書きますね
86:そして誰もいなくなるか?
10/11/13 00:30:45 tyRksYwj.net
必要です・・・・文章苦手です
87:創る名無しに見る名無し
10/11/13 00:31:18 daTiPkNQ.net
そうですか、残念。
あと気になったんだけど
投下する時60行もあるんだし、一つのレスにまとめてもらえるとありがたいな。
88:そして誰もいなくなるか?
10/11/13 00:32:39 tyRksYwj.net
あ、了解です
今後まとめさせていただきます
明日の朝ごろに更新しますね
89:そして誰もいなくなるか?
10/11/13 10:25:48 tyRksYwj.net
そしてウェスカー達とは裏腹に世界中に拡散したGを
減らしていこうとする物その名は
ルーク・フォン・ファブレら率いる
軍勢が存在していた、その2つの軍勢は言うまでもなく
敵対していたなぜなら
その2つの軍勢のリーダーの考えている事は
「新たな世界の創造」 「世界を救う」
これほどに差が存在していた・・・
ーーーーラクーンシティ周辺ーーーーーー
「・・・たくなんなんだ!?あの化け物は!?」
そんなルークの言葉にジェイドが返事をした
「仕方無いでしょう?ルーク・・・これはマルクトやあなたのお父さんの意志でもあるのですから・・・」
そんなジェイドの諭すような言い方にルークが返す
「わかってるよ・・・目的は敵組織「アンブレラ」の位置特定、及び研究所の破壊だろ?」
そんなのんびり会話している二人にティアが話す
「そろそろ休憩はやめて先に進まない?」
そのティアの言葉に二人は同意した
そのルーク達の前にある死体はG-ウイルスに適応していなかったため
まるで怪物の様な姿をしていたルークはその死体を見てジェイドに質問する
「なぁ・・・ジェイドこいつらってさ不適合者なんだろ?」
そんなルークの質問にジェイドが答える
「えぇ・・・この怪物はおそらくGウイルスに適応しなかったのでしょうね」
そしてルークがさらに質問をする
「ならさ・・・・もし適応したらどうなるんだ?」
そしてルークの質問にジェイドが答える
「それはわかりませんね・・・」
その言葉が終わる前にまるで銃声の様な音が辺りに響き渡った
「なっなんだ!?」
「わかりませんが、とりあえず向かいますよ!!」
そしてその場所を目指して三人は走り出した
90:そして誰もいなくなるか?
10/11/16 18:01:04 bsYjApHs.net
とりあえずこんなもんです・・・(泣)
文才0なのであまりいい話にはならないと思います
とりあえずここまでで一話の前置き終わりです
しばらく投下できないかもしれませんのでそこらへんよろしくお願いします
今日はちょくちょく確認しますのでもしも
アドバイスをいただけるのならお願いします
91:創る名無しに見る名無し
10/11/23 19:26:56 aJoGyeuY.net
バイオは分かったけどもう片方の元ネタが分からん
92:創る名無しに見る名無し
10/11/24 21:54:47 uy7shwZ3.net
テイルズオブジアビス
93:
10/12/11 12:16:14 a+ENf8az.net
2作品以上のクロスってきついですかね?
94:創る名無しに見る名無し
10/12/11 15:05:14 6wsXqOD9.net
相性とか混ぜ方次第じゃないか
多いほうが取り扱いは慎重になるだろうね
95:
10/12/11 15:19:12 a+ENf8az.net
とりあえず触れ込みだけ。
続くかどうかはわからんです
◇
――『テメェ』がどこの誰かなんて知らねぇ
少年は言った。
相手にではなく自分自身の中にある、何かに。
――とうの昔に言ったはずだ
『テメェ』と呼ばれた者は答えた。
――『テメェ』が何をしようとしていたかも知ったことじゃねぇ
少年はさらに言った。
『テメェ』は再び答える。
――魔術師。
――荒耶宋蓮。
96:
10/12/11 15:19:59 a+ENf8az.net
◇
目を覚ますとそこは、どうも学園都市の外部らしかった。
というか、日本の中なのか或いは……
「あら、目が覚めたみたいね」
巫女装束だ……とはかろうじてわかるが、なんか違う。
巫女さんは、あからさまに腋を主張しないと思う。
「……ッ、痛ってぇ……」
「下手に動かない方がいいわよ。布キレみたいになってたからね、さっきまで」
見ると、体中にアザや擦り傷ができていた。
それもそのはず、大天使を相手にして傷一つない方がおかしいのだ。
――大天使?
自分は、『右方のフィアンマ』という男と戦っていたのではなかったか?
自分は、かろうじて勝利を得、『ベツレヘムの星』を害なく着水させようとしたのではなかったか?
自分は、その寸前に現れた大天使、『ミーシャ・クロイツェフ【ガブリエル】』と対峙したのではなかったか?
自分は、
――
そこまで思い出して、意識は戻った。
眼前には、心配そうな目つきでこちらを覗きこんでくる巫女の顔がある。
「だいじょうぶ?茫然自失としてるようだけど」
「うわぁ!」
驚いて、飛び退く。
体の傷が疼くが気にしてはいられなかった。
鏡を見れば、耳まで赤に染まってるに違いない。
「……人が心配してるのに。欲情でもしたわけ?思った以上にはしたないわね、男って」
巫女は裸だった。
それも、着替え中のような、半端な裸【脱ぎかけの巫女装束】で。
「いやっ、決してそんなことはないでございますのよ、姫?」
姫と褒めたところ(並み以上に可愛い相手ではあるが)で機嫌は直らんだろうと思いつつも、ひとまずこのピンチ【フラグ建設現場】を回避しようとする。
「……まぁ、いいわ。あなたが男性だということ、しかもこんなにも性欲旺盛だということを忘れていた私の方にも非があるし」
確かに俺は男性だが……、と発言を思い返すが、
――へ?性欲?
「あの……私めは姫様に何かよからぬことを……」
「あら、見えないの?あのグチョグチョの服」
――なんだかすごく嫌な予感がする。
ザァー
と、大振りの雨が地面を打つ音も聞こえないくらい、俺の心臓は鼓動を速めている。
しばしの沈黙の後、
「申し訳ございません!」
高速で土下座の態勢に入る。
巫女さんは新しい服に着替えつつ、答えた。
「あら、そんなに悪いと思ってるなら」
言いながら、多分台所だと思われる場所を指した。
「お茶汲んで。濡れたから寒くて寒くて。まったく、雨が降ってる中で女性を労働させないでよね」
新しい服に袖を通し終えると、
「ふぅ。だいたい、なんで大の男があんなところで寝っ転がってんの?あ、気にしてるなら『性欲』以下の言葉は冗談だったんだけど」
このとき。
俺は半分以上本気で巫女を殴ろうと思ったが、止めた。
97:
10/12/11 15:23:50 a+ENf8az.net
◇
俺の名前は上条当麻。
科学によって超能力が開発され、脳の開発さえすれば誰でもスプーンぐらい曲げられる時代。
そんな時代に逆行するがごとく、この家(?)は古臭かった。
自分の担任である月読小萌の家よりワンランク以上古臭く、どうも科学が異常に発展した超能力開発機関、『学園都市』の中には思えなかったのである。
巫女にも聞いたぜ、こっちの世界のこと。ついでに名前も教えてもらった。
ところで、俺の右手に何があるか知ってるか?
『幻想殺し【イマジンブレイカー】』。”異能の力ならどんなものでも打ち消せる”。
原爆級の火炎だろうが、戦略級の超電磁砲だろうが――
なんて触れ込みなんだけど、実際そうでもない。あまりに強すぎると、消しきれないこともある。
誰かさんの黒翼然り、聖ジョージの聖域然りな。
でもまあ、さして問題でもない。
そんなことより、重要なのは俺が今立ってる場所だ。
巫女――名前は博麗霊夢。
話によると、”ここは幻想郷。忘れられたものが来る、素敵な楽園”
俺の能力をもう一度説明する。
”幻想殺し、異能の力なら――”
そう。
こんなファンタジックな土地が、一体どうして異能の力によるものではないというのだ。
98:
10/12/11 15:29:44 a+ENf8az.net
◇
「安心なさい、この土地を消し飛ばすほどの力を、”あなたはまだ取り戻していない”」
突然、最初からいたかのように、後ろから声がした。
「――ッ」
驚き、振り向くが誰もいない。
今度は前から、
「今のあなた程度の『幻想殺し【イマジンブレイカー】』にはこの土地を消すほどの処理能力はないわ」
思考を読んだが如く、上条の疑問を一撃で粉砕した。
「思考と現実の境界を無くす。それだけであなたの思考はダダ漏れよ、上条当麻」
見えた。
女。
――頭から足先まで見渡す。
気色の悪い目玉がのぞく『空間』に座り込む、女。
「こちらが名乗ってなかったわね。八雲紫よ」
わざとにしか聞こえない、挑発するような声色だ。
上条は答える。
「……つまり、別に”今の俺”程度じゃこの幻想【セカイ】は壊れねぇってことか」
「正確には”今の右手では”ね。まあ、あなた自身と関係がないと言えば嘘になるけど」
上条はほっとする。
彼女――紫は、聞きたくもないことをだらだらと言っているようだが聞こえないふりを――
「誰がだらだら話してるって?」
ドガッ
「うぺぇ!?……ケガ人なんですけどぉー!?」
脇腹を蹴られた。普段なら何ともないだろうが、やはりケガのせいか体中が軋む。
「続けるわ。あなたの右手に関してこれ以上言うと約束に反するので言えない。後言うことはないわ。あ、一応、”これから生活する上で質問は?”」
「――はい!?私めは元の世界へ帰ることを所望しているのでございますが……」
「無理ね。というかさせない。あなたには試練が待っているから、くれぐれも死なないように」
暴言臭いセリフを上条に放ち、彼女は『境界』に足を入れて――
「待てやごるァ!!」
唐突に、上条の右手が境界に触れた。
「さすがに、『スキマ』程度じゃ右手には敵わないか」
「……外はどうなった。インデックスは?世界は無事なのか?」
上条の視線は、今まで実際に見た物の中でもとくに『真面目』だ。
それは、ひとえに大切なものを気にかけているからである。
「心配はいらないわ。こちらで過ごした日々は向こうではほんの一瞬だと思うから」
そうか、とだけ短く言って、上条はうつむきそれ以上何もいわない。
――会えないつらさ。
――独りににさせてしまうこと。
それらをかみしめて、こらえて、うつむいている。
去り際に、紫はこんな事を言う。
「あなたに次会うときには、取り戻しておいてよ、その力。
用意した試練は三つ」
――『互いに絡み合いながら』
――『相克する螺旋で待つ』
以上です。
意見お願いします
99:
10/12/13 00:05:03 1d1Zy2Ns.net
続きです。
ここから先は自己見解多めになると思います。
度が過ぎるほどではないかと思いますが、苦手な方はご留意ください。
◇
「……」
赤い液体に満たされた容器の中に、人間といえるかどうかすらわからぬ、ヒトガタが浮かんでいる。
――生命維持は機械に頼り。
――知能さえも機械に預け。
世界最高峰の魔術師と言われたものは、今や科学技術の塊と化している。
そんな、男にも女にも、老人にも成人にも囚人にも聖人にも見えるものは、一言、
「この野郎…………………………………!!!!」
怒りを込めて呟く。
目の前に、一つの天使【エイワス】が現出する。
「おや、ここしばらくで見ない感情の現れだね」
器の小ささが知れるぞ、と呟く。
「別に望んで感情を排しているわけではないのでね。必要とあらば、排出する他ない」
と、アレイスター。続けざまに、
「……見逃せない誤差だ。一方通行【アクセラレータ】は魔術を会得。浜面仕上は『素養格付【パラメータリスト】』を手に入れる。何より『幻想殺し【イマジンブレイカー】』が――」
普段にはない饒舌ぶりが、彼の怒りを露わにしている。
100:
10/12/13 00:05:53 1d1Zy2Ns.net
――。
かっ、かっ、かっ。
足音。
窓もドアもないビルの、中。
空間移動能力者【テレポーター】でもなければ入れないビルの、中。
......
ただの魔術師は、アレイスターの前へと歩む。
「……、ッ!」
驚いたのは、エイワス。
青ざめたプラチナのような翼をはためかせ、散る。
「残念だが失礼する。その男は何かと”苦手”でね」
ゴガァア!!と、炸裂音が響く。
「不倶、」
エイワスの去り際に放った一撃も、一言の結界に静止(とど)められる。
「君の作品は不出来だな」
「『相克スル螺旋』程ではないがな」
見えない緊張の糸。
互いが互いを、”敵”としている。
「……何の用事だ」
「言うまでもあるまい」
「上条当麻の失踪は君の仕業か」
............
「わかってると思うが、個人としてやったことではない。興味ある対象が望んだから、そうしたまでだ」
101:
10/12/13 00:07:30 1d1Zy2Ns.net
――トン
魔術師【侵入者】の肩に、手が置かれる。
ビーカーに浮かぶ者の、ではない。
――歴代最高峰の魔術師、アレイスター=クロウリ―の手だ。
「次元をすでに凌駕するか」
思わずつぶやく侵入者――荒耶。
二人いるとか、そういう次元ではないのだ。
そこにも、居る。
容器の中にも、目の前にも。
どこにもかしこにも見渡しても――ッ!
「――邪魔をするな」
男にも女にも、囚人にも、聖人にも子供にも大人にも聞こえる声で――!!
「金剛、」
バキィン!
金属がぶつかり合う音とともに、戦闘が開始される。
「準備運動は必要ないのか?」
「君程度の相手なら必要ないさ」
衝撃の杖は、動きを止められていた。
「蛇蝎、」
上方から覆い被さるように、杖を突きだして襲いかかったアレイスターだったが、魔術師は動きもせず、言葉を紡ぐだけでそれを受け止める。
魔術師の右手が、アレイスターの眼前へと迫る。
しかし、当たらない。
『静止』していたアレイスターは、もう居ない。
次に魔術師を襲うのは、後方、死角からの一撃――ッ!
「戴天、」
左手で杖は握りとられる。
アレイスターは焦りもせず、呟く。
「消飛べ」
ドン!
短い炸裂音とともに、杖を握られていた位置が爆散する。
しかし、爆風や、熱、音までもが大気の流動と同じく『静止』していた。
この程度の攻撃では、魔術師に届きすらしない。
判断したのか、アレイスターは
「――神よ、なぜ私を見捨てたのですか」
紅い光線が迸り、魔術師の背後を狙う。
やはり、アレイスターは『空間』や『存在』という次元、概念を凌駕しているようだ。
「ぐっ……」
左手を突き出して、魔術師は応戦し、
「、頂経」
死なない左手は、かつて炎の魔術師を苦しめた一撃をものともしない。
しかし、魔術師は攻撃に転じることができない。
そもそも、視認しているアレイスターに攻撃を当てたところでダメージが入るかどうかもわからない。
「……なぜ魔術を使う」
魔術師は、素直に疑問に思ったことを口にする。
アレイスターは、魔術を捨てた者。そして世界の敵となったもの。
その男がいまだ魔術に頼るというのは、いささか疑問である。
........
「私の作品の術式だ。お披露目しておこうと思ってね」
102:
10/12/13 00:11:19 1d1Zy2Ns.net
「――ッ!」
第一の結界が破られる。
「(竜王の殺息【ドラゴンブレス】…!?)」
あらゆるものを『静止』させる結界だが、質・破壊力がケタ違いの竜王の殺息の前ではどんどんジリ貧になる。
「私こそ疑問だ。『抑止力』を相手取る君が、なぜ私に立ち向かう?それでは君が『集合的無意識』に従っているようなものだ」
...............
「逆だ。今後の展開次第では、お前こそが私の抑止力になりうる。アレイスター」
「――『ペクスヂャルヴァの深紅石』」
会話こそ交わしているものの、戦闘中である。
なにかが来るとすぐに察知した魔術師は、後方へ飛び退こうと足を前に突き出して地面を蹴り――。
「ぐっ……ぐがぁッ!」
直後、魔術師の足先から足首、脛、膝、へと、強烈な痛みが這い上がる。
まるで関節を強引にずらすような痛み。
思わず膝をつく。
「――終わりだ」
アレイスターの一言。
そして、魔術師の全身の骨は砕け散――
.....
るはずだった。
「……右手……だと……!」
魔術師は右手で足を叩きつけていた。
這い上がる痛みが全身へ渡る前に――ッ!
....
「あの妖怪とは事前に密約を交わしている」
例えばこの右手のように――と、魔術師。
次の瞬間、爆発的な脚力でアレイスターの眼前へと迫るッ!
「フィアンマと同じ手か。右手を取り込んだ程度でいい気になるな」
迎え撃つアレイスターはねじれた杖を魔術師へ向け、
「 」
聞こえぬ声でなにかを言う。
そして、
――トン
あまりにも軽い音。
「取り込んだだけでは、大した力にはならぬか。やはり、あの少年が身に付けてこその右手【イマジンブレイカー】」
魔術師の右腕は、肩口から綺麗さっぱり切断されていた。
流血はなく、切断面は空洞であるかのように真黒だ。
「……やはり、お前の領域内【テリトリー】では分が悪いか」
ここは素直にひかせてもらう、と魔術師。
アレイスターは止めない。まるで、いつでも相手にできるとでも言うかのように。
「君よりも優先して相手取るべきなのは―――」
――あの妖怪だからな――。
103:
10/12/13 00:12:14 1d1Zy2Ns.net
今の所ここまでです。
では、問題点などをばしばし指摘お願いします。
104:『とある東方と空の境界』
10/12/13 15:00:43 psyJ2aiY.net
◇
かちかちかちかち――
体中が震えている。
寒さからくるものなのか、恐れからくるものなのか。
答えを探すように、指先をうごめかすが効果はない。
――そんな曖昧な感覚、エピソード記憶など、もう、ない
どうやら寝かせられているようだと、知識は語る。
「何処だ……」
知識は言っている。
――この部屋は、『和式』だ。
――『和式』は、日本特有の形式だ。
――『日本』は極東にある島国だ。
――島国とは――
キリがない。
考えれば考えるほど、知識が鎌首を持たれかけてくる。
「脳に直接電気でも流したのかしら?」
がらっ、と襖が開けられる。
「貴様は誰だ……」
「介抱してくれた相手に向かって、貴様とはね?……八意永琳よ?」
「偶然、医者に拾われたという訳か」
よくわかったわね?と八意。
実際、知識がこの雰囲気は医者だ、と語ったまでである。
「当然、私も名乗るべきだろうが、生憎――」
「そうね、思い出せないでしょう?」
全く、と溜息を吐くように言い放ってから、
「そこまでひどい傷は久しぶりかな?でも、治せないほどじゃないから安心なさい?」
「――治るのか」
「私を誰だと思っているの?」
「必然、知る由もない」
「そうね」
笑っているのか、この女は。
笑顔は、こういうものか。
――もう失ってしまった感覚だ。
「楽しい」とか「面白い」とか。
当たり前のように生きて、当たり前のように感じられたら、
――それは、何て素晴らしいことなんだろう。
105:『とある東方と空の境界』
10/12/13 15:01:45 psyJ2aiY.net
当然あげてすいません、投下再開したいと思います。
「――ッ!」
突如として、頭の中に知識が奔流する。
絶対に思い出すことのない、『感覚』。
しかし、頭の中で暴れるように記憶を隠しているそいつは、
...
『手加減だ』
とでも言うかのように、たった一つの感覚を思い起こさせる――ッ!
「――ひィッ!」
恐ろしい――透明な、竜王の顎【ドラゴンストライク】。
. . . . . . . . . . . . .
自分が思い描いていた以上の、『恐怖』を具現化させたモノ――!
体中から嫌な汗があふれ出る。
かちかちかちかちかちかちかちかち――――ッ!
「安心しなさい」
女が、私を抱く。
赤子を抱くかのように、そっと。
それだけで、竜は消え去る。
私は、そのまま静かに眠りにつく。
106:『とある東方と空の境界』
10/12/13 15:03:32 psyJ2aiY.net
×当然、
○突然
です。
何度も申し訳ないです。
では、本編です↓
◇
ゾッ―――!
違和感を覚えた。
――俺は、何を消しきれないと自ら語った?
「聖ジョージの……聖域……?」
そう。
「インデックスの……魔術……?」
無い筈の、
――記憶。
上条当麻は、一度死んでいる。
それが何の弾みかまでは、もはや思い出すことは叶わぬだろう。
しかし。
今、彼は死の直前の記憶の一片を思い出している――ッ!
「待てよ……どういうことだよ……?」
――『警告』
「誰だよ……インデックスじゃないだろッ――!」
――『第六章第十三節』
「この記憶は――何なんだ……ッ!」
――『現状、最も難易度の高い敵兵、』
―――『《上条当麻》の破壊を最優先します』
太陽が顔を出す時刻。
ガバッ
「悪夢だ……」
うなされていたらしい。
夢の中身は思い出せないが、全身から溢れる嫌な汗が苦しめられていたことを物語っている。
――眠ってしまったのか。
残念ながら一人である。布団もない。
ちょっとでも霊夢の介抱を期待した自分がアホらしくなる。
―八雲紫という女性は試練を用意していると言っていた。
「簡単には……返してくれ無ぇーってことか」
一晩明けたのか、大振りだった雨は止んでいて、輝く朝露は『きれい』なもの、だと知識は言う。
「さぁて……」
結局、簡単に帰れないならすることはない。
――なんか、手伝えることはないか。
そんなことを考えながら部屋を後に廊下に出る。
107:『とある東方と空の境界』
10/12/13 15:42:35 psyJ2aiY.net
ガタッ
「おおっと。すいません」
誰かにぶつかってしまったらしい。
「おーう、次は気をつけろよぉ」
――酔ってんのか?
見た目は子供そのもの。
見下げるくらいの背丈で、特徴といえば頭に角が――
「ちょッ、つの!?」
普通の人ならまず子供が酒に酔ってる所に目が行くはず(角も十分異形)だが、幸いにも彼の周りにはやれ完全幼女な教師だのニコチンとタールのな
い世界は地獄だと言い切る14歳の不良神父だの、とにかく年齢≠外見が多いせいか、その点は自然と受け入れることができた。
「あのー、失礼ですがそちらはどなたさまですか」
「私は伊吹萃香だ!おぼえておけ」
「は、はいっ……」
用がないならさっさと行け、と言わんばかりに怪訝な表情で上条を見る萃香。
(怖いな……)
突然噛み付いてこないだろうか、などと思う。
「お前は霊夢が言ってた『客』か。なら大事にしなくちゃなっ」
すいっ、と。
ごく自然に酒を差し出してくる。
「ほら、やるよ」
「――え?」
やばいやばいやばいやばい
と、心理状態が大変なことになる。
(ダメだこの子……見境がない……)
死ぬ前は不良な上条だったが、酒たばこの類には手を出していない。
知識は、『上条当麻は未成年』と真摯に語りかける。
「なんだ、私の酒が飲めないのか?」
(うわぁ……典型的だな……)
仕方がないので、
「すいません、では一口」
後で吐き出せるよう少しだけ口に含もうとして猪子に手を伸ばし――
キィィン
聞きなれたような音とともに、酒は跡形もなく消える。
(やばッ!これも異能なのかよ!)
変なところで反応してしまうのが右手のサガである。
ぷるぷるわなわなと、何かをこらえるようにうつむく萃香。
(絶対切れてるわコレ……やべぇよ……っ!?)
――なにか来る――ッ!
108:『とある東方と空の境界』
10/12/13 15:44:03 psyJ2aiY.net
「……見ない力ね」
――確かに、珍しい力ではある。
異能がなければなにかあるようには見えない。
学園都市の身体検査【システムスキャン】では反応すらしてくれず無能力者【レベル0】判定。
不良の一人も倒せなければ、テストの点も上がらないし、女の子にモテたりもしない。
しかし、今となっては幾多の修羅場をくぐりぬけた、相棒でもある、右手。
確かに、珍しい力だ。
――気に障ったのか?
どう見ても不機嫌だ。
一体、何が起こるか想像がつかないし、何が起きてもおかしくはない。
一応機嫌でも取ろうと上条は試みる。
「えっと、萃香の力はどんなのなんだ?」
学園都市では、スプーンぐらい曲げられて当たり前。
萃香は、自分の能力【チカラ】が通じなかったからこそ、憤っているのだと上条は確信していた。
一人に一つの能力、という認識は正解だ。
幻想郷でも、特別な力を持っていること自体は珍しいことではない。
ただ、上条の能力は異質【イレギュラー】。
そこに『何か【異能の力】』がなければ発揮されない能力など、まさに『無能の境地【レベル0】』――!!
萃香は疑問に思う。
上条は、外来者。
なのになぜか能力を持っている。
何かがなければ反応しないような、半端な能力。
その、無能に、自分の能力が、通じない――ッ!
結果訪れるのは、一つの挑戦。
「私は密と疎を操る能力を持っている」
「おい、上条。勝負しろ」
109:
10/12/13 15:46:55 psyJ2aiY.net
ひと段落。
次の投下は夜になると思います。
110:創る名無しに見る名無し
10/12/13 15:54:36 INAvqTFL.net
とりあえず、無能なる能力はない
111:
10/12/13 16:08:38 psyJ2aiY.net
>>110
あー、確かに不自然ですね。
勢いで流させていただきたい
チャンスがあれば、修正版を投げたいと思います
112:
10/12/14 15:06:51 ithcXARW.net
ご指摘に従い、微修正したものを投下します。
◇
「……見ない力ね」
――確かに、珍しい力ではある。
異能がなければなにかあるようには見えない。
学園都市の身体検査【システムスキャン】では反応すらしてくれず無能力者【レベル0】判定。
不良の一人も倒せなければ、テストの点も上がらないし、女の子にモテたりもしない。
しかし、今となっては幾多の修羅場をくぐりぬけた、相棒でもある、右手。
確かに、珍しい力だ。
――気に障ったのか?
どう見ても不機嫌だ。
一体、何が起こるか想像がつかないし、何が起きてもおかしくはない。
一応機嫌でも取ろうと上条は試みる。
「えっと、萃香の力はどんなのなんだ?」
学園都市では、スプーンぐらい曲げられて当たり前。
萃香は、自分の能力【チカラ】が通じなかったからこそ、憤っているのだと上条は確信していた。
一人に一つの能力、という認識は正解だ。
幻想郷でも、特別な力を持っていること自体は珍しいことではない。
ただ、上条の能力は異質【イレギュラー】。
そこに『何か【異能の力】』がなければ発揮されない能力など、まさに『無能の境地【レベル0】』――!!
――萃香は疑問に思う。
上条は、外来者。
なのになぜか能力を持っている。
それも何かがなければ反応しないような、半端な能力。
なまじ周りには強力な能力を持つ者が多いだけに、『持っているくせに大したことのない力』というのはどうも腑に落ちない。
――知る由もないが、それは学園都市でも無能力者【レベル0】の落第生【おちこぼれ】扱いである。
結果訪れるのは、一つの挑戦。
「私は密と疎を操る能力を持っている」
「おい、上条。勝負しろ」
113:
10/12/14 15:08:12 ithcXARW.net
wikiに載せていただけるのであれば、
>>112←こちらをお願いします。
お手数をかけて申し訳ございません。
114:
10/12/14 15:11:18 ithcXARW.net
それでは、続きです。
◇
こつ、こつ、こつ。
余裕を持って歩む。
その男は、荒耶宗蓮。
人間の性に絶望した男。『静止』を操る起源覚醒者である。
「こちらの世界に来るも来ないも、全ては気分次第か」
相手にするのは、幻想郷でも最高位の力をもつ者。
「当たり前でしょう?」
境界を操る――それは三次元上の部屋の中と外とか、そういったレベルではない。
現実と虚構。
概念の『境界』でさえ操ることが可能。
「」も、境界である。
荒耶の目指す、全ての始まりの知識、「」。
そう。
......................
八雲紫は意図せずとも『根源』へ辿り着いている――ッ!
「そこまで、『根源』とはすばらしいものかしら」
「私は人間を見限っている。お前のような人智を超越した存在は羨ましい限りだ」
何度も目にした。
人間とは、もはや――。
「しかし、ただの人間にすぎぬ私が人智を超えるには、『抑止力』を退け『根源』へと辿り着く他、手はあるまい」
「そう。まぁどうでもいいことよ。――ずいぶん簡単に右手を棒に振るのね」
「あれはあの少年が身につけなければ意味を成さない。実際、アレイスター程度にすら届かなかった」
ただの魔術すら、あの右手は殺せなかった。
それは、右手が弱かったからではない。扱う者が『神浄の討魔【かみじょうとうま】』でなかったからだ。
115:
10/12/14 15:13:00 ithcXARW.net
荒耶は、ただ談話しに来たわけではない。
「――協力するとはどういうことだ?」
「あら、簡単なことよ。ヒントを上げるだけ」
――荒耶は、この妖怪には絶対に敵わないと確信している。
そもそも、ヒトの身ではバケモノなどに敵うはずはない。
「――『両儀』。言葉くらいは当然知ってるわね」
「……。それが」
「陰陽の太極、シキ【式】とシキ【識】。そして――」
「――『両儀式』。この三つを体に宿す者がいれば――」
「確かに、間違いなく『根源』への鍵だ。だが、そのような存在が――」
「いるかどうか。さぁ?そこまで丁寧には教えてあげない。ただ、探すなら駒を用意しなさい」
――そして、『相克スル螺旋』へと招くのよ――
――『死に依存して浮遊する二重身体者』
――『死に接触して快楽する存在不適合者』
――『死に逃避して自我する起源覚醒者』
―――。
一つ一つ、パズルのピースを埋めるように。
荒耶宗蓮:了
next stage......《矛盾螺旋》
116:
10/12/14 15:16:20 ithcXARW.net
◇
「だぁーもうちくしょう!」
ぷんすか、という擬音が似合うような状態である。
あれから何度も萃香は上条相手に攻撃を仕掛けたが、ただの一度としてダメージになることはなかった。
ただし、上条も人の身、それもけが人である。
萃香のあふれ出る体力の前に根気負けし、ギブアップを宣言していた。
「……一回も当たんなかった。なんだその右手は……?」
「……喋らせる気かよこんな仕打ちをしといてコンチクショウ」
げんなり、上条。
時刻は昼飯時である。
グぅ、と、腹を鳴らす。
「……腹減ってるのか?」
――萃香は心配してるけど、そもそも疲れさせたのはお前だという本音は置いておく。
おもわず、「お蔭様で」と呟いてしまう。
ちょうどいいところに霊夢がやってくる。
「朝っぱらからドンパチやってんじゃないわよ。あ、上条。あなたは昼飯作っといてね」
霊夢自身、作れないということではないのだが、それでも自身で作る飯には飽きが回る。
せっかくの人手なのだ。活用しない手はない。
「……はい?霊夢様特製和食フルコースという俺の希望は……」
「生涯叶うことはないでしょうね」
冷たく言い放つと、そそくさと部屋へ戻る霊夢。
はぁ……と重たい息を吐く。
気づけば萃香もどこかへ行ってしまったようだ。
仕方がないので台所の方へ行く。
食材だけは、和風のものが一通りそろえてあるようで、バリエーションには困らないだろう。
料理をはじめようとする。
――しかし。
キィイン
聞きなれた音と共に、食材は触れただけで砕け散った。
「……霊夢。悪いが俺には料理は無理みたいだ……」
霊夢は先ほどから後ろでのぞいていたらしい。
「……の、ようね」
他に料理ができる人のあてがないのか、心底落胆する霊夢。
が、突然、
「あ」
と、頭の上に電球が輝いたかのように思いつく。
「あいつなら、まぁ……料理ぐらいできるでしょ」
「……知り合い?」
ええ、と霊夢。
「家、近いのか?」
「そこそこね。ただ、歩くんじゃつらいし飛ぶしかないかぁ……」
霊夢は、「ふぁああ」と背伸びする。
――年中眠いのか。
「えっ、てか飛ぶってどういうことだよっ!?」
「文字通り。あ、あなたは無理か……」
117:
10/12/14 15:17:59 ithcXARW.net
……
「……つかまって」
「無理です」
「こっちも恥ずかしいんだ早くしろこの野郎ぉおおお!!」
ガバッ、と勢いよく上条の左手を握り、抱き寄せる。
上条は霊夢に抱きかかえられながら、霊夢は上条を抱きかかえながら。
二人は空へと舞い立つ。
目指すは、とある魔法使いが住む家。
◇
そのまま眠りに就いていたらしい。
気がつくと外から入り込む朝日が、部屋を柔和な光で包みこんでいた。
「あれが、私の記憶を奪ったモノ」
誰となく、呟く。
――透明な、竜王の顎。
――体の芯までを喰らい尽されるような感覚。
体中を駆け巡った『死』の奔流。
思い出したくもないが、頭の中でその記憶だけが異常な存在感を放っている。
「おはようございます。スーツで寝にくくないのですか?」
「……誰だ。昨日とは違う顔だな。釈然としない」
「……師匠もすっかり気に入られたみたいですね。私は鈴仙・優曇華院・イナバ。呼び方はご自由にどうぞ」
「自然、レイセンが適切か」
自らに問いかけるように、言う。
――ウサギの耳のようなものが、頭にある。
「その格好はどういうことなのだ?意図あってのことか」
「……耳は外れませんよ?言っておきますけど私はこれでも月の人なので」
――からかっているのか?
「当然、貴様の師匠から私の症状は聞いているはず。その上でからかうか」
「本当【しんじつ】ですよ!まぁ、外来人の方に『信じてくれー』というのも無理な話ですけどね……」
――嘘、ではない、のか?
表情に偽りの色が見られない。
にわかには信じがたいが――月の人というのは本当なのだろう。
透明な――何もない、『記憶』という皿の上には次々とモノがのっかるように。
――自分で言うのも変な話だが、私はあまりにも『純粋』なのだ。
「……あなたは、お優しいんですね。そんな簡単に信用してくれるなんて――あ、すいません、私大まかにですけど人の心の中が見えるんです」
「優しい、か。依然、私にはその感覚はつかめん」
「思い出せると、いいですね。おっと、忘れるとこでした」
はい、と何か錠剤のようなものを渡してくる。
「お薬です。師匠から、『飲ませるように』と預かっているので」
「了承した。いただく」
――ゴクリ。
得体の知れぬものを飲むことに抵抗はあったが、不思議と、あの女の顔を思い浮かべればそんな雑念などかき失せた。
118:
10/12/14 17:05:57 ithcXARW.net
◇
ヒュゥ
風を切って空を進むというのは、爽快なことに違いない。
しかし、上条の心に爽快などという気持ちはこれっぽっちもなかった。
(当たってるぅっ!当たってるってぇ!)
口にしては絶対にダメな気がするので、とにかく口を結ぶ。
「……いい?絶対に右手で触らないでよね……!?」
恥ずかしいことなど置いてけぼりにするかのように、霊夢は言う。
実際、霊夢も顔は真っ赤だし心臓はばっくばくだし、余裕などないのだが、
(取り乱したら私の負け……取り乱したら私の負け……!)
そう言い聞かせて何とか『華麗』と言わせるほどには安定して空を飛んでいた。
「見えた」
呟き、少しずつ下降する。
一軒の家が見えた。
「おう、霊夢じゃん。――誰だ、それ?」
着地するなり何なり、如何にもな格好の『魔法少女』が話しかけてくる。
「こんにちは魔理沙。突然であれだけど、あなた料理できたわよね?」
「何だよ料理ぐらい自分でしろよ」
「さすがに自分の飯には飽きたのよ。それにこいつは使えないし」
冷たい視線を上条へ向ける霊夢。
「使えないとか言うなっ!」
思わず反論。だが、先ほどの飛行が相当応えているのか、霊夢は俯きそれ以上何もいわない。
「……まあいいや。三人分ぐらいなんとかなるでしょ。私は霧雨魔理沙だ。お前は?」
「俺は上条当麻。言っておくけと外来人だからな」
見りゃあわかるよ、と魔理沙。
やはり、この世界の住人には独特の雰囲気があると、上条は感じる。
――だからこそ、自分は馴染むことは出来ないだろう、とも。
――いや、馴染んではいけないのだと、確信している。
「まぁ、入れよ。すぐに作るから」
119:
10/12/14 17:07:44 ithcXARW.net
◇
「あの女は出かけているのか」
「ええ。場所は聞きませんでした」
――そうか。
短く答える。
彼女がいないからといって、別段不自由することはない。
――薬のお蔭か。
いくらかの記憶は戻り始めている。
『我が名誉は世界のために【Honos628】』
己が内に掲げた名も、思い出した。
そして。
――アウレオルス=イザード。
自らの、名前。
しようとしていたことは、簡単なことだ。
――ある少女が助けたかった。
――それは、叶わぬことだった。
――ある時、ヒトの身に余る力の持ち主を知る。
――『吸血鬼』。
――人智を超えた力ならば、少女を救えるはずだったのだ。
――だが、それはやはり、叶わぬことだった。
―――自分が救わずとも、少女はすでに救われていたのだから―――
「吸血鬼、か……果たして自然に存在し得るものなのか……?」
「はぁ、『吸血鬼』ですか。居ることにはいますけども……」
――何ッ!?
「そうか……そうかそうかそうかそうかそうかそうか……」
「大丈夫……ですか?」
―――復讐―――ッ!
――吸血鬼などいなければッ!
――私が道を踏み外すこともなかったッ!
120:
10/12/14 17:11:50 ithcXARW.net
「莫迦なことは、やめておきなさい」
唐突に、声がかかる。
「あ、咲夜さん。いらっしゃい」
「こんにちは。お薬頂きにいたわ」
「何だ……貴様は……?」
「そうね、あなた程度が挑めるほど、『吸血鬼』は程度が低い種族ではないわ」
「そう、思うか?ならば呼べ。『訪問者、貴様は吸血鬼をここに呼べ』」
キィィン、と。
何かにかかったかのように咲夜は向き直り、
「吸血鬼を……ここに……」
そのまま、帰る。
「ちょっと!……アウレオルスさん、あなた何をしたんですか」
「――当然、我が術式『黄金錬成【アルス=マグナ】』は、『言葉通りに世界を歪める』――ッ!」
構える。
それは、武術における『構え』ではない。
悠然と。
ただ、視線だけで敵意を向ける――ッ!
「……戦うんですか」
「貴様がそれを必要とするならば」
「こちらの世界には『スペルカードルール』というものがあるのですが……」
「当然、」
「『私』『私』と『貴方』『貴様』だけなら必要はないっ!」
殆ど似通ったことを言い合うのを合図に、二者は戦を始める。
「狂え――ッ!」
狂気の魔眼。
赤く染まったそれは、ヒトの精神をたやすく崩壊させる視線に違いない。
「『貴様の目は私に対して効果を持たない』」
冷静に、呟く。
それだけで。
「……効か……ない……ッ!」
目は通じない。
それなら、とばかりに。
121:
10/12/14 17:12:35 ithcXARW.net
「――幻朧……月睨【ルナティック……レッドアイズ】!!!!!!!」
強力な弾幕がアウレオルスを襲う。
しかし、アウレオルスは無駄だ、と嘲笑う。
「『攻撃は無効化。月の者は攻撃の終了と同時に死ね』」
そして。
その場に倒れこむのは、ただの敗者。
◇
神社の縁側。
――そっと、歩み寄る。
強力な者が、二人並んだ。
それだけで、その場の空気は果てしなく重い。
当人たちはそんなことを微塵も感じはしないだろうが。
「なぁ、紫。あんまり上条を見くびらない方がいいよ」
「私は彼を敵にしてるわけじゃないわ。むしろ鍛えてあげてるのに」
「――でも、元の世界に帰ったらまた死ぬだけじゃないの。強くさせてどうするのさ?」
「……あっちの世界には、果てしなく気に食わないやつがいるのよ。その気になれば、こちらにも侵攻してくるでしょうし」
「向こうと幻想郷で戦争か!どっちの方が強いんだろうな」
「……貴方には一番最初に戦ってもらいましょう」
紫と、萃香。
友人同士。
それは、お互いが強さを認め合っているからなのだろう。
「――アウレオルス。派手にやってるみたいね……」
「……どうしたんだ?」
「いや、何でもないわ。用事が出来たから失礼するわよ」
突如として『スキマ』が現れるが、今となっては最早おなじみの光景である。
――。
122:
10/12/15 17:29:10 +3vYy069.net
それでは続きです
◇
「……誰だ?入れよ」
「失礼するわ」
「なんだ、えーりんか」
「何だとは何?」
「……結局、何の用なの?」
ワイワイガヤガヤと少しの世間話も交えた後、
「私が用があるのは――上条当麻くん、あなたよ」
「へ?」
それまで完全に蚊帳の外だった上条は、突然名指しにされて思わず間の抜けた声を出してしまう。
「アウレオルス=イザード。聞き覚えはあるわよね?」
「あいつが、どうかしたのか?」
アウレオルス=イザード。
かつて、三沢塾に立てこもり、
――インデックスを救おうとしていた男。
「――助けてあげて」
「は?」
永琳はこれまでの経緯を説明する。
――大事なのは、アウレオルスが『黄金錬成【アルス=マグナ】』を取り戻しているということだ。
かつて。
アウレオルスは自分の中の恐怖に負け、竜王の顎に食われ――
竜王の――顎?
透明な、竜王の……
自分は、疑問を持っていた。あれが果たして黄金錬成によるものなのかということを。
今なら解る。
あれは、
..................
自分の中から『何か』が出でいたのだと―――――ッ!!!
「……彼が向こうで何をしたかを聞いたときに、こうなることは予測がついたわ。だから、手遅れになる前に……」
「俺のところに、来たってわけか」
こくり、とうなずく永琳。そうか、と上条はいい、
「霊夢、手伝ってくれ」
「……分かった」
上条は再び空を飛ぶ。
123:
10/12/15 17:31:23 +3vYy069.net
◇
目も虚ろなまま紅魔館の門をくぐる。
はっきり言って、『黄金錬成』の完全な支配下に置かれていた。
――今自分がするべきことは、ただ一つ。
(吸血鬼を……永遠亭に……!)
「お帰り、咲夜」
言うが早いか、
ドン!!
「――何て無様な。……たかが錬金術師のいいようにされてしまって」
紅く、赤い槍が咲夜の胸を貫いていた。
最初から赤かったのか、それとも幾多の血を浴びるうちに赤く染まったのか。
どちらにしろ、凶力な武器であることには間違いないだろう。
憑きものでも落とされたかのように、虚ろだった目は生気を取り戻す。
――『黄金錬成』への服従は、主人への忠誠心によってかき消える。
「……申し訳ございません、お嬢様……」
「気にするな。……気に食わないのはアウレオルス=イザードの方だ」
――復讐をすると。
「八当たりにもほどがある」
――吸血鬼の存在が、自分を正しい道から踏み外させたのだと。
「……私たちが存在しようがしまいが、アウレオルス、お前は道を踏み外していたさ」
行くぞ、と。
永遠に紅い幼き月が、アウレオルスの幻想を砕かんと動き出す。
124:
10/12/15 17:34:29 +3vYy069.net
◇
ドサッ
「当然、勝者は私だ」
――記憶が戻った時を思い出す。
記憶の中には、世界のすべてを知るための術式があった。
――『黄金錬成【アルス=マグナ】』。
アウレオルスは、『黄金錬成【アルス=マグナ】』の構築を再開していた。
永遠亭内にコインの表と裏が出来上がる。
――裏に居座るアウレオルスに、もはや住民が気づくことはないだろう。
「……来たか」
コインの表側に侵入者がいる。
表側にいるだけならアウレオルスに気づくことはないのであろうが、
「――ッ!?」
キィイン!
覚えのある音が聞こえたような気がした。
その音は、
――裏側の自分【アウレオルス】に向かって歩んでくるッ!
部屋の戸が開けられる。
侵入者は倒れている敗者にそっと触れると、後に続いていた者に託す。
「一回殺しただけじゃ、足りねぇのか」
――こいつは。
「お前は、ただインデックスを救いたかっただけなんだろ!それが何でこんなことをしなくちゃいけない理由になる」
――目の前のこいつは。
「当然、復讐!仇を相手にすることのどこに非があるか!」
――竜王の、透明な竜王の顎の
「じゃあそこに倒れてる女の子は何なんだよ!お前を介抱してくれていただけだろ!」
―――主!
「立ち向かうというならば、必然的に迎え撃つほかあるまい。――少年、貴様もな!」
『少年は絶命する』
それだけで上条の全身から力が抜ける。
意識は朦朧とし、しかし地面に倒れるところで、
「無駄だ」
右手が心臓に触れる。
以前に『しね』と言われた時も、こうして心臓を触れることで効果を打ち消せた。
「――以前と変わらぬな。だがしかし、私は負けない」
過去から学ばぬ魔術師など、所栓三下。
――『黄金錬成』は『幻想殺し』を超える処理能力を発揮する。
『少年の右手は力を失う』
――右手から、握力が消える。
『少年の右手には魔術を打ち消す効果はない』
――右手は、
ただの荷物になり下がる。
125:
10/12/15 17:36:47 +3vYy069.net
◇
「アウレオルスさん、あなたは復讐なんてする必要ないでしょう」
「女、感謝するぞ。貴様のお蔭で私は記憶を取り戻せた」
「……あなたが記憶を取り戻せば、黄金練成を扱うすべも取り戻すと、わかっていたわ、ええ。だけど――」
ドガァァァアアアア!!
爆音とともに、永遠亭の一角は崩れ去る。
――レミリアの一撃。
たった一撃で、建物は形を失う。
しかし。
「見ておけ、あれが神秘を起こすアルス=マグナ」
油断はない。
『建物は元の形を取り戻す』
「やあ、アウレオルス=イザード。君の仇の登場だ」
「……吸血鬼……?貴様が?ハッ、笑わせるな、これでも吸血鬼の知識は一通り学び終えた身だ」
「そちらこそ」
――笑わせるな
投擲。
紅い槍がアウレオルス目がけて突き進む。
『槍は推進力を失う』
槍は勢いを失い地面に落ち――
「その運命は逆転する」
ない。
「――ッ!」
アウレオルスの顔面目がけて直進し続け、
「――邪魔だ」
上条の、右肩。
その右肩から生まれる何かに阻まれ、消え去る。
「なん、だ……それは……」
レミリアには解る。
目には見ない、何かが感じられるのだ。
(視えない力の塊……何かが……『在る』!)
アウレオルスと対峙していた少年。
運命を打ち消してレミリアの攻撃を阻む――ッ!
126:
10/12/15 17:39:45 +3vYy069.net
――その力の奔流は、まるで、今まで何かに抑えられていたかのように暴れ狂うッ!
が、
......
「なっ、右手の力は確かに消えた!なぜ貴様は『幻想を殺す』!?……はっ」
「――莫迦か」
言葉通りに世界は歪められ、
「『幻想殺し【イマジンブレイカー】』、か」
上条当麻は再び右手に力を宿す。
暴れ狂う力の奔流ではなく。
ただ、異能を消すだけの、力。
「アウレオルス」
一歩。
「テメェが」
また一歩。
「なんでも」
次々と。
「思い通りににできるってんなら」
少年とアウレオルスとの間の距離は縮まっていく。
「まずは――」
「少年、アウレオルスの相手はこの私だ」
縮まった距離は再び開く。
127:
10/12/15 17:43:38 +3vYy069.net
「ぐ……ガァァァ!!」
レミリアの攻撃。
球体状の塊が上条の腹部にあたり、そのまま体を飛ばす。
「て……めぇ……!」
「そちらこそ邪魔をするな。人間ごときに吸血鬼の名の肩を持たれても困る」
「――どういうことだ……」
「言葉通りだよ。吸血鬼は錬金術師ごときに八当たりされていい種族ではない」
「『吸血鬼は力を失う』。黄金錬成は効力を失っていないぞ」
「――ッ!?」
思わず膝をつく。
視えない重圧が体にかかっているように、思い通りに体を動かすことができなくなる。
「吸血鬼、そして少年。確かに私がおこなおうとしている復讐は八当たりにすぎない。だが」
アウレオルスは、解っていた。
どうしょうもないことを自分がしているということを。
「――ならばなぜ私を呼んだ」
「当然」
――己が内に掲げた名を思い出せ。
――錬金術師、お前の起源は『愚行』だ。いくら足掻こうとも、そのおろかさを悔いらなければ、名誉など貴様にはない。
――アウレオルス……私……忘れたくなんかないよ……
―――あの子は激痛に耐えながら、忘れたくないと笑って告げたのだ!
「――『我が名誉は世界のために』。世界の崩壊を招くような力など、ここで破壊するべきなのだ――!!」
128:
10/12/15 17:45:04 +3vYy069.net
「ほう。確かに吸血鬼は巨大な力だ。だが」
今度は私が反論する番だ、と。
吸血鬼【レミリア・スカーレット】は――。
「貴様のように、力の振り方を間違えたりはしない」
強大な力を持てば持つほど、それをどう使うかなどという選択支は増える。
しかし、飽くまで己がため、野望に使うか。それとも世界を救うために使うか。
ようは持つ者の扱い方次第である。
――扱う武器【グングニール】にもそれが表れている。
アウレオルスのような、世界のルールを曲げるような力を持っていても、振りかざす向きを間違えなければ悲劇など起きはしない。
――レミリアは、強い。
それは単純な実力差ではない。
数百年という時は己が信念を確かなものにする。
「――魔符・『全世界ナイトメア』」
スペルカードの使用を宣言。
三方向へナイフが展開される。
「一つは敵に向かう」
そう宣言するだけで、いくつかのナイフはアウレオルスへ向かう。
当然、左右に逃げ場はない。
さらにわずかナイフの隙を埋めるように、と円形に射出される光弾。弾幕の前にアウレオルスは――
『ナイフは敵へ向かう』
「運命操作なら、私が上手【うわて】だ」
ぐっ、と。
両者の力のせめぎ合いを真に受け、ナイフか空中でピタリと動きを止める。
力に耐えきれぬか。ナイフは砕け散る。
129:
10/12/16 01:58:20 J9IEXvV7.net
すいません、>>122の前にこれが入ります
◇
「……」
さすがに、右手を呪った。
まさか、ここまで適用範囲が広いとは思わなかった。
「一応聞くわ、上条。左手で箸は」
「掴めません」
……
「口開けて」
「無理です」
「こっちも恥ずかしいんだよぉおおおお!!」
半ば押し込むような形で食べ物を上条の喉へと入れる霊夢。
当然、ペースを乱された上条は、
「ゴホッ!」
と咳込む。
「あのなぁ……夫婦漫才なら余所でやってくれよ……」
「これがやりたくてやってるように見えるかしら……ッ?」
――ひと通りの料理を、胃へと送り込み終える。
「……」
「黙りこくるなら無理してやるなよ……」
慰めているのか責めているのか分からない上条の言い草が、霊夢の心理状態を余計に複雑にする。
(何なのよもう……)
コンコン
玄関の扉を叩く音。
それは、一人の来訪者の現れを告げる。
130:創る名無しに見る名無し
11/01/06 19:27:54 8yh1GCdL.net
ホシュ
131:創る名無しに見る名無し
11/01/09 21:44:42 6DL+Bbt/.net
ほしゅ
132:創る名無しに見る名無し
11/01/10 00:27:55 C0H70HMo.net
なにこれ東方よく知らないけど面白い
133:創る名無しに見る名無し
11/01/12 02:38:08 6QejnIvP.net
ホシュ
134:
11/01/30 00:47:14 bxI04YpG.net
あのー、wikiに載せてもらえないのは何かまずいことをしたからなのでしょうか?
135:創る名無しに見る名無し
11/01/30 02:17:27 nqnZMaJ2.net
番外編のこと?それならwikiに載ってると思うけど
どっか載ってないところとかあったかな?
最近リアル事情で見に行けないこともあって
ひょっとしたら見落としてるのもあるかもしれないけど
136:
11/01/30 04:29:57 bxI04YpG.net
>>135
5話に当たる部分を避難所に投下させていただきました。
お暇なときに目を通していただければ。
137:創る名無しに見る名無し
11/02/13 23:04:18 ueg1t3BY.net
保守
138:創る名無しに見る名無し
11/03/02 21:34:41.69 L6Fc/Ggs.net
保守
139:『マギカ☆フォルテッシモ』
11/03/05 20:29:51.59 8KGmWwah.net
『ハートキャッチプリキュア!』と『魔法少女まどか★マギカ』のクロスオーバーです。
時系列的にはプリキュアが本編終了後、まどかがバス停での喧嘩後です。
基本的にまどかたちの救済ストーリーになるかと思います。
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